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平成30年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業 (ワークスタイル変革モデル事業調査) 調査報告書 経済産業省 御中

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Page 1: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

平成30年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業

(ワークスタイル変革モデル事業調査)

調査報告書

経済産業省 御中

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目次

本編

調査の背景と目的

調査全体の結果・考察まとめ

①現オフィススペースの活用実態の調査

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

手法

結果

考察

①-2 :現状のオフィススペースの稼働率調査by 座布団型加圧センサーデバイス

手法

結果

考察

①-3 : 調査の全体考察

②オフィスレイアウトの変更に伴う生産性の実証・分析

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築手法

結果

②-2:構築した集中空間による効果を測定する手法

結果

今後の展望・課題

1

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【背景と目的】

近年、世界では、IT機器の爆発的な普及や、AI、ビッグデータ、IoT等の社会実装が進み、 国民生活やビジネスを取り巻くデジタル環境は大幅に変化している。この変化の中で、これらの技術を戦略的かつスピード感を持って最大限活用し、我が国が国際競争力を維持・強化していくためには、既存の組織や産業の枠を超えて、社会変革を飛躍的に進めることが必要不可欠である。一方で、我が国は依然として対面、書面での手続を中心とした行政を続けている状況であり、民

間部門がデジタル化を進める中で行政部門が我が国全体の生産性のボトルネックになる懸念がある。 民間のデジタル化の動きに遅れることなく、行政もデジタル時代に即した組織・サービスとして生産性革命を行うべく、行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めていく必要がある。

このような背景の下、経済産業省では、今年度から「デジタル・トランスフォーメーションオフィ ス(DXオフィス)1 」を立ち上げ、これらの課題を解決するための仕組みについて、例えば、実証行政手続のデジタル化や省内業務の効率化に向けたシステム開発等の取組等の行政のDXを進めてきているところ。

本事業においては、これまでの取組を含め、行政機関のみならず民間企業へのDXの浸透を目

的とし、ITを活用した公務の高い生産性を実現するために資する調査・実証・分析を行う

調査の背景と目的(仕様書の再掲)

2

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1. センサーを利用した「時間」、「場所」、「業務内容」と関連付けた職員の集中度調査から、①メ

リハリのある「攻めの休み(アクティブレスト)」、②働く場所の選択肢の増加、③一人で集中する環境 の重要性が示された。

2. センサーを利用した座席の稼働率調査から、①大会議室の転用の妥当性、②6~14席の会議卓の更なる区分けの可能性、③オフィススペースの更なる有効活用の可能性が示唆され

た。

3. 集中度と席の稼働率の両データの分析を通じて、現オフィススペースにおいて十分効率的・効果的に活用されていないスペースを特定した。

4. 「Deep Think Room」の活用を通じて五感刺激の視覚・聴覚・嗅覚刺激のある環境は、何もな

い人工物に囲まれた環境に比べて集中度を促進する効果があることが実証され、加えて全要素を組合わせるとその効果は増加することが示された。

5. 「Deep Think Room」は普段仕事をしている自席に比べて、集中度が平均約15.7%増加することが実証された。これは、自席の集中度の約1.6倍である。実際の利用者の定性的な声からも集中促進効果の実感が認められた。

6. データ分析結果の個々人へのフィードバックによって、具体的に働き方を変えるための示唆を提供した。

調査全体の結果・考察まとめ

3

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これまで株式会社ジンズでは、今回踏襲する生産性向上を促す因子を特定してきた。

上記因子を前提とした、具体的な調査・検証の流れを以下に記述する。

①現オフィススペースの活用実態の調査

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査 by JINS MEME+スマートロガー

①-2 :現状のオフィススペースの稼働率調査 by 座布団型加圧センサーデバイス

②オフィスレイアウトの変更に伴う生産性の実証・分析

②-1 :既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース等を構築

②-2 :構築した集中空間による効果を測定

次ページ以降、上記①-1~②-2までを「手法⇒結果⇒考察」の流れに沿って記述する。

事業実施の基本方針、業務内容等 調査・検証の流れ

①の調査によって、現オフィススペースの十分に効率的・効果的に活用されていない場所を特定し、既存の生産性向上仮説をベースに②において集中スペース等を構築し、効果測定を実施した。

4

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①-1では、対象となる現状の執務環境においてどの程度集中できているのかを計測・分析。

その際に、

時間による因子

場所による因子

業務内容による因子

の各因子による影響を分けて、分析。

先行調査事例として2017年9月に、商務情報政策局において、

JINS MEMEと業務内容をログとして残せるスマートロガーを使った

類似の実態調査をすでに行った実績あり。

その際得られた調査結果は以下の通り。

資料作成、メール等連絡作業、に60%以上の時間を利用担当者とデータを元に、働き方改革の方向性を議論。

職員からはクリエィティブな仕事にもっと時間を割きたいとの

フィードバックあり。

「時間」、「場所」、「業務内容」の因子に分けて職員の集中度を分析するとともに、業務ごとの所要時間も分析。

JINS MEME×Smart Loggerによる集中実態調査パッケージ

業務内容ごとの業務時間比較@商務情報政策室2017年9月

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

5

Page 7: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

現オフィススペースにおいて「時間×場所×業務内容」各因子での集中度分析を行い、設置する集中スペースを「いつ」「どの業務で」活用すべきかの示唆も視野に入れて実施。

現状のオフィススペースの中で、計測の場所として

自席

会議室/会議卓

Think Lab飯田橋

を設定しそれぞれの場所における集中度を比較。

目の動きやまばたき、姿勢等から集中度を測定できるJINS MEMEを活用し、各所で集中度を計測、現行のオフィススペースの集中しにくい環境を特定。

時間による因子

業務内容による因子

を見ることによって、今回構築する集中スペースを「いつ」「どの業務に」使うべきかを検討。 場所別の集中度

時間別の集中実態

業務内容別の集中度

被験者AさんにおけるJINS MEME×Smart Logger集中実態調査結果例

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

6

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現オフィススペースにおいて「時間×場所×業務内容」各因子での集中度分析を行い、設置する集中スペースを「いつ」「どの業務で」活用すべきかの示唆も視野に入れて実施。

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

7

【参考:JINS MEMEについて】 JINS MEMEの特徴・構造JINS MEMEは、3点式眼電位センサー(特許取得済み)と6軸センサー(加速度・ジャイロセンサー)を搭載し“自分を見るアイウエア”をコンセプトにした世界初のセンシング・アイウエア。JINS MEMEで取得されたデータは、Bluetoothと連携したスマートフォンのオフィシャルアプリケーション上で可視化され、リアルタイムで装着者に届けられる。

3点式眼電位センサー 加速度・角速度(6軸)センサー

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現オフィススペースにおいて「時間×場所×業務内容」各因子での集中度分析を行い、設置する集中スペースを「いつ」「どの業務で」活用すべきかの示唆も視野に入れて実施。

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

8

【参考:JINS MEME OFFICEについて】 集中の計測方法JINS MEME OFFICEは、仕事や勉強・読書等、日常生活の中で一つの作業に没頭したい時に、自身の集中度をリアルタイムに可視化する集中度計測アプリケーション。JINS MEME の3点式眼電位センサーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと継続時間を計測します。1日の中での集中時間の総量を可視化。作業中のリアルタイムの集中状態を知ることはもちろん、カレンダーと同期し、その日の集中の量(=時間)と質(=深さ)を振り返ることも可能。

②作業中の集中状態を可視化

没頭、リラックス、市政の安定性の状態を計測し、作業

中の集中の継続時間と深さをリアルタイムに可視化す

ることも可能。

1日の集中時間の総量がリアルタイムで可視化されていきます。

①1日の集中時間を計測 ③集中の傾向を分析

カレンダーと同期し、過去の集中時間と

深さを振り返ることで、自身の集中の傾向やパターンをタ

イムラインで確認。

集中時間の総量1日を通してどれくらい集中していたのかを円の大きさで表現。理想の集中時間とされる4時間を目標に、より多くの集中時間を維持しましょう。

超集中状態の時間80ptを超える「質の高い集中=FLOW」状態が中心部の赤丸です。この理想的な集中を維持しましょう。

現在の集中度

集中が60ptを越えると、得点が表示されま

す。

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被験者14人が2週間の間、JINS MEMEとスマートロガーアプリを利用し、自身の業務について「時間」、「場所」、「業務内容」を記録。

実証実験方法

経済産業省商務情報政策局の職員から14人を選定し、2週間(月~金×2回の計10日間)の間、集中度の測定を実施。

被験者は自席/会議室・会議卓/Think Lab飯田橋等で業務を実施し、その際に、JINS MEMEとスマートロガーを利用。

タスク開始/終了時にタスク名を記録。

タスクは以下の12種類の中から選択。

【前半】

1. 自席でメール・電話

2. 自席で資料作成

3. 自席でブレスト

4. Think Labでメール・資料作成

5. 4階会議卓

6. 7階西1会議室

7. その他の会議卓/室

8. 幹部レク

9. 外勤

10. 移動

11. 休憩

12. その他

メガネ型集中力測定装置JINS MEMEと「時間」、「場所」、「業務内容」を記録するスマートロガーアプリが入ったスマートフォンを被験者全員に支給。

JINS MEME×スマートロガーによる集中度調査パッケージ

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

【後半】

1. 自席でメール・電話

2. 自席で資料作成

3. 7階集中スペースでブレスト

4. 7階集中スペースでメール・資料作成

5. 4階会議室/卓

6. 7階西1会議室

7. その他の会議卓/室

8. 幹部レク

9. 外勤

10. 移動

11. 休憩

12. その他9

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

時間帯ごとの集中の割合のデータからは、昼食時含め、終業時まで一定程度の集中が続く傾向が判明。

考察結果手法

時間ごとの集中していた割合

2% 2% 2% 1% 2% 2% 1% 1% 2% 2%

30% 27% 25% 26% 25% 23% 24% 24% 26% 26%

68% 71% 73% 72% 73% 75% 74% 75% 72% 72%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

80%~ 60~80% ~60%

※14人の2/15~2/19のデータに基づく平均値 10

執務時間中は昼食時間も含めほぼ同じ集中度で推移

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

場所ごとの集中の割合のデータからは、Think Lab(飯田橋)、自席、会議卓、という順に集中の割合が高いことが判明。

考察結果手法

4% 2% 1% 1% 1% 2%

30%

26%20% 23%

17%

26%

66%73%

80% 77%83%

72%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

ThinkLab 自席 外勤 移動 休憩

場所ごとの集中していた割合

深い集中 集中 集中していなかった比率

11

Think Lab だと自席より6%高い集中度

(約1.2倍)

会議卓

※14人の2/15~2/19のデータに基づく平均値

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

集中の項目別のデータから、全体的に「没頭」の度合いが高く、「リラックス」の度合いが低い傾向にあることが判明。

考察結果手法

12

33%

2%

16%

10%

13%

33%

57%

85%

51%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

集中の詳細な項目別の割合

80%~ 60~80% ~60%

没頭 リラックス 姿勢の安定性

高い没頭度

リラックス度が低い

一般的な他企業の平均値

※14人の2/15~2/19のデータに基づく平均値

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

各業務に費やした時間のデータから、業務時間のうち、平均約5割をメール・電話に費やしており、メール・電話、資料作成、会議で約9割を占めている。

考察結果手法

各業務に費やした時間の割合

メール・電話48%

資料作成

22%

会議16%

外勤4%

休憩3%

移動3%

ブレスト2%

幹部レク1%

その他1%

全体

478.3時間分

13※14人の2/15~2/19のデータに基づく平均値

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

各業務に費やした集中時間のデータを見ると、集中時間の内訳は前ページの業務時間の内訳と類似しており、メール・電話で約5割、メール・電話、資料作成、会議で約9割を占めている。

メール・電話51.6%

資料作成, 21.6%

会議, 13.5%

外勤, 3.6%

自席でブレスト, 3.6%幹部レク, 0.5% 移動, 1.7%

休憩, 3.5% その他, 0.6%

各業務に費やした集中時間の割合

14※14人の2/15~2/19のデータに基づく平均値

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

データ分析結果の個々人へのフィードバックによって、個々人が具体的によりよい働き方を実現するための助言を提供。

考察結果手法

ある被験者へのフィードバック(集中の詳細な項目ごとの割合)

15

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①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

ある被検者へのフィードバック(時間帯ごとの集中割合)

16

データ分析結果の個々人へのフィードバックによって、個々人が具体的によりよい働き方を実現するための助言を提供。

Page 18: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

17

ある被検者へのフィードバック(各業務に費やした時間とその時間の集中の割合)

データ分析結果の個々人へのフィードバックによって、個々人が具体的によりよい働き方を実現するための助言を提供。

Page 19: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

18

ある被検者へのフィードバック(時間帯によるリラックスできていた割合)

データ分析結果の個々人へのフィードバックによって、個々人が具体的によりよい働き方を実現するための助言を提供。

Page 20: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

時間帯によるリラックスできていた割合

19

ある被験者の声(抜粋)・パーソナライズされた分析によって自分の集中度を客観的に把握することができた。・定期的に休息をとることを意識することでメリハリのある働き方を実践し、よりパフォーマンスをあげられるよう努めてみたい。

各業務に費やした時間とその時間の集中の割合

時間帯ごとの集中比率集中の傾向

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結果のまとめ「時間」、「場所」、「業務内容」の各要素については以下のことが判明。 「時間」:昼食時含め、終業時まで一定程度の集中が続く傾向。 「場所」:現状のオフィススペースにおいて「リラックス」の度合いが低い傾向。 「業務内容」:メールや電話に多くの時間と集中力を費やしている傾向。

①-1 :現状のオフィススペースの集中実態調査by JINS MEME+スマートロガー

考察結果手法

上記を踏まえた対策

昼食時含め、終業時まで一定程度の集中が続く傾向

→昼食時等は積極的な休みを取り入れてメリハリをつけるため、「攻めの休み(アクティブレスト)」を実施。

現状のオフィススペースにおいて「リラックス」の度合いが低い傾向。

→上司や同僚が常に視界に入っている状態はリラックスの度合いが低下しやすく集中度を下げる

要因にもなり得る。

時には「Deep Think Room」を利用する等、働く場所の選択肢を増加。

メールや電話に多くの時間と集中力を費やしている傾向。

→メールは、特定の時間のみ対応する等により、受動的なタスク量をコントロールするよう意識。

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①-2では、現オフィススペースの中で、自席・会議室を含めた座席の稼働率を調査。各座席に座布団型の加圧センサーを配置し、稼働率を測定。

自席の稼働率からオフィススペースの無駄を見つけることや、フリーアドレスを設ける場合、席数をどの程度にすべきか等も考察可能。

①-2:現状のオフィススペースの稼働率調査by 座布団型加圧センサーデバイス

自席や会議室の稼働率のデータからオフィススペースを最適に活用するための方法を分析。

加圧センサ上からクッション

人が座ったら反応

座布団型加圧センサーデバイスによる稼働率実態調査

考察結果手法

21

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現オフィススペースにおいて、自席、会議室等総計248席に座布団型加圧センサーを置き、2週間(月~金×2回の計10日間)にわたり全席の稼働率データを取得。

現オフィススペースの稼働率測定箇所MAP

①-2:現状のオフィススペースの稼働率調査by 座布団型加圧センサーデバイス

考察結果手法

座席数

会議スペース

会議室7階西1 27

会議室7階東1 21

会議卓_A 7

会議卓_B 10

会議卓_C 6

会議卓_D 6

会議卓_E 6

会議卓_F 7

会議卓_G 6

会議卓_H 14

会議卓_I 9

会議卓_J 9

会議卓_K 6

自席管理職 8

上記以外 105

合計 248

22

Page 24: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

①-2:現状のオフィススペースの稼働率調査by 座布団型加圧センサーデバイス

考察結果手法

稼働率データによると、27席の「会議室7階西1」と21席の「会議室7階東1」の稼働率は平均20%代と低く、平均利用人数も5~6人であることが判明。

また、6~14席の「会議卓A~K」は平均稼働率が約30~60%代で上記会議室よりは高いが、平均利用人数が3~6人であることが判明。

さらに、自席は平均稼働率が約60%で、管理職を除けばピーク時でも約75%であることが判明。

※1:稼働率の計測対象時間帯は原則月曜から金曜までの定時時間に設定。(会議スペースが9時30分から12時及び13時から18時15分、自席が9時30分から18時15分。)

※2: 同時着座人数が最も多い時間を「ピークタイム」として定義。※3: 「利用がない時間帯の回数」の項目とは、対象時間帯を30分ごとに区切った際に、一人も着座していない時間帯の回数(2週間あたり)。

23

自席

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前ページの調査結果から①大会議室の転用の妥当性、②中規模会議室を区分けするべきとの示唆、③執務スペースの更なる効率化の余地がデータから考察できる。

稼働率データによると、27席の会議室7階西1と21席の会議室7階東1の稼働率は平均20%台と

低く、平均利用人数も5~6人で多い判明。

→稼働率が低いことからあまり使われていない会議室7階西1 と会議室7階東1 を

「Deep Think Room」や「未来対話ルーム」に転用設置することが妥当であるという考察あり。

6~14席の会議卓A~Kは平均稼働率が約30~60%台で上記会議室よりは高いが、平均利用

人数が3~6人であることが判明。

→6~14席の会議卓を3~6席の会議卓に更に区分けし稼働率が向上することで会議利用スペースの増加を図る効率化が可能。

さらに、自席は平均稼働率が約60% で、管理職を除けばピーク時でも約75%判明。

→ピーク時にも約25%の自席が使われていないという結果から、25%は平均して稼働していないことを考えれば、仕事の性質に応じてフリーアドレス化をし、自席を約25%削減し、空いたスペースを他の目的で有効活用できる可能性を検討。

①-2:現状のオフィススペースの稼働率調査by 座布団型加圧センサーデバイス

考察結果手法

24

Page 26: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

集中度と稼働率から、各スペースをマッピングすると以下の通り。集中度も稼働率も低いスペース、すなわち十分効率的・効果的に活用されていないスペースは7階西1大会議室、 7階東1大会議室、会議卓B等であることが判明。従って、上記のようなスペースから優先的に環境改善を行い、有効活用することが妥当であると考察。

①-3:全体の考察考察結果手法

20%

25%

30%

35%

20% 30% 40% 50% 60% 70%

Deep Think Room

※稼働率は、ヒアリングベース

自席

7階西1

7階東1

会議卓B

会議卓A,C,E

会議卓D

会議卓I

会議卓G

平均:44.8%

平均:28.0%

会議卓J,F,H

集中度

by J

INS

ME

ME

稼働率by 加圧センサー

(集中度42.6%)

25

転用

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②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

JINS MEMEによる既存データ分析で判明した集中を高める因子を用意すると共に、集中を促す空間を設計。

Think Lab飯田橋で実証してきた以下の集中を高める8つの因子を採用し、

7階西1大会議室に「Deep Think Room」を設計。

A. 視覚① :植物配置

B. 視覚② :光マネジメント

C. 聴覚 :ハイレゾ自然音D. 嗅覚 :集中を促すアロマ

E. 姿勢を維持し続けやすい椅子 :背筋の弱い東洋人が姿勢を維持し続けやすい造りの椅子

F. 視野の角度を変えて思考を選択できる椅子 :発散系の思考と収束系の思考を選択できる2つのタイプの椅子

G. 周辺視野にノイズが出にくい色設計 :気が散らず特別な環境を印象づけることができる黒色ベース

H. 集中を予約するシステム :各人が予定表から予約できるシステム(既存システム)

Think Lab飯田橋

考察結果手法

26

特に強い感性因子

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Deep Think Room

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

27

コンセプト概要: Deep Think Room

入室するとまず目前に草原のような緑が広がるように設計し、Deep Think Roomが特別であることを視覚・嗅覚・聴覚に訴えかけることで

個別の集中ブースに着くまでの空間体験を「集中状態へのスイッチ」としてデザイン。

机の高さまで土を連想する色とテクスチャに統一し、地面に半分潜っているかのような錯覚を与えることで思考を深めるイメージを植え付け。

机より上の面を黒とし、視界に入る情報を最小限に抑えることで集中を促進。

目線の先に植物の緑が広がるようにすることで、対面する利用者と目線が合わず、さらに集中の合間にリラックスできる空間を設計。

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「収束思考」と「発散思考」の両方をうまく使い分けできることで、より創造性の高い業務ができると考えられるため、ブースごとに視線の角度を3種類用意。

【内容】

創造性の高い業務に必要な、収束思考と発散思考は、視線の角度によって、その思考への入りやすさが変わることが分かっている。それぞれの思考に適した3種類の家具を採用し、業務内容に合わせてブースを選択する体験を設計。

①収束ブース(3席)

座ると自然と「坐骨」二点で座った状態となり、骨盤が立つ椅子を採用。視線が下を向くことで、前頭葉が刺激され、収束思考となる。短時間で集中したい場合や、ロジックチェックな業務に向いている。

②中間ブース(7席)

フィット感が高く、背筋を伸ばした体の負担の少ない姿勢へと導く椅子を採用。椅子を調整することで、どちらの思考も選ぶことができる。

③発散ブース(5席)

天板の高さや角度を調整できるデスクと、低い着座で身体を支える椅子を採用。低座・後傾の姿勢となり、自然と視線が上を向くことで発散思考となる。アイデア創出の業務に向いている。

③発散ブース

①収束ブース

②中間ブース

① ② ③

視線角度による思考への入りやすさ設計

集中スペース各ブースの椅子設置の想定

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

28

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脳神経科学の最新研究での発見

「ここ10年で特に注目を浴びたのが、『デフォルトモード・ネットワーク(Default Mode Network)』の存在。

特定の対象に意識を払わない、ぼうっとした状態およびそのような状態を司る脳の回路を指す。

我々は意識していないけど脳は機能している、といったような、いわゆる無意識下の状態における機能を説明する

神経活動として、注目を浴びた。

それに対して、積極的に思考を駆使する、意識的な注意を向けている状態および脳回路が、『セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(Central Executive Network、中央実行ネットワーク)』。」引用:「人間の脳の信号はゼロイチではない。脳の可能性を知ればシンギュラリティを超えた世界が見えてくる」 DAncing Einstein CEO 青砥瑞人氏

アイデアを出しやすい脳の状態:デフォルトモードネットワーク

「このデフォルトモードネットワークは「何もしていないとき」にもっとも活性化。

『リラックスして頭を空っぽにした時、思いもよらないアイデアが湧く』というのは、この回路が働いて脳が広い視野

で働くからだ。要するにデフォルトモードネットワークが働くと、エンジンがアイドリングしているような状態になるの

である。ゴムをきりきりと引っ張っていくと強い力が出るけれども、伸び切ったゴムはいつか切れてしまうだろう。同じように人間も、頑張ることには限度がある。

(中略)脳のデフォルトモードネットワークが起動するようにしてやるーそれが「安心」を与えるということだ。」引用: 「加賀屋さんに教わった おもてなし脳」 茂木 健一郎

発散⇔収束思考と身体

『収束』 :意識的注意を向け、ロジカルシンキングしやすい状態

→下を見て、視界を限定し意識的注意を作りやすくすることで、セントラルエグゼクティブネットワークを活性化

『発散』:無意識状態を作りアイデアが出やすい状態

→上を見て姿勢も楽にし、緊張を緩和しリラックス状態を作ることで、デフォルトモードネットワークを活性化

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

【参考】

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人間の五感全体の中で情報取得の87%を司っている視覚への良い影響が想定される「植物の最適配置」と「光マネジメント」を導入し、集中をサポート。

◆視覚①:植物の最適配置

【内容】

入口を入ると一面に草原のような緑が広がり、他の執務空間とは明らかに異なる空間に入ることで、適度な緊張を感じ、集中へ入りやすくなる。

着席をすると正面の植物が視野に入り、リラックス効果が高まるとともに、対面する利用者の視線が遮られ、深い集中を得ることができる。

【参考】

豊橋技術科学大学松本名誉教授が2013年8月日本建築学会で発表した「観葉植物が居住者の生理・心理反応及び知的生産性に及ぼす影響に関する研究その4照度及び緑視率の影響」という論文の中で、人の視界に入る植物の割合を「緑視率」とし、その割合が増えることで心理的リラックス効果が高まるという研究結果を報告。Think Labでの実験においても、植物の最適配置が集中力を向上させるという結果が出た。(右図参照)

構築された集中スペースの植物

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

8.0%

UP

植物あり 植物なし

植物の集中力への寄与度

30

52.4%

44.4%

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人間の五感全体の中で情報取得の87%を司っている視覚への良い影響が想定される「植物の最適配置」と「光マネジメント」を導入し、集中をサポート。

◆視覚②:光マネジメント

【内容】

太陽の光を元に生活のリズムを 整えてきた人類にとって、光は体調のバロメータ。脳にある中枢時計に影響を与える光を自然光に近いバランスで調整(調光・調色)することで、体内時計を整え、明日の集中をサポート。

※今回の調査において設計したDeep Think Roomでは、設備条件等の関

係上、導入しておりません。

【参考】

Think Labで行った実験では、光マネジメントを実施した翌日と光マネジメントなし(蛍光灯)の翌日で、集中していた割合を比較したところ、光マネジメントを実施した方が8.2%集中力が向上していた、という結果も出ている。(右図参照)

光マネジメントの日時変化と体内時計の調整

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

35%

45%

55%

光マネジメント有りの次の日

光マネジメントなしの次の日

8.2%

UP

光マネジメントの集中力への寄与度

31

48.5%

40.3%

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聴覚についても、ハイレゾ音源を使用し、空間全体の音響を最適に設計することで、より自然界に近い環境を再現でき、集中やリラックスを促進。

◆聴覚:ハイレゾ自然音

【内容】

専用スピーカーを設置し、森・川・波の「ハイレゾリューション音源(以下:ハイレゾ音源)」と呼ばれる広帯域で高音質の自然音源を再生。

人が耳で聞き取れる音はおよそ20Hzから20kHzの周波数の音といわれており、この可聴領域をもとに、CD等の音源では周波数の上限を約20kHzに設定。

しかし、自然界の音は可聴領域を超える周波数の音が含まれており、人はそれを無意識に体で感じている。そこで、ハイレゾ音源では、48kHzの音域までを含むことで、非可聴成分を豊富に含んだ自然界により近い自然音の再生を実現。こうした自然音が脳や自律神経に作用し、高いリラックス効果や集中効果を実現。

間接音による3次元の音像が空間全体を包み込むことで、音が空間に自然に溶け込み違和感なく存在するような空間音響設計を実施。 こちらも高いリラックス効果や集中効果を実現。

【参考】

Think Labでの実験においても、ハイレゾ自然音が集中力を向上させるという結果が出ている。(右図参照)

間接音により空間全体を自然に包み込む音響設計

ハイレゾ音源を使った空間全体の音響設計

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

2.6%

UP

ハイレゾ自然音の集中力への寄与度

音あり 音なし

32

47.0%

44.4%

Page 34: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

入口付近でアロマを香らせることで「集中するための空間に来た」というマインドセットを作る。また、集中を予め予約するUXを提案。

◆嗅覚:アロマ

【内容】

入口付近に業務用アロマディフューザーを設置し、 100%天然のアロ

マを空間に広げる。

香りと記憶は密接に結びついているため、利用者がこの空間を何度か利用するうちに、このアロマが「集中空間の香り」として記憶される。それにより、Deep Think Roomに足を踏み入れた瞬間に

自然と集中へのスイッチが入る。

【参考】

Think Labでの実験においても、集中を促すアロマが集中力を向上させる

という結果が出ている。(右図参照)

アロマディフューザー

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

5.0%

UP

集中を促すアロマの集中力への寄与度

33

49.4%

44.4%

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◆集中を予約するUX

【内容】

JINS MEMEの集中力を測定する専門アプリSmart Loggerにおいて、業務内容を業務に入る前の時点で宣言をしてから利用している利用者は、その他の利用者に比べて集中度が顕著に高いことが判明済。そのため、Deep Think Roomは事前に予約をしてから利用するUXを導入。

【参考】

JINS MEMEユーザーのデータを基に分析を

行ったところ、事前に集中することを決めて

から行うと集中度が高くなることが判明。

(右図参照)

作業前に集中を予約することによる集中率向上効果

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

34

入口付近でアロマを香らせることで「集中するための空間に来た」というマインドセットを作る。また、集中を予め予約するUXを提案。

Page 36: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

Deep Think Room

35

JINS MEMEによる既存データ分析で判明した集中を高める因子を用意すると共に、集中を促す空間を設計。

Page 37: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

★スイッチゾーン

ここが安全で未来志向の場であることを体感できる空間。日常業務のルールや規範にとらわれず、役職等も外せる空を提案(茶室、クリーンルーム、・・・)。イベント時には受付にもなる。

★未来年表

この空間の象徴ともなるヴィジョンマップ。内から外、現在から未来につながっている。参加者によって書き加えたり、シナリオを増やしたり等、アップデートが可能。

★ダイアログパーク

40名程度のセミナーやワークショップが可能。ホワイトボードや付箋、模造紙、レゴ等、さまざまなクリエイティブプロセスをサポートするツールが用意。すべて可動式で参加者によって自在に空間(場)をつくりだすことが可能。

★スイッチゾーン

★未来年表

★ダイアログパーク

コンセプト概要 :未来を共創するフューチャーラボ。

• 霞が関の中央かつ未来の都市に開かれた共創の場。

• 官民の合同セッションや若手による未来シナリオづくり、他省庁との連携した未来ビジョンや戦略づくりを行うための空間。

• 「未来年表」をはじめ、デザイン思考やシナリオプランニング等、世界有数のツールやネットワークを集積。

• 常に外部から新鮮な情報がもたらされ、様々な関係性からイノベーションの種が生まれる空間を提案。

36

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対話のきっかけとなる仕掛けを設置し、状況に応じてレイアウト変更が可能な仕様にすることで、コミュニケーションを誘発するオープンな空間を実現。

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

未来対話ルーム

37

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コンセプト概要:互いの会議スペース・各自の自席に可能な限り声が漏れないよう配慮した会議スペース。防音に配慮した設備・レイアウト面での工夫を凝らすことで、会議と個人作業が共に最適な環境で行える空間を構築。

ポイント①法規確認に基づいた、間仕切り設置プラン。上から1、2番目の部屋は、床から天井までのフルクローズドな空間を設置。

ポイント②クローズドな会議スペースと自席との空間を仕切るレイアウトプラン。

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

38

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防音面に配慮し、会議を快適に行える空間を構築。

②-1:既に実証済みの生産性向上仮説を元に、集中スペース他を構築

考察結果手法

39

会議室・卓

Page 41: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

②-2では、今回実際に構築する空間において、特に集中に関する効果測定を実施。前述した、影響度が高いと予想される集中の因子の検証を中心に進めた。

A. 視覚① :植物の最適配置

B. 視覚② :光マネジメント

C. 聴覚 :ハイレゾ自然音

D. 嗅覚 :集中を促すアロマ

しかし、この検証をしていくうえで、重要となるのは、

各因子の影響

全因子での影響

を分けて、両方を検証対象とすること。これを分けずに検証してしまうと、それぞれの効果が分からず、今後さらに高めていくべき因子を特定できない。

その背景から、Deep Think Room構築後の「全因子の影響」の測定だけでなく、各因子による各々の効果測定を実施。具体的には、Deep Think Room構築時に飯田橋のThink Lab内に仮設でDeep Think Roomと同じスペースを作り、実験を実施。

②-2:構築した集中空間による効果を測定する

今後の再現性を考慮すると、各因子の集中度への影響を分析していくことが重要となるため、集中度を上げる因子を「各因子の影響」「全因子での影響」に分けて検証。

考察結果手法

40

Page 42: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

集中空間の測定に関しては、前述の通り、二つの測定が必要となる。

A. 視覚① :植物配置

B. 視覚② :光マネジメント

C. 聴覚 :ハイレゾ自然音

D. 嗅覚 :集中を促すアロマ

各因子の影響

Think Lab飯田橋において、仮設のDeep Think Roomを

作成し、そこで各因子ごとの集中度への影響を検証。

(次ページにて、実験の詳細を記述。)

全因子での影響

Deep Think Roomにおいて、

集中度合をJINS MEMEとスマートロガーで測定。

①-1で測定した自席でのデータ等との比較を行う。(実証方法は、①-1と同様なので、詳細割愛。)

構築予定の集中スペースのイメージ図②

Think Lab飯田橋に仮設する実証用集中スペース

②-2:構築した集中空間による効果を測定する考察結果手法

41

今後の再現性を考慮すると、各因子の集中促進度を分析していくことが重要となるため、集中を上げる因子を「各因子の影響」「全因子での影響」に分けて検証。

Page 43: 経済産業省御中 年度経済産業省デジタルプラットフォーム構 …サーと6軸センサーで「没頭」、「リラックス」、「姿勢の安定性」の状態を計測し、自身の集中度の深さと

実証期間との兼ね合いから、Think Lab飯田橋にDeep Think Roomを仮設し、実験後にそのまま経済産業省へ移設。

以下の各因子の集中の促進効果を測定するために、被験者のデータを以下の条件で比較。

A. 視覚① :植物の最適配置 ⇔ 植物なし

B. 視覚② :光マネジメント ⇔ 通常の蛍光灯

C. 聴覚 :ハイレゾ自然音 ⇔ 音なし

D. 嗅覚 :集中を促すアロマ ⇔ 香りなし

②-2:構築した集中空間による効果を測定する考察結果手法

42

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実証実験プロトコル

一般の方から被験者を集め、 10人ずつ各2日の実験を2回実施。(これまでの実証で、曜日による影響が大きいことが分かっているため、同じ曜日(土曜と日曜)で比較。)

作業内容は45分/回 程度、飽きが来ずに続けられるSPI問題を解くという内容。

各要素の中で、光マネジメントだけは特性上、次の日以降に効果がでることが予想される要素であるため、1週目の2日目と2週目の2日目の全体データで比較。 (光マネジメントの効果は、体内時計の正常化にあり、その効果は睡眠の深さ等に影響が高いため、光マネジメント実施した場合としない場合の、双方の次の日を比較する必要があった。)

②-2:構築した集中空間による効果を測定する考察結果手法

各要素ごとの寄与度評価のための実験プロトコル

43

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集中促進効果が見込まれていた五感刺激の各要素のある環境は、何もない人工物に囲まれた状況に比べて集中を促す効果が出ており、さらに全要素込みの場合、その効果が増大することが分かった。

②-2:構築した集中空間による効果を測定する考察結果手法

8.2%

UP

各要素ごとの寄与度評価(要素ごと) 【参考】各要素ごとの寄与度評価(光マネジメントの有り無し)※今回は導入なし

53.2%52.4%

49.4%

47.0%

44.4%

40%

45%

50%

55%

全要素込み 植物 アロマ 音 無し

8.8%

UP

48.5%

40.3%

35%

45%

55%

調光有りの次の日 調光無しの次の日

44

8.0%

UP

5.0%

UP

2.6%

UP

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②-2:構築した集中空間による効果を測定する考察結果手法

【参考】 集中促進効果が見込まれる各要素の寄与度の算出方法

実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 実験6 実験7 実験8 実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 実験6 実験7 実験8

全要素

込みアロマ 音 植物 無し 無し 無し 無し

全要素

込みアロマ 音 植物 無し 無し 無し 無し

集中割合

(60点~)43.6% 43.2% 39.1% 40.3% 48.5% 46.0% 42.4% 36.9% 43.2% 31.8% 26.9% 27.4% 41.9% 37.4% 34.4% 30.8%

土曜 日曜

集中割合 45.2% 55.4%

集中割合(曜日変

数割り戻し後)53.4% 52.9% 47.9% 49.4% 48.5% 46.0% 42.4% 36.9% 53.0% 39.0% 33.0% 33.6% 41.9% 37.4% 34.4% 30.8%

1回目 2回目 3回目 4回目 全ての要素が無い状態での1回あたりの下落率: 3.7%

53.2% 49.5% 45.8% 42.1% ← 各回ごとの疲れ効果:3.7% (右記、2/17がすべての要素を抜いた状態での下落率なので、ここがプレーンな疲れ効果の下落率と想定)

100% 93.1% 86.1% 79.2% ← 上記の効果を1回目を100%とした場合の下落率に換算

集中割合(曜日変

化、疲れ効果割り

戻し後)

53.4% 56.8% 55.6% 62.5% 48.5% 49.4% 49.2% 46.6% 53.0% 41.9% 38.3% 42.4% 41.9% 40.2% 40.0% 38.9%

全要素込

みアロマ 音 植物 無し

調光有り

の次の日

調光無し

の次の日

53.2% 49.4% 47.0% 52.4% 44.4% 48.5% 40.3%

2019年2月17日(日曜)2019年2月9日(土曜) 2019年2月10日(日曜) 2019年2月16日(土曜)

曜日変数の

割戻し

時間による疲れ効

果の割り戻し

調光あり 調光無し

条件

45

123% ← 日曜/土曜の13~18時の集中割合

JINS MEME総ユーザーの2018/10/8~2019/1/31データ内の土日の13時~18時の平均値から算出

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場所ごとの集中度では、自席で平均約26.9%であるのに対し、Deep Think Roomでは平均約

42.6%であり、平均約15.7%の上昇が実現。これは、普段仕事している自席での集中度の約1.6倍である。

②-2:構築した集中空間による効果を測定する@経産省考察結果手法

4.1% 1.4% 1.2% 1.7% 1.6% 3.1%

38.5%

25.5% 26.0% 26.5%20.4%

29.6%

57.4%

73.1%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

Deep ThinkRoom

自席 4階会議室/卓 外勤 移動 休憩

場所ごとの集中していた比率

深い集中 集中 集中していなかった比率

+15.7%

46

普段仕事している自席での集中度の約1.6倍である。

※14人の3/11~3/20のデータに基づく平均値

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低いパーテーションによって区切られていた会議卓C~Eを個室の会議室に変更したところ、集中度が平均約6.9%向上していることが判明。

②-2:構築した集中空間による効果を測定する@経産省考察結果手法

会議卓(室)C~Eの集中度合

0.5% 1.2%

19.8%26.0%

79.7%73.1%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

半オープンの会議卓 個室会議室

深い集中 集中 集中していなかった比率

+6.9%

47※実験期間中に会議室C~Eを利用した被検者の2/15~2/19のデータと3/11~3/20のデータの平均値の比較

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②-2:構築した集中空間による効果を測定する@経産省

以上のようなデータをもとにしたオフィススペースの変革は、定量的な分析結果だけでなく、実際の利用者アンケートによる定性的な分析結果からも高い価値があると考察できる。

Deep Think Roomの利用職員コメント

確かに集中力を高く保ちつつ、クリエイティブな作業ができた。BGMもとても良かった。静かすぎる空間も五月蠅過ぎる空間も集中力の妨げになるが、丁度よい塩梅の軽音は逆に集中力が増す気がした。「没入感」が最高だと思う。自席にいると、意識してなくても周りにアンテナを向けてしまって、注意の何割かは取られている気がするが、Deep Think Roomはそれが全くないので、100%目の前の仕事に集中できる。

香りの効果、音の効果を大変感じる。集中し始めるとさえぎられることがないので、長く集中できる。「この資料を読み込む」等、2時間で行う業務の目標を明確にしてからDeep Think Roomに行くとより効果がでるように思う。

予約制なので目的をもって使えることや食事をしたり電話をしたりする人がいないため緊張感を維持できることから、集中力を高めるのに効果があったと実感する。

電話も鳴らず話し声もしないので、非常に集中できる。

自席だとどうしても人の目が気になるが、Deep Think Roomは、声をかけられることがないので非常に集中できる気がした。

「没頭」という表現が近いかもしれない。個室にいるときのような安心感がある。

香りと鳥の囀り等によって、無音のシンとした空間よりも作業に集中できると感じた。さらに、「何を何時までに仕上げる」という目標設定をもってDeep Think Roomを利用することで、作業への集中度を上げられたと思う。自席だとブラインド等を自由に操作できないが、Deep Think Roomは外の景色も目に入り、目線を上げて開放的な気持ちにもなれるのもよい。

手法

48

考察結果

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未来対話ルーム利用職員のコメント

今まで打ち合わせをすると言ったら会議室か会議卓の2択しかなかった。例えばランチミーティングのようなフランクなコミュニケーションや忌憚のないフリーディスカッションをしたい時も普通の会議室で行っており、結局かっちりとした会議になってしまうことが多々あった。しかし、先日、未来対話ルームで意見交換会を行ったところ、靴を脱いでリラックスした雰囲気の中で忌憚のない意見交換ができたので、とてもよかったと思った。

これまでにない開放的な空間で事業者との打合せをしたことで、打合せ開始前から参加者に高揚感が見られた。実際の打合せでは、開かれた空間、程良く近い距離感、砕けた雰囲気が、双方向の意見交換を可能にしたのではないかと感じた。

靴を脱ぐ、緑の絨毯に乗る、円形になって議論する等、普段と違うスタイルで議論を行うことにより、より開放的な心境になり、いつもよりも役職を意識せず「フラットに」議論を行うことができた。意見も活発にできた。

4階会議室利用職員のコメント

個室になったことで外部の方との打ち合わせ等の機密性の高い打ち合わせをしやすくなった。

今までは隣の会議卓の声が聞こえることもあり打ち合わせに集中しにくかったが、個室になったことで打ち合わせに集中できるようになった。

今まではやや騒々しい雰囲気の中で打ち合わせをすることが多く、打ち合わせの際に声を張ることもあったが、個室で静かな空間で打ち合わせができるようになり、声を張る必要がなくなった。

49

手法 考察結果

以上のようなデータをもとにしたオフィススペースの変革は、定量的な分析結果だけでなく、実際の利用者アンケートによる定性的な分析結果からも高い価値があると考察できる。

②-2:構築した集中空間による効果を測定する@経産省

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本調査の意義、今後の課題、展望

◆本調査の意義

今回の調査は、データに基づいたオフィススペースの設計により生産性の向上に寄与した点で、ワークスタイル(働き方)分野におけるデジタル・トランスフォーメーションである。

特に①データの活用による生産性向上と②オフィススペースの変革による生産性向上の2点において新しい試みであった。

また、一般的に効果測定が難しいとされてきたワークスタイル(働き方)分野において、定量的な効果測定を行ったことで、従来のワークスタイル(働き方)改革に一石を投じた試みとなった。

さらに、実際の職員が被験者となり、実際の業務の中でありのままのデータを採取したことで、実態に即した分析と

なった点も有意義であった。

50

◆本調査の意義

デジタルト・ランスフォーメーションを官民で推進していく中で、データの評価に基づいた生産性向上は極めて重要である。

しかし、現状として多くの官公庁・民間企業では、ワークスタイル(働き方)の見直しにおけるデータの利活用やオフィススペースの変革の必要性についての認識が低い傾向にある。

したがって、本調査を通して得られたような成果を世の中に示し、ワークスタイル(働き方)分野においてもデジタル・トランスフォーメーションを推進する環境や世論を醸成していく必要がある。

具体的には、今後、生産性向上のための評価手法を世の中に広く展開していくと共に、各官公庁・民間企業が評価

に基づいた職場改善等をサポートをする仕組みが必要となる。

また、今後、生産性向上への影響がより高い因子を特定していくことも重要である。例えば、職種や家族構成といった他の要素と生産性の関係等も調査を進めていくことで、多様な個々人にとってより最適なワークスタイル(働き方)を見出すことも期待される。