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画像請求フォーム 画像はデータでご提供いたします。希望する画像にレ印をつけ、媒体名、御社名、ご担当者、ご連絡先を以下にご記入の上、 本用紙をファックスまたはメールにてお送りください。 プレスイメージ貸出条件 1 画像は、本展紹介以外の目的で使用しないでください。 2 画像データを第三者に渡すことはできません。使用後、データは消去してください。 3 作品画像は全図で使用してください。部分画像やトリミング、作品に文字を重ねることはできません。 4 画像を掲載する際には、イメージ貸出時に添付するクレジットをご記入ください。 5 掲載、放送の際には事前確認のため、ゲラ、掲載誌(紙)または映像のご提供をお願いいたします。 6 掲載誌(紙)は、下記広報担当あてに一部ご寄贈ください。WEB サイトの場合は、掲載時にお知らせください。 お問合せ先:遥かなるルネサンス展実行委員会(青森県立美術館内) 038-0021 青森県青森市安田字近野 185 TEL 017783-5240 FAX 017783-5244 E-MAIL [email protected] 広報担当:葛西暁史 学芸担当:池田亨 To 青森県立美術館 広報担当行 媒体名 御社名                                ご担当者 所在地 電話番号 メールアドレス(データ送付先) 天正遣欧少年使節の行程 本展は、16世紀後半のイタリアを訪れた天正遣欧少年使節 の足跡をたどりつつ、“日本人が初めて見たヨーロッパ文化” “日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術”に焦点 を当てて、ルネサンスの豊穣なる美の世界を探求します。 1582 年 2 月 20 日(天正十年)、宣教師ヴァリニャーノは、日 本人自身の中から、ヨーロッパ文明の語り部となる人物を育成 する必要があると考え、伊東マンショ、原マルティノ、千々石 ミゲル、中浦ジュリアンの 4 人の少年をヨーロッパに送り出 しました。1585 年 3 月、イタリアのリヴォルノに上陸した一 行は、フィレンツェ、シエナを経由し、ローマに至り、教皇 に謁見するという旅の大きな目的の一つを果たすと、帰国の 旅では、ボローニャ、ヴェネツィア、パドヴァ、マントヴァ、 ミラノ、ジェノヴァなどの各都市に立ち寄り、そこでもまた 行く先々で非常な歓待を受け、教会の儀式に参加するなど、 見聞を広めました。 本展では、天正遣欧少年使節が訪れたイタリア各地の都市 の美術を訪問順に紹介します。 ルネサンスの中心フィレンツェからはメディチ家の人々 を描いた絵画や大公の工房で作られた工芸品、一行が狩りを 楽しんだバニャイアからは狩猟の様子を描いたタピスリー、 教皇との謁見を果たしたローマからはその様子を描いた絵 画や使節訪問の記念メダル、ペーサロからは物語の描かれた 美しい陶器、ヴェネツィアからは世界に誇ったガラス工芸や 色彩豊かなヴェネツィア派の絵画など、それぞれの都市に花 開いた特色ある美術品が出品されます。とくにメディチ家の お抱え画家ブロンズィーノが描いた《ビア・デ・メディチの 肖像》と、ヴェネツィアの画家ティントレットの工房で描かれ、 2014 年に奇跡的に再発見された《伊東マンショの肖像》は本 展の見どころのひとつです。 遣欧使節が日本に帰国したのは出発して約8年半後のこと Livorno Pisa Florence Siena Rome Persia Assisi Loreto Macerata Tolentino Camerino Foligno Montefalco Spoleto Terni Narni Civita Castellana Bologna Imol a Forli Fano Senigallia Recanati Pesaro Ancona Rimini Bagnaia Caprarola Viterbo Montefiascone Acquapendente Ferrara Venice Padua Vicenza Verona Lodi Cremona Mantua Milan Pavia Tront Genova ITALY リヴォルノ ピサ フィレンツェ シエナ ローマ ペルージャ ロレート チヴィタ・カステッラーナ ナルニ クレモーナ ローディ パヴィーア トルトーナ テルニ スポレート モンテファルコ フォリーニョ カメリーノ リミニ アンコーナ トレンティーノ マチェラータ アッシジ ヴィテルボ モンテフィアスコーネ アックアペンデンテ レカナーティ セニガッリア ファーノ フォルリ ボローニャ フェラーラ ヴェネツィア パドヴァ ヴィチェンツァ ヴェローナ マントヴァ ミラノ ジェノヴァ イモラ ペーザロ バニャイア カプラローラ 展覧会概要 でしたが、その間に豊臣秀吉によって「伴天連追放令」が発令されるなど、彼らを取り巻く環境は大きく変わっており、その後の彼らを待ち 受ける運命は幸福とは言いがたいものでした。しかし、 「天正遣欧少年使節」として海を渡った4人の事績は、グローバル化が進む現代において、 キリスト教という枠を超えて、異文化間の相互理解という意味で、なお一層の重みをもって私たちの心に訴えかけてくるのです。 No.1 ●大公の工房、クリストーファノ・ガッフーリ(ヤコポ・リ ゴッツィの作品に基づく) ●リヴォルノ港の景観 1601-04 年/モザイク、貴石/リヴォルノ(Livorno●ウフィツィ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.2 ●アレッサンドロ・アッローリ派 ●ビアンカ・カペッロの肖像 1578 年以降/油彩、板/フィレンツェ(Firenze●ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.3 ●ブロンズィーノ(アーニョロ・ディ・コジモ・トーリ) ●ビア・デ・メディチの肖像 1542-45 年/油彩、板/フィレンツェ(Firenze●ウフィツィ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.4 ●ローマの画家 ●ヨーロッパ内外にセミナリオを設立するグレゴリウス1316世紀末-17世紀初頭/油彩、カンヴァス/ローマ(Roma●グレゴリアン大学 ●グレゴリアン大学 No.5 ●ウルビーノ窯、パタナッツィ工房 ●市民を救うカエサルが描かれた大皿 1580-90 年頃/マヨリカ陶器/ペーザロ(Pesaro●バルジェッロ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.6 ●ドメニコ・ティントレット ●伊東マンショの肖像 1585 年/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia●トリヴルツィオ財団 ●ミラノ、トリヴルツィオ財団 No.7 ●パオロ・ヴェロネーゼ ●息子アンテロスをユピテルに示すヴィーナスとメルクリウス 1560-65 年/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia●ウフィツィ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.8 ●ティントレット(ヤコポ・ロブスティ) ●レダと白鳥 1551-55年頃/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia●ウフィツィ美術館 ©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi No.9 ● ------ ●天正遣欧少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状 1585 7 2 日付/紙本、墨書、インク/ヴェネツィア Venezia●ヴァチカン教皇庁図書館 ©by Biblioteca Apostolica Vaticana No.10 ●ポンペオ・デッラ・カーザに帰属 ●ヴィンチェンツォ1 世・ゴンザーガの冑 1584 年頃/鋼鉄、金、銀/マントヴァ(Mantova●トリノ王立兵器博物館 ©Musei Reali di Torino - Armeria Reale 画像 No. ●作家名 ●作品名 ●制作年/材質・技法/都市名(イタリア語) ●所蔵先 ●クレジット

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画像請求フォーム画像はデータでご提供いたします。希望する画像にレ印をつけ、媒体名、御社名、ご担当者、ご連絡先を以下にご記入の上、

本用紙をファックスまたはメールにてお送りください。

プレスイメージ貸出条件1 画像は、本展紹介以外の目的で使用しないでください。2 画像データを第三者に渡すことはできません。使用後、データは消去してください。3 作品画像は全図で使用してください。部分画像やトリミング、作品に文字を重ねることはできません。4 画像を掲載する際には、イメージ貸出時に添付するクレジットをご記入ください。5 掲載、放送の際には事前確認のため、ゲラ、掲載誌(紙)または映像のご提供をお願いいたします。6 掲載誌(紙)は、下記広報担当あてに一部ご寄贈ください。WEBサイトの場合は、掲載時にお知らせください。

お問合せ先:遥かなるルネサンス展実行委員会(青森県立美術館内)      〒038-0021 青森県青森市安田字近野 185 TEL (017)783-5240 FAX (017)783-5244 E-MAIL [email protected]広報担当:葛西暁史 学芸担当:池田亨

To 青森県立美術館 広報担当行

媒体名

御社名                                ご担当者

所在地

電話番号

メールアドレス(データ送付先)

天正遣欧少年使節の行程

 本展は、16世紀後半のイタリアを訪れた天正遣欧少年使節

の足跡をたどりつつ、“日本人が初めて見たヨーロッパ文化”

“日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術”に焦点

を当てて、ルネサンスの豊穣なる美の世界を探求します。

 1582年2月20日(天正十年)、宣教師ヴァリニャーノは、日

本人自身の中から、ヨーロッパ文明の語り部となる人物を育成

する必要があると考え、伊東マンショ、原マルティノ、千々石

ミゲル、中浦ジュリアンの 4 人の少年をヨーロッパに送り出

しました。1585 年 3 月、イタリアのリヴォルノに上陸した一

行は、フィレンツェ、シエナを経由し、ローマに至り、教皇

に謁見するという旅の大きな目的の一つを果たすと、帰国の

旅では、ボローニャ、ヴェネツィア、パドヴァ、マントヴァ、

ミラノ、ジェノヴァなどの各都市に立ち寄り、そこでもまた

行く先々で非常な歓待を受け、教会の儀式に参加するなど、

見聞を広めました。

 本展では、天正遣欧少年使節が訪れたイタリア各地の都市

の美術を訪問順に紹介します。

 ルネサンスの中心フィレンツェからはメディチ家の人々

を描いた絵画や大公の工房で作られた工芸品、一行が狩りを

楽しんだバニャイアからは狩猟の様子を描いたタピスリー、

教皇との謁見を果たしたローマからはその様子を描いた絵

画や使節訪問の記念メダル、ペーサロからは物語の描かれた

美しい陶器、ヴェネツィアからは世界に誇ったガラス工芸や

色彩豊かなヴェネツィア派の絵画など、それぞれの都市に花

開いた特色ある美術品が出品されます。とくにメディチ家の

お抱え画家ブロンズィーノが描いた《ビア・デ・メディチの

肖像》と、ヴェネツィアの画家ティントレットの工房で描かれ、

2014 年に奇跡的に再発見された《伊東マンショの肖像》は本

展の見どころのひとつです。

 遣欧使節が日本に帰国したのは出発して約8年半後のこと

Livorno

Pisa Florence

Siena

Rome

PersiaAssisi

LoretoMacerataTolentino

CamerinoFolignoMontefalco

SpoletoTerniNarni

Civita Castellana

Bologna Imola

ForliFanoSenigalliaRecanati

PesaroAncona

Rimini

Bagnaia

Caprarola

ViterboMontefiascone

Acquapendente

Ferrara

VenicePaduaVicenza

VeronaLodi

Cremona Mantua

Milan

Pavia

Tront

Genova

ITALY

リヴォルノ

ピサ フィレンツェ

シエナ

ローマ

ペルージャ

ロレート

チヴィタ・カステッラーナナルニ

クレモーナ

ローディ

パヴィーア

トルトーナ

テルニスポレートモンテファルコフォリーニョカメリーノ

リミニ

アンコーナ

トレンティーノマチェラータアッシジ

ヴィテルボモンテフィアスコーネ

アックアペンデンテ

レカナーティセニガッリアファーノ

フォルリ

ボローニャ

フェラーラ

ヴェネツィアパドヴァヴィチェンツァ

ヴェローナ

マントヴァ

ミラノ

ジェノヴァ

イモラ

ペーザロ

バニャイア

カプラローラ

展覧会概要

でしたが、その間に豊臣秀吉によって「伴天連追放令」が発令されるなど、彼らを取り巻く環境は大きく変わっており、その後の彼らを待ち

受ける運命は幸福とは言いがたいものでした。しかし、「天正遣欧少年使節」として海を渡った4人の事績は、グローバル化が進む現代において、

キリスト教という枠を超えて、異文化間の相互理解という意味で、なお一層の重みをもって私たちの心に訴えかけてくるのです。

□No.1●大公の工房、クリストーファノ・ガッフーリ(ヤコポ・リ ゴッツィの作品に基づく)●リヴォルノ港の景観●1601-04年/モザイク、貴石/リヴォルノ(Livorno)●ウフィツィ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.2●アレッサンドロ・アッローリ派●ビアンカ・カペッロの肖像●1578年以降/油彩、板/フィレンツェ(Firenze)●ウフィツィ美術館、パラティーナ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.3●ブロンズィーノ(アーニョロ・ディ・コジモ・トーリ)●ビア・デ・メディチの肖像●1542-45年/油彩、板/フィレンツェ(Firenze)●ウフィツィ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.4●ローマの画家●ヨーロッパ内外にセミナリオを設立するグレゴリウス13世●16世紀末-17世紀初頭/油彩、カンヴァス/ローマ(Roma)●グレゴリアン大学●グレゴリアン大学

□No.5●ウルビーノ窯、パタナッツィ工房●市民を救うカエサルが描かれた大皿●1580-90年頃/マヨリカ陶器/ペーザロ(Pesaro)●バルジェッロ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.6●ドメニコ・ティントレット●伊東マンショの肖像●1585年/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia)●トリヴルツィオ財団●ミラノ、トリヴルツィオ財団

□No.7●パオロ・ヴェロネーゼ●息子アンテロスをユピテルに示すヴィーナスとメルクリウス●1560-65年/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia)●ウフィツィ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.8●ティントレット(ヤコポ・ロブスティ)●レダと白鳥●1551-55年頃/油彩、カンヴァス/ヴェネツィア(Venezia)●ウフィツィ美術館●©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

□No.9● ------ ●天正遣欧少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状●1585年7月2日付/紙本、墨書、インク/ヴェネツィア (Venezia)●ヴァチカン教皇庁図書館●©by Biblioteca Apostolica Vaticana

□No.10●ポンペオ・デッラ・カーザに帰属●ヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガの冑●1584年頃/鋼鉄、金、銀/マントヴァ(Mantova)●トリノ王立兵器博物館●©Musei Reali di Torino - Armeria Reale

画像 No. ●作家名 ●作品名 ●制作年/材質・技法/都市名(イタリア語) ●所蔵先 ●クレジット

Page 2: 画像請求フォーム画像請求フォーム 画像はデータでご提供いたします。希望する画像にレ印をつけ、媒体名、御社名、ご担当者、ご連絡先を以下にご記入の上、

ブロンズィーノ(アーニョロ・ディ・コジモ・トーリ)

《ビア・デ・メディチの肖像》

1542-45年 油彩、板 64×48 cm ウフィツィ美術館

©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

ドメニコ・ティントレット

《伊東マンショの肖像》

1585年 油彩、カンヴァス 54×43 cm トリヴルツィオ財団

ミラノ、トリヴルツィオ財団

大公の工房、クリストーファノ・ガッフーリ(ヤコポ・リゴッツィの作品に基づく)

《リヴォルノ港の景観》

1601-04年 モザイク、貴石 107×94 cm ウフィツィ美術館

©Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi

1 リヴォルノからローマへ

1585 年 3 月、リヴォルノの港からイタリアに上陸した使節の一行は、ピサ

でトスカーナ大公フランチェスコ1世と后ビアンカ・カペッロに謁見しま

した。フランチェスコ 1 世は使節団のために鷹狩りと舞踏会を催しまし

たが、少年使節の 4 人は、ピサの宮殿で開かれた、ビアンカ・カペッロ主

催の舞踏会に招かれ、そこで伊東マンショはビアンカと二人でダンスを

披露し、拍手喝采を浴びたと伝えられています。また、フィレンツェでは、

後に教皇レオ11世となるアレッサンドロ・デ・メディチに迎えられ、ウフィ

ツィ宮殿やヴェッキオ宮殿、サンタ・マリア・デル・フィーレ大聖堂など

メディチ家の栄華を象徴する場所を訪れた一行は、その後、シエナを経

由し、ローマへと向かいます。

 コジモ 1 世の宮廷画家として活躍したブロンズィーノの代表作。

描かれた少女、ビアはコジモ1世が18歳のときに生まれた子どもで、

とてもかわいがっていましたが、幼くして病没してしまいます。

このビアの肖像画は、彼女の死後まもなく描かれたもので、父コ

ジモ1世にとって大切な家族の記録となったことでしょう。

 ながくヴェッキオ宮殿とウフィツィ美術館に大切に保管され続

けたこの作品は、20世紀以降、展覧会に貸し出されたのは、フィレ

ンツェ市内4回と2016年のオーストリアの計5回のみ。つい去年まで、

フィレンツェを出たことが一度もなかったという、まさに筋金入

りの “箱入り娘”が、本巡回展で日本初公開となります。

1585年6月に天正遣欧少年使節がヴェネツィア共和国を訪問した際

に、元老院によってヤコポ・ティントレットに発注された肖像画。

のちに息子のドメニコが完成させたものです。同時代の文献から、

肖像画が発注されたことは知られていましたが、絵画の存在は不

明のままでした。しかし、2014年にトリヴルツィオ財団の調査によっ

てその存在が確認され、2016 年には東京国立博物館、マンショゆ

かりの長崎歴史博物館、宮崎県立美術館で公開されて大きな話題

となりました。

《天正遣欧少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状》

1585年7月2日付 紙本、墨書、インク 31.8×41.7 cm ヴァチカン教皇庁図書館

©by Biblioteca Apostolica Vaticana

3 ヴェネツィアからジェノヴァへ

  主目的である教皇への謁見を果たした使節達は、帰途、北イタリアの

諸侯に招かれ、ボローニャ、ヴェネツィア、マントヴァ、ミラノなどの諸

都市をおとずれ、ジェノヴァの港からイタリアを離れました。

 彼らが最も感銘をうけたのは水の都ヴェネツィアでした。彼らはティ

ントレットやヴェロネーゼの名画に飾られたドゥカーレ宮でヴェネツィ

ア総督ニコロ・ダ・ポンテに謁見します。10 日間にわたる滞在中、サン・

マルコ寺院をはじめとする教会やモニュメントを訪れた他、ゴンドラに

乗ってガラス細工で有名なムラノ島に赴き、吹きガラス製法のデモンスト

レーションに大きな興味を示したといいます。7 月 4 日、使節たちは暇を

告げるため再び総督のもとへと謁見に赴き、日本語で書かれた礼状を手

渡しました。この礼状も今回展示されています。

 また、ヴェネツィアを代表する画家ヤコポ・ティントレットの《レダと

白鳥》、パオロ・ヴェロネーゼの《息子アンテロスをユピテルに示すヴィー

ナスとメルクリウス》の 2 点の大作も見どころです。

展示構成 〜使節の訪れたイタリア各都市の美術を訪問順に展示 見どころ 〜“メディチのプリンセス”と奇跡的に再発見された少年使節の肖像画

ローマの画家

《ヨーロッパ内外にセミナリオを設立するグレゴリウス13世》

16世紀末-17世紀初頭 油彩、カンヴァス 192×282 cm グレゴリアン大学

2 ローマ~教皇への謁見

1585年3月22日の夕刻、使節団は目的地のローマに到着します。翌日、彼

らの到着を祝う勇壮な行列(コルテーオ)が荘厳に行なわれ、高熱の中

浦ジュリアンを除く使節たちは花や鳥の模様の入った着物に身を包み、

金の装飾品や黒のベルベットの馬衣をまとった馬に乗り行進しました。

そしてグレゴリウス13世に面会し、自分たちの君主である大名から預かっ

て来た手紙を読み上げ、差し出しました。

 それから数日の間に教皇との私的な面会が数回行なわれ、使節はグレ

ゴリウス13世に、漆塗りの品々や安土城が描かれた高価な屏風(信長がヴァ

リニャーノに贈ったもの、現在は失われている)といった贈り物を届けて

います。

 70日間にもおよぶローマでの長期滞在の間に、使節団はローマや周辺

都市の代表的な場所を訪れました。また彼らの滞在中に亡くなったグレ

ゴリウス13世の次の教皇となるシクストゥス5世の戴冠式にも参加しています。

◯記念講演会「天正遣欧少年使節の見たイタリアルネサンス」

 本展の企画者である東京富士美術館 五木田館長から、本展の内容と見どころ

 についてお話しいただきます。

 日 時:7月29日(土) 13:30-15:00

 会 場:青森県立美術館スタジオ(定員50名・申込不要)

 入場料:無料

 講 師:東京富士美術館館長 五木田聡

関連企画 〜展覧会をより深く知るための講演会とコンサート

○講演会「楽しいルネサンス美術」

 ブロンズィーノなどイタリアルネサンス晩期のマニエリスム美術研究を専門

 とする講師が、イタリアルネサンス美術の楽しみ方を解説します。

 日 時:8月26日(土) 13:30-15:00

 会 場:青森県立美術館スタジオ(定員50名・申込不要)

 入場料:無料

 講 師:弘前大学教授 足達薫(イタリア美術史)

○ミュージアム・コンサート 天正遣欧少年使節の音楽

 遣欧使節の少年たちは西洋の楽器を見事に演奏し、帰国後は豊臣秀吉の前で

 披露したと伝えられています。彼らも奏でた古楽器リュート、ハープと歌に

 よる演奏で、少年たちの出会った450年前の音楽に思いをはせます。

 出演者:つのだたかし(リュート)、伊藤美恵(バロックハープ)、藤井あや(ソプラノ)

 日 時:8月29日(火) 16:30-17:30

 会 場:青森県立美術館企画展示室

 ※詳細については青森県立美術館ホームページ等でご確認ください。

○アレコホール定期演奏会 2017「Incontro」

 1628年にニコロ・アマティが制作したヴァイオリンが演奏されます。ルネサ

 ンス展とともにぜひご鑑賞ください。

 日 時:7月15日(土)、9月30日(土) 各日19時開演

 会 場:青森県立美術館アレコホール

 演奏者:三上亮(ヴァイオリン)、佐藤慎悟(ピアノ)

 ※展覧会と別料金です。

  詳細については青森県立美術館ホームページ等でご確認ください。

《ビア・デ・メディチの肖像》 《伊東マンショの肖像》