歴史的建造物の補修・再生に 関する研究 - 近畿大学...n1 x z n1 n2 n3 x y 東 西...
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歴史的建造物の補修・再生に関する研究
広島における被爆建物の調査研究
建築材料研究室 菅野 寛季
内容
• 旧陸軍被服支廠倉庫の現地調査
• 過去の調査結果の整理
調査建物概要
• 所在地 : 広島市南区出汐2丁目4-60
• 竣工年 : 1913年(大正2年)8月
• 構造 : RCラーメン造3階建て 煉瓦張り
• 爆心地からの距離 : 南東 2.7 km
• 旧陸軍被服支廠倉庫は国内最古級のRC造、かつ被爆建物であり歴史的価値が高い。
• 戦後すぐは学校の教室として使用され、1956年頃からは日通倉庫や広島大学の学生寮としても使用された。(学生寮だったのは一番南側の4号棟で、内部には居室や浴室が設けられていた)
特徴
• レンガ造とRC造の複合構造。
• レンガ壁と梁の接合部には鉄筋が入っておらず、一体化していない。
• 外周壁部は杭をもつ基礎梁で連続して存在しているが、内柱部は独立杭基礎となっている。
• 原爆による火災は発生していない。
計測方法• 無線式加速度センサーを3台用意し、各階に1個ずつ設置後、10分間計測した。
これを計7か所について、行った。
①⑥ ④⑦ ③⑤ ②
N3 xz
N2 xz
N1 xz
N1N2N3
x
y
西東
北南
計測結果
①北側 妻面でのフーリエスペクトル ⑦南側 妻面でのフーリエスペクトル
• この建物の固有周期である0.34secでは北側、南側ともにピークが見られた。
• 北側壁面のフーリエスペクトルには0.66secで再びピークが見られた。
コンクリートの中性化調査位置 中性化深さ[㎜]
1階・柱 61.0
2階・柱 66.0
3階・梁 18.0
基礎 0
コンクリート強度
採取位置圧縮強度[N/㎟]
平均値[N/㎟]
1F・柱18.8 18.1 16.8
17.9
2F・柱17.2 19.8 16.4
17.8
3F・梁26.7 33.4 27.1
29.1
基礎26.7 37.0 30.5
31.4
1階 平面図
3階 平面図
2階 平面図
被り厚
調査位置
被り厚[㎜]
モルタル 主筋
X方向 Y方向 X方向 Y方向
1階・柱 11 7 58 45
2階・柱 5 7 51 43
3階・柱 9 6 41 28
モルタル
Y方向
X方向
まとめ• 陸軍被服支廠倉庫の微動計測
• 耐震性に関して、基礎となるデータの整理
• 戦争の歴史、原爆の破壊力を建築を通して、五感で感じること
が出来る貴重な資料である。原爆ドームと同様の情熱を持って
保存に取り組むべきである。