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ESRI Discussion Paper Series No.267 天津市の環境保全シミュレーション(I-天津多地域間産業連関表の推計と CO2SO2 排出量の計測- 中野 諭、鬼頭 浩文、 酒井 裕司 July 2011 内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute Cabinet Office Tokyo, Japan 論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見解を示すものでは ありません。

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ESRI Discussion Paper Series No.267

天津市の環境保全シミュレーション(I)

-天津多地域間産業連関表の推計と

CO2・SO2 排出量の計測-

中野 諭、鬼頭 浩文、 酒井 裕司

July 2011

内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute Cabinet Office Tokyo, Japan

論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見解を示すものでは

ありません。

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ESRIディスカッション・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研

究者および外部研究者によって行われた研究成果をとりまとめたものです。学界、研究

機関等の関係する方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図し

て発表しております。 論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見

解を示すものではありません。 The views expressed in “ESRI Discussion Papers” are those of the authors and not those

of the Economic and Social Research Institute, the Cabinet Office, or the Government of Japan.

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天津市の環境保全シミュレーション(I) * -天津多地域間産業連関表の推計と CO2・SO2 排出量の計測-

中野 諭 a 鬼頭浩文 b 酒井裕司 c

2011 年 7 月

要旨

本研究は、中国天津市を対象に、地域における適切な環境政策を模索することを

目的とし、天津市多地域間産業連関表の推計および同市に環境保全型技術が導入さ

れた際の環境・経済影響の評価を行ったものである。石炭の有効利用という観点か

ら熱供給システムおよび脱硫技術の導入を検討し、その際の CO2 および SO2 排出量、

ならびに付加価値誘発額を計測している。シミュレーションの結果によれば、CO2

排出量を抑制しながら SO2 排出量を大幅に削減するには、熱供給および家計部門に

おけるバイオマスの活用と工業部門の中小工場における簡易排煙脱硫装置の設置を

同時に促進することが有効であることが示されている。技術導入の建設コストは、

2007 年における天津市の付加価値の約 2%程度であり、SO2 排出量の約 71%削減が

期待されることを考えれば相対的に軽微であると考えられる。

* 本稿は、内閣府経済社会総合研究所「日中環境問題に及び中国の長期的経済発展に関する研究」

の成果の一部である。執筆に際して、趙晋平、伴金美、関根嘉香、朝倉啓一郎、岡川梓、堀田繁、

西崎文平、法專充男、増淵勝彦、大村昌弘の諸氏、ならびに 2011 年 3 月 8 日に開催された研究

報告会および同年 6 月 17 日に開催された ESRI セミナーの参加者との議論が非常に有益であっ

た。ここに深く感謝の意を表する。また、分析に際して『天津市産業連関表』の利用に協力して

いただいた天津市統計局、天津恵農国際交流合作服務中心・曽綉文氏、および埼玉大学経済学部・

李潔氏に感謝の意を表する。当然ながら、残された誤りは筆者によるものである。なお、本稿は、

筆者個人の責任で発表するものであり、筆者が所属する機関を代表する見解を示すものではない。 a 労働政策研究・研修機構研究員 b 四日市大学総合政策学部教授 c 工学院大学工学部環境エネルギー化学科講師

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Environmental Conservation Simulation for Tianjin in China(I) -Estimation of Tianjin Inter-regional Input-Output Table and CO2&SO2 Emissions-

Satoshi Nakano (Researcher, The Japan Institute for Labour Policy and Training)

Hirofumi Kito

(Professor, Faculty of Policy Management, Yokkaichi University) Yuji Sakai

(Lecturer, Faculty of Engineering, Kogakuin University)

Abstract

This study addresses the case of Tianjin in China and seeks a suitable environmental policy

for the region. The Tianjin inter-regional input-output table is estimated and the economic

and environmental impacts of environmental conservation technologies are measured. This

study investigates the introduction of heat supply system and desulfurization technology

from the perspective of effective coal use and assesses CO2, SO2 and value added

repercussions of the technologies. The simulation results indicate that the biomass use in

heat supply and household sectors and the introduction of simple flue gas desulfurization

equipments in medium and small scale plants of industrial sectors should be

simultaneously promoted to control CO2 emissions and to reduce SO2 emissions

significantly. The introduction cost of the technologies accounts for approximately 2% of

Tianjin’s total value added in 2007, while SO2 emissions could be reduced approximately

71% compared to their 2007 levels.

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1. はじめに

環境税や排出量取引市場のような手段は別として、環境保全のための方策は、一国全体

で画一的なものが必ずしも好ましい訳ではなく、地域の特徴に合ったものを選択すべき場

合がある。たとえば、大気汚染対策として大型の排煙脱硫装置の普及政策が実施されたと

しても、中小規模の工場あるいは住宅が密集している地域の大気環境は直ちに改善されな

い。つまり、地域レベルの環境対策は、当該地域の経済・社会構成によって適切な手段が

変わりうるということである。

本研究では、地域に適した環境対策、具体的には温暖化対策および大気汚染対策を模索

するという目的意識のもと、中国沿岸部に位置する天津市を対象に、環境保全型技術の導

入に伴う環境・経済影響の評価を行う。天津市の環境対策を考えた場合、一国全体の場合

と同様、天津市で画一的なものを実施することが適切とはかぎらない。天津市であっても、

それを構成する区や県によって経済・社会構成は異なるからである。そこで、本研究では、

天津市の区・県のなかでも都市の割合が高い地域(都市型地域)と農村の割合が高い地域(農

村型地域)とに分割した上で、環境保全型技術の導入シミュレーションを行っている。中国

における地域レベルの産業連関表を基礎とした環境保全シミュレーションは、中国の省お

よび直轄市をいくつかの地域ブロックに集計したレベル、あるいは省および直轄市レベル

では行われているものの、本研究のように省および直轄市をさらに細分化したレベルでは

筆者が確認する限り行われていない。

評価の方法は、まず前述したような形で地域を分割した天津市多地域間産業連関表を作

成し、それに即した CO2および SO2排出量を推計する。次に、環境保全型技術が導入され

ることを想定して、同技術の建設コストおよび経常コストを産業連関モデルに与え、経済

波及効果、ならびに誘発 CO2および SO2排出量を計測する。そして、算出された指標に基

づき、天津市に適した環境対策について考察を行う。

次節以降の構成は、次の通りである。次節では、天津市多地域間産業連関表の推計方法

について述べている。第 3 節では、産業連関表で同一の部門に統合されている発電と熱供

給を分離する方法を述べ、第 4 節では、産業連関表に即した CO2および SO2排出量を推計

している。第 5 節では、地域間産業連関モデルについて、第 6 節では、データとモデルを

用いて行うシミュレーションの方法についてそれぞれ解説している。そして、第 7 節にお

いてシミュレーションの結果について考察し、第 8 節が結論である。

2. 天津市多地域間産業連関表の推計

本研究では、中国を天津都市型地域、都市型地域以外の天津(天津農村型地域)、および

天津以外の中国に分割し、これら 3 地域間の交易を表章した多地域間産業連関表の推計を

行う。その表章形式は、図 1 の通りである。利用可能な産業連関表は、中国国家統計局『中

国投入産出表(2007 年)』および天津市統計局『天津市投入産出表(2007 年)』であるため 1、

1 以下では、投入産出表ではなく、産業連関表と表記する。

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天津市産業連関表を都市型地域と農村型地域とに分割したうえで、3 地域間の交易を推計

する必要がある。

都市 農村

中間投入

付加価値

域内生産額

輸出

輸入

最終需要 域内生産額

天津市 外の中国

天津市以

天津市天津市以外

の中国都市型地域 農村型地域

中間需要

天津市

都市型地域

農村型地域

天津市以外の中国

図 1 天津市多地域間産業連関表の表章形式

2.1. 産業連関表の分割

天津市を都市型地域と農村型地域とに分割する際の基準は、各区・県の戸籍人口に占め

る農業人口の割合である。同割合が約 3 割以下の区・県を都市型地域、約 6 割以上の区・

県を農村型地域と定義している。したがって、都市型地域には農村が存在していない、あ

るいは農村型地域には農村しか存在していないというわけではない。たとえば、農村型地

域には、新興工業地帯である天津新技術産業園区が存在する北辰区も含まれている。それ

にも関らず、このような基準で天津市を分割した理由は、相対的に都市部の大きな地域と

農村部の大きな地域では環境保全活動の内容が異なるからである 2。前者の地域では都市

部における集中的な対策に重点が置かれるべきであるのに対し、後者の地域では農村部に

おける分散的な対策が重視されるべきであろう。この定義に基づく、都市・農村型地域と

各区・県との対応関係は表 1 の通りである。

表 1 天津市における都市・農村型地域と区・県との対応

和平区 河东区 河西区 南开区 河北区 红桥区塘沽区 汉沽区 大港区东丽区 西青区 津南区 北辰区 武清区 宝坻区宁河县 静海县 蓟县

都市型地域

農村型地域

2 天津市の経済活動を都市部と農村部に分割できる情報が入手可能であれば、その情報による分割が最善

策であるが、そのような情報は入手できない。ここで採用した定義は、次善の方法である。

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天津市産業連関表の分割は、以下の手順で行う。

① 最終需要のうち農村家計消費、都市家計消費、政府消費および固定資本形成総額、な

らびに総産出を他の統計データによって都市型地域と農村型地域とに分割する 3。(分

割のための按分指標は、表 2 の通り)

② 分割された総産出に投入係数を乗じて中間投入(需要)を推計する 4。同様に、総産出に

付加価値率を乗じて付加価値を推計する。

③ 最終需要のうち在庫増加の分割推計については、西村(2006)に基づいている。まず、天

津市産業連関表から在庫比率s(域内最終需要に占める在庫増加の割合)を求める 5。次に、

①で分割された農村家計消費、都市家計消費、政府消費および固定資本形成総額を合計

し、1-sで除して分割された地域の域内最終需要を求める。域内最終需要から農村家計

消費、都市家計消費、政府消費および固定資本形成総額の合計を差し引けば、分割され

た地域の在庫増加が算出される。

sti

fci

goi

uhi

rhi

di ffffff ++++= (1)

di

sti

i ffs = (2)

sfffff

fci

goi

uhi

rhid

i −+++

=1

(3)

ただし、 dif :第 i 部門の域内最終需要、 rh

if :第 i 部門の農村家計消費、 uhif :第 i 部

門の都市家計消費、 goif :第 i 部門の政府消費、 fc

if :第 i 部門の固定資本形成総額、 stif :

第 i 部門の在庫増加、 is :在庫比率

④ 最終需要のうち輸出は総産出との比例関係、輸入は域内総需要との比例関係を仮定し、

それぞれの比率を天津市産業連関表から求める。これらの比率を①で分割された総産出、

および①~③の情報から算出される域内総需要に乗じて、分割された地域の輸出および

輸入を算出する。

i

iei x

er = (4)

di

jij

imi fx

mr+

=∑

(5)

3 家計消費の按分指標として戸籍戸数を用いているが、本来は常住戸数が望ましい。しかし、常住の農業

戸に関する情報は入手困難である。 4 都市型地域と農村型地域いずれの投入係数も、天津市産業連関表の投入係数を採用している。技術の導

入状況によって、都市型地域と農村型地域とで投入係数が異なることは十分ありえるが、その情報は入手

できない。 5 天津産業連関表における域内最終需要がゼロである部門については、在庫比率 s を域内総需要に占める

在庫増加の割合と定義している。①で分割された中間需要計を 1-s で除して分割された地域の域内総需

要を求め、そこから中間需要計を差し引いて分割された地域の在庫増加を算出している。

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ただし、 eir :第 i 部門の輸出比率、 ie :第 i 部門の輸出、 ix :第 i 部門の総産出、 m

ir :

第 i 部門の輸入比率(輸入係数)、 im :第 i 部門の輸入、 ijx :第 i 部門に対する第 j 部門の

中間需要

表 2 天津市産業連関表の分割のための按分指標 部門 按分指標 出典

農林水産業 GDP 『天津統計年鑑』石炭 就業人数 『2004年天津経済普査』石油及び天然ガス 就業人数 『2004年天津経済普査』金属鉱物 就業人数 『2004年天津経済普査』非金属及びその他の鉱物 就業人数 『2004年天津経済普査』食料品及びたばこ 就業人数 『2004年天津経済普査』紡績 就業人数 『2004年天津経済普査』繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 就業人数 『2004年天津経済普査』木材及び家具 就業人数 『2004年天津経済普査』製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 就業人数 『2004年天津経済普査』石油製品、石炭製品及び核燃料加工 就業人数 『2004年天津経済普査』化学 就業人数 『2004年天津経済普査』非金属鉱物製品 就業人数 『2004年天津経済普査』金属冶金及び圧延加工 就業人数 『2004年天津経済普査』金属製品 就業人数 『2004年天津経済普査』一般機械及び特殊機械 就業人数 『2004年天津経済普査』輸送機械器具 就業人数 『2004年天津経済普査』電気機械器具 就業人数 『2004年天津経済普査』通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 就業人数 『2004年天津経済普査』計測器及び文化・事務用機械 就業人数 『2004年天津経済普査』工芸品及びその他の製造品 就業人数 『2004年天津経済普査』廃棄物 就業人数 『2004年天津経済普査』電力 就業人数 『2004年天津経済普査』熱供給(産業) 就業人数 『2004年天津経済普査』熱供給(生活) 就業人数 『2004年天津経済普査』ガス生産及び供給 就業人数 『2004年天津経済普査』水生産及び供給 就業人数 『2004年天津経済普査』建築 総産出値 『2004年天津経済普査』運輸 就業人数 『2004年天津経済普査』郵政 就業人数 『2004年天津経済普査』情報通信 就業人数 『2004年天津経済普査』卸売・小売 就業人数 『2004年天津経済普査』飲食・宿泊 就業人数 『2004年天津経済普査』金融 就業人数 『2004年天津経済普査』不動産 就業人数 『2004年天津経済普査』物品賃貸及び対事業所サービス 就業人数 『2004年天津経済普査』研究 就業人数 『2004年天津経済普査』総合技術サービス 就業人数 『2004年天津経済普査』水利、環境及び公共施設管理 就業人数 『2004年天津経済普査』対個人サービス及びその他のサービス 就業人数 『2004年天津経済普査』教育 就業人数 『2004年天津経済普査』衛生、社会保障及び社会福祉 就業人数 『2004年天津経済普査』文化、体育及び娯楽 就業人数 『2004年天津経済普査』公共管理及び社会組織 GDP 『天津統計年鑑』農村家計消費 農業戸 『天津統計年鑑』都市家計消費 戸籍戸数-農業戸 『天津統計年鑑』政府消費 一般預算内区級財政支出 『天津統計年鑑』固定資本形成 固定資産投資 『天津統計年鑑』

天津市以外の中国の産業連関表を構成する総産出および最終需要は、中国全国の産業連

関表から天津市産業連関表を差し引くことで求めている。投入係数については、中国全国

の産業連関表のものを採用している。

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2.2. 地域間交易の推計

前節で分割された地域の総産出、および地域間交易(移出入)を除く最終需要が決定され

たため、これらから以下のように純移入を求めることができる。

iiid

ij

ijiii xmefxhns −

−++=−= ∑ (6)

ただし、 is :第 i 部門の純移入、 in :第 i 部門の移入、 ih :第 i 部門の移出

また、移出と移入は相手地域別交易額の合計によって次のように表わされる。たとえば、

天津市都市型地域における天津市農村型地域への移出とは、図 1 における都市型地域から

農村型地域の中間需要および最終需要への投入の合計である。農村型地域における都市型

地域からの移入は、これを逆に農村型地域の側から見たものである。

∑=l

lki

ki tn (7)

∑=l

kli

ki th (8)

ただし、 kin :第 k 地域における第 i 部門の移入、 k

ih :第 k 地域における第 i 部門の移出、

klit :第 i 部門について、第 k 地域における第 l 地域への移出(第 l 地域における第 k 地域か

らの移入)

これらだけでは、地域別部門別の移出入を推計できないため、中野・西村(2007)が提案

する交差輸送を考慮したノンサーベイ・アプローチに基づき、グラビティ比による移出の

分割を行う 6。第kおよび第l地域のグラビティは、(9)式のように定義される。

2)(

,,

kl

ldi

j

lij

kdi

j

kij

kli d

fxfxg

+

+

=∑∑

g (9)

ただし、 klig :第 i 部門における第 k および第 l 地域のグラビティ、 )(kld :第 k および第 l

地域間の距離

第 k 地域から、第 l および第 m 地域への第 i 財の移出額の比率が、地域間のグラビティ

比にしたがうと仮定すると、(10)式を得る。

2)(

2)(

,

,

kl

km

mdi

j

mij

ldi

j

lij

kmi

kli

kmi

kli

dd

fx

fx

gg

tt

+

+

==

∑ (10)

6 データアベイラビリティの問題が発生する可能性が高い小地域を分析の対象とする場合には、本研究で

用いるノンサーベイ・アプローチが有効な推計手法である。

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これが通常のグラビティ比であるが、本研究では、一般化させた(11)式を考える。

β

α

+

+

=

)(

)(

,

,

km

kl

mdi

j

mij

ldi

j

lij

kmi

kli

dd

fx

fx

tt

(11)

パラメータ αおよび βが決定されれば、分割された地域別に移出入を算出することがで

きる。地域間の距離については、次のような人口加重平均距離を用いている。都市 a を第

k 地域内に存在する都市、すなわち a∈k とし,都市 b∈l との距離を d(kl)とするとき,第 k

地域 と第 l 地域間の人口加重平均距離は、(12)式で定義される。

)()( ablb ka

lb kaba

bakl d

ppppd ∑∑∑∑∈ ∈

∈ ∈

= (12)

ただし、 ap :都市 a における人口

本研究では、アジア経済研究所『中国多地域間産業連関表(2000 年)』を用いて、パラメ

ータの推定を行っている。中国多地域間産業連関表(2000 年)は、中国が北東地区、北部直

轄市、北部沿海、中部沿海、南部沿海、中部地区、西北および西南の 8 地域に分割された、

交差輸送を含む形の地域間表である。距離の算出にあたっては、この 8 地域毎にもっとも

人口の多い 3 都市を選択し、各都市間の距離は市政府の所在地間の時間距離をGoogle map

により求め 7、地域間距離を推計している。求められた地域間距離は、表 3 の通りである。

表 3 パラメータ推定のための人口加重平均距離(単位:日)

東北地区 北部直轄市 北部沿海 中部沿海 南部沿海 中部地区 西北 東北地区北部直轄市 0.474北部沿海 0.673 0.237中部沿海 1.017 0.602 0.470南部沿海 1.526 1.103 0.951 0.622中部地区 1.073 0.611 0.510 0.481 0.596西北 1.030 0.581 0.589 0.794 1.088 0.577西南 1.588 1.142 1.082 1.149 1.077 0.780 0.775

(11)式の左辺の移出比を z、右辺の域内総需要比および距離比をそれぞれ xおよび yとし、

対数をとると、次のように表わされる。 yxz lnlnln βα −= (13)

本研究では、中国多地域間産業連関表(2000 年)の移出および域内総需要、ならびに表 3 の

地域間距離を用いて、(13)式をトービットモデルによって推定している。推定結果は、表 4

7 ここでは、車を使用した移動による時間距離を採用しているが、鉄道など他の輸送機関の情報を使うこ

とも可能である。

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7

の通りである。なお、本研究で推計する地域間産業連関表よりも中国多地域間産業連関表

の方が部門の集計レベルが高いため、2 つの産業連関表間では必ずしも部門が 1 対 1 対応

にはならない。そのため、中国多地域間産業連関表のある部門に本研究の地域間産業連関

表の複数の部門が対応する場合は、部門間で共通のパラメータを使用している。

表 4 トービットモデルによる推定結果

α β σサンプルサイズ

Log likelihood

Agriculture 0.674 1.132 0.898 168 -147.856

( 7.445 )*** ( 7.175 )*** ( 13.978 )***

Coal mining and processing 0.190 1.244 2.248 168 -266.419

( 1.860 )* ( 3.561 )*** ( 14.085 )***

Crude petroleum and natural gas products 0.267 1.597 1.955 168 -236.280

( 1.389 ) ( 5.258 )*** ( 12.966 )***

Metal ore mining 0.323 1.583 1.056 168 -176.962

( 5.628 )*** ( 9.334 )*** ( 14.683 )***

Non-ferrous mineral mining 0.706 1.916 1.111 168 -172.362

( 8.139 )*** ( 10.572 )*** ( 14.148 )***

Manufacture of food products and tobacco processing 0.592 0.884 0.497 168 -90.537

( 10.337 )*** ( 10.742 )*** ( 14.432 )***

Textile goods 0.549 0.059 0.789 168 -142.870

( 9.332 )*** ( 0.440 ) ( 13.714 )***

Wearing apparel, leather, furs, down and related products 0.005 0.325 0.463 168 -112.386

( 0.162 ) ( 4.381 )*** ( 9.933 )***

Sawmills and furniture 0.491 1.400 1.340 168 -221.442

( 4.830 )*** ( 6.696 )*** ( 15.191 )***

Paper and products, printing and record medium reproduction 0.102 0.421 0.583 168 -123.753

( 2.341 )** ( 4.499 )*** ( 10.358 )***

Petroleum processing and coking 0.014 -0.078 1.418 168 -177.728

( 0.117 ) ( -0.322 ) ( 10.318 )***

Chemicals 0.418 0.653 0.792 168 -141.402

( 6.574 )*** ( 5.105 )*** ( 12.231 )***

Nonmetal mineral products 0.238 1.171 0.762 168 -145.386

( 4.021 )*** ( 9.588 )*** ( 14.072 )***

Metals smelting and pressing 0.679 0.842 0.776 168 -148.296

( 10.165 )*** ( 6.877 )*** ( 13.677 )***

Metal products 0.490 0.600 0.767 168 -142.805

( 8.159 )*** ( 4.791 )*** ( 12.490 )***

Machinery and equipment 0.296 0.242 1.002 168 -159.334

( 3.802 )*** ( 1.484 ) ( 10.706 )***

Transport equipment 0.013 0.927 0.766 168 -139.879

( 0.224 ) ( 7.571 )*** ( 11.556 )***

Electric equipment and machinery 0.133 0.227 0.602 168 -128.909

( 2.645 )*** ( 2.331 )** ( 10.186 )***

Electric and telecommunication equipment 0.057 0.448 0.863 168 -156.676

( 1.110 ) ( 3.319 )*** ( 11.825 )***

Instruments, meters, cultural and office machinery -0.614 0.652 1.072 168 -147.357

( -6.144 )*** ( 3.797 )*** ( 11.418 )***

Maintenance and repair of machine and equipment 0.360 1.499 1.604 168 -242.206

( 2.364 )** ( 6.079 )*** ( 14.765 )***

Other manufacturing products 0.382 1.164 1.392 168 -194.131

( 4.174 )*** ( 5.228 )*** ( 12.949 )***

Scrap and waste 0.822 1.500 1.239 168 -150.894

( 7.433 )*** ( 6.988 )*** ( 12.140 )***

Electricity, steam and hot water production and supply -0.378 0.920 1.081 37 -46.771

( -1.918 )* ( 1.744 )* ( 7.401 )***

Gas production and supply 0.608 0.362 0.337 37 -16.919

( 8.574 )*** ( 1.947 )* ( 5.495 )***

Water production and supply -1.345 5.098 1.895 37 -54.739

( -4.590 )*** ( 4.989 )*** ( 7.218 )***

Transport and warehousing 0.601 0.813 0.482 168 -96.789

( 7.255 )*** ( 10.226 )*** ( 12.840 )***

Wholesale and retail trade 0.700 0.844 0.732 168 -135.602

( 7.728 )*** ( 7.210 )*** ( 13.840 )*** 注) 1. 括弧内は t 値。

2. ***は有意水準 1%、**は 5%、*は 10%でそれぞれ統計的に有意であることを示している。

Page 12: CO2 SO2 排出量の計測-ESRI Discussion Paper Series No.267 天津市の環境保全シミュレーション(I) -天津多地域間産業連関表の推計と CO2・SO2

8

(6)~(8)式、および推定されたパラメータを使用した(11)式より、各地域の移出入を推計

する 8。その際に用いた地域間距離(Google mapによる)は、表 5 の通りである。

表 5 移出入決定のための人口加重平均距離(単位:日)

天津都市型 天津農村型天津都市型天津農村型 0.044他の中国 0.723 0.730

3. 電力および熱供給部門の分割

中国全国および天津市の産業連関表は、電力と熱供給部門が統合されている。本研究で

は追加的に熱供給システムが整備された際の評価を行うため、以下のように電力・熱供給

部門を分割する。

<行部門の分割>

① 中国全国および天津市における電力および熱の産業別消費量(投入量)は、中国国家統計

局『中国能源統計年鑑』および天津市統計局『天津統計年鑑』から入手することがで

きる。これらの産業別消費量を産業連関表の分類に対応づける。ただし、非製造業に

ついては、詳細な分類のもとでのデータの入手が困難であるため、産業別消費量を産

業連関表の電力・熱供給部門の投入額の比率で部門別に分割している。

② ①で産業連関表の部門別に対応づけられた電力および熱消費量に、それぞれの熱効率

の逆数を乗じる。熱効率は、中国能源統計年鑑における発電および熱供給のエネルギー

投入量をそれぞれ熱量換算し合計したもの(総インプット)と、発電電力量および熱供給

量を熱量換算したもの(アウトプット)との比率である。

③ ②で推計された効率を考慮した電力および熱消費量を用いて、産業連関表の電力・熱供

給部門の投入額を電力および熱供給に分割する。さらに、熱供給部門は、産業用と生活

用とに分割する。電力と分割された熱供給のうち産業用は、熱供給(産業用)部門に同推

計値を与え、熱供給(生活用)部門にはゼロを与える。一方、電力と分割された熱供給の

うち生活用、つまり家計消費に供給されるものは、熱供給(生活用)部門に同推計値を与

え、熱供給(産業用)部門にはゼロを与える。

④ 電力・熱供給部門の移輸出入については分割を行わず、中国能源統計年鑑の情報からす

べて電力部門とした。

<列部門の分割>

⑤ 行部門での分割後に算出される電力、熱供給(産業用)および熱供給(生活用)の総産出を

8 推計方法の詳細は、中野・西村(2007)を参照のこと。

Page 13: CO2 SO2 排出量の計測-ESRI Discussion Paper Series No.267 天津市の環境保全シミュレーション(I) -天津多地域間産業連関表の推計と CO2・SO2

9

按分指標として、電力・熱供給部門(列)を分割する。

4. 部門別 CO2および SO2排出量の推計

天津市産業連関表に即した形式で、以下のように CO2 および SO2 排出量の推計を行う。

なお、推計に当たっては、中野他(2008)および Fashu et al. (2009)を参考にしている。

① 産業連関表に即したエネルギー物量表を作成する。推計に必要なエネルギー別の消費量

は、『中国能源統計年鑑』および『天津統計年鑑』から得ている。これらの産業別消費

量を産業連関表の分類に対応づける。なお、非製造業については、詳細な分類のもとで

のデータが入手できないため、前節の電力・熱供給の場合と同様、産業別消費量を産業

連関表の該当するエネルギー部門投入額の比率で部門別に分割している。

② 部門別 CO2排出量は、(14)式(以下の a)~e))から推計する。

( ) 12442 ×

+×××= ∑ j

iiiijijj ipcarheatcrfuelco (14)

ただし、 jco2 :第 j 部門の CO2排出量、 ijfuel :第 j 部門における第 i エネルギー消費量、

ijcr :第 j 部門における第 i エネルギーの燃焼比率、 iheat :第 i エネルギーの物量単位当

たり発熱量、 icar :第 i エネルギーの熱量単位当たり炭素排出量、 jip :第 j 部門におけ

る工業プロセスからの炭素排出量

<エネルギー起源の CO2排出量>

a) ①で推計された部門別エネルギー消費量に燃焼比率(消費量のうち実際に燃焼させ

た割合)を乗じ、エネルギーの燃焼分を部門別に推計する。燃焼比率には、EDEN1990

およびEDEN1995 の中国表の情報を活用している 9。

b) a)で推計された燃焼される部門別エネルギー消費量に、『中国能源統計年鑑』の物量

単位当たりの発熱量を乗じ、物量単位を熱量単位に変換する。

c) b)で推計された熱量単位での部門別エネルギー消費量に、“2006 IPCC Guidelines for

National Greenhouse Gas Inventories”に掲載されているエネルギー別の発熱量当たり炭

素排出量を乗じ、エネルギー起源の CO2排出量を部門別に推計する。

<工業プロセスからの CO2排出量>

d) セメント、ガラス、カルシウムカーバイド、ソーダ灰、エチレン、銑鉄および粗鋼

については、工業プロセスから発生する CO2排出量も IPCC のガイドラインの係数

および『天津統計年鑑』の産出量から推計し、c)のエネルギー起源の CO2排出量に

加えている。

e) 炭素重量ベースの CO2排出量を CO2重量換算に変換する。

③ 部門別 SO2排出量は、(15)式(以下の g)~i))から推計する。

9 ただし、EDEN1995 の中国表は暫定版である。

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10

( ) ( ) 326412 ×−×××= ∑ ji

iijijj dssulcrfuelso (15)

ただし、 jso2 :第 j 部門の SO2排出量、 isul :第 i エネルギーの硫黄含有率、 jds :第 j

部門における脱硫率

g) ②の a)で推計された燃焼される部門別エネルギー消費量に、EDEN 中国表のエネル

ギー別硫黄含有率を乗じ、SO2発生量を部門別に推計する。

h) g)で推計された SO2発生量に(1-部門別脱硫率)を乗じ、SO2排出量を推計する。

部門別脱硫率については、『中国統計年鑑』から得られる天津の SO2排出量およびヒ

アリングに基づき、電力では全事業所に、熱供給(産業用)および金属冶金及び圧延加

工では全事業所の 7 割にそれぞれ脱硫率 90%の排煙脱硫装置が設置されており、他

の工業部門および熱供給(生活用)では全事業所の 2 割に脱硫率 90%の排煙脱硫装置

が設置されていると想定している。(その他の部門での脱硫率はゼロ)

i) 硫黄重量ベースの SO2排出量を SO2重量換算に変換する。

推計された天津市における部門別 CO2および SO2排出量は、表 6 および図 1~2 の通り

である。CO2排出量がもっとも多い部門(表 6)は、金属冶金及び圧延加工で 3520 万 t-CO2

であり、それに電力(3500 万 t-CO2)、熱供給(産業用)(830 万 t-CO2)、運輸(680 万 t-CO2)、非

金属鉱物製品(490 万 t-CO2)、および熱供給(生活用) (490 万 t-CO2)が続いている。一方、SO2

排出量がもっとも多い部門は、石油及び天然ガスで 6 万 t-SO2 であり、金属冶金及び圧延

加工(5 万 t-SO2)、熱供給(生活用) (4 万 t-SO2)、電力(3 万 t-SO2)、化学(3 万 t-SO2)、および熱

供給(産業用) (3 万 t-SO2)が続く。したがって、その CO2および SO2排出量の多さから、電

力、熱供給および金属冶金及び圧延加工部門における対策が天津市の環境に大きな影響を

与えることがわかる。

図 2 は、各部門の CO2排出構成を石炭系エネルギーとそれ以外のエネルギーに分けたも

のである。天津市全体の CO2排出の約 6 割が、石炭系エネルギー起源となっている。発電

および熱供給部門は CO2排出のほとんどが、また、金属鉱物、非金属鉱物、食料品及びた

ばこ、紡績および繊維製品、皮革製品及び羽毛製品、ならびに製紙、印刷及び文化・教育・

体育用品などの部門では CO2排出の約 9 割が石炭系エネルギーによるものである。金属製

品、一般機械及び特殊機械、輸送機械器具および電気機械器具でも約 8 割と石炭系エネル

ギー起源の CO2排出が多い。CO2排出が相対的に多い金属冶金及び圧延加工では石炭系エ

ネルギー起源の CO2排出が約 4 割、非金属鉱物製品でも約 5 割と、他の工業部門と比較す

ると石炭系エネルギーの割合が低くなっている。非製造業部門の大半は、ほとんど石炭系

エネルギーによる CO2排出はないが、建築、郵政および飲食・宿泊部門ではそれぞれ約 4

割、約 8 割および約 3 割を占めている。家計消費については、農村では約 8 割が石炭系エ

ネルギー起源の CO2排出であるのに対し、都市では約 3 割に留まっている。

次に、図 3 によって SO2排出構成についても見てみよう。石炭系エネルギーの高い硫黄

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11

含有率にともなって、図 1 の CO2排出構成と比較すると石炭系エネルギー起源の割合が全

体的に高まっている。天津市全体では、約 8 割が石炭系エネルギー起源の SO2排出量であ

る。したがって、SO2対策は、硫黄分の多い石炭系エネルギー対策と考えることもできる。

表 6 天津市における部門別 CO2および SO2排出量(2007 年)

CO2排出量 SO2排出量

万t-CO2 千t-SO2

農林水産業 99 4石炭 0 0石油及び天然ガス 164 61金属鉱物 5 1非金属及びその他の鉱物 8 1食料品及びたばこ 156 16紡績 49 5繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 22 2木材及び家具 12 1製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 42 4石油製品、石炭製品及び核燃料加工 346 12化学 377 30非金属鉱物製品 487 27金属冶金及び圧延加工 3518 50金属製品 63 6一般機械及び特殊機械 59 4輸送機械器具 53 5電気機械器具 34 3通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 15 1計測器及び文化・事務用機械 2 0工芸品及びその他の製造品 8 1廃棄物 1 0電力 3497 33熱供給(産業) 833 29熱供給(生活) 487 38ガス生産及び供給 1 0水生産及び供給 1 0建築 119 5運輸 679 18郵政 11 1情報通信 0 0卸売・小売 141 2飲食・宿泊 294 10金融 9 0不動産 1 0物品賃貸及び対事業所サービス 38 0研究 0 0総合技術サービス 14 0水利、環境及び公共施設管理 3 0対個人サービス及びその他のサービス 4 0教育 2 0衛生、社会保障及び社会福祉 3 0文化、体育及び娯楽 2 0公共管理及び社会組織 7 0農村家計消費 117 8都市家計消費 198 7合計 11984 389

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12

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%

農林水産業

石炭

石油及び天然ガス

金属鉱物

非金属及びその他の鉱物

食料品及びたばこ

紡績

繊維製品、皮革製品及び羽毛製品

木材及び家具

製紙、印刷及び文化・教育・体育用品

石油製品、石炭製品及び核燃料加工

化学

非金属鉱物製品

金属冶金及び圧延加工

金属製品

一般機械及び特殊機械

輸送機械器具

電気機械器具

通信機器、電子計算機及びその他の電子機器

計測器及び文化・事務用機械

工芸品及びその他の製造品

廃棄物

電力

熱供給(産業)

熱供給(生活)

ガス生産及び供給

水生産及び供給

建築

運輸

郵政

情報通信

卸売・小売

飲食・宿泊

金融

不動産

物品賃貸及び対事業所サービス

研究

総合技術サービス

水利、環境及び公共施設管理

対個人サービス及びその他のサービス

教育

衛生、社会保障及び社会福祉

文化、体育及び娯楽

公共管理及び社会組織

農村家計消費

都市家計消費

合計

石炭系 その他

図 2 天津市における部門別エネルギー別 CO2排出構成(2007 年)

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0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%

農林水産業

石炭

石油及び天然ガス

金属鉱物

非金属及びその他の鉱物

食料品及びたばこ

紡績

繊維製品、皮革製品及び羽毛製品

木材及び家具

製紙、印刷及び文化・教育・体育用品

石油製品、石炭製品及び核燃料加工

化学

非金属鉱物製品

金属冶金及び圧延加工

金属製品

一般機械及び特殊機械

輸送機械器具

電気機械器具

通信機器、電子計算機及びその他の電子機器

計測器及び文化・事務用機械

工芸品及びその他の製造品

廃棄物

電力

熱供給(産業)

熱供給(生活)

ガス生産及び供給

水生産及び供給

建築

運輸

郵政

情報通信

卸売・小売

飲食・宿泊

金融

不動産

物品賃貸及び対事業所サービス

研究

総合技術サービス

水利、環境及び公共施設管理

対個人サービス及びその他のサービス

教育

衛生、社会保障及び社会福祉

文化、体育及び娯楽

公共管理及び社会組織

農村家計消費

都市家計消費

合計

石炭系 その他

図 3 天津市における部門別エネルギー別 SO2排出構成(2007 年)

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5. 地域間産業連関モデル

天津市多地域間産業連関表のような地域間競争移入・競争輸入型の産業連関表では、域

内生産額(総産出)の均衡解は以下のように求められる。

① 第 k 地域における第 l 地域からの移入係数(域内総需要に対する移入の比率)を(16)式の

ように定める。

di

jij

lkilk

i fxtr+

=∑

(16)

ただし、 lkir :第 i 部門に関する第 k 地域における第 l 地域からの移入係数

② ①の移入係数を使えば、地域間産業連関表のバランス式は(17)式で表わされる。

( )( ) efAxTMIx ++−−= ˆ (17)

ただし、x:域内生産額ベクトル、I:単位行列、A:投入係数行列、 M :輸入係数行

列、T:移入係数行列、f:域内最終需要ベクトル、e:輸出ベクトル

上で示されるベクトルおよび行列は、次のような地域別のベクトルおよび行列から構

成されている。

=3

2

1

xxx

x 、

=3

2

1

A000A000A

A 、

=3

2

1

M000M000M

ˆˆ

ˆ 、

+−−−+−−−+

=23133231

23321221

13123121

RRRRRRRRRRRR

Tˆˆˆˆ

ˆˆˆˆˆˆˆˆ

=3

2

1

fff

f 、

=3

2

1

eee

e

ただし、xk:第 k 地域における域内生産額ベクトル(天津市都市型地域、天津市農村型

地域およびその他の中国の 3 地域)、Ak:第 k 地域における投入係数行列、kM :第 k

地域における輸入係数行列、lkR :第 k 地域における第 l 地域からの移入係数行列、fk:

第 k 地域における域内最終需要ベクトル、ek:第 k 地域における輸出ベクトル

さらに、地域別のベクトルおよび行列は、次の要素から構成される。

=k

k

x

x

44

1

4kx 、

=k

,k

,

k,

k,

aa

aa

4444144

44111

44

kA 、

=km

km

r

r

,44

,1

000000

ˆ kM 、

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=lk

lk

r

r

44

1

000000

ˆ lkR 、

=k

k

f

f

44

1

4kf 、

=k

k

e

e

44

1

4ke

ただし、xik:第 k 地域における第 i 部門の域内生産額(44 部門)、aij

k:第 k 地域の第 j

部門における第 i 部門からの投入係数、rim,k:第 k 地域における第 i 部門の輸入係数、fi

k:

第 k 地域における第 i 部門の域内最終需要、eik:第 k 地域における第 i 部門の輸出

③ (17)式を x について解くと(18)式が得られ、(18)式に域内最終需要や輸出が与えられると、

レオンティエフ逆行列を乗じることで、域内生産誘発額が算出される。

( ){ } ( ){ }efTMIATMIIx1

+−−−−−=− ˆˆ (18)

ここで、CO2 および SO2 排出量を総産出で除したものを排出係数(排出原単位)と呼ぶこ

とにすると、部門別排出係数は(19)および(20)式のように表わされる。

j

jj x

couc

2= (19)

j

jj x

sous

2= (20)

ただし、ucj:第 j 部門の CO2排出係数、usj:第 j 部門の SO2排出係数

(18)式と排出係数((19)および(20)式)を用いて部門別排出量を表わすと、(21)および(22)式

のようになる。

( ){ } ( ){ }efTMIATMIIUco21c +−−−−−=− ˆˆˆ (21)

( ){ } ( ){ }efTMIATMIIUso21s +−−−−−=− ˆˆˆ (22)

ただし、co2:CO2 排出量ベクトル、 cU :CO2 排出係数行列、so2:SO2 排出量ベクトル、sU :SO2排出係数行列

(21)および(22)式のベクトルおよび行列の地域別構成は、次の通りである。

=3

2

1

co2co2co2

co2 、

=c,3

c,2

c,1

c

U000U000U

ˆˆ

ˆ 、

=3

2

1

so2so2so2

so2 、

=s,3

s,2

s,1

s

U000U000U

ˆˆ

ˆ

ただし、co2k:第 k 地域における CO2排出量ベクトル、 kc,U :第 k 地域における CO2排出

係数行列、so2k:第 k 地域における SO2排出量ベクトル、 s,kU :第 k 地域における SO2排

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16

出係数行列

さらに、部門別構成は以下のようになっている。

=k

k

co

co

44

1

2

24kco2 、

=k

k

uc

uc

44

1

000000

ˆ c,kU 、

=k

k

so

so

44

1

2

24kso2 、

=k

k

us

us

44

1

000000

ˆ ks,U

ただし、co2ik:第 k 地域における第 i 部門の CO2排出量、uci

k:第 k 地域における第 i 部門

の CO2排出係数、so2ik:第 k 地域における第 i 部門の SO2排出量、usi

k:第 k 地域における

第 i 部門の SO2排出係数

(18)、(21)および(22)式に最終需要を与えれば、地域間の波及効果を考慮した域内誘発生

産額、誘発 CO2排出量および誘発 SO2排出量を計測することができる。

6. シミュレーション

本研究では、中国に豊富に存在する石炭を有効活用するという観点から、直ちに燃料転

換を考えるのではなく、石炭の効率的かつクリーンな活用を考える。石炭の効率的な活用

によって石炭消費量を抑制してCO2 およびSO2 排出量を減少させ、それでも消費しなくて

はならない石炭については脱硫技術の導入によってSO2 排出量を減少させる。このような

環境保全型技術の導入が天津の経済・環境に与える影響を評価するが、具体的なシナリオ

は次のとおりである 10。

(シナリオ 1) 生活用熱供給の拡大分をすべて石炭ボイラーによって賄うケース

(シナリオ 2) 生活用熱供給の拡大分をすべてヒートポンプによって賄うケース

(シナリオ 3) 生活用熱供給の拡大分をすべて石炭ボイラーによって賄うが、その燃料で

ある石炭をバイオブリケットによって代替する。都市家計の生活用石炭消

費のうち熱供給で代替されないものをバイオブリケットに代替する。加え

て、農村家計の生活用石炭消費をバイオガスとバイオブリケットに代替す

るケース

(シナリオ 4) シナリオ 3 に加えて工業部門に簡易排煙脱硫装置を導入するケース

すべてのシナリオに共通する想定として、生活用熱供給は、過去のトレンドに基づき、

2007 年から 3 年間で拡大すると見込まれる全量が 1 年で導入されるとする 11。シナリオ 3

における農村家計の燃料転換は、生活用石炭消費のうち 3 分の 1 が厨房用エネルギーとし

てバイオガス、残りの 3 分の 2 がバイオブリケットにそれぞれ代替されると想定する。

環境保全型技術の導入に必要なコストを考えると、まず建設コストが挙げられる。日本 10 本研究で検討する技術の詳細については、酒井他(forthcoming)参照のこと。 11 和平区など中心 6 区の周辺に位置する近郊 4 区へは市中心から郊外に向けて普及が進み、これら以外の

郊外区県については区・県政府所在地を中心に普及が進むと想定している。

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17

貿易振興機構他(2009)では、遼寧省瀋陽市におけるケースとして、従来型の石炭ボイラー

およびヒートポンプによる熱供給システムの供給面積当たり建設コストが示されている。

天津市への導入を考えた場合、瀋陽市と比較して暖房期間が 2~4 週間短いこと、および後

述するように供給面積当たり燃料消費量が約 7 割であることから、瀋陽市における供給面

積当たり建設コストの約 8 割になると想定している 12。この想定は、シナリオ 1~4 すべて

について、また石炭ボイラーおよびヒートポンプの熱供給システムについて共通である。

したがって、石炭ボイラーおよびヒートポンプによる熱供給システムの建設コストが瀋陽

市では 80 元/m2および 79.72 元/m2であるのに対し、天津市ではそれぞれ 64.83 元/m2およ

び 63.78 元/m2と想定している。

シナリオ 3 および 4 におけるバイオブリケットの導入の際には、バイオブリケット製造

装置のコストが発生する。まず、生活用熱供給部門および農村の家計消費における石炭消

費量から代替されるバイオブリケット消費量を算出する。都市の家計消費における石炭消

費量のうち熱供給で代替されないものについてもバイオブリケットによる代替を想定し、

バイオブリケット消費量に加える。次に、このバイオブリケット消費量を所与として、費

用最小化によってバイオブリケット製造装置の最適生産規模および必要台数を決定する 13。

この方法は、Nakano et al. (2005)に基づいている。最後に、最適生産規模のもとでの製造装

置のコストに台数を乗じて、建設コストを算出する。バイオガス発生装置の建設コストは、

天津市におけるヒアリング調査によって、容積 10m3 のものが約 4000 元(コンクリート約

2000 元、パイプ・ホース・ガスコンロ約 1000 元および建設人件費約 1000 元)であること

がわかっている 14。『天津統計年鑑』の農業世帯数から 2007 年にすでに導入されているも

のを除き、10m3当たり建設コストを乗じてバイオガス発生装置の建設コストを求める。

シナリオ 4 における簡易排煙脱硫装置は、中小規模ボイラーを対象としており、技術と

しては簡易湿式の水膜法 15を採用している。脱硫装置の規模を決定するには、工業部門に

おけるボイラーの規模分布の情報が必要であるが、入手困難である。そこで、ここでは簡

便的にいずれの工業部門においても中小規模ボイラーの容量は 10MWであると仮定し、そ

れを導入する脱硫装置の規模としている。工業部門における燃料消費量を 10MWのボイラ

ーに必要な燃料消費量で除してボイラーの数、つまり脱硫装置の設置数を求め、これに瀋

陽市の化学肥料工場に導入された実証プラントの費用を乗じて、建設コストを算出してい

る。

それぞれのシナリオで想定される建設コストは、表 7 の通りである。

12 石炭ボイラーの建設コスト構成は、プラント(72%)、設備その他(23%)および配管(5%)であり、ヒートポ

ンプのそれは、プラント(63%)、受配電(6%)、井戸(3%)、設備その他(23%)および配管(5%)である(括弧内

は構成比)。なお、配管については瀋陽市と同額であると想定した。 13 バイオブリケット製造装置の最適生産規模は 0.679t/h であり、その際の必要台数は 594 台である。 14 政府によって補助金が支給されるため、導入の際に実際に負担するコストはこれよりも低くなる。 15 清華大学の徐教授らが開発(Xu et al. (2000))。

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表 7 各シナリオにおける建設コスト(単位:億元)

天津市全体 シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3 シナリオ4石炭ボイラーによる熱供給システム 67.9 67.9 67.9ヒートポンプによる熱供給システム 67.7バイオガス製造装置 46.7 46.7バイオブリケット製造機 0.5 0.5簡易排煙脱硫装置 6.5

合計 67.9 67.7 115.2 121.6

都市型地域石炭ボイラーによる熱供給システム 13.2 13.2 13.2ヒートポンプによる熱供給システム 13.1バイオガス製造装置 3.1 3.1バイオブリケット製造機 0.3 0.3簡易排煙脱硫装置 2.6

合計 13.2 13.1 16.5 19.1

農村型地域石炭ボイラーによる熱供給システム 54.8 54.8 54.8ヒートポンプによる熱供給システム 54.6バイオガス製造装置 43.7 43.7バイオブリケット製造機 0.2 0.2簡易排煙脱硫装置 3.9

合計 54.8 54.6 98.7 102.5

環境保全型技術の導入の際には、建設コストに加えて技術の運用にともなう経常コスト

が発生する。熱供給システムをヒートポンプによって稼働すれば、従来の石炭ボイラーで

必要な石炭の代わりに電力が必要になる。日本貿易振興機構他(2009)によれば、遼寧省瀋

陽市のケースとして、石炭ボイラーの石炭消費量が 33.0kg/m2 であるのに対し、ヒートポ

ンプの電力消費量は 25.13kWh/m2と報告されている。現在天津市に導入されている熱供給

システムは石炭ボイラーを使用していることから、天津能源統計年鑑の熱供給用石炭消費

量を供給面積で除すと、石炭ボイラーの石炭消費量は 22.50kg/m2 と推計される。この石炭

消費量に前述した瀋陽市のケースの石炭と電力の消費比率を乗じ、天津市での導入を想定

したヒートポンプの電力消費量を 17.14kWh/m2と推計している。これらの投入量に基づき、

シナリオ 2 において生活用熱供給部門の投入係数の石炭投入を減少させ、電力投入を増加

させている。熱供給の供給面積の拡大に伴って、都市の家計消費の石炭は熱供給によって

代替されていくため、熱供給の供給人口に応じて都市家計の石炭消費構成を減少させ、熱

供給消費構成を増加させている。この都市家計の消費構成の修正は、シナリオ 1~4 につい

て共通のものである。

シナリオ 3 および 4 において、生活用熱供給部門および農村の家計消費において消費さ

れる石炭をバイオブリケットに代替する場合は、成都市バイオブリケット研究グループ

(1999)で示されるバイオブリケットの素材構成に基づいて石炭の投入係数(消費構成)を減

少させ、農林水産業(木屑・稲わら)、非金属鉱物製品(石灰粉)、電力及び運輸の投入係数(消

費構成)を増加させている 16。その際、石炭とバイオブリケットとの発熱量及び燃焼効率の

16 バイオブリケット 1t に対し、原材料として原料炭 664.0kg(63.08 元)、石灰粉 170.0kg(25.50 元)、木屑

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違いも反映して調整を行っている 17。詳細については、中野(2008)を参照されたい。なお、

バイオブリケットによる脱硫率は、67%と想定している。バイオガスの生成に必要な植物

系残渣および人間・家畜の糞尿に関しては自家生産されると考え、これらは無償であると

想定している。したがって、シナリオ 3 および 4 において農村家計消費における石炭をバ

イオガスに代替する場合は、単純に石炭消費量のうち 3 分の 1 を減少させている。

シナリオ 4 における脱硫装置は、前述したように水膜法を採用しているが、経常コスト

として電力、水および石灰石の投入が必要である。ただし、日本で一般的に導入されてい

る湿式の石灰石膏法と比較し、水の消費量を抑制することが可能である特徴を有している。

なお、簡易排煙脱硫装置の脱硫率は、80%と想定している。

シミュレーションでは、環境保全型技術の建設コストを加えた 2007 年の最終需要、およ

び同技術の経常コストを加えた投入係数を産業連関モデルに与えている。しかし、建設コ

ストによる波及効果は短期的なものであり、技術が導入された後にはその効果は減少して

いくものと予想される。そこで、技術導入時の評価では、技術の建設コストおよび経常コ

ストを考慮して付加価値誘発額、CO2および SO2排出量の計測を行い、導入後の評価では、

技術の経常コストのみを考慮している。

7. シミュレーションの結果

7.1. 部門別 CO2および SO2排出量

シナリオ 1(表 8)においては、石炭ボイラーによる熱供給システムの建設にともなって一

般機械の CO2および SO2排出量が 2007 年時点と比較して大きく増加するが、生活用熱供

給の燃料である石炭消費の増大によって、同部門の CO2および SO2排出量が突出して多く

なっている。そのため、家計消費の石炭が熱供給に代替する排出削減効果を考慮しても、

総量では CO2および SO2いずれの排出量もそれぞれ 5.56%および 10.82%増加する。導入後

においても、生活用熱供給の石炭起源の排出は経常的に多いため、CO2および SO2総排出

量は、それぞれ 5.15%および 10.49%増加する。

シナリオ 2(表 9)では、シナリオ 1 の場合と同様、ヒートポンプによる熱供給システムの

建設のために技術導入時には一般機械の CO2および SO2排出量が大きく増加するが、熱供

給の経常コストにともなう排出増加量がシナリオ 1 よりも少ないため、総量では CO2およ

び SO2 排出量がそれぞれ 1.45%および 0.25%増加と抑制される。技術導入後は、建設にと

もなう波及分がなくなるため、CO2排出量は1.04%増加し、SO2総排出量は0.09%減少する。

シナリオ 3(表 10)では、石炭ボイラーによる熱供給システム、バイオブリケット製造機

およびバイオガス製造装置の建設によって、技術導入時には一般機械および非金属鉱物製

品の CO2および SO2排出量が大きく増加する。シナリオ 1 のような生活用熱供給の燃料起

源の大幅な排出増は、石炭からバイオブリケットへの代替によって抑制され、SO2 排出量 124.5kg(18.68元)、稲わら 41.5kg(2.08元)、電力 30kWh(17.10元)および運送(10元)を要する(括弧内は金額)。 17 発熱量については、石炭が 20188kJ/kg であるのに対し、バイオブリケットは 16207kJ/kg である、また、

燃焼効率については、石炭が 1 に対して、バイオブリケットが 1.29 である。

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に関しては減少に転じている。都市の家計部門における石炭から熱供給およびバイオブリ

ケットへの代替だけでなく、農村においても家計部門で石炭がバイオブリケットおよびバ

イオガスに代替されることから、家計部門からの排出も大きく抑制される。結果として、

総量では、CO2排出量は 2.60%増加し、SO2排出量は 1.94%減少する。技術導入後は、CO2

および SO2総排出量が、それぞれ 1.36%増および 3.47%減となっている。

シナリオ 4(表 11)は、シナリオ 3 に加えて簡易排煙脱硫装置が導入されるため、その建

設および経常運転にともなって、CO2 総排出量はシナリオ 3 を上回って 2.82%増加する。

一方、SO2 排出量に関しては、簡易排煙脱硫装置による脱硫効果が大きいため、同装置の

導入を想定する工業部門ではほとんどの硫黄分が除去される。それゆえ、SO2 総排出量は

70.46%減少する。技術導入後は、CO2 および SO2 総排出量が、それぞれ 1.50%増および

70.57%減となる。

表 8 シナリオ 1 における部門別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

農林水産業 99 0.08 99 0.03 4 0.08 4 0.03石炭 0 1.95 0 1.77 0 1.95 0 1.77石油及び天然ガス 164 0.14 164 0.09 61 0.14 61 0.09金属鉱物 5 0.00 5 0.00 1 0.00 1 0.00非金属及びその他の鉱物 8 0.12 8 0.02 1 0.12 1 0.02食料品及びたばこ 156 0.08 156 0.03 16 0.08 16 0.03紡績 49 0.11 49 0.03 5 0.11 5 0.03繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 22 0.16 22 0.07 2 0.16 2 0.07木材及び家具 12 0.07 12 0.02 1 0.07 1 0.02製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 42 0.58 42 0.19 4 0.58 4 0.19石油製品、石炭製品及び核燃料加工 348 0.61 348 0.41 12 0.61 12 0.41化学 378 0.30 377 0.08 30 0.30 30 0.08非金属鉱物製品 490 0.63 488 0.19 27 0.63 27 0.19金属冶金及び圧延加工 3539 0.59 3519 0.04 50 0.59 50 0.04金属製品 63 0.80 63 0.14 6 0.80 6 0.14一般機械及び特殊機械 64 9.20 59 0.24 5 9.20 4 0.24輸送機械器具 53 0.06 53 0.02 5 0.06 5 0.02電気機械器具 34 0.27 34 0.04 3 0.27 3 0.04通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 15 0.07 15 0.01 1 0.07 1 0.01計測器及び文化・事務用機械 2 0.08 2 0.03 0 0.08 0 0.03工芸品及びその他の製造品 8 0.84 8 0.07 1 0.84 1 0.07廃棄物 1 0.67 1 0.05 0 0.67 0 0.05電力 3588 2.62 3575 2.23 33 2.62 33 2.23熱供給(産業) 849 1.83 846 1.54 29 1.83 29 1.54熱供給(生活) 1026 110.64 1026 110.64 79 110.64 79 110.64ガス生産及び供給 1 0.16 1 0.02 0 0.16 0 0.02水生産及び供給 1 0.64 1 0.47 0 0.64 0 0.47建築 120 0.22 119 0.01 5 0.22 5 0.01運輸 682 0.37 680 0.11 18 0.37 18 0.11郵政 11 0.23 11 0.13 1 0.23 1 0.13情報通信 0 0.39 0 0.21 0 0.39 0 0.21卸売・小売 142 0.51 142 0.23 2 0.51 2 0.23飲食・宿泊 295 0.26 295 0.11 10 0.26 10 0.11金融 9 1.24 9 0.98 0 1.24 0 0.98不動産 1 0.06 1 0.02 0 0.06 0 0.02物品賃貸及び対事業所サービス 39 0.32 38 0.15 0 0.32 0 0.15研究 0 0.21 0 0.02 0 0.21 0 0.02総合技術サービス 14 0.19 14 0.02 0 0.19 0 0.02水利、環境及び公共施設管理 3 0.04 3 0.02 0 0.04 0 0.02対個人サービス及びその他のサービス 4 0.43 4 0.33 0 0.43 0 0.33教育 2 0.05 2 0.03 0 0.05 0 0.03衛生、社会保障及び社会福祉 3 0.14 3 0.09 0 0.14 0 0.09文化、体育及び娯楽 2 0.07 2 0.03 0 0.07 0 0.03公共管理及び社会組織 7 0.01 7 0.00 0 0.01 0 0.00農村家計消費 117 0.00 117 0.00 8 0.00 8 0.00都市家計消費 180 -9.36 180 -9.36 5 -29.08 5 -29.08

合計 12650 5.56 12602 5.15 431 10.82 430 10.49

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

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表 9 シナリオ 2 における部門別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

農林水産業 99 0.08 99 0.03 4 0.08 4 0.03石炭 0 0.69 0 0.52 0 0.69 0 0.52原油及び天然ガス 164 0.09 164 0.04 61 0.09 61 0.04金属鉱物 5 0.00 5 0.00 1 0.00 1 0.00非金属及びその他の鉱物 8 0.14 8 0.02 1 0.14 1 0.02食料品及びたばこ 156 0.08 156 0.03 16 0.08 16 0.03紡績 49 0.10 49 0.02 5 0.10 5 0.02繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 22 0.16 22 0.08 2 0.16 2 0.08木材及び家具 12 0.07 12 0.02 1 0.07 1 0.02製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 42 0.59 42 0.20 4 0.59 4 0.20石油製品、石炭製品及び核燃料加工 348 0.38 347 0.18 12 0.38 12 0.18化学 378 0.31 377 0.07 30 0.31 30 0.07非金属鉱物製品 490 0.75 488 0.21 27 0.75 27 0.21金属冶金及び圧延加工 3538 0.58 3519 0.04 50 0.58 50 0.04金属製品 63 0.77 63 0.14 6 0.77 6 0.14一般機械及び特殊機械 64 8.36 59 0.26 5 8.36 4 0.26輸送機械器具 53 0.06 53 0.02 5 0.06 5 0.02電気機械器具 34 0.66 34 0.04 3 0.66 3 0.04通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 15 0.07 15 0.01 1 0.07 1 0.01計測器及び文化・事務用機械 2 0.08 2 0.04 0 0.08 0 0.04工芸品及びその他の製造品 8 0.84 8 0.07 1 0.84 1 0.07廃棄物 1 0.65 1 0.05 0 0.65 0 0.05電力 3637 3.99 3623 3.61 34 3.99 34 3.61熱供給(産業) 848 1.76 846 1.47 29 1.76 29 1.47熱供給(生活) 487 0.00 487 0.00 38 0.00 38 0.00ガス生産及び供給 1 0.16 1 0.02 0 0.16 0 0.02水生産及び供給 1 0.70 1 0.53 0 0.70 0 0.53建築 120 0.32 119 0.01 5 0.32 5 0.01運輸 682 0.34 680 0.09 18 0.34 18 0.09郵政 11 0.24 11 0.14 1 0.24 1 0.14情報通信 0 0.40 0 0.22 0 0.40 0 0.22卸売・小売 142 0.50 142 0.22 2 0.50 2 0.22飲食・宿泊 295 0.26 295 0.11 10 0.26 10 0.11金融 9 1.34 9 1.08 0 1.34 0 1.08不動産 1 0.07 1 0.03 0 0.07 0 0.03物品賃貸及び対事業所サービス 39 0.34 38 0.16 0 0.34 0 0.16研究 0 0.21 0 0.02 0 0.21 0 0.02総合技術サービス 14 0.18 14 0.02 0 0.18 0 0.02水利、環境及び公共施設管理 3 0.04 3 0.02 0 0.04 0 0.02対個人サービス及びその他のサービス 4 0.46 4 0.36 0 0.46 0 0.36教育 2 0.05 2 0.03 0 0.05 0 0.03衛生、社会保障及び社会福祉 3 0.14 3 0.10 0 0.14 0 0.10文化、体育及び娯楽 2 0.07 2 0.03 0 0.07 0 0.03公共管理及び社会組織 7 0.01 7 0.01 0 0.01 0 0.01農村家計消費 117 0.00 117 0.00 8 0.00 8 0.00都市家計消費 180 -9.36 180 -9.36 5 -29.08 5 -29.08

合計 12158 1.45 12110 1.04 390 0.25 389 -0.09

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

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表 10 シナリオ 3 における部門別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

農林水産業 101 1.41 101 1.29 4 1.41 4 1.29石炭 0 0.07 0 -0.24 0 0.07 0 -0.24石油及び天然ガス 165 0.18 164 0.07 61 0.18 61 0.07金属鉱物 5 0.00 5 0.00 1 0.00 1 0.00非金属及びその他の鉱物 8 0.77 8 0.10 1 0.77 1 0.10食料品及びたばこ 156 0.20 156 0.12 16 0.20 16 0.12紡績 49 0.16 49 0.03 5 0.16 5 0.03繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 22 0.20 22 0.08 2 0.20 2 0.08木材及び家具 12 0.12 12 0.02 1 0.12 1 0.02製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 42 0.97 42 0.24 4 0.97 4 0.24石油製品、石炭製品及び核燃料加工 349 0.72 347 0.33 12 0.72 12 0.33化学 379 0.56 378 0.13 30 0.56 30 0.13非金属鉱物製品 572 17.50 497 2.00 32 17.50 28 2.00金属冶金及び圧延加工 3547 0.83 3519 0.04 51 0.83 50 0.04金属製品 65 2.66 63 0.15 6 2.66 6 0.15一般機械及び特殊機械 65 9.41 59 0.26 5 9.41 4 0.26輸送機械器具 53 0.09 53 0.03 5 0.09 5 0.03電気機械器具 34 0.33 34 0.04 3 0.33 3 0.04通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 15 0.08 15 0.01 1 0.08 1 0.01計測器及び文化・事務用機械 2 0.11 2 0.04 0 0.11 0 0.04工芸品及びその他の製造品 8 1.13 8 0.10 1 1.13 1 0.10廃棄物 1 1.17 1 0.08 0 1.17 0 0.08電力 3624 3.64 3600 2.94 34 3.64 34 2.94熱供給(産業) 850 2.02 846 1.50 30 2.02 29 1.50熱供給(生活) 659 35.29 659 35.29 34 -9.28 34 -9.28ガス生産及び供給 1 0.36 1 0.05 0 0.36 0 0.05水生産及び供給 1 0.81 1 0.53 0 0.81 0 0.53建築 120 0.74 119 0.01 5 0.74 5 0.01運輸 683 0.58 680 0.18 18 0.58 18 0.18郵政 11 0.30 11 0.15 1 0.30 1 0.15情報通信 0 0.53 0 0.23 0 0.53 0 0.23卸売・小売 142 0.70 142 0.25 2 0.70 2 0.25飲食・宿泊 295 0.36 295 0.12 10 0.36 10 0.12金融 9 1.51 9 1.05 0 1.51 0 1.05不動産 1 0.09 1 0.03 0 0.09 0 0.03物品賃貸及び対事業所サービス 39 0.43 38 0.18 0 0.43 0 0.18研究 0 0.31 0 0.03 0 0.31 0 0.03総合技術サービス 14 0.35 14 0.05 0 0.35 0 0.05水利、環境及び公共施設管理 3 0.05 3 0.02 0 0.05 0 0.02対個人サービス及びその他のサービス 4 0.54 4 0.37 0 0.54 0 0.37教育 2 0.07 2 0.03 0 0.07 0 0.03衛生、社会保障及び社会福祉 3 0.16 3 0.10 0 0.16 0 0.10文化、体育及び娯楽 2 0.09 2 0.04 0 0.09 0 0.04公共管理及び社会組織 7 0.01 7 0.01 0 0.01 0 0.01農村家計消費 8 -92.97 8 -92.97 0 -96.33 0 -96.33都市家計消費 167 -16.00 167 -16.00 3 -55.62 3 -55.62

合計 12296 2.60 12148 1.36 382 -1.94 376 -3.47

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

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表 11 シナリオ 4 における部門別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

農林水産業 101 1.41 101 1.29 4 1.41 4 1.29石炭 0 0.22 0 -0.13 0 -99.64 0 -99.64石油及び天然ガス 165 0.19 164 0.08 0 -99.97 0 -99.97金属鉱物 5 0.00 5 0.00 1 0.00 1 0.00非金属及びその他の鉱物 8 0.81 8 0.11 0 -97.58 0 -97.59食料品及びたばこ 156 0.20 156 0.12 0 -99.95 0 -99.95紡績 49 0.17 49 0.03 0 -99.72 0 -99.72繊維製品、皮革製品及び羽毛製品 22 0.21 22 0.08 0 -99.80 0 -99.80木材及び家具 12 0.13 12 0.03 0 -99.56 0 -99.57製紙、印刷及び文化・教育・体育用品 42 1.00 42 0.25 0 -99.81 0 -99.82石油製品、石炭製品及び核燃料加工 349 0.76 348 0.34 0 -99.96 0 -99.96化学 379 0.59 378 0.14 0 -99.98 0 -99.98非金属鉱物製品 575 18.22 497 2.18 0 -99.78 0 -99.81金属冶金及び圧延加工 3552 0.98 3519 0.04 0 -99.98 0 -99.98金属製品 65 2.70 63 0.16 0 -99.93 0 -99.93一般機械及び特殊機械 65 9.67 59 0.27 0 -99.96 0 -99.96輸送機械器具 53 0.10 53 0.03 0 -99.98 0 -99.98電気機械器具 34 0.34 34 0.04 0 -99.96 0 -99.96通信機器、電子計算機及びその他の電子機器 15 0.08 15 0.01 0 -99.99 0 -99.99計測器及び文化・事務用機械 2 0.12 2 0.04 0 -99.83 0 -99.83工芸品及びその他の製造品 8 1.16 8 0.10 0 -99.38 0 -99.39廃棄物 1 1.31 1 0.09 0 -99.81 0 -99.81電力 3640 4.10 3614 3.34 34 4.10 34 3.34熱供給(産業) 851 2.10 846 1.56 0 -99.45 0 -99.46熱供給(生活) 659 35.29 659 35.29 34 -9.28 34 -9.28ガス生産及び供給 1 0.38 1 0.05 0 -97.52 0 -97.53水生産及び供給 1 0.89 1 0.59 0 -98.30 0 -98.31建築 120 0.74 119 0.01 5 0.74 5 0.01運輸 683 0.61 680 0.19 18 0.61 18 0.19郵政 11 0.31 11 0.15 1 0.31 1 0.15情報通信 0 0.55 0 0.24 0 0.55 0 0.24卸売・小売 142 0.73 142 0.26 2 0.73 2 0.26飲食・宿泊 295 0.37 295 0.13 10 0.37 10 0.13金融 9 1.57 9 1.09 0 1.57 0 1.09不動産 1 0.09 1 0.03 0 0.09 0 0.03物品賃貸及び対事業所サービス 39 0.45 38 0.19 0 0.45 0 0.19研究 0 0.32 0 0.03 0 0.32 0 0.03総合技術サービス 14 0.36 14 0.05 0 0.36 0 0.05水利、環境及び公共施設管理 3 0.05 3 0.03 0 0.05 0 0.03対個人サービス及びその他のサービス 4 0.56 4 0.38 0 0.56 0 0.38教育 2 0.07 2 0.03 0 0.07 0 0.03衛生、社会保障及び社会福祉 3 0.17 3 0.11 0 0.17 0 0.11文化、体育及び娯楽 2 0.10 2 0.04 0 0.10 0 0.04公共管理及び社会組織 7 0.01 7 0.01 0 0.01 0 0.01農村家計消費 8 -92.97 8 -92.97 0 -96.33 0 -96.33都市家計消費 167 -16.00 167 -16.00 3 -55.62 3 -55.62

合計 12323 2.82 12164 1.50 115 -70.46 115 -70.57

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

7.2. 地域別 CO2および SO2排出量

本研究では、表 1 のように天津市を都市型地域および農村型地域に分割しているため、

CO2および SO2排出量はこの 2 地域について部門別に計測される。

都市型地域では、石炭ボイラーによる熱供給システムの普及率が 2007 年時点ですでに高

いため、シミュレーションで熱供給システムが新たに導入される面積は、都市型地域と比

較し、農村型地域の方が大きい。そのため、農村型地域では、シナリオ 1(表 12)で都市の

家計における石炭消費が石炭ボイラーによる熱供給に代替することで都市家計のCO2およ

び SO2排出量は減少するが、それよりも熱供給システムの建設および経常コストにともな

って排出量が増大する効果の方が大きい。一方、都市型地域では、熱供給への代替による

削減効果がほとんどないため、同技術の建設および経常コストにともなう排出増が目立つ。

シナリオ 2(表 13)においては、シナリオ 1 と比較して熱供給システムの建設および経常コ

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ストにともなって増大する排出量が相対的に小さいため、農村型地域では熱供給への代替

による削減効果が上回り、排出量が減少している。シナリオ 3(表 14)では、生活用熱供給

の燃料である石炭および都市の家計消費における石炭がバイオブリケットに代替する効果

によって、都市型地域で SO2 排出量が減少している。シナリオ 4(表 15)については、CO2

排出量ではシナリオ 3 と比較してあまり変化はないが、SO2 排出量では簡易排煙脱硫装置

の導入によって都市型および農村型いずれの地域においても大きく減少している。

表 12 シナリオ 1 における地域別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

都市型地域 6145 6.45 6128 6.17 234 7.78 234 7.62農村型地域 6506 4.73 6474 4.21 197 14.68 196 14.11

合計 12650 5.56 12602 5.15 431 10.82 430 10.49

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

表 13 シナリオ 2 における地域別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

都市型地域 5954 3.15 5938 2.87 218 0.32 218 0.16農村型地域 6203 -0.14 6171 -0.65 172 0.16 171 -0.40

合計 12158 1.45 12110 1.04 390 0.25 389 -0.09

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

表 14 シナリオ 3 における地域別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

都市型地域 5912 2.42 5885 1.96 205 -5.93 204 -6.18農村型地域 6384 2.77 6262 0.81 177 3.12 172 -0.05

合計 12296 2.60 12148 1.36 382 -1.94 376 -3.47

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

表 15 シナリオ 4 における地域別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

都市型地域 5923 2.60 5893 2.08 67 -69.03 67 -69.11農村型地域 6400 3.02 6271 0.95 48 -72.27 47 -72.41

合計 12323 2.82 12164 1.50 115 -70.46 115 -70.57

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

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7.3. 地域別付加価値誘発額

シナリオ 1 および 2 では天津市の 2007 年における付加価値の約 1.3%程度の環境保全型

技術の建設コストが必要であり、シナリオ 3 および 4 でも同割合は約 2.3~2.4%である。

技術の経常コストを無視することはできないが、天津市の経済規模から考えれば、前節ま

でに見たシナリオ 4 における SO2排出量の大きな削減と比較して、必要な建設コストは軽

微であると考えられる。

建設コストすべてが天津市の付加価値の増分に寄与しないのは、輸入分と表 16 にあるよ

うに天津市以外の中国に生産誘発が脱漏する部分があるからである。技術導入によってシ

ナリオ 1 および 2 では 2007 年と比較して天津市の付加価値は約 0.9%増加し、シナリオ 3

および 4 では約 1.2~1.3%増加する。

表 16 技術導入にともなう付加価値の変化(単位:億元、変化率は%) 2007年 シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3 シナリオ4

68 68 115 122天津市 5,050 5,097 5,097 5,112 5,115

2007年値からの変化率 0.923 0.929 1.229 1.280天津以外の中国 261,073 261,100 261,099 261,125 261,129

2007年値からの変化率 0.011 0.010 0.020 0.021

付加価値

環境保全型技術の建設コスト

8. おわりに

本研究では、中国天津市を対象に地域に適した環境政策を模索し、大規模工場と比較し

て対策が進まない中小規模工場および家計におけるCO2および SO2排出量をいかに削減す

るかをシミュレーション分析によって検討してきた。

天津市のようにすでに都市型地域に石炭ボイラーによる生活用熱供給システムが普及し

ている地域の場合、同じ技術によって農村型地域を中心に供給面積を拡大すると、家計の

利便性は向上したとしても熱供給による CO2および SO2排出量は大幅に拡大する。これを

ヒートポンプによる熱供給システムに代替すれば、石炭ボイラーの場合と比較して CO2お

よび SO2排出量を減少させることは可能であるが、その効果はわずかである。つまり、熱

の消費段階での節約意識が生まれる料金体系などを導入しなければ、たとえ新しい技術で

あっても、熱供給システムの拡大はヒートポンプ用の発電に必要な石炭消費を増加させる

ため、必ずしも CO2排出削減に対する貢献は大きなものにはならない。中国に豊富に存在

する石炭を有効利用するという観点からも、すべてをヒートポンプで賄うというのは現実

的ではないだろう。

そこで本研究では、生活用熱供給システムおよび家計消費に用いる石炭をクリーンに活

用するために、石炭に燃焼効率の改善のためのバイオマスと脱硫剤である石灰粉を混ぜた

バイオブリケットを導入することを検討している。加えて、農村家計についてはバイオブ

リケットだけでなく、バイオガスによる石炭の代替も考えている。この対策によって、CO2

排出量(1.4~2.6%)が増加するものの、SO2 排出量については、ヒートポンプによる熱供給

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システムの拡大と比較して相対的に削減効果(-1.9~-3.5%)が大きくなることが示され

た。

ただし、この程度の削減が SO2対策として十分というわけではない。2007 年時点で排出

されている SO2 の大半が除去されなければ、甚大な健康被害を惹き起こす可能性がある。

現実的な導入可能性を考慮し、湿式の石灰石膏法と比べ脱硫率は低いが、安価で水の消費

量が少ない水膜法による簡易排煙脱硫装置を中小規模工場に導入することを想定すると、

バイオマス利用による石炭代替だけを考えた場合よりもはるかに大きな SO2 削減効果(-

70.5~-70.6%)が確認される。なおかつ、注目すべきは CO2 排出量(1.5~2.8%)がわずかに

増加する程度であることである。技術導入に必要な建設コストは、天津市全体の付加価値

の約 2.4%であり、大幅な大気環境の改善と比べれば、軽微であると言えよう。

以上のことから、石炭の有効利用、CO2 排出抑制および安価な導入コストを前提とした

天津市における中小規模工場および家計に対する SO2対策として、バイオマスの利用およ

び簡易排煙脱硫装置の導入が望ましい組み合わせのひとつであると言えよう。ただし、温

暖化対策としては十分とは言えないため、追加的な対策を検討する余地は残されている。

最後に、本研究の拡張の可能性を述べることにする。本研究は、天津市多地域間産業連

関表を推計し、それに基づいて環境保全型技術導入による CO2および SO2排出量の推計を

行っているが、推計された SO2排出量がどのように地域に拡散し、それによって呼吸器系

疾患の患者がどの程度発生するかを評価できれば、本研究で扱った環境対策をより多角的

な観点から評価することができるだろう(鬼頭他(forthcoming))。また、脱硫廃棄物である石

膏や灰を塩類土壌に施用することで土壌を改良することが可能であり(Sakai et al. (2004)、

酒井他(forthcoming))、バイオガスの残渣を有機肥料として利用することが可能であるため、

これらにともなう食糧増産効果および植林によるCO2固定効果を評価することも重要であ

る。

本研究は、2007 年の産業連関表に基づいたスタティックなモデルによる分析を行ってい

る。そのため、新技術の導入にともなう経常コストの増加によって当該部門の需要が減少

するような効果が含まれていない。本研究では外生的に扱われている経済変数の内生化お

よびダイナミックなモデル構築については、地域のデータ収集・整理とともに今後の課題

としたい。

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補論 天津市区・県別 CO2および SO2排出量の推計

表 2 の按分指標に基づけば、都市型および農村型地域のCO2 およびSO2 排出量を簡易的

に当該地域に属する区・県別に分割することが可能である 18。ここでは、各シナリオにお

ける区・県別CO2およびSO2排出量を推計している(表A-1~4)。

表 A-1 シナリオ 1 における区・県別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

和平区 151 7.34 151 7.25 6 12.37 6 12.31河东区 1323 3.77 1319 3.40 30 8.00 30 7.72河西区 1192 5.04 1188 4.72 28 9.04 28 8.82南开区 421 11.80 420 11.60 20 13.15 20 13.01河北区 487 7.34 486 7.12 19 9.61 19 9.44红桥区 172 14.49 172 14.34 10 15.89 10 15.79浜海新区 2398 7.01 2392 6.75 122 5.55 122 5.44东丽区 1428 3.25 1422 2.78 32 11.31 32 10.75西青区 1471 2.34 1464 1.90 36 7.57 36 7.08津南区 477 6.78 474 6.11 17 22.87 17 22.07北辰区 600 1.91 597 1.31 25 7.26 25 6.64武清区 471 8.46 468 7.93 24 18.57 24 18.02宝坻区 204 21.03 203 20.62 11 35.99 11 35.56宁河县 293 5.77 291 5.16 10 14.32 10 13.65静海县 977 3.25 971 2.63 23 12.45 23 11.82蓟县 585 10.29 583 9.92 17 28.71 17 28.34

合計 12650 5.56 12602 5.15 431 10.82 430 10.49

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

注) 塘沽区、汉沽区および大港区は、浜海新区に含まれる。

18 和平区では本社機能を有する事業所に多くの就業者が従事していると考えられるため、工業部門におけ

る排出量の配分の対象から和平区を除外している。電力部門については発電所が立地している地域、生活

用熱供給部門については熱供給地域、および家計消費については居住地域にそれぞれ排出量を配分してい

る。

Page 34: CO2 SO2 排出量の計測-ESRI Discussion Paper Series No.267 天津市の環境保全シミュレーション(I) -天津多地域間産業連関表の推計と CO2・SO2

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表 A-2 シナリオ 2 における区・県別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

和平区 142 0.91 142 0.82 6 0.08 6 0.02河东区 1298 1.80 1294 1.44 28 0.30 28 0.03河西区 1171 3.20 1168 2.89 26 0.70 26 0.49南开区 391 3.90 391 3.70 18 0.11 18 -0.03河北区 466 2.79 465 2.57 17 0.27 17 0.10红桥区 156 3.27 155 3.12 8 0.19 8 0.09浜海新区 2330 3.97 2324 3.72 116 0.29 116 0.18东丽区 1394 0.74 1387 0.27 29 0.01 29 -0.55西青区 1452 1.00 1445 0.56 34 0.99 34 0.50津南区 429 -3.95 426 -4.62 13 -3.66 13 -4.45北辰区 582 -1.25 578 -1.86 24 1.16 24 0.53武清区 423 -2.59 420 -3.12 20 0.24 20 -0.31宝坻区 164 -2.58 163 -3.00 8 -0.43 8 -0.87宁河县 280 1.12 278 0.51 9 2.92 9 2.26静海县 944 -0.19 938 -0.80 21 0.38 21 -0.24蓟县 536 1.13 534 0.74 13 -1.20 13 -1.59

合計 12158 1.45 12110 1.04 390 0.25 389 -0.09

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

注) 塘沽区、汉沽区および大港区は、浜海新区に含まれる。

表 A-3 シナリオ 3 における区・県別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

和平区 137 -2.56 137 -2.69 5 -17.89 5 -17.97河东区 1289 1.11 1282 0.56 25 -8.63 25 -9.04河西区 1160 2.23 1154 1.68 23 -9.15 23 -9.50南开区 377 0.15 376 -0.15 14 -17.67 14 -17.87河北区 456 0.43 454 0.11 15 -13.30 15 -13.54红桥区 146 -2.76 146 -3.00 6 -22.70 6 -22.87浜海新区 2346 4.71 2336 4.25 116 0.07 116 -0.14东丽区 1419 2.55 1400 1.22 30 2.79 29 0.47西青区 1466 2.03 1447 0.71 34 1.60 34 -0.52津南区 461 3.14 452 1.10 15 6.46 14 3.41北辰区 591 0.25 575 -2.37 23 -0.83 22 -4.15武清区 450 3.79 435 0.24 21 4.77 20 0.67宝坻区 181 7.63 175 3.68 9 4.76 8 0.43宁河县 285 2.81 277 0.18 9 2.18 9 -1.85静海县 962 1.76 948 0.22 21 2.89 21 0.35蓟县 569 7.26 553 4.25 15 8.49 14 2.76

合計 12296 2.60 12148 1.36 382 -1.94 376 -3.47

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

注) 塘沽区、汉沽区および大港区は、浜海新区に含まれる。

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表 A-4 シナリオ 4 における区・県別 CO2および SO2排出量(変化率は%)

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

2007年値からの変化率

和平区 137 -2.55 137 -2.69 5 -17.88 5 -17.97河东区 1292 1.28 1283 0.63 8 -69.54 8 -69.62河西区 1163 2.50 1156 1.89 13 -47.52 13 -47.71南开区 377 0.20 376 -0.13 7 -61.42 7 -61.44河北区 456 0.49 454 0.12 8 -50.39 8 -50.46红桥区 146 -2.72 146 -2.99 3 -59.74 3 -59.76浜海新区 2351 4.93 2340 4.42 22 -80.72 22 -80.79东丽区 1423 2.85 1403 1.43 12 -58.38 12 -58.64西青区 1471 2.35 1451 0.95 11 -67.14 11 -67.35津南区 462 3.30 452 1.12 3 -76.77 3 -76.91北辰区 592 0.41 575 -2.35 4 -84.89 4 -84.96武清区 451 3.97 435 0.28 4 -80.43 4 -80.50宝坻区 182 7.82 175 3.73 3 -66.91 3 -66.99宁河县 285 2.99 278 0.21 1 -82.85 1 -82.90静海县 964 1.92 948 0.24 2 -88.00 2 -88.03蓟县 571 7.66 554 4.53 7 -48.96 7 -49.18

合計 12323 2.82 12164 1.50 115 -70.46 115 -70.57

CO2排出量(万t-CO2) SO2排出量(千t-SO2)

技術導入時 技術導入後 技術導入時 技術導入後

注) 塘沽区、汉沽区および大港区は、浜海新区に含まれる。