clt を構造材として採⽤した 8 階建て事務所建築〜 「(仮...
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【「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」の特徴】 ① CLT を構造材として採用した 8 階建て事務所建築 本計画は、CLT を構造材として採用した高層事務所建築。床の構造材 に、約 57 ㎥の CLT 材を使用。竣工後は賃貸オフィスとして運用。 (CLT を構造材とした 6 階以上の事務所建築は国内初 ※日本CLT協会調べ)
② 先行プロジェクトでの実績を活かした耐火 CLT 床を導入 宮城県仙台市での CLT 床材を使用した高層住宅「PARK WOOD 高森」 での実績を活かし、1 時間耐火及び 2 時間耐火の CLT 床等を導入予定。
③ 高層非住宅建物における CLT 利用を普及促進するプロジェクト これまで木材利用率が低かった高層非住宅建物における CLT の 利用を普及促進する役割を持つほか、本計画の設計・施工・ CLT 製造の過程における課題やメリットを総合的に検証。
▲外観完成予想CG
2019 年 5 月 29 日
報道関係各位 三菱地所株式会社
三菱地所株式会社は、東京都千代田区において、CLT※を構造材として採用したオフィスビル「(仮称)千代田
区岩本町三丁目計画」を進めて参りましたが、本計画につき、本日 5 月 29 日に新築着工しましたので、お知らせ
致します。竣工は 2020 年 3 月末の予定で、完成後は賃貸オフィスとして運用される予定です。 ※CLT…Cross Laminated Timber の略。1995 年頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい構造材で、板の層を各層で互いに直交するよ
うに積層接着した大判パネルのこと。
本計画は、CLT を構造材として採用した 8 階建て事務所建築であり、三菱地所グループとして CLT を活用し
たオフィスビル第一号物件です。木造建築物等に係る技術の進展に資するとともに普及啓発を図ることを目的と
した国土交通省の「平成 30 年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されました。計画地周辺
は、小規模敷地かつ高層建物が密集しているため、本計画から得られる知見が同様の密集市街地における CLT を
採用した高層非住宅建物のモデルケースとなることが期待されます。
本計画においては、平成 29 年度の国土交通省「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」にて採択を受
けた、宮城県仙台市での CLT を床材とした高層賃貸マンション計画「PARK WOOD 高森」での実績を活かし、
CLT の製品価格や接合部コスト、耐火被覆コストに対して設計段階から改善案を考案し、施工を通じて検証する
ことで、CLT の利用方法に関する技術進歩をより一層推進することが可能です。 三菱地所では、CLT の普及に向けた取り組みを強化しています。今後も木材の利用を通じて、当社ならではの
ビジネスモデルを構築し、工事費の低減や工期短縮、将来の事業機会創出等へとつなげていくとともに、本計画
から得る設計および施工時の実証結果の情報について、可能な限り広く公開していくことで、CLT を利用した建
築物の普及を促進していく先導的な役割を果たしていきます。
〜CLT を構造材として採⽤した 8 階建て事務所建築〜 「(仮称)千代⽥区岩本町三丁⽬計画」着⼯
▲立面図
▲CLT 床断面イメージ
▲外装木材使用イメージ
CLT 材 使用範囲
▲基準階床CLT 材使用範囲(茶色部分)
1.「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」について
■国内初、CLT を構造材として採用した高層事務所建築
・本計画は、国内で初めて CLT を構造材として採用した 8 階建て事務所建築です。本計画では 3~8 階の床に
CLT を使用します。
・上層から 4 層は 1 時間耐火仕様、5 層以下を 2 時間耐火仕様として階数に応じて耐火仕様を使い分けることで、
オーバースペックによる高コスト化を避けることが可能です。
・CLT 材を使用する範囲は 1 フロアあたり 55.68 ㎡。
建物全体での使用面積は 334.08 ㎡。
■先行プロジェクトの事例を活かした設計・新仕様の開発
・CLT を床材に利用した先行プロジェクト「PARK WOOD
高森」での事例をもとに、加工を更に減らした新たな鉄骨梁
と CLT の接合方法を確立することにより、従来と比較した加
工・接合金物費及び施工費・作業時間の低減を目指します。
・本プロジェクトに向け、新たな鉄骨梁耐火仕様を開発。通常の
鉄骨造と同様のコンパクトな納まりを実現することができる
ため、天井梁まわりの空間が広がり、材料費、施工費の低減が
可能です。
■木の温もりを感じられる商品計画
・木材のぬくもりが感じられる洗練されたデザインに
より、小規模ながらスマートで快適なオフィス空間
の創出を目指します。
・木材利用促進のため外装には木ルーバーを使用。オフ
ィス内でも内装や家具等での木質化を検討予定で
す。
1 時間耐火仕様
2 時間耐火仕様
CLT床材
鉄骨梁
▲狭域地図 ▲広域地図
■国交省補助事業採択の先導的プロジェクト
・CLT の利用にあたり、施工において国交省の平成30年度「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)
※」補助金制度を活用。
※国土交通省が、先導的な設計・施工技術によって住宅・建築物を木造・木質化するリーディングプロジェクトに対して、整備費を補助するも
の。
・建物の木造化への取り組みを通じて、工事費の低減や工期短縮、国内の森林資源の循環への貢献に寄与するこ
とを目指します。
・本計画は、国連サミットで2015 年に採択された2030 年までの国際開発目標「持続可能な開発のため
の2030 アジェンダ(SDGs)※」に寄与するものであり、国内実施及び国際協力の両面において意義のある取
り組みです。
※2001 年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として、2016 年から 2030 年までの国際社会共通の 17 の目標。日本において
は、再構成した 8 つの優先分野のもとで、140 の国内及び国外の具体的な施策を指標とともに掲げ、取り組みを推進している。
■高層非住宅建物における CLT 利用を普及促進するプロジェクト
・これまで木材利用率が低かった高層非住宅建物における CLT の利用を普及促進する役割を果たします。
・本計画での実証成果は、高層非住宅建物における CLT の利用促進に止まらず、これまで実現できなかった高層
建物への複合的な木材利用へ繋がる役割を果たし、ひいては国内森林資源の有効な活用先として地産都消モデ
ルの先進的事例となることを目指します。
2.「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」計画概要
所 在 地:東京都千代田区岩本町 3 丁目 7-5(地番)
交 通:都営新宿線「岩本町」駅徒歩 3 分、東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅徒歩 3 分
敷 地 面 積:145.61 ㎡
延 床 面 積:645.05 ㎡
用 途:事務所
構 造 ・ 規 模:鉄骨造、木造(床 CLT)・地上 8 階建
建 築 主:三菱地所株式会社
設 計 ・ 監 理:株式会社久保工、株式会社三菱地所設計
施 工:株式会社久保工
C L T 利 用 量:全体合計 約 57 ㎥
<計画スケジュール>
2019 年 5 月 29 日 着工
2020 年 3 月末 竣工(予定)
©OpenStreetMap contributors
建設地
▲外観 ▲内観写真(チェックインロビー)
▲外観完成写真
(参考)三菱地所における CLT 事業について
・2016 年度の社内新事業提案制度適用に基づき、2017 年度より住宅業務企画部内に専門部署「CLT ユニット」
を組成し、事業化に向けた研究開発に取り組んでいます。
・今後も、当社が取り組むアセット開発事業において、CLT の利用を通じて当社ならではのビジネスモデルを
構築し、工事費の低減や工期短縮、将来の事業機会創出へとつなげていきます。
<下地島空港の旅客ターミナル施設への活用事例>
・沖縄県・下地島空港の旅客ターミナル施設において、空港ターミナルとして全国で初めて、屋根の構造材に
CLT を採用。本施設は、1 棟あたりの CLT 使用量は 1,530 ㎥。
<CLT 晴海プロジェクトへの活用事例> ・三菱地所が事業主となり、東京都中央区晴海の土地に、隈研吾建築都市設計事務所によるデザイン監修のもと 岡山県真庭市産の CLT 材を使用した施設を建築。晴海で 2020 年秋まで運用された後は、部材をリユースし、 岡山県真庭市の国立公園蒜山(ひるぜん)に移築、観光及び芸術・文化発信拠点として利用される予定。
・CLT の使用量は、パビリオン棟・屋内展示棟・展示別棟を合計して約 760 ㎥。
<「PARK WOOD 高森」での活用事例>
・床と壁の約 220m3に CLT を構造材として使用し、日本で初めて CLT を床材
として利用した高層建築物。
・国土交通大臣認定を新たに取得した CLT 耐火床システム(2 時間耐火仕様)
を 4~10 階の床に採用(本プロジェクトが国内初の適用)。 ・工場生産された CLT と鉄骨を組み合わせる乾式工法により鉄筋コンクリート
造と比較して 3 ヵ月程度の工期短縮を実現。 ・鉄筋コンクリート造と比較して建物の軽量化が図れ、構造躯体(基礎・杭・建
物躯体等)工事の負荷が軽減。
以 上
▲晴海でのイメージパース ▲岡山県真庭市へ移築後のイメージパース