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簡単、低コスト、無色透明な、 高屈折率ポリマー材料 熊本大学 大学院 自然科学研究科 教授 伊原 博隆 研究員 神徳 啓邦 Kumamoto University Simple and low-cost method for fabrication of high refractive index polymer HOeNICS P

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Page 1: 簡単、低コスト、無色透明な、 高屈折率ポリマー材料 - JST...5 Kumamoto Univ. 低コストかつ、簡単なプロセス ① ポリマー(粉末)と金属塩A(粉末)を有機溶媒に溶かし、無色透明溶液を調製。

簡単、低コスト、無色透明な、 高屈折率ポリマー材料

熊本大学 大学院 自然科学研究科

   教授 伊原 博隆   研究員 神徳 啓邦

Kumamoto University

Simple and low-cost method for fabrication of high refractive index polymer

HOeNICSP

Page 2: 簡単、低コスト、無色透明な、 高屈折率ポリマー材料 - JST...5 Kumamoto Univ. 低コストかつ、簡単なプロセス ① ポリマー(粉末)と金属塩A(粉末)を有機溶媒に溶かし、無色透明溶液を調製。

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本発明技術に関する知的財産権

発明の名称: 金属塩と高分子との複合体及び その複合体からなるフィルム

出願番号: 特願2012-137177

発明者: 伊原 博隆、神徳 啓邦

出願人: 熊本大学

初公開

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従来技術について

【金属酸化物微粒子複合法】 TiO2やZrO2等の高屈折率の金属酸化物微粒

子(数nm~数十nm)をポリマー中に分散させ

て屈折率を高める手法

【高屈折原子導入法】 原子屈折の高い硫黄や、ハロゲン、芳香環等

をポリマーに導入し、屈折率を高める手法

《特徴・問題点》 !  微粒子の含有量によって屈折率を調節可能!  微粒子の調製、均質分散に難あり(白化要因)!  微粒子の調製コストにより高コスト化!  バルクポリマーに限定あり

《特徴・問題点》 !  均一で透明な材料の調製が可能!  ポリマーの設計・合成に制限!  屈折率の調節が困難!  高コスト

微粒子(ナノサイズ) (TiO2、ZrO2)

汎用ポリマー

均一分散

高屈折率ポリマー 高屈折率ポリマー 高屈折率元素含有ポリマー (参照元:Sigma Aldrich®)

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本発明の特徴・長所

【本発明技術の概要】  汎用性高分子と金属塩を混ぜるだけで調製する複合ポリマー

【本技術の特徴】

!  高分子材、金属塩ともに安価な材料!  混ぜて塗るだけの簡単なプロセスで作製!  様々な基板(ガラス、石英、ポリマー)上に成膜可能!  高分子材と金属塩の混合比によって屈折率を精密に調整可能!  可視領域の透過率にほぼ影響を与えないため、無色かつ透明性の維持が容易

金属塩溶液 ポリマー溶液

金属塩とポリマー 複合溶液

混合 キャスト

高屈折率ポリマーシート

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低コストかつ、簡単なプロセス

①  ポリマー(粉末)と金属塩A(粉末)を有機溶媒に溶かし、無色透明溶液を調製。②  2つの溶液を混ぜあわせ、無色透明の混合溶液を調製。③  混合溶液を基板上にキャストして乾燥させ、高屈折率フィルムを作製。

PMMA (粉末)

❸塗布製膜

金属塩A (粉末)

❶溶解

❶溶解

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複合フィルムの透明性について

可視領域で高い透過率(透明性)を維持  ガラス基板上に塗布製膜した金属塩含有PMMAフィルム(厚さ:約5μm)の透過スペクトル

PMMA単独フィルム 屈折率:1.489

金属塩A(71 wt%) 含有PMMAフィルム 屈折率:1.663

金属塩A(80 wt%) 含有PMMAフィルム 屈折率:1.73(理論値)

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理論屈折率と実測値および適応可能範囲

実測値 (1.663)

PMMA/金属塩A複合フィルム

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熱安定性と熱安定化

PMMA/金属塩複合フィルム (金属塩A含有量:64 wt%)

220 ˚C 10 min

220 ˚C 10 min

PMMA/金属塩複合フィルム (金属塩A含有量:75 wt%)

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おまけ

厚さ4 mm程度に成型した複合ポリマー (金属塩含有量:80 wt%)

PETフィルムに成膜した複合ポリマー (金属塩含有量:88 wt%)

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おまけ

少量の添加物により粘性が増加した複合ポリマー溶液 (金属塩含有量:80 wt%)

左の複合ポリマー溶液からガラス板上に キャスト・乾燥させて作製したファイバー

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本発明の特徴と従来技術との比較

  本発明技術従来技術

  高屈折原子導入法 微粒子複合法

技術概要金属塩とポリマーを 溶液中で混ぜる

屈折率の高い原子を ポリマーに導入する

高屈折率の金属酸化物微粒子をポリマー中に複合させる

高屈折因子 金属塩 硫黄やハロゲン、芳香環 TiO2やZrO2微粒子

屈折率制御 簡単 困難 普通

透明性 高い 高い低い

(粒子の凝集が原因)

材料コスト※低い

(数十円/g)高い

(数万円/g)高い

(数万円/g)

特殊な技術 不要必要

(ポリマー合成)必要

(ナノ粒子調製、分散技術)

※1 市販材料を用いて作製する場合の材料コスト(独自試算)

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想定される用途

【光取り出し層】

 LED、OLED、半導体レーザー

【反射防止(AR)膜】

 ディスプレイ、太陽光発電、光学フィルター

 

【多層反射膜】

 分光フィルター、バンドパスフィルター

【マイクロレンズアレイ】

 CCD、C-MOSセンサー

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企業の皆様への期待

" 基礎研究からジョイントする共同研究

" 屈折率やその他光学特性の評価を中心に連携する共同研究

" 材料開発を主目的とする共同研究

" 用途開発を主目的とする共同研究

" PHOENICSセンターとの共同研究

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問い合わせ先

熊本大学 研究コーディネーター 松浦 佳子Phone 096-342-3145 FAX 096-342-3239 E-mail [email protected]

熊本大学 イノベーション推進機構 産学連携部門 准教授 緒方 智成 Phone 096-342-3967 FAX 096-342-3239 E-mail [email protected]