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知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 首都大学東京システムデザイン 学部 久保田 直行 キーワード 人工知能・ サービスロボット

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Page 1: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

知能化とロボット化が創り出す都市型未来社会

首都大学東京システムデザイン学部久保田 直行

キーワード人工知能・サービスロボット

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資料5
Page 2: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

サービスロボットのための「システム」をデザインする

インタラクション・デザイン

物理的につなぐ(PhysicalSpace)

ヒトとヒト、ヒトとモノ、人とコト、ヒトと空間を

コミュニケーション・デザイン

情報的につなぐ(Cyber/SocialSpace)

エクスペリエンス・デザイン

感性的につなぐ(MentalSpace)

都市型未来社会に何を期待するのか?

Page 3: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

アウトライン

(4)知能化とロボット化によるモジュール化とシステム化

(2)人と人、人とモノ・コト・場所を繋ぐライフハブ

(5)社会的問題の解決を目指すシステム化の展開例

(6)これからの社会における人間と人工知能・ロボットとの共存・共生関係

(3)ライフハブに関するサービスを支えるインフラ

(1)はじめに:Cyber-PhysicalSystem(CPS)

Page 4: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

仮想世界

web環境データ

ソーシャルメディア

ビッグデータ

Cyber-PhysicalSystem(CPS)

・物理世界のデータをIoTデバイスなどで計測・収集、・仮想世界のビッグデータを解析・学習、・それらの結果を物理世界での制御やサービスに フィードバック

(NSF, Helen Gill, Edward Lee, 2006)

現実世界

IoT

デバイス他

データ収集・蓄積

人工知能機械学習

解析・学習

制御・サービス

Page 5: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

最大の恩恵は?

IoTを活用することにより、QOL(QualityofLife)やQOC(QualityofCommunity)の改善に必要と思われる膨大な量のデータが収集できるようになった・・・

何を計測すればいいのか?、データをどのように処理すればいいのか?、どのように活用すればいいのか? ・・・ などを考える必要がある。

仮想世界

web環境データ

ソーシャルメディア

ビッグデータ現実世界

IoT

デバイス他

データ収集・蓄積

人工知能機械学習

解析・学習

制御・サービス

21世紀の新たな天然資源「データ」の収集

Page 6: 知能化とロボット化が 創り出す都市型未来社会 · 人工知能:ディープラーニングへの展開. 1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーション

A Mac, in short, could serve as the Digital Hub that unites those disparate points in your digital life (Steve Jobs, January 9, 2001)

「デジタルハブ」から「ライフハブ」へ

デジタルハブ(Digital Hub)

ライフハブ(Life Hub)

「人間・空間・情報」と繋がるためのハブ的存在(インタフェース)・人と人をつなぐ、人とコミュニティをつなぐ・ロボットとロボットがつながる、ロボットと空間がつながることによる支援

個人情報

他のロボット

環境情報

イベント

人々

場所

インターネット

コミュニティ

スマートデバイス

ロボットパートナー

ウェアラブルデバイス

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事業者はモノを使う体験を提供し、(持っていない)ユーザはその体験について対価を払う

例)・カーシェアリング  ・民泊  ・相乗りタクシー

シェアリングエコノミー

リアルタイムで刻々と変わるニーズ(ユーザ側)やシーズ(提供者側)の人工知能による「マッチング」

マッチングビジネス

ライフハブに基づく人工知能とサービスのビジネス展開

(マッチングビジネスを行う企業は、持っていない)

ライフハブに基づくサービスのための「ものづくり」

都市型未来社会において、持っている提供側の「強み」を最大限に発揮するためには・・・

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情報支援

都市型未来社会におけるサービスのカタチ

自然なコミュニケーションを通して、人に寄り添うインタラクティブな支援

自宅で・・・

移動支援駅前商店街、観光地などで・・・

情報・誘導支援

空港・ショッピングセンター・

観光地などで・・・

(1)東京都として開発事例の蓄積と実証実験フィールドの提供が重要

物流支援

少子高齢化 労働力人口の減少

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公共用IoTのインフラ

小型パーソナルビークルのためのインフラ

自動運転(平面移動)のためのインフラ

ドローン(立体的移動)のためのインフラ

家庭用IoTのインフラ

情報支援

誘導支援

物流支援移動支援

都市型未来社会におけるサービスのためのインフラ

(2)東京都として様々なインフラの整備が重要

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データベース すれ違い通信

PAN/HAN/BAN

クラウドシステム

データマイニング 対話システム

個人差適応・学習

情報推薦・可視化

Webサービス 行動認識

行動制御インタフェース

情報技術 ネットワーク技術 ロボット技術知能化技術

QOLとQOCに関する社会的問題の解決を目指す

要素技術への機能展開とユニット化(モジュール化)

実社会におけるサービスを考慮したシステム化

高齢者見守り・健康づくり・リハビリテーション支援

コミュニティ活性化支援・商店街活性化支援

局所通信系組込み・災害時情報支援

観光案内・多言語情報支援

(3)東京都として企業が迅速な開発を行える仕組みと支援環境が重要

(さらなる産学官民の連携)

モジュール化とシステム化

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QOL ヒューマンセントリックシステム

QOC コミュニティセントリックシステム

相乗的改善 相乗的最適化

ペルソナ分析

計測

モニタリング

嗜好抽出

ユーザーモデル生成

コミュニティ生成・活性化支援

異常検出

見守り

情報推薦

学習・データマイニング 推論・探索

モジュール化とシステム化の展開例(1):高齢者の見守り

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計測

ペルソナ分析

モニタリング

特徴抽出・推定

ユーザモデル生成

大規模データ解析

在宅リハビリ支援

リハビリプログラム立案支援

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6月末まで進めていたデザイン

リハビリ支援・可視化

対象者への支援

局所的(個別)適応システム

セラピスト・支援者への支援

包括的(一般化)学習システム

相乗的改善 相乗的最適化

学習・データマイニング 推論・探索

モジュール化とシステム化の展開例(2):リハビリテーション

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移動型手伝いロボット(MobileServantRobots)

人間のQOL向上に貢献する支援を行う観点から分類し安全要求事項をまとめている

搭乗型ロボット(PeopleCarrierRobots)

身体アシストロボット(PhysicalAssistanceRobots)

(3)東京都として企業が迅速な開発を行える仕組みと支援環境が重要

サービスロボットに関する開発と安全性の評価

パーソナルケアロボット(ISO13842)

(首都大・長谷研)

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知能化とロボット化の今後の方向性

【従来】人間がデータ収集・特徴抽出・設計

自動化

これから

自律化

人間を介さずに、データ収集・特徴抽出・

学習・更新

半自律化

データ収集・特徴抽出・学習を行い、人間が判断・意思決定・更新する共存関係

人間の能力との融合・拡張人間が監視・管理

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これからの人間とロボットの関係

身体的機能の外在化

(物理的機能の拡張)物理的な身体

知能・知識の外在化

(情報的機能の拡張)

ロボットが人間に近づいている?

拡張された身体:・道具(スマートデバイスなどの受動的存在)による拡張・他者(ロボットなどの能動的存在)による拡張・インテリジェントルーム(環境)による拡張

自分や他人に関する人間観や意識も変わりうる・・・

次世代のロボットとの関係や知能のあり方を考える必要がある

人間がロボット化している?

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まとめ

(4)知能化とロボット化によるモジュール化とシステム化

(2)人と人、人とモノ・コト・場所を繋ぐライフハブ

(5)社会的問題の解決を目指すシステム化の展開例

(6)都市型未来社会における人間と人工知能・ロボットとの共存・共生関係

(3)ライフハブに関するサービスを支えるインフラ

(1)はじめに:Cyber-PhysicalSystem(CPS)

・物理世界と仮想世界を繋ぐことによるリアルタイムサービス

・様々な情報を有機的に繋ぐライフハブを介したサービス

・サービスを実現するためのインフラの規格化

・実用化をのための要素技術のモジュール化とシステム化のためのプラットフォーム

・様々なサービスを多角的な観点から繋げるシステム化

・人間のあり方、どんな姿を望むべきか・・・

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参考資料

(1)人工知能とサービスロボットの展開例

(2)人工知能に関する背景

・人工知能とサービスロボットによる案内の例・人と人を繋ぐロボットパートナーのサービスの例・新しいサービスロボットの共創にむけて

・人工知能:ディープラーニングへの展開・知能化による影響、問題

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人工知能とサービスロボットによる案内の例

Iwanttogo

音声認識

画像認識

画像認識

Iwanttogo

画素 特徴量 特徴抽出

高齢者

子供

……

言語認識

私は行きたい

翻訳

エビス飲み物? 地名? 人名? 七福神?

高齢者がエビスに行きたい

画素 特徴量 意味理解

文字認識

エ ビ

推論英語?

恵比寿駅

経路探索

最短経路は?

安全な経路は?

現在地

多言語音声対話

DoyouwanttogotoEbisu?

Yes,Ido.

誘導

衝突回避

経路追従

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あそこのブティックおすすめよ!

買い物に行こう

一緒に行かない?

何しようかな・・・おじいちゃん、元気かなあ・・・

わしも出かけよう

情報伝達・情報推薦

日常行動推定

ライフログ解析人と人の絆をさりげなく繋ぐロボットパートナー

コミュニケーションの隙間を埋める

ロボットパートナー

ロボットパートナー間で認識結果を共有することによる見守り

みんな買い物に出かけるって

人と人を繋ぐロボットパートナーのサービスの例

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ビジネスの流れ 例:B2B2C2U

開発者 ベンダー 顧客 ユーザ

顧客とユーザの乖離

例)家族(顧客)が提供したいサービスをおじいちゃん(ユーザ)は必要としていないかもしれない

開発者とユーザの乖離

例)開発者が提供したい仕様(機能)とユーザが必要とするサービス(要求)が一致しない

開発者

ベンダー 顧客

ユーザ

現状の問題点

産学官民によるデザイン思考

アイデアをカタチに

必要なサービスを必要なカタチに

UXを価値あるカタチに

新しいサービスロボットの共創にむけて

顧客とユーザの持続的価値の創造

顧客とユーザの価値の発見・提供

(オープンイノベーション2.0)

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人工知能:ディープラーニングへの展開

1956年のダートマス会議で「やがて人間の知能は機械でシミュレーションできるようになる」という考えが提唱され、人工知能(AI)が提案された。

1960年

1980年

2000年

2010年

伝統的人工知能

・記号論理処理・自然言語処理・エキスパートシステム・探索・機械学習

・ベイジアンネットワーク・サポートベクターマシン・ニューラルネットワーク

・ディープラーニング

知識が扱える

ようになった

「未知」の知識を抽出で

きるようになった

大規模・複雑・未知な知識を抽出・学習できるようになった

(特徴量が自動で抽出できるようになった)

データマイニング

「既知」の知識の学習ができるようになった

(特徴量は人間が設計していた)

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ディープラーニング

大規模データ

特徴抽出・学習

推論モデルの適用

IoTによるデータ収集

判断・意思決定・サービス

ベイジアンネットワーク隠れマルコフモデル他

システムの自律的運用人間への支援

知能化による影響、問題は?(1)

教師データの質が問題

・正しいデータをどのように集めるのか?・誰が大規模データのタグ付けを行うのか?

IoTにより、自動的にビッグデータを収集することができるようになったが、教師データの質が悪いと、予期せぬ出力をする可能性がある

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知能化による影響、問題は?(2)

遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボット工学の革新による「シンギュラリティ(技術的特異点)」の到来

「特徴抽出」だけでなく、「知識生成」・「知識の再生産」の可能性

例えば、AI囲碁の場合、強化学習におけるActor-Criticの採用による「valuenetwork」と「policynetwork」の相互学習に基づく高知能化

現在の状態の知覚

次の行為の生成

次の行為の生成

現在の状態の知覚

知識の再生産において、1.00001倍の性能が発揮できれば、それを繰り返すことにより、発散してしまう(知性爆発)