特集:フィジカルアセスメントとリスク管理...訪問リハビリテーション通巻12号...

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訪問リハビリテーション通巻12号 (2013年2月・3月) 337

特集:フィジカルアセスメントとリスク管理

巻頭言 フィジカルアセスメントとリスク管理

在宅りはびり研究所 所長 理学療法士 吉良 健司*

 近年,在院日数の削減や国民の在宅指向の高まりにより,訪問リハの依頼は全身状態の安定した対象者から,難病・呼吸器疾患・心疾患・がん・超重症児などの疾患や,術後・在宅酸素療法・人工呼吸器・腹膜透析の状態など多岐にわたり,医療的対応ニーズの多様化,高度化が進んでいる.また,病期においても在宅の急性期もあれば回復期もあり,そして終末期や急変時などもある.もちろん,各疾患や状態毎の対応方法やリスク管理方法の習得も必要だが,すべての基本である全身状態をみる技術,フィジカルアセスメントスキルが土台であることは言うまでもない. 分業の進んだ病院や施設では,対象者の全身状態の把握や管理は,医師や看護師が行っており,療法士は何らかの健康状態の変調に気付いたときに報告すればいい体制となっている.また病院でも訪問でも対象者の体調が悪い場合,個別リハビリテーションが「お休み」になることが多く,いわゆる全身状態の不安定な状態に直面する経験が少なく,それゆえ状態観察に関するスキルの重要性に気付くことなく療法士としての経験を重ねることになる.その結果,訪問リハビリテーションにおいて対象者の微妙な体調の変化を読み取ることができず,看護師や医師へのタイムリーな報告が不十分となることがある. また一方で,訪問業務に比較的若い年代の療法士が参画するようになり,医療従事者としての基礎的な知識やスキルの向上がより重要になってきた.*在宅りはびり研究所 (〒783-0004 高知県南国市大そね甲1973-55)

 以前より,療法士はリスク管理に関しては積極的に学んできた経緯があるが,フィジカルアセスメントに関しては,その言葉や意味さえも知らない療法士が少なくない.もともと理学療法士や作業療法士は,運動器系のフィジカルアセスメントは得意とするが,特に内科系フィジカルアセスメント(呼吸器・循環器・消化器など)は教育課程に組み込まれていないため,極端に弱いのが実情である. このため,今後の訪問リハビリテーションの進化の方向性の一つとして医療的対応スキルの向上,特にフィジカルアセスメントスキルが各訪問療法士に標準装備されることが重要である.具体的には日頃から対象者の状態の特徴を押さえておくことと,「呼吸が苦しい」と訴えがあった時に,問診・聴診・打診等のアセスメントを行い,どのような原因(疾患や状態)で起こっているか分析し,看護師や医師にアセスメントした状態やデータを適切に報告・相談し,場合によっては救急車を呼んで医療機関につなぐといった対応の流れができるスキルを身につける必要がある. また,我々が適切なフィジカルアセスメントスキルを持つことによって,医療依存度の高い対象者の,より積極的で自分らしい生活へのチャレンジを支援できるようになる可能性もある. そのため,本特集ではフィジカルアセスメントと医学的なリスク管理の基礎と疾患毎の病態の特徴やフィジカルアセスメントのポイントを整理し,医療的対応スキル向上の方向性を確認していきたい.そして今後の卒前・卒後教育の変革のヒントとしていければ幸いである.

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末期がん利用者におけるフィジカルアセスメントとリスク管理~在宅のがん進行期・終末期リハビリテーション~

実践事例

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訪問リハビリテーションにおけるフィジカルアセスメントとリスク管理の基礎

高知県リハビリテーション研究会会長・南国中央病院副院長 医師

宮本 寛*

1.はじめに

 フィジカルアセスメントに関する書籍は書店の医療関係のコーナーに並んでいるが,あえて,訪問リハビリテーションの時に遭遇する可能性のある疾患や,それに関連する諸症状について取り上げることで訪問リハビリテーションスタッフの日々の臨床活動に役立てることを目的として書いてみた. 特に訪問リハスタッフが心配することとしては,訪問した際に訴えられた自覚症状に対して,どこまで対応すべきか,あるいは訪問看護や主治医に連絡すべきか否かという点であろうと思われる.迷った時に,身体に現れた他覚所見から判断できるようにすることが喫緊の課題と思われる.また,訴えがなくとも日頃から観察すべき視点をもって身体(フィジカル)に現れた所見を評価(アセスメント)しておくことは,いざ訴えがあった時にどうすべきかの判断材料となる.したがって,特に内部疾患があるために,訴えがあった場合を中心として,呼吸器・循環器・消化器系の疾患に絞ることとした.そして,医師・看護師らに報告すべきか否かという視点でいずれをも解説する.

2.バイタルサイン

 自律神経やホルモンで調節されて変動するの*南国中央病院 (〒783-0011 高知県南国市後免町3-1-27)

特集:フィジカルアセスメントとリスク管理

key word1.バイタルサイン           2.呼吸器系のフィジカルアセスメント3.循環器系のフィジカルアセスメント  4.消化器系のフィジカルアセスメント

で,呼吸以外は自分の意思ではコントロールは困難である.したがって,身体の状態をそのまま反映する以下の5項目をバイタルサインとする.どれか一つのサインが大きく異常値を示すか,複数のサインが少しずつ異常値を示す時に身体に比較的大きな変化が起こっていると考えられる.その場合は報告すべきである.①意識 深さで診る.JCSやGCSなどで測定.脳の活動状態を表す.脳浮腫や脳血流の低下,低酸素脳症等で障害される.意識障害はすべて報告すべきである.②呼吸 速さ・深浅・リズムで診る.姿勢にも現れる.血液中の酸素と二酸化炭素の量(分圧)が適切かどうかを意味する.酸素が不足すると呼吸が速くなる.痛みでも速くなる.呼吸中枢の障害でチェーンストークス呼吸(無呼吸と正常呼吸の繰り返し)がおこるので日頃からあるか否かを記録に残すことが望ましい.③脈拍 速さ・強さ・リズムで診る.心臓の拍動のリズムが血管に伝わる.心拍動が強さやリズムの点で不十分なら不整脈になる.全身への血流の動態を表す.痛み・呼吸苦などで速くなる.心筋収縮力が低下したり,脱水など血液量が減少したりすると弱くなり速くなる.

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④血圧 高低・幅(脈圧:最高血圧と最低血圧との差)で診る.心臓の収縮力が血管に伝わる.心臓のポンプとしての働きが弱ると血圧が下がる.動脈硬化により血圧が上がる.痛み・呼吸苦などで血圧が上がる.⑤体温 高低で診る.栄養素を分解して,生きるために必要なエネルギーを取り出すときに発生する. 各種の疾患で上昇する 体温が高くなると免疫力が高まる.感染症ではやみくもに解熱すべきではない.

3.呼吸器系のフィジカルアセスメント[図1]

①問診:下記のようなことを確認する(1)呼吸器疾患の病歴(2)脳血管疾患の病歴:嚥下障害による誤嚥性肺

炎や中枢性無呼吸(3)摂食・飲水時のむせ:誤嚥性肺炎(4)労作時呼吸困難:慢性閉塞性肺疾患・喘息・

間質性肺炎・肺水腫・肺腫瘍・胸水・心不全・心筋症・心膜疾患・パニック発作・肥満・甲状腺機能亢進症・貧血

(5)いびきや日中の眠気:睡眠時無呼吸(6)咳:・湿性;喀痰を喀出するための生体防衛機構;気

管支炎など気道分泌物の増加を示す.報告すべきである.

・乾性;咳喘息・ACE阻害薬(降圧剤)の副作用・胃食道逆流症等.喘息の場合はすぐに受診が必要である.2週間以上続く咳は受診すべきであろう.

(7)喫煙歴:ブリンクマン(喫煙)係数=(喫煙本数/日)×(喫煙年数)が400以上なら肺癌の危険性が高まる.

(8)アレルギー 薬剤・食物・その他の物質による気管支喘息は本人用の発作時の吸入器がないか,または吸入しても改善しないときは受診すべきである.

②視診(1)呼吸運動:健常人の呼吸は横隔膜,外肋間筋,

第2・3内肋間筋の収縮で胸郭を拡張させる.吸気努力が必要な場合は,胸鎖乳突筋・斜角筋・僧帽筋も収縮する.安静時の1分間の呼吸回数を測定する.正常呼吸は規則的で12~18回/分.25回/分までは正常とされる.1回換気量(健常成人)は500mlで,呼気時間:吸気時間=1:2程度の比率.

(a)呼吸回数による分類・頻呼吸;25回/分以上 多くの疾患で認める.・徐呼吸;12回/分以下

[図1] 呼吸器系のフィジカルアセスメント

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(b)呼吸の深さによる分類・過呼吸;回数は正常だが1回換気量が増える.

過換気症候群で認める.・減呼吸;回数は正常だが1回換気量が減る.睡

眠時に認められる.(c)呼吸回数と深さによる分類・多呼吸;24回/分以上で深さが深い.分時換気

量が増える.肺塞栓や運動時に認める.・少呼吸;12回/分以下で浅い呼吸.死亡直前に

認め不規則になったら30分以内に亡くなる.(d)周期で分類・チェーンストークス呼吸;呼吸と呼吸との間に

無呼吸が数秒~数十秒続く.呼吸は浅い呼吸から始まり深い呼吸となり再び浅い呼吸となる.両側大脳皮質下や間脳の障害・心不全・尿毒症・薬物中毒などで認める.

・ビオー呼吸;呼吸と呼吸との間に無呼吸がある.呼吸開始から深い呼吸があり,突然呼吸が止まり無呼吸が数秒から数十秒続く.呼吸中枢活動低下による不規則な呼吸・延髄疾患・脳炎・髄膜炎.

(e)努力様呼吸・鼻翼呼吸;吸気時により多くの空気を取り入れ

ようとして鼻翼を開く.・下顎呼吸;胸鎖乳突筋により顎を下げる.・口すぼめ呼吸;口をすぼめることで気道内圧を

高め気道閉塞を予防する.慢性閉塞性肺疾患に見られる.

(f)姿勢による呼吸の変化・起座呼吸:起座位では呼吸筋の動きが良くなり(機械的に呼吸が楽になる),静脈環流(右心系の静脈血)が減って,肺鬱血が減少する(生理的に楽になる)ため,心不全・気管支喘息・肺気腫などで呼吸苦のある患者さんがこの姿勢をとる.

・側臥位:下側の肺は押し潰されて換気量が減る.胸水貯留や無気肺のある肺を上にする側臥位をとると元気な方の肺が下になり換気量が減るので苦しくなるため,病変のある肺を下にする姿勢をとるようになる.

(2)胸郭の形:正常なら胸郭の断面は横径:前後径=1:1.4~2で左右対称な楕円である.肋骨角は70~80度で,肋骨は脊柱に対して45度である. 樽状胸;水平な肋骨・前後径の増加は閉塞性肺疾患で認められる.(3)チアノーゼ:皮膚や粘膜が紫青色・暗赤色を呈する状態.還元ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)が5g/dl以上の時に出現する.貧血の人がチアノーゼになる時は,重度の低酸素状態の可能性がある.たとえば,ヘモグロビンが15g/dlの人は,還元ヘモグロビンが血液全体の三分の一であるが,ヘモグロビンが10g/dlの人では血液全体の二分の一が還元ヘモグロビンということになる.より重度の貧血の人ほどチアノーゼが出ていないからと言って安心はできない.

(a)中枢性チアノーゼ;心臓・大血管・肺などの中枢性の動脈系血液内に還元ヘモグロビンが5g/dl以上の時に出現.口唇や頬粘膜でよく観察される.心臓や肺での酸素化が不十分なことを示す.救急受診が必要.

(b)末梢性チアノーゼ;静脈環流の遅延のために末梢における酸素摂取量が増加することにより起こる.四肢末梢や顔面などで観察される.四肢冷感を伴う.心不全時の血流緩徐,動脈硬化症などで出現する.寒冷暴露でも中心温度を保つために末梢の循環を低下させて出現する.四肢を温めると改善しやすい.

(4)ばち状指:太鼓のばちのような形をした手の指や足の趾の異常な拡大.正常なら195度未満の爪の根元と爪との角度(爪床角)が195度を超える.また指を横から見た時の末節骨幅が中節骨幅を超える.長期に及ぶ低酸素血症のため指趾末梢の鬱血により軟部組織が増殖したと考えられている.肺癌・特発性肺線維症・間質性肺炎などで認める.

(5)痰:気道粘膜からの分泌物であり,粘膜の乾燥を防ぐと同時に,粉塵や細菌などの異物をとらえて末梢気道への侵入を防ぐ働きがある.健常でも1日100mlほどの分泌がある.その性状によって病態がある程度推測できる.ウイルス

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感染や気管支喘息では白色で,細菌感染を起こすとより粘稠で黄色~緑褐色を呈す.漿液性で急性の場合はかぜ症候群が最も多い.粘液性では急性気管支炎・慢性気管支炎などが多く,膿性では急性副鼻腔炎・肺炎などが多い.血性では気管支拡張症・肺結核・肺癌が代表的である.

③聴診:ポイントは①部位②時相③種類で考える.以下の音を聞き分けることで病態の推測ができる.

(1)聴診器:低音を聴くベル型と高音を聴く 膜型とがある.

(2)聴診姿勢:患者の横から聴く.正面は咳や痰を浴びるので避ける.

(3)呼吸音:気道・肺胞を換気する気流の音.断面積が狭い気管などでは気流が速く呼吸音も荒いが,総断面積の広い末梢では気流は遅く静かな音になる.

(a)気管呼吸音;頸部気管上に聴取.吸気より呼気で音が大きい.他の部位で聴取されたらその部位に炎症病変が疑われる.

(b)気管支肺胞呼吸音;第1~2肋骨の胸骨縁に聴取.肩甲骨間部で第4胸椎までの間.呼気・吸気の長さが等しい.

(c)肺胞呼吸音;上記以外の肺野で聴取.小さい音.呼気より吸気にはっきり聴かれ吸気の2.5倍長く聴こえる.

異常呼吸音としては(d)減弱・消失;肺気腫・呼吸筋不全・高度気道

狭窄・胸膜癒着・腫瘍・異物・無気肺・気胸・胸水などが考えられ救急受診が必要.

(e)増強;運動・過換気症候群・低酸素血症・代償性・気道の部分的狭窄(腫瘍・異物)・肺鬱血などで,受診が必要.

(f)呼気延長;喘息など気道狭窄.発作時の吸入剤で改善なければ救急受診.

(g)気管支呼吸音化;肺胞呼吸音聴診部位で聞かれると,肺炎などが疑われる.報告が必要.

(h)気管狭窄音;異物・腫瘍・喘息など.鑑別して受診,または報告.

(4)副雑音:気流速度の増大により気道壁が振動

して生じる.連続性ラ音と断続性ラ音とに分類される.いずれも報告が必要.

(4)-1;連続性ラ音は主に呼気相で一定以上持続して聴取される.

(a)低音性連続性ラ音(類鼾音rhonchus);「グー」「ビュー」などと,広い胸壁上で聴取.特に呼気相で聴かれ,痰の貯留,気管支喘息,閉塞性肺疾患,気管・気管支狭窄,気管支拡張など.

(b)高音性連続性ラ音(笛声音wheeze);「ピーピー」「ピューー」などと細い気管支の狭窄で,主に呼気で狭い範囲で聴取.気管支喘息など.一時的に狭窄した末梢気道開放音の場合は吸気で「びゅウ」「キュー」などと聴取.

(c)スクウォークsquawk;粘稠な分泌物を伴う気管支拡張症などで「キュウ」という短い笛音を吸気だけに末梢気道で聴取される.

(4)-2;断続性ラ音は(a)細かい断続性ラ音(捻髪音fine crackle);「プ

チプチ」「パリパリ」とゆっくりベルクロをはがす時の音に似て,吸気終末に下肺野・背側に多く聴取.虚脱した細い気管支や肺胞が吸気時に再開する時の音や間質組織を引っ張る音.特発性間質性肺炎・心不全・肺炎の初期等.

(b)粗い断続性ラ音(水泡音coarse crackle);「ボコボコ」「ブツブツ」「ブチュブチュ」など気道内の分泌物の膜が破裂する音.痰の貯留部位に聴かれ,吸引や咳などで変化する.肺炎・気管支炎・肺水腫等.

(4)-3;その他の副雑音  胸膜摩擦音pleural friction rub;胸膜病変部

位で吸気・呼気ともに聴取.「バリバリ」「ギュウギュウ」.

④触診:いずれも記録・報告が必要.(1)気管の位置:正常なら頸部正中にあるが,無

気肺では異常側に,胸水貯留なら反対側に変位する.

(2)胸郭可動性:呼吸に伴う肺の拡張を診ることで病変を推測できる.検者の手を広げて患者の肋骨に沿って「ハの字」に置く.深呼吸をさせて両手の動きを観察する.正常なら左右差がな

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いが,無気肺・胸水貯留・気胸などでは病変側の胸郭運動が低下し左右非対称となる.肺気腫では左右対称に運動が低下する.

(3)音声振盪:発声による胸壁の振動を検者の手で触知し胸郭内部の異常を推測する方法.座位で胸部や背部に検者の手掌を密着させて「ひとーつ」と発声してもらう.痰の貯留・無気肺・胸水貯留・気胸・肺気腫などで減弱し,限局性肺炎で増強する.

⑤打診:胸壁に密着させた中指のDIPを効き手の中指で短く叩き,すぐに胸壁から指を離す.直下にある物体の密度がわかる.密度の大きい物は鈍い短い音(濁音),密度の小さい物は響く長い音(鼓音)となる.心臓や肝臓は絶対的濁音となり左心室左縁や,肺肝境界で右横隔膜の高さなどがわかる.心拡大があると左室左縁が左に寄り,肺気腫があると横隔膜が下がる.呼気では横隔膜が上がり吸気では横隔膜が下がるので横隔膜の可動域がわかり,呼吸筋疲労や神経筋疾患による呼吸低下を可視的に診断できる.気胸や肺気腫では鼓音,胸水貯留や肺炎・無気肺では濁音となる.

4.循環器系のフィジカルアセスメント[図2]

①問診(1)胸痛:最も緊急性があるのは虚血性心疾患で

ある.胸痛が数分で治まるものは狭心症をまず鑑別すべきであり,15分以上続く場合は心筋梗塞を考えなければならない.すでに冠動脈疾患を指摘されたり,ニトロ製剤を用いたりしている場合は特にそのリスクが高い.どの部位が痛いのかを聞くと,胸部に手掌全体をあてて比較的広い範囲で示す場合は疑うべきであろう.痛みではなく圧迫感を訴える場合もある.左肩や左上肢痛・頸部絞扼感など腕神経叢領域への放散痛を訴える場合もある.手掌全体ではなく,人差し指で心臓付近を指さす場合は心臓神経症

(自分は心臓に問題があって死ぬのではないかと不安を常々抱いている)の可能性も考えられる.糖尿病患者や高齢者では胸痛がない場合も

あるので注意が必要である.狭心症も心筋梗塞も心電図・血液検査・心臓エコー検査などにより診断され,心筋梗塞と診断された場合には可及的速やかに冠動脈造影とそれに続く治療が行われるため,できるだけ早い医療機関の受診が必要である.

  狭心症の場合は労作時・食後・発熱時など心拍数が増大した場合に心筋への血流が増えて誘発される.安静時にも出現するようなら心筋梗塞に移行する可能性が高い.胸痛以外にも動悸・息苦しさなどを訴えることもある.安静にすると数分で改善する.ニトロ製剤を舌下投与すると数分以内に改善するが,再び症状が出現するなら再度ニトロ製剤を舌下投与する.3回舌下投与しても改善しない時は心筋梗塞を疑って医療機関の受診が必要である.

  心筋梗塞の場合は,激痛で嘔気・冷汗・呼吸困難・不整脈などを伴い,意識消失する場合もある.ニトロ製剤は無効で改善せず,鎮痛にはモルヒネなどの麻薬を用いなければならない場合もある.

  解離性大動脈瘤の場合は激しい胸痛と同時に背部痛を伴うことが多い.嘔気・冷汗・呼吸困

[図2] 循環器系のフィジカルアセスメント

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難・意識消失などを伴うことが多い.(2)呼吸苦:左心不全を起こすと肺鬱血により呼

吸困難をきたす場合は起座呼吸となったり,夜間就寝後数時間で生じる場合もある.肺水腫をきたすこともあり,その場合はピンク色の泡沫状の痰を認めることがある.

  肺梗塞でも肺への血流が低下し肺でのガス交換が減少するために呼吸苦を生じる.

(3)動悸:通常なら自覚しない心拍動を不快に自覚する.それ自体が心疾患の存在を示すものではない.日頃から有無を記録しておくことが望ましい.心拍異常によるものとしては

(a)上室性期外収縮・心室性期外収縮;ドキンとする感じ,空回りするような感じと表現される.

(b)発作性頻拍症;150~200/分の急拍が突発的に起こり,突然改善する.「姿勢を変える」「水を飲む」など改善方法を患者自身が経験的に体得していることがある.

(c)心房細動;大小不同,完全に不整.高齢者に多い.基礎疾患として僧帽弁狭窄症・高血圧性心疾患・肝動脈疾患・甲状腺機能亢進症等.

(d)洞性徐脈・洞房ブロック・房室ブロック等;心収縮力増強し,1回心拍出量が増す.著しい徐拍や拍出量の低下が起こるとめまい・失神を生じる.ペースメーカーの適応となる.

(4)冠危険因子:脂質異常症・糖尿病・高血圧症・高尿酸血症などを指摘されたり,その薬を内服したりしていないかを確認する.動脈硬化性疾患(脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症など)を併発している場合は虚血性心疾患を起こす可能性が高い.

②視診(1)浮腫:毛細血管から血液中の液漿成分のみが

透過して皮下に貯留する状態.心臓・肝臓・腎臓に異常があるか,その他の原因で起こる.いずれも記録に残し,可能な限り体重測定を定期的に行っておく.

(a)心臓性浮腫;1)心不全により腎血流量が低下し体内にナトリ

ウムと水とが貯留.

2)心不全により毛細血管圧が上昇して血管外へと血漿成分が流出する.

(b)肝性浮腫;1)肝線維化門脈圧亢進で静脈系が鬱滞.2)蛋白合成能が低下して血漿浸透圧低下し,血

液よりも血管周囲の組織の方が浸透圧が高くなる.すなわち,血管内よりも血管外の方が濃度が高くなり,薄い血管内から濃い血管外へと水が移動して浮腫となる.

3)肝腫大や肝硬変により下大静脈の部分的圧迫で,下肢に浮腫が出る.

(c)腎性浮腫;1)急性腎不全では腎臓からの蛋白漏出により血

漿浸透圧が低下.また尿量低下による体液量過剰で心不全をきたす.

2)慢性腎不全では腎性高血圧症により二次的に心不全を起こすために出現する.

3)ネフローゼ症候群による蛋白漏出での低蛋白血症により血漿浸透圧が低下して起こる.

(d)その他の原因;上大静脈症候群による上半身の浮腫.長時間の座位や起立による下肢浮腫.麻痺・座位などでの不動時間が多い場合に筋収縮によるポンプの働きが低下して起こる.麻痺の場合は麻痺側に強い.栄養不良による低蛋白血症でも起こる.

(2)頚静脈:座位で正常では見えないが,臥位では見えることが多くなる.静脈圧が上昇すると座位でも見え,臥位で著明に拡大する.静脈系の鬱滞が起こる鬱血性心不全・三尖弁膜症・上大静脈症候群などで見られる.

③聴診(1)心臓の聴診:正常心音と異常を示す心雑音と

に分かれる.(a)心音;Ⅰ音(30~35Hz)とⅡ音(50~70Hz)

とからなる.Ⅰ音は主に僧帽弁と三尖弁とが閉じる音と考えられている.僧帽弁が閉じる音は心尖部に近い左第5肋間鎖骨中線付近で,三尖弁が閉じる音は左第4肋間胸骨左縁付近で聞こえる.Ⅱ音は主に大動脈弁と肺動脈弁とが閉じる音.大動脈弁の閉じる音は第2肋間胸骨右縁

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付近で,肺動脈弁の閉じる音は第2肋間胸骨左縁付近で聞こえる.Ⅰ音とⅡ音との間は心室の収縮期.Ⅱ音とⅠ音との間は心室の拡張期.通常は収縮期の方が拡張期よりも短い.

(b)収縮期雑音;収縮期には僧帽弁と三尖弁とは閉じているはずなので,収縮期に聞こえる雑音は以下の二つである.

1)左(右)心室から出て行く血流が開ききっていない狭い流路を一定以上の流量と速度とで通る場合に生じ大動脈弁狭窄症(肺動脈弁狭窄症)が考えられる.この場合僧帽弁(三尖弁)が閉じたⅠ音の後に始まり大動脈弁(肺動脈弁)が閉じるⅡ音の前に終わるので,Ⅰ音とⅡ音とははっきり聞こえる.また高音になるほど圧較差が大きい,すなわち狭窄度が強いことを示唆する.

2)僧帽弁(三尖弁)が閉じ切らずに左(右)心室から左(右)心房に逆流する音が聞こえる僧帽弁(三尖弁)閉鎖不全で,この場合の雑音はⅠ音と同時に始まりⅡ音と同時に終わるためⅠ音,Ⅱ音ともに雑音と区別して聴取しにくい.心室中隔欠損でも左室から右室への逆流により同様の収縮期雑音となる.

  今まで聞かれていなかった収縮期雑音が聞こえるようになったら報告すべきであろう.

(c)拡張期雑音;拡張期には大動脈弁と肺動脈弁とは閉じているはず.拡張期に聞こえる雑音は以下の二つである.いずれも病的であり報告が必要.

1)心室拡張期に大動脈弁(肺動脈弁)が閉じ切っておらず逆流してくる血液の通過する音で大動脈弁(肺動脈弁)閉鎖不全が考えられる.Ⅱ音とともに急激に増大し次第に小さくなりⅠ音の前に終わる.

2)心室充満期に心房から心室へ流入する血液が開き切っていない僧帽弁(三尖弁)を通過したり,または流入量が多くなったりする時に生じる音で僧帽弁(三尖弁)狭窄症を示唆する.Ⅱ音の後に出現しⅠ音の前に終わる.

(c)連続性雑音;収縮期・拡張期を通じて圧較差

が発生するため連続的に雑音が生じる.Ⅰ音からわずかに遅れて始まりⅡ音でピークになりⅠ音の前に終わるためⅡ音が聞き取りづらくなる.

(2)頸動脈聴診:聴診器をあてて,呼吸をとめてもらい,血流の音を聞き,雑音(ザー,ビューなど)が聞かれれば,頸動脈やそれにつながる近くの血管などに動脈硬化等による狭窄があることを示唆する.脳梗塞の原因となるので報告が必要.

(3)腹部動脈聴診:腹部大動脈・腎動脈・総腸骨動脈などの聴診を行い血管雑音の有無を確認する.日ごろから音を聞いて記録しておくことが重要である.

④触診 動脈触診:頸動脈・橈骨動脈・大腿動脈・膝窩

動脈・後脛骨動脈・足背動脈を順に触診し触知できるか左右差はないかを確認して動脈硬化の部位や程度を知ることができる.示指・中指・環指で軽く圧迫して触診する.記録が必要.⑤打診:心臓はほぼ胸骨の下にある.心拡大があ

ると濁音と共鳴音との境界が左に寄る.

5.消化器系のフィジカルアセスメント

①問診(1)腹痛:どの部位が痛いかによって,原因とな

る臓器などが異なるので判断根拠なる.

[図3] 消化器系のフィジカルアセスメント

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(a)心窩部痛;胃潰瘍など胃の粘膜病変や十二指腸潰瘍などが考えられる.黒色便があれば消化管出血を起こしていることが考えられるので,緊急性あり.血圧低下や脈拍上昇は大量出血も考えられる.ただちに医療機関の受診が望ましい.

(b)右季肋部痛;胆石・胆嚢炎などの胆道系感染症を鑑別しなければならない.胆石を溶かす薬などを飲んでいればなお怪しい.Murphy sign;右季肋部を押すと,痛みによって呼吸ができなくなる.発熱があれば胆道系感染症が強く疑われるので,すぐに医療機関を受診.数時間でショック状態となることがあるので緊急性あり.

(c)右下腹部痛;虫垂炎の可能性あり.最初のうちは心窩部や腹部全体を痛がる.虫垂炎が穿孔をおこし腹膜炎となると腹膜刺激症状が現れる.マックバーニー点・ランツ点などに反跳痛がないか確認する.また筋性防御があれば壁側腹膜に炎症が及んでいることを示す.緊急性がある.

(d)臍部痛;腹部大動脈瘤破裂・虫垂炎などが示唆される.

(e)腹部全体の痛み;腸間膜動脈血栓症が考えられる.心房細動がある人が急に腹痛を訴えるときに鑑別する必要がある.イレウスも考えられる.腹壁全体が膨隆し圧痛がある.聴診で腸蠕動音が低下していたり灌水音が聞こえたりする.打診では鼓音などを認めやすい.また,腹痛は食事との関連もポイントである.食前に痛い場合は十二指腸潰瘍,食後に痛い場合は胃潰瘍のことがある.

(2)嘔気・嘔吐:各種の消化器疾患で出現するが,鬱血性心不全や虚血性心疾患なども鑑別すべきである.要報告.

②視診1)吐物は色や性状によって鑑別ができる.コー

ヒー残渣様の吐物の場合は消化管出血が疑われる.血液が混じる場合は胃潰瘍など胃粘膜からの比較的多めの出血が疑われる.嘔吐を繰り返すと食道下部の粘膜が損傷されて,出血し赤い

血液のこともあればコーヒー残渣様のこともある.黄褐色や緑色を帯びる場合は便が混ざっていることもありイレウスを考える.食物残渣以外の吐物があればすぐに受診.

2)下血も色によって出血部位の同定ができる.タール状の黒色便の場合は食道・胃・十二指腸などからの上部消化管出血が示唆される.便に赤い血液が混じっている,または煉瓦様に赤い場合は大腸内での出血が考えられ大腸癌・大腸憩室炎・その他の出血をきたすような大腸疾患が考えられる.通常の便の表面に比較的少なめの血液が付着しているときは直腸や肛門などからの出血を起こすような痔や直腸潰瘍(浣腸などで粘膜損傷等)を考える.要受診.

3)粘液便の場合は偽膜性腸炎など細菌感染などが考えられる.粘血便はクローン病や潰瘍性大腸炎などを考える.要報告または受診.

4)黄疸は胆道系疾患や肝機能障害を示唆する.皮膚の黄染のみで判断困難な場合は,眼球結膜を見る.要報告.

5)腹壁静脈は血流の方向を見ることで,腹部の大静脈や門脈の閉塞の状態を知ることができる.下行する場合は肺癌などによって圧迫された上大静脈の血流障害,上行する場合は下大静脈の血流障害が考えられる.臍を中心として怒張している場合は肝硬変など門脈の血流障害が考えられる.要記録.

③聴診:腸蠕動を刺激する触診や打診よりも先に行う.

(1)腸蠕動音  麻痺性イレウスが疑われるのは腸蠕動音が消

失している場合で,腹部が膨満し緩徐に始まる持続的な腹痛を伴えば確定的.閉塞性イレウスが疑われるのは亢進した高調の金属音が聞かれ,腹部が膨満し,緩徐に始まる周期的な腹痛がある.次第に嘔吐を認めるようになる.絞扼性イレウスの場合は腸蠕動音は減弱し,やがて消失する.急激な激痛が持続し筋性防御を伴い,初期より嘔吐を認めることがある.要早期報告.

④触診:仰臥位で両下肢を屈曲させて行う.

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  痛くて硬いお腹は緊急性あり.腹壁の緊張が亢進しているときは腹膜炎を疑う.筋性防御があり板状硬の場合は腹膜炎を起こしていることが考えられる.単に圧痛のみならず指で腹壁を押した時よりも離した瞬間に痛い場合を反跳痛と言い,これも腹膜炎の所見である.

  局所的筋性防御を認める場合はその部位によって診断が絞られることがある.右上腹部(右季肋部)では急性胆嚢炎,左上腹部では急性膵炎,右下腹部は急性虫垂炎や大腸憩室炎,左下腹部は憩室炎が疑われる.心窩部では胃・十二指腸などが疑われる.要報告.発熱があれば要受診.腫瘤を触知したら部位で関連臓器がわかる.大きさ・形・表面の性状・硬度などを記録する.圧痛は炎症を意味する.波動があるなら嚢胞,拍動を触知するなら血管性であることが推測される.腹圧がかかった時に膨隆するのは腹壁ヘルニアで臍ヘルニアや術創部にできる瘢痕ヘルニアを考える.要記録.日頃柔らかいヘルニアが硬く,痛い時には陥頓が考えられ緊急性あり.すぐ報告.

⑤打診:(1)鼓音:消化管内のガスを意味することが普

通であるが,強い痛みを伴う場合は消化管穿孔による腹腔内遊離ガスを示唆する.要報告.

(2)濁音:実質臓器の腫大や腫瘤が考えられる.腹水なら仰臥位で腹部中央が鼓音で側腹部が濁音となり,体位変換により常に上方が鼓音,下

方が濁音となる.腹水の確認は,波動を触れることもある.仰臥位で一方の腹壁に手掌を当て,反対側の側腹部を軽くたたくことで波動が伝わってくる.腹壁の振動が伝わらないように腹壁の正中部に補助者の手を当てておく.要記録.

6.おわりに

 訪問リハスタッフの強みは,定期的に一定時間は確実に患者や利用者の身体に触れたり,観察したりできることである.それを記録に残し,いつもとは異なる所見があれば,緊急性に応じて記録にとどめるか,医師・看護師に報告するか,救急受診を考えるかの判断が必要である.「体調が悪いから訪問リハを休みたい」という連絡が入ったときこそ上記のことを説明して訪問することも視野に入れていただきたい.そして,受診となった場合,その後の診断・経過を医療機関からフィードバックしてもらうことによって,さらに自分自身の診断能力や観察能力を高めていただきたい.

参考文献1)編集 森田孝子・テコム編集委員会:看護国試シリー

ズ みるみるフィジカルアセスメント 第1版,医学評論社,2012年9月27日

2)出月康夫:臨床医のための診療手技 初版:p220-228,中外医学社,1993年5月10日

3)監修 跡見 裕・磯部 光章・井廻 道夫・北川 泰久・北原 光夫・弓倉 整 編集 日本医師会学術企画委員会:日本医師会雑誌 第140巻・特別号(2)症状からアプローチするプライマリケア:p23-27,日本医師会 ,平成23年10月15日

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