短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20...

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短時間正社員制度導入の手引き ~平成 平成 平成 平成 21 21 21 21 年度短時間正社員制度導入支援事業報告書 年度短時間正社員制度導入支援事業報告書 年度短時間正社員制度導入支援事業報告書 年度短時間正社員制度導入支援事業報告書~ 平成 22 年3月

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Page 1: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

短時間正社員制度導入の手引き

~~~~平成平成平成平成 21212121 年度短時間正社員制度導入支援事業報告書年度短時間正社員制度導入支援事業報告書年度短時間正社員制度導入支援事業報告書年度短時間正社員制度導入支援事業報告書~~~~

平成 22 年3月

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◆ 目 次 ◆

ⅠⅠⅠⅠ....はじめにはじめにはじめにはじめに .................................................................. 1 1.短時間正社員とは......................................................... 1

(1)定義 ................................................................. 1

(2)短時間正社員の区分.................................................... 2 2.意義 .................................................................... 3

(1)人材活用面での課題.................................................... 3

(2)制度導入のメリット.................................................... 3

ⅡⅡⅡⅡ....短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入・・・・定着定着定着定着におけるにおけるにおけるにおける課題課題課題課題..................................... 5 1.導入編 .................................................................. 5 2.運用・定着編 ........................................................... 10

ⅢⅢⅢⅢ....導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着ののののステップステップステップステップとととと留意点留意点留意点留意点.............................................. 13 1.企業における導入・定着.................................................. 14

(1)短時間正社員制度の導入............................................... 14

(2)短時間正社員制度の目標設定・評価..................................... 23

(3)短時間正社員制度のキャリア支援....................................... 33 2.病院(看護師)における導入・定着........................................ 42

(1)短時間正職員制度の導入............................................... 42

(2)短時間正職員制度のキャリア支援....................................... 49

ⅣⅣⅣⅣ....まとめまとめまとめまとめ~~~~短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着ののののポイントポイントポイントポイント............................ 56 1.導入におけるポイント.................................................... 56 2.定着におけるポイント.................................................... 57

(1)評価・目標設定....................................................... 57

(2)キャリア形成......................................................... 57

ⅤⅤⅤⅤ....企業企業企業企業のののの取組紹介取組紹介取組紹介取組紹介 ........................................................... 59

ⅥⅥⅥⅥ....参考資料参考資料参考資料参考資料 ~~~~成果報告会成果報告会成果報告会成果報告会((((シンポジウムシンポジウムシンポジウムシンポジウム))))配布資料配布資料配布資料配布資料~~~~.......................... 73 1.「短時間正社員制度の導入の意義と課題-WLB 職場を目指して」 佐藤 博樹(東京

大学 社会科学研究所教授)............................................. 75 2.「なぜ今、短時間正社員が注目されるのか?」 脇坂 明(学習院大学経済学部教授)

..................................................................... 81 3.「短時間正社員制度による看護職のワーク・ライフ・バランス」 小川 忍 (社)日

本看護協会 常任理事.................................................. 97 4.「短時間正社員制度を育児短時間勤務に活用する上での留意点」 厚生労働省.. 104

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ⅠⅠⅠⅠ....はじめにはじめにはじめにはじめに

短時間正社員とは、1週間の所定労働時間が短い社員であり、多様な働き方の選択肢の 1

つである。男女を問わず多様な生活ニーズに即したワーク・ライフ・バランスを実現する

働き方として、今後ますます必要性が高まる制度であると考えられる。

ただし、短時間正社員の導入には、制度設計のみならず運用面においても、工夫が求め

られる。本報告書は、制度導入や運用・定着のための職場環境整備の進め方を、企業・病

院の協力を得て実施された事例分析に基づき取りまとめたものである。

短時間正社員制度の導入においては、単に就業規則を書き換えるだけではなく、短時間

正社員が限られた時間の中で効率的に働き、持てる能力を発揮し、将来に向けキャリアア

ップをはかれるよう仕事配分の検討やキャリア形成支援を行っていく必要がある。こうし

た仕事やキャリア支援の見直しは、フルタイムで働く正社員の仕事やキャリア支援の見直

しにもつながり、柔軟かつ効率的な働き方が可能な職場づくりに寄与するものである。

1.短時間正社員とは

「短時間正社員」とは、以下のような働き方をする社員である。

(1)定義

○短時間正社員とは、他の正規型のフルタイムの労働者(※)と比較し、その所定労

働時間(所定労働日数)が短い正規型の労働者であって、次のいずれにも該当する

者である。

①期間の定めのない労働契約を締結している者

②時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用され

る同種のフルタイムの正規型の労働者と同等である者

※正規型のフルタイムの労働者:1 日の所定労働時間が 8 時間程度で週 5 日勤務を

基本とする、正規型の労働者

※企業内において、このような働き方を就業規則等に制度化することを指して、「短

時間正社員制度」と呼んでいる。

<短時間正社員の働き方の例>

・一日の所定労働時間を短くする(例:1 日 6 時間、週 5 日勤務等)

・一週間の所定労働日数を短くする(例:1 日 8 時間、週 4 日勤務等)

短時間正社員とは

1111....短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員とはとはとはとは

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(参考)短時間正社員のイメージ(一般的な例)

◆ フルタイム正社員

○労働契約の期間 無期契約

○給与 月給

○労働時間 1 日 8 時間週 5 日勤務

○年次有給休暇 労働基準法の規定による比例付与

◆ 短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員

○○○○労働契約労働契約労働契約労働契約のののの期間期間期間期間 無期契約無期契約無期契約無期契約

○○○○給与給与給与給与 フルタイムフルタイムフルタイムフルタイム正社員正社員正社員正社員のののの月給月給月給月給をををを時間比例時間比例時間比例時間比例でででで支給支給支給支給あるいはあるいはあるいはあるいはフルタイムフルタイムフルタイムフルタイム正社員正社員正社員正社員のののの時時時時

間当間当間当間当たりのたりのたりのたりの基本給基本給基本給基本給とととと同等同等同等同等のののの水準水準水準水準のののの時間給時間給時間給時間給をををを支給支給支給支給

○○○○労働時間労働時間労働時間労働時間 短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務・・・・短日勤務短日勤務短日勤務短日勤務のいずれものいずれものいずれものいずれも可可可可

例例例例::::1111 日日日日 6666 時間週時間週時間週時間週 5555 日勤務日勤務日勤務日勤務、、、、1111 日日日日 8888 時間週時間週時間週時間週 4444 日勤務日勤務日勤務日勤務 等等等等

○○○○年次有給休暇年次有給休暇年次有給休暇年次有給休暇 労働基準法労働基準法労働基準法労働基準法のののの規定規定規定規定によるによるによるによる比例付与比例付与比例付与比例付与

◆ 短時間正社員とはならない短時間労働者(パート)

○労働契約の期間 有期契約

○給与 フルタイム正社員の時間当たりの基本給とは異なる水準の時間給

○労働時間 短時間勤務・短日勤務のいずれも可

例:1 日 4 時間週 5 日勤務、1 日 8 時間週 3 日勤務 等

○年次有給休暇 労働基準法の規定による比例付与

(2)短時間正社員の区分

短時間正社員は、その「なり方」等によって、大きく3つのタイプに分かれる。タイ

プの違いは、一つには「一時的な制度利用」か「継続的な制度利用」かという視点と、

二つ目には、「社内からの転換」か「社外からの入職」かという視点で、下記のように

整理される。

タイプⅠ:正社員が一時的に短時間勤務をするタイプ

例:妊娠・出産後子育てのため、育児短時間勤務制度を利用

病気で休職後、徐々に職場になれるための利用

夜間大学に通うための利用 など

タイプⅡ:正社員が恒常的、または期間を定めずに短時間勤務をするタイプ

例:高齢期にも仕事を続けるための利用

地域活動のため、恒常的に利用 など

最初から短時間勤務の正社員として入社するタイプ

例:ボランティア活動との両立のための利用 など

タイプⅢ:パートタイマーなどが、短時間勤務のまま、正社員になるタイプ

例:パートタイマーで入社後、登用試験に合格し、労働時間は変えずに

正社員に

など

短時間正社員の区分

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2.意義

(1)人材活用面での課題

企業にとっての短時間正社員制度導入の必要性は、主に下記の課題への対応にある。

正社員でも短い所定労働時間で働くことができる、という新しい選択肢を設けることで、

これまで十分能力発揮ができていなかった層の人材を活用できる可能性が広がる。

(2)制度導入のメリット

短時間正社員制度を導入することは、企業にとって下記のようなメリットがあると考

えられる。

○正社員の定着率が悪い

○育児休業後の女性社員が辞めてしまう

○自己啓発のニーズに対応できていない

○高齢者の能力や技術有効を活用できていない

○病気からの復職がうまくいかない

○ワーク・ライフ・バランスのはかり方が分からない

○優秀な人材が獲得できない

○新卒採用で学生からの人気がない

○パートタイマーの採用に困っている

○パートタイマーの入れ替わりが激しい

○パートタイマーが戦力化できない

1)優秀な人材の獲得につながる

「制度を有していること」そのものが応募者から見た「企業の魅力」につながる。

応募者の目に、社員の事情やワーク・ライフ・バランスに気を配る「人に優しい会社」

と映る。

すでに自社で働いていて「優秀」と分かっているパートタイマーを登用できる。

2)採用コストや教育訓練コストが削減できる

社員が定着しなければ、「補充」のための募集・採用活動に要するコスト(金銭・時

間)が必要。

採用した新人の育成ための教育訓練コスト(金銭・時間)がかかる。

3)社員の定着率が向上する

知識・技術・経験のある社員の退職を防止できる。

育児や介護など制約のある人の就業継続が可能に。

パートタイマーを正社員登用し、無期雇用契約に。

4)社員のモチベーションアップにつながる

多様な働き方を認めることがモチベーションアップにつながる。(学習機会や定年後

の就労が可能になること、パートタイマーの登用によって)

5)外部(顧客や社会)に対するイメージアップにつながる

社会的に意義ある制度を導入していることが、対外的なイメージアップにつながる。

2222....意義意義意義意義

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なお、平成 20年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい

る企業は 17.5%、タイプⅡは 4.0%、タイプⅢは 1.1%であり、他に「制度はないが運

用している」企業もあるものの、制度の導入割合はいずれも低い割合にとどまっている。

育児目的のタイプⅠに該当する短時間勤務については、育児・介護休業法の改正により、

平成 22 年6月より、企業への導入が義務づけられる

1

ことなどから、今後さらなる普及

が期待される。

図表1 短時間正社員制度のタイプ別制度導入割合 n=2,811

17.5

4.0

1.1

2.7 73.4

85.7

89.6

0.9

3.0

2.4

2.6

2.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

タイプⅠ

タイプⅡ

タイプⅢ

制度がある 制度はないが運用している

制度はないが検討中である 制度はない

資料:株式会社アイデム「短時間正社員と人事管理等に関する調査」

平成 21 年3月(厚生労働省委託調査)

2

1 育児・介護休業法改正における留意点については、参考資料4.を参照のこと。 2本調査報告には、以下の留意事項が付されている。「アンケート結果を見るにあたって

は、本調査における『短時間正社員』の定義と、回答者の『短時間正社員』の理解が必

ずしもかみ合っていないと思われる点があることに留意が必要である。」

本調査における「3タイプ」の短時間正社員とは、期間の定めのない雇用であって、以

下のタイプにあてはまるものをいう。

タイプⅠ:正社員の処遇と同じレベルにしたまま、一時的または一定期間を定めて所

定労働時間を短く設定するタイプ

タイプⅡ:正社員として、恒常的または特に期間を限定せずに、所定労働時間を短く

設定するタイプ

タイプⅢ:正社員でない従業員を、正社員になった上で所定労働時間を正社員より短

く設定したまま、処遇を正社員と同じレベルにしたタイプ

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ⅡⅡⅡⅡ....短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入・・・・定着定着定着定着におけるにおけるにおけるにおける課題課題課題課題

1.導入編

短時間正社員制度を導入また運用している企業における導入事由をみると、タイプⅠに

ついては「育児・介護との両立」事由が圧倒的多数であり、約9割を占めている。タイプ

Ⅱでは、「育児・介護との両立」よりも、「定年延長した高齢者」を対象としている企業

が多く、タイプⅢは、「育児・介護との両立」が多いものの、「短時間正社員での採用」

や一定以上の能力や評価を有する従業員が希望した場合に認められるもの等、様々な事由

が含まれる。

図表2 短時間正社員制度のタイプ別導入事由

4.6

2.5

5.8

10.8

3.5

2.3

2.1

5.5

4.6

3.7

2.8

4.9

36.7

9.2

6.1

18.4

21.9

15.8

16.3

10.7

4.6

58.2

7.3

14.5

29.1

25.5

25.5

21.8

5.5

89.8

9.7

12.8

45.4

19.9

7.3

10.9

9.1

7.3

18.2

0% 20% 40% 60% 80%

1.育児や介護をする必要があるが、それらと仕事を両

立させたい

2.自己啓発などの学習活動に参加したい

3.ボランティアなど社会貢献活動へ参加したい

4.定年延長した高齢者が短時間での勤務を希望する

5.健康を損なったため働き方を変えたい

6.離婚などで家庭状況が変わったため、働きかたを変

えたい

7.退職した元正社員が短時間正社員で復職したい

8.短時間正社員で採用されたい

9.能力・意欲が高く、本人が希望する

10.一定の基準以上の評価を有し、本人が希望する

11.上司からの推薦を有し、かつ本人が希望する

12.その他

13.希望者全員を対象とする

タイプⅠ(n=567) タイプⅡ(n=196) タイプⅢ(n=55)

資料:株式会社アイデム「短時間正社員と人事管理等に関する調査」

平成 21 年3月(厚生労働省委託調査)

1111....導入編導入編導入編導入編

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短時間正社員の適用が「一定期間に限られる」タイプⅠについて、育児目的で制度を導

入している企業における適用期間をみると、子が「3歳に達するまで」が 57.5%と最も多く、

次いで「小学校就学の始期に達するまで」が 27.6%となっている。「小学校就学の始期に達

するまで」以上の割合も 38.6%で増加傾向にある。

図表3 育児のための勤務時間短縮制度の最長利用可能期間別事業所割合

64.6

57.5

3.2

3.9 27.6

22.1

5.1

3.3

0.8

2.9

2.4

3.0

3.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成17年度

平成20年度

3歳に達するまで 3歳~小学校就学前の一定年齢まで

小学校就学の始期に達するまで 小学校入学~小学校3年生まで

小学校4年生~小学校卒業まで 小学校卒業以降も利用可能

不明

資料:厚生労働省「平成 20 年度雇用均等基本調査」平成 21 年8月

さらに、短時間正社員のタイプ別の時間短縮方法をみると、いずれのタイプでも、「1

週間の就労日数はフルタイム正社員と同じであるが、1日の所定労働時間を短くする(短

時間勤務)」の割合が高いが、特にタイプⅠで高い割合を占めている。タイプⅡ、Ⅲでは、

「1日の所定労働時間はフルタイム正社員と同じであるが、1週間の就労日数を短くする

(短日勤務)」や、短時間・短日勤務の両方を導入している企業も少なくない。

図表4 短時間正社員制度のタイプ別制度導入割合

85.7

55.1

52.7

7.2

35.2

18.2 43.6

1.9

3.1

1.8

39.3

15.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

タイプⅠ

タイプⅡ

タイプⅢ

1週間の就労日数はフルタイム正社員と同じであるが、1日の所定労働時間を短くする

1日の所定労働時間はフルタイム正社員と同じであるが、1週間の就労日数を短くする

1日の所定労働時間と1週間の就労日数をともにフルタイム正社員より短くする

該当なし

資料:株式会社アイデム「短時間正社員と人事管理等に関する調査」

平成 21 年3月(厚生労働省委託調査)

n=567

n=196

n=55

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1日の時間を短縮している割合の高かったタイプⅠで、さらに育児目的での短時間勤務

の場合、どれくらいの短縮時間を設定しているかをみると、「1時間以上2時間未満」が

最も多く 49.9%、次いで「2時間以上3時間未満」が 17.9%となっている。

図表5 育児のための短時間勤務制度の短縮時間別事業所割合

(%)

短時間勤

務制度が

ある事業

所計

1 時間未満 1 時間以上 2 時間未満

2 時間以上 3 時間未満 3 時間以上 その他 不明

平成 17 年度 100.0 2.0 36.8 41.2 13.3 4.0 2.6

平成 20 年度 100.0 12.2 49.9 17.9 7.7 11.5 0.8

資料:厚生労働省「平成 20 年度雇用均等基本調査」平成 21 年8月

このように一口に「短時間正社員制度」といっても、対象となる事由や適用期間、時間

の短縮方法(短時間か短日かなど)、1日あたり短縮する時間等、様々なタイプが考えら

れる。導入の際には、各企業・病院の人事方針も考慮しつつ、社員のニーズに合致した制

度を設計することが必要である。

さらに、短縮した時間についての賃金の取扱いについては、短縮した時間分を「無給」

としている割合が 81.0%と最も多く、「有給」が 9.1%、「一部有給」が 8.6%の順となって

いる。基本給については、短縮した時間分を「無給」とすることが一般的になっているよ

うだが、賞与や福利厚生面も含め、制度の目的や制度利用者以外の従業員との公平性に照

らして、賃金の取り扱いを検討する必要がある。

図表6 育児のための短時間勤務制度の短縮時間分賃金の取扱い別事業所割合

(%)

短時間勤務制度

がある事業所計 有給 一部有給 無給 不明

平成 17 年度 100.0 10.2 9.1 80.1 0.6

平成 20 年度 100.0 9.1 8.6 81.0 1.3

資料:厚生労働省「平成 20 年度雇用均等基本調査」平成 21 年8月

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制度を導入した企業においては、制度が有効に活用されることが期待されるが、もっと

も利用されているとみられる「育児のための短時間勤務」については「利用しにくい」と

考える女性正社員が2割弱いることから、制度の周知活動等により社内・院内の雰囲気の

醸成等の環境整備を行うことや、円滑な制度運用に向けて、各職場において仕事の配分見

直し等の運用上の配慮を行うことが必要と考えられる。

図表7 【正社員:女性】職場の両立支援制度

女性 (n=2,057)

39.8

16.7

22.1

34.1

27.3

27.4

13.3

23.2

9.9

12.8

5.5

13.7

11.5

15.5

8.8

15.0

16.8

16.6

15.6

16.8

18.2

16.0

15.6

14.5

13.8

8.6

16.0

9.4

34.4

31.0

33.9

34.2

37.0

36.4

43.5

42.2

76.5

40.3

37.9

34.7

48.1

16.2

32.4

27.0

19.3

22.0

20.2

33.7

24.8

32.1

31.2

12.2

37.4

34.6

40.4

36.96.1

5.8

34.1

29.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.育児のための休業制度

b.介護のための休業制度

c.配偶者・パートナーの出産時の休暇制度

d.妊娠時の休暇制度

e.子の看護休暇制度

f.育児のための短時間・短日数勤務制度

g.介護のための短時間・短日数勤務制度

h.育児・介護のための始業・終業時間の繰上・繰下制度

i.育児・介護以外を目的とする休業制度 (ボランティア目的

の長期休業、学業・教育訓練目的の長期休業など)

j.育児・介護以外を目的とする短時間・短日数勤務制度

k.在宅勤務(オフィスに毎日は出勤せず、自宅で勤務すること

を認める働き方。部分的(週1回程度)な在宅勤務も含む。)

l.正社員から非正社員(パート・アルバイト・契約等)への転換

m.非正社員(パート・アルバイト・派遣・契約等)から正社員へ

の転換

n.再雇用制度

o.勤務地限定制度(特定の社員について、勤務地を限定する

ことを認める働き方。一定の期間だけの勤務地限定も含む。)

利用しやすい 利用しにくい 制度がない わからない

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究ア

ンケート調査」平成 21 年9月 (厚生労働省委託調査)

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本制度を導入済みの企業では、導入による仕事面のデメリットとして、「職場の同僚に

仕事の負担がかかる」「仕事の都合に応じた人の配分が難しくなる」ことが多く挙げられ

ている。制度利用者に対して、短時間勤務に適した内容かつ勤務時間に見合う業務量の仕

事を配分し、同時に周囲の社員の負荷を過剰に増加させることなく業務を円滑に運営して

いくためには、職場全体の業務を把握し、場合によっては業務効率化のために仕事の見直

しを行うことも必要であろう。

図表8 短時間正社員の導入による仕事面のデメリット(複数回答)

顧客

や取

引先

との

対応

支障が生じる

打ち合わせや会議に

支障が生じる

職場の同僚に仕事の

負担がかかる

仕事

の引

き継

ぎに

支障

生じる

仕事

の繁

閑の

対応

が難

くなる

仕事

の都

合に

応じ

た人

配分が難しくなる

役割

分担

たは

の分担が難しくなる

職場

内の

コミ

ュニ

ケー

ョンに問題が生じる

その他

特にデメリットはない

導入企業 20.9 21.2 48.5 18.6 30.9 39.1 29.3 13.3 1.3 16.1

タイプⅠ 21.4 21.0 51.9 18.2 33.5 41.4 29.6 12.3 1.2 14.8

タイプⅡ 17.6 22.3 38.3 20.7 29.5 37.3 31.1 17.1 1.0 20.2

タイプⅢ 35.2 20.4 35.2 24.1 20.4 38.9 27.8 16.7 0.0 25.9

未導入企業 28.5 24.8 41.5 26.7 31.0 44.0 41.3 24.3 2.0 8.9

資料:株式会社アイデム「短時間正社員と人事管理等に関する調査」

平成 21 年3月(厚生労働省委託調査)

Page 14: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

10

2.運用・定着編

短時間正社員制度の運用・定着における課題として、導入企業からは、「賃金などの処

遇面」「人員管理」といった短時間正社員制度そのものに関する課題の次に、現場マネジ

メントと密接に関連した人事評価やキャリアに関する課題が挙げられている。

図表9 短時間正社員の導入による処遇面のデメリット(複数回答)

(%)

退

導入企業 41.0 23.2 30.5 25.0 32.9 8.2 12.0 0.8 22.1

未導入企業 67.9 39.0 42.2 22.5 36.0 14.0 16.0 1.1 9.1

資料:株式会社アイデム「短時間正社員と人事管理等に関する調査」

平成 21 年3月(厚生労働省委託調査)

短時間・短日勤務の制度利用者の不満をみると、「時間を減らしても仕事内容・量が変

わらないこと」が最も多く、次いで「時には残業したいができないこと」、「実際に決め

た時間に帰れないこと」が多くなっている。

図表10 短時間・短日勤務をしていて不満なこと

38.4

34.6

32.5

21.3

20.9

18.2

15.7

11.7

2.3

9.8

0% 10% 20% 30% 40%

時間は減らしても仕事内容・量が変わらないこと

時には残業したいができないこと

実際に、決めた時間に帰れないこと

責任ややりがいのある仕事ができないこと

仕事内容・量に対して評価が低いこと

昇進・昇格が遅れること

キャリアアップの道が見えなくなること

職場の上司・同僚の理解が得られないこと

顧客や取引先の理解が得られないこと

その他

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研

究」平成 20 年(厚生労働省委託事業)

2222....運用運用運用運用・・・・定着編定着編定着編定着編

Page 15: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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先のデータからは、両立のために設定した時間を守って出退勤したいという希望や(短

縮した時間分に応じて給与が控除されているケースが多いこと等から)仕事の配分面で考

慮して欲しいという希望がある一方で、責任ややりがいのある仕事をするために時には残

業もしたいといった、制度利用者の「両立」と「仕事への責任」といった2つの側面につ

いての希望ゆえの不満が読み取れる。

また、「仕事内容・量に対して評価が低い」といった不満も、2割の人が抱えている。

短時間勤務の評価については、従業員の認識をみると、「どのように評価されるかわか

らない」と言った意見が多い。

図表11 短時間・短日勤務の評価

13.8

17.4

12.5

17.5 5.3

6.3

0.4

0.2 38.6

31.8

28.7

27.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性

(n=1,024)

女性

(n=2,057)

短時間・短日で就労時間が減った分の給与は減るが、評価は仕事内容に応じてなされる

短時間・短日で就労時間が減った分の給与が減り、評価も通常勤務者と比べて低くなる

短時間・短日でも、給与は減らず、仕事内容に応じて評価なされる

その他

どのように評価されるかわからない・知らない

制度がないので答えられない

注:調査対象には、制度未利用者も含まれる。

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研

究」平成 21 年9月 (厚生労働省委託調査)

このように、人事評価の課題を具体的に見てみると、制度利用者からは「短時間勤務を

選択することによって評価が低くなる」、その結果「昇進・昇格が遅れる」といった制度

利用そのものに不安があるという意見がある。一方、「そもそも短時間勤務になるとどの

ように評価されるか分からない」といった評価運用ルールに対する不満の意見も多い。ま

た人事評価を実施する管理職側からは「短時間勤務者の評価をどう取り扱うべきか分から

ない」といった悩みも聞かれる。このように人事評価の課題は大きく「制度利用者への不

利益な評価運用」「制度利用者の評価運用ルールの未整備」の2つに分けることができる。

また、成果主義人事制度の進展に伴い目標管理制度を人事評価として利用している企業も

多く、これらの企業においては評価のみならず「そもそも制度利用者の目標をどう設定す

べきか」という部分について課題を抱えている場合も少なくない。

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図表12 短時間正社員における人事評価の課題

制度利用者への影響 上司への影響

不利益な

評価運用

「制度を利用することによりマイナ

スの評価となってしまう」(その結

果、昇進昇格へも悪影響)

→制度利用することへの阻害要因

→制度利用者のモチベーション低下

人事評価

の課題

評価運用ルール

の未整備

「制度を利用した場合にどのような

評価となるかわからない」

→制度利用することへの不安

「制度利用者の評価をど

のようにしていいかわか

らない」

目標設定

の課題

目標設定ルール

の未整備

「短時間しか働けないことが考慮さ

れない目標となってしまう」

→制度利用することへの不安

「簡単な目標しか設定させてもらえ

ない」

→制度利用者のモチベーション低下

「制度利用者の目標設定

をどのようにしていいか

わからない」

資料:本事業のヒアリング調査結果から三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

また、今後の課題として、短時間であっても「やりがいや責任のある仕事がしたい」、

「昇進・昇格したい」といった制度利用者の希望に沿った短時間正社員の育成・キャリア

形成が考えられる。

特にキャリア形成については、これまで制度導入企業において、そもそも「短時間正社

員のキャリア形成」が全く考えられていない場合が少なくない。特に、短時間勤務を育児

休業の延長とのみしか捉えていない企業においては、「短時間勤務により、出産後の継続

雇用を行っている」ことで留まっており、短時間勤務時や通常勤務復帰後のキャリアパス

については検討すらされていない。短時間勤務時のモチベーションを維持・向上させ、短

時間勤務中であってもキャリア形成を行えるよう、企業としてはライフイベントに応じた

キャリア体系の構築、整備が今後より一層求められていくであろう。

これまでみてきたように、短時間正社員制度の導入においては、制度の適用範囲等の設

計における課題や仕事の配分等職場のマネジメントにおける課題がある。また、運用・定

着においては、制度利用者の評価・目標設定における課題やキャリア形成における課題等

がある。

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ⅢⅢⅢⅢ....導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着ののののステップステップステップステップとととと留意点留意点留意点留意点

本事業においては、民間企業6社と2病院に協力いただき、実際に導入と定着のために

必要な取組について事例研究を行っている。各事例における検討テーマは、下記のとおり

である。 病院については、看護師の短時間勤務について検討を行っている。看護師についての検

討は、一つの職種に絞って具体的な運用を検討しているという点で、一般企業における運

用にも参考となる内容である。特に、担当の患者を持つ場合の課題等は、一般企業におけ

る営業職や販売職等の課題と共通する点も多い。

種別 検討テーマ 事例数

(1)導入 ○制度設計と仕事の見直し 2社

○評価と目標設定 2社

1.企業

(2)定着

○キャリア形成支援 2社

(1)導入 ○制度設計 1病院 2.病院

(2)定着 ○キャリア形成支援 1病院

なお、短時間正社員には、先に示したように様々なタイプがあるが、今回の事業におい

ては、育児・介護休業法の改正により、平成 22年6月より導入が義務づけられる「育児期

の短時間勤務」(タイプⅠに該当)を主に検討を行った。

次頁からは、事例研究を踏まえ、テーマごとに、導入・定着における取組の流れ(ステ

ップ)や留意点を紹介している。

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1.企業における導入・定着

企業における短時間正社員制度の導入・定着を推進するためには、導入・定着過程での

課題に適切に対応していくことが重要である。ここでは、主要な課題である、導入の際の

制度設計ならびに短時間正社員が所属する部門の仕事の見直し、定着に向けた短時間正社

員の目標設定・評価、短時間正社員のキャリア支援について、課題と対応策を抽出しつつ、

導入・定着のための運用方策を検討する。

(1)短時間正社員制度の導入

①基本的な考え方

②取組の流れ

短時間正社員制度を導入する際には、下記のステップが必要である。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握

人事データ分析や社員へのヒアリング、アンケート、グループ・インタビュー等によ

り、現在の各人事制度の利用実績や要望、短時間正社員制度に対するニーズや課題を

把握する。その際、制度利用に対する肯定的な雰囲気の醸成や、導入後の円滑な制度

運用のために、制度の利用が想定される社員のニーズのみならず、その上司や周囲の

社員の意見も把握することが求められる。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】

現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ

把握把握把握把握

【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】

制度制度制度制度・・・・施策施策施策施策案案案案

のののの設定設定設定設定

【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】

意見収集意見収集意見収集意見収集とととと制制制制

度度度度・・・・施策案施策案施策案施策案のののの

見直見直見直見直しししし

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】

制度制度制度制度のののの導入導入導入導入・・・・

周知活動周知活動周知活動周知活動

【【【【StepStepStepStep5555】】】】

制度制度制度制度のののの運用運用運用運用とととと

仕 事仕 事仕 事仕 事 のののの 配 分配 分配 分配 分

見直見直見直見直しししし

1111....企業企業企業企業におけるにおけるにおけるにおける導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着

短時間正社員制度の導入については、社員のニーズや導入時に想定される課題を

把握し、ニーズに合致した制度設計や課題への対応策立案を行うことが必要である。

ニーズや課題は、業種や人員構成といった各企業の置かれている状況により異なる

ため、それぞれの状況に応じた対応が求められる。

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把握すべき項目とその目的、主な把握事項は下記の通りである。

�制度利用者がいる際の自身の業務遂行上の課題や職場

の雰囲気等

�本人との業務の連携や自身の今後の業務負荷に関する

問題点等

�制度利用者がいる際の職場の業務運営上の課題や雰囲

気等

�本人への仕事の配分方法や評価方法に関する問題点等

�適用対象や期間、短縮される時間、就業時間のパターン、

処遇等の条件に対するニーズ

�制度を利用することに対する業務上の障害や職場の雰囲

気等

�各制度の利用実績、現行の人事制度に対する要望、各制

度を利用することに対する社内の雰囲気等

把握事項把握事項把握事項把握事項

周囲周囲周囲周囲のののの意見意見意見意見

上司上司上司上司のののの意見意見意見意見

制度利用予定制度利用予定制度利用予定制度利用予定

者者者者ののののニーズニーズニーズニーズ

�現在の人事制度の有効性を検証し、

課題を明確にする

人事制度人事制度人事制度人事制度にににに関関関関

するするするする実態把握実態把握実態把握実態把握

�制度利用時に想定される業務遂行上

の課題や、本人に対するサポート方法

等の問題点を把握する

目的目的目的目的項目項目項目項目

�制度利用時に想定される業務運営上

の課題や、本人に対するマネジメント

上の問題点を把握する

�制度が実際に利用されるための制度

内容面での要件、円滑な運用が行わ

れるための業務面での課題を明確に

する

�制度利用者がいる際の自身の業務遂行上の課題や職場

の雰囲気等

�本人との業務の連携や自身の今後の業務負荷に関する

問題点等

�制度利用者がいる際の職場の業務運営上の課題や雰囲

気等

�本人への仕事の配分方法や評価方法に関する問題点等

�適用対象や期間、短縮される時間、就業時間のパターン、

処遇等の条件に対するニーズ

�制度を利用することに対する業務上の障害や職場の雰囲

気等

�各制度の利用実績、現行の人事制度に対する要望、各制

度を利用することに対する社内の雰囲気等

把握事項把握事項把握事項把握事項

周囲周囲周囲周囲のののの意見意見意見意見

上司上司上司上司のののの意見意見意見意見

制度利用予定制度利用予定制度利用予定制度利用予定

者者者者ののののニーズニーズニーズニーズ

�現在の人事制度の有効性を検証し、

課題を明確にする

人事制度人事制度人事制度人事制度にににに関関関関

するするするする実態把握実態把握実態把握実態把握

�制度利用時に想定される業務遂行上

の課題や、本人に対するサポート方法

等の問題点を把握する

目的目的目的目的項目項目項目項目

�制度利用時に想定される業務運営上

の課題や、本人に対するマネジメント

上の問題点を把握する

�制度が実際に利用されるための制度

内容面での要件、円滑な運用が行わ

れるための業務面での課題を明確に

する

人事制度全般の見直しを検討している企業において、制度利用が想定される社員

とその上司、周囲の社員、将来の制度利用が想定される社員の各グループ・インタ

ビューとあわせて、全社員を対象にしたアンケートを実施し、短時間正社員制度だ

けでなく人事制度全般に対するニーズや意見を幅広く収集した。

事 例

・特に女性が結婚や出産を機に退職することが一般的であるような企業の場合、男

性社員はおろか女性の若手社員が、身近にロールモデルがいないこと等から制度

利用に否定的な場合もある。現状・ニーズ把握の際には、育児・介護と仕事との

両立のため等、制度の利用が想定される社員だけではなく、その上司や周囲の社

員にもグループ別でヒアリングを行う等、早い段階から様々な社員を巻き込み、

利用に対する肯定的な雰囲気を醸成する。 ・介護と仕事との両立のための制度に対するニーズは、そうした立場にいる人がま

だ少ないこともあり貴重な情報となる。ただし特に介護については本人も話しに

くい事柄のため、ヒアリング等は個別で行う等の配慮が求められる。

取組の留意点

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【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】制度制度制度制度・・・・施策案施策案施策案施策案のののの検討検討検討検討

制度利用予定者のニーズや上司・周囲の社員の意見を踏まえつつ、自社の人事方針に

も合致する制度案を策定、また制度利用に対する理解を促し、社内の雰囲気を醸成する

ための制度の周知活動といった、環境整備の施策案も検討する。

制度・施策案の検討フレームは下記の通りである。

自社自社自社自社にふさわしいにふさわしいにふさわしいにふさわしい

制度内容制度内容制度内容制度内容・・・・

環境整備環境整備環境整備環境整備

� ニーズに合った制度内容� 利用しやすい雰囲気� 現実的に利用可能な業務環境

制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者ののののニーズニーズニーズニーズ

上司上司上司上司のののの意見意見意見意見 周囲周囲周囲周囲のののの意見意見意見意見

人事方針人事方針人事方針人事方針

検討検討検討検討フレームフレームフレームフレーム

� 全般的な人財活用の方針� 現在の人事制度や処遇等の条件との整合性

� 活用可能な社内周知のツール

� 業務運営への影響の度合い� 本人の活用の方法� 周囲の社員との公平感(評価等)

� 業務負荷が増えることへの懸念� 一部の社員への優遇策という誤解

取組の留意点

現在育児休業中の社員に対するアンケートを行ったところ、制度の適用期間を長

くして欲しいというニーズが最も多かったが、人事部門としてはなるべく早く通常

勤務に復帰して活躍して欲しいという方針があり、導入時は必要最低限の期間とし

た上で、運用状況を見ながら制度内容を再検討していくこととした。

事 例

・ニーズ調査では様々な意見が出ることが予想されるが、既存の人事制度や業務運

営、企業経営との関係等から、これらを全て満たすことは現実的に困難である。

単に、法定を上回る制度=いい制度、ということではなく、様々な視点から自社

にふさわしい制度を設計することが重要である。当面は必要な範囲で制度を設定

し、段階的に制度を拡大することも一つの方法である。

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【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】意見収集意見収集意見収集意見収集とととと制度制度制度制度・・・・施策案施策案施策案施策案のののの見直見直見直見直しししし

制度・施策案に対する意見を収集する。その際、階層別や職種別、職場単位等で議論

をすることで、様々な立場の意見収集や制度への理解促進につながる機会となる。

収集した意見を反映させ、制度・施策案を見直す。

事 例

女性社員、男性社員、管理職の各グループ・インタビューを行った。男性社員や

管理職からは、自身の育児経験を踏まえた制度内容に対するアドバイスや、導入後

の職場を見据えた運営上の貴重な意見が寄せられた。

取組の留意点

・制度案を制度利用予定者のみならず上司や周囲の社員にも提示し、集約した意見

も踏まえて最終的な制度を確定することで、制度利用予定者本人だけではなく

様々な立場からも運用が行いやすい制度設計につながる。 ・収集した意見・ニーズへの対応内容については必ずフィードバックを行い、制度

に対する理解の促進につなげる。

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【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】制度制度制度制度のののの導入導入導入導入

本事業で検討した制度内容と検討事項は下記の通りである。

�経済的支援を行うか

�管理職が利用する場合、基本給・手当を減額するか

�基本給・手当は短縮時間分を減額

�賞与は減額された基本給をベースに

通常勤務者と同様の評価

�昇給・退職金は算定期間に参入

�福利厚生は通常勤務者と同様

処遇処遇処遇処遇

�5時間や7時間等の複数のパターンを用意するか�6時間就業時間就業時間就業時間就業時間

�申請方法は、管理面の手間も考慮しているか

�残業を認めないことで業務運営上、支障はないか

�設定できる短縮時間の範囲で自由に決められるようにす

るか、管理面の煩雑さを考慮し時間帯を決めてしまうか

�子の対象年齢の拡大ニーズはあるか

�小学校入学時の生活変化に考慮し、「小学校1年の4月

末日まで」等とするか

�一部の職種や管理職等を適用除外とするか

検討事項検討事項検討事項検討事項

そのそのそのその他他他他

勤務時間帯勤務時間帯勤務時間帯勤務時間帯

適用期間適用期間適用期間適用期間

�全従業員適用者適用者適用者適用者

�利用・変更申請は1ヶ月前まで

�残業は原則として認めない

制度案制度案制度案制度案項目項目項目項目

�始業時間の繰下げおよび終業時間の

繰上げを30分単位で設定

�子が就学するまで

�経済的支援を行うか

�管理職が利用する場合、基本給・手当を減額するか

�基本給・手当は短縮時間分を減額

�賞与は減額された基本給をベースに

通常勤務者と同様の評価

�昇給・退職金は算定期間に参入

�福利厚生は通常勤務者と同様

処遇処遇処遇処遇

�5時間や7時間等の複数のパターンを用意するか�6時間就業時間就業時間就業時間就業時間

�申請方法は、管理面の手間も考慮しているか

�残業を認めないことで業務運営上、支障はないか

�設定できる短縮時間の範囲で自由に決められるようにす

るか、管理面の煩雑さを考慮し時間帯を決めてしまうか

�子の対象年齢の拡大ニーズはあるか

�小学校入学時の生活変化に考慮し、「小学校1年の4月

末日まで」等とするか

�一部の職種や管理職等を適用除外とするか

検討事項検討事項検討事項検討事項

そのそのそのその他他他他

勤務時間帯勤務時間帯勤務時間帯勤務時間帯

適用期間適用期間適用期間適用期間

�全従業員適用者適用者適用者適用者

�利用・変更申請は1ヶ月前まで

�残業は原則として認めない

制度案制度案制度案制度案項目項目項目項目

�始業時間の繰下げおよび終業時間の

繰上げを30分単位で設定

�子が就学するまで

制度導入時には、説明会により導入の背景や目的、制度内容について周知を行う等、

制度に対する理解を促すための周知活動を行うことが必要である。

制度内容だけではなく、実際に制度を運用する際に想定される管理面の煩雑さを

含めて、検討を行った。その際には管理職のインタビューを行い、多様なニーズに

対して制度としてどこまで許容するか、事務手続きや日常管理をどのようにするか、

といった点について意見を収集した。制度が現実的に運用可能なものになると同時

に、管理職に対して制度への肯定的な意識を醸成する機会にもつながった。

事 例

制度内容の説明だけではなく、制度導入の背景や目的等を紹介するハンドブック

の作成を行い、全社員に配布することになった。

事 例

導入制度案導入制度案導入制度案導入制度案

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【【【【Step5Step5Step5Step5】】】】制度制度制度制度のののの運用運用運用運用とととと仕事仕事仕事仕事のののの配分見直配分見直配分見直配分見直しししし

各職場で実際に制度利用者が出た場合、業務運営上の支障が生じないよう、仕事の配

分見直し等の運用上の配慮を行うことが必要である。管理職が中心となり、制度利用者

に対して、短時間勤務に適した内容かつ勤務時間に見合う業務量の仕事を配分し、あわ

せて、気兼ねなく制度が利用されるために、周囲の社員の負荷を過剰に増加させること

なく業務を円滑に運営していくための施策を検討することが求められる。

まず業務データ分析や作業記録等により、制度利用予定者(必要があれば職場全体)

の業務を棚卸し、制度の運用に向けた業務運営上の課題を抽出する。把握すべき項目と

その目的、主な把握事項は以下の通りである。

職場全体職場全体職場全体職場全体制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者

業務遂行業務遂行業務遂行業務遂行

時間時間時間時間のののの

制約制約制約制約

業務内容業務内容業務内容業務内容

�基本的に所定労働時間で遂行可能な業務量か

�多くの時間を投入している業務は何か

�制度利用予定者のサポートを行う社員に過大な

負荷がかからないか

�短時間勤務に見合う業務量とするために縮減すべき業務

量はどれ位か

�多くの時間を投入している業務は何か業務量業務量業務量業務量

�会議や打ち合わせ等が終業時刻を越えるような時間設定

となっていないか

�業務の性格上、所定労働時間外で行うこととなる業務を

行っていないか

把握把握把握把握すべきすべきすべきすべきポイントポイントポイントポイント

項目項目項目項目

�短納期で納期厳守が求められたり、顧客都合やトラブル

等のスケジュール変更の多い業務はないか

�能力や期待役割に見合わない業務が配分されていないか

�下のポジションの人に任せられる業務や主担当以外の業

務を行っていないか

�必要性の低い業務がないか

�非効率な業務のやり方をしていないか

�本来他部署が行うべき業務や部門間で統合し

た方が効率的な業務がないか

�会議や打ち合わせ等を制度利用予定者の終業

時刻を越えるような時間設定としていないか

�繁閑差の大きい業務はないか

職場全体職場全体職場全体職場全体制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者制度利用予定者

業務遂行業務遂行業務遂行業務遂行

時間時間時間時間のののの

制約制約制約制約

業務内容業務内容業務内容業務内容

�基本的に所定労働時間で遂行可能な業務量か

�多くの時間を投入している業務は何か

�制度利用予定者のサポートを行う社員に過大な

負荷がかからないか

�短時間勤務に見合う業務量とするために縮減すべき業務

量はどれ位か

�多くの時間を投入している業務は何か業務量業務量業務量業務量

�会議や打ち合わせ等が終業時刻を越えるような時間設定

となっていないか

�業務の性格上、所定労働時間外で行うこととなる業務を

行っていないか

把握把握把握把握すべきすべきすべきすべきポイントポイントポイントポイント

項目項目項目項目

�短納期で納期厳守が求められたり、顧客都合やトラブル

等のスケジュール変更の多い業務はないか

�能力や期待役割に見合わない業務が配分されていないか

�下のポジションの人に任せられる業務や主担当以外の業

務を行っていないか

�必要性の低い業務がないか

�非効率な業務のやり方をしていないか

�本来他部署が行うべき業務や部門間で統合し

た方が効率的な業務がないか

�会議や打ち合わせ等を制度利用予定者の終業

時刻を越えるような時間設定としていないか

�繁閑差の大きい業務はないか

抽出した課題に対して、仕事の配分見直しや日々の業務遂行の視点から、管理職が中

心となって具体的な施策案を検討する。施策案の検討フレームは下記の通りである。

検討検討検討検討フレームフレームフレームフレーム

仕事仕事仕事仕事のののの配分見直配分見直配分見直配分見直しししし

� 短時間勤務に見合う業務量� 残業の発生しない業務内容

業務遂行支援業務遂行支援業務遂行支援業務遂行支援

� 情報共有の場や研修等の時間設定の配慮

� 突発業務への対応支援

施策施策施策施策のののの方向性方向性方向性方向性検討検討検討検討ののののポイントポイントポイントポイント

1.1.1.1. 短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務にににに見合見合見合見合

うううう業務量業務量業務量業務量のののの配分配分配分配分

2.2.2.2. 制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者がががが定時定時定時定時

退社可能退社可能退社可能退社可能なななな業務業務業務業務

((((内容内容内容内容))))のののの配分配分配分配分

3.3.3.3. 制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者にににに残業残業残業残業

させないさせないさせないさせない業務遂行業務遂行業務遂行業務遂行

のののの仕組仕組仕組仕組みみみみ

� 1日の業務内容の事前報告� タイムスケジュールの作成

� 定時内での会議時間等の設定� 突発業務を引継ぐ担当者割り

� 制度利用者・周囲の退社時間の把握� 早めの業務指示や権限委譲

� 制度利用者への適切な業務と量の配分� 業務負荷や教育の視点を踏まえた周囲への業務再配分

管理職管理職管理職管理職のののの取組取組取組取組

施策案施策案施策案施策案 ((((例例例例))))

制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者のののの取組取組取組取組

職場全体職場全体職場全体職場全体のののの取組取組取組取組

Page 24: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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※仕事の配分見直しのパターン

各職場で制度利用者が出た場合、本人の短縮時間分の業務を再配分する必要が生じ

る。仕事の配分見直しの方法には、いくつかのパターンが考えられる。

a. 職場の多くの社員に均等に分担する

周囲の社員にとっては業務負荷の増加となり不満が生じる原因にもなりかねな

いため、それを防ぐためには、重要性の低い業務は廃止したり業務プロセスを見直

す等、仕事を見直して効率を上げることにより、職場全体の業務量を削減すること

が重要である。

b. 特定の社員に配分する

制度利用者が相応の役割を担う社員の場合、役職や経験等が1ランク下の社員に

一部の業務を委譲することで、人材の育成につなげる。あわせて、業務を委譲され

た社員に過剰な負荷がかからないよう、元々の担当業務の一部をまた1ランク下の

社員に委譲したり効率化を図る等の配慮も求められる。

c. 代替要員を確保する

代替要員を確保する場合、一般的に制度利用者の短縮時間分の業務だけでは業務

量が不足するため、周囲の社員の重要性の低い業務を一部切り離して代替要員に再

配分する。社員は浮いた時間をより重要性の高い業務に割り当てることで、代替要

員分のコストを補うことが求められる。

いずれのパターンにしろ、職場で制度利用者が出た場合には、これを機に業務の無駄

をなくす等、効率を上げて職場全体の業務量を削減することが重要である。特に、通常

勤務者が恒常的に長時間労働となっていると、制度の利用が躊躇されたり、制度を利用

しても定時で退社できない等、運用上の問題が発生する原因となる。

事 例

小売店舗の店長が短時間勤務を取得可能かどうか、トライアルを行い検証した。

まずは店長の業務を棚卸し、短縮時間分に相当する業務量かつ通常店長が行う業務

を、店長候補社員に委譲した。あわせて、周囲の社員の負荷の削減に向けて、残業

の要因となる閉店作業を前倒しで行うこととした。検証の結果、店長が短時間勤務

であっても業務に支障がないことが実証された。

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また制度の円滑な運用のためには、人事部門が中心となって導入後も継続して理解促

進のための情報提供を行う等、制度利用者や上司への支援を行い、各職場では制度利用

者や上司・周囲の社員それぞれの工夫とコミュニケーションに基づき相互に支援を行う

体制を築くことが重要である。下記のような制度の運用体制を構築することが望ましい。

上司上司上司上司 周囲周囲周囲周囲

制度の周知活動や

理解促進のための情報提供

� マネジメントスキルの向上 � 多能工化トレーニング

制度制度制度制度のののの運用体制運用体制運用体制運用体制

制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者

情報共有・業務の

見える化

情報共有・業務の

見える化

� タイムマネジメント

配分見直しの好

事例の情報提供

会議設定や突発

業務等への支援

配分見直しと

業務遂行支援

運用の相談、配分見

直しの好事例の紹介

運用の相談、ネット

ワーク作りの支援

人事部門人事部門人事部門人事部門制度の周知活動や

理解促進のための情報提供

各職場各職場各職場各職場

業務遂行支援

情報共有・業務の見える化

運用の相談

事 例

制度導入後、制度利用者が定時に退社できている部署と残業をしている部署がで

きた。制度運用がうまくいっている部署では、制度利用者が出た際の仕事の再配分

や突発業務への対応等の役割分担が行われていることに加え、密なコミュニケーシ

ョンによる情報共有や多能工の推進等、職場マネジメントが日頃から機能していた

ことがわかった。

運用体制案運用体制案運用体制案運用体制案

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・制度の定着に向けて、制度導入時の説明会等の周知活動に加え、好事例の社内へ

の発信や制度利用者のネットワーク作り支援等、人事部門が中心となって継続的

に職場をサポートすることが重要である。 ・各職場で実際に制度利用者が出た場合に必要となる仕事の配分見直しや円滑な業

務運営の推進には、管理職の役割が重要となる。制度利用者の仕事を周囲に再配

分するためには、本人に対しては業務量の面だけでなく人財育成の視点から業務

内容の面も踏まえた配分見直しを行うことや、場合によっては本人だけではなく

職場全体の業務を把握することも必要となる。 ・管理職がマネジメントスキルを磨いたり、周囲の社員が多能工化を進めておくこ

と等は、いつ制度利用者が出ても支障なく職場を回していけるという、そもそも

の「基盤作り」でもあり、制度利用者がいなくても、あらかじめこのような体制

を築いておくこと、また、恒常的に長時間労働となっているような職場では、職

場全体の業務量を削減していくことも必要である。

取組の留意点

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(2)短時間正社員制度の目標設定・評価

短時間正社員制度を定着させるためには、短時間であることを考慮した目標設定、短

時間正社員を適切に評価するための評価運用ルールの設定が必要となる。

①基本的な考え方

8時間(通常勤務)

6時間(短時間)

「量」は勤務時間に

合わせて減らす

「質」は変えない

目標設定目標設定目標設定目標設定におけるにおけるにおけるにおける基本的基本的基本的基本的なななな考考考考ええええ方方方方((((例例例例))))

8時間(通常勤務)

6時間(短時間)

「量」は勤務時間に

合わせて減らす

「質」は変えない

目標設定目標設定目標設定目標設定におけるにおけるにおけるにおける基本的基本的基本的基本的なななな考考考考ええええ方方方方((((例例例例))))

※業種、職種によっては必ずしも、上記「目標設定における基本的な考え方(例)」が

適さないケースもある。その際においても「周囲の社員の目標」や「組織全体での目

標」とのバランスを考慮した目標設定が求められる。

制度利用者にとって適切な目標を設定し、上司・本人双方にとって納得感のある評価

となるよう運用上での工夫・配慮を行うことで、制度利用者のモチベーション向上やキ

ャリア形成を促すことができるとともに、短時間正社員制度の利用を促進することがで

きる。

短時間正社員の目標設定・評価については、「資格・等級や能力に見合わない目標

が設定され、制度利用者がモチベーションを落としてしまう」、「短時間正社員制度

を利用したことを理由に低評価となってしまう」といった課題が生じることがある。 こうした課題を解決するための基本的な考え方として、目標設定においては、「勤

務時間に応じて、資格・等級や能力に相応しい目標を設定する」、評価においては、

「設定した目標を基準とした評価を行う」、「一人当たりの生産性ではなく、時間当

たりの生産性で評価を行う」、「制度利用を理由として低評価にならないよう、運用

ルールを定める」 こと等が考えられる。

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②取組の流れ

短時間正社員の目標設定・評価の見直しについては、以下のステップで検討を進める

ことが考えられる。

【【【【STEP1STEP1STEP1STEP1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズのののの把握把握把握把握

各種データ分析および社員インタビュー、アンケート調査等に基づき、評価制度に関

する現状および制度利用者のニーズを把握する。

【【【【STEP2STEP2STEP2STEP2】】】】評価評価評価評価ポリシーポリシーポリシーポリシーのののの策定策定策定策定

現状の評価制度の運用状況・現場のニーズ把握の結果を考慮した上で、会社の人事管

理方針に合った評価ポリシーを策定する。

【【【【STEP3STEP3STEP3STEP3】】】】具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・策定策定策定策定

評価ポリシーに基づき、短時間正社員を評価するための、現場での運用ルールを検討

する。

運用ルールについては、評価制度自体は通常勤務者と同様とした上で、短時間正社員

を評価する際の注意点を評価プロセスごとに評価運用マニュアルとして取りまとめる。

【【【【STEP4STEP4STEP4STEP4】】】】施策施策施策施策のののの実施実施実施実施

施策を実施する際は、制度利用者はもちろん上司、周囲、予備軍に対して、パンフレ

ットや社内報等を通じた十分な周知活動を行い、実施目的の共有を図る。

また、現場へのヒアリングやアンケート調査等で定期的に施策の有効性を評価し、施

策の改善に繋げる。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】

現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ

把握把握把握把握

【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】

評 価評 価評 価評 価 ポ リシーポ リシーポ リシーポ リシー

のののの策定策定策定策定

【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】

具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・

策定策定策定策定

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】

施策施策施策施策のののの実施実施実施実施

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1111)【)【)【)【STEP1STEP1STEP1STEP1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握についてについてについてについて

現状・ニーズ把握に際しては、評価データの分析等を通じて現行評価制度の運用実態

を把握するとともに、制度利用者、上司および同僚等に対するインタビューを通じて、

ニーズや課題の把握を行う。また、会社の人事管理の方針を確認・再整理する。

�上司に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握-現行の評価制度の問題点、現場マネジメントでの留意点 等

�評価制度に大きな影響を与える現場マネジメントや評価方法についての考え方を把握する

上司のニーズ

の把握

�職場の同僚に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握

-業務運営での問題点、評価制度の納得感 等

�短時間正社員と一緒に働く同僚の業務運営や評価制度の納得感についての意見を把握する

同僚の意見の

把握

人事管理の

方針

制度利用者の

ニーズの把握

�評価結果のデータの分析により以下事項を把握-制度利用者と通常勤務者別の評価傾向、制度利用者の職種別・

職場別の評価傾向 等

�制度利用者の評価結果の実態を把握することで、現在の制度運用の課題を分析する

評価制度の運

用実態の把握

�通常勤務者の人事制度および、短時間正社員制度の利用規程から、会社の人事管理の方

針を確認する

把握把握把握把握・・・・分析方法分析方法分析方法分析方法((((例例例例))))目的目的目的目的把握事項把握事項把握事項把握事項

�仕事の内容・勤務の状態を勘案した上で、納得感のある評価制度についてのニーズを把握

する

�本人に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握-現行の評価制度の問題点・納得度合い、働き方の実態 等

�社内の人事制度規程・評価マニュアルの確認

※定まったものがない場合は、経営層に対するインタビューを実施す

るのもよい

�上司に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握-現行の評価制度の問題点、現場マネジメントでの留意点 等

�評価制度に大きな影響を与える現場マネジメントや評価方法についての考え方を把握する

上司のニーズ

の把握

�職場の同僚に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握

-業務運営での問題点、評価制度の納得感 等

�短時間正社員と一緒に働く同僚の業務運営や評価制度の納得感についての意見を把握する

同僚の意見の

把握

人事管理の

方針

制度利用者の

ニーズの把握

�評価結果のデータの分析により以下事項を把握-制度利用者と通常勤務者別の評価傾向、制度利用者の職種別・

職場別の評価傾向 等

�制度利用者の評価結果の実態を把握することで、現在の制度運用の課題を分析する

評価制度の運

用実態の把握

�通常勤務者の人事制度および、短時間正社員制度の利用規程から、会社の人事管理の方

針を確認する

把握把握把握把握・・・・分析方法分析方法分析方法分析方法((((例例例例))))目的目的目的目的把握事項把握事項把握事項把握事項

�仕事の内容・勤務の状態を勘案した上で、納得感のある評価制度についてのニーズを把握

する

�本人に対するインタビューまたはアンケートで以下事項を把握-現行の評価制度の問題点・納得度合い、働き方の実態 等

�社内の人事制度規程・評価マニュアルの確認

※定まったものがない場合は、経営層に対するインタビューを実施す

るのもよい

事 例

※制度利用者から「短時間正社員制度を利用すると、評価が低位にとどまる傾向が

ある」との声が多くあったが、評価結果データの分析を行うと、通常勤務者と制

度利用者で評価結果のバラつきに明らかな差はなかった。「短時間正社員制度を

利用すると評価が低位にとどまる」ということが、職場での噂となり、制度利用

を阻害していることが課題として想定された。 ※ただし、目標設定に際して、「難易度が高くない仕事」 が割り当てられているケ

ースも見られ、結果として高い評価を得がたく、短時間正社員の仕事に対するモ

チベーションが阻害されていることが懸念された。 ※評価者については、目標管理制度の評価の際に、「成果の質および量」あるいは「成

果の質」何れで評価すべきか、評価の目線に関する共通認識が形成されておらず、

短時間勤務者の立場からみれば、「どうすれば評価が上がるのか」が曖昧となって

おり、仕事に対するモチベーションが損なわれていることが懸念された。

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・評価制度の現状・ニーズ把握に際しては、評価結果データ(客観的データ)とイ

ンタビュー等による定性的なデータ(主観的データ)の両面から分析を行う。 ・短時間正社員の中には、「短時間正社員だから、何をしても低い評価をつけられて

いる」との思い込みを持つ者も想定される。そういった話が噂や思い込みである

のか、客観的データから検証する。 ・過去に一時期でも「短時間正社員制度の利用者は一律最低評価」といったルール

を運用していた場合、制度改定後も「制度利用者の評価は低くする」と考えてい

る上司がいる可能性がある。インタビューで評価の考え方を確認する。 ・インタビューによる情報が多面的になるよう、インタビュー対象者は、制度利用

者とその上司以外に、部署の同僚や将来制度利用可能性のある社員等も含める。 ・上司へのインタビューでは、上司のニーズを聞くだけでなく、現場のマネジメン

トでの配慮や工夫等、他部署でも有効な事例も収集すると、後に事例集を作成す

る際に役立つ。

取組の留意点

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2222)【)【)【)【STEP2STEP2STEP2STEP2】】】】評価評価評価評価ポリシーポリシーポリシーポリシー策定策定策定策定についてについてについてについて

評価ポリシーの策定に際しては、【STEP1】現状・ニーズ把握で確認した総合的な観

点から、短時間正社員の評価ポリシーを検討・策定する。

検討に際して、会社の人事管理方針が、育児や介護を抱えながら働くことを考慮して

いない等、従業員の働き方の変化に対応していないケースがある。多様な従業員が持て

る能力を十分に発揮できるよう、現行の人事管理方針についても再検討を行うことがポ

イントとなる。

検討フレーム

評価ポリシーの

策定

人事管理の方針

上司のニーズ 本人のニーズ

評価制度の運用実態

例)

・多様な人材が活躍できる職場環境を

整備したい

・制度利用者には、なるべく就業継続

してもらいたい 等

例)

・制度利用者の

適切な目標設定

が難しい

・制度利用者の

業務マネジメン

トが難しい

例)

・通常勤務者に比べ制度利用者の評

価が低い

・職場によって評価結果の分布に極端

な偏りがある 等

例)

・設定される目

標のレベルを資

格同等にして欲

しい

・時間は短くても

生産性が高い

点を評価して欲

しい 等

評価ポリシー(例)

【目標設定の考え方】

� 目標設定は、本人の資格や能力を踏まえ、通常勤務との勤務時間差の影響を考慮して行う

� 評価は設定した目標を基準に行う 等

【評価の考え方】

� 目標管理制度については、設定した目標を基準に評価を行う

� 行動能力評価については、原則通常勤務者と同様に評価を行う

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3333)【)【)【)【STEP3STEP3STEP3STEP3】】】】具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・策定策定策定策定 についてについてについてについて

短時間正社員の目標設定・評価については、評価制度の仕組みそのものに問題がある

のではなく、職場での運用面に問題があるケースが多い。

具体策の検討・策定に際しては、短時間正社員について、新たな評価制度を構築する

のではなく、現行制度における現場での運用をサポートする施策の検討がポイントとな

る。

具体的には、短時間正社員に対する評価制度の運用に際して、期初・期中・期末の「目

標設定」、「進捗管理」、「評価」において、注意すべき事項を整理した上で運用マニ

ュアルとして取りまとめる。

「「「「ああああああああああああ」」」」のののの・・・・・・・・・・・・・・・・

「「「「ああああああああああああ」」」」のののの・・・・・・・・・・・・・・・・

期中期初 期末

「「「「進捗管理進捗管理進捗管理進捗管理」」」」ののののポイントポイントポイントポイント 「「「「評価評価評価評価」」」」ののののポイントポイントポイントポイント

評価評価評価評価プロセスプロセスプロセスプロセスごとのごとのごとのごとの検討検討検討検討ポイントポイントポイントポイント

「「「「マネジメントマネジメントマネジメントマネジメントのののの好事例好事例好事例好事例」」」」等等等等、、、、

現場現場現場現場のののの声声声声をををを掲載掲載掲載掲載することですることですることですることで、、、、

よりよりよりより理解理解理解理解のののの促進促進促進促進をををを図図図図れるれるれるれる

「「「「目標設定目標設定目標設定目標設定・・・・期初期初期初期初

面談面談面談面談」」」」ののののポイントポイントポイントポイント

運用運用運用運用マニュアルマニュアルマニュアルマニュアルのののの作成作成作成作成

� 評価制度の運用のポイントについてまとめたものを「運用マニュ

アル」として作成する

「「「「目標設定目標設定目標設定目標設定」」」」ののののポイントポイントポイントポイント

・評価ポリシーの策定に際しては、短時間勤務者のキャリア育成方針も考慮する。

制度利用中の評価がその後のキャリアに与える影響にも留意が必要である。 ・評価制度とその他の処遇制度との関係にも注意を要する。評価結果を昇給・賞与

や昇格に反映している場合、評価制度の運用ルールが影響して、制度利用者に有

利・不利が生じていないか確認する。 ・人事評価は単に短時間正社員だけの問題ではない。他の正社員(フルタイム/残

業免除者)の課題(目標設定等)についても、評価ポリシー整理の際に合わせて

検討し、問題点があれば改善を行うとよい。 ・通常のフルタイム勤務から短時間勤務に移行しても、これまでと同じ成果をあげ

ている場合は、時間当たり生産性が高くなっている可能性がある。これまでの評

価の視点に、時間当たりの生産性に関するものがない場合は、通常のフルタイム

勤務者も含めて、新たに評価視点を検討する可能性もある。

取組の留意点

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事 例

目標設定に際して、短時間正社員が設定した課題を以下4つのタイプに分類し、

タイプごとの運用ポイントをまとめた。タイプ分類については、アンケートおよび

インタビュー調査により現場での適合性を検証した。

【タイプ 1:自立型】 他者からのサポートを受けず、個人で責任を持って遂行する課題

【タイプ 2:サポート型】 他者からのサポートを受けつつ、個人で責任を持って遂行する課題

【タイプ 3:チームリーダー型】 チームのリーダーとして、他者からのサポートを受けつつ責任を持って遂行する

課題

【タイプ 4:チームメンバー型】 チームのメンバーとして、他者からのサポートを受けつつ責任を持って遂行する

課題

取組の留意点

・より効果的な具体策の検討・策定のためには、施策案を全社的に展開する前に、

一部部署でのパイロット導入や、アンケート等を行い、現場にとって有効な施策

かどうかを検証する。 ・評価運用マニュアルには、ありきたりな事項だけを掲載するのではなく、実際に

現場で実施されている工夫や、起こりうる失敗例などを盛り込むことが重要であ

る。

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4444)【)【)【)【STEP4STEP4STEP4STEP4】】】】施策施策施策施策のののの実施実施実施実施についてについてについてについて

施策の円滑な実施を促すために、施策の狙い・詳細に関して評価者への周知を図る。

現場への周知方法としては、研修カリキュラムに含める、社内イントラネットへの掲載

等が考えられる。また、施策の活用度、有効性について定期的に把握・測定するととも

に、必要な見直しを随時行っていくことも重要である。新たな問題が生じていないか、

インタビューやアンケートで確認していく必要がある。

1)「目標設定」のポイント

目標設定に際する、運用上のポイントは、「本人のモチベーション維持」と「目標達

成に向けた障害の排除・軽減」である。

なお、期初面談においては、あわせて、本人の意向(育児の状況等を踏まえ希望する

働き方等)を確認することも必要である。また、設定した目標については、「目標を達

成した際にどういった評価が得られるか」の確認を行うとともに、最後に今期の活躍に

対して期待する旨の言葉を添えることがポイントとなる。

本人本人本人本人ののののモチベーショモチベーショモチベーショモチベーショ

ンンンン維持維持維持維持

�本人の労働時間を加味し、かつ、資格等級(能力)に合致した仕事を分担します-短時間勤務だからという理由で、本人の資格・能力に見合わない作業をさせると、モチベーションの低下

につながる

�納期に余裕のある仕事、段取りの汲みやすい仕事を分担するようにします-業務の計画が立てやすいため、帰宅時間に業務を終了できる

�対外(顧客・協業部署)調整業務をできるだけ軽減します-子どもや被介護者が突然病気になる等、制度利用者に突発事項が起こった際、対外関係者に迷惑をか

けるリスクがある

-業務に突発的な事項が起こった時に、余裕を持って対処できないリスクがある

�チームメンバーによるサポート体制の設置を考えます(例)チーム制/ペア制、緊急時対応メンバーの設定、代行代決権設定、報告・連絡手順の整備 等

目標達成目標達成目標達成目標達成にににに向向向向けたけたけたけた

障害障害障害障害のののの排除排除排除排除・・・・軽減軽減軽減軽減

目標設定目標設定目標設定目標設定にににに際際際際するするするする運用上運用上運用上運用上ののののポイントポイントポイントポイント

事例~仕事の割当での配慮

・制度利用者に対しては、作業量の調整が利きやすい仕事や納期の長い仕事等、計画が立てやすくその修正もしやすい仕事を中心

に割当てました。一方、会議が所定労働時間外に設定されるような仕事は他のメンバーに担当してもらう等の配慮をしました

(●●部□□課)

現場現場現場現場でのでのでのでの工夫工夫工夫工夫((((例例例例))))

評価運用マニュアルでは、「目標設定」、「進捗管理」、「評価」の評価プロセス

ごとに短時間正社員の評価制度運用に際するポイントをまとめる。

また、作成にあたっては、読み手である評価者にとって理解しやすい内容とするた

めに、具体的な運用面での工夫や失敗例を事例として掲載するとよい。

評価運用評価運用評価運用評価運用マニュアルマニュアルマニュアルマニュアル案案案案

Page 35: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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2)「進捗管理」のポイント

進捗管理に際する、運用上のポイントは、「通常勤務者と同様のもの」と「短時間正

社員ならではのもの」に大別される。

制度利用時の働き方については、本人も周囲も不慣れなことであり、制度利用当初に

想定していなかった事態も発生しうることから、とりわけ制度利用開始後、間もない期

間は、小まめな進捗管理が要求される。

3)「評価」のポイント

評価に際する、運用上のポイントは、目標管理制度と行動・能力評価で異なる。目標

管理制度においては、同僚等のサポートをどれ位受けた上で、成果を生み出したかにつ

いて確認することが必要であり、行動・能力評価については、行動・能力が勤務時間に

左右されるものではないことを評価者がしっかりと認識する必要がある。

なお、目標管理制度、行動・能力評価ともに本人との面談に際しては、本人の動機

付け向上、キャリア高度化に対して有益なフィードバックを与えることが求められる。

通常勤務者通常勤務者通常勤務者通常勤務者とととと同様同様同様同様

ののののポイントポイントポイントポイント

短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員ならでならでならでならで

ははははポイントポイントポイントポイント

進捗管理進捗管理進捗管理進捗管理にににに際際際際するするするする運用上運用上運用上運用上ののののポイントポイントポイントポイント

現場現場現場現場でのでのでのでの工夫工夫工夫工夫((((例例例例))))

�業務スケジュールの進捗を、定期的に確認します

�突発的な事項・予想外のトラブルがないかを、定期的に確認します

�制度利用者をサポートする体制・チームが機能しているかを確認します

�育児・介護と仕事の両立状況をヒアリングし、本人の負担が当初予想以上に重くなって

いる場合は、仕事の軽減策を考えます

�通常勤務への復帰タイミングを視野に入れるために、必要に応じて、子どもの成長や、

被介護者の様子の状況を確認します

事例~情報・事情共有の「場」を設け、職場内に協力関係を生み出す

・当初は、職場全体にとまどいがあり、本人は、先輩・同僚にサポートをお願いするのを恐縮している一方、先輩・同僚は本人の

業務をどうフォローしていいか分からないという状況でした。そのため、期中に「情報・事情共有の場」を設けました。その後

は、職場内で助け合いの姿がみられました。とりわけ本人に、日中勤務している時間内で自分が率先して他の社員の業務をサ

ポートする前向きな姿勢がみられ、感心させられています(▲▲部◇◇課)

�どういった環境下で達成された成果であるかを確認します�期初に設定した周囲のサポートは十分に受けられたか/受けすぎていないか

�通常勤務者と同様に評価します。制度利用を理由に一律に評価を下げてはいけません-本来、行動・能力は、勤務していた時間に左右されるものではない

目標管理制度目標管理制度目標管理制度目標管理制度

評価評価評価評価にににに際際際際するするするする運用上運用上運用上運用上ののののポイントポイントポイントポイント

行動行動行動行動・・・・能力評価能力評価能力評価能力評価

現場現場現場現場でのでのでのでの工夫工夫工夫工夫((((例例例例))))

事例~「制度利用を理由に評価が低下することはない」という大前提の説明

・行動・能力評価のフィードバックに際しては、先ずもって、制度を利用していることが、評価の際に不利になっていない事を確

認した上で面談を行っています

(▲▲部◇◇課)

Page 36: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

32

取組の留意点

・施策の円滑な実施を促すために、作成した評価運用マニュアルについて、制度利

用者本人に周知することも考えられる。 ・制度利用者の仕事と家庭の両立のためには、良好な職場風土のもと、周囲の協力

を得ながら働く必要がある。周囲の快い協力を得るために、上司が、育児等を抱

えた際の働き方の特徴について、制度利用者の同僚等に説明し、理解を求めてい

くことが重要である。 ・また、良好な職場風土を築くために、制度利用者の業務に対し周囲が積極的にサ

ポートしていた場合に加点評価できるような周囲の評価の仕組みを整備すること

も効果的である。

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(3)短時間正社員制度のキャリア支援

短時間正社員制度を定着させていくためには、短時間勤務時においても継続的に人材

育成を行う必要がある。そのためには、制度利用時のみならず、通常勤務時復帰後も含

めたキャリア体系の整備が求められる。

①基本的な考え方

②取組の流れ

短時間正社員のキャリア支援策については、以下のステップで検討を進めることが考

えられる。

【【【【STEP1STEP1STEP1STEP1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握

各人事データ等の分析、インタビュー・アンケート調査等に基づき、キャリア形成の

実態および短時間正社員制度利用者のニーズを把握する。

ニーズ把握においては、制度利用者本人だけでなく、制度利用予備軍やその上司(管

理職)、同僚の意見を聞くことも重要である。

【【【【STEP2STEP2STEP2STEP2】】】】人材育成方針人材育成方針人材育成方針人材育成方針・・・・キャリアキャリアキャリアキャリア戦略戦略戦略戦略のののの策定策定策定策定

現状・ニーズ把握の結果をふまえ、短時間正社員制度利用者に対して会社が求める人

材育成方針・キャリア戦略を策定する。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】

現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ

把握把握把握把握

【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】

人材育成方針人材育成方針人材育成方針人材育成方針

・・・・キャリアキャリアキャリアキャリア戦略戦略戦略戦略

のののの策定策定策定策定

【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】

具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・

策定策定策定策定

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】

施策施策施策施策のののの実施実施実施実施

短時間正社員制度については、育児や介護などの役割を抱えながら就業継続でき

る仕組みとして機能しているものの、就業継続しながら、管理職登用などのキャリ

ア形成を行いうる仕組みとしては、十分に機能していないという問題がある。 こうした課題を解決するための基本的な考え方として、まず、短時間正社員の人

材育成方針・キャリア戦略を構築した上で、本部(人事部門)および現場の管理職

の役割を明確にし、具体的なキャリア支援策の検討・策定を行う必要がある。

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【【【【STEP3STEP3STEP3STEP3】】】】具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・策定策定策定策定

方針・戦略に基づき、具体策を検討・策定する。検討・策定に際しては、本部(人事

部門)、現場の管理職の役割を明確にした上で、それぞれの取組施策を、複合的に検討

する。

具体策案の有効性やニーズを把握するために、必要に応じて、パイロット導入やアン

ケート調査等を実施する。

【【【【STEP4STEP4STEP4STEP4】】】】施策施策施策施策のののの実施実施実施実施

導入に際しては、制度利用者はもちろん上司、周囲、予備軍に対して、パンフレット

や社内報等を通じた十分な周知活動を行い、導入目的の共有を図る。また、定期的に施

策の有効性を評価し、施策の改善に繋げる。

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1111)【)【)【)【STEP1STEP1STEP1STEP1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握 についてについてについてについて

現状・ニーズ把握においては、客観的なデータ分析に加え、より実効性のある施策策

定への洞察を得るために、制度利用者・制度予備軍・上司・同僚に対するインタビュー

を実施し、様々な視点の意見を把握することが必要である。

�制度利用予備軍が考えるキャリアイメージを把握する

制度利用予備軍の

ニーズ把握

�制度利用者の同僚に対するインタビュー等で以下事項を把握-業務運営での問題点、評価制度の納得感 等

�職場の同僚の負担感や納得感等についての意見を把握する

同僚の見方

会社の人材育成

方針の整理

上司のニーズ把握

制度利用者のニー

ズ把握

�制度利用者、未利用者別に以下の事項を把握-昇格・昇進年齢、各種研修受講率、所属部署 等

�キャリアに関する現状を把握することで、現在の施策の有効性や課題を分析する

キャリア構築に関

する実態把握

�短時間正社員のキャリア形成支援策検討の源流となる、会社の人材育成方針を整理・確認する

把握把握把握把握・・・・分析方法分析方法分析方法分析方法((((例例例例))))目的目的目的目的把握事項把握事項把握事項把握事項

�インタビューまたはアンケートで以下事項を把握-上司が考えるキャリアイメージ・働き方とそのように考える

背景 等

�キャリア形成に大きな影響を与える現場マネジメント(上司)について、制度利用者のキャリアに関

する考え方を把握する

�仕事と生活のバランスを考慮した上で、本人が考えるキャリアイメージを把握する

�インタビューまたはアンケートで以下事項を把握-本人が希望するキャリアイメージ、働き方とその背景 等

�社内の人事制度規定・評価マニュアルの確認

※定まったものがない場合は、経営層に対するインタビューを

実施するとよいでしょう

�制度利用予備軍が考えるキャリアイメージを把握する

制度利用予備軍の

ニーズ把握

�制度利用者の同僚に対するインタビュー等で以下事項を把握-業務運営での問題点、評価制度の納得感 等

�職場の同僚の負担感や納得感等についての意見を把握する

同僚の見方

会社の人材育成

方針の整理

上司のニーズ把握

制度利用者のニー

ズ把握

�制度利用者、未利用者別に以下の事項を把握-昇格・昇進年齢、各種研修受講率、所属部署 等

�キャリアに関する現状を把握することで、現在の施策の有効性や課題を分析する

キャリア構築に関

する実態把握

�短時間正社員のキャリア形成支援策検討の源流となる、会社の人材育成方針を整理・確認する

把握把握把握把握・・・・分析方法分析方法分析方法分析方法((((例例例例))))目的目的目的目的把握事項把握事項把握事項把握事項

�インタビューまたはアンケートで以下事項を把握-上司が考えるキャリアイメージ・働き方とそのように考える

背景 等

�キャリア形成に大きな影響を与える現場マネジメント(上司)について、制度利用者のキャリアに関

する考え方を把握する

�仕事と生活のバランスを考慮した上で、本人が考えるキャリアイメージを把握する

�インタビューまたはアンケートで以下事項を把握-本人が希望するキャリアイメージ、働き方とその背景 等

�社内の人事制度規定・評価マニュアルの確認

※定まったものがない場合は、経営層に対するインタビューを

実施するとよいでしょう

「早く通常勤務に戻って欲しい」という上司のニーズに対して、短時間正社員側

からは、「育児との両立を図りつつ、ペースを落とした働き方をしたい」との声も聞

かれ、両者のキャリアニーズにギャップが発生しており、こうしたニーズを組み込

んだ人事管理の方針を打ち出すか否かの検討を行った。 また、顧客や同僚との時間調整が困難等の理由から直接部門でのキャリア形成を

断念し、間接部門へ移る例がみられ、本人の持てる能力を十分に発揮・活用してい

るといえず、この点に関する改善策について検討を行った。

取組の留意点

・規程類や各種データ等に基づく客観的分析結果とともに本人、上司、同僚に対す

るインタビューを行うことで、短時間正社員の人材育成方針、キャリア戦略の策

定に対する有用な洞察を得ることができる。 ・例えば、数年内に出産が見込まれる層の意見を把握することで、制度利用者とな

りうる層のニーズと、会社の考え等のギャップを把握でき、施策設計に際する重

要なヒントとすることができる。

事 例

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2222)【)【)【)【STEP2STEP2STEP2STEP2】】】】人材育成方針人材育成方針人材育成方針人材育成方針・・・・キャリアキャリアキャリアキャリア戦略戦略戦略戦略のののの策定策定策定策定についてについてについてについて

人材育成方針・キャリア戦略の策定に際しては、【STEP1】現状・ニーズ把握で確認

した総合的な観点から、短時間正社員の人材育成方針・キャリア戦略を検討・策定する。

検討検討検討検討フレームフレームフレームフレーム

短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員のののの

人材育成方針人材育成方針人材育成方針人材育成方針・・・・

キャリアキャリアキャリアキャリア戦略戦略戦略戦略のののの

策定策定策定策定

人事管理人事管理人事管理人事管理のののの方針方針方針方針

上司上司上司上司ののののニーズニーズニーズニーズ 本人本人本人本人ののののニーズニーズニーズニーズ

例例例例))))

・・・・多様多様多様多様なななな人材人材人材人材がががが活躍活躍活躍活躍できるできるできるできる職場環境職場環境職場環境職場環境をををを

整備整備整備整備したいしたいしたいしたい

・・・・制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者にはにはにはには、、、、なるべくなるべくなるべくなるべく早早早早くくくく通常勤通常勤通常勤通常勤

務務務務にににに戻戻戻戻ってってってって欲欲欲欲しいしいしいしい 等等等等

例例例例))))

・・・・ペースペースペースペースをををを落落落落としとしとしとし

てててて働働働働きたいきたいきたいきたい

・・・・通常勤務者通常勤務者通常勤務者通常勤務者とととと

同等同等同等同等のののの成果成果成果成果をををを

出出出出したいしたいしたいしたい

等等等等

例例例例))))

・・・・通常勤務者通常勤務者通常勤務者通常勤務者とととと

同等同等同等同等のののの成果成果成果成果をををを

出出出出してしてしてして欲欲欲欲しいしいしいしい

・・・・両立両立両立両立をををを上手上手上手上手くくくく実実実実

現現現現してしてしてして欲欲欲欲しいしいしいしい

等等等等

業務業務業務業務のののの実態実態実態実態

例例例例))))

・・・・仕事仕事仕事仕事のののの成果成果成果成果がががが勤務時間勤務時間勤務時間勤務時間にににに大大大大きくきくきくきく左右左右左右左右

されるされるされるされる

・・・・現場現場現場現場からからからから遠遠遠遠ざかるとざかるとざかるとざかるとキャリアキャリアキャリアキャリア形成形成形成形成がががが

極極極極めてめてめてめて困難困難困難困難になるになるになるになる 等等等等

制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者のののの人材育成方針人材育成方針人材育成方針人材育成方針・・・・キャリアキャリアキャリアキャリア戦略戦略戦略戦略にににに関関関関するするするする検討例検討例検討例検討例

将来将来将来将来ののののマネジメントマネジメントマネジメントマネジメント担担担担うううう人人人人

材材材材をををを一定期間一定期間一定期間一定期間でででで育成育成育成育成するするするする

個別個別個別個別ののののニーズニーズニーズニーズ・・・・ペースペースペースペースにににに合合合合

わせわせわせわせ、、、、多様多様多様多様ななななポジションポジションポジションポジションでででで

能力能力能力能力をををを発揮発揮発揮発揮しししし、、、、活躍活躍活躍活躍するするするする人人人人

材材材材をををを育成育成育成育成するするするする

「「「「ライフイベントライフイベントライフイベントライフイベントにににに応応応応じたじたじたじた継継継継

続的続的続的続的ななななキャリアキャリアキャリアキャリア形成形成形成形成をををを促促促促しししし

つつつつつつつつ、、、、なるべくなるべくなるべくなるべく早期早期早期早期にににに通常通常通常通常

勤務勤務勤務勤務にににに戻戻戻戻ってってってって欲欲欲欲しいしいしいしい」」」」というというというという

メッセージメッセージメッセージメッセージをををを打打打打ちちちち出出出出すすすす

「「「「制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者のののの個別個別個別個別ののののニーニーニーニー

ズズズズにににに合合合合わせわせわせわせ、、、、各自各自各自各自ののののペースペースペースペース

でででで継続的継続的継続的継続的ななななキャリアキャリアキャリアキャリア形成形成形成形成をををを

図図図図ってってってって欲欲欲欲しいしいしいしい」」」」というというというというメッメッメッメッ

セージセージセージセージをををを打打打打ちちちち出出出出すすすす

人材育成方針

人材育成方針

人材育成方針

人材育成方針

キャリア

キャリア

キャリア

キャリア戦略

戦略

戦略

戦略

Page 41: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

37

具体的なキャリア支援策は、短時間制度利用前後に講じる施策が中心となるが、長期

的な視点から将来の短時間正社員制度の利用を見越した上で、通常勤務者にも必要な施

策がないか検討することが極めて重要である。

【キャリアパスとキャリア形成支援策のイメージ】

(勤続年数、年)

入社

一般社員層

G1

一般社員層

G2

管理職層

M1

管理職層

M2

(資格等級)

経験形成期経験形成期経験形成期経験形成期 実践活躍期実践活躍期実践活躍期実践活躍期

個別個別個別個別ののののニーズニーズニーズニーズ・・・・ペーペーペーペー

ススススにににに合合合合わせたわせたわせたわせた多種多種多種多種

多様多様多様多様ななななキャリアパスキャリアパスキャリアパスキャリアパス

インストインストインストインスト

ラクターラクターラクターラクター

研修研修研修研修

キャリアフキャリアフキャリアフキャリアプ゚゚゚ララララ

ンンンン研修研修研修研修((((5年目年目年目年目))))

出産出産出産出産・・・・育育育育

児支援児支援児支援児支援

面談面談面談面談

上司上司上司上司かかかか

らのらのらのらの業業業業

務連絡務連絡務連絡務連絡

復帰者復帰者復帰者復帰者オオオオ

リエンテーリエンテーリエンテーリエンテー

ションションションション

妊娠妊娠妊娠妊娠~~~~育児休業取得育児休業取得育児休業取得育児休業取得

~~~~復帰復帰復帰復帰までまでまでまで

若手社員対象若手社員対象若手社員対象若手社員対象

短時間制度利用開始短時間制度利用開始短時間制度利用開始短時間制度利用開始~~~~通常勤務通常勤務通常勤務通常勤務へへへへ

のののの復帰復帰復帰復帰までまでまでまで

常時実施常時実施常時実施常時実施

キャリアキャリアキャリアキャリア

面談面談面談面談

制度制度制度制度PR充実充実充実充実

コーチンコーチンコーチンコーチン

ググググ研修研修研修研修

復帰前復帰前復帰前復帰前

面談面談面談面談

中長期中長期中長期中長期

キャリアキャリアキャリアキャリア

検討検討検討検討

受入体受入体受入体受入体

制整備制整備制整備制整備

会社側会社側会社側会社側

ニーズニーズニーズニーズ

確認確認確認確認

座談会座談会座談会座談会

((((3年目年目年目年目))))

人事部人事部人事部人事部

門主導門主導門主導門主導

施策施策施策施策

現場取現場取現場取現場取

組施策組施策組施策組施策

<<<<凡例凡例凡例凡例>>>>

経験昇華経験昇華経験昇華経験昇華・・・・伝承期伝承期伝承期伝承期

アサインアサインアサインアサイン

考考考考ええええ方方方方

共有共有共有共有

若手社員に対し、キャリアプランに関する上司との面談を義務化。キャリア形成上重要となる海外

拠点での業務経験、グループ会社への出向などを含め、将来起こり得るライフイベントの影響を踏

まえつつ、今後どのように経験を積んでいくべきか、本人と上司が中長期的視点でキャリア形成を

話し合うきっかけとしている。

事 例

取組の留意点

・会社の人事管理の方針は、過去の経緯に基づき構築されている傾向がある。ここ

数年間で、採用戦略の転換を行った企業(例:総合職の女性比率を増やす等人材

の多様化を推進している)においては、【STEP1】で確認した既存の方針・戦略に

固執することなく、今後を見据え、ゼロベースで検討を行うことが重要である(今

までの男性中心のキャリア戦略からの転換が必要)。 ・また、雇用管理区分(職掌や職種)が多岐にわたる会社では、それぞれの人材育

成方針・キャリア戦略を検討することが重要である。

Page 42: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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3333)【)【)【)【STEP3STEP3STEP3STEP3】】】】具体策具体策具体策具体策のののの検討検討検討検討・・・・策定策定策定策定についてについてについてについて

具体策の検討・策定に際しては、以下3点を意識した施策検討を行う必要がある。

a.人材育成方針・キャリア戦略との整合性

b.勤続年数やライフイベントに応じて実施する施策、常時実施する施策のバランス

c.実施主体面(人事部門・現場)のバランス

とりわけ、b.については、勤続年数やライフイベントに応じて実施する施策を検討す

る際に、例えば、将来の制度利用を見越して「若手社員を対象として実施する施策」、

「妊娠~育児休業取得~職場復帰まで」、「短時間制度利用開始~通常勤務への復帰ま

で」といった区分で施策を検討することが考えられる。

また、c.については、人事部門が行う施策としては、「部門横断で実施する研修の実

施」、「各種制度の仕組みに関する説明」等が考えられ、一方で、現場が行う施策とし

ては、「上司によるキャリア面談」、「日々の仕事の割り振り」等が考えられる。

妊娠妊娠妊娠妊娠~~~~育児育児育児育児

休業取得休業取得休業取得休業取得

~~~~復帰復帰復帰復帰までまでまでまで

短時間制度短時間制度短時間制度短時間制度

利用開始利用開始利用開始利用開始~~~~

通常勤務通常勤務通常勤務通常勤務へへへへ

のののの復帰復帰復帰復帰までまでまでまで

本人本人本人本人 上司上司上司上司 周囲周囲周囲周囲

キャリアキャリアキャリアキャリア面談面談面談面談

受入体制整備受入体制整備受入体制整備受入体制整備

復帰者復帰者復帰者復帰者オリエンテーションオリエンテーションオリエンテーションオリエンテーション

インストラクターインストラクターインストラクターインストラクター研修研修研修研修

キャリアプランキャリアプランキャリアプランキャリアプラン研修研修研修研修((((5年目年目年目年目))))

出産育児支援面談出産育児支援面談出産育児支援面談出産育児支援面談((((3者面談者面談者面談者面談))))

上司上司上司上司からのからのからのからの業務連絡業務連絡業務連絡業務連絡((((育休中育休中育休中育休中))))

人事部人事部人事部人事部とのとのとのとの復帰前面談復帰前面談復帰前面談復帰前面談

<<<<*凡例凡例凡例凡例>>>>

現場取組施策現場取組施策現場取組施策現場取組施策

人事部門主導施策人事部門主導施策人事部門主導施策人事部門主導施策

中期的中期的中期的中期的ななななキャリアキャリアキャリアキャリア形成形成形成形成についてについてについてについて検討検討検討検討するするするする「「「「場場場場」」」」のののの提供提供提供提供

コーチングコーチングコーチングコーチング研修研修研修研修

会社側会社側会社側会社側ののののキャリアニーズキャリアニーズキャリアニーズキャリアニーズをををを再確認再確認再確認再確認するするするする「「「「場場場場」」」」のののの提供提供提供提供

*人事主導の施策:人事部主導で行う、面談、研修、情報提供等の施策

現場主催の施策:現場部署主催で行う、面談、体制整備、情報提供等の施策

若手社員若手社員若手社員若手社員

対象対象対象対象

先輩社員等先輩社員等先輩社員等先輩社員等とのとのとのとの座談会座談会座談会座談会((((3年目年目年目年目))))

勤続年数勤続年数勤続年数勤続年数ややややライライライライ

フイベントフイベントフイベントフイベントにににに応応応応じじじじ

てててて実施実施実施実施するするするするキャキャキャキャ

リアリアリアリア支援策支援策支援策支援策

常時実施常時実施常時実施常時実施するするするするキャリアキャリアキャリアキャリア支援策支援策支援策支援策制度制度制度制度PR施策施策施策施策のよりのよりのよりのより一層一層一層一層のののの充実充実充実充実

仕事仕事仕事仕事ののののアサインアサインアサインアサインのののの考考考考ええええ方共有方共有方共有方共有

キャリアキャリアキャリアキャリア支援策支援策支援策支援策

Page 43: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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4444)【)【)【)【STEP4STEP4STEP4STEP4】】】】施策施策施策施策のののの実施実施実施実施についてについてについてについて

施策の円滑な実施を促すために、施策の狙い・詳細に関して現場へ周知を行う必要が

ある。具体的な現場への周知方法としては、研修カリキュラムに含める、社内報や通達

による周知、社内イントラネットへの掲載、マニュアル作成・配付等が考えられる。

また、施策の活用度、有効性について定期的に把握・測定するとともに、必要な見直

しを随時行っていくことが重要である。

具体的な支援施策として、以下のものが考えられる。

1)勤続年数やライフイベントに応じて実施するキャリア支援策

a)若手対象

施策 概要 実施主体 インストラクター研

修 指導役(インストラクター)が新入社員と適

切なコミュニケーション、育成ができるよ

う、一般的な留意事項などを研修で共有する

人事部門

キャリアプラン研修 中長期でのキャリアプラン・ライフプランを

考える「場」を提供する 人事部門

先輩社員等との座談

会 育児経験など多彩な経験を持つ先輩社員と

の交流を通じて、自らのキャリアを考えるき

っかけを与える

人事部門

育児期の社員が持つキャリア支援策の具体策に対するニーズを把握することを目

的とした、アンケート調査を実施した。 また、短時間正社員のキャリア検討に際するガイドラインを作成し、この中で、

短時間勤務制度の利用を始める前の段階において、上司が、本人のニーズも踏まえ、

中長期的なキャリア方針を検討することとし、その際のポイントをとりまとめた。

事 例

・キャリア形成にあたっては、現場での経験を通じた学習が欠かせない。Off-JT に

限定せず、現場での役割分担・業務分担に踏み込んだ、キャリア形成支援策を検

討する必要がある。 ・また、より効果的な具体策の検討・策定のためには、施策案の一部部署でのパイ

ロット導入や、アンケート調査に基づく制度利用者のニーズ把握等が有効である。

取組の留意点

具体的具体的具体的具体的なななな支援施策案支援施策案支援施策案支援施策案

Page 44: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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b)妊娠~育児休業取得~復帰まで

施策 概要 実施主体 出産育児支援面談(3者面談)

本人・上司・人事部の3者面談の中で、出産・

育児に関わる制度の概要や、成果評価の考え

方等を説明する

人事部門

上司からの業務連絡

(育休中) 育休前の直属上司から月1回以上の業務連

絡を行う 現場部門

人事部との復帰前面

談 復職3か月前に人事部より本人にコンタク

トをとり、復職にあたっての懸念事項がない

か確認。必要に応じて面談を実施する

人事部門

c)短時間正社員制度利用開始~通常勤務への復帰まで

施策 概要 実施主体 中長期のキャリア形

成について検討する

「場」の提供

本人・上司による面談を実施、制度利用に際

して、中長期的なキャリアについてお互いの

考え・希望を話し合う

現場部門

受入体制整備 復職先となる部署の上司に、本人を受け入れ

るにあたり心掛けてもらうこと等を、チェッ

クリストを通じて認識してもらうとともに、

周囲への説明等、受入体制を整えてもらう

現場部門

仕事のアサインの考

え方共有

育児とのバランスをとりつつ、確実な役割遂

行、キャリア形成が図られるよう、ガイドラ

インの作成・展開を通じて現場での考え方の

共有を図る

現場部門

復職者オリエンテー

ション 年 1 回復職者を集め、復職済み社員との交

流を含め、オリエンテーションを実施。社内

人脈(両立のコツ共有等)支援

人事部門

会社側のキャリアニ

ーズを再確認する

「場」の提供

人事評価面談の際に、会社側のキャリアニー

ズを再確認することを上司に義務付け 現場部門

2)常時実施するキャリア支援策

施策 概要 実施主体 キャリア面談 全員が年1回自身のキャリアプランを提出

し、これに基づき上司との面談を実施 現場部門

制度 PR のより一層

の充実 階層別研修などの場で、各種制度について紹

介を実施する 人事部門

コーチング研修 評価者に具体的な育成スキルを体系的な知

識として提供する 人事部門

Page 45: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

41

・現場取組施策の実効性は、現場マネジメントの意識(施策に対する納得度合い)

に大きく左右される。上司の考えが、会社が打ち出す施策とミスマッチとなって

いることが想定される場合は、現場取組施策とセットで、上司の意識改革に関す

る取組(人事部門よる個別面談、管理職研修等)を行う必要がある。

取組の留意点

Page 46: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

42

2.病院(看護師)における導入・定着

ここでは、病院の看護師における短時間正職員

3

の導入・定着のための方策を検討する。

先にも記したとおり、看護師における取組は、一般企業の営業職や販売職等にも参考とな

る要素を含んでいる。

(1)短時間正職員制度の導入

①基本的な考え方

②取組の流れ

看護師について、短時間正職員制度を新規に導入する際には、下記のステップが必要

となる。基本的な流れは、民間企業の場合と変わらない。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握

■職員の勤務実態、職員インタビュー・アンケート調査等に基づき、制度に対するニ

ーズや導入時の課題を把握する。

■ニーズ把握においては、制度利用予備軍だけでなく、管理職や制度対象にならない

層の意見を聞くことも重要である。できるだけ、多くの病棟、多くの年齢層を対象

とする。

3病院の看護師については、「社員」という呼称は馴染まないため、「短時間正職員」と

している。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】

現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ

把握把握把握把握

【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】

方 針方 針方 針方 針 ・・・・ 制 度 案制 度 案制 度 案制 度 案

のののの設定設定設定設定

【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】

設定案設定案設定案設定案にににに対対対対するするするする

職場職場職場職場のののの意見集約意見集約意見集約意見集約

とととと反映反映反映反映

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】

制度制度制度制度のののの導入導入導入導入・・・・

運用運用運用運用

2222....病院病院病院病院((((看護師看護師看護師看護師))))におけるにおけるにおけるにおける導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着

看護職における短時間正職員の導入方策の基本的な考え方は、民間企業の場合と

変わらないが、元来女性の多い職場であること、通常勤務には夜勤が課されている

こと等の面から、看護職としての短時間正職員制度のあり方を検討する必要がある。

Page 47: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

43

�看護職をいくつかのグループ(小さな子のいる看護師、ベテラン看護師、若年看護師 等)に

分けて、インタビューまたはアンケートで以下事

項を把握

-希望する就労パタン、その理由、短時間正

職員に対するイメージ 等

�看護職の中で、働き方を変えるニーズがどのような層にあるか、その中で、

短時間で働くことに対するニーズがど

のような層にあるかを把握する

短時間ニー

ズの把握

上司のニー

ズ把握

�看護師の就労実態

-勤務時間等勤務状況、夜勤免除やシフトの

変更等の希望実態 等

�年齢構成や家族構成からみた柔軟な働き方の希望と現状の働き方との

ギャップを把握する

実態把握

把握・分析方法(例)目的把握事項

�職場のマネジメントをする立場から、短時間正職員の受け入れ可能性と、

運用上の課題をあげてもらう

�管理職層(師長クラス)に対する個別ヒアリングまたは、全病棟での意見交換会

-制度導入に対する考え方、職場マネジメントに

おける課題 等

�看護職をいくつかのグループ(小さな子のいる看護師、ベテラン看護師、若年看護師 等)に

分けて、インタビューまたはアンケートで以下事

項を把握

-希望する就労パタン、その理由、短時間正

職員に対するイメージ 等

�看護職の中で、働き方を変えるニーズがどのような層にあるか、その中で、

短時間で働くことに対するニーズがど

のような層にあるかを把握する

短時間ニー

ズの把握

上司のニー

ズ把握

�看護師の就労実態

-勤務時間等勤務状況、夜勤免除やシフトの

変更等の希望実態 等

�年齢構成や家族構成からみた柔軟な働き方の希望と現状の働き方との

ギャップを把握する

実態把握

把握・分析方法(例)目的把握事項

�職場のマネジメントをする立場から、短時間正職員の受け入れ可能性と、

運用上の課題をあげてもらう

�管理職層(師長クラス)に対する個別ヒアリングまたは、全病棟での意見交換会

-制度導入に対する考え方、職場マネジメントに

おける課題 等

取組の留意点

※病院の看護師の人員構成により課題が異なる。当面の支援制度の対象から外れる

層の意見に耳を傾けることが必要である。特に、これまで、家庭事情を抱えなが

ら個々の努力で就業継続してきたベテラン看護師が多い場合、自分達の苦労に報

いて欲しいという気持ちと若手を助けたいという複雑な心境に十分留意する。 ※現状とニーズだけではなく、可能であれば、制度を導入した場合に、職場での運

用において、どのような問題が起こりそうか、問題に対して職場で工夫できそう

なことはあるか等、運用面の課題・工夫案を探ることが望ましい。このテーマに

ついては、管理職を中心に話し合われることが必要だが、若手・中堅等各層の立

場からの意見を聞くことができるとなお良い。運用については、導入してみない

とわからない面もあり、導入後に引き続き検討が必要である。現場取組施策の実

効性は、現場マネジメントの意識(施策に対する納得度合い)に大きく左右され

る。師長など上司の考えが、会社が打ち出す施策とミスマッチとなっていること

が想定される場合は、現場取組施策とセットで、上司の意識改革に関する取組(人

事部門による個別面談、管理職研修等)を行う必要がある。

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【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】方針方針方針方針・・・・制度案制度案制度案制度案のののの設定設定設定設定

■現状・ニーズ把握の結果を踏まえ、短時間正職員制度の導入目的・中長期方針を設

定し、制度内容(基本制度設計)案(たたき台)を設定する。

■検討フレームは下記のとおり。

①選択できる働き方の設定(短時間・短日)、②対象(対象者・事由・期間)、

③給与設定 等の原案を作成する。

制度内部での整合性に加え、既存の他の制度、他の職種の処遇等との整

合性をはかることも必要である。

2.制度

<新規導入時>

目的に即した柔軟な働き方の一つの選択として、短時間制度を位置づける。

その場合、最終ゴールがどのような形になるのかを検討し、必要があれば、

中長期的な目標と短期的な目標に分けた設定をする。

1.方針

<新規導入時>

①選択できる働き方の設定(短時間・短日)、②対象(対象者・事由・期間)、

③給与設定 等の原案を作成する。

制度内部での整合性に加え、既存の他の制度、他の職種の処遇等との整

合性をはかることも必要である。

2.制度

<新規導入時>

目的に即した柔軟な働き方の一つの選択として、短時間制度を位置づける。

その場合、最終ゴールがどのような形になるのかを検討し、必要があれば、

中長期的な目標と短期的な目標に分けた設定をする。

1.方針

<新規導入時>

■仕事の配分やキャリア支援策等の運用方策についても、導入当初から設定されてい

ることが望ましいが、運用方策については、仕事内容や制度利用者の人数等によっ

て職場単位で必要な取組が異なることから、具体的な検討は、導入後に職場の意見

を聴きながら進めることも考えられる。

職場単位で、制度案と共に仕事の配分(特に、短時間正職員が「部屋持ち」業務

を担当できるかどうか)について検討したが、現場の声として、「短時間勤務で部屋

持ちができるようにするには、他の看護師の働き方等も見直す必要が出てくるため、

導入当初からルール化することは難しい」といった意見があり、導入当初は、職場

(病棟)の運用にまかせることになった。

事 例

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【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】設定案設定案設定案設定案にににに対対対対するするするする職場職場職場職場のののの意見集約意見集約意見集約意見集約とととと反映反映反映反映

■設定した案に対する職場の意見を集約する。病棟単位等で、議論してもらう等、職

場内で多様な立場に対する理解が進むような機会とする。

■職場からの意見を反映して、設定案を見直す。

取組の留意点

すべての病棟で意見交換会を実施した。

事 例

・制度の対象層の設定等に対し、現場に不公平感が生ずることを防ぐには、制度導

入に伴う朝・夕、夜間体制の強化策を検討することが望ましい。可能であれば、

これらの取組を、短時間正職員制度導入に先行して実施し、制度利用者の同僚の

負担や不安を軽減することが望ましい。病院の看護師の人員構成により課題が異

なる。当面の支援制度の対象から外れる層の意見に耳を傾けることが必要である。

特に、これまで、家庭事情を抱えながら個々の努力で就業継続してきたベテラン

看護師が多い場合、自分達の苦労に報いて欲しいという気持ちと若手を助けたい

という複雑な心境に十分留意する。

取組の留意点

・職場のニーズ調査からは、「適用者・適用期間」について、幅広いニーズがあげら

れてくることが予想される。一方で、モデル事例でもあったように、職場での運

用を考えれば、制度利用者が一気に増えてしまうと運用が難しいことも、看護職

一人一人が理解しているはずである。中長期的な目標を踏まえ、幅広い層を対象

とすることを否定するのではなく、優先順位をつけ、当面の適用範囲をどう設定

するのか、どのように適用範囲を広げていくのかについて、合意を形成していく

必要がある。 ・処遇については、通常勤務の基本給に対して、短縮した時間分を控除することが

基本的な考え方であり、こうした減額が行われていることを、職場全体に周知す

ることが必要である。そのことによって、制度利用者の制度利用に対する心理的

負担が軽減される。ただし、夜勤についての負担感が大きい職場の場合、日勤常

勤の時間に対して、時間短縮分が控除されても、職場の同僚に夜勤免除について

の不公平感が残る場合がある。

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【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】制度制度制度制度のののの導入導入導入導入・・・・運用運用運用運用

■職場のニーズをいかに集約したかをきちんとフィードバックした上で、制度を導入

する。

■導入前後にも、アンケート調査等により、新しい制度に対するニーズや課題を探り

ながら運用を進めることが望ましい。

これまでの検討の流れを踏まえ、事例で検討された1)方針と2)制度の基本設計の

案は以下のとおりである。

1)方針

�当面の取組課題は何か

�当面の取組課題を限定

する理由と対象の設定

には説得力があるか

�取り組みの目的は何か

�目的(人材確保等)に対

し、職場の課題(ター

ゲット)はどこにあるか

検討事項

短期目標

� すべての看護師が、それぞれの必要に応じて、ワーク・ライフ・バラ

ンス(WLB:仕事と生活の調和)をはかることが可能な働き方の見直

しを推進する。

� 育児・介護に限らず、自己啓発、地域活動等の生活と仕事との両

立を支援し、健康に配慮した働き方を実現するために、多様な働き

方の選択肢として必要な制度を導入・運用する。

� 看護師のワーク・ライフ・バランスの充実を、「より良いサービスの

提供」、「人材育成」、「新規人材の確保」につなげ、経営の現実とも

調和させていくために、「効率的な働き方・就労環境」を導入・定着

させる。

中長期的WLB

推進方針

制度案項目

� 中長期的WLB推進方針を踏まえ、まずは、育児・介護と仕事との

両立支援策を充実させる。具体的には、育児・介護期の「多様な働

き方」の選択肢として「日勤専従」、「短時間勤務」を制度として導入

し、適切な運用をはかる。

� 育児・介護を事由とした限定的な働き方が選択された場合に不

足する夕方・夜間の勤務体制を確保するための方策を検討する。

�当面の取組課題は何か

�当面の取組課題を限定

する理由と対象の設定

には説得力があるか

�取り組みの目的は何か

�目的(人材確保等)に対

し、職場の課題(ター

ゲット)はどこにあるか

検討事項

短期目標

� すべての看護師が、それぞれの必要に応じて、ワーク・ライフ・バラ

ンス(WLB:仕事と生活の調和)をはかることが可能な働き方の見直

しを推進する。

� 育児・介護に限らず、自己啓発、地域活動等の生活と仕事との両

立を支援し、健康に配慮した働き方を実現するために、多様な働き

方の選択肢として必要な制度を導入・運用する。

� 看護師のワーク・ライフ・バランスの充実を、「より良いサービスの

提供」、「人材育成」、「新規人材の確保」につなげ、経営の現実とも

調和させていくために、「効率的な働き方・就労環境」を導入・定着

させる。

中長期的WLB

推進方針

制度案項目

� 中長期的WLB推進方針を踏まえ、まずは、育児・介護と仕事との

両立支援策を充実させる。具体的には、育児・介護期の「多様な働

き方」の選択肢として「日勤専従」、「短時間勤務」を制度として導入

し、適切な運用をはかる。

� 育児・介護を事由とした限定的な働き方が選択された場合に不

足する夕方・夜間の勤務体制を確保するための方策を検討する。

導入制度案導入制度案導入制度案導入制度案

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2)制度の基本設計

事 例

制度設計においては、適用者・適用期間、処遇が大きな検討課題となった。 適用者・適用期間については、現場から「できるだけ多くの層を対象として欲し

い」、「子どもが小さな時期だけでなく、(夜勤のある看護業務との両立では)子の思

春期の対応も必要」、「年配の看護師にとっては、体力面への配慮も必要」といった

声が多く聞かれる一方、「あまり制度利用者が多くなってしまうと、職場がまわらな

い」といった不安も聞かれた。結果、当面は、子の学童保育が終了し、留守番での

生活にある程度慣れるまでという考え方で、小学校の4年の夏休みまでを対象とす

ること、介護や健康面でのニーズにも対応すること、これら以外のニーズについて、

今後様子をみながら拡大していく方向とすること、等を案として取りまとめた。 処遇については、短時間正社員や日勤専従など、夜勤が免除される制度利用者と

通常勤務者の給与に、差をつけることを希望する声が多く聞かれた。こうした希望

は、制度利用者の同僚となる立場の看護師からだけではなく、制度利用予備軍から

も聞かれた。ただし、原則、日勤専従については、通常勤務者と基本給に差はつけ

ず、短時間の場合のみ、日勤専従の場合との勤務時間差に応じて、基本給を控除す

るという考え方を採った。夜勤については、手当が設けられており、また、夜勤の

負担感については、業務量の多い準夜勤や夜勤の体制確保策を新たに導入する等、

別の形で対応策を検討する必要があることが話し合われた。

�経済的支援を行うか

�基本給の差が小さいことで、賞与で調整する目的で、評価が影響を

受けないか

�基本給は短縮した時間分を控除

�控除された基本給をベースとして、通常勤務者と同様の算出方法を用いて、支給する

�短時間勤務期間も、退職金算定期間に算入する

�福利厚生は、原則通常勤務者と同様

処遇

�職員の通勤・保育事情に対応で

きているか

�6時間の設定が、含まれているか

(改正育児・介護休業法対応)

�1日2時間(6時間)まで短縮可能。30分単位で設定可能

�週30時間を下限として、就業日・時間を設定することができる(短日勤務)。出退勤時、それぞれに分けて短縮可能

�適用期間内においては、短時間勤務と通常勤務の変更は複数回可能

就業時間・

時間帯

�申請の頻度(改正育児・介護休業

法対応)

�残業を認めるメリット・デメリット

�育児・介護以外の事由を含める

�一部の職種・部門を適用除外とす

るか

�管理職への対応は

検討事項

その他

1)育児中または妊娠中の者

案:子が小学4年生の年度末(3月末)まで。ただし、将来はフル

タイム常勤可能な者。

2)日常的に介護を要する高齢親族(3親等以内)のいる者

要介護状態については、本人の申請による。ただし、将来はフル

タイム常勤可能な者。期間は特に定めない。

3)健康上の問題・体力面の不安により、通常勤務が困難な者

適用者・

適用期間

�原則、年度単位の運用。必要に応じて1か月以上であれば、利用者の希望の期間での申請・再申請可能

�残業は本人の意向を第一に、職場ニーズも踏まえ、必要な場合許可

制度案項目

�経済的支援を行うか

�基本給の差が小さいことで、賞与で調整する目的で、評価が影響を

受けないか

�基本給は短縮した時間分を控除

�控除された基本給をベースとして、通常勤務者と同様の算出方法を用いて、支給する

�短時間勤務期間も、退職金算定期間に算入する

�福利厚生は、原則通常勤務者と同様

処遇

�職員の通勤・保育事情に対応で

きているか

�6時間の設定が、含まれているか

(改正育児・介護休業法対応)

�1日2時間(6時間)まで短縮可能。30分単位で設定可能

�週30時間を下限として、就業日・時間を設定することができる(短日勤務)。出退勤時、それぞれに分けて短縮可能

�適用期間内においては、短時間勤務と通常勤務の変更は複数回可能

就業時間・

時間帯

�申請の頻度(改正育児・介護休業

法対応)

�残業を認めるメリット・デメリット

�育児・介護以外の事由を含める

�一部の職種・部門を適用除外とす

るか

�管理職への対応は

検討事項

その他

1)育児中または妊娠中の者

案:子が小学4年生の年度末(3月末)まで。ただし、将来はフル

タイム常勤可能な者。

2)日常的に介護を要する高齢親族(3親等以内)のいる者

要介護状態については、本人の申請による。ただし、将来はフル

タイム常勤可能な者。期間は特に定めない。

3)健康上の問題・体力面の不安により、通常勤務が困難な者

適用者・

適用期間

�原則、年度単位の運用。必要に応じて1か月以上であれば、利用者の希望の期間での申請・再申請可能

�残業は本人の意向を第一に、職場ニーズも踏まえ、必要な場合許可

制度案項目

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※事例における朝・夕、夜間体制の強化策案(日勤専従未導入の場合)

� 正職員としての夜勤専従の導入

目的を問わない。

� 夕方以降のパートタイム勤務導入と時間給の引き上げ

目的を問わない。

16時~21時(5時間勤務パート)について引き上げ対象とする。

� 日勤専従の導入

原則、短時間勤務の対象者。小学4年生の9月以降中学3年末までの子どもの教育等の

目的も認める。 ※今後、段階的に対象者拡大予定

� 準夜勤帯に限った(目的を問わない)短時間正職員制度の導入

15:00・16:00~準夜勤帯に限った短時間正職員制度の導入。週当たり30h以上勤務

この時間帯に限っては、目的を問わない。

※その他、日勤・短時間勤務利用対象とならない人への休暇取得促進策等検討

・失効年次有給休暇の積立 →多目的利用

・長期休暇(年単位・無給)の導入 →海外派遣・就学等への対応

・継続勤務者を対象とした長期休暇(2週間程度等)の計画取得推奨

Page 53: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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(2)短時間正職員制度のキャリア支援

①基本的な考え方

②取組の流れ

看護師について、短時間正職員制度利用におけるキャリア支援を構築導入する際には、

下記のステップが必要となる。基本的な流れは、新規導入の場合と同じである。

【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】

現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ

把握把握把握把握

【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】

キャリアイメーシキャリアイメーシキャリアイメーシキャリアイメージ゙゙゙のののの検討検討検討検討・・・・

仕事仕事仕事仕事のののの配分配分配分配分・・・・研修研修研修研修案案案案

のののの設定設定設定設定

【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】

設定案設定案設定案設定案にににに対対対対するするするする

職場職場職場職場のののの意見集約意見集約意見集約意見集約

とととと反映反映反映反映

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】

制度制度制度制度のののの導入導入導入導入・・・・

運用運用運用運用

看護師の短時間正職員制度の運用においては、仕事と家庭生活等との「両立」と

共に、看護師としてのキャリア形成をどのように行っていくかが大きな課題となる。 正規の看護師としてキャリアを形成する上においては、「部屋持ちをする(担当の

患者に責任を持つ)」、「夜勤を経験する(1日を通じた患者の全体像を把握する)」、

「Off-JT として研修や委員会活動等に参加する(スキルアップをはかると共に委員

会や研修の運営に関わることで組織マネジメントの基礎を学ぶ)」等が必要と考えら

れる。短時間での勤務を行う際、これらの活動に参加できなくなる可能性もある。

まずは、看護師としてのキャリア形成を、当該病院や病棟でどのように考えるのか

という方針を明確にし、その方針に則して、キャリア形成のために、働き方(OJT)と Off-JT の二つの側面から、支援策を検討する必要がある。

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【【【【Step1Step1Step1Step1】】】】現状現状現状現状・・・・ニーズニーズニーズニーズ把握把握把握把握

■職員の勤務実態、職員インタビュー・アンケート調査等に基づき、制度運用におけ

る課題やキャリア支援に対するニーズを把握する。

■ニーズ把握においては、制度利用者だけでなく、管理職や制度利用者の職場の同僚

の意見を聞くことも重要である。

ニーズ把握の目的や把握すべき事項例は、下記のとおりである。

�制度利用者の個別インタビューまたはアンケートで以下事項を把握

-今後のキャリアに対する希望、仕事役割に

対する満足度・希望、OFF-JTへ参加していない

場合の参加希望・参加できない理由 等

�制度利用者のキャリア意識、仕事役割やOFF-JTへの参加意識、キャリア

支援に対する期待等を把握する。

制度利用

者のキャリ

ア支援ニー

ズの把握

上司のニー

ズ把握

�制度利用者の就労実態

-勤務時間等勤務状況、職場における仕事役

割・配分 等

�制度利用者の研修・委員会等への参加状況

�制度の運用において、キャリア支援の視点から、どのような課題があるかを

把握する。

課題把握

把握・分析方法(例)目的把握事項

�職場のマネジメントをする立場から、制度利用者のキャリア支援の視点か

ら仕事の配分やOFF-JTへの参加等

に関する課題をあげてもらう。

�管理職層(師長クラス)に対する個別ヒアリングまたは、全病棟での意見交換会

-制度利用者のキャリアや仕事の配分に対する

考え方、研修等の運営における課題 等

�制度利用者の個別インタビューまたはアンケートで以下事項を把握

-今後のキャリアに対する希望、仕事役割に

対する満足度・希望、OFF-JTへ参加していない

場合の参加希望・参加できない理由 等

�制度利用者のキャリア意識、仕事役割やOFF-JTへの参加意識、キャリア

支援に対する期待等を把握する。

制度利用

者のキャリ

ア支援ニー

ズの把握

上司のニー

ズ把握

�制度利用者の就労実態

-勤務時間等勤務状況、職場における仕事役

割・配分 等

�制度利用者の研修・委員会等への参加状況

�制度の運用において、キャリア支援の視点から、どのような課題があるかを

把握する。

課題把握

把握・分析方法(例)目的把握事項

�職場のマネジメントをする立場から、制度利用者のキャリア支援の視点か

ら仕事の配分やOFF-JTへの参加等

に関する課題をあげてもらう。

�管理職層(師長クラス)に対する個別ヒアリングまたは、全病棟での意見交換会

-制度利用者のキャリアや仕事の配分に対する

考え方、研修等の運営における課題 等

・制度利用者だけではなく、管理職や周囲の同僚の意見を把握することが重要であ

る。本人の仕事役割や達成感と周囲の評価のギャップが大きい場合は、何らかの

課題がある。 ・キャリア形成に対する考え方は、看護職の中でも様々であることを前提に、利用

者の意向を把握する必要がある。管理職へのキャリアアップには積極的でなくて

も、仕事に意欲的であったり、スキルアップに意欲的である場合もある。

取組の留意点

Page 55: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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【【【【Step2Step2Step2Step2】】】】方針方針方針方針・・・・制度案制度案制度案制度案のののの設定設定設定設定

■現状・ニーズ把握の結果を踏まえ、短時間正職員制度のキャリアイメージ・育成方

針、役割・仕事の配分、研修等の案(たたき台)を設定する。

■検討フレームは下記のとおり。

仕事の配分設定は、「本人のニーズ」と「職場のニーズ」からの検討が必要であ

る。さらに本人のニーズは、「両立しやすさ」と「キャリア形成におけるOJT効果」

の2つの視点が必要となる。職場での受け入れ体制や短時間制度利用者の職

場内比率によっても、職場のニーズが変わる。職場の制度利用状況によって、

段階的に検討を進めていく必要も出てくると考えられる。

2.役割・仕事の配分

キャリア形成においては、OJTと同時に、研修や勉強会、委員会等への参加に

よる学びも必要である。検討にあたっては、正職員としてどのような参加が求め

られるかという視点と、短時間利用者の参加しやすい運用面の工夫が必要と

なる。

3.研修等

病院として、短時間正職員のキャリアイメージ・育成方針をどのように考えるか

(通常勤務と変わらない、あるいは、短時間勤務の間は管理職にはつかず通常

勤務復帰後キャリアアップを目指す等)を、検討する。制度利用者によっても、

様々な考えがあるため、現在の制度利用者の意向と病院としてのスタンスを合

わせて検討する。

1.短時間正職員のキャリ

アイメージ・育成方針

仕事の配分設定は、「本人のニーズ」と「職場のニーズ」からの検討が必要であ

る。さらに本人のニーズは、「両立しやすさ」と「キャリア形成におけるOJT効果」

の2つの視点が必要となる。職場での受け入れ体制や短時間制度利用者の職

場内比率によっても、職場のニーズが変わる。職場の制度利用状況によって、

段階的に検討を進めていく必要も出てくると考えられる。

2.役割・仕事の配分

キャリア形成においては、OJTと同時に、研修や勉強会、委員会等への参加に

よる学びも必要である。検討にあたっては、正職員としてどのような参加が求め

られるかという視点と、短時間利用者の参加しやすい運用面の工夫が必要と

なる。

3.研修等

病院として、短時間正職員のキャリアイメージ・育成方針をどのように考えるか

(通常勤務と変わらない、あるいは、短時間勤務の間は管理職にはつかず通常

勤務復帰後キャリアアップを目指す等)を、検討する。制度利用者によっても、

様々な考えがあるため、現在の制度利用者の意向と病院としてのスタンスを合

わせて検討する。

1.短時間正職員のキャリ

アイメージ・育成方針

事 例

「2.役割・仕事の配分」における課題として、短時間勤務で「部屋持ち」がで

きるか、という課題を検討した。論点は、下記のとおり。

■短時間勤務の場合の仕事の配分のしやすさ フリー(非常勤パートの看護師に近い役割) > 部屋持ち ・ただし、短時間で部屋持ちを行っている病院もある。

■短時間勤務で「部屋持ち」が難しい理由 朝夕の引継ぎ時にいない 勤務時間帯に収まらない業務がある 緊急対応等で仕事が押しても残業ができない

■制度利用者の「部屋持ち」可能性を検討すべき理由 部屋持ちのできる職員が不足する(導入当初や人員構成によって、問題がない

場合も) 本人のキャリア形成に必要な経験として(非常勤パートとの違い)

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【【【【Step3Step3Step3Step3】】】】設定案設定案設定案設定案にににに対対対対するするするする職場職場職場職場のののの意見集約意見集約意見集約意見集約とととと反映反映反映反映

■設定した案に対する職場の意見を集約する。病棟単位等で、議論してもらう等、職

場内で多様な立場に対する理解が進むような機会とする。

■職場からの意見を反映して、設定案を見直す。

【【【【Step4Step4Step4Step4】】】】制度制度制度制度のののの導入導入導入導入・・・・運用運用運用運用

■職場のニーズをいかに集約したかをきちんとフィードバックした上で、制度を導入

する。

■導入前後にも、アンケート調査等により、新しい制度に対するニーズや課題を探り

ながら運用を進めることが望ましい。

・短時間を選択する人は、従来の働き方であれば、就業継続を断念していた層であ

ることを忘れず、家庭を重視しながらも、正職員として働くことに踏みとどまっ

ていることを前向きに捉えて、活用しやすい制度を検討する。 ・ただし、短時間で単に楽に働くだけであったり、実質非常勤パートと同じ対応で

は、将来的に通常勤務に戻りたいというモチベーションが働かない。本人の意向

やライフステージの変化を見極め、仕事の配分や研修等を通じて、通常勤務に戻

るための準備や働きかけを継続的に行うことが望ましい。

取組の留意点

事 例

すべての病棟で意見交換会を実施した。また、全病棟の師長による検討も実施さ

れた。すでに短時間制度利用者のいる病棟では、制度利用者の新たな仕事の配分(部

屋持ち担当)に応じた一日の仕事の流れを検討し、新たな仕事の配分に移行するに

あたっての課題や工夫案などをあげてもらった。

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これまでの検討の流れを踏まえた1)キャリアイメージ・育成方針と2)役割・仕事

の配分の設定、3)研修等の案は以下のとおりである。

1)キャリアイメージ・育成方針(例)

2)役割・仕事の配分の設定(例)

�人員補充の考え方(部屋持ちを増やすのか、フリーを増やすのか)

�緊急時対応・日々の業務量に変動のある業務(入院受け入れ等)の担当設定(リーダー等)

�効率化できる業務の検討(記録作成等)

ルール化・システム導入・研修で対応できるもの

チーム内の情報共有化(みえる化)で対応できるもの

3)残業防止策

�患者の重症度による対応差の検

討。(重症患者でも複数看護師対

応に組み込む可能性も)

�看護職以外の協力が必要な問題への対応

�制度導入当初、制度利用者が少ない場合は、担当をフリーにして

おく方が、本人・職場の負荷が少

ない場合も

�業務の洗い出し

視点:時間帯(制度利用者のいる時間・いない時間)

全患者に共通の業務・一部患者に必要な業務

(毎日発生している業務・臨時的に発生する業務)

担当が時間を設定・変更できる業務・できない業務

�担当者・リーダー・フリー(パート)の役割見直し

担当者の役割:担当を持つことの意味・必要性

担当でなければできない(担当がすべき)業務

リーダーの役割:調整・判断、一部フリー対応(サポート)

フリー(パート)の役割:切り出せる業務、看護資格の要否

日々安定した確保が可能か

2)就業時間内

に収まる部屋

持ち業務設計

�看護職以外の職種を含むカンファ

レンスや巡回への対応

�引継ぎの効率化(文書化)

検討事項

�リーダーによる引継ぎ

�チーム対応による引継ぎ1)引継ぎ時の

対応

検討のポイント・制度案課題

�人員補充の考え方(部屋持ちを増やすのか、フリーを増やすのか)

�緊急時対応・日々の業務量に変動のある業務(入院受け入れ等)の担当設定(リーダー等)

�効率化できる業務の検討(記録作成等)

ルール化・システム導入・研修で対応できるもの

チーム内の情報共有化(みえる化)で対応できるもの

3)残業防止策

�患者の重症度による対応差の検

討。(重症患者でも複数看護師対

応に組み込む可能性も)

�看護職以外の協力が必要な問題への対応

�制度導入当初、制度利用者が少ない場合は、担当をフリーにして

おく方が、本人・職場の負荷が少

ない場合も

�業務の洗い出し

視点:時間帯(制度利用者のいる時間・いない時間)

全患者に共通の業務・一部患者に必要な業務

(毎日発生している業務・臨時的に発生する業務)

担当が時間を設定・変更できる業務・できない業務

�担当者・リーダー・フリー(パート)の役割見直し

担当者の役割:担当を持つことの意味・必要性

担当でなければできない(担当がすべき)業務

リーダーの役割:調整・判断、一部フリー対応(サポート)

フリー(パート)の役割:切り出せる業務、看護資格の要否

日々安定した確保が可能か

2)就業時間内

に収まる部屋

持ち業務設計

�看護職以外の職種を含むカンファ

レンスや巡回への対応

�引継ぎの効率化(文書化)

検討事項

�リーダーによる引継ぎ

�チーム対応による引継ぎ1)引継ぎ時の

対応

検討のポイント・制度案課題

短時間正職員制度は、管理職を原則として対象としていないことから、短時間正職員

として勤務している間は、管理職にはつかない。ただし、短時間であっても、目標設定

や評価の基本的考え方は、通常勤務と同様であり、短時間での働き方に見合った目標を

立て、スキルアップを目指す。 また、将来通常勤務に戻った場合に、管理職に昇格する可能性を見据え、短時間での

勤務においても、可能な範囲で、マネジメントに関する経験・スキルを積み重ねられる

ような仕事役割・配分を行う。 研修や委員会についても、正規の看護師員として、参加していくことが原則であり、

短時間での勤務という制約の中で、こうした Off-JT に参加できるよう、研修や委員会

活動の運用方法を見直していくとともに、制度利用者の参加意欲への働きかけを行う。

導入制度案

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※短時間勤務での時間内に収まる部屋持ち業務案(事例)

(9:00~13:00の場合)

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

担当挨拶・担当患者状況

確認等

環境整備、バイタル測定

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬

引き継ぎ・記録

※入院患者は受けない

13:00業務終了

(9:00~15:00の場合)

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

担当挨拶・担当患者状

況確認等

環境整備、バイタル測定

手術室お迎え.入院対応

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬確認・

報告等

休憩

深夜勤からの申し送り

医師とカンファレンス

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

深夜勤手術室へ患者入室

担当挨拶・担当患者状況

確認等

環境整備、バイタル測定等

手術室お迎え、入院対応

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬確認・報

告等

休憩

深夜勤からの申し送り

医師とカンファレンス

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

回診介助 指示受け

退院対応・

入院対応

部屋持ち担当と内服薬確認

休憩

8:30

9:00

10:00

11:00

12:00

口腔ケア

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

残っている処置

尿量・点滴確認等→記録

環境整備・物品確認等

看護計画の評価・見直し

リーダー報告・看護必要度

入力

ナースコール対応、環境整

備等

メンバー

(13:00~17:00の場合)

引き継ぎ

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

尿量・点滴確認等→記録

環境整備等

看護計画の評価・見直し

リーダー報告・看護必要度

入力等

17:00業務終了

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

尿量・点滴確認等

記録

引き継ぎ

15時業務終了

翌日の点滴準備・検査説明等

メンバー業務のヘルプ

ナースコール・緊急入院等対

病棟日誌記載

(管理科長へ報告)

メンバーからの報告

準夜勤への申し送り

13:30

14:00

16:00

16:30

4時間勤務5時間勤務リーダー

(9:00~13:00の場合)

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

担当挨拶・担当患者状況

確認等

環境整備、バイタル測定

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬

引き継ぎ・記録

※入院患者は受けない

13:00業務終了

(9:00~15:00の場合)

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

担当挨拶・担当患者状

況確認等

環境整備、バイタル測定

手術室お迎え.入院対応

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬確認・

報告等

休憩

深夜勤からの申し送り

医師とカンファレンス

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

深夜勤手術室へ患者入室

担当挨拶・担当患者状況

確認等

環境整備、バイタル測定等

手術室お迎え、入院対応

血糖測定・インシュリン等

リーダーと内服薬確認・報

告等

休憩

深夜勤からの申し送り

医師とカンファレンス

チーム毎カンファレンス

チーム毎病室ラウンド

回診介助 指示受け

退院対応・

入院対応

部屋持ち担当と内服薬確認

休憩

8:30

9:00

10:00

11:00

12:00

口腔ケア

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

残っている処置

尿量・点滴確認等→記録

環境整備・物品確認等

看護計画の評価・見直し

リーダー報告・看護必要度

入力

ナースコール対応、環境整

備等

メンバー

(13:00~17:00の場合)

引き継ぎ

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

尿量・点滴確認等→記録

環境整備等

看護計画の評価・見直し

リーダー報告・看護必要度

入力等

17:00業務終了

バイタル測定

検査出し、お迎え

手術患者帰室対応 等

尿量・点滴確認等

記録

引き継ぎ

15時業務終了

翌日の点滴準備・検査説明等

メンバー業務のヘルプ

ナースコール・緊急入院等対

病棟日誌記載

(管理科長へ報告)

メンバーからの報告

準夜勤への申し送り

13:30

14:00

16:00

16:30

4時間勤務5時間勤務リーダー

取組の留意点(上記案におけるポイント)

・朝・夕の引き継ぎは、リーダーを介して行う。 ・時間の押す原因となる緊急対応(ナースコールや急な入院・手術対応等)は、リ

ーダーを中心に受け、極力短時間正職員はとらない。 ・4時間勤務など、さらに短い勤務の場合、入院の受入なども担当しない。 ・通常勤務の看護師も、パート看護師等に担ってもらえる業務を明確にし、日中の

業務に余裕を持たせ、極力、残業をなくしていく。

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3)研修等

・早めの案内や、終了時間の明示で、

短時間勤務者が都合をつけやすく

する

・録画ビデオの貸し出し、eーニング等

・会議に出席できなくとも、何らかの

役割を果たすことを正職員としての

短時間勤務者の要件にすることが

考えられる(パートとの区別)

・会議の設定時間の工夫、本人の裁

量で取組やすい担当の設定等

・早めの案内や、終了時間

の明示で、短時間勤務者

が都合をつけやすくする

・録画ビデオの貸し出し、e

ラーニング等

・できれば10:00開始に

・早めの案内や、終了時

間の明示で、短時間勤

務者が都合をつけやすく

する

・録画ビデオの貸し出し、

eラーニング等

改善案

・任意だが、看護師の参加意欲は高

(その時間帯に勤務している夜勤以外

はほぼ参加。子どもを預けて参加し

ている者もいる)

・その時間帯に勤務している者等、欠

席者には資料配布している

・正看護師は必ず何かに参加

・医師等も参加するため、短時間勤務

者に合わせて開催時間を変更するの

は困難

・看護業務の改善につながることが見

えにくいため負担感を持ち、嫌がる看

護師もいる(パートからの転換の抑制

要因にも)

・残業要因

・短時間勤務者にも該当

者(中堅)あり

・午前・午後に分かれてい

る点では、短時間勤務者

も受けやすい

・10:00から就業する短時

間勤務者は参加しにくい

・中堅向けスキルアップ

は、受講希望者が多く、

勤務時間内開催は困難

短時間勤

務者の受

講につい

・各部署・病棟毎の専門に沿った内容・曜日により内容が異なる(感染委

員会、医療安全委員会等)

・リーダーシップ、人間関

係、交流分析等

・スキルアップ。形態は実

習、座学など様々

内容等

・月1回

・業後(夕方)

・月1、2回・午前・午後に分かれてい

るものが多い。

・9:00~13:00、

9:00~16:30等

・中堅向けは

17:00~18:00/18:30

時間帯、

頻度等

・1h強(循環器系等、医師が入るも

のは若干長い)

・4h程度・終日、半日など様々

・中堅向けは1~1.5h

所要時間状

・院内・院内・院内・院内場所現

中堅スキルアップ

勉強会委員会

研修

・早めの案内や、終了時間の明示で、

短時間勤務者が都合をつけやすく

する

・録画ビデオの貸し出し、eーニング等

・会議に出席できなくとも、何らかの

役割を果たすことを正職員としての

短時間勤務者の要件にすることが

考えられる(パートとの区別)

・会議の設定時間の工夫、本人の裁

量で取組やすい担当の設定等

・早めの案内や、終了時間

の明示で、短時間勤務者

が都合をつけやすくする

・録画ビデオの貸し出し、e

ラーニング等

・できれば10:00開始に

・早めの案内や、終了時

間の明示で、短時間勤

務者が都合をつけやすく

する

・録画ビデオの貸し出し、

eラーニング等

改善案

・任意だが、看護師の参加意欲は高

(その時間帯に勤務している夜勤以外

はほぼ参加。子どもを預けて参加し

ている者もいる)

・その時間帯に勤務している者等、欠

席者には資料配布している

・正看護師は必ず何かに参加

・医師等も参加するため、短時間勤務

者に合わせて開催時間を変更するの

は困難

・看護業務の改善につながることが見

えにくいため負担感を持ち、嫌がる看

護師もいる(パートからの転換の抑制

要因にも)

・残業要因

・短時間勤務者にも該当

者(中堅)あり

・午前・午後に分かれてい

る点では、短時間勤務者

も受けやすい

・10:00から就業する短時

間勤務者は参加しにくい

・中堅向けスキルアップ

は、受講希望者が多く、

勤務時間内開催は困難

短時間勤

務者の受

講につい

・各部署・病棟毎の専門に沿った内容・曜日により内容が異なる(感染委

員会、医療安全委員会等)

・リーダーシップ、人間関

係、交流分析等

・スキルアップ。形態は実

習、座学など様々

内容等

・月1回

・業後(夕方)

・月1、2回・午前・午後に分かれてい

るものが多い。

・9:00~13:00、

9:00~16:30等

・中堅向けは

17:00~18:00/18:30

時間帯、

頻度等

・1h強(循環器系等、医師が入るも

のは若干長い)

・4h程度・終日、半日など様々

・中堅向けは1~1.5h

所要時間状

・院内・院内・院内・院内場所現

中堅スキルアップ

勉強会委員会

研修

・具体的な現場マネジメントは、病棟単位での検討がベースである。現場のマネジ

メントを行う管理職の定期的な会合等で、制度の導入効果や課題を継続的に検討

することが望ましい。

取組の留意点

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ⅣⅣⅣⅣ....まとめまとめまとめまとめ~~~~短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着ののののポイントポイントポイントポイント

本報告は、民間企業6社と2病院の協力を得て実施された事例研究を元に、制度導入・

定着の進め方について取りまとめたものである。本事業においては、企業・病院の人事担

当者と社外コンサルタントとの協力・連携により、従業員のニーズ調査、管理職調査、制

度利用者の同僚・制度利用予備軍の意識調査等をヒアリングやアンケート方式で実施した。

また、すでに制度を導入している企業においては、人事評価の方法・結果についての分析

等も行った。このように個々の企業の特性を踏まえて、職場の実態やニーズ、制度の運用

状況を詳細に把握した上で、制度設計・改善案を検討することが、最も重要な点である。

以下に、本事業を通じて得られた導入・定着の主なポイントを示す。

1.導入におけるポイント

○導入の目的を明確にし、方針を設定する。

○必要に応じて、実施施策や目標設定に短期・中長期などの段階を設ける。

○企業の人員構成や地域の状況に即して従業員のニーズが異なる。目的に照らして適用範囲

(事由・対象層)を決める。

○時間の短縮方法を設定する際は、できるだけ利用者の多様なニーズに対応できるよう選択

肢を広げる。

○制度利用の申請方法等について、利用しやすい工夫をする。

○賃金は、時間短縮分を控除するのが基本的な考え方である。利用者に不利にならない設定

を行う必要がある。同時に、必要以上に優遇することは利用を躊躇させる原因になるととも

に、周囲の従業員の納得が得られない可能性があることに留意する。

○利用者の就業時間・賃金に応じた仕事の配分を行う。基本的な考え方としては、通常勤務時

の業務内容および責任等はそのままで勤務時間を短縮する。仕事の配分に際しては、「両

立」が可能となる働き方であることと、長期的にみた「キャリア形成」に資する働き方であるこ

とに留意する。導入当初は、個々の対応については職場の管理職に任せるケースが多い

が、現場の好事例等を把握し、できるだけ早い段階で、人事から管理職へ情報提供を行い、

業務量に応じた人員体制に見直すことも含め、現場を支援することが望ましい。

○利用者のニーズに即して制度が利用できることは重要であるが、必要以上に長期間利用す

ることによって本人のキャリア形成に影響が出る可能性もある。短時間制度から通常勤務に

円滑に戻れるよう、通常勤務における残業削減等職場全体の働き方の見直しを進めるととも

に、利用者本人が制度利用の意義を自己のキャリアビジョンの中に位置付けて効果的に活

用するという意識を高める取組も重要である。

1111....導入導入導入導入におけるにおけるにおけるにおけるポイントポイントポイントポイント

Page 61: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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○制度利用の適用外の従業員の意向にも留意する。短時間正社員以外のワーク・ライフ・バラ

ンスに関する取組に対するニーズ等を把握し、制度設計・運用に努める。

2.定着におけるポイント

(1)評価・目標設定

○評価の基本的な考え方としては、同じ社員格付の通常勤務者と同一の評価基準・評価要素

で評価するものである。

○ただし、給与や賞与が時間比例で減額されている場合、勤務時間数に応じて、目標設定が

定められ、目標設定に沿った評価を実施する。

○基本的な評価制度については、短時間正社員のみ見直せるものではないが、短時間正社員

の評価を検討するに際して、評価制度の合理性等についての課題が明らかとなった場合

は、人事評価制度全体の見直しを行う必要も出てくる。

○設定した短時間正社員の評価方法については、制度利用者や管理職のみならず、職場全体

に周知することが重要である。

○評価の実施においては、期初の目標設定や期末の評価だけでなく、中間のフォローも重要で

ある。面談等により管理職と制度利用者とのコミュニケーションを円滑に行う必要がある。制

度の周知と評価結果のフィードバックが適切になされるかどうかが、制度の普及や制度利用

者のモチベーションに大きく影響する。

○上記の評価方法・フィードバックの方法については、管理職に対する研修等で管理職のスキ

ルアップをはかることが望ましい。

(2)キャリア形成

○短時間正社員のキャリアイメージ・育成方針を明確にする。

○短時間正社員として働いている期間のみならず、従業員のライフステージ全体を見渡して、

短時間正社員制度を利用した場合のキャリアプランを検討することが望ましい。

○キャリア形成支援には、当然のことながら、OJT と Off-JT の二つの面があり、双方について

検討する必要がある。OJTについては、先に示した「仕事の配分」を通じて行う。Off-JT につ

いては、短時間正社員であっても通常勤務者と同様に研修等に参加することが望ましいこと

を示し、参加を促す。また、研修等が制度利用者の勤務時間外であることも少なくないことか

ら、参加しやすい仕組みを検討する。

○Off-JTは、人事部等の主導により、企業全体で実施されるものと職場単位で実施されるもの

があり、OJT は職場単位である。職場の取組は、管理職主導で実施されるものであることか

ら、管理職に十分その意義と役割、ノウハウが伝えられる必要がある。

2222....定着定着定着定着におけるにおけるにおけるにおけるポイントポイントポイントポイント

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○キャリア形成支援においては、制度利用者本人のキャリア意識と上司の育成方針が合致す

ることが重要であり、両者の十分なコミュニケーションにより、行われることが望ましい。その

際、制度利用者のキャリア形成意識が多様であることに留意する。

平成 21 年度短時間正社員制度導入支援事業 検討委員会委員・参加企業名簿

○ 有識者委員

佐藤 博樹:東京大学 社会科学研究所 教授 (座長)

脇坂 明 :学習院大学 経済学部 教授

武石 恵美子:法政大学 キャリアデザイン学部 教授

小川 忍:社団法人日本看護協会 常任理事

松原 光代:財団法人 社会経済生産性本部 主任研究員

○ 参加企業・病院

株式会社ぐるなび 株式会社資生堂

株式会社 電通 日本アイ・ビー・エム株式会社

丸紅株式会社 株式会社ヨックモック

川口工業総合病院 特定医療法人財団石心会 川崎幸病院

○ 事務局

三菱 UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

経済・社会政策部 主任研究員 矢島洋子,主任研究員 平田薫

革新支援室 シニアコンサルタント 塚田聡,アソシエイト 吉竹一将

組織人事戦略部 チーフコンサルタント 根本直樹,コンサルタント 小池陽二郎

アソシエイト 佐野香奈恵

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ⅤⅤⅤⅤ....企業企業企業企業のののの取組紹介取組紹介取組紹介取組紹介

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株式会社株式会社株式会社株式会社ぐるなびぐるなびぐるなびぐるなび

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度へへへへのののの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

株式会社ぐるなびは 1996 年の事業開始以来、「レストランのサポーター、食のトータル

サイト」を事業コンセプトに掲げて、サイトユーザーの皆様、飲食店の皆様に支えられて

成長を続けてくることができた。特にここ数年の規模拡大は著しく、社員数も 1300名近く

に増えている。

既にベンチャーとはいえない時期に入ってきているが、平均年齢は 31歳とまだまだ若い

企業であり、女性比率は4割を超えている。そして、各職場では女性が極めて自然体で活

躍をしている。短時間正社員制度は、法令対応の意味合いでかねてから導入してはいたが、

細かい実態への配慮がされておらず、また積極的に活用をする機運もなかった。しかし、

社員の年齢構成から、今後は結婚・出産というライフステージを迎える社員が増えること

が想定されること、将来的には介護目的でのニーズも高まると思われることから、今回の

事業への参加を機会に短時間正社員制度を見直す検討をすることとした。

■■■■短時間正社員制度整備短時間正社員制度整備短時間正社員制度整備短時間正社員制度整備のののの取組内容取組内容取組内容取組内容

本事業活動の中では、まず多くの社員へのインタビューを実施した。短時間正社員制度

利用者だけでなく、その上司・同僚の意見も幅広く丹念に確認をし、従事時間調査等を通

してデータも取得した。

そこから見えてきたのは、短時間正社員制度の活用を円滑に進めるためには、2つのポ

イントがあることだ。1つめのポイントは、短時間正社員自身の業務の見直しをするだけ

では十分でなく、部署全体の業務分担の見直しや、部署全体の生産性向上への取り組み、

部署全体のコミュニケーションの向上といったことまで踏み込んで検討して初めて効果が

出るということ。そして、もう1つは「気持ち」をしっかりと持つこと。短時間正社員制

度利用者自身が「仕事を切り上げてきちんと定時で帰る」という気持ちをまずはしっかり

と持つことと、その周囲の協力者に対して心からの「感謝の気持ち」を持つことである。

これが実現できれば、短時間正社員制度利用者が活き活きと働ける職場は、生産性も高く、

コミュニケーションも良好な職場に自然になってくるはずだ。

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

今回の事業を終え、当社ではいくつかの取り組みを考えている。まずは、ニーズの多様

性に対応できる制度の拡充を図ること。これについては、適用期間や就業時間について、

現状よりも弾力性を持たせる方向である。また、産前産後休暇・育児休業を取得中の社員

へのアンケート結果から、制度の周知徹底に不足があることがあらためてよくわかったた

め、理解しやすいハンドブックの作成、職場復帰前にランチミーティングを実施すること

も推進していきたいと。実効性があり使いやすい制度を導入することと、導入した制度が

活きるように運用環境を整えることに力を入れていきたいと考えている。

Page 66: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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株式会社資生堂株式会社資生堂株式会社資生堂株式会社資生堂

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度へへへへのののの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

株式会社資生堂は、化粧品メーカーとして、創業当時から女性社員の就業継続に積極的な

取り組みを続けている。同社の「男女共同参画行動計画」は、育児がある社員でも働きやす

い職場環境を作ることを目指しており、育児支援策の拡充が図られてきた。

短時間正社員制度はその支援策の一つとして、出産・育児休業後の社員が就業継続し、円

滑に職場復帰してもらうことを目的に導入された。導入開始は、育児介護休業法の制定年で

ある 1991年と早い。

同社の短時間勤務制度の利用可能範囲は広い。育児の場合、2008 年までは「未就学児童」

を対象としていたのを、「子が小学3年まで」に拡大した。介護の場合は、「1回につき1年

以内、通算3年以内」となっている。

短時間正社員制度を導入して 20年近くとなり、短時間勤務を利用しやすい風土も徐々に浸

透しつつある。現在では、出産・育児による退職者は大きく減少し、「育児短時間制度」の利

用者は 935名、「介護短時間制度」は9名という実績になった。(※数値は 2009年4月)

■■■■短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員のののの実際実際実際実際

「短時間正社員が職場にいると、短時間正社員の業務負担が周囲に及ぶ」といった声が挙

がるケースがある。しかし、同社では利用実績からも分かるように短時間正社員がメンバー

にいることが多いため、短時間正社員と一緒に仕事をする際の工夫を様々考えられている。

例えば、ある上司は、「ベテランのレベルの短時間正社員には、若手社員とペアを組ませる

ことで、短時間正社員の業務サポートと若手社員の人材育成を同時に実現させる」といった

工夫をしている。

また、短時間正社員本人が「自ら顧客に、自分が短時間勤務制度を利用していることを話

し、電話やミーティングの時間を調整して、未然にトラブルを防いでいる」といったケース

もあった。

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

同社は、更なる女性活躍推進のために、「子どもを生み、育てながら仕事を続けられる働き

やすい会社”のステージから“子育てをしながら仕事を続けられる会社”“子どもを生み、育

てながらキャリアアップできる会社”のステージへ」として、「リーダー任用と人材育成強化」

や「生産性向上に向けた働き方の見直し」を計画している。

今後も短時間正社員の増加が見込まれる同社にとって、短時間正社員が「なんとか仕事と

生活を両立する」のではなく、短時間正社員であっても仕事での成果やキャリアアップを追

及していくことは喫緊の課題となっている。

短時間正社員の運用を円滑にするためには、短時間正社員制度の整備だけでは不充分で、

正社員の働き方や職場の業務見直しも同時に実施することが有効であることは、本報告書に

おいても紹介してきた。同社では、短時間正社員に限らず、職場全体が「時間当たりの生産

性」を意識した働き方を目指し、限られた時間の中でも確実に成果をあげていくための施策

を検討している。

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株式会社電通株式会社電通株式会社電通株式会社電通

■■■■従来従来従来従来からからからから働働働働きききき方方方方にににに応応応応じたじたじたじた柔軟柔軟柔軟柔軟なななな仕組仕組仕組仕組みをみをみをみを展開展開展開展開

株式会社電通では、2008 年より厚生労働省の「仕事と生活の調和推進プロジェクト」に参

画企業 10 社のうちの1社として参画する等、ワーク・ライフ・バランス(以下 WLB)の推進

活動に注力し、社会的気運の醸成に積極的に貢献してまいりました。

育児・介護休業法に基づく、電通の時短勤務「育児・介護勤務制度」については、労使一

体となり、制度の拡充に取組んでおり、育児勤務制度の取得可能期間を、1992 年には1歳に

なるまでであったのを、1994 年には1歳6か月になるまで、2002 年には3歳になるまでと、

段階的に対象範囲を拡大した経緯があります。その結果、現在では、子が3歳になるまで勤

務時間を1時間短縮し、1日6時間の勤務が可能です。また、介護事由では、対象家族1人

1事由につき連続6か月の取得が可能です。

諸制度の運用面では、産休・育休前または、介護休業前に、個別の説明会を行っています

が、育児・介護の両立支援に限定せず、イントラネット(「両立支援サイト」)、WLB に関する

小冊子配布(全社員)等を通じ、WLB の考え方・諸制度の浸透も図っています。

また、2005 年5月に両立相談課(現在は、組織改編によりキャリア・両立相談課に名称変

更)を設置し、仕事と生活の両立に悩む社員の相談に乗り、社員の生の声を収集し、制度改

正に反映させています。

■■■■制度制度制度制度のののの浸透浸透浸透浸透・・・・取得取得取得取得へのへのへのへの取組取組取組取組からからからから制度利用者制度利用者制度利用者制度利用者ののののモチベーションアップモチベーションアップモチベーションアップモチベーションアップのののの取組取組取組取組へへへへ

こうした施策の効果として、諸制度の社内での浸透や、3歳未満の子を育児中の社員(特

に育児休業から復帰した社員)の育児と仕事の両立がしやすくなった等の効果がみられます。

しかし、育児勤務制度適用者の担う役割は、「バックヤード的な業務」が主な役割となりがち

であるため、制度利用者のモチベーション向上に配慮した施策の検討に対する問題意識が、

社内で強くなっています。制度利用者のモチベーション向上については、現場での役割分担

等のマネジメントの高度化や、人事評価制度の運用面での見直し等が必要であるとの認識が

あり、こうした観点からも施策の検討に取り組んでいます。

■■■■短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員制度制度制度制度のこれからのこれからのこれからのこれから

上記の検討とともに、さらに、育児・介護・傷病等を事由とした制度(休職制度・短日勤

務等)の導入等、社員の働き方に対するニーズの多様化に応じた施策展開も視野に入れ、今

後とも施策検討・検証を積み重ねていきます。

一方、こうした働きやすい職場環境を作る上では、通常勤務者も含めた、職場全体での業

務の効率化は、根源的な課題とあるとの認識から、このテーマについても、今後とも全社的

な取組を推進していきます。

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日本日本日本日本アイアイアイアイ・・・・ビービービービー・・・・エムエムエムエム株式会社株式会社株式会社株式会社

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度へのへのへのへの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

日本アイ・ビー・エム株式会社では、1998 年以後、女性社員の活躍支援を積極的に行なっ

ており、その結果、女性社員比率が 13%(1998年当時)から 19%へと増加傾向にある。(※2008

年 12 月 31 日現在)また特に、女性社員の採用数増加と共に、ここ数年、出産休暇、育児休

職の取得者も増え、男女問わず育児と仕事を両立できる職場環境作りが重要になっている。

同社では日本でも比較的早期に、在宅勤務制度(2000年)と短時間勤務制度(2003年)を導

入してきた。特に在宅勤務については、グローバルの IBM グループ全体で促進しており、日

本でも 2009年5月に完全在宅勤務(週4日以上の在宅勤務を可とする)を導入している。

なお、同社では育児休業後すぐに在宅勤務をとるのではなく、休職中に途絶えていた仕事

上のネットワークを再構築し、復職をスムーズにするためにも、「育児休業→短時間勤務→在

宅勤務」といった流れで、短時間の勤務活用を勧めている。

現在の短時間勤務の利用実績は、育児 55名、介護3名。(※2008年 12月 31 日)制度の利

用可能期間は長く、「育児の場合、子が中学入学まで」、「介護の場合、1か月以上の介護を要

する場合に必要期間」となっている。

WLB関連施策は制度導入時にはよく周知するものの、継続的な広報ができていない企業

は多い。しかし、同社ではダイバーシティー推進の1つのイニシアチブである「Japan Women’s

Council」の活動を通じて、短時間勤務をはじめとする様々な施策について議論し、「会社の

制度を利用しながら、仕事と家庭を上手に両立する」という啓蒙活動を 20-30代の女性社員

向けに随時行っている。こうした社員の意識向上やさまざまな制度整備の実現によって、実

際に入社5~10年目の女性社員の定着率が向上するといった効果が出ている。

■■■■短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員のののの実際実際実際実際

同社の短時間勤務制度の特徴の一つとして、「週5日で所定労働時間の 20%or40%の短縮」、

「週3日 or4日の短日勤務」等の 15種類の勤務時刻・日数を設置していることが挙げられる。

しかし、「繁忙期や単発の家族事情に柔軟に対応できない」という課題があり、実際の運用に

おいては所属の上司と相談して、勤務時刻を柔軟にしているケースが散見された。

特に、介護の短時間勤務では、病院からの急な呼び出しや一緒に介護をしている家族のス

ケジュール等、本人だけでは調整不可能な事項も多く、勤務時刻をさらに柔軟にする要望が

聞かれた。そこで、現在「フレックス短時間勤務制度」の導入を検討している。

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

同社では、人材の多様化を図る上で、営業やサービスの現場での女性社員の育成と定着率

向上に積極的に取り組んでいる。この点から、育児中の社員でも責任ある仕事を担い、キャ

リアアップの意識を持つことが重要になっている。特に短時間勤務の利用に際しては、「上司

とよくコミュニケーションをとり、ライフプラン、キャリアプランを踏まえて計画的に利用

することが大切」としている。同社人事では、「制度に甘える」のではなく、「短時間勤務を

スムーズな職場復帰のためのツールと捉え、再びキャリアアップを目指す」という考え方を

ベースに、利用者やその上司に対して制度利用のポイントを説明している。

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丸紅株式会社丸紅株式会社丸紅株式会社丸紅株式会社

■■■■従来従来従来従来からからからからキャリアプランキャリアプランキャリアプランキャリアプラン・・・・ライフプランライフプランライフプランライフプランにににに配慮配慮配慮配慮したしたしたした施策施策施策施策をををを展開展開展開展開

丸紅では、多くの社員が在籍中に経験する重要なテーマである育児・介護について、その

様な一時的な事情を会社がサポートすることで、社員がライフイベントとの両立を図りなが

ら意欲的に仕事に取組み、継続的にキャリアを形成できるよう、2006 年に育児・介護関連制

度を大幅に拡充した。

短時間勤務制度についても 2006年に見直しを行った。育児事由では子が小学校3年生終了

まで、介護事由では事由が存在する限り、1日2時間まで勤務時間を短縮することができる。

運用面では、妊娠届(男性は育児休業届)を受理後速やかに、本人・直属上長・人事部に

よる3者面談を行い、出産・育児に関連する制度の概要や処遇・評価の考え方などについて、

自社で作成したハンドブックを用いて説明している。この面談により、職場ぐるみの制度の

正しい理解・運用や、中長期的な人員配置・業務分担の検討を促すほか、本人には復職後の

キャリアプラン・ライフプランをイメージし、よりスムーズな職場復帰のために前広に準備

を進めてもらうことを狙いとしている。上司が同じ場面で説明を聞き、制度を理解すること

は、本人の安心感にもつながっている。加えて、イントラネット等での情報提供、メール・

電話による相談コーナーの設置等、制度の社内浸透のために多面的な工夫を講じてきた。

また、従業員組合とも連携を図っている。2008 年には育児・介護を含むワーク・ライフバ

ランス全般についてタスクフォースを設置し、会社と組合が立場を超えて約半年に亘り議論

を重ね、具体策を纏める等、労使協働で制度の改善・浸透に努めている。

■■■■女性総合職女性総合職女性総合職女性総合職のののの増加増加増加増加によりによりによりによりキャリアキャリアキャリアキャリア支援施策支援施策支援施策支援施策のののの拡充拡充拡充拡充をををを検討検討検討検討

こうした取組もあり、育児・介護関連諸制度について、社員の理解が深まってきており、

利用者も増加している一方、課題もある。育児事由による制度利用について、これまでは一

般職の利用が大半だったが、近年の女性総合職の採用数増加により、今後、出産・育児期を

迎える女性総合職の増加が見込まれていることから、総合職・一般職双方におけるライフイ

ベントの視点を踏まえたキャリア支援施策の必要性が高まってきている。

■■■■「「「「継続的継続的継続的継続的・・・・意欲的意欲的意欲的意欲的ななななキャリアキャリアキャリアキャリア形成形成形成形成」」」」をををを目的目的目的目的にににに多面的多面的多面的多面的なななな施策施策施策施策をををを講講講講じるじるじるじる

こうした背景から、丸紅では更なるキャリア支援策の検討を進めている。

具体的には、「ライフイベントとの両立を図りながら、継続的・意欲的にキャリアを形成す

る」ことを目的に、短時間勤務中の社員および育休から復帰後1年以内の社員を対象に、年

1回のキャリアプラン申告時の上司面談を必須とし、本人・上司双方が、育児等ライフイベ

ントとの両立を踏まえ、中長期的視点でキャリアプランを話し合う場を作っている。また、

育休復帰前後の本人及び受入部署へのサポート強化等、ソフト面の施策拡充を検討している。

キャリア支援策の対象範囲は出産・育児期に限定したものではない。将来のライフイベン

トの可能性をイメージしながらキャリアを積むことが重要であるという考えから、若手社員

に対するキャリア支援策も強化している。具体的には、育成期 (入社後8年間)の総合職全員

に対し、年1回のキャリアプラン申告時の上司面談を実施しているほか、今後は、入社3年

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目研修において実施しているキャリア研修に、育児・海外赴任・グループ会社出向等多様な

経験を持つ先輩社員との座談会を追加する等、より中長期的に自身のキャリアプランを考え

るための新たな施策を検討中である。

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のこれからのこれからのこれからのこれから

前述の通り、近年採用数が増えた女性総合職が、まさにこれから結婚・出産・育児という

年齢になっていく。当社としては上述の施策を中心に、育児期にも継続的・意欲的にキャリ

アを形成できるよう、今後も積極的に施策の高度化を図っていく。また、介護を事由とした

制度利用についても、現時点では実際の利用者数は増えていないものの、潜在ニーズが高ま

ってきていると感じており、この点に関しても今後検討を継続していく予定だ。

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株式会社株式会社株式会社株式会社ヨックモックヨックモックヨックモックヨックモック

■■■■短短短短時間正社員制度時間正社員制度時間正社員制度時間正社員制度へのへのへのへの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

ヨックモックグループは、昨年設立 40周年を迎えた洋菓子メーカーで、代表商品のクッキ

ー「シガール」をはじめとした贈答用菓子の製造・販売を主に手がけている。グループを統

括する持株会社を中心に、販売会社・製造会社など計 10 社で構成されるが、今回は、女性社

員を多く抱える販売会社(株)ヨックモックについて取り上げた。

同社において従来、女性社員が結婚・出産を契機に退職することが一般的であったが、近

年その状況は変化している。主な理由は、この 10 年ほど力を入れている総合職(グループ基

幹社員)採用だ。採用者の男女比率は半々、それに伴って女性の職域も拡がり、今や同社の各

部門において実務の推進役として活躍していることから、全社的な年齢/等級構成を見た中

で、近い将来に女性の管理職比率が高まることは必至と考えている。また、店舗勤務の販売

職についても、現状よりも勤続年数を伸ばしながら、単なる販売員ではない、店舗運営業務

やサービスレベルの向上を担えるようなコア人材を育成する必要がある。以上の理由から、

女性のライフ・ステージを考慮して継続就業できる環境を整備することが同社の緊急課題と

なった。

出産・育児関連の制度については、法定通りに整備されていたものの、社員への周知や運

用場面の想定が不十分な部分もあった。今後女性の継続就業やキャリア・アップを本格的に推

し進め、それを実質的に可能にするために、育児支援のオプションの1つとして短時間正社

員制度の導入を検討することとした。

■■■■短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入のののの取組内容取組内容取組内容取組内容

今回の取組ではまず、短時間正社員制度についてのニーズや、導入に際しての課題を把握

するために、制度の利用が想定される社員やその上司、周囲の社員に対するグループ・インタ

ビューを実施した。その結果、男性社員のみならず制度の利用が想定される女性社員の間で

も制度の認知度や理解度は低く、また継続就業によりキャリア・アップを果たしたようなロー

ルモデルもいないため、見込まれる利用ニーズに対して、制度を利用しやすい雰囲気が醸成

されていないという実態が判明した。また、仕事の性質上、部門によって制度の利用のしや

すさが異なるという意見もあり、特に販売職による制度利用については、店舗内の勤務シフ

トの組み方や人員補充、業務分担の問題等多くの課題が挙げられた。

そこで、販売職による制度利用の可能性について、制度利用予定者へのヒアリングに基づ

く業務の棚卸を実施し、①業務内容、②業務スケジュール、③スタッフ間の業務分担の3つ

のポイントで仕事の配分見直し施策案を立案、施策案の有効性を検証するためのトライアル

を実施した。当初は、店舗での制度利用は様々な課題があり難しいのではと予想されていた

が、トライアルの結果、必要な対応を行えば業務に大きな支障を与えることなく制度が利用

できそうだと確認された。

トライアルの実施と並行して、制度設計にあたってより多くの意見を収集するために、全

社員を対象としたアンケートを実施した。アンケートは制度に対するより詳細なニーズを把

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握することができただけでなく、短時間正社員制度やその他のワーク・ライフ・バランス支援

制度に対する意識啓発としての絶好の機会となった。

こうして策定した制度案を提示し、より具体的にイメージができる中で再度グループ・イン

タビューを実施。制度内容に加えて、実際に職場で制度利用者が出た際の業務運営や管理方

法などについても、様々な立場から意見を収集した。制度導入後の円滑な運用に向けて、制

度利用に対する肯定的な雰囲気の醸成にもつながった。

■■■■短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

今回導入する短時間正社員制度の運用も含め、会社の描く女性活躍のビジョンを実現する

ためには、一人ひとりの社員に会社の目的や制度内容を浸透させ、真剣に考えてもらうこと

が重要である。そのために同社は現在、初の試みとして、全社員を対象にしたワーク・ライフ・

バランス支援制度全般に関するハンドブックの作成を行っている。制度内容の紹介だけでな

く、会社として社員のワーク・ライフ・バランスを支援する背景や目的についても丁寧に説明

し、社員の理解促進を進めていく予定だ。

また、短時間正社員制度の利用のしやすさが部門によって異なるという問題点に対しては、

特に販売員の店舗業務について、通常の仕事のやり方を改革する具体的なアクションが必要

だろう。単店レベルの一時的な問題解決でなく、根本的な全店共通の施策として、接客以外

の事務作業の軽減や効率化、業務分担の見直しといった業務改善を行い、制度利用しやすい

体制の確立を目指していく。

同時に、キャリア・モデルの構築も大きな課題であると考える。総合職についても販売職

についても、期待する長期的な先のキャリアを会社が明示し、その中で社員自身が何を目指

してどう働いていくのかを具体的にイメージさせたい。そのキャリアの中でワーク・ライフ・

バランス支援制度が活用され、長期的な戦力となる人材が育っていくことが理想とする姿で

ある。現在、評価制度を含めた人材活用の方針、および人事制度全般の見直しを行っている。

こうした取組を含め、今後は社員や現場をうまく巻き込みながら、女性だけでなくすべて

の社員がそれぞれに能力を十分に発揮して活躍できる職場環境を築いていきたい。

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川口工業総合病院川口工業総合病院川口工業総合病院川口工業総合病院

■■■■短時間短時間短時間短時間正職員正職員正職員正職員制度制度制度制度へへへへのののの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

川口工業総合病院は、埼玉県川口市にある中規模の急性期病院で、昭和 34年に地域の鋳物

組合や機械組合等が設立した健康保険組合の直営病院であるが、いまでは同組合の会員でな

い一般市民が受診患者の9割以上を占めている。職員 370名(パート含む。H21.10.1 現在)

に対し、病床数(一般)は 199床、施設基準(一般病棟入院基本料)は7対1である。

看護師を対象とする短時間正職員制度については、これまでは、制度の規定はあるが運用

ルールが定まっていなかったために、実質として導入できておらず、希望者に対して個別に

相談の上、対応している状況であった。しかし、出産を機に退職する看護師や、親の介護等

を理由に退職する看護師について、何とか辞めることなく仕事を続けてもらいたいと思った

こと、しかしながらその一方で、もし一度にたくさんの短時間勤務希望者が出ると対応しき

れないのではないかとの不安があったことから、あらためて、本病院の働き方の実態を踏ま

え、かつ他の病院・企業等の制度を参考として短時間正職員制度の運用ルールを策定するこ

ととした。

■■■■短時間正職員短時間正職員短時間正職員短時間正職員のののの実際実際実際実際

今回の事業では、まず、短時間正職員として働いている看護師の実態を把握することと、

現場のニーズや課題を把握するため、関係者への詳細なインタビュー調査を実施した。

その結果、看護師の間では、短時間正職員制度への認知度・理解度は低いものの、子ども

のいる看護師が家庭と仕事の両立を図って働くことに対しての配慮は当たり前のこととして

行われており、周囲も協力的であるという実態が把握できた。しかし、短時間勤務者が、常

勤看護師でありながら夜勤を免除されることについては、その分、夜勤が増える周囲の看護

師に負担感があること、短時間正職員本人も居心地の悪さを感じていることが分かった。ま

た、働き方の実態として、子どものいる非常勤は概ね希望する終業時間で帰ることができて

いるが、子どものいる常勤は、定時で帰ることを希望しながらも帰れないことも多く、定時

退出・夜勤免除のために非常勤(パート)を選択する者も少なくないことが分かった。

また、当病院には、これから出産・子育て期に入る若い年齢層の看護師だけでなく、比較

的年齢層の高いベテラン看護師も多いが、ベテラン看護師の間には、「若手は応援したい」が

看護の仕事が体力的にきつくなってきた「自分たちのつらさも分かって欲しい」という気持

ちが強くあることが、インタビューを進めるなかで浮かび上がってきた。

育児を理由とした短時間正社員制度の運用ルールの整備にあたっては、ベテラン看護師の

気持ちに配慮することが大切であり、また、周囲の看護師の納得の得られる運用の在り方を

考える必要があると思われたことから、次のステップとして病棟単位で話し合いの機会を設

け、ベテラン看護師を含むできるだけ多くの看護師に運用ルールについて検討してもらい、

制度設計への参加意識を持ってもらうように工夫した。

■■■■短時間短時間短時間短時間正職員正職員正職員正職員制度制度制度制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

こうした検討の結果、本病院では、将来的には育児・介護に限らず、すべての看護師がそ

れぞれの必要に応じて生活と仕事との両立をはかり、健康に配慮した働き方ができるような

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制度を導入・運用することを中長期的 WLB 推進方針として掲げつつ、短期的には、まずは育

児・介護と仕事との両立支援策を充実させることを目標とすることとした。

また、現場のニーズを踏まえ、短時間正職員制度の導入に先立ち、「夜勤専従正職員制度」

の導入および「夕方5時間パート」の導入・時給引き上げを 2010 年1月に、「日勤専従」の

導入を 2010年4月に実施する予定である。これらは、短時間正職員制度を導入することで手

薄になりがちな夜勤・準夜勤帯の人員確保にもつながるものと期待している。

短時間正職員制度導入自体については、2010 年4月の導入を目指しており、同時に、短日

正職員制度、準夜勤帯に限った理由を問わない短時間勤務制度も導入する予定である。

制度の対象者は、現場のニーズを踏まえ、①短時間勤務については、育児中または妊娠中

の者(子どもが小学4年の年度末迄、子どものメンタル面の事由等に関しては中学3年の年

度末迄、申請・取り消し OK)、日常的に介護の必要な3親等以内の高齢家族のいる者、健康上

の問題・体力面の不安により通常勤務が困難な者(10月くらいから導入したい)、②短日勤務

については、育児中または妊娠中の者(子どもが小学4年の年度末迄、子どものメンタル面

の事由等の関しては中学3年の年度末迄、申請・取り消し OK)、日常的に介護の必要な3親等

以内の高齢家族のいる者、自己啓発や地域活動等への参加目的(ただし将来的にはフルタイ

ム常勤可能な者。10 月くらいから導入したい)とし、基本給については、日勤との時間比例

で短縮分の給与を控除するものとした。賞与は、控除された基本給をベースに、通常勤務者

と同様の評価算出方法を用いて支給することとを考えている。

今回、取組を行ってよかったことは、具体的な制度の運用ルールを定めることができたこ

ともさることながら、制度の当面の対象者となる子育て期の看護師だけでなく、ベテラン層

や予備軍も含む幅広い年齢層の看護師が、制度の運用ルールをめぐって話し合う機会を持ち、

制度設計に参加意識を持つことができたことだと思う。将来的には、子育てに限らず、体力

や健康への配慮を理由とする短時間勤務についても認めていくという方向性を示すことで、

看護師全体にとって納得性の高い制度導入が可能になったことと評価している。

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社会医療法人財団石心会社会医療法人財団石心会社会医療法人財団石心会社会医療法人財団石心会 川崎幸病院川崎幸病院川崎幸病院川崎幸病院

■■■■短時間正職員制度短時間正職員制度短時間正職員制度短時間正職員制度へのへのへのへの取組取組取組取組のきっかけのきっかけのきっかけのきっかけ・・・・現状現状現状現状

川崎幸病院は、1973 年に開設され、川崎市幸区を中心に川崎市南部及び横浜市北部を

診療圏としている。急性期機能を強化充実するため、1998 年 9 月に一般外来を分離独立

させ 2001年には、急性期病院モデルとして神奈川県内初(全国で 9番目)の急性期特定

病院加算を取得して急性期病院としての基盤づくりを整備した。2005 年 4 月には救急部

を設置し、その後も高度医療センター化を進めている。次世代のスタッフ育成にも力を

入れており、2003年 10月には、臨床研修病院(管理型)に指定されている。

当院では、通常のフルタイム勤務が困難な事情を抱える看護師については、非常勤と

して、勤務時間の枠を設けず、働きたい時間や日数だけ働いてもらうようにしてきた。

中には週 1 日勤務の人や、子どもの夏休みの間は、休む人もいる。こうした柔軟な対応

を取っていることから、非常勤でも継続的に勤務してもらっており、定着はよい。

短時間正職員制度の導入は、2008年 12月である。ちょうどこの頃、元々非常勤で2

~3時間勤務だった人が、徐々に育児の時間が減り、3~4 時間ほど勤務できるようにな

ったり、介護を理由として退職を申し出る看護師が出始めてきていた。そのため、導入

当初は、「非常勤で働く看護師の正職員への転換促進」と「介護を理由とした離職の防

止」を主な目的としている。

実際に制度を導入すると、非常勤から転換して制度を利用する人や、介護のためフル

タイム勤務が困難となった人だけでなく、結婚・出産で他院を辞めて復職支援セミナー

や復職相談にきた中途採用の人にもニーズが多いことがわかった。当院に短時間正職員

制度があることをネットで知って、応募してくる人もいる。

■■■■短時間正職員短時間正職員短時間正職員短時間正職員のののの実際実際実際実際

短時間正職員制度は、現在は、1日4時間もしくは5時間勤務で週5日としており、

利用としては、半日の勤務となる4時間が多い。利用目的は、特に限定しておらず、利

用可能な期間も定めていない。フルタイム勤務と短時間勤務、常勤と非常勤との間の移

動も、本人の希望により、何度でも可としている。

基本給は、日勤専従職員との時間差分を控除している。賞与については、基本給をベ

ースにした上で、算出された額に 0.8 をかけていたが、現在、見直す方向である。

導入当初は、制度を説明する文書を配布し、管理職会議や病棟会議で周知をはかった。

給与が減額されていることで、同僚の納得は、ある程度得られている。また、当院は、

若い看護師も多く、常勤の夜勤専従者もおり、夜勤をすすんで希望する者もいることか

ら、日勤専従や短時間勤務が導入されることで、通常の勤務者の夜勤に対する負担感が

それほど大きくはならず、そうした点や、もともと非常勤を中心に多様な働き方を認め

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る雰囲気があったことなどが、職場での制度利用者のスムーズな受け入れにつながった。

■■■■短時間正職員制度短時間正職員制度短時間正職員制度短時間正職員制度のののの課題課題課題課題・・・・これからこれからこれからこれから

短時間正職員制度の導入に際して、非常勤と短時間正職員の業務の違いについて、あ

まり具体的な検討や位置付けが設定されていなかった。本事業に参加し、制度利用者の

意見を聴く中で、制度利用者が正職員として高いモチベーションを持っており、自分の

役割や将来のキャリアについて、やや不安を抱いていることがわかった。制度利用者の

モチベーションやプライドを保てるようキャリアビジョンや職務内容を明確にすること

を課題として、短時間正職員の運用を見直した。

短時間正職員の間は、管理職として働くことは困難だが、通常勤務に戻ってから管理

職へとキャリアアップしてもらうため、短時間正職員の間も、OJTや研修・委員会での参

加を通して、着実にスキルアップやモチベーションアップをはかっていくことが重要で

ある。OJTとしては、やはり、日頃の仕事における役割が重要であり、短時間であっても、

担当患者を持つことができるよう、病棟ごとに通常勤務者の仕事を洗い出し、部屋持ち

業務を短時間勤務の時間内で運用可能な形に設定をする試みも行った。ただし、今後も、

短時間勤務者だから、こういう業務をお願いしますというのではなく、配置される病棟

の人員構成や本人のスキルや経験、意向に応じて、その都度、病棟単位で検討していく。

上司と本人でよく話し合って目標設定を行い、設定された目標に対してきちんと評価

をしていくことも必要である。

また、当院でも、短時間正職員が増えれば、夕方の時間帯の人員不足は否めない。プ

ライマリ体制的に担当看護師だけで患者を持つのではなく、チームで患者を診る体制を

とっているので、短時間勤務者でも、受け持ち患者を担当する場合、リーダーや同じチ

ームのスタッフに引き継ぐようにしている。こうした引き継ぎや緊急対応によって業務

が後ろに押されることによる残業の発生等について、今後も、業務の見直しにより効率

化をはかっていく必要がある。

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ⅥⅥⅥⅥ....参考資料参考資料参考資料参考資料 ~~~~成果報告会成果報告会成果報告会成果報告会((((シンポジウムシンポジウムシンポジウムシンポジウム))))配布資料配布資料配布資料配布資料~~~~

1.基調講演(東京)

「短時間正社員制度の導入の意義と課題-WLB 職場を目指して」

佐藤 博樹(東京大学 社会科学研究所教授)

2.基調講演(大阪)

「なぜ今、短時間正社員が注目されるのか?」

脇坂 明(学習院大学経済学部教授)

3.参考資料(東京・大阪)

「短時間正社員制度による看護職のワーク・ライフ・バランス」

小川 忍 (社)日本看護協会 常任理事

4.参考資料(東京・大阪)

「短時間正社員制度を育児短時間勤務に活用する上での留意点」

厚生労働省

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1.「短時間正社員制度の導入の意義と課題-WLB 職場を目指して」

佐藤 博樹(東京大学 社会科学研究所教授)

短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの

導入導入導入導入のののの意義意義意義意義とととと課題課題課題課題

WLBWLBWLBWLB職場職場職場職場をををを目指目指目指目指してしてしてして

佐藤博樹佐藤博樹佐藤博樹佐藤博樹

東京大学社会科学研究所東京大学社会科学研究所東京大学社会科学研究所東京大学社会科学研究所

2010201020102010年年年年2月月月月

短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度

フルタイムの正社員より、所定労

働時間が短い(短時間、短日数な

ど)ながら、正社員としての待遇を得

られる(時間比例)働き方を選択でき

る制度

現状では短時間が主

1

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短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの類型類型類型類型

利用利用利用利用のののの目的目的目的目的

育児育児育児育児・・・・介護介護介護介護 育児育児育児育児・・・・介護介護介護介護++++αααα

一時的一時的一時的一時的aaaa 一時的一時的一時的一時的bbbb

期期期期 ((((目的目的目的目的からしてからしてからしてからして一時的一時的一時的一時的))))

間間間間 恒常的恒常的恒常的恒常的

****仕事仕事仕事仕事のののの管理面管理面管理面管理面ではではではでは、、、、一時的一時的一時的一時的aaaaがががが導入導入導入導入できればできればできればできれば一時的一時的一時的一時的bbbbもももも導導導導

入可能入可能入可能入可能。。。。

****恒常的恒常的恒常的恒常的なななな短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務::::有期契約有期契約有期契約有期契約のいわゆるのいわゆるのいわゆるのいわゆる非正規非正規非正規非正規のののの社員社員社員社員をををを

無期契約無期契約無期契約無期契約のののの社員社員社員社員にににに転換転換転換転換したしたしたした企業企業企業企業などになどになどになどに存在存在存在存在。。。。小売業小売業小売業小売業ののののロフロフロフロフ

トトトトなどなどなどなど。。。。

2

なぜなぜなぜなぜ短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入がががが必要必要必要必要

かかかか????

� 育児・介護休業法改正への対応

短時間勤務制度の措置義務化(子が3歳まで)

(1日の所定労働時間6時間を原則とする)

所定外労働時間免除(子が3歳まで)

� 短時間勤務だけでなく休業を含めて、ライフステージの

いくつかの段階において、従来型のフルタイム勤務以

外の働き方を必要とする社員の増加(時間制約のある

社員)

→採用から退職まで、休業せずにフルタイムで継

続的に勤務する社員の減少が確実視される

3

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短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入とととと

定着化定着化定着化定着化のののの条件条件条件条件

1、ルール作り

2、多様な働き方を前提とした職場管理、処遇制度、キャ

リア形成支援など

→ワークライフバランスワークライフバランスワークライフバランスワークライフバランスがががが実現実現実現実現できるできるできるできる職場作職場作職場作職場作りりりり

(WLB(WLB(WLB(WLB職場職場職場職場))))

3、制度利用者が生じた職場での具体的な対応:管理職

の役割

→1111とととと2222がががが、、、、3333のののの円滑化円滑化円滑化円滑化のののの条件条件条件条件

4

ルールルールルールルール作作作作りりりり

� ルール作り:制度を利用できる目的の範囲(法定か、法

定+α)、利用できる社員の範囲、利用できる期間、利

用中の処遇のあり方、利用開始・途中変更の手続きな

ど。

育児・介護休業法への対応

原則として所定労働時間6時間の制度を導入するこ

とで、それ以外の多様な短時間勤務が導入可能に

(短日勤務、7時間勤務、5時間勤務など)

5

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制度制度制度制度がががが円滑円滑円滑円滑にににに活用活用活用活用できるできるできるできる職場作職場作職場作職場作りりりり

� 通常の働き方の見直しが不可欠

→「社員の時間制約」を前提として職場管理

→長時間残業の解消、高い時間意識、

メリハリのある働き方の実現など

� 短時間勤務のルールを作成しても、通常の働き方の改

革ができないと短時間勤務は定着しない

6

制度導入の効果

� 通常の働き方の見直しの促進:WLBを実現できる職場

作り

� 処遇制度、評価制度の見直し:フルタイム勤務以外の

働き方や残業免除の働き方を含めた処遇、評価の見

直し

� キャリア形成支援のあり方の見直し:従来型のフルタイ

ム勤務を定年まで継続する勤務のあり方を想定した

キャリア形成の見直し

7

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3333つつつつのののの取取取取りりりり組組組組みからなるみからなるみからなるみからなるWLBWLBWLBWLB支援支援支援支援

【【【【1111階部分階部分階部分階部分】】】】

社員社員社員社員のののの「「「「時間制約時間制約時間制約時間制約」」」」をををを前提前提前提前提としたとしたとしたとした仕事管理仕事管理仕事管理仕事管理・・・・働働働働きききき方方方方のののの実現実現実現実現

仕事仕事仕事仕事にににに投入投入投入投入できるできるできるできる時間時間時間時間にににに制約制約制約制約のあるのあるのあるのある社員社員社員社員のののの増加増加増加増加

恒常的恒常的恒常的恒常的なななな長時間労働長時間労働長時間労働長時間労働をををを前提前提前提前提としたとしたとしたとした職場職場職場職場ではではではでは

WLBWLBWLBWLB支援支援支援支援はははは実現実現実現実現できないできないできないできない

【【【【2222階部分階部分階部分階部分】】】】

WLBWLBWLBWLB支援支援支援支援のためののためののためののための制度制度制度制度のののの導入導入導入導入とととと制度制度制度制度をををを利用利用利用利用できるできるできるできる職場作職場作職場作職場作りりりり

【【【【土台部分土台部分土台部分土台部分】】】】

多様多様多様多様なななな価値観価値観価値観価値観、、、、生生生生きききき方方方方、、、、ライフスタイルライフスタイルライフスタイルライフスタイルをををを受容受容受容受容できるできるできるできる職場作職場作職場作職場作りりりり

ライフスタイルライフスタイルライフスタイルライフスタイル・・・・フレンドリーフレンドリーフレンドリーフレンドリーなななな職場職場職場職場にににに

8

短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度ととととWLBWLBWLBWLB職場職場職場職場

� WLB職場× & 短時間正社員制度導入

→短時間正社員制度利用者数 = a 人→補助的な業務などに適用業務が限定されがち

→利用者のキャリア形成に関する不安

� WLB職場○ & 短時間正社員制度導入

→短時間正社員制度利用者数 = b 人

→基幹的な業務にも適用可能

→利用者のキャリア形成に関する不安の解消

a 人 > b 人

9

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配偶者の働き方と勤務時間の希望(「両立支援に係る諸問

題に関する総合的調査研究アンケート調査」(2009年2月調査)

11

10

○○○○ 短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員とはとはとはとは、、、、他他他他のののの正規型正規型正規型正規型ののののフルタイムフルタイムフルタイムフルタイムのののの労働者労働者労働者労働者((((※※※※))))とととと比較比較比較比較しししし、、、、そのそのそのその所定労働時間所定労働時間所定労働時間所定労働時間((((所定労働日数所定労働日数所定労働日数所定労働日数))))がががが短短短短

いいいい正規型正規型正規型正規型のののの労働者労働者労働者労働者であってであってであってであって、、、、次次次次のいずれにものいずれにものいずれにものいずれにも該当該当該当該当するするするする者者者者であるであるであるである。。。。

①①①① 期間期間期間期間のののの定定定定めのないめのないめのないめのない労働契約労働契約労働契約労働契約をををを締結締結締結締結しているしているしているしている者者者者

②②②② 時間当時間当時間当時間当たりのたりのたりのたりの基本給及基本給及基本給及基本給及びびびび賞与賞与賞与賞与・・・・退職金等退職金等退職金等退職金等のののの算定方法等算定方法等算定方法等算定方法等がががが同一事業所同一事業所同一事業所同一事業所にににに雇用雇用雇用雇用されるされるされるされる同種同種同種同種ののののフルタイムフルタイムフルタイムフルタイムのののの

正規型正規型正規型正規型のののの労働者労働者労働者労働者とととと同等同等同等同等であるであるであるである者者者者

※正規型のフルタイムの労働者:1日の所定労働時間が8時間程度で週5日勤務を基本とする、正規型の労働者

※企業内において、このような働き方を就業規則等に制度化することを指して、「短時間正社員制度」と呼んでいる。

~~~~短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員のののの例例例例~~~~

・・・・フルタイムフルタイムフルタイムフルタイム正社員正社員正社員正社員がががが、、、、育児育児育児育児・・・・介護介護介護介護、、、、自己啓発自己啓発自己啓発自己啓発、、、、病気病気病気病気からのからのからのからの復職等復職等復職等復職等のののの事由事由事由事由によりによりによりにより、、、、一時的一時的一時的一時的にににに短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務をするをするをするをする例例例例

・・・・パートパートパートパート労働者労働者労働者労働者がががが短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務のままのままのままのまま正社員正社員正社員正社員になるになるになるになる例例例例 等等等等

短時間正社員とは

○ 就業意識の多様化がみられる中、フルタイム

勤務一辺倒の働き方ではなく、ライフスタイライフスタイライフスタイライフスタイ

ルルルルややややライフステージライフステージライフステージライフステージにににに応応応応じたじたじたじた多様多様多様多様なななな働働働働きききき方方方方をををを

実現実現実現実現。。。。

○ 育児や介護をはじめ様々な事由によって就就就就

業時間業時間業時間業時間にににに制約制約制約制約があるがあるがあるがある人人人人たちにたちにたちにたちに就業就業就業就業のののの継続継続継続継続とととと

就業就業就業就業のののの機会機会機会機会をををを与与与与えることができるえることができるえることができるえることができる。。。。

○ 社員が定着しない、人材不足などで困ってい

るという企業の課題解決の一方策。

○ 優秀優秀優秀優秀なななな人材人材人材人材のののの確保確保確保確保・・・・有効活用有効活用有効活用有効活用をををを図図図図るるるる上上上上でででで、、、、大大大大

きなきなきなきな効果効果効果効果が期待。

注目されている理由

短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着にににに取取取取りりりり組組組組むむむむ事業主事業主事業主事業主にににに

対対対対しししし、、、、次次次次のののの支援支援支援支援をををを実施実施実施実施しているしているしているしている。。。。

○○○○ 短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金のののの支給支給支給支給

○○○○ 「「「「短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援ナビナビナビナビ」」」」によるによるによるによる情報提供情報提供情報提供情報提供

→→→→http://tanjikan.mhlw.go.jp/

○○○○ 短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入マニュアルマニュアルマニュアルマニュアルのののの配布配布配布配布

導入・定着支援策

短時間正社員の導入・定着支援

11

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2.「なぜ今、短時間正社員が注目されるのか?」

脇坂 明(学習院大学経済学部教授)

なぜ今、短時間正社員が注目

されるのか?

学習院大学 脇坂 明

2010.2.3 大阪

A.仕事のための時間

B.家庭のための時間C.自分のための時間

社会と関わるための時間

理理理理理理理理 想想想想想想想想

現現現現 実実実実

1

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2

現在:正社員(正規・フルタイム) とパート・派

遣などとの分極化

パート・派遣

正社員

拘束性

賃金な

高低

X 軸: 賃金、雇用保障など

Y 軸: 拘束性、柔軟性

3

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将来: 多様で柔軟な働き方のイメージ

パート・派遣

正社員

拘束性

高低

多様化

改善

X 軸:賃金、雇用保障 など

Y 軸:拘束性、柔軟性

賃金など

4

2008年調査年調査年調査年調査におけるにおけるにおけるにおける「「「「3タイプタイプタイプタイプ」」」」のののの短短短短

時間正社員時間正社員時間正社員時間正社員((((厚生労働省厚生労働省厚生労働省厚生労働省HP))))タイプタイプタイプタイプⅠⅠⅠⅠ:正社員から短時間正社員へ一時的に移

行するタイプ(育児、夜間大学)

タイプタイプタイプタイプⅡⅡⅡⅡ:正社員から短時間正社員へ恒常的に移

行するタイプ(定年延長、初めから)

タイプタイプタイプタイプⅢⅢⅢⅢ:パートから短時間正社員へ恒常的に移行

するタイプ

*いずれのタイプも、処遇はフルタイムの正社員と同等(時

間比例)であることが必要

5

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短時間正社員制度利用希望(正社員)

2001年調査

19.219.219.219.2

35.635.635.635.617.617.617.617.6

25.225.225.225.2

2.32.32.32.3利用したい

将来利用する可能性あ

利用したくない

わからない

無回答

6

利用したい理由(M.A.)

58.0

59.2

13.3

1.9

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0

7

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パートタイマーの短時間正社員制

度の利用希望

残業も転勤もフルタイム正社員と同様の「短時

間正社員制度」の利用希望(パートタイムマー)

17.1

43.1

6.7

33.2

利用したい

利用したくない

わからない

無回答

46.2

12

36

5.8

利用したい

利用したくない

わからない

無回答

残業や転勤がほとんどない短時間正社

員制度の利用希望(パートタイマー)

8

「仕事と生活の調和に関する調査」

(2006年6月;電機連合)調査名調査名調査名調査名調査名調査名調査名調査名 調査対象調査対象調査対象調査対象調査対象調査対象調査対象調査対象 配布枚数配布枚数配布枚数配布枚数配布枚数配布枚数配布枚数配布枚数 回収枚数回収枚数回収枚数回収枚数((((回収率回収率回収率回収率))))回収枚数回収枚数回収枚数回収枚数((((回収率回収率回収率回収率))))

AAAA票票票票AAAA票票票票 企業調査企業調査企業調査企業調査企業調査企業調査企業調査企業調査

本社人事部本社人事部 課長職以課長職以

上の方上の方

133133 101101 (75.9%)(75.9%)

BBBB票票票票BBBB票票票票 組合員調査組合員調査組合員調査組合員調査組合員調査組合員調査組合員調査組合員調査 一般組合員一般組合員 5,0005,000 4,3884,388 (87.8%)(87.8%)

CCCC票票票票CCCC票票票票 制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査制度利用者調査

組合員のうち、組合員のうち、過去5年過去5年

以内に育児休職から復以内に育児休職から復

職した方職した方600600 504504 (84.0%)(84.0%)

DDDD票票票票DDDD票票票票 管理職調査管理職調査管理職調査管理職調査管理職調査管理職調査管理職調査管理職調査

上記C票の方が上記C票の方が復職し復職し

てきた当時の上司てきた当時の上司

600600 501501 (83.5%)(83.5%)

9

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短時間勤務制度利用者短時間勤務制度利用者短時間勤務制度利用者短時間勤務制度利用者にににに対対対対してどのしてどのしてどのしてどの

ようなようなようなような評価評価評価評価をををを行行行行っていますかっていますかっていますかっていますか。。。。

• 時間当たりの成果で評価し、トータルとしての時間数が短いことは考えない

• 時間当たりの成果が同じでも、残業など時間の融通がきかないことをマイナスに評価する

• 仕事の内容を易しくしたことをマイナスに評価する• トータルの仕事の量を減らしたことをマイナスに評価する

• その他10

短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務のののの利用利用利用利用がががが、、、、昇進昇進昇進昇進・・・・昇格昇格昇格昇格

にににに与与与与えるえるえるえる影響影響影響影響についてについてについてについて

• 制度を利用したことで昇進・昇格が遅れるようなことになってはならない。

• 短縮時間の累積分だけは通常勤務の者と比べて昇進・昇格が遅れることは仕方がないが、それ以上遅れることに

なってはならない

• 短縮時間の累積分以上に昇進・昇格が遅れたとしても仕方がない。

• その他( )

• わからない

11

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育児休職前と比べた仕事の内容や量

短時間勤務 フルタイム勤務

N % N %

仕事内容は同じで仕事量も同程度 73 25.4 91 44.8

仕事内容は同じだが量は減らした 65 22.6 23 11.3

仕事内容を変えたが仕事量は同程度 64 22.2 49 24.1

仕事内容を変え仕事量も減らした 61 21.2 25 12.3

その他 25 8.7 15 7.4

計 288 100.0 203 100.0

12

短時間勤務中の評価について

(管理職/企業)

(%)

時間当たりの成

果で評価

仕事量を減らした

ことをマイナ

その他

時間当たりの成果で評価 62.0 45.8 66.0

融通がきかないことをマ

イナス

9.9 25.0 11.0

内容を易しくしたことを

マイナス

4.2 4.0

仕事量を減らしたことを

マイナス

15.5 20.8 10.0

その他 8.5 8.3 9.0

計 100.0 100.0 100.0

N 71 24 100

13

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88

A.Wakisaka

評価の結果

短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務 フルタイムフルタイムフルタイムフルタイム

高高高高くなったくなったくなったくなった 3.33.33.33.3 2.62.62.62.6

平均程度平均程度平均程度平均程度 52.352.352.352.3 46.846.846.846.8

低低低低くなったくなったくなったくなった 30.030.030.030.0 34.034.034.034.0

無回答無回答無回答無回答 14.414.414.414.4 16.716.716.716.7

計計計計 100.0100.0100.0100.0 100.1100.1100.1100.1

NNNN 243243243243 156156156156

14

育児育児育児育児やややや介護介護介護介護のためののためののためののための短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務のののの利用利用利用利用がががが、、、、昇進昇進昇進昇進・・・・

昇格昇格昇格昇格にににに与与与与えるえるえるえる影響影響影響影響についてについてについてについて

(%)

企業調査 管理職調査 利用者調査

制度利用により遅れてはならない 37.6 35.0 39.8

短縮分は遅れることは仕方がない 50.5 51.7 47.2

短縮分以上に遅れても仕方がない 2.0 6.7 6.3

その他 6.9 4.0 2.5

わからない 1.0 1.0 4.2

無回答 2.0 1.7

計 100.0 100.0 100.0

N 101 300 284

15

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パート・アルバイト社員の

均衡処遇から短時間正社員へ

16

パートの基幹的役割の増大

–職務が正社員とほとんど同じパートの増大業務内容だけでなく、能力、責任、権限含む

• 基幹パートの「いる」事業所42.5%(パート雇用事業所)うち48.5%が5割以上(2005)

従来正社員がやってきた仕事にパート等が組み込まれ、

基幹的な役割を持つ層が増大

17

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正社員正社員正社員正社員パートパートパートパート

これまで

補完

パート

基幹

パート

P1

P2

S1

S2

S3

S4

F1

F2

F3

F4

F5

これから

基幹型

パート

補完型

パート

パートタイマー

フルタイム

総合職

18

短時間正社員の導入事例(1)ー洋菓子製造等ー

• 経緯パートの中でも能力や会社への貢献度が高く、店

舗の店長を担うパート(50~60名)が出てきたことや、店舗におけるパートの割合が8割超と高い比率を占めることを背景に2002年にパートの処遇改定を行った。勤続年数と職務内容により、「シーズンパート」

=勤続1年未満のパート、「レギュラーパート」、「エキスパート」=リーダークラスのパートの3つに区分

19

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短時間正社員の導入事例(2)2007年「ショートタイム(ST)社員制度」導入フルタイム正社員が時間を短くするケースも

リーダークラスのパートも同じ社員区分。事由

や期間の限定はなく、ショートタイム社員とフ

ルタイム社員間では何度でも両区分間を行き

来することができる

20

短時間正社員の導入事例(3)@2007年10月の第1回ST社員への転換それまでのエキスパート(169名)を試験なしで転換。

@2008年度のST社員転換試験では、勤続3年以上のパート(419名)のうち、43名がエントリーし、5名が試験に合格。@フルタイム社員から転換したものは2008年末現在3名。

21

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具体的効果の違い(1):メリット(1)育児・介護

のみ

(n=366)

(2)短時間正社

(n=146)

(3)未導入

(n=2079)

(1)-(2) (1)-(3)

1優秀な人材を獲得できる 38.5% 43.8% 31.5% -5.3% 7.0%

2従業員の定着率が向上する 66.9% 67.1% 41.2% -0.2% 25.7%

3人材を有効に活用できる 47.3% 59.6% 49.1% -12.3% -1.8%

4女性従業員が継続就業するようにな

83.1% 70.5% 50.7%

12.5% 32.4%

5雇用の維持が可能になる 38.8% 55.5% 27.8% -16.7% 11.0%

6時間当たりの労働生産性が向上する 9.6% 20.5% 18.1% -11.0% -8.6%

7職場の業務効率化が進む 9.6% 24.7% 20.4% -15.1% -10.8%

8職場の長時間労働が改善される 9.8% 19.2% 20.6% -9.3% -10.8%

9採用費や教育訓練費を削減できる 11.2% 17.8% 13.3% -6.6% -2.1%

10従業員のモチベーションが向上する 22.1% 30.1% 18.2% -8.0% 3.9%

11従業員の会社に対する満足度が向上

する

40.2% 52.1% 23.4%

-11.9% 16.8%

12従業員のストレスが軽減される 12.0% 21.9% 14.8% -9.9% -2.7%

13外部(顧客や社会)に対するイメー

ジアップになる

17.2% 24.0% 10.1%

-6.8% 7.1%

14その他 .8% .7% .9% 0.1% -0.1%

15特にメリットはない 1.9% 4.1% 12.0% -2.2% -10.1%

22

具体的効果の違い(2):デメリット①

(仕事の進め方)

(1)育児・

介護のみ

(n=363)

(2)短時間

正社員

(n=145)

(3)未導入

(n=2060)

(1)-(2) (1)-(3)

1顧客や取引先との対応で支障が

生じる

20.9% 20.7% 28.5%

0.2% -7.6%

2打ち合わせや会議に支障が生じ

22.0% 22.8% 24.7%

-0.7% -2.6%

3職場の同僚に仕事の負担がかか

54.8% 45.5% 41.2%

9.3% 13.7%

4仕事の引き継ぎに支障が生じる 17.1% 22.8% 26.9% -5.7% -9.8%

5仕事の繁閑の対応が難しくなる 30.9% 31.7% 31.0% -0.9% -0.1%

6仕事の都合に応じた人の配置が

難しくなる

41.0% 38.6% 43.8%

2.4% -2.7%

7役割分担 または 仕事の分担

が複雑になる

28.7% 27.6% 41.3%

1.1% -12.6%

8職場内のコミュニケーションに

問題が生じる

11.3% 17.2% 24.3%

-5.9% -13.0%

9その他 1.9% .0% 2.0% 1.9% -0.1%

10特にデメリットはない 13.2% 18.6% 8.8% -5.4% 4.4%

23

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具体的効果の違い(3):デメリット②(処遇)

(1)育児・

介護

のみ

(n=346)

(2)短時間

正社員

(n=144)

(3)未導入

(n=2027)

(1)-(2) (1)-(3)

1賃金や退職金など、処遇

が複雑になる

42.2% 36.8% 67.7%

5.4% -25.5%

2人件費の配分や管理が複

雑になる

23.4% 26.4% 38.7%

-3.0% -15.3%

3目標設定の仕方や評価基

準の見直しが生じる

29.8% 34.0% 41.9%

-4.3% -12.2%

4異動が複雑になる 27.7% 23.6% 22.3% 4.1% 5.4%

5各職場に必要な人員数の

管理が複雑になる

36.7% 30.6% 35.9%

6.1% 0.8%

6人材育成が複雑になる 8.1% 8.3% 14.2% -0.2% -6.1%

7各従業員のキャリア管理

が複雑になる

12.1% 9.7% 16.0%

2.4% -3.9%

8その他 1.4% .0% 1.0% 1.4% 0.4%

9特にデメリットはない 18.8% 25.0% 9.1% -6.2% 9.7%

24

看護職員勤務状況

常勤看護職員離職率 12.6%

(06年度比 0.2ポイント上昇)新卒看護職員 9.2%

資料)2008年病院における看護職員需給状況等調査日本看護協会 N=3480病院

25

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短時間正職員制度導入状況

既に導入 17.7%、導入検討 18.9%

届出入院基本料別

7対1 20.1%;26.6%

10対1 16.4%;17.8%15対1 16.0%;12.5%

500床以上 29.5%;23.4%

99床以下 15.0%;11.2%

資料)2008年病院における看護職員需給状況等調査

26

大阪のある病院

医師確保の困難

院長が週30時間ならば就労可能な育児をしている女性医師を見つけることを契機に

30時間正社員制度を導入。医師だけでなく全職員に適用し、看護師の

利用増える。子育てのために退職を考え

ている看護師に、師長や部長が短時間正

社員を勧めている。

27

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95

女性ターゲット施策が病院組織を変え

る可能性

• 育児のための短時間勤務メニューの多様化から、育児・介護によらない短時間勤務の展

開へ

全体としての要員管理適正化と残業時間の縮減へ

研究時間の捻出

• 女性医師復職支援などから、地域医療の需給マッチングへ

28

病院の特徴

利益(収益)=収入ー費用

*収入の価格を動かせない。

民間企業も、それほどいつも価格競争に頼るわけ

ではない

*顧客の差別化の程度に限界

民間企業も顧客の受け入れやクレーム対応

*サービスの質の競争に違い?

29

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96

○○○○ 短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員とはとはとはとは、、、、他他他他のののの正規型正規型正規型正規型ののののフルタイムフルタイムフルタイムフルタイムのののの労働者労働者労働者労働者((((※※※※))))とととと比較比較比較比較しししし、、、、そのそのそのその所定労働時間所定労働時間所定労働時間所定労働時間((((所定労働日数所定労働日数所定労働日数所定労働日数))))がががが短短短短

いいいい正規型正規型正規型正規型のののの労働者労働者労働者労働者であってであってであってであって、、、、次次次次のいずれにものいずれにものいずれにものいずれにも該当該当該当該当するするするする者者者者であるであるであるである。。。。

①①①① 期間期間期間期間のののの定定定定めのないめのないめのないめのない労働契約労働契約労働契約労働契約をををを締結締結締結締結しているしているしているしている者者者者

②②②② 時間当時間当時間当時間当たりのたりのたりのたりの基本給及基本給及基本給及基本給及びびびび賞与賞与賞与賞与・・・・退職金等退職金等退職金等退職金等のののの算定方法等算定方法等算定方法等算定方法等がががが同一事業所同一事業所同一事業所同一事業所にににに雇用雇用雇用雇用されるされるされるされる同種同種同種同種ののののフルタイムフルタイムフルタイムフルタイムのののの

正規型正規型正規型正規型のののの労働者労働者労働者労働者とととと同等同等同等同等であるであるであるである者者者者

※正規型のフルタイムの労働者:1日の所定労働時間が8時間程度で週5日勤務を基本とする、正規型の労働者

※企業内において、このような働き方を就業規則等に制度化することを指して、「短時間正社員制度」と呼んでいる。

~~~~短時間正社員短時間正社員短時間正社員短時間正社員のののの例例例例~~~~

・・・・フルタイムフルタイムフルタイムフルタイム正社員正社員正社員正社員がががが、、、、育児育児育児育児・・・・介護介護介護介護、、、、自己啓発自己啓発自己啓発自己啓発、、、、病気病気病気病気からのからのからのからの復職等復職等復職等復職等のののの事由事由事由事由によりによりによりにより、、、、一時的一時的一時的一時的にににに短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務をするをするをするをする例例例例

・・・・パートパートパートパート労働者労働者労働者労働者がががが短時間勤務短時間勤務短時間勤務短時間勤務のままのままのままのまま正社員正社員正社員正社員になるになるになるになる例例例例 等等等等

短時間正社員とは

○ 就業意識の多様化がみられる中、フルタイム

勤務一辺倒の働き方ではなく、ライフスタイライフスタイライフスタイライフスタイ

ルルルルややややライフステージライフステージライフステージライフステージにににに応応応応じたじたじたじた多様多様多様多様なななな働働働働きききき方方方方をををを

実現実現実現実現。。。。

○ 育児や介護をはじめ様々な事由によって就就就就

業時間業時間業時間業時間にににに制約制約制約制約があるがあるがあるがある人人人人たちにたちにたちにたちに就業就業就業就業のののの継続継続継続継続とととと

就業就業就業就業のののの機会機会機会機会をををを与与与与えることができるえることができるえることができるえることができる。。。。

○ 社員が定着しない、人材不足などで困ってい

るという企業の課題解決の一方策。

○ 優秀優秀優秀優秀なななな人材人材人材人材のののの確保確保確保確保・・・・有効活用有効活用有効活用有効活用をををを図図図図るるるる上上上上でででで、、、、大大大大

きなきなきなきな効果効果効果効果が期待。

注目されている理由

短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度短時間正社員制度のののの導入導入導入導入・・・・定着定着定着定着にににに取取取取りりりり組組組組むむむむ事業主事業主事業主事業主にににに

対対対対しししし、、、、次次次次のののの支援支援支援支援をををを実施実施実施実施しているしているしているしている。。。。

○○○○ 短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金短時間労働者均衡待遇推進等助成金のののの支給支給支給支給

○○○○ 「「「「短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援短時間正社員制度導入支援ナビナビナビナビ」」」」によるによるによるによる情報提供情報提供情報提供情報提供

→→→→http://tanjikan.mhlw.go.jp/

○○○○ 短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入短時間正社員制度導入マニュアルマニュアルマニュアルマニュアルのののの配布配布配布配布

導入・定着支援策

短時間正社員の公的定義

30

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3.「短時間正社員制度による看護職のワーク・ライフ・バランス」

小川 忍 (社)日本看護協会 常任理事

1

短時間正社員制度による

看護職のワーク・ライフ・バランス

社団法人社団法人 日本看護協会日本看護協会

常任理事常任理事 小川小川 忍忍

<参考資料>

看護職:保健師、助産師、看護師、准看護師

就業看護職:全国で133万人

一方で、65万人が潜在看護職。

日本に暮らす人の100人にひとりが就業看護職

女性雇用労働者の20人にひとりが就業看護職

女性の看護職のうち、6割が既婚(離死別を含む)

既婚の看護職の8割が子どもあり。平均こども数

は、2.1人 (2006年日本看護協会「看護職員実態調査」による)

看護職の多くは「働くママ」看護職の多くが「働くママ」看護職の多くが「働くママ」

2

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看護職の就業状況

出典:宮﨑悟 中田喜文 「看護職員の潜在化動向とその要因」

ITEC Working Paper Series 08-08 September 2008 から作成

3

潜在看護職員の離職理由

看護管理者が把握している離職理由 潜在看護職員の離職理由

(上位10位) (上位10位)結婚 819819819819 39.139.139.139.1%%%%

子育て 709709709709 33.833.833.833.8%%%%

妊娠・出産 652652652652 31.131.131.131.1%%%%

他の職場への興味 623623623623 29.729.729.729.7%%%%

自分の健康 558558558558 26.626.626.626.6%%%%

定年 514514514514 24.524.524.524.5%%%%

配偶者の転勤 465465465465 22.222.222.222.2%%%%

自分の適性・能力への不安 444444444444 21.221.221.221.2%%%%

親族の健康・介護 394394394394 18.818.818.818.8%%%%

転居 290290290290 13.813.813.813.8%%%%

妊娠・出産 1093109310931093 30.030.030.030.0%%%%

結婚 1036103610361036 28.428.428.428.4%%%%

勤務時間が長い・超過勤務が多い 797797797797 21.921.921.921.9%%%%

子育て 790790790790 21.721.721.721.7%%%%

夜勤の負担が大きい 648648648648 17.817.817.817.8%%%%

自分の健康 597597597597 16.416.416.416.4%%%%

転居 575575575575 15.815.815.815.8%%%%

責任の重さ・医療事故への不安 542542542542 14.914.914.914.9%%%%

休暇が取れない 523523523523 14.414.414.414.4%%%%

配偶者の転勤 493493493493 13.513.513.513.5%%%%

資料:日本看護協会 2007年3月 4

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夜勤回数分布(2008年10月実績)

三交代・変則三交代の平均夜勤回数は8.5回であるが、月平均夜勤時間72時間を超える過酷な夜勤を

行っている者も多数存在しており、4人に1人は1か月の夜勤回数が10回以上であった。

【出典】 2008年 日本看護協会「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」(速報)

月10回(80時間)以上は

26.226.2%%

5

深夜勤

(8.5H)日勤

(8.5H)日勤

(8.5H)

シフト間隔約15時間 シフト間隔約7.5時間

実際はこの

間約9時間

日勤終了後残業(2時間)があったので、次の深夜勤入りまでは約4時間。急いで帰宅して、家族の面倒

を見て食事。仮眠はほとんど取れ

ないまま、再度出勤。

次の勤務(準夜勤)まで

の間は約30時間。

0:00 0:00 0:009:008:00

約4時間

通勤時間

病院看護師の3交代勤務の例病院看護師の3交代勤務の例

日勤(8:30~17:00)準夜勤(16:30~1:00)深夜勤(0:30~9:00)

勤務帯設定の例

3交代勤務する看護職員の約6割※

が、日勤後に深夜勤に

入る勤務パターンで勤務している。「日勤-深夜勤」の勤務

では、実質的に一昼夜以上にわたって十分な休息なく活動

することになる。

交代制勤務者の時間外労働は、ただでさえハードな勤務を

さらに過酷なものにしている。

※「2008年時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査(日本看護協会)」の事例

時間外労働

6

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100

15.815.815.815.8時間時間時間時間

20.720.720.720.7時間時間時間時間

21.321.321.321.3時間時間時間時間

24.224.224.224.2時間時間時間時間

26.026.026.026.0時間時間時間時間

26.726.726.726.7時間時間時間時間

31.731.731.731.7時間時間時間時間 31.631.631.631.6時間時間時間時間

10

15

20

25

30

35

0項目 1項目 2項目 3項目 4項目 5項目 6項目 7項目

時間外勤務と疲労の訴え

※「2008年時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査(日本看護協会)」 7

①朝起きたとき、ぐったりした疲れを感じる

②以前と比べて疲れやすい

③へとへとだ

④やる気が出ない

⑤ゆううつだ

⑥いらいらする

⑦物事に集中できない

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

ない 31.6% 12.8% 5.6% 4.3% 2.6% 0.9% 2.2% 1.1%

たまに 54.6% 53.8% 49.0% 42.1% 35.4% 28.4% 23.9% 12.4%

しばしば 10.2% 19.8% 29.9% 35.3% 34.5% 36.7% 26.9% 33.3%

いつも 3.6% 13.6% 15.6% 18.3% 27.5% 34.0% 47.0% 53.1%

0項目

(n=196)

1項目

(n=859)

2項目

(n=539)

3項目

(n=487)

4項目

(n=342)

5項目

(n=215)

6項目

(n=134)

7項目

(n=177)

疲労の訴えと医療事故への不安

※「2008年時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査(日本看護協会)」 8

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労働時間管理の課題の原因

※「2008年時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査(日本看護協会)」

看護職員の労働時間管理に課題があるとすれば、その原因はなんだと考えているか

(複数回答3つまで 回答者数計867人) 【管理者調査】

9

看護職の就業に影響する職場環境

(1)(1)医療環境の著しい変化と求められる役割・課題の重圧求められる役割・課題の重圧

日進月歩の医学、医療技術、救命率の向上、平均在院日数の短縮化、電子カルテ

医療安全、感染対策、経営改善、新人研修、QC活動、委員会・研究活動、人事評価

(2)スタッフの健康や労働法令に対する認識と労働条件(2)スタッフの健康や労働法令に対する認識と労働条件

恒常的なサービス残業。機能しない安全衛生委員会。給与・人員などの労働条件。

(3)緊張・ストレスの高い職場環境

医療事故に対する不安・緊張。患者・家族、上司・同僚との人間関係上のストレス

(4)労働安全衛生上のリスクの多さ

放射線、殺菌用紫外線、職業感染、ラテックスアレルギー、抗がん剤、針刺し、腰痛、放射線、殺菌用紫外線、職業感染、ラテックスアレルギー、抗がん剤、針刺し、腰痛、

患者・同僚及び第三者による犯罪・患者・同僚及び第三者による犯罪・暴力、ハラスメント暴力、ハラスメント、ストーカー、・・・、ストーカー、・・・

(5)夜勤労働、交代制勤務、長時間勤務などの慢性疲労

家庭生活や地域・社会生活との両立の難しさ。休憩や休暇がとれない。切迫流産、家庭生活や地域・社会生活との両立の難しさ。休憩や休暇がとれない。切迫流産、

睡眠障害、睡眠障害、メンタルヘルス、慢性疲労からくる心身への影響メンタルヘルス、慢性疲労からくる心身への影響

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どのように取り組めばよいのか

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※ トップのリーダーシップとボトムアップ

1)問題の把握・分析

「WLB index調査」「職務満足度調査」など

2)目標値の設定と対策づくり

実施体制の確立(プロジェクトの設置)

3)対策の実施

施設内外への公表・WLB大賞へ応募

4)対策の評価

「短時間正職員制度」の普及を!

短時間正職員制度は子育て支援だけで短時間正職員制度は子育て支援だけで

はなく、すべての年齢層のWLBに効果をはなく、すべての年齢層のWLBに効果を

発揮する!!発揮する!!

(1)心配するほど人件費は増えない。採用・研修コストなど削減。(1)心配するほど人件費は増えない。採用・研修コストなど削減。

(2)プラス配置で職員の不満解消。残業代削減とサービス増へ。(2)プラス配置で職員の不満解消。残業代削減とサービス増へ。

(3)給与は時間比例。勤務時間の長短だけで能力評価しない。

※改正育児・介護休業法の施行

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上乗せ

横出し

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ワーク・ライフ・バランスの意義

スタッフスタッフスタッフスタッフのののの幸福幸福幸福幸福

生生生生きがいきがいきがいきがい

働働働働きがいきがいきがいきがい

専門性専門性専門性専門性のののの向上向上向上向上

スキルアップスキルアップスキルアップスキルアップ

患者患者患者患者、、、、スタッフスタッフスタッフスタッフからからからから

選選選選ばれるばれるばれるばれる病院病院病院病院へへへへ

地域地域地域地域のののの信頼獲得信頼獲得信頼獲得信頼獲得

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病院病院病院病院のののの理念理念理念理念のののの実現実現実現実現

Page 108: 短時間正社員制度導入の手引き - mhlw · 4 なお、平成20 年度に実施された調査では、短時間正社員制度のタイプⅠを導入してい る企業は17.5%、タイプⅡは4.0%、タイプⅢは1.1%であり、他に「制度はないが運

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4.「短時間正社員制度を育児短時間勤務に活用する上での留意点」

厚生労働省

短時間正社員制度を育児短時間勤務に活用する上での留意点

厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

昨年6月に改正された育児・介護休業法で義務化された短時間勤務制度は、法令により、

その内容について一定の要件が課せられています。短時間正社員制度をこの短時間勤務制

度として活用する場合には、同法により定められた要件を満たすことが必要です。

《《《《主主主主ななななポイントポイントポイントポイント》》》》

(1) 短時間勤務制度の対象となる労働者 (→P.2、P.3参照)

→ 3歳に満たない子を養育する労働者

(2) 短時間勤務制度の内容 (→P.4参照)

→ 1日の所定労働時間を原則として6時間(5時間45分~6時間)とする措置を含む制度を導入

(3) 短時間勤務制度の手続 (→P.5参照)

→ 育児・介護休業法に定める他の制度に関する手続きも参考にしながら適切に定めることが必要

(4) 不利益取扱いの禁止 (→P.6参照)

→ 短時間勤務制度の申出や適用を受けたことによる不利益な取扱いの禁止

1

<参考資料>

○ 短時間勤務制度の対象となる労働者は、次のすべてに該当する労働者です。

(1) 短時間勤務制度の対象となる労働者(1) 短時間勤務制度の対象となる労働者

※1か月又は1年単位の変形労働時間制の適用される労働者については、

「1日の所定労働時間が6時間以下」とはすべての労働日の所定労働時間が6時間以下であることをいい、

対象となる期間を平均した場合の一日の所定労働時間をいうものではありません。

① 3歳に満たない子を養育する労働者であること。

② 1日の所定労働時間が6時間以下(※)でないこと。

③ 日々雇用される者でないこと。

④ 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。

⑤ 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。

対 象

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○ 本来、短時間勤務制度の対象となりうるものの、労使協定により短時間勤務制度

の対象外とすることができる労働者は以下の通りです。

ア) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者

イ) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

ウ) 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずること

が困難と認められる業務に従事する労働者

【注】 ウ)については、例えば改正法の施行前に既に1日6時間の短時間勤務制度が導入されている場合

など、短時間勤務制度を講ずることが客観的にみて困難と認められない業務については、制度の対象外

とすることはできません。

※短時間勤務制度が、働きながら子育てをすることを容易にするための措置であるという

育児・介護休業法の趣旨を踏まえ、労使の工夫により、できる限り適用対象とするよう努め

ましょう。

適用除外とされうる労働者

3

○ 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則原則原則原則としてとしてとしてとして6666時間時間時間時間とする措置を含むも

のとしなければなりません。

○ 「原則として6時間」とは、所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とする

ことを原則としつつ、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定

労働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間

45分から6時間までを許容する趣旨です。

○ なお、1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、そのほか、例えば1日の所定

労働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置など所定労働時

間を短縮する措置を、あわせて設けることも可能であり、労働者の選択肢を増やす望ましいも

のといえます。

(2) 短時間勤務制度の内容(2) 短時間勤務制度の内容

4

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○ 短時間勤務制度の適用を受けるための手続きについては、一義的には事業主

が定めることが可能ですが、適用を受けようとする労働者にとって過重な負担を求

めることにならないよう配慮しつつ、育児休業や所定外労働の制限など育児・介護

休業法に定める他の制度に関する手続も参考にしながら適切に定めることが求め

られます。

○ このため、例えば、育児休業等と同様に、短時間勤務制度の適用を受けるため

には1か月前までに申し出なければならない、とすることは、問題ないと考えられます。一方、適用期間を1か月単位とすることは、他の制度が基本的に労働者の申し出た期間について適用されることを踏まえれば、適当でないと考えられます。

(3) 短時間勤務制度の手続(3) 短時間勤務制度の手続

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○ 短時間勤務制度の適用を申し出たことや、制度の適用を受けたことを理由とし

て、解雇、雇い止め、減給等の不利益な取扱いを行うことは、育児・介護休業法

で禁止されています。

○ 例えば、短時間勤務中の現に働かなかった時間について賃金を支払わないこ

とや、賞与の算定に当たり勤務日数を考慮する場合に、短時間勤務制度により

短縮された時間分を算定基礎に含めないことは不利益な取扱いには該当しませ

んが、短縮された時間分を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、不利益

な取扱いに当たると考えられます。

(4) 不利益取扱いの禁止(4) 不利益取扱いの禁止

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※ これらは育児・介護休業法に定める最低基準であり、各事業所においてこれを

上回る制度とすることは望ましいものです。

※ これらの改正規定については、平成22年6月30日(ただし、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については平成24年6月30日(予定))から施行されます。

そのほか、詳細については、厚生労働省ホームページをご覧ください。

改正育児・介護休業法

http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html短時間正社員制度導入支援ナビ

http://tanjikan.mhlw.go.jp/

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