第二章 sap販売・...

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第二章 SAP 販売・在庫・購買・倉庫管理 ITライブラリー pdf 100冊) http://itlib1.sakura.ne.jp/ 一般社団法人 情報処理学会 正会員 腰山 信一 [email protected]

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第二章

SAP 販売・在庫・購買・倉庫管理

ITライブラリー (pdf 100冊)http://itlib1.sakura.ne.jp/

一般社団法人

情報処理学会 正会員

腰山 信一

[email protected]

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他の章は下記をクリックして

PDF一覧からお入り下さい。

ITライブラリー (pdf 100冊)http://itlib1.sakura.ne.jp/

目次番号 180番 SAP 基本からSAP HANAまで

全9冊 800ページ

主なコンポーネント群

3

コンポーネントの概要

ビジネスのブロセスを統合して、組織の合理化、業務の透明化を進めながら、 加えて、事業の効率性と収益性を向上させる一手として、亊業を取り巻く環境の統制をSAP ERPは目指しています。

ヒト・モノ・カネ・情報をまとめることから、多くの要望に応えられるように「コンポーネント」が出来上がっています。

そのコンポーネントが組み合わさされることで、「ソリューション」を成しているのです。

4

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ファイナンシャルズ SAP ERP Financials

SAP ERPは、4つのソリユーションと1つの基盤を、主要なビジネスプロセスとしてサポートしています。

1つめのファイナンシャルズは、幅広い業界に対応した財務ソリユーションであり、会計管理、財務報告、業績管理、コーポレートガバナンスを提供します。

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FSCM (ファイナンシャル・サプライチエーン・マネジメント) のニーズに対応できるよう、 SAPシステムでもSAP以外のシステムでもスムーズに連携し、拡張できるようになっています。

以下の業務をサポートする機能を提供します。

7

電子請求/決済

請求書、口座ステータス、決済情報にアクセスして、既存のポータルサイトとシームレスに統合します。

クレーム管理

売掛金に限定した クレームを解決します。売上債権回転日数(DSO )の短縮を目指します。

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回収管理

売掛金回収の効率性を高めるように、回収業務を組織化します。

あくまで回収の管理を徹底するに止めていますが、入金と債権の突合のサポートをすることで、滞納の減少を目指します。

与信管理

販売の信用を分析します。

顧客の売掛金の回収率、入金額などを対象とします。 不良償権が起きそうだという基準を設け、危険信号を発信させることもできます。

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資金管理と流動性管理

オペレーショナル・キャツシュフローを監視します。より正確なキャッシュフロー予測として、運転資金がどの期間にどれだけ保持できるかや、現金不足、調達のタイミングを計画します。

インハウスキャッシュ管理

社内システム内に、バーチャルなインハウス・バンク(自社銀行)を構築します。

社内決済や 送金などのグループ全体の資金取引コストの削減を目指します。

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財務管理とリスク管理

ヘッジ取引の管理をはじめ、企業の財務リスク水準を引き下げ、財務機能のコーポレートガバナンスの改善として、取引先の発する危険信号を明らかにし、経営者層への説明に使います。

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ヒューマンキャビタルマネジメント

2つめのソリユーションは、ヒューマンキャピタルマネジメントです。 従業

員の価値を最大限に発揮して、従業員のスキル、バフォーマンス、モチベーションをピジネス目標や戦略に会わせることを目指します。

そのためには人事 (HR Human Resource) 機能を管理部門から人的資産管理 (HCM Humen Capital Management) 推進の戦略的貢献者へと転換させることが必要です。

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企業にとってのHCMとは、ビジネス結果の機動力となるよう、従業員の会

社におけるライフスタイル、例えば就労、休み、成長、退職までのプロセスと情報を、経営戦略と企業全体のプロセルに統合することです。

具体的には、以下の主要なプロセスを自動化します。

エンドユーザーサービスの提供

従業員(エンドユーザー)が利用できるサービス(福利厚生や特別有給)やビジネスコンテンツ(教育、研修など)を、組織全体および個人に提供します。

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要員分析

従業員の「今」を把握し、どんな就労、能力、スキルがあるのかを「見える化」して、人材管理の効果を高め、人事プロジエクトのコストとR0I を追跡します。

タレントマネジメント

採用から教育、キャリア開発、会社への定着に至るまで、雇用の全段階を通して従業員をサポートします。 逆の意味で、リストラクションにも使うことができます。

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要員プロセス管理

重要な要員プロセスを一括管理することで、世界のどの支店にどんなスキルの人員がいるかがわかるようになります。 部署経歴や上司の履歴もわかりますので、細かい報告書を追跡する手助けにもなります。合理化し、グローバルなプラットフォーム上に統合します。

要員配置

スキルと可用性に基づく、適切な人員の配置、プロジェクトのスケジュール捗状況の監視、労働時間の追跡、戦略的意志決定の結果分析を行います。 分析のレポートをベースに次の配置、プロジエクト期間の見直しが図れます。

15

オペレーション

3つめは、オペレーシヨンです。調達と物流管理、製品開発と製造、販売と

サービス等を自動化、合理化するために広範囲にわたる業務ソリューションをSAP ERPは提供しています。

オペレーシヨンは、毎白必ず行わなければならないので、僅かな合理化も、無駄も、ともに業務にインパクトを与えます。

コストの削減や売上の増大、収益性の最大化、顧客サービスの改善の実現を目指す一手として最適です。

具体的には、以下の主要な業務プロセスの簡略化、自動化、改善の実現を支援します。

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調達/物流の管理

エンドツーエンドの調達と物流のビジネスプロセスを管理することで、セルフサービスの注文から柔軟な請求処理/支払いまで幅広く、ビジネスサイクルを「見える化」します。

無駄がわかることで、原材料の調達フローの最適化にも役立ちます。

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製品の開発/製造

製品の開発から製造に至るまでのライフサイクル全体をカバーします。

生産計画、現場の実務、生産途中で得られる情報 (非稼働率、原料を無駄にしている率など) が統合できます。

また、製品の企画から、開発、バージョンアップ、リニューアル、廃番まで、製品のライフサイクルデータの管理を行うことができます。

18

販売とサービス

製品やサービスの販売から、特定の顧客に対して設けられた特別な仕入れ条件やインセンティブ、手数料の計算といった細かい条件まで、顧客に焦点を当てた各種の活動を管理します。

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コーポレートサービス

4つめは、コーポレートサービスです。多くの業種の企業に対し、標準的な管理プロセスをサポートします。

具体的には、以下のような不動産、設備資産、プロジェクトポートフォリオ、従業員の経費、環境/安全・衛生に関するコンプライアンス、品質、国際貿易サービス等の管理です。

不動産管理

空き物件の運転コスト、不動産開発の工程、賃貸、不動産管理にかかるコストを「見える化」します。 無駄の低減を図ります。

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設備資産管理

予防・予知保全、保全コストの予算策定、メンテナンスの実行、安全点検作業を管理します。

資産価値の下がるのを防ぐための、設備予算を計画するのにも役立ちます。

プロジェクト / ポートフォリオ管理

戦略的ポートフォリオ管理からプロジエクト計画、実行、会計処理に至るまでの、プロジエクトのポートフォリオを管理します。

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従業員経費管理

従業員にかかるコストの削減をサポートします。 特に出張に関する費用は大きいものなので、出張管理プロセスの合理化、出張規程の遵守状況を監視します。

またサプライヤの手数料や価格モデルの変更、グローバル物流システム、旅行代理店の管理も支援します。

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補足: EHS

環境・衛生・安全 (environment

occupational health and

safety、略称EHS)

環境・安全・衛生 ( EHS )の管理

ローカルおよびグローバルなレベルでEHS戦略を導入します。 SAP EHSマネジメント・アプリケーションは、法規に合致するための環境基準の強化を支援するだけでなく、統合されたアプローチによって環境・安全・衛生に関する業務リスクの管理や、企業のサステナビリティ、構想のニーズへの対応も支援します。

23

補足:

サステナビリティ

「持続可能性」を意味する英語のsustainability“「企業のサステナビリ

ティ」というとき、これは「企業が利益を上げ、将来においても顧客に製品を供給し続けられる可能性を現在において持っていること」という意味です。

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品質管理

品質管理に関する一貫したアプローチを提供することで、返品の減少と資産の有効活用による効率向上を図ります。

国際貿易サービス

グローバルサプライチェーンの保護、行政機関のシステムとの接続と通信、共有を促進することで、国境を越えた貿易を合理化して、持続的な競争優位性を確保します。

25

基盤 (Netweaver)

最後の基盤とは、NetWeaverのことで、SAPのアプリケーションとアプリケーシヨンの統合を行うためのプラットフォームです。

SAP Business suite と SAPクロスアプリケーションの技術基盤にもなっています。 また、SAP以外のアプリケーシヨンとの連携・統合も NetWeaverで行います。

26

4つ統合ソリューション、SAP Business Suite

業種別機能、スケーラビリティ、インターネットを通じたコラボレーションのできる機能群として、 SAP Business Suite (スィート)が提供されています。

SAP ERPは中央に位置するコンポーネントであり、 SAP NetWeaver

はすべてのSAP ソリューションのアプリケーションプラットフォームになります。

SAP Business suite の4つの統合

ソリューションは、以下の通りです。

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SAP SCM (Supply Chain Management)

企業の境界を越えたモノの行き来の

計画を策定し、最適化に使用します。

SAP CRM (Customer Relationship Management)

顧客を中心に据えたソリューションで、

企業と顧客を繋ぐ、あらゆる媒体をサ

ポートします。

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SAP SRM (Supply Reletionship Management)

インターネツト と マーケットプレイスを

使った2つの方法による調達により、購買の経費、取引条件、内容を最適化します。

SAP PLM (Product Lifecycle Management)

製品開発、製品安全、品質と保全の機能を提供します。

大きな意味で製品の誕生からEOL(End of

Life)として市場から消えるまで、履歴を管理します。

30

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SD (販売管理)

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SD(販売管理)

ここからは、個別のコンポーネントを見ていきます。 SAP ERPのSD(販売管理)とは、販売伝票や出荷伝票などの伝票の登録、無料出荷の登録など、売上の計上と、売上に必要とされる プロセスをカバーしています。

ただし、見積りや引き合いの機能など、営業見込みの顧客を管理できるほどではなく、機能の要件を見て判断します。

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オペレーションと伝票を重視

SAP ERP のSD (Sales and Distribution )は、販売管理用のモジユールで

す。 販売サポート、受注、出荷指図、請求といった領域で標準的な業務処理を提供しています。

指示のための伝票作成とその印刷が行えます。加えてEDI やEC の受発注システム、倉庫のWMS との連携など、SAP ERPには ないシステムとの連携、統合もスムーズに行えるようになっています。

補足: WMS

在庫管理 (Warehouse Management

System)

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販売サポート

営業活動、市場分析、競合分析の登録と評価、それとダイレクトメールの登録などが行えます。 ただ、メイン業務として使うにしては力不足が否めません。

例えば、販売サポートデータの照合の機能から 見込み得意先を見ようとした

場合、見込み得意先の情報は販売組織、流通チャネル、製品部門がわかるのみとなります。

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本来、販売に活かせるデータとしては、見込み顧客と、対象の案件に対して下記の様な情報が必要です。 販売サポートデータとしては、見込み顧客の案件に対し、

①いつから商談をスタートしているか

②確度(商談として成功する確率)がどの程度か

③どの段階まで営業が進んでいるか

という進捗と履歴情報がなければ、営業数値として信懇性がありません。

同様に販売サマリーの閲覧機能でも、得意先マスター、販売伝票、統計などの関連データを収集しますが、月間目標や週間目標と対応するように関するには情報不足です。

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受注

価格設定、利用可能在庫の確認、伝票印刷など、間接的な営業活動の機能を備えています。

セール品の価格設定や期間限定のマージン設定、特定の顧客向け在庫の確保など、顧客に商品やサービスをお届けする前段に当たります。

返品の受付もここで行います。

受注伝票を作成する際、得意先発注番号が生成されますが、得意先の購買発注と販売伝票とのリンクになります。

販売伝票の検索時に得意先発注番号を使用することもできるわけです。

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さらに得意先が発注した商品が指示納入期日に間に合わない場合、利用可能在庫確認画面が自動で分岐するので、出荷オプション(出荷提案など)を選択できます。

次の出荷処理に繋げるために、自動的に出荷計画が実行されます。

出荷

輸送日程計画、出荷計画、ピッキング、積載、および出荷伝票の印刷などを行います。

倉庫への中のロケーション(実際の置き場)

にまで細かい指示は出しませんが、「どんなモノをどこへ、いつ出して欲しいか」という指示と各伝票の印刷を行うので、倉庫のシステム、プリンタと連携させます。

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納入日に対し、倉庫の商品を使っていい日(「品目利用可能日」という)または輸送計画日になると、出荷ができるようになります。

出荷を登録したらピッキングおよび輸送手段の手配などの出荷活動に移ります。

ピッキングは、ここでは輸送指図を用いて行われます。 出荷登録すれば、自動で倉庫への指図を作ってくれます。

転送指図はピツキングリストに含まれピッキングの指図が発行されると、受注した数量分が在庫から「仮に」引き落としします。

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「仮に」 というのは倉庫からまだ出荷が終

わっていませんが、在庫として 残っていると、ほかの案件に引き当たる「ニ重引き当て」が発生する場合があるからです。

また、システム上では在庫があっても、倉庫にはモノがない「欠品」を起こしている場合は引き当て数の変更が想定されるので、「仮」という表現を使います。

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ピツキング完了直後から、出荷に対して出庫を転記することができます。

「出荷」と「出庫」はわかりにくいのですが、「出庫」は在庫からは落ちていますが、宙に浮いた状態で、まだ資産は自社のものです。

「出荷」は倉庫から出ていて、荷物の資産は先方、顧客のもので、売上の計上が可能になります。

出荷に対する出荷伝票は、 MM (在庫/購買管理) および FK (財務会計伝票) です。

在庫数量および在庫金額の更新に使用されます。 勘定ベースの収益性分析の伝票が更新され、取引上では出庫の時点で出荷部門との関連から離れます。

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請求

請求書、クレジットメモ、デビットメモの処理をすることができます。営業活動の締めとなるカネに関わるところです。

クレジットメモ と デビットメモを発行するルー

ルを決めることはありますが、大きく頓挫することは少ないと 思います。

請求は、販売管理の最終的な業務作業です。 請求伝票を登録する際、参照伝票および出荷伝票を使用します。

注意点は、支払いを行う取引先 ( 支払人 )

が受注先とは異なることです。

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請求伝票を作成すると、販売管理で保存され、請求データが財務会計および収益性分析で、自動更新されます。

その後、会計伝票の概要画面を使って、財務会計に転記された勘定、およびその金額が含まれる明細を参照したり、原価ベース明細や収益性分析に転送された他の特性/値項目も確認したりできます。

補足:

クレジットメモ

売上取引の減額(憧引きや返品)に対し、支払いを通知する書類。

デビットメモ

請求額が不足していた場合、追加料金の請求を行うための書類。

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SD 導入の難しさ

SDは、顧客にモノやサービスを販売し、販

売の物件を届けて請求することのサポートであって、営業案件の確度管理をサポートすることはしません。

細かな伝票処理や様々な受注形態、請求に対応することを 重視している機能です。

導入時に困難とされることは、SAPシステム以外との連携が多いことです。

マスターの整備も価格や仕切など、SDとは関連の深いものの調整が多くあります。

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これはSAP ERPすべてのソリュー

ションに言えることですが、立て板のように上から下への流れは確立されますが、下から上への移動は非常に難しいことです。

どうしても戻したい時は、一度上まで上がり、もう一度やり直すことが基本です。

返品のように突然、顧客から送りつけられた荷物であっても、一度、受注に戻さなければモノが現場にあっても、倉庫システムでの入荷は難しいものになります。

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MM (在庫購買管理)

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MM ( 在庫購買管理 )

発注するモノの量の決定が企業経営に大きく関与します。 適正を図るためのMRP が購買発注とERPを劇的に変化させました。

その算出された計画に従い、外注発注、納入、対価の計上までが MM (在庫購買管理) の機能を指します。

仕入れには固定資産やサービスも扱うこともでぎますが、それを在庫として計上することはできません。

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補足:

MRP 【 Material Requirements Planning 】

1960年代に考案された生産管理手法の一つ。企業の生産計画達成を前提に、部品表と在庫情報から発注すべき資源の量と発注時期を割り出すもの。過去の使用分を補充するのではなく、予想される需要を事前に捕らえることにより、在庫の圧縮と不足の解消を同時に実現しました。

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在庫とは

MM (Material Management)は、在庫の

管理と購買の管理を行う専用のモジュールです。

在庫とは、販売を目的とするモノの保管を定義します。 販促品や配賦用カタログ、

段ボールなどの梱包材といった、原価がないモノは在庫と見なしません。

もちろん数の管理はできます。また原価があっても生産のための原材料は、販売の前の工程のために、在庫と見なしません。

在庫管理をすることは、販売に対し良い面を伸ばし、悪い面を小さくすることを目的としています。そのためには4つの要素が挙げられます。

50

数量管理

何が、どこに、どれだけあるかを管理します。

つまり、品目マスターに登録されたモノが、どのプラントのどの保管場所 (あるいはロットも) にあるかという把握ができます。

金額(原価)の管理

何が、いくら分あるかを管理します。プラントに登録した際に基本となる評価レベルの原価と、その下位レベルで、グレードやロット別で原価が変わる場合に使う評価タイプを使用します。

例えば、コンビニの弁当1つ500円の原価は300円とします。

これが評価レベルの原価です。 次に賞味期限が迫ってきて、400円で販売する時は原価を240円に

再設定して「期限切迫品」とします。これが評価タイプです。

51

移動予定の管理

いつ、何が、どのような理由でどこに入る/出るかを管理します。

品目マスターに登録されたモノが、入出庫予定日に、移動タイプに規定して在庫の変化を把握できます。

移動にはいくつか種類があります。まず、会社間在庫転送があります。 在庫管理では、異な

る会社コード間で商品を転送することができます。

これらの在庫転送を、ワンステップ在庫転送(一段階の在庫移動)、またはツーステップ在庫転送(二段階の在庫移動) として実行することができます。

配賦機能または在庫転送オーダーを使用することもできます。

52

ワンステツプ在庫転送の場合、単一のトランザクションで商品の出荷および入庫を行い、ツーステップ在庫転送では、出庫の入力を終えてから入庫入力をします。

2つのプラントで 評価手順と納入価格が異なる場合、入庫プラントが すべての原価発生した差異金額を負担します。

ツーステップ在庫転送では、通常の入出庫の流れと同じなのですが、ワンステップ在庫転送は出庫プラントで出荷が転記されると同時に、入庫プラントで入庫が転記されます。

「移送中」という在庫がないので、品目は入庫プラントの利用可能在庫に直接転記されるので、注意が必要です。

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移動実績の管理

移動予定に対する実績を管理します。 販売目的と言うより会計や統制の意味合いが強いものです。

実際の移動が完了しました、というサインを受けることで、例えば 2つのプラント間で発生した金額の差異を、入庫プラントに付けることもできます。

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購買管理とは

仕入れに関わる条件の交渉や仕入れの遂行と、ベンダーから受けた請求書から仕入れ内容の品目、数量、金額、支払い条件などを照合し、システムにして購買管理に登録します。

請求書照合伝票と 会計伝票への転記、購買発注履歴を更新します。

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大きくは、3つのプロセスを踏みます。

①発注プロセス

所要量、供給元、仕入先を決め、購買発注を処理します。

例えば、外注発注の場合、外注先を呼び出して内容をSAP ERPに入力すると、構成品目の一覧 (部品表/

配合表から定義) と、発注量を満たすのに必要な数が表示されます。

つまり、明細概要画面で、必要な品目の使用可能数量が充分かどうかが確認できます。

確認提案画面では、発注算数や確定数量が表示されます。

在庫がすでに 消費されている場合は、新たに品目を調達する必要があります。

56

転記が確認されると、購買発注伝票番号が割り当てられます。

次に仕入れ先に各品目の充分な在庫があるかどうかを確認します。

充分な品目がない場合、在庫転送によって補充します。

補充が終わると転記が確認でき、入出庫伝票番号が割り当てられます。

②入庫プロセス

先に述べた在庫を参照ください。

57

③買掛計上プロセス

請求書総合伝票で債務を計上しますが、場合によっては未転記請求照合という、

帳簿への転記が終わっていない請求書と、債務との金額を照らし合わせることで、請求書総合伝票を起こすこともあります。

また、システム上は コマンド入力で通常は計上しますが、一括処理のERS を利用することもできます。

58

補足:

ERS ( 入庫 / 請求自動決済 )

ERS (Evaluated Receipt Settlement)

入庫/請求自動決済、評価済み入庫自動決済 ・ 自動決済(Automatic Sett

lement)機能のひとつ。

仕入先との請求および支払処理を簡素化するため、入庫伝票にもとづいて請求書を自動生成することができます。

59

外注明細の請求書を転記する際、納入品目の金額を仕入れ先から送られる請求書と参照するのが一般的ですが、納品書を参照して請求書を入力することもできます。

その際、請求書では支払いが最初、ブロックされている場合があります。

理由としては差異 (数量や価格等) が起きているためで、内容を修正して、正常に終了している 調達プロセスと違いがないようにします。

60

WM (倉庫管理)

61

経営戦略立案

(BSC)

SCMDCM戦略立案(SCOR)

改善サイクル定着化システム

要件定義システム

設計・構築・テスト

インフラ要件定義

インフラ設計・構築・テスト

導入支援

IT化詳細企画

システムサポート

インフラサポート

業務BPR推進企画

業務標準化 効果検証業務改善コーチング

①ロジスティクス戦略立案

③ロジスティクス業務改善

②ロジスティクスシステム企画支援

(業務BPR・設備・システム)

④ロジスティクスシステム構築コーディネート

物流機能BPR

構想企画・可視化・対策書

ロジスティクス戦略立案

物流機能要件策定・CS

・リードタイム・品質・コスト

62

物流拠点輸送経路の最適化

物流コスト削減原価改善

輸配送業務の効率化

リードタイム短縮

在庫管理精度向上作業精度向上

物流アウトソーシング

トレーサビィリティ

向上

在庫最適化/ VMI

物流業務改善効率化・標準化

最適化

輸送計画

システム企画

評価

SCMDCM改革

BPR

シミュレーション

物流コスト分析ABC/ABM

運用設計

CS向上

物流センターシステム構築

63

調達拠点 生産拠点 物流拠点 配送拠点

●物流コストとは・・・

ノード(生産/物流/配送)とリンク(輸配送)の組み合わせと考えられる

ノードにおけるコスト・・・荷役・保管コスト:人件費、賃貸料、減価償却費

リンクにおけるコスト・・・運送コスト:支払運賃(但し自社便の場合:減価償却費、人件費、燃料費)

64

プロセス1 プロセス2 プロセス3

プロセス4

プロセス4生産性:

生産性:

生産性:

生産性:

:仕掛在庫量

:モノの流れ

:業務プロセス

生産性:

平均リードタイム(サイクルタイム)

65

■倉庫内の作業効率向上とリアルタイム状況把握

■個人に依存しないオペレーションの確立⇒物流品質向上、生産性向上

■保管効率の向上

■在庫の一元管理(リアルタイム)⇒販売機会損失回避、流通在庫の圧縮

■正確なロット管理、業種に応じたトレーサビリティー管理

■物流の多様化に迅速に対応できる⇒流通加工、BTO、VMI、RFID

■物流機能の外販を推進・多様な業種に提案できる物流ノウハウ・多様な荷主システムとの容易な連携・多様な荷主要件に耐えうるWMS

物流センター

企業内SCM

取引先

物流拠点を点から線へ、そして面へ

66

庫内管理

拠点外の視点(ERP/HOST)

拠点内の視点(WMS)

工場倉庫 物流拠点 配送拠点 営業拠点

要望

要望

【ビジネスプロセスにおける在庫管理/運用への要望】対象範囲:ロジスティクスプロセス全体の管理管理内容:どの拠点にいくつ在庫があるか管理単位:引当の可否、入出荷の実績等の情報指示単位:オーダー単位の指在庫の見方:サマリー在庫、論理在庫:

【物流拠点管理における在庫管理/運用への要望】対象範囲:拠点(倉庫)内の管理管理内容:どのロケーションにどの在庫があるか管理単位:商品入荷日、納品先別出荷日、ロット指示単位:荷姿単位の作業指示在庫の見方:ロケーション在庫、現物在庫

商流在庫管理

物流在庫管理

移送中在庫 移送中在庫 移送中在庫

入荷業務 在庫管理 出荷業務

サイト管理

SCMプロセス全体の管理を実現する「2次元的な視点」

商物分離を実現するWMSへと進化

67

WM (倉庫管理)

WM(倉庫管理)倉庫内の棚を含めた実際のロケーションでの在庫管理を行います。

倉庫管理システム専用のパッケージからすると、制限が多く、自由度もあまり高くないかもしれません。 しかし、一通り基本とする倉庫の在庫管理機能をもっています。

Full WM (完全倉庫管理)

WM (Warehouse Manegement)は、倉庫

管理用というより庫内の在庫を管理するモジュールでFull WM(完全倉庫管理)とLean

WM(簡易倉庫管理)という 2つの管理方法があります。

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まずは、 Full WM から見ていきます

Full WMは、総じて自動倉庫(機械がピッキングや格納を行う倉庫のこと)や平置き、

高層棚など様々な保管域を含む複雑な倉庫施設の管理向きです。

複合型倉庫(保管域を多種類もつ倉庫)で

使用する棚番を自由に定義したり、修正したりできます。

またランダム棚番によって、複数のプラントでの在庫品目を倉庫で一括管理することができます。

これにより、各倉庫 (またはプラント)で余分な在庫を置かずに済みます。

69

クロスドッキング流通センターまたは倉庫にて、商品を保管せずに入庫から出荷まで直接仕分けする仕組みの荷捌き場のことを「クロスドッキング」と言います。

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計画クロスドッキング

2つの方法で入荷伝票と 出荷伝票をマッチングできます。

①ワンステップ・クロスドッキング として商品を1回の転送指図で入庫から出庫に転送します。

② ツーステップ・クロスドッキングとして、商品を入庫から仮保管タイプ(倉庫内の仮保管場所)。

実際の倉庫では「ステージングエリア」と呼ばれる荷捌き場を使います)に転送し、転送先の出荷伝票と共に仮保管タイプから後続の転送指図を作成します。

71

便宜的 (計画外) クロスドッキング

突発的に急遽、入荷した荷物をすべて送付先に捌き、出荷しなければならない、計画外のクロスドツキングの対応も可能です。

この場合はワンストップ クロスドッキングであ

れば伝票を発行し、突発的な指示を倉庫に出すこともできます。

この場合はワンステップ クロスドッキングのみ利用ができます。

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在庫管理

在庫管理は、在庫を数量と金額で管理します。

在庫のカテゴリ (利用可能在庫・保管在庫・保留在庫、順に自由に出庫・加工のできる在庫、時期が来たら利用可能になる在庫、処理の決まっていない在庫を意味します) と特殊在庫 (預託在庫・プロジェクト在庫等) の管理を行います。

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方針 在庫受け入れとピッキング に関する高度な方針を使用して、品目の流れを管理することができます。

在庫受け入れ方針として、不定期の在庫受け入れ (空棚番の提示)、平置保管、固定棚番または在庫追加などがあります。

ピッキング方針としては先入先出 (FIFO )、後入先出 (LIFO)、有効期限日によるピッキング、または分割数量優先などがあります。

細かい説明は省きますが、取り扱う商品の特性、形状、保管可能な期間などにより、様々に変わる保管の仕方に対応します。

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生産供給

生産供給は、生産中の製品に供給する部品類の棚番を管理することができます。 特定の作業指示のための物流加工として、梱包を行うことも可能です。

タスク リソース管理

倉庫でのタスクを管理し、実施順序を最適化します。その日に行われるべき仕事のタスクに対し、タイムスケジユールや人員配置を提示します。

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無線/バーコード対応

スキャナー付きのモバイル無線端末や、スマートデバイスを使用できます。

ミドルウェアを使わずに SAP ERPシステムから直接データを受信し、必要に応じて直ちに結果を転送できます。

バーコード標準と ユーザー定義のバーコードシステムであれば設定が可能です。

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荷役単位管理

すでにピッキングし、梱包された品目のことを、SAP ERPでは荷役単位と言います。

倉庫管理では、荷役単位を使って在庫受け入れ、ピッキング、在庫転送などの倉庫移動を処理できます。

さらに、荷役単位を倉庫に登録したり、ラベル付けをしたり、既存の出荷に合わせて ピッキングしたりすることもできます。

倉庫内およびサプライチェーン全体で、パレットなどのパッケージを一意に識別することも 荷役単位管理でできます。

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荷役単位管理

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シリアル番号

シリアル番号により、倉庫内を工場と同じように、いつ、どのメンバで加工したのかを管理することができ、何か問題が起きた時の追跡に活用します。

荷役単位管理で シリアル番号が倉庫で認識されます。

ロット番号

ロット番号は、すべてのSAP WMのプロセスに統合されており、ロット指図

による出荷、物流加工処理、出荷ピッキング、生産供給、または倉庫内処理を決めて作業を進めることもできます。

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これは返品などでロットの逆転現象が起きた時に行われます。 倉庫には先入先出と呼ばれる、先に入った荷物から出荷するというルールがあります。

これを採用している場合、返品の荷物のロットの方が 古いのに後に入庫したため、ロットの新しいものから出荷に充てられてしまいますので、これを防ぐために行います。

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危険物管理

危険物として分類された品目の多くは、ほかの商品と一緒に保管できますが、特別な扱いや、特別に設計された保管設備への受け入れが必要な品目もあります。

爆発物、重油や石油、毒物、腐食性液体、放射性物質などが含まれます。

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倉庫活動モニター

倉庫管理者による 倉庫内の作業プロセスの監視、計画、および最適化を支援します。

このほかにSAP ERPシステム全体で遅延ま

たはエラーが生じた場合、責任者に通知するツールが提供されています。

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無線(RF)モニター

倉庫全体の現在の仕事の消化率と、人員のパワ一を表示できます。

これらの概要が表示されるので、倉庫管理者は各種の作業グループ間で タスクを再配分し、

グループ内の作業の優先順位を設定することによって、作業プロセスを制御することができます。

実地棚卸

組織が所有する在庫、または倉庫内の特殊在庫に対する実地棚卸を管理します。

サポートされる実地棚卸の手順は、定期棚卸、継続棚卸、循環棚卸、抽出棚卸です。

つまり、対象在庫の品目数が少ない棚卸が対象です。

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実地棚卸

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実地棚卸の計画フエーズ

実地棚卸プロセスでは、対象品目をどの保管場所でいつ、検数するかを計画できます。

検数、測定、計量を開始する前に、在庫移動に対して在庫を ブロックします。

実地棚卸の検数フエーズ

無線LANトランザクションが、在庫検数をサポートします。

検数とは棚卸しをした際の、荷物の状態と数量とを調べることです。

結果の入力後は、差異をモニターし、必要に応じて再検数を実施することができます。

ロケーションの数量差異を転記すると、品目評価と財務会計の更新が自動的に行われます。

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実地棚卸活動の監視

実地棚卸が 報告まできちんと終了しているのか、来処理の部分と 検数だけ終わっている箇所とが どれだけあるか、これまでの棚卸の履歴を閲覧する機能があります。

品目レベル または ロケーションレベルで活動をモニターします。

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遠隔データ処理

遠隔データ処理は、無線機能を利用した スマートデバイスを使うことができる機能です。

直接SAP ERPシステムから受信して結果を転送できます。

Lean WM (簡易倉庫管理)

Lean WMは、入庫と出庫の処理にだけに使用します。

モノを移動したい時は、出荷伝票を発行し、その伝票に転送指図を付けると、転送指図は

ピッキングリストとして使うことができます。

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固定棚番とは、1コの置き場に1つの商品を登録することです。

そのため、フリーロケーションという、空いている棚に好きな商品を登録する手法が使えません。

多品種少量アイテムを取り扱う場合には、お勧めできない管理方法です。

使用するためには、ピッキングするための倉庫番号、固定棚番の保管域タイプを設定する必要があります。

倉庫番号 と 保管域タイプの組み合わせで、ピッキングエリアを登録します。

補足: 固定棚番の保管域タイプ

特性の異なる高層棚倉庫、固定棚番の倉庫、出荷場所、入庫場所などを意味します。

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