災害事例で危険の感受性を高めよう...ヒューマンエラーとは何か...

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特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー イラストで見る災害事例と防止対策 イラストで見る災害事例と防止対策 イラストで見る災害事例と防止対策 災害事例で危険の感受性を高めよう 「面倒だから近道しよう」などといった 甘い状況判断から、注意事項やルールを 破り被災するケースは多い。 国土交通省は平成16年4月、ヒューマ ンエラーの要素を別表の13項目に分類・ 公表し、複数の要因が相互に関連して災 害が起こる場合もあると指摘している。 不注意(ついうっかり、ぼんやり)は 人間特性から生ずるヒューマンエラーで あるが、ミスした者に「気をつけなさい」 と言っても、同じようなミスが再発しな かなか解決には至らない。では、どのよ うに対処すれば良いのだろうか。 「不注意は原因ではなく、結果である。 不注意を招いた原因を究明することが重 要である」といわれ、心理学では、人間 設備や機械・器具などに安全装置を取 り付けても、それを守るべき“人”が守 らなければ事故・災害を起こしてしまう。 近年、建設業界では労働災害を撲滅す るには、安全施設・設備の充実といった 従来の対策に加え、人間の持つ心理的欠 陥、特性から生まれる不安全行動やヒュ ーマンエラー対策に取り組むことが課題 であるといわれている。 ヒューマンエラーとは、人間のミス (人為ミス)による誤認や誤作動、行動 ミスのことをいう。労働災害の原因を探 ると、ほとんどヒューマンエラーによる ものである。 「すぐに終わるからいいだろう」、「昨 日も大丈夫だったから今日も安全だ」、 建設労務安全 19・8 ◆ヒューマンエラーとは何か ◆13項目のヒューマンエラー要素 人間のミス=ヒューマンエラーが引き起こす事故・災害は後を絶 たない。本稿では、ヒューマンエラーをどう捉え、どのように対処 すべきなのか考察するとともに、主な三大災害事例をイラストで紹 介する。危険の感受性を高めていただければ幸いである。(編集部)

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Page 1: 災害事例で危険の感受性を高めよう...ヒューマンエラーとは何か 13項目のヒューマンエラー要素 人間のミス=ヒューマンエラーが引き起こす事故・災害は後を絶

特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー 特集 三大災害とヒューマンエラー

イラストで見る災害事例と防止対策 イラストで見る災害事例と防止対策 イラストで見る災害事例と防止対策

災害事例で危険の感受性を高めよう

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「面倒だから近道しよう」などといった

甘い状況判断から、注意事項やルールを

破り被災するケースは多い。

国土交通省は平成16年4月、ヒューマ

ンエラーの要素を別表の13項目に分類・

公表し、複数の要因が相互に関連して災

害が起こる場合もあると指摘している。

不注意(ついうっかり、ぼんやり)は

人間特性から生ずるヒューマンエラーで

あるが、ミスした者に「気をつけなさい」

と言っても、同じようなミスが再発しな

かなか解決には至らない。では、どのよ

うに対処すれば良いのだろうか。

「不注意は原因ではなく、結果である。

不注意を招いた原因を究明することが重

要である」といわれ、心理学では、人間

設備や機械・器具などに安全装置を取

り付けても、それを守るべき“人”が守

らなければ事故・災害を起こしてしまう。

近年、建設業界では労働災害を撲滅す

るには、安全施設・設備の充実といった

従来の対策に加え、人間の持つ心理的欠

陥、特性から生まれる不安全行動やヒュ

ーマンエラー対策に取り組むことが課題

であるといわれている。

ヒューマンエラーとは、人間のミス

(人為ミス)による誤認や誤作動、行動

ミスのことをいう。労働災害の原因を探

ると、ほとんどヒューマンエラーによる

ものである。

「すぐに終わるからいいだろう」、「昨

日も大丈夫だったから今日も安全だ」、

建設労務安全 19・8

◆ヒューマンエラーとは何か

◆13項目のヒューマンエラー要素

人間のミス=ヒューマンエラーが引き起こす事故・災害は後を絶

たない。本稿では、ヒューマンエラーをどう捉え、どのように対処

すべきなのか考察するとともに、主な三大災害事例をイラストで紹

介する。危険の感受性を高めていただければ幸いである。(編集部)

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日頃から互いに声をかけ合い、コミュ

ニケーションを図り、チームワークを確

立しておくことが必要なのである。最近、

元請各社で“ひと声かけ運動”を提唱し

ているのはそのためだ。

労働災害を防止するためには、危険の

芽を事前に探して、事故が起こる前に手

を打っておく、リスクアセスメント(危

険性または有害性等の調査の実施と、そ

れに基づいたリスクを低減・除去する措

置を講じること)の実施が望まれる。

リスクアセスメントを実効あるものと

するためには、危険予知訓練(KYT)

により危険に対する感受性を高めておく

ことが必要だ。次頁から三大災害の事例

シートを一部紹介する。実作業でも、作

業を始める前に“一人KY”を実践し、

危険の芽を取り除くことが肝要である。

側(内的要因=ヒューマンファクター)

と環境側(外的要因)に分けて考えるこ

とを促している。

不注意を生じさせやすい人間側の状況

として、例えば、昨日も、一昨日も大丈

夫だったから今日も大丈夫だろうという

〈思い込み〉や〈危険軽視・油断・慣れ〉

による作業の取り組み方への惰性が挙げ

られる。

不注意を起こしやすい環境側の状況と

しては、作業の変化が少なく、同じ動作

を反復継続することによって飽きたりし

て注意力が散漫になる〈単調作業におけ

る意識低下〉などが挙げられる。

安心感の得られる安全対策を目指しつ

つも、“安心し過ぎ”は気の緩みにつな

がり、リスクに対する感受性を鈍らせる

ため、安心感に溺れることなく、適度な

緊張感を持つことがヒューマンエラーの

防止につながると心得たい。

元請職員と職長、職長と作業員、作業

員同士など、互いの心が通じ合い、良い

人間関係が保たれていなければ、チーム

ワークは乱れ、仲間意識も薄れて勝手に

ルールを無視する者が出てくる。

不安全行為を発見しても、注意せずに

“見て見ぬふり”をし、1人だけでなく

次第に〈集団心理〉が生まれ、違反行為

が現場全体に広がる恐れがある。

また、〈連絡不足〉の原因を探ると、

コミュニケーションが十分取れていない

ケースが少なくない。

建設労務安全 19・8

◆日頃のコミュニケーションが重要◆KY活動でリスクアセスメントを

①無知・未経験・不慣れ②危険軽視・油断・慣れ③不注意④連絡不足⑤集団心理⑥近道・省略行動本能⑦場面行動本能⑧パニック⑨錯覚⑩中高年の機能低下⑪疲労⑫単調作業における意識低下⑬心配ごと

別表 ヒューマンエラー要素

§三大災害とヒューマンエラー

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事例①

10 建設労務安全 19・8

事故の型 墜落・転落

建枠を伝って降りる途中、足を滑らせて墜落

防止対策

発生状況

職種 鳶工 32歳12年経験 年齢

昼休みになり、被災者は昇降階段を使わずに建枠を伝って降りる途中、足を滑らせ

墜落し、骨盤と足首を骨折した。

作業開始前に職長から、階段以外の設備の通行禁止の指示を受けていた。

近道行為の典型的な例である。禁止事項を守らなかったことが原因だが、同種の災

害事例は多い。

経験年数10年以上であれば、その危険性は十分に承知していたはずである。

“自分だけは大丈夫”という経験からの過信と、早く昼食を食べたいと気がせいて

近道への本能的行動を止められなかったと考えられる。

防止対策として、外部に垂直養生網・安全ネットを張るなど、建枠を伝って降りら

れない措置を施すことが挙げられる。

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11建設労務安全 19・8

事例② 事故の型 墜落・転落

雨で足が滑り、筋かいの隙間から墜落

防止対策

発生状況

職種 鳶工 46歳25年経験 年齢

被災者は、枠組み外部足場の6層目で、7層目の布板を取り外した際に足を滑らせ、

筋かいと布板の三角形の隙間から約10m墜落し、死亡した。

当日は朝から小雨が降り、次第に強くなっていた。

枠組み足場の筋かいと布板でできる三角形の部分は、しゃがむと落ちる大きさで、

手すり部材を筋かいに取り付けると墜落防止に効果的である。

また、垂直養生網・安全ネットを張ると、墜落防止に効果がある。さらに、筋かい

や端部の補剛材からの昇降防止(近道行為の阻止)にも役立つ。

布板をはじめ、梯子や脚立などの踏み桟は濡れると大変滑りやすく、靴底に泥が付

着している場合には一層滑りやすくなる。そのため、雨天の日は滑りにくい安全靴に

履き替えたり、こまめに靴底の泥を払い落とす用心さが必要だ。

さらに、大雨が予想されるときは、足場の組立て・解体作業を中止する。

§三大災害とヒューマンエラー

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12 建設労務安全 19・8

事例③ 事故の型 墜落・転落

屋上で床開口部の断熱材を踏み抜き墜落

防止対策

発生状況

職種 型枠工 42歳20年経験 年齢

被災者は、3階屋上の換気塔設置位置の床開口部上に仮置きした型枠材をクレーン

で搬出作業中、開口部の打ち込み用発泡断熱材に足を乗せ、断熱材が割れて墜落し、

死亡した。

被災者は、“玉掛け用ワイヤロープを取ること”の一点だけに集中し過ぎたあまり、

足元の状態に注意を払うことを忘れてしまったのである。類似災害として、開口部の

縁につまずくことも予想される。作業中は常に周囲の状況に目を配り、危険要因がな

いか確認する必要がある。

また、開口部周りには囲いなどの措置が必要である。困難であれば水平ネットを張

り墜落災害を防止する。

さらに、作業指揮者を配置し、作業を監視させることも有効である。

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13建設労務安全 19・8

§三大災害とヒューマンエラー

事例④ 事故の型 墜落・転落

カラビナが破損し安全帯のフックが外れて墜落

防止対策

発生状況

職種 大工 41歳18年経験 年齢

被災者は、住宅2階の窓の囲いを取り付けるため、腰ベルト型1本つり専用安全帯

のロープを鋼管足場に掛け回し作業を行っていた。

D環に取り付けた工具取付用のカラビナに安全帯フックを掛け、体重を掛けたとこ

ろ、カラビナが破損しフックが外れて墜落し、死亡した。

被災者は、カラビナの使用は常時行っていたと考えられる。危険軽視、慣れ、過信、

悪習慣などのヒューマンエラーによるものである。

カラビナは登山用具で、ロープの通し方を間違えるとカラビナのゲートが開いてし

まう。胴ベルト型1本つり専用安全帯で、フックをベルトや付属物(カラビナ等)に

取り付けて使用することは禁止されている。

また、事例のような使い方をするには、1本つり専用安全帯でのU字つりは禁止し、

U字つり専用安全帯または1本つり・U字つり兼用安全帯を使用することである。

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14 建設労務安全 19・8

事例⑤ 事故の型 墜落・転落

スリーブ上に設置した立馬が傾き転落

防止対策

発生状況

職種 配管工 24歳1年経験 年齢

被災者は、立馬(高さ1.75m)に上り、空調設備の配管作業を行っていたところ、

立馬の足が床面のスリーブ孔に落ちて傾き、バランスを崩して後ろ向きに転落し、骨

盤を骨折した。

被災者は、経験年数1年と短いため(無知、経験不足)、作業開始前に周囲の状況

を確認せずに立馬を設置したと考えられる。作業を始める前には必ず周囲の状況を確

認するよう教育指導することが必要である。

床スリーブ孔は危険防止のため、蓋や覆いを被せる。しかし、蓋が薄い金属板や合

板などの強度が弱いと、立馬や脚立などの足が抜け落ちるため、堅固なもので孔を塞

ぐ必要がある。

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15建設労務安全 19・8

§三大災害とヒューマンエラー

事例⑥ 事故の型 激突され

運転者の体が操作レバーに触れバケットが作業者に激突

防止対策

発生状況

職種 土工 37歳9年経験 年齢

道路の側溝新設工事で、ドラグショベルのオペレーターが運転席から身を乗り出し

たところ、体が操作レバーに触れ、バケットが掘削溝で均し作業を行っていた被災者

に激突した。

オペレーターは掘削個所の状況をよく見ようとして、運転席から身を乗り出した。

類似災害として、オペレーターの作業衣が操作レバーに触れ、バケットが急旋回して

作業者に激突したケースが挙げられる。

ドラグショベルはクレーンのような微動調整が難しく、旋回速度は移動式クレーン

の3~4倍もあることを安全教育でオペレーターに周知する必要がある。

重機作業では、誘導者を配置し、あらかじめオペレーターと合図方法を決めておく。

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事例⑦ 事故の型 激突され

タイヤローラーを後退させ休憩中の作業者が轢かれる

防止対策

発生状況

職種 土工 40歳11年経験 年齢

運転席に戻ったオペレーターがタイヤローラーを後退させたところ、休んでいた被

災者を轢いてしまった。

被災者は、タイヤローラーに寄りかかって休憩していた。運転席に戻ってきたオペレーターは安全確認をせず、被災者に気づかないままタイヤローラーを後退させ、被災者を轢いてしまったのである。タイヤローラーは機械周囲の死角範囲が大きく、特に前方は約3mで、運転席の位

置によって後部や左右の側面にも大きな死角ができる。そこで、オペレーターは、車体の前後・左右・下部の安全確認を行ってから運転するとともに、誘導者を配置し合図を決める。誤動作、慣れに対する注意が必要である。また、タイヤローラーの死角範囲が大きいことを、図を使ってオペレーターや作業

者に周知することが大切である。

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§三大災害とヒューマンエラー

事例⑧ 事故の型 激突され

バケットの爪からワイヤーが外れヒューム管が落下

防止対策

発生状況

職種 土工 48歳25年経験 年齢

ドラグショベルのバケットの爪に玉掛け用ワイヤーロープを引っ掛け、ヒューム管

をつり上げていた。旋回したときワイヤーロープがバケットの爪から外れ、荷触れを

防ぐため荷を押さえていた被災者の上にヒューム管が落下した。

ドラグショベルなどの車両系建設機械による荷のつり上げ作業(用途外使用)は、

労働安全衛生規則第164条に定める一定条件を満たしている場合を除き、禁止されて

いる。オペレーターは「すぐに終わるから」と用途外使用を行ったと考えられる。ま

た、被災者も用途外使用を注意することなく、「荷を支えよう」という親切心からつ

り荷の下に立ち入った(場面行動本能)。

日頃から用途外使用の禁止、立入禁止について教育を繰り返し行い、周知徹底を図

る必要がある。不安全行動を発見したら注意し合うことが災害防止上、大切であるこ

とを教育しよう。

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事例⑨ 事故の型 崩壊

土止め矢板下部が崩壊し生き埋め

防止対策

発生状況

職種 土工 29歳8年経験 年齢

水道管埋設工事で機械掘りした後、被災者は深さ約3mの掘削底に降りて、床掘り

作業を行っていたとき、矢板下部の土砂が崩れ、生き埋めになった。

工事計画書には土止め支保工を設置する旨、記されていた。

工事計画書に記載されていた「土止め支保工を設置する」という決定事項を、作業

主任者が堅固な地盤と判断して勝手に変更し、矢板のみを使用しただけで切梁や腹起

こしを設置せず、矢板の根入れが浅かったため側面土砂が崩壊した。

技術的な知識不足だけでなく、工事計画書を守らず勝手に工法を変更するなど、小

規模工事での土砂崩壊に対する安易な対応が問題である。

工事計画書は厳守し、万一、工法を変更する場合には必ず元請に相談し、打合せを

行う。決して、一人で判断してはならない。

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19建設労務安全 19・8

§三大災害とヒューマンエラー

事例⑩ 事故の型 倒壊

既存ブロック塀が倒壊し下敷き

防止対策

発生状況

職種 土工 43歳15年経験 年齢

U字溝を敷設するため、側溝を掘削していたところ、既存ブロック塀が倒壊し、下

敷きになった。

コンクリートブロック塀などに近接する個所で明り掘削作業を行うときは、事前に

ブロック塀の基礎の状況、周辺の地盤の状況を調査する。損壊等により労働者に危険

を及ぼすおそれのあるときは、控えによる補強を行い、塀の倒壊を防ぐ必要がある。

建築基準法施行令では、「ブロック塀内には直径9㎜以上の鉄筋を縦横に80㎝以下

の間隔で配置すること」等の基準が定められているが、基準外で設置された塀が後を

絶たず、ブロック塀の倒壊事故は大地震の度に起こり、多くの犠牲者が出ていること

を周知することも大切である。