CINK社のクロスフロー水車はオスバーガー社水車に設計的に相応する

ものです。 そして、CINK社のクロスフロー水車はお客様のご要望に沿う

よう－言い換えれば、地点の水量や落差に適するよう、標準化された

部品により構成されているため、短納期・低コスト化が図られています。

クロスフロー水車は、長期間ほとんどメンテナンスフリーでの運転ができ

ます。運転に際しては、高額で複雑な予備品を必要とせず、発電所での

保守作業が可能です。また、クロスフロー水車の特別な利点は、導水管

の長い上水道設備で水撃作用を引き起こすことや、機械運転による上

水道設備への悪影響を与えないことです。このことは、CINK社が多くの

国で実証しています。

落差

流量

出力

運転範囲

H = 5 - 200 m

Q = 0.03 - 13 m /s

P = 10 - 5,000 kW

3

２セルクロスフロー水車の標準的水車室（入口弁、ギアボックス、発電機、配電制御盤より構成）

クロスフロー水車は接線方向の入射角を持つ放射状のランナブレードと水平方向の

軸を備えた水車で、低速水車に分類されます。入口管を通って水車へ流入する水は

ガイドベーンで調整され、ランナに流

れ込みます。流水は、ランナの内側

に入ると共に中心部を横切り再びラ

ンナの反対側へ出る貫流式で、この

構造から追加効率を生み出します。

水は最終的にそのまま放流されるか

ドラフトチューブを通って水車下部から

放流されます。

流量が大きく変動する場合でも利用

できるよう、ランナ幅を1:2に分割した

2セル（2枚のガイドベーン）で流量を

自動調節します。小流量時(1/3流量

相当)は小ガイドベーン、中流量時(2/3

流量相当)は大ガイドベーン、定格流

量時(3/3流量相当）は大小両方のガ

イドベーンで調整します。その結果、

12～100%の水量を高効率で制御し、

高効率運転を維持できます。始動(無

負荷運転)は6%の流量があれば可能

です。

さらに、流水はランナを洗浄する効果

もあります。ブレードの間に入り込ん

だ異物は、ランナに水が流れ込んだ

ときに遠心力によって引きはがされ、

その後ランナが半回転すると、水が

異物を洗い流します。

低落差用小型のクロスフロー水車の

総合効率は80～84％程で、中高落差

用中型、大型の水車の最高効率は

87％です。

２セルクロスフロー水車の原理

２セルクロスフロー水車の標準機

フランシス水車

２セルクロスフロー水車

２セルクロスフロー水車とフランシス水車の効率曲線の比較

クロスフロー水車の部分負荷運転の利点を前頁の効率曲線に示します。実

際の川の流量は、年間で見るとある期間、水車の定格流量とに対し減少し

ます。その間発電事業は、少流量を利用しなければならず、水車の部分負

荷特性に左右されます。

従い、高効率を保ち平坦な効率特性を得る２セルクロスフロー水車は、定格

流量では高効率が得られるものの、流量が少なくなると効率が下がるフラン

シス水車などよりも、年間発生電力量が優位になります。

緊急閉鎖用重錘 ガイドベーン操作ロッド

ガイドベーン

水車ケーシング

ランナ

吸気弁

コーナーハウジング

ドラフトチューブドラフト基礎フレーム

軸受

入口管

クロスフロー水車のケーシングは，強固で衝撃や凍結に強い構造用鋼の溶

接構造です。機器の摩耗原因となる摩耗性物質(例：砂、泥)が水中に多量

に含まれていたり、水質が材料に害を及ぼすもの(例：海水、酸性水)であっ

たりしても問題ないように、流水面はすべてステンレスを採用しています。

クロスフロー水車の構成部品

クロスフロー水車

では水車への流

入水は、流水によ

る不平衡力をバラ

ンスよく保つように

設計されたガイド

ベーンにより流入

量を調整します。

ガイドベーンは流

水を上下に分割し

ランナに導きます。

ガイドベーンは水車停止時

水車への流水を完璧に閉止できる

よう密閉性よく仕上げられ、ケーシング内に

組み込まれています。このため、水圧管に入口弁を設置する必要はありま

せん。２つのガイドベーンはそれぞれ個別の操作アームに繋がれていて、

自動または手動で操作できます。軸受にはメンテナンスフリーの耐摩耗性

滑り軸受が使用されています。水車はアームの端に取り付けられた緊急閉

鎖用重錘によって、緊急時でも重力によってガイドベーンを確実に閉鎖する

ことができます。

ランナは水車の中でも最も重要な部品で、鋼製の滑らかな形状のブレード

により構成された組立品です。実際の流水の性状によって構造用鋼かステ

ンレス鋼のどちらかを使用します。ブレードの両端はランナディスクにはめ

込まれ溶接固定されています。ランナ径によりますが、最大37枚のブレード

からなります。ブレードの流体的形状から軸方向荷重の発生はなく、手間の

かかるアキシャル軸受のはめ込みや注油といった補強が必要ありません。

幅の広いランナのブレードでは中間に何枚ものディスクを挿入し強度を保っ

ています。ランナは組立前にバランスを取り、クラック等欠陥検出のための

非破壊検査が実施されます。

クロスフロー水車の軸受には、摩擦抵抗が小さくメンテナンスが容易な

自動調心ころ軸受を具備しています。ベアリングハウジングはベアリン

グへの浸水や漏油を防ぐように設計されています。これは特許にもなっ

ているベアリングハウジングの重要な性能です。さらに、ランナが水車

ケーシングの中央に収まっているのもベアリングのためです。このよう

な独創的な構造が主軸封水装置の保守性向上にも役立っています。

軸受は保守性が良く、毎年のグリス交換を除けば、特別な保守を必要

としません。それにより、水車全体の分解なしでのランナの交換作業を

可能にしています。

クロスフロー水車はペルトン水車のような衝動水車です。しかしながら、

中・小落差では落差全体を利用するためにドラフトチューブを適用する

ことができます。ドラフトチューブ内の水柱は、空気弁の調節により確

保されるタービンケーシング内の吸出し圧によって制御可能です。その

ような方法で、吸出し高さ1～3mの水車ではキャビテーションの恐れが

なく安心して使用できます。

低落差地点に設置されたドラフトチューブ付きクロスフロー水車

■　流量が12%～100%の広範囲で高効率運転ができ、年間発電量が大きい

■　始動に必要な流量は6%とわずか

■　地点に適応した汎用性の高い機種揃え

■　ゴミ詰まりしにくいランナ

■　落差の変化に対する高い適応性

■　簡単な据付と最小限の土木工事

■　高い保守性

■　異物への高い耐性

■　累積10,000台以上で実証済みの高い品質

適用出力︓10 ～ 5,000 kW

落差︓5～ 200 m

流込または堰式発電

ダム式発電

上水道施設での発電

下水処理場での発電

未電化地域への電力供給

■1990年 水力発電メーカ－としてチェコ共和国に創立

■2005年 ISO 14001取得

■2009年 ISO 9001取得

■2016年 CZECH TOP 100にてAAA賞を受賞

■総台数280台／総出力220MW以上

■世界30ヶ国に水力発電を納入