米国資産運用ビジネスの現状と課題 - 公益社団法人 日本証券...
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©日本証券アナリスト協会 2011� 39
はじめに
リーマンショックに端を発した金融危機以降の
3年間は、米国資産運用ビジネスにとって特に厳
しい環境であった。この間のビジネス環境の激変
ぶりは、その規模と速度において、どの資産運用
会社にとっても未曾有のものであり、各社の経営
陣は今後の資産運用ビジネスの展望が描きにくく
なっている。本稿では、グリニッチ・アソシエイ
ツが最近主催した2つのコンファレンス(注1)
での話題や、同社が毎年行っている米国資産運用
サーベイ(注2)の結果を基に、米国資産運用会
社が現在直面している課題点をいくつか挙げ、そ
うした課題点に対応するために役立つと思われる
米国資産運用会社は、収益性の悪化に伴い、経営効率の見直しを迫られている。資産運用残高(AUM)の増
加が難しくなりつつある状況下では、限られた資源の有効活用とコスト管理が重要である。また、顧客である機
関投資家のニーズにも変化が生じており、そうした変化に対応するため運用会社は戦略の見直しが必要となって
いる。資産運用ビジネスの現況と今後を考えた場合、アドバイザーとしての役割の強化を含むサービスモデルが
有効である。
はじめに
1.資産運用ビジネスの収益性悪化2.機関投資家ニーズの変化3.成長に向けてのビジネスモデル
目 次
米国資産運用ビジネスの現状と課題―今後の成長に向けたサービスモデル―
住 吉 富 夫デバロー A.クリフォード
住吉 富夫(すみよし とみお)
グリニッチ・アソシエイツ マネジング・ディレクター。上智大学外国学部卒業。同大学
院言語学博士課程修了。コロンビア大学大学院社会学修士。コロンビア大学講師、米資産
運用会社を経て1996年よりグリニッチ・アソシエイツ・ジャパン代表取締役。資産運用、債券・株、外国為替におけるコンサルタント。
デバロー A.クリフォード
グリニッチ・アソシエイツ マネジング・ディレクター。ノースウエスタン大学卒業。イ
エール大学大学院化学部博士課程修了。ノースウェスタン大学ケロッグスクールにて
MBA取得。ファースト・ボストン、マッキンゼーを経て1998年より現職。資産運用、債券におけるコンサルタント。
資産運用ビジネスの将来性について