経済産業省産業保安グループ製品安全課御中 - …平成30年度...

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平成30年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 (リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査) 調査報告書 2019年3月15日 経済産業省 産業保安グループ 製品安全課 御中

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平成30年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査)

調査報告書

2019年3月15日

経済産業省 産業保安グループ 製品安全課 御中

Page 2: 経済産業省産業保安グループ製品安全課御中 - …平成30年度 産業保安等技術基準策定研究開発等事業 (リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査)

目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1.海外における規制動向調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1.2 海外における規制動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 1.3 海外における規制動向のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76

2.BMSに関する技術動向調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78 2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 2.2 BMSの役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 2.3 BMSの要素技術、および最新動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97 2.4 BMSの技術動向調査 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 111

3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113 3.1 調査対象基準・規格一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113 3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約

と電気用品安全法における技術基準との比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125 3.3 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査 まとめ ・・・・・・・ 172

まとめと今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 174

1

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【はじめに】

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リチウムイオン蓄電池(以下LiBという)については電気用品安全法の対象とされている一方で、スマートフォンやノートPCのようなリチウムイオン蓄電池が搭載された電気機器(以下、LiB搭載機器という。)については電気用品安全法の規制対象では無いが、近年、LiB搭載機器の事故報告事例が増加傾向にあるため、事故対策として、LiB搭載機器を電気用品安全法の規制対象に追加することも視野に入れた検討を進める必要がある。

こうしたLiB搭載機器の規制対象化にあたっては、適合すべき技術基準の設定が必要となるが、事故に至る原因としては、リチウムイオン蓄電池自体の問題のみならず、LiB搭載機器側のバッテリーマネジメントシステム(以下、BMSという)の不具合などLiB搭載機器にも原因があるとされているため、既存のリチウムイオン蓄電池の技術基準に加え、LiB搭載機器としての電気用品安全法技術基準の追加を検討する必要がある。

このため、本事業ではこうしたLiB搭載機器の技術基準の検討に寄与することを目的とした調査を実施した。

【はじめに】事業目的

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【はじめに】事業目的

事業目的(整理)

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<事業目的(整理)>

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【はじめに】事業内容および実施手法

(1) 海外における規制動向調査

海外の各国政府や国際機関などが策定したLiB搭載機器の安全性に関する規制について根拠法令や規制対象範囲などの詳細の動向について調査する。また、併せて、規制制定の背景となった、あるいは今後、影響を及ぼす可能性のある事故事例についても調査した。

調査対象国/機関としては、アメリカ、カナダ、EU諸国、韓国、中国、台湾、インドおよび国連を含む10か国/機関程度を、事故事例としては少なくとも直近10年分の事故事例を、調査した。

また、調査の実施方法としては、インターネット等を通じて公表されている資料や文献調査とした。さらに、規制に動向や独自の取組みが見られると考えられる国/機関に対し、直接当局へのインタビューを行った(2か国5機関)。また、海外規制に詳しい国内企業1社へのインタビューを行った。

(2) BMSに関する技術動向調査

LiB搭載機器が事故に至る原因としては、リチウムイオン蓄電池自体の問題のみならず、機器側のBMSの不具合によってリチウムイオン蓄電池に過大な負荷がかかるためとの指摘もあるところ、技術基準検討の基礎資料とするため、こうしたBMSの構造原理などの技術動向について調査した。

調査の実施方法としては、インターネット等を通じて公表されている資料や文献調査とした。さらに、直接、事業者3社並びにBMSに詳しい有識者2名へのインタビューを行った。

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【はじめに】事業内容および実施手法

(3) LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査

海外におけるLiB搭載機器の安全性確保のために適合性確認が求められる基準や規格について、それらの概要を要約するとともに、電気用品安全法における技術基準と比較し、両者間の技術的な差異・類似点をまとめる。

基準・規格としては、IEC、ANSI、EN、GBなどの国際規格および国家規格等に加え、UL、IEEEなど影響力の大きい団体規格も含めた15規格程度について調査する。

また、調査の実施方法としては、対象となる規格等を購入し、内容の解釈について発行元1社への問い合わせを行った。

(4) 委託調査報告書の作成

上記(1)~(3)の調査結果について本委託調査報告書として取りまとめた。

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【1.海外における規制動向調査】

1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

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【1.海外における規制動向調査】1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

(1) 事故事例情報の収集 以下の事故情報データベースを対象に、直近10年分(2008年1月1日~2018年9月30日)の事故事例の調査を行っ

た。

上記の事故情報データベースを対象として、「lithium」をキーワードに情報を抽出した結果を次頁に示す。

データベース等(分野:国等) データベース等の概要 データへのアクセス方法

事故情報の検索(製品事故:国際)

・OECDが提供している世界のリコールに関する情報検索ページ(https://globalrecalls.oecd.org/front/index.html#/recalls)。

当該ホームページから、無料でリコール情報にアクセスすることが可能である。

事故情報の検索(製品事故:欧州)

・欧州委員会が提供している、欧州31カ国で消費者の健康と安全に危険をもたらす危険な製品(食品以外)に関する警告システム。(https://ec.europa.eu/consumers/consumers_safety/safety_products/rapex/alerts/?event=main.search)

当該ホームページから、無料でリコール情報にアクセスすることが可能である。

事故情報の検索(製品事故:米国)

・米国の消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Products Safety Commission)が提供している米国内のリコールに関する情報検索ページ。(https://www.cpsc.gov/Recalls)

当該ホームページから、無料でリコール情報にアクセスすることが可能である。

事故情報の検索(製品事故:豪州)

・豪公正取引委員会(ACCC:Australian Competition and Consumer Commission)が提供している豪州内のリコールに関する情報検索ページ(https://www.productsafety.gov.au/products)。

当該ホームページから、無料でリコール情報にアクセスすることが可能である。

<事故情報データベース>

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20

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30

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40

45

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

LiB搭載機器のリコール件数(2008年1月~2018年9月) OECD EC

米国 豪州

【1.海外における規制動向調査】1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

(2) 事故事例の動向 OECDの集計では、2014年から増加し2016年にピーク(43件)を迎え、その後減少に転じている。

ECの集計では、直近10年は5件以下で推移しており、現在も発生している。

米国の集計では、2015年までは5件以下で推移し、2016年に急増(21件)、その後減少に転じている。

豪州の集計では、2012年に急増(8件)したが、それ以外は5件以下で推移している。

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【出典】OECD:Global Recalls Portal(2018年11月1日閲覧)、EC:Rapid Alert System(2018年11月1日閲覧)、CPSC:Recall List(2018年11月21日閲覧)、 ACCC:Recalls(2018年11月21日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

中国・強制製品認証実施細則発行CQC-C0801-2014(音響映像機器)CQC-C0901-2014(情報技術機器)CQC-C1601-2014(通信端末機器)

中国・強制製品認証実施細則改訂CQC-C0801-2016(音響映像機器)CQC-C0901-2016(情報技術機器)CQC-C1601-2016(通信端末機器)

AS/NZS 4417.2:2009発行

AS/NZS 4417.2:2018発行

欧州指令2014/35/EU(低電圧指令(LVD))発行

IEC62368-1第1版発行(2010)

IEC62368-1第2版発行(2014)

IEC62368-1第3版発行(2018)

AS/NZS 4417.2:2012発行

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【1.海外における規制動向調査】1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

(2) 事故事例の動向

OECDの集計では、品目別では、ノートPCが最も多く、次いで電動乗物(電動立ち乗り二輪車)、外付けバッテリーパックとなっている。

電動乗物は2016~2017年のみリコールが発生している。

10

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 合計

スマートフォン 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1

ダッシュボードカメラ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1デジタルカメラ 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2ノートパソコン 1 1 1 1 0 1 2 5 10 4 3 29ハンドランプ 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0 0 6ヒーター付手袋 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2ヒーター付上着 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1フッドミキサー 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1ホームモニター 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1ラジオ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1音響機器 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1外付バッテリーパック 0 0 0 2 0 1 1 2 5 3 2 16携帯発電機 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 3自転車用ライト 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2電気かみそり 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1電気スタンド 0 0 0 0 0 0 1 1 2 0 0 4電気芝刈機 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1電気乗物 0 0 0 0 0 0 0 0 13 10 0 23電子たばこ 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1電動アシスト自転車 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1電動式おもちゃ 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1電動式ローラーシェード 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1電話会議用電話 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

合計 4 1 1 5 2 4 8 11 39 19 7 101

<OECD集計による品目別のリコール件数(2008年1月~2018年9月)>

【出典】OECD:Global Recalls Portal(2018年11月1日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

(2) 事故事例の動向

米国の集計では、品目別では、電動乗物(電動立ち乗り二輪車)が最も多く、次いでノートPC、外付けバッテリーパックとなっている。

電動乗物は2016~2017年のみリコールが発生しており、OECDの集計と同様の傾向となっている。

11

<米国における品目別のリコール件数(2008年1月~2018年9月)>

【出典】CPSC:Recall List(2018年11月21日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 合計

スマートフォン 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1

ノートパソコン 1 1 0 1 0 1 1 1 3 3 2 14ハンドランプ 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 3ヒーター付手袋 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1ヒーター付上着 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1音響機器 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1外付バッテリーパック 0 0 1 1 0 1 0 2 2 0 0 7携帯発電機 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1自転車用ライト 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2電気スタンド 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1電気乗物 0 0 0 0 0 0 0 0 11 10 0 21電動アシスト自転車 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 2電動式おもちゃ 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1電動式ローラーシェード 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1電話会議用電話 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

合計 5 1 1 4 0 4 2 5 21 13 2 58

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【1.海外における規制動向調査】1.1 LiB搭載機器の事故事例の動向

(2) 事故事例の動向

豪州の集計では、品目別では、ノートPCが最も多く、次いで映像機器、ハンドランプとなっている。OECDや米国で多く集計されている電気乗物(電動立ち乗り二輪車)は0件となっている。

映像機器はいずれも、同一の製造者によるポータブルDVDプレーヤーである。

12

<豪州における品目別のリコール件数(2008年1月~2018年9月)>

【出典】ACCC:Recalls(2018年11月21日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 合計

デジタルカメラ 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1

ドローン 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1ノートパソコン 1 0 1 0 0 0 2 2 1 0 0 7ハンドランプ 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 3フッドミキサー 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1ラジオ 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1映像機器 0 0 0 1 5 0 0 0 0 0 0 6音響機器 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 2外付バッテリーパック 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 2携帯発電機 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 2電動式おもちゃ 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1電話会議用電話 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

合計 4 0 1 1 8 1 3 2 5 3 0 28

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1.2 海外における規制動向

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(1) 海外における規制動向調査

国等 著者、発行・実施機関等 分類 文献・文書名等

米国 労働安全衛生局 (OSHA) 基準・規格の採用

・米国連邦政府は、国としての安全認証制度を制定しておらず、強制力のある製品安全認証制度は存在しない。・OSHAは、民間の試験機関をNRTL(Nationally Recognized Testing Laboratories)として認定している。代表的なNRTLにUL、CSA(カナダ規格協会)等がある。

消費者製品安全委員会(CPSC)

消費者保護規制当局

・1972年施行の消費者製品安全法(Title 15, United States Code, Chapter 47, Sections 2051-2089)により設立された、連邦政府とは独立して活動を行う機関。

・電気用品を含む消費者製品を対象に安全性を監督し、安全基準や規制、ガイドラインを策定している。

米国規格協会 (ANSI) 規格協会 ・米国の規格協会。・独自の規格開発は行っておらず、民間規格等を採用しANSI規格としている。例えばANSI C18.3M, Part 2-

2017(LiBを含むポータブル電池)、ANSI/ISA 12.12.01(情報技術機器)、ANSI/CAN/UL 8139(電子タバコ)等の規格を策定している。

米国防火協会 (NFPA) 規格協会 ・NFPAは電気配線・電気設備設置規定NFPA70を作成しており、National Electrical Code(NEC)とも呼ぶ。

・電気使用により発生する危険性に対し、人および財産への実効性ある保護を確立する目的で定められており、UL規格はNFPA70を基礎として作成されている。

Underwriters Laboratories (UL)

民間規格 ・米国の民間試験機関。・LiBに関する規格、UL 991 & UL 1998(バッテリー・マネジメントシステム)、UL1604(情報技術機器)、

UL1642(リチウム一次・二次バッテリーセル)、 UL 2054(家庭用および商用、ポータブルバッテリー)、 UL 2595(電動工具用)、UL8139(電子タバコ)、UL 9540(蓄電システム)等の規格を規定している。

・なお、UL1604はANSI/ISA 12.12.01、UL8139はANSI/CAN/UL 8139として採用されている。

米国試験材料協会(ASTM) 民間規格 ・米国の標準化団体。・工業材料や試験方法に関する国際規格、ASTM規格を発行しており、無人航空機(UAV)に関する規格、

ASTM Standard F2910-14(小型無人航空機の設計・製作)、ASTM Standard F3005-14a(小型無人航空機のバッテリー)を規定している。

カナダ カナダ規格審議会(SCC) 基準・規格の採用

・カナダ政府は米国と同様、国としての安全認証制度を制定しておらず、強制力のある製品安全認証制度は存在しない。

・カナダの電気用品の安全は、SCC(カナダ規格審議会)認定の試験機関が認証している。認定試験機関にはCSAやUL等がある。

カナダ規格協会(CSA) 規格協会 ・カナダの規格協会。・米国規格との相互認証を行っており、UL、ANSI、IEC規格に準拠した試験・認証等を行っている。

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<調査対象の政府機関、業界団体の一覧>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(1) 海外における規制動向調査

国等 著者、発行・実施機関等 分類 文献・文書名等

欧州 欧州連合(EU) 指令 ・欧州指令2014/35/EU(通称「低電圧指令(LVD:Low Voltage Directive)」)、2014/53/EU(通称「無線機器指令(RED:Radio Equipment Directive)」)。

・低電圧指令は、EU市場で流通している交流50~1000Vあるいは直流75~1500Vの電圧範囲で使用す

るように設計された電気機器に適用される規制で、健康や安全を脅かすリスクを持つ電気用品の安全性を確保することを目的としている。

・無線機器指令は、EU市場で流通している無線通信、および/または電波の伝搬特性に基づく、物体の位置、速度および/またはその他の特定の同定、あるいはそれらのパラメータに関連する情報の取得の目的で電波を意図的に放射、および/または受信する電気機器に適用される規制である。対象の機器は、電源電圧の範囲にかかわらず低電圧指令およびEMC指令の必須要求事項を満たす構成が求められる。

ドイツ 司法・消費者保護省(BMJV: Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz)

規制当局 ・市場での製品の提供に関する法(製品安全法)(Gesetz über die Bereitstellung von Produkten auf dem Markt(Produktsicherheitsgesetz - ProdSG))に基づく、電気用品を含めた製品安全を所管している。

TÜV Rheinland VDE(Verband Deutscher Electrotechnischer e. V.)BG(Berufsgenossenschaften)

認証機関 ・ドイツの認証機関。・DIN規格に関する認証を行っている。

英国 ビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy & Industrial Strategy)

規制当局 ・消費者権利法(Consumer Rights Act 2015)に基づく、電気用品を含めた製品安全を所管している。・CEマークの認証について、製造者のための製品安全ガイダンス(Guidance Product safety for

manufacturers)およびCEマークガイダンス(Guidance CE marking)を発行しており、対象の製品、認証取得方法等をガイドしている。

BSI(British Standards Institution)Intertek

認証機関 ・英国の認証機関。・BS規格に関する認証を行っている。・Intertekは、英国の認証機関ASTA BEAB(British Electrotechnical Approvals Board)を2007年に買収し、認証に関する事業を行っている。

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<調査対象の政府機関、業界団体の一覧(続き)>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(1) 海外における規制動向調査

国等 著者、発行・実施機関等 分類 文献・文書名等

フランス 経済・財務省(MEF)競争・消費・詐欺防止総局(DGCCRF)

規制当局 ・消費法典(Code de la Consommation)。・2015年8月27日付けの政令第2015-1083号。特定の電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

フランス規格協会(AFNOR) 規格協会 ・欧州規格の翻訳、NF認証を行っている。

イタリア 経済開発省(MiSE) 規制当局 ・立法令第206号 2005年9月6日(消費者規則)。・立法令第86号 2016年5月19日。特定の電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

イタリア電気技術委員会(CEI) 規格協会 ・欧州規格の翻訳、電気用品の規格の策定を行っている。

イタリア認証(IMQ:Istituto Italiano del Marchio di Qualita)

認証機関 ・イタリアの認証機関。・CEI認証を行っている。

スペイン 厚生労働省(MSCBS)産業・観光・商務省(MITYC)

規制当局 ・国王令1801/2003。・国王令187/2016。特定の電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

スペイン規格協会 規格協会 ・欧州規格の翻訳、UNE認証を行っている。

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<調査対象の政府機関、業界団体の一覧(続き)>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(1) 海外における規制動向調査

国等 著者、発行・実施機関等 分類 文献・文書名等

韓国 産業通商資源部 規制 ・電気用品と生活用品安全法。

技術標準院(KATS) 規制 ・電気用品の安全に関する認証を行っている。・同院に認証された製品はKCマークが付与される。

中国 国家市場監督管理総局(SAMR) 規制 ・中華人民共和国製品品質法。

中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)

規制 ・工業製品が、一定の安全基準を満たしているか審査・認定する制度「中国製品安全強制認証制度(CCC制度)」を所管している。

・認定された製品はCCCマークの表示を行うことができる。

全国電子製品安全標準化技術委員会

国家規格 ・中国の国家規格GB規格の策定を行っている。

台湾 経済部標準検験局(BSMI) 規制国家規格

・商品検験法。・同法に基づき規定した国家規格「CNS規格」に基づき、販売商品の検査、台湾内の電気・電子製品に対する安全検査、電磁環境適合性検査(EMC検査)を実施している。

インド インド電子情報技術省(MEITY)インド規格局(BIS)

規制国家規格

・インド規格局法(Bureau of Indian Standards Act)に基づくIS(Indian Standard)、およびインド強制登録指令。・電気用品の安全規格は、IEC規格を採用したものである。

タイ タイ産業省タイ産業標準機構(TISI)

規制国家規格

・1968年工業規格法に基づくTIS(Thai Industrial Standards)。・電気用品の安全規格は、IEC規格を採用したものである。

マレーシア

エネルギー委員会(Energy Commission)

規制国家規格

・電気規則1994(Electricity Regulations 1994)に基づくMS(Malaysia Standards)。・電気用品の安全規格は、IEC規格を採用したものである。

インドネシア

インドネシア産業省 規制国家規格

・大統領決定1997年第13号、大統領決定2000年第166号、国家標準化に関する政令2000年第102号、大統領決定2001年第78号、標準化と適合性評価法(Act No. 20 /2014 concerning Standardization and Conformity Assessment)に基づくSNI(Standard National Indonesia)。

・電気用品の安全規格は、IEC規格を採用したものである。

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<調査対象の政府機関、業界団体の一覧(続き)>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(1) 海外における規制動向調査

国等 著者、発行・実施機関等 分類 文献・文書名等

豪州 ERAC(Electrical Regulatory Authorities Council)

規制 ・電気用品安全管理制度(EESS:Electrical Equipment Safety System)を実施する連邦の規制当局。・技術基準として、国家規格「AS/NZS」のほか、ISOやIEC、CEなどの国際規格が採用されている。

NSW Fair Trading(New South Wales Fair Trade)

規制 ・ニューサウスウェールズ州の電気用品安全等を所管する規制当局。・他州とは異なる、独自の電気用品安全規制の取り組みを行っている。

国際 IEC(国際電気標準会議) 国際規格 ・電気・電子および関連する技術を扱う国際標準化団体。・LiBに関する規格、IEC 60950-1(情報技術機器の安全性:一般要求事項)、IEC 60065(オーディオ、ビデオおよび類似機器の安全性要求事項)、IEC 62368-1(オーディオ、ビデオ、情報および通信技術機器の安全性要求事項)等の規格を規定している。

・IEC規格は、世界各国において国家規格として採用されている。

国際連合

国際連合経済社会理事会(ECOSOC)国連欧州経済委員会(UNECE)

国連規格 ・UN38.3(リチウム一次・二次電池とその輸送)。・UN/ECE R100.02 Part 1(電気安全に関する要求事項)。

18

<調査対象の政府機関、業界団体の一覧(続き)>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(2) 海外における規制動向調査のインタビュー調査対象

海外の電気用品の安全規制を所管している政府機関、業界団体等から、独自の取組内容を実施している規制当局や、近年、LiBに関する新たな規制を導入している規制当局、海外の電気用品の安全規制の動向に詳しいと考えられる機関を選定し、インタビュー調査を実施した。

次頁に、本事業において選定した、インタビュー調査対象の政府機関等の一覧を示す。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(2) 海外における規制動向調査のインタビュー調査対象

国等 機関・出席者 分類 特徴 会議日時※・場所

中国 全国電子製品安全標準化技術委員会(情報技術および通信技術領域の電子製品安全技術委員会)

・広報部課長

規制国家規格

・2019年1月に、国家市場監督管理総局(SAMR)により、国務院産業情報技

術部の電子製品安全基準に関する作業部会は、「全国電子製品安全標準化技術委員会」に改組され、全国電子製品安全標準化技術委員会となった。

・全国電子製品安全標準化技術委員会は、主にオーディオ・ビデオ機器、情報技術機器、通信技術機器、関連部品および試験方法のGB規格の開発を担当している。

・今回の組織改変に関する情報の入手が期待できる。

・また、中国国内の事故情報や改正の背景に関する公開情報が不足しており、インタビュー調査により、上記改正の背景、LiB搭載機器の安全基準の考え方に関する情報や事故情報の入手が期待できる。

3月北京

中国検験認証集団有限公司(CCIC)

・項目部経理

認証機関 ・中国国家認証許可監督管理委員会(CNCA)より、LiB搭載機器を含む新たな電気・電子関連の「CCC認証実施規則」が公布され、2014 年より施行されている。

・CNCAの委託を受け、中国において電気用品の認証を実施しており、電気用品の安全規制に関する法体系、電気用品安全に詳しい。

2月北京

中国品質認証中心(CQC)

・製品認証第一部経理

認証機関 ・CNCAの委託を受け、中国において電気用品の認証を実施しており、電気用品の安全規制に関する法体系、電気用品安全に詳しい。

・LiB搭載機器を含む新たな電気・電子関連の「CCC認証実施細則」を2014年より施行、一部規則が2016年に改訂されている。

・2016年に改訂された実施細則の主な変更点として、LiBの適用規格GB31241の追加、がある。

2月北京

20

<インタビュー調査対象の政府機関等の一覧>

※現地時間

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

(2) 海外における規制動向調査のインタビュー調査対象

次頁以降の内容は、上記機関へのインタビュー調査結果を適宜反映している。

国等 機関・出席者 分類 特徴 会議日時※・場所

豪州 Energy Safe Victoria

・Deputy Director・Head of Electrical

Equipment Safety and Efficiency

規制 ・豪州で流通・販売する電気用品は、連邦レベルと州レベルで規制があったが、各州の電気用品の安全管理を担当する機関の上部組織であるERAC(Electric Regulatory Authorities Council:電気用品安全管理連合会)は、各州の電気用品安全基準の見直しを行い、2013年3月1日から電気用品安全管理制度の変更により、連邦レベルでEESSが導入された。

・EESS制度の対象となる電気用品は、AS/NZS 4417.2に基づき Level 1、Level 2、Level 3に分類されている。AS/NZS 4417.2の改訂が2018年行わ

れ、新しい対象製品リストが適用開始されている。新しい対象製品リストでは、LiB搭載機器を含むいくつかの電気用品のレベルの変更が行われている。

・インタビュー調査により、機器のレベルの考え方や上記改正の背景に関する情報の入手が期待できる。

3月メルボルン

NSW Fair Trading(NSW公正取引)

・Senior Investigator・Investigator

規制 ・豪州ニューサウスウェールズ州は、まだEESSに参加しておらず、同州で電気用品を販売する際には、同州の安全基準に準拠する必要がある。

・具体的には、同州で販売される電気用品は、NSW Fair Trading、他州の同

等の機関、またはイノベーション大臣および承認規則により承認された特定の民間認証機関のいずれかによって承認される必要がある。

・インタビュー調査により、同州の制度の背景、LiB搭載機器の安全基準の考え方に関する情報の入手が期待できる。

2月パラマタ

米国カナダ

株式会社UL Japan

・製品安全フィールドセールス

規格認証 ・米国の民間試験機関の日本法人。・北米で採用されているUL規格については、対象機器種類が拡大しており、LiBを意識した規格が多くある。

・文献にはない北米の規制の最新動向、あるいは、UL規格策定の背景や規定内容の考え方に関する情報の入手が期待できる。

3月東京

21

<インタビュー調査対象の政府機関等の一覧(続き)>

※現地時間

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○OSHA基準

労働安全衛生局 (OSHA:Occupational Safety and Health Administration)は、米国労働省の機関で、米国国民の職業安全・衛生基準を開発し施行する米国連邦政府機関である。

作業場で労働者が遭遇する様々な危険に対してOSHA基準(29 CFR PART 1910(Title 29 of the Code of Federal Regulations, parts 1910), Occupational Safety and Health Standards)が作成されている。同基準では具体的な規制対象となる環境、物質、品物、作業等についてSubpart AからZまで分けて記載されている。該当する職場で使用される製品は、OSHA基準に適合することが要求される。

【出典】29 CFR PART 1910:https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910 (2019年2月12日閲覧)アメリカOSHA規則: https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/usa/law/OshaStandards1910/Contents.html (2019年2月12日閲覧)NIST(National Institute of Standards and Technology):

A Guide to United States Electrical and Electronic Equipment Compliance Requirements NISTIR 8118(2016年10月)、JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

Subpart タイトル Subpart タイトル Subpart タイトル

A Genaral(概要) I Personal Protective Equipment(個人用保護具)

P Hand and Portable Powered Tools and Other Hand-Held Equipment(手持ち式および携帯用動力工具およびその他の手持ち式装置)

B Adoption and Extension of Established Federal Standards(制定連邦基準の採択と拡大範囲)

J General Environmental Controls(一般環境管理)

Q Welding, Cutting, and Brazing(溶接、切断およびろう付け)

C Reserved(保留) K Medical and First Aid(医療および応急手当) R Special Industries(特殊な産業)

D Walking-Working Surfaces(歩行面・作業面) L Fire Protection(防火) S Electrical(電気)

E Means of Egress(退避手段) M Compressed Gas and Compressed Air Equipment(圧縮ガスおよび圧縮空気装置)

T Commercial Diving Operations(商業潜水作業)

F Powered Platforms, Manlifts, and Vehicle-Mounted Work Platforms(動力付きプラットフォーム、マンリフト、および車輌搭載作業台)

N Materials Handling and Storage(材料の取り扱いおよび貯蔵保管)

U,V,W,X,Y

Reserved(保留)

G Occupational Health and Environmental Control(労働衛生環境管理)

O Machinery and Machine Guarding(機械および機械の安全防護)

Z Toxic and Hazardous Substances(有毒および危険物質)

H Hazardous Materials(危険物質)

<OSHA基準のSubpartの一覧>

※赤字は本調査と関連する項目。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○OSHA基準(続き)

Subpart A - General(概要)

国家認定試験所(NRTL:Nationally Recognized Testing Laboratories)の認定に関して、「OSHAが認定した機関、安全性の検査を行い装置および材料を選定、認定または承認する機関、および次の基準をすべて満足する機関」と定義している。

NRTLの条件を以下に示す。

① 記載、表示、承認を行う装置もしくは材料の特定検査物に対し、次の作業を行う能力を有する(検査装置および設備、専門要員、検査手順書、および較正と品質管理体制を含む) 。

• 作業場の安全という目的から装置および材料を検査試験し、該当する検査基準に適合するか判断する。

• または、作業場の安全という目的から装置および材料を実験的に検査試験し、該当する検査基準または性能に特定の方法で適合するか判断する。

② 記載、表示、承認を行う特定の装置もしくは材料に対し、必要と思われる範囲で、次の管理またはサービスを提供しなければならない。

• 記載、表示、承認を行う装置または材料を特定するための管理手続きを行う。

• 製品評価の目的から、工場において検査対象が製造される過程を検査し、検査基準に適合することを確認する。

• 市場検査を行い、製品にそれと特定できるマークや表示が、適切に使用されていることを監視して確認する。

③ 装置の検査結果がもたらす状況から影響を受ける雇用者、また、安全の目的のために装置もしくは材料が検査される製造者や売り主に対して、完全に自由な立場にある。

④ 次の項目について効果的に手続きを行う。

• 客観的で偏見のない信用性のある検査結果や報告書を作成する。

• 苦情や論争は公正かつ妥当な方法で取り扱う。

【出典】29 CFR PART 1910:https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910 (2019年2月12日閲覧)アメリカOSHA規則: https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/usa/law/OshaStandards1910/Contents.html (2019年2月12日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○OSHA基準(続き)

Subpart A - General(概要)(続き)

現在の、OSHA基準におけるNRTLの要件と、ISO/IEC 17065(Conformity assessment —Requirements for bodies certifying products, processes and services:適合性評価-製品、プロセスおよびサービスの認証を行う機関に対する要求事項 )の認証機関に関する規定を比較した場合、ISO/IEC 17065の「4.2.1 公平性の確保」および「7 プロセス要件」以外の規定に該当する内容が、OSHA基準において規定されていない。

なお、NRTLに関する規定について、 OSHAは2014年からISO/IEC 17065への適合を開始したことを発表した。2014年に改正案が提示され、2017年に規定の最終案が提示される予定であったが、2019年3月12日時点で行われていない。

【出典】29 CFR PART 1910:https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910 (2019年2月12日閲覧)アメリカOSHA規則: https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/usa/law/OshaStandards1910/Contents.html (2019年2月12日閲覧)NRTL Program Improvement: https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/nrtlnews.html (2019年3月12日閲覧)ISO/IEC 17065(Conformity assessment — Requirements for bodies certifying products, processes and services)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○OSHA基準(続き)

Subpart A - General(概要)(続き)

NRTLには、現在、ULやカナダ規格協会(CSA:Canadian Standards Association)を含む19の機関が認定されている。各機関は、NRTLとして認証が可能な製品が限定されており、NRTLとしてLiBを含む電池の認証ができるのはULのみである。

Subpart Aには、法規として効力および影響力を持つ基準・規格が列記されており、電気用品に関連するものでは、NFPA 496-1967 Standard for Purged Enclosures for Electrical Equipment in Hazardous Locations(危険な場所で用いる電気用品のためのパージ(浄化)済みエンクロージャー)がある。

【出典】29 CFR PART 1910:https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910 (2019年2月12日閲覧)アメリカOSHA規則: https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/usa/law/OshaStandards1910/Contents.html (2019年2月12日閲覧)Type of Products Requiring NRTL Approval: https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/prodcatg.html (2019年2月12日閲覧)https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/nrtllist.html (2019年2月22日閲覧)NIST(National Institute of Standards and Technology):

A Guide to United States Electrical and Electronic Equipment Compliance Requirements NISTIR 8118(2016年10月)、JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

Applied Research Laboratories of South Florida, LLC

Bay Area Compliance Laboratories

CSA Group Testing and Certification Inc.

Curtis-Straus LLC (CSL)

FM Approvals (FM)

International Association of Plumbing and Mechanical Officials EGS (IAPMO)

Intertek Testing Services NA, Inc. (ITSNA)

MET Laboratories, Inc. (MET)

Nemko North America, Inc. (NNA)

NSF International (NSF)

QAI Laboratories, LTD (QAI)

QPS Evaluation Services Inc.

SGS North America, Inc.

Southwest Research Institute

TUV Rheinland of North America, Inc.

TUV Rheinland PTL, LLC

TÜV SÜD America Inc.

TÜV SÜD Product Services GmbH

Underwriters Laboratories Inc.

<NRTLの一覧(2019年2月22日時点)>

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(3) 米国

○OSHA基準(続き)

Subpart P - Hand and Portable Powered Tools and Other Hand-Held Equipment(手持ち式および携帯用動力工具およびその他の手持ち式装置)

電動の携帯用チェーンソー(Portable circular saw)は、Subpart Sの電気要件を満たすことが求められる。

Subpart S - Electrical(電気)

建物、構造物、およびその他の施設の内またはその上に設置し使用される、電気設備および電気を利用する機器が対象となっている。

Subpart Sにある電気要件に該当する製品の適合を証明する手段として以下がある。

① OSHAが認定した国家認定試験所(NRTL:Nationally Recognized Testing Laboratories)による認証。

② 他の連邦政府機関、または、米国防火協会 (NFPA)が策定した電気配線・電気設備設置規定(NEC:National Electrical Code)の労働安全規定の施行を担当する州、地方自治体あるいはその他の地方自治体による検査または試験により、Subpart Sで適用されるNECの規定に適合することが示されること。

③ 雇用主が作成し保管する、次官補(Assistant Secretary)とその代理人による検査用試験データに基づいて、作業員が意図したとおり使用する場合に安全であると判断されること。

②および③は個別の作業あるいは電気用品に関する認証のため、ほとんどの職場で用いる電気用品の認証は①による。

Subpart S本文とは別に、OSHAでは、 Subpart Sの対象製品として準拠するべき規格を随時追加しており、LiB搭載機器の防爆、電磁波障害以外の安全規格については、UL1647(モーター駆動のマッサージ器およびエクササイズ器)、UL 60950(情報技術機器)、UL 62368-1(音響、情報、通信技術機器)が採用されている。

2018年9月28日に、Subpart Sの対象製品として電池に関するUL規格(UL2054:電池パック、UL2271:ホバーボード用電池、UL1973:軽鉄道および定置用大型電池)が準拠するべき規格として追加された。

【出典】29 CFR PART 1910:https://www.osha.gov/laws-regs/regulations/standardnumber/1910 (2019年2月12日閲覧)アメリカOSHA規則: https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/usa/law/OshaStandards1910/Contents.html (2019年2月12日閲覧)Type of Products Requiring NRTL Approval: https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/prodcatg.html (2019年2月12日閲覧)OSHA:https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/list_standards.html (2019年3月8日閲覧)OSHA:https://www.osha.gov/laws-regs/federalregister/2018-04-20 (2019年3月8日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○消費者製品安全法

1972年施行の消費者製品安全法(Title 15, United States Code, Chapter 47, Sections 2051-2089)は、以下の4項目を目的とし、連邦政府機関とは独立して活動を行う消費者製品安全委員会(CPSC:Consumer Product Safety Commission)の設立と権限を定義するものである。

① 消費者製品に関連する怪我の不当なリスクからの国民を保護

② 消費者製品の比較安全性を評価する際に消費者を支援

③ 消費者製品のための統一された安全基準を開発し、相反する州および地域の規制を最小化

④ 製品関連の死亡、疾病、および怪我の原因と予防に関する研究と調査を促進

○消費者製品安全改善法

2008年施行、2011年改正の消費者製品安全改善法(Public Law 110–314, August 14, 2008、Public Law 112–28, August 12, 2011)は、子供用製品中の特定の物質を規制するものである。

電気用品に関しては、塗料あるいは表面コーティング料の制限を設けている。

○消費者製品安全委員会が所管するその他の法令

消費者製品安全委員会は、上記2法以外に連邦有害物質法、毒物予防包装法、冷蔵庫安全法等の法令に基づく活動を行っている。

○16 CFR Chapter II 消費者製品安全委員会の策定した連邦規則は官報で公布され、16 CFR Chapter IIに収められてい

る。多くの危険な製品に関する規則が含まれているが、電気用品のうちLiBが要因となり危険性が指摘されている事例はない(ヘアドライヤーの浸水保護、芝刈り機の回転刃の接触に関する表示等)。

【出典】CONSUMER PRODUCT SAFETY ACT(Title 15, United States Code, Chapter 47, Sections 2051-2089)NIST(National Institute of Standards and Technology):

A Guide to United States Electrical and Electronic Equipment Compliance Requirements NISTIR 8118(2016年10月)、JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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(3) 米国

○カリフォルニア州規制

カリフォルニア州は人口約4,002万の米国最大の州である。

同州には、以下のような電気用品に関する環境・エネルギー規則がある(ただし、LiB搭載機器のLiBに関する安全性確保の規制はない)。

電気機器エネルギー効率規制(Appliance Efficiency Regulation):電気機器のエネルギー効率の規制。カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)が所管。例えば、電池充電システムのエネルギー消費を制限しており、ノートPC、タブレット端末、電動工具、電動歯ブラシ、シェーバー、携帯電話といった電池充電システムを持つ電気用品全てが対象となる。CECによる認証を受ける必要があり、電池充電システムのみ認証マークが貼付される。

空気清浄機規制(Air Cleaner Regulation):空気清浄機から排出するオゾンの規制。大気資源局(ARB:Air Resources Board)が所管。

安全な消費者製品規制(Safer Consumer Products regulation):消費者製品中の化学物質の規制。有害物質管理局(DTSC:Department of Toxic Substances Control)が所管。

機器ラべリング規制(Appliance Labeling Regulation):販売機器にシリアル番号の貼付。CECが所管。

○ロサンゼルス郡規則

ロサンゼルス郡はロサンゼルスを含む88都市で構成され、人口約1千万人の米国最大の郡である。

ロサンゼルス郡規則(Los Angeles County Code)では、機器、装置および電気設備の、ULやカナダ規格協会(CSA:Canadian Standards Association)といった国家認定試験所(NRTL)による認証を

必須としており、郡は、それ以外の電気用品の製造・販売を認めていない。ただし、電気実験室や生物医学の用途のものを例外としている。

CECによる電池充電システムの認証マーク

【出典】http://worldpopulationreview.com/states/california-population/ (2019年2月12日閲覧)California Energy Commission:FREQUENTLY ASKED QUESTIONS:BATTERY CHARGING SYSTEMS(2012年8月)Safer Consumer Products Program Overview: https://www.dtsc.ca.gov/SCP/SaferConsumerProductsProgram.cfm (2019年2月12日閲覧)Los Angeles County:LOS ANGELES COUNTY ANNUAL REPORT 2013(2013年2月)Los Angeles County Code:https://library.municode.com/ca/los_angeles_county/codes/code_of_ordinances (2019年2月12日閲覧)NIST(National Institute of Standards and Technology): A Guide to United States Electrical and Electronic Equipment Compliance Requirements NISTIR 8118(2016年10月) を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○オレゴン州規制

2017オレゴン改正法(ORS:2017 Oregon Revised Statutes)は17巻、62タイトル、838章から構成される州法である。電気用品安全に関する規制は、第12巻、タイトル38、第479章「建物火災防護と電気安全法」(Protection of Buildings From Fire; Electrical Safety Law)に記載されている。

第479章第760節(ORS479.760)で規定した電気用品は、 ULやカナダ規格協会(CSA:Canadian Standards Association)といった国家認定試験所(NRTL)や州が認定した機関等による認証を受けることによって、第479章第610節(ORS479.610)で規定した、電気用品の設置を行うことができる。

○オレゴン州ポートランド市規制

ポートランドは人口約240万人のオレゴン州最大の都市である。

市の規則(Portland City Code)を定めており、以下のような電気用品に関する規則がある(ただし、LiB搭載機器のLiBに関する安全性確保の規制はない)。

暖房および換気に関する規制(Title 27 Heating and Ventilating Regulations):暖房、換気、快適性の設計等に関する規制。ULが認証した電気暖房機ならば、設置が無条件に許可される。

電気規制(Title 26 Electrical Regulations):ORS479.760にしたがって認証されている電気用品でなければ、製造、輸送あるいは廃棄することができない。

【出典】World Population Review:http://worldpopulationreview.com/us-cities/portland-population/ (2019年2月12日閲覧)2017 Oregon Revised Statutes: https://www.oregonlaws.org/oregon_revised_statutes (2019年2月12日閲覧)Online Code & Chapter | The City of Portland, Oregon: https://www.portlandoregon.gov/citycode/28148 (2019年2月12日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○ニューヨーク市規制

ニューヨークは人口約1,988万人の米国4番目の人口の都市である。

市の消防局(FDNY:Fire Department City of New York)では、2017年に建物の蓄電システムの熱暴走の評価手法にUL9540Aの方法を採用する公告を発行している。ニューヨーク市の建物の屋内外に設置される蓄電システムの熱暴走評価をUL9540Aに則って行い、基準を満たす蓄電システムのみ設置できることとしている。

その後2019年に、市の建設局(NYC Buildings Department)では、建物の屋内外に設置される蓄電システムは、 UL9540Aに準拠する旨の通達(BUILDINGS BULLETIN 2018-012)を発行している。

すなわち、ニューヨーク市の建物に設置する蓄電システムはUL9540Aに準拠することが認証されていなければ設置することができない。

【出典】World Population Review:http://worldpopulationreview.com/states/new-york-population/ (2019年3月8日閲覧)Fire Department City of New York: UA9540A (2017年12月6日)https://www.energymanagertoday.com/fdny-implement-safety-standards-battery-storage-projects-0174057/ (2019年3月8日閲覧)NYC Buildings: BUILDINGSBULLETIN2018-012 (2019年1月30日)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(3) 米国

○まとめ

米国の電気用品に関する規制は、連邦と州による二元的な規制構造となっており、労働安全に関するOSHA基準および消費者製品安全に関する法令が連邦により規定されている。いくつかの製品を対象に、協会あるいは民間が開発した規格が国家規格として採用されている。

州あるいは群といった地方自治体は、連邦規制に準じた上で、さらに独自の規則を施行している。例えば、カリフォルニア州ロサンゼルス郡は、電気用品の製造、販売にULやカナダ規格協会(CSA:Canadian Standards Association)といった国家認定試験所(NRTL)による認証を必須としている。

<米国の電気用品に関する法規制体系のイメージ図>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(4) カナダ

○カナダ規格審議会法

1985年施行のカナダ規格審議会法(Standards Council of Canada Act R.S.C.,1985, c.S-16)は、カナダ規格審議会(SCC:Standards Council of Canada)の設立、任務および権利を定義するものである。

カナダ規格審議会の目的は、国民経済の発展、持続可能開発の支援し、労働者および一般市民の健康・安全・福祉への貢献、消費者の支援と保護、国内および国際貿易の円滑化、標準化に関する国際協力の促進としている。

上記目的のために、カナダの効率的かつ効果的な自発的標準化の推進、国家標準化システムに関与する人や組織の努力の調和と監督、規格関連の活動を通じたカナダの商品およびサービスにおける品質、性能および技術革新の促進等を任務としている。

【出典】Standards Council of Canada Act:https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/canada/organization/ccohs.html (2019年2月12日閲覧)Standards Council of Canada: http://www.scc.ca/en (2019年2月13日閲覧)JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

33

(4) カナダ

○電気用品安全に関する規制

カナダ政府は、国としての安全認証制度を制定しておらず、強制力のある製品安全認証制度はない。カナダの電気用品の安全は、カナダ規格審議会認定の試験機関(Accredited Product, Process and Service Certification Bodies)が認証している。現在、以下の36の機関が認定されている。

電気用品の認証や製造、輸入、販売の規制の実施主体は、各州の規制当局である。【出典】Standards Council of Canada: https://www.scc.ca/en/accreditation/product-process-and-service-certification/directory-of-accredited-clients (2019年3月1日閲覧)

JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

Air-Conditioning, Heating and Refrigeration Institute

APA - The Engineered Wood Association

ASSE International Chapter of IAPMO, LLC

Bay Area Compliance Laboratories, Corp.

Bureau de normalisation du Québec

Canadian General Standards Board

CSA Group Testing & Certification Inc.

Curtis-Straus LLC

CWB Certification (a Division of CWB Group Industry Services)

DEKRA Certification B.V. Electrical Safety Authority Operating As ESA Field Evaluation (ESAFE)

FM Approvals LLC

IAPMO Research and Testing, Inc.

APMO Ventures, LLC. dba IAPMO EGS

ICC Evaluation Service, LLC Intertek Testing Services NA Inc.

LabTest Certification Inc. MET Laboratories, Inc. Nemko North America Inc. NSF International

NTA, Inc OMNI-Test Laboratories, Inc. PFS Corporation PricewaterhouseCoopers LLP

QAI LABORATORIES LTD. QPS Evaluation Services, Inc. Safety Equipment Institute SGS North America, Inc.

T.R.Arnold & Associates, Inc. Truesdail Laboratories Inc. TÜV Rheinland of North America, Inc.

TÜV SÜD America Inc. (Product Service Division)

UL LLC UL Verification Services Inc. Underwriters Laboratories of Canada

Water Quality Association

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

34

(4) カナダ

○オンタリオ州規制

オンタリオ州はカナダ首都オタワやトロントを含む、人口約1,400万人のカナダ最大の州であり、カナダ全人口の約40%が同州に集まっている。

1998年施行の電気法(Electricity Act)に基づき、2007年にオンタリオ規制438/07製品安全(ONTARIO REGULATION 438/07 PRODUCT SAFETY)を施行している。同規制では、電気用品および機器の使用、表示、宣伝、販売に、ULやCSAといったカナダ規格審議会認定の試験機関によ

る認証を必須としており、州は、それ以外の電気用品の使用、表示、宣伝、販売を認めていない。ただし、展示会での展示や規制当局によって認められたものを例外としている。

【出典】World Population Review:http://worldpopulationreview.com/canadian-provinces/ontario-population/ (2019年2月13日閲覧)O. Reg. 438/07: PRODUCT SAFETY : https://www.ontario.ca/laws/regulation/070438 (2019年2月13日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

35

(4) カナダ

○カナダ労働衛生安全規制

カナダ労働安全衛生センター(CCOHS:the Canadian Centre for Occupational Health and Safety)は、カナダにおける労働安全衛生関係の情報活動の中心的な役割を担う、論文等の情報収集や、対外的な広報・情報提供活動を行うカナダ連邦政府機関である。

作業場で労働者が遭遇する様々な危険に対してカナダ労働衛生安全規制(Canada Occupational Health and Safety Regulations)が作成されている。同基準では具体的な規制対象となる環境、物質、品物、作業等についてPart IからXXまで分けて記載されている。該当する職場で使用される製品を国内で販売する場合は、カナダ労働衛生安全規制に適合することが要求される。

【出典】Canada Occupational Health and Safety Regulations:https://lois-laws.justice.gc.ca/eng/regulations/SOR-86-304/index.html (2019年2月13日閲覧)国際安全衛生センター:https://www.jniosh.johas.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/canada/organization/ccohs.html (2019年2月12日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

Part タイトル Part タイトル Part タイトル

I (タイトルなし。対象や用語の定義等) VIII Electrical Safety(電気安全) XV Hazardous Occurrence Investigation, Recording and Reporting(危険発生の調査、記録および報告)

II Permanent Structures(恒久的な構造物) IX Sanitation(衛生) XVI First Aid(初期救護)

III Temporary Structures and Excavations(一時的な構造物と避難)

X Hazardous Substances(有害物質) XVII Safe Occupancy of the Work Place(職場スペースの安全な占有)

IV Elevating Devices(昇降装置) XI Confined Spaces(密閉空間) XVIII Diving Operations(潜水作業)

V Boilers and Pressure Vessels(ボイラー、圧力容器) XII Safety Materials, Equipment, Devices and Clothing(安全な材料、機器、装置および衣類)

XIX Hazard Prevention Program(危険回避プログラム)

VI Lighting(照明) XIII Tools and Machinery(道具と機械) XX Violence Prevention in the Work Place(職場の暴力回避)

VII Levels of Sound(音響レベル) XIV Materials Handling(材料の取扱い)

<カナダ労働衛生安全規制のPARTの一覧>

※赤字は本調査と関連する項目。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

36

(4) カナダ

○カナダ労働衛生安全規制(続き)

Part I 走行中の列車、飛行中の飛行機、船上、石油・天然ガスの探査または掘削または生産、保存、加工または輸

送に係る作業員以外の全ての作業員を対象とする。

Part VIII - Electrical Safety(電気安全)

鉱山の地下工事以外が対象となっている。

合理的に実現可能な限り、全ての電気機器の設計、建設および設置は、カナダ電気規則Part I(Canadian Electrical Code, Part I)に定められた基準を満たすこと、全ての電気機器の運用およびメンテナンスは、カナダ電気規則に定められた基準を満たすことが求められている(ただし、LiB搭載機器のLiBに関する安全性確保の規制はない)。

○カナダ消費者製品安全法

2010年施行のカナダ消費者製品安全法(Canada Consumer Product Safety Act S.C.2010, c.21)は、消費生活用製品の安全性の向上と消費者保護を目的としており、事故報告制度や強制リコール制度、規制機関による査察などが規定されている。

カナダ消費者製品安全法は消費者製品に適用される(ただし食品や肥料といった例外が附表に示されている)。また、子供用製品、ベビーカーあるいはアイスホッケー用品等の特定の製品については本法に基づいて規制が作成されている。これら規制の中に電気用品は含まれていない。

【出典】Canada Occupational Health and Safety Regulations:https://lois-laws.justice.gc.ca/eng/regulations/SOR-86-304/index.html (2019年2月13日閲覧)Canada Consumer Product Safety Act:https://laws-lois.justice.gc.ca/eng/acts/c-1.68/page-1.html (2019年2月13日閲覧)株式会社三菱総合研究所:平成 24 年度商取引適正化・製品安全に係る事業(包括的な製品安全の将来的な在り方に関する調査)報告書(2013年3月)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(4) カナダ

○まとめ

カナダの電気用品に関する規制は、連邦と州による二元的な規制構造となっているが、連邦はカナダ規格審議会法が標準化の推進を実施し、州が規制を実施する役割の分担が行われており、実際の規制は州の一元構造である。

州は、各自の規制法に基づき規制を実施している。例えば、オンタリオ州は、電気用品の使用、販売にULやカナダ規格協会(CSA:Canadian Standards Association)といったカナダ規格審議会認定の試験機関による認証を必須としている。

連邦法

カナダ規格審議会(SCC):カナダ規格審議会法

州規制

その他、各州の州規則規格の採用

オンタリオ州:オンタリオ規制438/07製品安全

Underwriters Laboratories (UL)

SCC認定の試験機関

その他、協会・民間

認 定カナダ規格協会(CSA)

TÜV

<カナダの電気用品に関する法規制体系のイメージ図>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(5) 欧州

○低電圧指令および無線電圧指令

欧州指令2014/35/EU(LVD(Low Voltage Directive):低電圧指令)は、EU の市場に出される、交流電源50~1000 Vあるいは直流電源75~1500 V の電圧範囲で使用するように設計された電気機器に適用される。このため、これら電圧の基準を満たさない電気機器は対象外である。

ただし、欧州指令2014/53/EU(RED(Radio Equipment Directive):無線機器指令)は、EUの市場

に出される、無線通信や電波の伝搬特性に基づく物体の位置等の同定あるいはそれらのパラメータに関連する情報の取得の目的で電波を意図的に放射・受信する電気機器に適用される。無線機器指令の対象となる電気機器は、電源電圧の範囲にかかわらず低電圧指令およびEMC指令の必須要求事項を満たす構成が求められる。

低電圧指令で定められた適合性評価手続きは、第三者の関与(第三者認証機関による認証)は不要で、製造業者が自ら適合性を判断し、適合宣言を行うこと(自己宣言)になる。指令への要求への適合が達成されたことを示すために、CEマークの表示を行う。CEマーキングのある製品は、EU域内の自由な販売・流通が保証される。

輸入業者に求められる主な責任は以下のとおりである。

① 製造業者が規格への適合性評価手続きを実施して技術文書を作成

② CEマークの表示、機器の識別を可能とする情報表示、製造業者の名前・登録商号/商標・住所の表示

③ 適合した機器のみの販売

【出典】EC:LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINES(LVD GUIDE) (2018年8月)EC:DIRECTIVE 2014/53/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 16 April 2014 (2014年5月22日)JETRO:自己宣言のための CE マーキング適合対策実務ガイドブック (2018年3月)UL Japan、株式会社e・オータマ等の発行資料を基にみずほ情報総研が作成

CEマーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(5) 欧州

○低電圧指令

LiB搭載機器の情報技術機器について、欧州委員会のホームページに掲示されている低電圧指令の整合規格の一覧に、IEC 60950-1(情報技術機器の安全性)を採用したEN 60950-1が整合規格が含まれている。EUの市場で流通するためには、自己宣言による適合が求められる。ただし、EN 60950-1は2020年12月にEN 62368-1:2014(IEC 62368-1:2014の整合規格)に完全に置き換えられることがアナウンスされている。

なお、IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)、IEC 62368-1のLiBに関する規定(M.4、6.4.8、B.4、T.7)について、それぞれ整合規格EN 60950-1、EN 62368-1にはデビエーションはない。

【出典】EC:LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINES(LVD GUIDE) (2018年8月)https://ec.europa.eu/growth/single-market/european-standards/harmonised-standards/low-voltage_en (2018年11月2日閲覧)UL Japan、株式会社e・オータマ等の発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(5) 欧州

○低電圧指令(続き)

欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)は、欧州指令2006/95/ECに代わるものとして発行されたものであり、2014年3月から約2年間の猶予期間を経て、2016年4月20 日以降、2014/35/EUへの適合が求められている。

2014年の改訂の最大の目的は、2008年に導入されたNLF(new legislative framework:既存のニューアプローチ指令の整合化を促進する枠組み)への整合である。

ニューアプローチ指令:欧州(EU)の統合に伴い、欧州(EU)域内の製品流通の障害となる「技術的な貿易障壁」を減らす目的でとられた新たな欧州(EU)の法体系・規制手法のこと。

改訂において製造業者などの事業者への影響が特に大きいと思われる点として、以下が挙げられている。

① 各事業者の責任の明確化と強化

② 事業者の追跡情報の提供義務

③ その他

• 取扱説明書:エンド・ユーザーが容易に理解できる言語で書く。

• 適合宣言書は規定された要求事項に従う。(製品が流通させられる国で要求される言語への翻訳等)

• 整合規格がない場合に国際規格や国家規格の適用によっても適合の推定を得られる可能性がある。

• 指令への適合を維持する手順を持つこと、製品設計や整合規格などの変更を適切に考慮すること。

• 製品が指令に適合していないと判断した場合、必要な処置をとること(回収、あるいはリコールの要求)。

機器の適用範囲と安全性についての目標は2006年から維持されている。

【出典】EC:LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINES(LVD GUIDE)、UL Japan、株式会社e・オータマ等の発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(5) 欧州

○低電圧指令(続き)

【出典】 EC:LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINES(LVD GUIDE)を基にみずほ情報総研が作成

原文 訳

1. General conditions (a) the essential characteristics, the recognition and observance of which will

ensure that electrical equipment will be used safely and in applications for which it was made, shall be marked on the electrical equipment, or, if this is not possible, on an accompanying document;

(b) the electrical equipment, together with its component parts, shall be made in such a way as to ensure that it can be safely and properly assembled and connected;

(c) the electrical equipment shall be so designed and manufactured as to ensure that protection against the hazards set out in points 2 and 3 is assured, providing that the equipment is used in applications for which it was made and is adequately maintained.

1.一般条件(a) その特性を認識および順守することにより電気機器が安全かつ用途に沿って使用される

ことを確実にするような、必要な特性は電気機器上に表示されなければならない。もしそれが困難な場合は、付属書に表示しなければならない。

(b) 電気機器はその構成部品とともに、安全かつ適切に組立および接続することを確実にする方法で製作されなければならない。

(c) 電気機器は、その機器の用途に沿って使用され、かつ適切に保守される場合、2項と3項に示されている危険に対する保護が保証されることを確実にするように設計および製造されなければならない。

2. Protection against hazards arising from the electrical equipment Measures of a technical nature shall be laid down in accordance with point 1, in order to ensure that: (a) persons and domestic animals are adequately protected against the danger of

physical injury or other harm which might be caused by direct or indirect contact;

(b) temperatures, arcs or radiation which would cause a danger, are not produced; (c) persons, domestic animals and property are adequately protected against non-

electrical dangers caused by the electrical equipment which are revealed by experience;

(d) the insulation is suitable for foreseeable conditions.

2.電気機器から生じる危険に対する保護以下のことを確実にするために、前項に従って技術的特性上の対策が定められなければな

らない。(a) 人および家畜は、直接または間接的な接触よって引き起こされる傷害の危険およびその

他の危害に対して十分に保護される。

(b) 危険を引き起こすような温度、アークおよび放射線を発生しない。(c) 人、家畜および財産は、経験上明らかとなっている電気機器に起因する非電気的危険

から十分に保護されている。

(d) 絶縁は予見可能な条件に適合している。

3. Protection against hazards which may be caused by external influences on theelectrical equipment Technical measures shall be laid down in accordance with point 1, in order to ensure that the electrical equipment: (a) meets the expected mechanical requirements in such a way that persons,

domestic animals and property are not endangered; (b) is resistant to non-mechanical influences in expected environmental conditions,

in such a way that persons, domestic animals and property are not endangered; (c) does not endanger persons, domestic animals and property in foreseeable

conditions of overload.

3.電気機器の外部の影響から引き起こされる危険に対する保護

以下のことを確実にするために、1項に従って技術的対策が定められなければならない。

(a) 電気機器は、人、家畜および財産が危険にさらされないように、考えられる機械的要件を満たしていること。

(b) 電気機器は、人、家畜および財産が危険にさらされないように、考えられる環境条件における機械的ではない影響に対して抵抗性があること。

(c) 電気機器は、予見可能な過負荷状態で、人、家畜および財産を危険にさらさないこと。

<(参考)2014/35/EU §52 安全目標の原文と訳>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(6) ドイツ

○市場での製品の提供に関する法律(製品安全法 – ProdSG)

2011年に施行された、市場での製品の提供に関する法(製品安全法)(Gesetz über die Bereitstellung von Produkten auf dem Markt(Produktsicherheitsgesetz - ProdSG))は、市場活

動の中で入手、展示、使用される製品、商用あるいは作業員のリスクとなり得る設備の設置・作業を対象とした要件を示している。ただし、鉱山作業を例外としている。

同法では、別段の定めがない限り、法の適用対象の製品等に対して第三者認証機関による認証を行うことが規定されている(ただし、低電圧指令で定められた適合性評価手続きは、第三者認証機関による認証は不要)。

同法は、ドイツ連邦政府の司法・消費者保護省(BMJV: Bundesministerium der Justiz und fürVerbraucherschutz)が所管している。

整合規格EN 60950-1は、ドイツ語翻訳版DIN EN 60950-1として採用され、適合が求められる。

なお、同法の前身は2004年に施行された、機器と製造物安全に関する法(Geräte- und Produktsicherheitsgesetz - GPSG)であり、製造者がEU市場で製品を流通させることを意識して2011年に改正が行われ、ProdSGとなった。

【出典】Act on making products available on the market(Product Safety Act):http://www.gesetze-im-internet.de/englisch_prodsg/index.html※BMJVが発行する正規の英訳(2019年2月13日閲覧)松塚晋輔:ドイツの指名機関に関する今日の法律問題―CE 表示の判例を素材にして― 京女法学 第 10 号(2016年8月10日)を基にみずほ情報総研が作成

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(7) 英国

○消費者権利法

2015年に施行された、消費者権利法(Consumer Rights Act 2015)は、消費者の権利およびその

利益の保護を目的とし、商品、デジタルコンテンツまたはサービスの提供者と消費者の間に契約に基づく合意がある場合に適用される。

同法では、全ての商品を供給するためのすべての契約は、商品の品質が満足できるものであるという条件を含むべきとし、商品の品質には安全性や耐久性等が含まれるとしている。

同法は、英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy & Industrial Strategy)が所管している。

なお、同法の前身は1979年に施行された、商品の売買法(Sale of Goods Act)や1982年に施行された商品の供給およびサービス法(Supply of Goods and Services Act)を包括するものである。企業と消費者間の取引に関する多くの法律に代わる法として、改正が行われた。

○製品安全ガイダンス、CEマークガイダンス

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、CEマークの認証について、製造者のための製品安全ガイダンス(Guidance Product safety for manufacturers)およびCEマークガイダンス(Guidance CE marking)を発行しており、対象の製品、認証取得方法等をガイドしている(ただし、低電圧指令で定められた適合性評価手続きは、第三者認証機関による認証は不要) 。

整合規格EN 60950-1は、英国版BS EN 60950-1として採用され、適合が求められる。

【出典】Consumer Rights Act 2015Guidance Product safety for manufacturers:https://www.gov.uk/guidance/product-safety-for-manufacturers (2019年2月13日閲覧)Guidance CE marking: https://www.gov.uk/guidance/ce-marking (2019年2月13日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(7) 英国

○EU離脱後のCEマーキングについて

2018年3月に、英国のEU離脱後に設ける移行期間を2020年末までとすることで合意した。

一方、EU離脱により、第三者認証機関によるCEマークと英国内で流通する製品を対象とした認証において、英国とEUの相互承認が担保されない場合に、別途認証を求められることが懸念される。

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、2018年9月13日にCEマークガイダンスの合意なきBrexitにおける‘新しいアプローチ’の下に規定した製品輸出入のガイダンス(Guidance Trading goods regulated under the ‘New Approach’ if there’s no Brexit deal Guidance CE marking)を発行した。同ガイダンスは、CEマーキング制度が無効となった後の対応方法を明確にすることを目的としている。以下に概要を示す。

2019年3月29日以前に流通している製品は、英国で引き続き流通することが可能である。

ただし合意なき離脱の場合は、英国の認証機関はEUの認証機関としての地位を失うため、以下の状況の発生と対応が必要となる。

英国認証機関の認証結果は、EUでは無効となる。その結果、英国の認証機関が試験した製品がEUで流通するためには、EU認定の適合性評価機関により別途認証を受ける必要がある。

EU認定の適合性評価機関の認証を受けた製品は、英国向けの再認証または再マーキングなしに、引き続き英国で流通

できる。これは期間限定の期間のみに適用され、その期間が終了する前に十分な通知が企業に与えられることを意図している。

また、EUから英国に製品を持ち込む流通業者は、国外から英国に製品を持ち込む「輸入業者」として分類されることになる。このため、輸入者が自社の製品に名前と住所を表示することを義務付けるなど、新たな義務が課せられることとなる。

【出典】首相官邸:英国及びEUへの日本からのメッセージ<要約> (2016年9月2日)Guidance Trading goods regulated under the ‘New Approach’ if there’s no Brexit deal Guidance CE marking:https://www.gov.uk/government/publications/trading-goods-regulated-under-the-new-approach-if-theres-no-brexit-deal/trading-goods-regulated-under-the-new-approach-if-theres-no-brexit-deal (2019年2月13日閲覧) を基にみずほ情報総研が作成

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(8) フランス

○消費法典

1993年施行の、消費法典(Code de la Consommation)は、日常生活分野における消費者保護の強化、消費者の情報の強化、消費者の権利の尊重の確保を目的としている。冒頭規定と全8編で構成され、第4編に「製品および役務の適合性および安全性」について規定している。

同法典第4編では、製造事業者および販売者の義務として、製品の人の安全と健康の保護に関する有効な要件を満たすことを示すため、有効な規制に準拠する規定がある。

また、製品の安全は、製品が統一された欧州規格(EN規格)を翻訳した国内の技術規格(NF規格)に準拠している場合にも、安全であると推定されるとしている。EN規格を翻訳したNF規格に準拠した製品に対するCEマークの表示も規定されている。

製品の電気用品規格への準拠の評価は認証機関が行うことも規定しており、電気機器産業中央研究所(LCIE:Laboratoire Central des industries Electriques)といった認証機関が行っている。

同法典は、経済・財務省(MEF:Ministère de l‘Économie et des Finances)の外局である競争・消費・詐欺防止総局(DGCCRF:La Direction générale de la Concurrence, de la Consommation et de la Répression des Fraudes)が所管しており、規定の執行および違反の調査を行っている。

○2015年8月27日付けの政令第2015-1083号 2015年施行の、2015年8月27日付けの政令第2015-1083号(Décret n° 2015-1083 du 27 août

2015)は、特定の電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

整合規格EN 60950-1は、フランス語翻訳版NF EN 60950-1として採用され、適合が求められる。

【出典】大澤彩:フランスの消費者政策 第7回第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会資料(2018年5月29日)Code de la consommation: https://www.legifrance.gouv.fr/affichCode.do?cidTexte=LEGITEXT000006069565 (2019年3月1日閲覧)Décret n° 2015-1083 du 27 août 2015: https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do?cidTexte=JORFTEXT000031112623&dateTexte=&categorieLien=id(2019年3月1日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(9) イタリア

○立法令第206号 2005年9月6日 2005年施行の、立法令第206号 2005年9月6日(Decreto Legislativo. 6 settembre 2005, n. 206)

は、消費者とユーザーに対する高度な保護を確保することを目的としている規制(消費者規則:Codice del consumo)である。

同立法令では、製造事業者および販売者の義務として、製造事業者は安全な製品のみを市場に流通させること、安全性の推定と評価について、欧州で施行されている法律に準拠し、欧州各国の健康および安全に関する規格に準拠している場合に製品を安全であるとみなす規定がある。

規制の対象とする製品は、関係省庁が行う。電気用品の規制は、経済開発省(MiSE:Ministerodello Sviluppo Economico)が、電気用品の規格の策定は、イタリア電気技術委員会(CEI:Comitato Elettrotecnico Italiano)が行っている。イタリア電気技術委員会(CEI)は、イタリア政府並びにEUによって承認された民間の非営利団体である。

また、規格の準拠の評価は、イタリア品質表示協会(IMQ:Istituto Italiano del Marchio di Qualita)といった認証機関が行っている。

○立法令第86号 2016年5月19日 2016年施行の、立法令第86号 2016年5月19日(Decreto Legislativo. 9 maggio 2016, n. 86)は、

特定の電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

同立法令は、経済開発省(MiSE)が所管している。

整合規格EN 60950-1は、イタリア語翻訳版CEI EN 60950-1として採用され、適合が求められる。

【出典】Legislative Decree 6 September 2005 no.206 , Consumer Code, pursuant to Article 7 of Law no.229 of 29 July 2003.※消費者規則の正規の英訳DECRETO LEGISLATIVO 19 maggio 2016, n. 86を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(10) スペイン

○国王令1801/2003 2003年12月施行の、12月26日の国王令1801/2003(Real Decreto 1801/2003, de 26 de

diciembre)は、スペインで流通しているすべての製品タイプに適用される、一般的な製品安全に関する規制である。

同国王令では、製造者は安全な製品だけを市場に流通させる義務を負っており、製品は安全要件を定める強制的な基準・規格に準拠していれば安全とみなされる。また、製品が統一された欧州規格(EN規格)を翻訳した国内の技術規格(UNE規格)に準拠している場合にも、安全であると推定されるとしている。EN規格を翻訳したUNE規格に準拠した製品に対するCEマークの表示も規定されている。

同国王令は、スペイン政府の厚生労働省(MSCBS:Ministerio de Sanidad, Consumo y Bienestar Social)が所管している。ただし、関連する省庁による追加の規制がある場合は、当該の省庁が所管する。電気用品の追加の安全規制については、産業・観光・商務省(MITYC:Ministerio de Industria, Comercio y Turismo)が所管している。

○国王令187/2016 2016年施行の、5月6日の国王令187/2016(Real Decreto 187/2016, de 6 de mayo)は、特定の

電圧制限での使用を意図した電気機器の安全要件に関する規制で、欧州指令2014/35/EU(LVD:低電圧指令)に対応する規制である。

同国王令は、産業・観光・商務省(MITYC)が所管している。

整合規格EN 60950-1は、スペイン語翻訳版UNE EN 60950-1として採用され、適合が求められる。

【出典】Real Decreto 1801/2003, de 26 de diciembre, sobre seguridad general de los productos.Real Decreto 187/2016, de 6 de mayo, por el que se regulan las exigencias de seguridad del material eléctrico destinado a ser utilizado en determinados límites de tensión.を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

48

(11) 韓国

○電気用品と生活用品安全法

韓国は、電気用品と生活用品の安全管理に関する事項を規定することにより、国民の生命および身体および財産を保護し、消費者の利益と安全を図ることを目的として、電気用品と生活用品安全法(略称:電気用品安全法)を施行しており、2018年7月施行のものが最新版である。

所轄当局は産業通商資源部である。

○電気用品と生活用品安全管理運用要領

電気用品と生活用品安全法に対応する実施内容を規定する法令として施行されているもので、2017年1月施行のものが最新版である。

同要領では、供給される交流電圧30V超、直流電圧42V超の電気用品を安全管理対象とし、以下の3つに分類し、危険度に応じた安全性確認を製造業者・輸入業者等に義務付けている。

安全認証対象電気用品:モデルごとに安全認証機関による製品試験と工場審査を受けて安全認証を受けなければならず、年1回以上の定期検査が必要である。対象製品は、電動ドリル、電動チェーンソー等がある。

安全確認対象電気用品:安全認証機関による製品試験を受ける必要があるが、工場審査と定期検査は不要である。対象製品は、オーディオ機器等がある。

供給者適合性確認対象電気用品:製品試験を自社で行うことが可能であり、工場審査と定期検査は不要である。対象製品は、音声レコーダー・ビデオカメラ等がある。

【出典】http://www.law.go.kr/ (2019年2月25日閲覧)株式会社UL Japan:韓国KC/KCsマークの規制概要(2015年11月19日)、JETRO、JET発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

49

(11) 韓国

○電気用品と生活用品安全管理運用要領(つづき)

ただし、後流電源30V以下、直流電源42V以下であっても、別表1~3で指定された電気用品においては安全管理対象としている。ノートPC、タブレット端末は別表2(安全確認対象電気用品)、携帯電話、スマートフォンは別表3(供給者適合性確認対象電気用品)である。ノートPC、タブレット端末、携帯電話、スマートフォンに適用されている規格は、IEC 60950-1:2005/AMD1:2009を採用したKS IEC60950-1:2014である。

IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定が、KS IEC60950-1:2014にはない。

○国家標準基本法

国家標準制度の確立のための基本的な事項を規定している。

同法では、認証等を受けた製品にマークを表示するように法令に規定する場合、所管中央行政機関の長は国家統合認証マークを導入しならず、「KCマーク」を国家統合認証マークとする、と定められている。

かつては、製品の監督行政機関ごとに認証制度が存在し、消費者向け製品等の法定義務認証マークだけでも13種類あったが、同法の改正(2009年4月)に伴い、13種類の強制認証マークのすべてが、2011年以降、KCマークに統一された。

認証は技術標準院(KATS:Korean Agency for Technology and Standards)が指定する認証機関が行う。主な認証機関として、一般的な電気用品は韓国産業技術試験院(KTL)や韓国機械電気電子試験研究院(KTC)、電磁波を発する電気用品は国立電波研究所(RRA)がある。

KCマーク

【出典】http://www.law.go.kr/ (2019年2月25日閲覧)株式会社UL Japan:韓国KC/KCsマークの規制概要(2015年11月19日)、JETRO、JET発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

50

(12) 中国

○中華人民共和国製品品質法

2009年9月施行の、中華人民共和国製品品質法は、製品品質に対する監督管理を強化し、製品品

質のレベルを向上させ、製品品質の責任を明確にし、消費者の合法的権益を保護し、社会経済秩序を維持することを目的としている。

同法では、製品およびその包装上の標識に関して規定しており、製品およびその包装上の標識は必ず真実であり、かつ「製品品質検査合格証明標識」を有すること、正しく使用しない場合に製品自身が壊れやすいまたは人身・財産の安全を脅かす恐れのある製品に対する警告マークまたは中国語での製品説明を有すること等の要求に合致することを規定している。

同法は、2018年4月に国務院の組織改編によって設立された国家市場監督管理総局(SAMR)が所管し、全製品を対象とし、製造者、販売者の義務として適用されている。

○中華人民共和国認証認可条例

2003年9月施行の、中華人民共和国認証認可条例は、認証認可活動を規範化させ、製品、サービスの質と管理水準を引き上げ、経済と社会の発展を促進することを目的としている。

同条例は、SAMRが所管し、「認証」と「認可」について、以下のように定義している。 認証:製品、サービス、管理システムが関連技術の規定、関連技術規定の強制的要求または標準に符合することを証明する認

証機関が行う合格評定活動。

認可:認証機関、検査機関、実験室および評価、審査などの認証活動に従事する人々の能力と操業資格を承認する認可機関が行う合格評定活動。

並びに、国家は認証が必要な製品に対し、製品目録、技術規定を統一する強制的な要求を実施することを規定している。

【出典】 JETRO、JET、J-Net21(http://j-net21.smrj.go.jp)発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(12) 中国

○強制的製品認証管理弁法、強制的製品認証マーク管理弁法(~2018年3月)、2018年第10号中国国家認証認可監督管理委員会公告(2018年3月~ )

2001年12月施行(2009年7月改正、同年9月施行)の、 強制的製品認証管理弁法 は、中華人民共和国認証認可条例等の諸規定に基づき、 強制的製品認証業務の規範とし、認証の有効性を高め、国家、社会および公共の利益を保護することを目的としている。同法では、強制的製品認証の対象となる製品並びに強制的製品認証業務の実施機関、認証書・認証マーク「CCCマーク」について規定している。

2002年5月施行の強制的製品認証マーク管理弁法 は、強制的製品認証管理弁法で規定した「CCCマーク」の管理・使用方法等の詳細事項について規定していた(2018年3月廃止) 。

上記二法は、中国国家認証許可監督管理委員会(CNCA)の所管である。

2018年3月には、強制的製品認証マーク管理弁法に代わる制度として、2018年第10号中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)公告が発表された。同公告では、従来の指定マーク発行管理機関である「北京CCCマーク技術サービスセンター」を2018年5月31日付で廃止し、2018年5月1日以降はCCCマークの発行を認証機関が行うこと、各製造事業者でCCCマークの印刷・刻印が可能であることを規定している。

【出典】 JETRO、JET、UL発行資料を基にみずほ情報総研が作成

CCCマーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(12) 中国

○中国製品安全強制認証制度(CCC制度)

2002年5月施行の、中国製品安全強制認証制度(CCC制度) は、強制製品認証管理弁法に基づき、

国家安全保護、人体の健康もしくは安全の保護、動植物の生命もしくは健康の保護等を目的として、20種類の工業製品等が、一定の安全基準を満たしているか審査・認定する制度である。同制度に基づく認証(CCC認証)を行い、認証マークを表示しなければ、当該製品は出荷、販売、輸入または他のビジネス活動で使用することができないと定めている。

中国国家認証許可監督管理委員会(CNCA)より、LiB搭載機器の事故件数増加等を背景に、LiB搭載機器を含む新たな電気・電子関連のCCC認証実施規則が公布され、2014 年より施行されている。

CNCAより委託を受け、電気用品の認証を行っている中国品質認証中心(CQC)は、2014年にCCC認証実施細則を発行した。情報技術機器のCCC認証実施細則であるCQC-C0901-2014は、準拠するべきGB規格としてGB4943.1を指定しており、 GB4943.1はIEC60950-1の整合規格である。 IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定が、GB4943.1にはない。

また、 「CCC認証実施細則」 は2016年に改訂されており、主な変更点は以下のとおりである。① 提出資料の追加。② 認証取得後の定期試験についての要求を変更。③ LiBの適用規格GB31241を追加。④ 企業の工場品質保証能力の要求を変更。⑤ 技術管理責任者の要求を補足。

すなわち、2016年の改訂によりGB4943.1にはない電池の規格について補足したと言える。

【出典】 JETRO、JET発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

53

(12) 中国

番号 規則名 品目 2014年版から2016版の主な改訂内容

CQC-C0801-2014CQC-C0801-2016

強制性製品認証実施細則音響映像機器

①スピーカー②パワーアンプ③ラジオ受信機④記録媒体形式の録音・録画放送および処理設備⑤①~⑤の設備の組合わせ⑥音響映像機器用電源アダプタ(充電器/放電器を含む)⑦カラーテレビ受信機⑧監視モニター⑨ブラウン管⑩ビデオレコーダー⑪電子オルガン⑫アンテナアンプ

①提出資料の追加。②認証取得後の定期試験についての要求を変更。③LiBの適用規格GB31241を追加。④企業の工場品質保証能力の要求を変更。⑤技術管理責任者の要求を補足。

CQC-C0901-2014CQC-C0901-2016

強制性製品認証実施細則情報技術機器

①マイクロコンピューター②ポータブルコンピューター③コンピューターと共に使用するディスプレイ設備④コンピューターと接続される印刷設備⑤多目的の印刷複写機⑥スキャナ⑦コンピューターの内臓電源および電源アダプター充電機⑧コンピュータゲーム機⑨学習用機械⑩複写機⑪サーバー

CQC-C1601-2014CQC-C1601-2016

強制性製品認証実施細則通信端末機器

①モデム②ファクシミリ③固体電話端末および電話機付属装置④コードレス電話端末⑤集団電話⑥移動ユーザー端末⑦ISDN端末⑧データ端末(カードを含む)⑨マルチメディア端末

【出典】(一財)電気安全環境研究所発行資料を基にみずほ情報総研が作成

<強制性製品認証実施細則の一覧と概要>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(12) 中国

○主な変更点:重要部品と材料の分類および変更届けに関する説明

【出典】(一財)電気安全環境研究所:CQC-C0801-2016、 CQC-C0901-2016 、 CQC-C1601-2016 (参考和訳)を基にみずほ情報総研が作成

6.1.2 型式試験用サンプルの要求事項通常の場合、試験のサンプルは申請者がCQCの要求事項に基づいて代表的なサンプルを選択肢、試験用に提出する。(中略)重要部品・材料リストについての要求事項は、CNCAの技術専門家チームの決議に従うものとし、具体的な要求については附表1および附表2を参照のこと。重要部品・材料(以下重要部品という)の分類および変更時の届出については下記のとおりとする。A類重要部品の変更:認証機関の承認を得なければならないB類重要部品の変更の届出:下記の規定に従うこと。(1)B類安全重要部品については、強制製品認証/CNCAの規定により製品の強制認証において認証結果として認められる任意認証の対象である場合、有効なCCC

認証書/CNCAの規定により製品の強制認証において認証結果として認められる任意認証の認証書を取得しなければならない。その他のB類安全重要部品については、認証機関が認証した任意認証の認証書CNASの認可した試験所によって発行された、対応する規格(附表1参照)に適合した試験レポートを提供しなければならない。かつ、すべての重要部品の技術パラメーター、外形、材料および取付寸法、取付方式および製造技術は、元の部品と一致していなければならない。

(2)要求事項に適合した強制製品認証技術責任者(要求事項の詳細については附属書4を参照)が存在する場合、簡易プロセスを適用して、技術責任者が審査、承認を行うことができる。

(3)製造事業者および製造工場は信用状況が良好でなければならない。

番号 重要備品名 管理するパラメーター 適用規格 サンプル数量 分類

1 コードセット モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB/T15934 12組 B

電源プラグ モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB/T1002、GB/T2099.1 12個 B

電源コード(内部含む) モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB/T5023.5、GB/T5013 50m B

機器用カプラー(コネクタ含む) モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB/T17465.1、GB/T17465.2 12セット B

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

19 携帯型リチウムイオン単電池および組電池

モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB31241 単電池:27個組電池:33個

A

その他の電池(電池保護回路を審査) モデル、仕様、製造事業者、製造工場 GB8898 製品と共に審査 A

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

附表1 オーディオ、ビデオ機器安全重要部品・材料リスト

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

55

(12) 中国

○全国電子製品安全標準化技術委員会

2019年1月に、国務院産業情報技術部の電子製品安全基準に関する作業部会は、「全国電子製品安全標準化技術委員会」に改組され、国家市場監督管理総局(SAMR)の下、国内および国際的な電子製品安全標準化の責を担う。

新時代の標準化に適応するために、全国電子製品安全標準化技術委員会は、ビデオ機器、情報技術設備、通信技術機器、および関連部品、測定方法の安全標準の研究と改訂作業を担当している。国際的にはIEC/TC 108「音声ビデオ、通信技術と通信技術分野の電子製品安全技術委員会」の対

応窓口機関としての役割を果たし、国内と国際的な電子製品の安全標準化の分野で重要な役割を果たしている。

前身の組織が従前担当していたGB 4943.1 – 2011(情報技術機器 安全第1部:汎用要求)、GB 8898 – 2011(オーディオ、ビデオおよび電子機器の安全要求)などの多くの強制的な国家標準、任

意の国家標準、業界標準策定といった標準化業務を引き続き担当し、今後『オーディオ、ビデオおよび電子機器 第1部分 安全要求』(計画番号:20140168 - Q - 339)などの重点的な標準を策定する。

IEC/TC 108の中国国内の対応窓口機構として、前身の組織が従前担当していた業務を引き継ぎ、専門家を継続的にIEC会議に派遣し、国際的な標準制の改訂などの国際標準化活動に参加する。

【出典】 http://www.cesi.cn/201901/4789.html (2019年2月26日)を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

56

(13) 台湾

○商品検験法

1932年施行の商品檢驗法は、製品の安全性、健康、環境保護およびその他の技術的規制または基準の遵守を促進し、消費者の権利を保護し、通常の経済発展を促進することを目的としている。

同法では、台湾の輸出入商品・国内販売商品の安全検査、輸出入・国内の電気・電子製品に対する電磁環境適合性検査(EMC検査)について規定しており、いかなる検査対象商品も検査基準に達していなければ工場から出荷できず、輸出入もできないと定められている。

また、所轄当局は経済部(經濟部)であり、検査は標準検験局(標準檢驗局:BSMI)が実施することを規定している。

情報処理機器などの電気・電子製品を販売するには、予めBSMIの認証を取得し、製品にBSMIマークを表示する必要がある。認証には、以下の3つの認証方式があり、製品の種類によって必要な認証方式が定められている。

験證登録(RPC):最も基本的な認証方法である。 BSMIの認可試験所で試験を実施し、レポートを作成する必要がある。試験後、BSMIにて認証取得の合否確認を行い、認証許可された製品は、台湾市場での販売が可能となる。対象製品は、パソコン、電動式手動器具、音響機器等がある。

型式認可(TA): BSMIが指定した試験所で試験を実施し、レポートを作成し、型式認可の申請書をBSMIに提出する必要がある。BSMIは申請書資料の審査を行い、その際、新たにテストサンプルが要求される。

適合宣言(DoC):BSMIで認可が行われる。合否確認を行わずに認証を発行し、台湾市場で販売することができる。危険度が低い一般普及製品が対象製品で、デジタルカメラ、ビデジタルデオカメラ等が該当する。

【出典】商品檢驗法: https://www.bsmi.gov.tw/wSite/laws/review.jsp?lawId=2c9081fe1c6f9f4c011c730919d800b1(2019年2月8日閲覧)(地独 )東京都立産業技術研究センター:台湾認証・試験機関調査報告書(2017年3月)、JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

BSMIマーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(13) 台湾

○台湾工業規格(CNS規格)

商品検験法では、BSMIが、製品の危険有害性の表示、評価手順、分析およびその他の関連事項に関する基準を決定することを規定しており、BSMIは台湾工業規格(CNS規格)を制定している。

CNS規格のいくつかは、IEC規格と整合しており、情報機器の安全規格CNS14336-1はIEC60950-1の整合規格である。 IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、デビエーションはない。

○電気用品分野の日台民間相互承認取り決め(日台MRA) 2012年11月29日に、(公財)日本台湾交流協会と亜東関係協会(現・台湾日本関係協会)との間で、

日本と台湾の電気用品分野の相互認証について取り決めが行われ、2013年7月1日に「電気製品分野の日台民間相互承認取り決め(日台MRA)」が締結された。

日台MRAは、双方に輸入を行う電気用品に関して、承認された事業者が適合証明書を取得することで、輸入販売時に必要な認証を取得できる制度である。

【出典】商品檢驗法: https://www.bsmi.gov.tw/wSite/laws/review.jsp?lawId=2c9081fe1c6f9f4c011c730919d800b1(2019年2月8日閲覧)(地独 )東京都立産業技術研究センター:台湾認証・試験機関調査報告書(2017年3月)、JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(14) インド

○インド規格局(BIS)法 1986年施行のインド規格局法(Bureau of Indian Standards Act)は、物品、製品、プロセス、システ

ムおよびサービスの標準化、適合性評価および品質保証の活動の調和のとれた発展を目的とし、国家標準化機関の設立と、それに関連または付随する事項を規定している。

同法に基づきインド規格局(BIS:Bureau of Indian Standards)が1986年に、インド規格( IS:Indian Standard)の制定と承認および推進を主な任務としている消費生活局、食品・公共物流省(Ministry of Consumer Affairs, Food & Public Distribution)の外局として設立された。

2016年の同法の改正では、政府が推進する製造業振興策「メーク・イン・インディア」の流れを受け

た技術革新への適応や、輸出も想定した製品の品質向上といった背景から、以下のような改正を行っている。

① BISに、市場から低品質の製品を排除するためのより強力な権限を付与。

② BISに、品質を満たさないと判断する製品を検証し、改善を要請する権限を付与。

③ 罰則の厳格化。

ISの認証を受けた製品は、製品と梱包上にBISマークを表示しなければならない。

○インド強制登録指令

2012年9月7日に施行のインド強制登録指令(CRO:Compulsory Registration Order)に基づき、インド電子情報技術省(MeitY:Ministry of Electronics and Information Technology)は、2013年7月からISの取得を一部品目に義務付けており、現在までに3度(Phase1(15品目):2013年、Phase2(15品目):2015年、Phase3(13品目):2018年)、指定と追加を行い、LiB搭載機器を含めて計43品目に達している。

【出典】Ministry of Electronics & Information Technology : https://meity.gov.in/esdm/standards (2019年2月14日閲覧)Bureau of Indian Standards: https://bis.gov.in/ (2019年2月14日閲覧)THE BUREAU OF INDIAN STANDARDS ACT, 2016JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

BISマーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(14) インド

○インド強制登録指令(続き)

ノートPC等(Laptops/ Notebooks/Tablets)、携帯電話(Mobile Phones)、スマートウォッチ(Smart Watches)に適用されているISは、IEC60950-1:2005を採用したIS13252-1:2010である。ハンドランプ(LED Hand Lamps)に適用されているISは、IS10322:2013である(LiBに関連する規定なし)。

IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定が、 IS13252-1:2010にはない。

【出典】Ministry of Electronics & Information Technology : https://meity.gov.in/esdm/standards (2019年2月14日閲覧)Bureau of Indian Standards: https://bis.gov.in/ (2019年2月14日閲覧)THE BUREAU OF INDIAN STANDARDS ACT, 2016JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

Phase1 Phase2 Phase3

Electronic Games (Video) Wireless Keyboards Power Adaptors for IT Equipment Point of Sale Terminals Recessed LED LuminariesVisual Display Units, Video Monitors of screen size up-to 32”

Laptops/ Notebooks/Tablets Telephone Answering Machines

Power Adaptors for Audio, Video & Similar Electronic Apparatus

Copying Machines / Duplicators

LED Luminaries for Road & Street Lighting

CCTV Cameras/CCTV Recorders

LCD/LED/Plasma TVs of screen size 32” & above

Amplifiers with input power 2000w & above UPS / Invertors of rating ≤ 5kVA Smart Card Readers LED Flood Lights Adapters for household and

similar electrical appliances

Optical Disc Player with built-in amplifiers of input power 200W & above

Electronic Musical Systems with input power of 200w & above

DC or AC Supplied Electronic Control gear for LED Modules

Mail Processing Machines / Postage Machines / Franking Machines

LED Hand Lamps

USB Driven Barcode Readers, Barcode Scanners, Iris Scanners, Optical Fingerprint Scanners

Microwave Ovens Electronic Clocks with Mains Power

Sealed Secondary Cells / Batteries containing Alkaline or other non-acid Electrolytes for use in portable applications

Passport Readers LED Lighting Chains Smart Watches

Visual Display Units, Video Monitors of screen size 32” & above

Set-Top Boxes Self-Ballasted LED Lamps for General Lighting Services

Power Banks for use in portable applications

LED Luminaries for Emergency Lighting

Printers & Plotters Automatic Data Processing Machines Mobile Phones Fixed General Purpose LED

LuminairesUPS/Inverters for rating≤ 10kVA

Scanners Cash Registers LCD/LED/Plasma Televisions of screen size up-to 32”

<IS取得対象の一覧>

※赤字はLiB搭載機器。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

60

(15) タイ

○1968年工業規格法

1968年施行の1968年工業規格法(仏暦2511年工業製品規格法令)は、タイ工業省は外局として工業製品規格事務局(TISI:Thailand Industrial Standards Institute)を置き、規格表示を使用する許

可申請と規格マークの使用申請および電気用品を含む工業製品の製造、輸入許可申請の審査、電気用品を含む工業製品の製作と当該工業製品の検査および管理、規格マークの管理を実施することが規定している。

同法は、関連省庁の代表で構成される工業製品規格委員会の設置と同委員会によるタイ国家規格(TIS)の制定、改正、廃止の実施等も規定している。

同法では、電気用品を含む工業製品は以下の2種類に分類されている。

勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品:工業製品規格事務局の認証を必須とし、工業規格局が制定する工業規格TISへの準拠、および首相府消費者保護委員会が定める規格マークの本体への表示が求められる。タイに輸入される全工業製品および勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品が対象となる。

勅令が規格に従わなければならないと定めていない工業製品:規格マークの表示は任意で、タイで製造された工業製品で、勅令が規格に従わなければならないと定めていないものが対象となる。自主的なマークであり、他の製品・商品との差別化の意味で使用されている。

同法では、工業大臣が工業製品の規格認証を行う者を委員会の同意を得て指定する。すなわち、工業製品の規格認証は第三者認証機関が実施している。

【出典】タイビジネス情報館:http://www.thaibiz.jp/?page_id=2278 (2019年2月28日閲覧)JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

強制認証マーク

任意認証マーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

61

(15) タイ

○勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品

1968年工業規格法に基づく「勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品」は、工業規格局ホームページで掲示されているリストで指定されている。

2019年2019年3月12日時点で、TSIが対して策定されている1263品目のうち、「勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品」として109品目が指定されている。ノートPCやスマートフォン等

の情報技術機器は、現在のところ「勅令が規格に従わなければならないと定めた工業製品」ではないが、TISは、IEC60950-1を採用する形で、TIS1561-2556として2014年に策定された。

なお、IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定が、 TIS1561-2556にはない。

○電気用品分野の日タイ民間相互承認取り決め(日タイMRA) 2007年11月2に、工業製品の認定結果を互いに承認し合う相互承認協定(日タイMRA)が締結され

た。

日タイMRAは、双方に輸入を行う電気用品に関して、承認された事業者が適合証明書を取得することで、輸入販売時に必要な認証を取得できる制度である。

【出典】https://www.tisi.go.th/website/standardlist/comp_thai (2019年3月12日閲覧)http://tcps.tisi.go.th/public/StandardList.aspx (2019年3月12日閲覧)JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

62

(16) マレーシア

○電気規制1994 1994年に施行された電気規制1994(Electricity Regulations1994)は、電気用品を輸入、展示、販

売、宣伝販売における製造・販売事業者の実施事項を規定した法令である。輸入、展示、販売、宣伝販売される電気用品で指定されたものは、マレーシアのエネルギー委員会(ST:SuruhanjayaTenaga)が採用した国家規格(MS: Malaysian Standard)に基づく認証(SIRIM認証)を得て、承認書(COA: Certificate of Approval)を取得する必要がある。

SIRIM認証は、エネルギー委員会から委託を受けているSIRIM QAS Internationalのほか、マレーシア標準局(DSM)認定の試験所、IEC電気機器安全規格適合性試験制度(IECEE CBスキーム認定の試験所、アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC) の相互認証が認定された試験所、ASEAN電気機器協定の相互認証が認定された試験所が行う。

機器が製造、輸入、展示、販売または広告の認証を受けた場合、機器にラベルを付けることを求められる。

【出典】Suruhanjaya Tenaga: Guideline for Electrical Equipment (2017年)JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

委託認証マーク

SIRIM認証マーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

63

(16) マレーシア

○電気規制1994(続き)

エネルギー委員会は、ガイドライン(Guideline for Electrical Equipment)を作成し、認証が必要な電気用品を指定している。

2017年時点において、認証が必要な電気用品は以下の34品目が指定されている。

LiB搭載機器に採用されているMSについて、ポータブル照明は、 IEC60598-1:2008(LiBに関する規定なし)を採用したMS IEC 60598-1:2012、音響機器、ビデオ映像機器、オーディオ/ビデオプレイヤー類は、IEC60065:2007(LiBに関する規定なし)を採用したMS IEC 60065: 2005、マッサージ器は、IEC 60335-1:2010 (LiBに関する規定なし)を採用したMS IEC 60335-1:2015、アダプター、充電器は、IEC 60950-1:2005を採用したMS IEC 60950-1:2007である。

IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定がMS IEC 60950-1:2007にはない。

【出典】Suruhanjaya Tenaga: Guideline for Electrical Equipment (2017年)JETRO発行資料を基にみずほ情報総研が作成

プラグ(15A以下) 照明器具 厨房機器 洗濯機 電気掃除機 クリスマスイルミネーション

スイッチと調光器 蛍光灯用コンデンサ トースター、オーブン 扇風機/換気扇 音響機器 電動工具

ソケットアウトレット(15A以下) 蛍光灯用安定器 炊飯器 ハンドドライヤー ビデオ映像機器 アダブター、充電器

蛍光灯ソケット/スターター・ホルダー

AC電流漏電遮断機を含むサーキットブレーカーおよびミニチュア遮断器

冷蔵庫 アイロン オーディオ/ビデオプレイヤー類 電線、ケーブル類

天井ローゼット ポータブル照明 浸水式電気温水器 電気ひげ剃り マッサージ器

バイオネットキャップ/マルチアダプター

電気ポット類 電気温水器ベポライザー(蚊取りマット、芳香器など)

エアコン※赤字はLiB搭載機器。

<SIRIM認証が必要な電気用品の一覧>

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(17) インドネシア

○大統領決定1997年第13号、大統領決定2000年第166号、国家標準化に関する政令2000年第102号 1997年施行の大統領決定1997年第13号によって、国家標準化庁(BSN:Badan Standardisasi

Nasional)が設立され、大統領決定2000年第166号によって非省政府機関と位置づけられている。

国家標準化庁は、国家標準化に関する政令2000年第102号で定められた、国家規格( SNI :Standard National Indonesia)の策定プロセスにより、SNIの策定を行う。

○大統領決定2001年第78号 2001年施行の大統領決定2001年第78号によって、国家認定委員会(KAN:Komite Akreditasi

Nasional )が設立された。国家認定委員会は、個々の国営あるいは民間組織をSNI認証機関(LPK:Lembaga Penilaian Kesesuaian)として認定する非省政府機関である。

SNI認証を得ようとする事業者等は、 SNI認証機関に申請して、製品の認証を得る必要がある。

【出典】JETRO発行資料等を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

65

(17) インドネシア

○標準化・適正評価法(法律2014年第20号)

2014年9月施行の標準化・適正評価法において、SNIの策定プロセスや国家標準化庁(BSN)、国家認定委員会(KAN)、SNI認証機関(LPK)らの役割について、改めて法制化された。

SNIの策定は、国家標準化庁が消費者や事業者、業界団体、専門家、省庁や政府機関、地方政府

などの関係者と協力し草案を作成し、中央/地方政府、事業者や業界団体、消費者や関連団体、専門家や学識者等からなる技術委員会を結成し、SNI策定にかかる協議を実施する。

SNIは原則として任意規格だが、安全性や環境保護等の観点から、一部の製品に対し関係省庁やその他の政府機関ごとに強制適用を課しており、その対象品目については、SNIを取得し、 SNIマークを表示しない限り国内流通が認められない。

例えばエネルギー鉱物資源大臣規則2005年第38号では、家電(SNI 04-6292.1-2003)、エネルギー鉱物資源大臣規則2012年第21号では、照明器具(SNI 04-6973.2.3-2005)について強制規格の対象としている。

国家標準化庁のホームページでは、随時強制規格の対象品目を公開しており、2019年3月1日時点で、198品目となっている。

2016年5月4日付の国家標準化庁決定01/KEP/BSN/5/2016において、情報技術機器の任意規格SNI IEC 60950-1:2016が、IEC 60950-1:2005を採用する形で策定された。

IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、 「可搬型の二次密閉型電池およびアルカリまたは他の非酸電解液を含む電池(ボタン以外)は、IEC 62133に準拠しなければならない」規定がSNI IEC 60950-1:2016にはない。

【出典】http://sispk.bsn.go.id/RegulasiTeknis/SniWajib (2019年3月1日閲覧)KEPUTUSAN KEPALA SADAN STANDARDISASI NASIONAL NOMOR1 01/KEP/BSN/5/2016 (2016年5月4日)JETRO発行資料等を基にみずほ情報総研が作成

SNIマーク

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○電気用品安全管理制度(EESS:Electrical Equipment Safety System)

豪州で流通・販売する電気用品は、連邦レベルと州レベルでそれぞれ規制があった。

例えば豪州ヴィクトリア州では、1998年施行の、電気安全法1998(Electricity Safety Act 1998)において電気用品の安全を規定していた。

しかし、各州の電気用品の安全管理を担当する機関の上部組織であるERAC(Electric Regulatory Authorities Council:電気用品安全管理連合会)は、各州の電気用品安全基準の見直しを行い、2013年3月1日から電気用品安全管理制度の変更により、連邦レベルでEESSが導入され、 RCMマーク(Regulatory Compliance Mark:規制適合マーク)に統一された。

州が電気用品の安全法の起草と実施に関する責任を負っており、豪州ニューサウスウェールズ州を除く各州は、EESS制度に対応し州法を改正している。

例えば豪州ヴィクトリア州では、電気用品安全規制2018(Electricity Safety (Equipment Safety Scheme) Regulations)を策定し、2019年4月から施行予定である。また、豪州クイーンズランド州では、電気安全法(Electrical Safety Act)を根拠法とした、電気安全規制(Electrical Safety Regulation)に基づいている。ヴィクトリア州とクイーンズランド州では、同規制の中でAS/NZS 4417.2への準拠を規定している。

【出典】 JETRO、JET、JQA発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○電気用品安全管理制度(EESS:Electrical Equipment Safety System)(続き)

RCMを使用するには、EESSのデータベース上で、製造者、輸入業者等が製品を登録しなければならない。EESS制度の対象となる電気用品は、50V AC RMS/120V DC (リップル・フリー)以上1000V AC RMS/1500V DC(リップル・フリー)以下の電気用品で、AS/NZS 4417.2に基づき Level 1 equipment、Level 2 equipment、Level 3 equipmentに分類されている。

各事業者は対象用品の各レベルに応じて規格適合テストを行い、規格適合証明および用品の構造・機能様式書、テスト・レポート等を準備し、 データベースに登録する。登録した電気用品はRCMマークを貼付する。

規格適合テストは、連邦機関であるNATA(National Association Testing Authority)が行っており、ヴィクトリア州には民間の第三者認証機関は存在しない。NATAが実施した認証に基づき、州が証書を発行している。

AS/NZS 4417.2の改訂が2018年行われ、新しい対象製品リストが適用開始されている。新しい対象製品リストでは、LiB搭載機器を含むいくつかの電気用品のレベルの変更が行われている。

【出典】 JETRO、JET、JQA発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○電気用品のLevelについて

電気用品は、リスク評価および豪州/ニュージーランド標準委員会QR-012の技術的知見により、以下のようにLevel 3 equipment、Level 2 equipmentに分類され、Level 3あるいは2に分類されない電気用品を全てLevel1としている。

Level 3 equipment:市場に出す前に、電気規制当局により、認証、およびEESSナショナルデータベースに登録されることが要求される高リスク機器。

Level 2 equipment:市場に出す前に、電気規制当局により、コンプライアンスフォルダ※を保有すること、およびEESSナショナルデータベースに登録することが要求される中リスク機器。※コンプライアンスフォルダ:責任ある事業者のRCMの使用の根拠となる、準拠表明を検証結果を示す文書

Level 1 equipment:市場に出す前に、責任ある供給者の自己宣言により、電気的に安全で、関連規格を満たすことが要求される。データベースの登録は任意である。

なお、Level 2と3の分類は、豪州とニュージーランドで異なる。またニュージーランドでは、 AS/NZS 4417.2の最新の改訂により、事業者による適合宣言の発行におけるレベル3の機器は、ニュージーランド電気(安全)規則に準拠する機器のレベル2の機器としても分類されている。

電気用品の安全性のLevelは、事故の可能性を縦軸、事故の影響度を横軸とした、リスクマトリクスにより評価している。2018年のLevel改正は、事故の報告の内容や件数から、再びリスク評価を行った結果に基づいている。

【出典】 AS/NZS 4417.2:2018 Regulatory compliance mark for electrical and electronic equipmentを基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○電気用品のLevelについて(続き)

Level2および3 equipmentに分類されているLiB搭載機器について次頁以降に示す。ほんとんどのLiB搭載機器の規格がIECの採用となっている。ただし、携帯型工具でどのIEC規格にも該当しないもののみ、AS/NZS 3160(Hand-held portable electric tools)が適用されている。また、2018年版では、情報技術機器等を対象としたIEC62368.1、携帯型工具および芝生および庭園用品を対象としたIEC 62841.1が新たに適用されている。

LiB搭載機器の情報技術機器については、IEC 60950-1:2015(情報技術機器の安全性)を採用したAS/NZS 60950.1:2015が整合規格である。IEC 60950-1のLiBに関する規定(1.7.13、4.3.8)について、整合規格AS/NZS 60950.1:2015にはデビエーションはない。

○無線通信法(Radiocommunications Act 1992) 電気・電子用品および通信機器のEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)について、

ACMA(Australian Communications and Media Authority:豪州通信局)が所管しており、電波障害リスクに応じてLevel1~3に分類している。適用対象となる電気用品は、規格認証を行い、RCMマークを表示する必要がある。

【出典】 AS/NZS 4417.2:2018 Regulatory compliance mark for electrical and electronic equipmentを基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○Level2および3 equipmentに分類されているLiB搭載機器(1/3)

【出典】 AS/NZS 4417.2:2018/2012 Regulatory compliance mark for electrical and electronic equipmentを基にみずほ情報総研が作成

品目2018 2012 適用規格

AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 2018 2012

美容ケアランプ(Beauty care lamp) ○ ○

AS/NZS 60335.2 -

調理器具ポータブルタイプ(Cooking appliance—portable type) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

電気湯沸かし器(Electric hot water bottle) ○ ○

AS/NZS 60335.2 -

扇風機(Fan) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

グルーガン(Glue gun) ○

AS/NZS 60335.2 -

ヘアケア用品(Hair care appliance) ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

ヘッジクリッパー(Hedge clipper) ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60745.2

AS/NZS 60745.2

電撃殺虫器(Insect electrocutor) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

検査用ハンドランプ(Inspection handlamp) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60598.2

AS/NZS 60598.2

キッチンマシン(Kitchen machine) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

芝生ケア器(Lawn care appliance) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

液体加熱器具(Liquid heating appliance) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

※赤字はレベルの引き上げ、青字は引き下げがあったもの。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○Level2および3 equipmentに分類されているLiB搭載機器(2/3)

品目2018 2012 適用規格

AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 2018 2012

照明器具(Luminaire—portable type) ○

○50以上の部品により設計

○ ○ ○AS/NZS 60598.2

AS/NZS 60598.2

マッサージ器具(Massage appliance) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

電源または充電器(Power supply or charger) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 61558.260065/60950/

62368.161347.260335.2

AS/NZS 61558.260065/60950

61347.260335.2

剃刀/ヘアクリッパー(Razor/hair clipper) ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

ルームヒーター(Room heater) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

シンプルな携帯用照明器具(Simple portable luminaire)

○50以上の部品により設計

○ ○AS/NZS 60598.2 -

テレビジョン受信機 - CRTタイプ(Television receiver–CRT type) ○ ○ ○

AS/NZS 60065/

62368.1AS/NZS 60065

テレビ受信機 - 非CRTタイプ(Television receiver–non CRT type) ○ ○ ○

AS/NZS 60065/

62368.1AS/NZS 60065

【出典】 AS/NZS 4417.2:2018/2012 Regulatory compliance mark for electrical and electronic equipmentを基にみずほ情報総研が作成

※赤字はレベルの引き上げ、青字は引き下げがあったもの。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○Level2および3 equipmentに分類されているLiB搭載機器(3/3)

品目2018 2012 適用規格

AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 AU Level 3 NZ Level 3 AU Level 2 NZ Level 2 2018 2012

工具 - 携帯型(Tool—portable type) ○ ○ ○ ○ ○

AS/NZS 62841.260745.2

3160

AS/NZS 60745.2

3160

掃除機(Vacuum cleaner) ○ ○ ○ ○

AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

バッテリ駆動工具 - 携帯型(Battery operated tool – portable type)

○ ○AS/NZS 60745/

62841.1AS/NZS 60745

バッテリ駆動のホバーボート(自己バランス型乗物)(Battery powered self-balancing personal transport device)

○AS/NZS 60335.2 -

住宅用ガレージドアの駆動装置(Drive for garage doors for residential use)

○ ○AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

ゲート、ドア、窓を水平または垂直に移動するための駆動装置(Drive for horizontally and vertically moving gates, doors and windows)

○ ○AS/NZS 60335.2

AS/NZS 60335.2

電気作動式玩具(Electrically operated toy) ○ ○

AS/NZS 62115

AS/NZS 62115

リチウムイオン/ポリマー電池(Lithium-ion/ polymer battery) ○

IEC 62133-2 -

【出典】 AS/NZS 4417.2:2018/2012 Regulatory compliance mark for electrical and electronic equipmentを基にみずほ情報総研が作成

※赤字はレベルの引き上げ、青字は引き下げがあったもの。

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(18) 豪州/ニュージーランド

○豪州ニューサウスウェールズ州の電気用品安全基準

豪州ニューサウスウェールズ州は、EESS制度に対応しておらず、独自の安全基準を用いている。

2017年施行の、ガスおよび電気(消費者安全)法2017第15号(Gas and Electricity (Consumer Safety) Act 2017 No 15)と、その実施内容を規定した、ガスおよび電気(消費者安全)規制2018(Gas and Electricity (Consumer Safety) Regulation 2018)は、ガスおよび電気製品とサービスに関する消費者の安全を規制することを目的としている。

同法では、製造、輸入、販売事業者が電気用品を流通させる場合、一部の製品は①州の認証、②他の州/準州の認証、③承認された外部承認スキームに基づく認証を受けなければならず、認証を受けたことを示すマークの表示が義務付けられている。現在、認証が義務付けられているのは62品目である。これら62品目以外の製品は認証が不要である。なお、ノートPCやスマートフォンといったLiBを搭載した情報技術機器は現在認証の対象外である。

①は、ニューサウスウェールズ州における認証、②は他の州/準州、あるいは連邦機関であるNATA(National Association Testing Authority)の認証(RCMマークの付与)、③はニューサウスウェールズ州が認定したUL International New ZealandやTUV Rheinland Australia Pty Ltdといった13機関による認証である。

【出典】Gas and Electricity (Consumer Safety) Act 2017 No 15:https://www.legislation.nsw.gov.au/#/view/act/2017/15 (2019年2月20日閲覧)Gas and Electricity (Consumer Safety) Regulation 2018:https://www.legislation.nsw.gov.au/#/view/regulation/2018/501 (2019年2月20日閲覧)JETRO、JET、JQA発行資料を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(19) IEC 近年のマルチメディア技術の進歩により、コンピューター、音響映像機器、その他の新しい情報技術

機器が相互接続され、互換性を有するようになり、既存の規格(IEC 60950-1、IEC 60065)の内容がこれら技術に追い付いていないことを背景に、それらに置き換わる新しい規格として、 2010 年にIEC62368-1第1版が策定・発行された。

IEC62368-1は、人体への傷害を防ぐ「ハザード・ベース・セーフティ・エンジニアリング(HBSE)」という概念をベースに開発されている。

HBSEは、熱や電気、放射など、機器が内包するエネルギー源とそれが人体に伝わる経路を認識し、その伝達経路を遮断する「セーフガード」を設けることで傷害の発生を防ごうという概念。

エネルギー源を人体への影響の度合いに応じて3段階(クラス1~3)に分類、傷害を受ける可能性のある対象者をエンドユーザー、サービスマンなどの専門家、ある程度知識を持ったユーザーの3つに分け、計9通りのセーフガードを規定している。

IEC62368-1は、情報技術機器、事務機器、音響/映像機器、通信機器およびこれらの複合機器の安全規格である。2010年の第1版が発行、2014年に第2版、2018年に第3版が発行されている。

第2版は、第1版の実使用に向け内容の改訂を行ったもので、 ECは2014年に、整合規格EN62368-1として採用している。また、旧EN規格(EN 60065およびEN 60950-1)は2020年12月にEN 62368-1:2014に完全に置き換えられることがアナウンスされている。

第3版は、第2版から次のような新しい要求事項を含んでいる。

• 一般の利用者による、交換可能な電池の極性の逆接続の防止。

• 電池および電池セルに対するIEC規格の整合(LiB関連では、IEC 62133-2、IEC 62619)• 一般の利用者による、交換可能な電池を搭載した機器の指示セーフガードについて「誤ったタイプの電池に交換した場

合は、爆発する危険がある」または同等の文章 等

【出典】UL Japan発行資料、日本経済新聞記事を基にみずほ情報総研が作成

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【1.海外における規制動向調査】1.2 海外における規制動向

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(20) 国際連合

危険物輸送に関する勧告

危険物輸送に関する勧告(Recommendations on the Transport of Dangerous Goods)は、危険物の輸送に関する各国および国際規則に統一性を持たせ輸送の安全を図るため、国際連合経済社会理事会(ECOSOC)の危険物輸送および分類調和専門家委員会(CETDGGHS)が策定した勧告である。その表紙の色から、別名「オレンジブック」と呼ばれている。

勧告自体は法的拘束力を持たないが、国連の各専門機関が作成する危険物輸送モード(陸、海、空)ごとの規則は、この勧告の改定に伴って整合性を保つよう随時改定されている。国連加盟各国はこの内容に沿って国内規則を整備するよう勧告する。

この勧告は、危険物の運送の際に使用すべき品名、国連番号(UN no.)、危険物クラス(Hazard Class)、容器、包装などを定めている。危険物クラスは9あり、LiBはクラス9(その他の有害物質)に区分されている。

試験方法および判定基準のマニュアル

• 1986年に別冊として「試験方法および判定基準のマニュアル」 (Recommendations on the transport of dangerous goods : manual of tests and criteria)が刊行、最新版は2015年発行の第6版である。

• リチウム一次電池およびLiBの航空輸送時にあたっての安全性試験が、同マニュアルのPart IIIの§38.3に記載されており、LiBの航空輸送時の安全性試験規格「UN38.3」と一般的に呼ばれている。

• UN38.3(国連勧告輸送試験)は、LiBの品質や製品規格ではなく、「輸送時の安全維持」が目的とされ、合格には試験項目のうち、全セルあるいは全組電池が各試験で合格判定になる必要がある。試験はT1~T8で構成され、T1~T5は同一電池で実施、T7は組電池、T8は単電池が対象とされている。

UN/ECE R100.02 Part 1(電気安全に関する要求事項)

国連欧州経済委員会(UNECE)が所管する、電池式電気自動車に係る協定規則No.100の02シリーズである。

T1 低圧 航空輸送時の低圧状態を想定

T2 温度 極端な温度変化を想定した試験

T3 振動 輸送振動を想定した試験

T4 衝撃 輸送時の衝撃を想定した試験

T5 外部短絡 外部短絡を想定した試験

T6 衝突/圧壊 重量物による衝突を想定した試験

T7 過充電 過充電状態の耐久力を評価

T8 過放電 過放電後の転極を想定した試験

【出典】国際連合: Recommendations on the Transport of Dangerous Goods: manual of tests and criteria Sixth revised edition(2015)JETRO:危険物国際輸送における留意点:日本 https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010148.html(2019年1月10日閲覧)国立国会図書館:危険物輸送に関する国際的な取り決め https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/1-2-2013320-the.php(2019年1月10日閲覧)を基にみずほ情報総研が作成

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1.3 海外における規制動向調査のまとめ

76

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【1.海外における規制動向調査】1.3 海外における規制動向のまとめ

77

米国、カナダ、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン、韓国、中国、台湾、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、豪州/ニュージーランド、国連およびIECを対象に、各国政府や国際機関が策

定したLiB搭載機器の安全性に関する規制について根拠法令や規制対象範囲などの詳細の動向について調査した。

あわせて規制制定の背景となった、あるいは今後、影響を及ぼす可能性のある事故事例について、OECD、欧州、米国、豪州の直近10年分の事故事例の調査を行った。

調査対象の多くの国において、国際規格であるIEC規格を技術基準として採用していることが分

かった。また、米国、カナダあるいは豪州のような連邦制の国においては、州によって規制内容が異なり、より規制が強化された州においては、UL規格等への適合を製造・販売の必須条件としていることが分かった。

また豪州や台湾等では、電気用品の安全性を技術的な知見に基づき3段階でレベル分けし、各レベルに応じた認証を行うなど、効率的と考えられる規制を行っている国もあった。

事故事例の調査においては、LiBを搭載したノートPCやホバーボードの普及に応じて事故の件数が増加し、追随する形でLiBを意識した規制の改正が行われていることが分かった。

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【2.BMSに関する技術動向調査】

78

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【BMSに関する技術動向調査】

BMSに関する技術動向調査の方針

【調査の全体方針】

BMSに関して、技術上の基礎から解説した学術書を初めとして、開発事業者が発行している技術報告書、学会誌掲載の論文等を対象にデスクトップ調査を行った。

デスクトップ調査で不足している内容を、電子メールや電話を含めたインタビュー調査によって補完した。

調査においては、LiB自体ではなく、LiB搭載機器の安全性確保に関する点に着目して調査項目を設定し、基礎資料となるよう調査結果を整理した。

【調査結果の整理方針】

LiBの特徴整理

なぜBMSが必要なのか?

BMSの役割

LiBの特徴に起因してBMSが果たすべき役割を整理

BMSの要素技術、および最新動向

BMSを構成する技術要素を分解し、技術動向を含め整理

79

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2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

80

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

(1)LiBの原理と特徴

○LiBの動作原理

リチウムイオンLi+が、正極(+極)と負極(-極)の間を移動することにより、充放電が行われる。

充放電反応は電極活物質と電解液の界面(反応界面)で起こり、活物質がLiを吸収・放出する。

電極活物質内部では、Liが拡散により移動する。

81

例)放電時の動作

①外部回路からの要請によって、活物質にe-を放出し、負極活物質内のLiが反応界面で酸化反応を起こす

負極反応:LixC ⇔ C + xLi++ xe-

②反応と同時に電解液中にLi+が放出される

③Li+イオンが電解液中を通じて正極へ移動

④正極活物質の反応界面において、Li+が活物質からe-

を受取り還元反応を起こして正極活物質内へ吸収

正極反応:Li1-xMO2 + xLi+ + xe- ⇔ LiMO2

(MはNi、Co、Mn等の遷移金属)

⑤吸収されたLiは拡散によって更に活物質内部へ移動

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

(1)LiBの原理と特徴

○LiBを構成する材料

正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータが主要な材料で「主要4部材」と呼ばれる。

電極活物質は、Li+を吸蔵・放出可能で、電子も通すことができる材料。

電解液は、Li+イオンは通すが電子は通さない材料。

セパレータは、電解液を含浸させることでLi+イオンを通し、正極と負極の短絡を防止する。ため電子を通さない材料、高温になると溶融してLi+イオンの伝導を遮断するものもある。

その他の材料には、以下のようなものがある。 集電箔 ・・・電流を集めるための金属箔(銅箔やアルミ箔)

導電助剤 ・・・電極の電気伝導性を高める材料

バインダ ・・・活物質、導電助剤、集電箔を結着させる材料

主要4部材を下表に例示する。

82

部材 材料の例示(LiBの材料としては研究段階の材料を含む)

正極活物質 LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、三元系(Ni-Mn-Co、Ni-Co-Al)負極活物質 炭素系(黒鉛)、酸化物系(Li4Ti5O12)、Li合金系(Li-In)、金属Li系電解液 有機電解液、ゲルポリマー系、固体電解質系、イオン液体系

セパレータ ポリエチレンやポリプロピレンなどを基材とした微多孔膜

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

(1)LiBの原理と特徴

○LiBの主要な構造

LiBのセル(単電池)構造は、2種類存在

巻回構造・・・負極・セパレータ・正極のシートを合わせて巻き取る。

積層構造・・・負極・セパレータ・正極のシートを積層する。

LiBの形状は3種類存在

円筒形・・・内部は巻回構造のみ。

角形・・・一般的には内部は巻回構造(積層構造も可能)。

ラミネート形・・・一般的には内部は積層構造(巻回構造も可能)。

共通事項として、セパレータは面積が大きく、正極より負極の方が電極面積が大きい。

セパレータが最も大きいのは、正極と負極が接触することによる短絡を防止するため。

充電時における負極へのLi析出を防止するため(正極の対向部に負極がないとLiが析出する危険性大)。

83

セルの断面模式図

負極

セパレータ

正極

ラミネート形(積層構造)の例【画像出典】次世代自動車用リチウムイオン電池

(オートモーティブエナジーサプライ)

https://www.jsae.or.jp/~dat1/mr/motor28/mr2807.pdf

角形(巻回構造)の例【画像出典】リチウムイオン電池概要説明資料(パナソニック)

https://industrial.panasonic.com/cdbs/www-data/pdf/ACA4000/ACA4000PJ3.pdf

円筒形(巻回構造)の例【画像出典】リチウムイオン電池概要説明資料(パナソニック)

https://industrial.panasonic.com/cdbs/www-data/pdf/ACA4000/ACA4000PJ3.pdf

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

(1)LiBの原理と特徴

LiBの特徴(メリット)・・・他の蓄電池と比較して性能がよい ⇒ 広く普及

エネルギー密度、出力密度が高い(軽量で高容量、高出力)

サイクル特性(充放電の繰り返しによる劣化度合い)が良好

自己放電量が小さい、など

LiBの特徴(デメリット)

LiBは発火の危険性を有する部材を含む。 電解液 ・・・可燃性の有機溶媒でできている。

電極 ・・・正極材料は高温になると酸素を放出、負極にLiが析出すると発火の危険性増大、など。

LiBの事故を防ぐためには、安全性を担保する機能がLiBの内外に必要(後述) LiBセル内部の安全機構

過電流防止装置、電流遮断装置、防爆弁、熱溶融性セパレータ、など

LiBを外部から保護する機構(このうち、保護回路のBMSが今回の主な調査対象)

外装ケース、冷却装置、保護回路、など

保護機能まで含めると、エネルギー密度が低下し、コストも増大する。 セルのコストの積上げ ≠ モジュール、パックのコスト ⇒ コスト最適にLiBを保護したい。

84

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

85

(2)LiBにおける事故の原因となる現象

○モバイルバッテリの発火事故におけるFT図

LiBの内部ショートから発火に至るシナリオは、複数の要因が存在し、いずれの要因単独でも発火に至る(ORゲート)ため、効果的な対策が取りにくい。

LiB自体ではなく、LiB周辺の電子回路基板が発火するケース(回路への過剰電流、等)も存在する。

【出典】(独)製品評価技術基盤機構、「平成28年度商品取引・製品安全に係る事業(リチウムイオンバッテリー等に係る安全性の評価・分析事業)」調査報告書、平成29年3月

LiBの内部ショート

回路基板からの発火

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

86

(2)LiBにおける事故の原因となる現象

○熱暴走・・・発火・爆発につながる

内部の化学反応による発熱が放熱を上回ると、電池温度が上昇、更に化学反応が加速する現象。

温度が一定以上上昇すると発火現象につながる(例:有機溶媒の発火点)。

LiBの使用方法が適切でない場合、温度が上昇して充放電に関係しない化学反応も起こり得る。

例えば、温度が上昇すると電解液の熱分解反応が起きてガスが発生する。ガス発生はLiBの内圧を上昇させるだけでなく、発熱反応であるため更に温度が上昇、熱暴走に至る危険性が増大する。

温度上昇の引き金となる事象には、機械的な原因(落下時の衝撃等によってLiBが損傷して短絡する、等)や電気的な原因(過充電によって電位が上昇し正極と電解液が反応する、等)、周囲環境の原因(高電流時に発生する熱が放熱されず電池温度が急激に上昇、等)が挙げられる。

【出典】各種公知文献を参考にみずほ情報総研が作成時間

温度

熱暴走

負極・電解液の反応

電解液の熱分解反応

正極・電解液の反応

熱溶融性セパレータによるシャットダウン、等

電極の熱分解反応

正極・負極の短絡、酸素との反応酸素発生

発火・爆発

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

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(2)LiBにおける事故の原因となる現象

○内部短絡(ショート)

LiBの内部が内部短絡を起こすと、局所的に大電流が流れて温度が急激に上昇、熱暴走に至る。

内部短絡の主要因は、①損傷・変形、②製造不良、③金属リチウムの析出(デンドライト成長など)。

①損傷・変形とは、例えば落下や外力等によってセパレータの損傷、正極負極集電板の接触、等による短絡。

②製造不良とは、例えば製造時に微小な金属片等の電気伝導性の高い異物が混入すること、等による短絡。

③金属Liの析出は、低温状態(0℃以下)や高SOCで充電を行うとLiが負極内部に吸収される速度が遅くなるため、外部電流の要請を満たすためにLiが析出することがある。また、高電流充電では活物質内のLiの拡散と比較して、電解液中のLi+の輸送が速いため同様にLiが析出することがある(下図にメカニズムの概要を記載)。

【出典】J. Electrochem. Soc., 163, A1232(2016)などの公知文献を参考にみずほ情報総研作成

低温条件時のLi析出 高電流充電時のLi析出 満充電(高SOC)時のLi析出

※より厳密に説明するならば、上記3条件のときにLiの溶解析出電位まで到達することで、金属Liの析出反応が起こる。

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(2)LiBにおける事故の原因となる現象

なぜBMSが必要なのか?

LiBは発火の危険性を有する部材が含まれており、使い方や周囲の環境が適切でない場合、発火・爆発事故に至る危険性がある。

LiBは機器側からの電流の要請に対して「受け身」の状態であるため、外部からの保護が不可欠である。

LiB内部には、複数の保護機構がかかっている(電安法での規制あり)

しかしながら、外部からの保護には技術的なハードルも存在する(電安法での規制なし)

LiBの事故対策における技術的ハードル

「外部からの状態監視に基づく保護」のうち、電池の内部状態を表す指標を直接計ることができないため、LiBの状態監視は単純ではない。

LiBは材料やその組み合わせ、セルの設計に応じて特性(安全性含む)が大きく異なる。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

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(3)LiBの事故対策における技術的ハードル

LiBの内部状態を監視するのは困難

簡易な方法によるLiBの状態監視では不十分である。 電圧監視

電圧と内部状態の関係が複雑であり、電圧を監視しても内部状態がわからない。

電流監視

充放電された電気量をクーロンカウンターなどでカウントすれば、LiBの充電状態(残容量)を推定可能。

しかし、電気量のカウントに誤差が存在すると、充放電を繰り返すうちに誤差が蓄積してしまう。

たとえば、1回のカウントに0.1%の誤差でも、100回充放電を繰り返すと最大10%も誤差が蓄積。

LiBの挙動は構成する材料や電池容量によって大きく異なる。

材料の違いでLiBの振る舞いが変わる。

電池容量によってもLiBの振る舞いが変わる。

電池の特性を表す主要な指標。 レート特性

電流値の違いが電圧挙動や電池容量にあたえる違い。

温度特性

温度の違いが電圧挙動や電池容量にあたえる違い。

サイクル特性

電池の繰り返し充放電が、電池挙動や電池容量にあたえる違い。

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

90

25℃時のレート特性

(大電流で取り出すと容量を全て使いきれない)

※“C”とは、充放電の電流[A]と電池容量[Ah]の関係を表す表記

⇒1.0Cは1時間で容量を使い切る電流値を表す(2.0Cは30分、0.2Cは5時間相当)

⇒電池容量を規定する電流値が存在(0.2Cで定格容量を規定するのが一般的)

0.1C放電時の温度特性

(低温になると容量を全て使いきれない)

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル

電圧

[V]

放電容量 [mAh]

0.05C放電

0.10C放電

0.50C放電

1.0C放電

3.0C放電

5.0C放電

10.0C放電

SOC100% 0% SOC100% 0%

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル

電圧

[V]

放電容量 [mAh]

40℃充放電

0℃充放電

-10℃充放電

-20℃充放電

(3)LiBの事故対策における技術的ハードル

○LiBのレート特性、温度特性の例

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

91

(3)LiBの事故対策における技術的ハードル

○LiBのサイクル特性の例

サイクル特性

(充放電を繰り返すと電圧と容量が低下する)

※電圧低下は電池の内部抵抗増加が主要因。容量低下は内部抵抗増加の影響のほか、LiBの素性に応じて様々存在

3.23.33.43.53.63.73.83.94.04.14.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル電圧

[V]

放電容量 [mAh]

1 cycle50 cycle100 cycle150 cycle200 cycle250 cycle300 cycle350 cycle400 cycle450 cycle500 cycle

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

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(3)LiBの事故対策における技術的ハードル

○LiBの電池設計の影響(例:電極の厚み違いがレート特性に与える影響)

高出力タイプLiBのレート特性

(電流値が高くても電圧低下しにくい)

高容量タイプLiBのレート特性

(電流値が高いと電圧低下しやすい)

※“C”とは、充放電の電流[A]と電池容量[Ah]の関係を表す表記

⇒1.0Cは1時間で容量を使い切る電流値を表す(2.0Cは30分、0.2Cは5時間相当)

⇒電池容量を規定する電流値が存在(0.2Cで定格容量を規定するのが一般的)

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル電圧

[V]

放電容量 [mAh]

0.05C放電

0.10C放電

0.50C放電

1.0C放電

3.0C放電

5.0C放電

10.0C放電

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 1000 2000 3000 4000 5000

セル

電圧

[V]

放電容量 [mAh]

0.05C放電

0.10C放電

0.50C放電

1.0C放電

3.0C放電

5.0C放電

10.0C放電

SOC100% 0% SOC100% 0%

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(3)LiBの事故対策における技術的ハードル

○代表的な電極活物質の違いがLiBの特徴に与える影響

材料に応じて、性能や安全性に係る特性に違いがある。

電解液との組み合わせ、添加剤の有無によっても特性に違いが生じる。

したがって、事故対策にはそれぞれ最適なアプローチが異なる。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.1 LiBの特徴整理・・・なぜBMSが必要なのか?

93【出典】IRENA, ELECTRICITY STORAGE AND RENEWABLE: COST AND MARKET 2017(2017年10 月)

G. E. Blomgren, J. Electrochem. Soc., 163, A1232(2016)などの各種公知文献を参考にみずほ情報総研作成

※ここでの「安定性」とは熱的安定性、電気化学的安定性、機械的安定性等、電池の実作動条件における全劣化モードに対する安定性を意味する。

LCO NMC NCA LMO LFP LTO

正極 LiCoO2 LiNixCoyMn1-x-yO2 LiNixCoyAl1-x-yO2 LiMn2O4 LiFePO4 任意

負極 黒鉛系 黒鉛系 黒鉛系 黒鉛系 黒鉛系 Li4Ti5O12

メリット 製造が比較的容易。 高容量。LiCoO2と比較してCo含有量が低減されている。

高容量。Alで置換することで熱安定性を高めている。LiCoO2と比較してCo含有量が低減されている。

安定性が高く、材料に高価な金属を含まないため安価。

安定性が高く、サイクル特性も良好。出力も比較的取れる。

安定性が高く、サイクル特性も良好。負極側の電位が高くなるため、Li析出のリスクが低くなる。

デメリット 熱的安定性が低い。Coの含有量が高いため、資源リスクが指摘されている。

組成に応じて特性が変わる。LiBの内部状態推定が比較的難しい。合成が難しい。

組成に応じて特性が変わる。LiBの内部状態推定が比較的難しい。合成が難しい。

比容量が小さいため、エネルギー密度は低めとなる。

放電電圧が低く、(3.4V程度)エネルギー密度は低めとなる。

放電電圧が低く、比容量も黒鉛系と比較すると小さい。

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2.2 BMSの役割

94

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.2 BMSの役割

95

(1)BMSの役割と基本的な機能

BMSの基本的な役割は、LiBの適正な運用を実現すること。

LiBは適正に運用しなければ、爆発や発火事故につながる。

事故に至らなくても、LiBの適正な運用は性能の維持にも有用である。

BMSの役割から、基本的な目的・機能に分解すると以下の3点である。

電池の安全性確保のための制御

電池の性能確保のための制御

電池の寿命確保のための制御

LiBの性能確保、寿命確保は、安全性確保にも直結する。

たとえば、過度な劣化は熱暴走のリスクを増大させる場合がある。

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.2 BMSの役割

96

(2)BMSの基本的な機能

電池の安全性確保のための制御

過充電、過放電、などを防止するための制御

BMSが故障し、爆発や発火に至る可能性が生じた場合、充放電を停止させて安全性を確保することも重要である。

電池の性能確保のための制御

電池性能を適正に引出すための制御で、単純には正確な電池残量把握が重要である。

LiBは製造時の性能は同じでも、運用中にバラツキが生じる。

直列接続されている場合、電池セル間の残量違いの調整が必要な場合もある。

電池の寿命確保のための制御

たとえば、LiBは高温になると劣化反応が促進され、寿命が短くなる場合があるため、寿命確保のためには高温を避ける制御が必要である。

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2.3 BMSの要素技術、および最新動向

97

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

98

(1)BMSの要素技術(概要)

LiBのBMSを構成する技術は測定、状態推定、制御

LiBの測定技術

電圧・電流の測定、温度の測定、など

データ(履歴)の蓄積が有用な場合もある。

LiBの状態推定技術

測定データから、電池残量、劣化度などを推定する。

LiBの制御技術

充放電制御・・・過充電、過放電を防止する。

温度制御・・・LiBの温度を適正な範囲に保つ。

セルバランス制御・・・特に直列接続された電池間の電圧(残量)を均等に保つ。

測定、状態推定、制御は、ハードとソフトで実現される。

ハード・・・測定のためのセンサや状態推定、制御のための電子回路が必要。

ソフト・・・状態推定と制御にはソフト(アルゴリズム)が必要。

BMSの概念図

状態推定

測定 電圧測定、温度測定、等

残量推定、劣化度推定、等

温度制御、負荷制御、等

電流・電圧センサ温度センサ

制御

システムへ

記録

記録

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

99

(2)BMSによるLiBの監視技術

○LiBの監視(測定+状態推定)技術を4つに分類

電圧・電流測定・・・過充電、過放電、外部短絡等による過電流防止、等

温度測定・・・適正温度範囲で電池が充放電しているかを検出

不具合を防止するため、温度センサの値が適正温度範囲を逸脱した場合、充放電を停止、もしくは冷却システムを制御する。 ※小型電子機器は冷却システムがない場合が多い

温度の急激な上昇は、異常(内部短絡、等)の可能性があるため充放電を停止する。

異常検出・・・電池内部に異常が起こっていないかを検出

たとえば、急速充電時に大電流による充電が可能かを判断するため、事前に小さい。電流で充電(プリチャージ)し、電圧の挙動を確認して正常・異常を判断する。

電池の状態推定・・・直接計測できない電池の状態指標を検出

充電状態(State Of Charge; SOC) :充電率、電池残量に相当

健全度(State Of Health; SOH) :新品からの容量低下(劣化度)に相当

充放電可能電力(State Of Power; SOP) :入出力可能な電力に相当※SOCとSOHに依存

各社のノウハウが詰まっていることもあり、一般的にBMSの技術で話題になるのがこの「状態推定」関連技術となる。

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(2)BMSによるLiBの監視技術

○LiBの状態推定(SOC推定の例)

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル電圧

[V]

放電容量 [mAh]

0.05C放電

0.10C放電

0.50C放電

1.0C放電

3.0C放電

5.0C放電

10.0C放電

SOC100% 0%

SOC100% 0%

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル電圧

[V]

放電容量 [mAh]

40℃充放電

0℃充放電

-10℃充放電

-20℃充放電

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

100

スイッチオフ(開回路)

作動中のLiBは温度や電流値で電圧とSOCが一致しない

⇒ テーブル参照で把握する(データはLiBの諸元毎に用意する)

開回路電圧(Open Circuit Voltage; OCV)とSOCは1対1対応

同じ3.7Vでも様々な状態がある

開回路電圧からSOCがわかる

OCV

SOC 100%0%

レート特性

温度特性

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

101

(3)BMSによる制御技術

○LiBの制御技術を3つに分類

充放電制御・・・電圧・電流を規定の閾値内となるように制御

閾値を超えた場合、遮断やシステム負荷側の制御にフィードバック。

温度制御・・・温度が規定の閾値内になるように制御

必要に応じてシステム負荷の調整や冷却システムを制御する。

セルバランス制御・・・直列接続LiBのセル間の容量調整が必要な場合もある。

パッシブバランス制御

電圧が高いセルを放電用の抵抗に接続し、電圧を下げて他のセルと同じにする制御。

つまり、放電によって最も電圧の低いセルに合わせる方式。

シンプルであるが、LiBの容量を消費してしまう。

アクティブバランス制御

電圧の高いセルから低いセルへ電気エネルギーを移す。

つまり、低い電圧のセルに充電して、電圧を合わせる方式。

移動する際、別の蓄電デバイス(キャパシタ等)を経由する場合もある。

LiBの容量は消費しないが、制御に必要な回路が複雑化(高コスト化につながる)。

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(3)BMSによる制御技術

○ (ご参考)セルバランス制御

LiBの個体差や内部の温度ムラなどによりLiBの電圧(容量)にバラツキが生じると、過充電・過放電のリスクが高まる可能性がある。

3.5VSOC 60%

3.5VSOC 60%

3.7VSOC 65%

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

102

3.5VSOC 60%

3.5VSOC 60%

3.7VSOC 65%

アクティブバランス制御

・・・セル電圧の高いセルから低いセルへ移動する。

(回路が複雑)

パッシブバランス制御

・・・セル電圧の高いセルを放電する。

(回路が簡単。スイッチと抵抗があればよい)

放電抵抗

3.5VSOC 60%

3.5VSOC 60%

3.7VSOC 65%

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

103

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

BMSの要素技術のうち、特に重要なLiBの特性指標の推定技術について整理した。

SOC推定法の一例を下表にまとめる。

測定を含めた時間、精度、即時性(リアルタイム性)の観点から各技術を評価。

推定方法の概要は、測定と推定方法を簡単にまとめた(詳細は次頁以降)。

実際には、複数の方法を組み合わせることで精度と即時性の両立を図っている。

SOC推定法 精度 時間 即時性 推定方法の概要

充放電による測定 ◎ × × 定電流・定電圧で充放電を実行し容量計測。

端子電圧測定法 △ ○ ○ 閉回路電圧測定。温度や電流値の補正が必要。

OCV測定法 ○ △~× × 無負荷状態として、開回路電圧を測定。

電流積算法 △~× ○ ○ 充放電時の電流を積算。初期値と誤差蓄積が課題。

モデルによる推定 ○~△ ○ ○ 等価回路・物理モデルによる推定。構築が複雑。

【出典】「バッテリマネジメント工学 電池の仕組みから状態推定まで」などの公知文献を参考にみずほ情報総研作成

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充放電による測定 端子電圧測定法

• 定電流、定電圧で充放電を実行し、現時点での容量を計測。

• たとえば、満充電⇒完全放電⇒満充電と充放電を行うことで、セル実容量を計測。

• 測定時間がかかること、即時性がないこと。から、その他の推定方法との組み合わせで使用され、SOC推定精度を定期的に較正する用途で用いられる。

• 負荷につながれた状態である閉回路電圧を測定し、SOCを推定する方法。

• 電池作動中は、電圧とSOCが一対一に対応していないため、温度や電流値による補正が必要となる。

• テーブル参照による補正が簡易な方法(温度や電流値など条件毎に電圧とSOCの関係を用意しておく)。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

104

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOC推定法の説明

電圧とSOCの電流値依存性(レート特性に相当)

電圧とSOCの温度依存性(温度特性に相当)

SOC100% 0%

レート特性

SOC100% 0%

温度特性

同じ3.7Vでも様々な状態がある

セル電圧

時間

満充電

完全放電

充電 放電

実容量計測開始

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OCV測定法 電流積算法

• 無負荷状態(開回路)にした時の電圧である開回路電圧(Open Circuit Voltage; OCV)を測定。

• SOCとOCVは一対一対応の関係にあるため、OCV測定値からSOCの推定が可能。

• ただし、電圧がOCVとなるまで一定時間要するため、測定に時間を要し、即時性もない。

• 短時間の電圧変化からOCVを類推する方法もある(体温計と似た原理)。

• 充放電時の電流値を積算し、電気量を計算(電流値[A]×時間[秒]=電気量[C])することでSOCを推定する方法。

• 初期値と誤差蓄積が課題であり、他の手法との組み合わせにより、精度を改善する必要がある。

• 測定誤差を改善する取り組みもあり、たとえば米国では過去に充放電時における電気量の測定精度向上(±0.005%)を目指した国の研究開発プロジェクトが存在。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

105

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOC推定法の説明

OCV

SOC 100%0%

セル電圧

時間

閉回路 開回路

速い応答(オーム損失分の回復)

OCV遅い応答(Li+イオン濃度勾配の回復、等)

SOCとOCVの関係 セル電圧からOCVになるまでの時系列変化イメージ

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モデルによる推定

• 推定対象となるLiBと同様の振る舞いをする仮想的なLiB(モデル)を、等価回路や物理現象に基づく方程式で表現し、SOCの推定に用いる方法。

• LiBの諸元毎にモデル構築やパラメータの決定が必要であり、開発と運用が複雑。

• 近年、統計的手法や機械学習を活用した推定に関する研究も行われている。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

106

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOC推定法の説明

Rin

Ract. Rconc.

Cact. Cconc.

R1 R2

C1 C2

Rn

Cn

テブナン型 2分極モデル フォスター型

rLi

Li+

rLi

Li+

• 電気化学反応• 電解質内のLi+輸送(泳動、拡散)• 活物質内のLi輸送(拡散)など、LiB内部の現象をモデル化

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

107

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

BMSの要素技術のうち、特に重要なLiBの特性指標の推定技術について整理した。

SOH推定法の一例を下表にまとめる。

測定を含めた時間、精度、即時性(リアルタイム性)の観点から各技術を評価。

SOHは内部抵抗に依存することから、内部抵抗の推定方法も記載。

推定方法の概要は、測定と推定方法を簡単にまとめた(詳細は次頁以降)。

実際には、複数の方法を組み合わせることで精度と即時性の両立を図っている。

SOH推定法 精度 時間 即時性 推定方法の概要

充放電による測定 ◎ × × 定電流・定電圧で充放電を実行し容量計測。

交流インピーダンス法 ◎ ○ × 内部抵抗を測定。専用の測定装置が必要。

IV特性による推定 △ ○ ○IV特性(電流-電圧特性)の傾きから内部抵抗を推定。温度、SOC、劣化による補正が必要。

ステップ応答による推定 ○ × ×電流をステップ的に変化させたときの電圧過渡応答から内部抵抗を求める。電圧緩和時間が必要。

充放電曲線解析法 ○~△ ○ ○ 充電曲線のプロファイルから推定。

モデルによる推定 △~× ○ ○ 等価回路・物理モデルによる推定。構築が複雑。

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充放電による測定 交流インピーダンス法

• 定電流、定電圧で充放電を実行し、現時点での容量を計測。

• 初期容量からの容量低下からSOHを評価。• LiBの諸元によっては、充放電の履歴を蓄積することでSOHを評価することができる場合もある。

• 単一周波数の交流を印加することにより、インピーダンスを測定する。

• 専用の測定装置が必要。• 内部抵抗の周波数特性を取得することにより、抵抗成分を分離することも可能(電気化学的インピーダンススペクトロスコピー)で、等価回路にフィッティングすることで内部抵抗を分離することができる。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

108

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOH推定法の説明

R’

R Rin

Ract. Rconc.

Cact. Cconc.

内部抵抗の周波数依特性(電気化学的インピーダンススペクトロスコピー)

等価回路フィッティング(回路定数の決定)

内部抵抗の分離

3.23.33.43.53.63.73.83.94.04.14.2

0 500 1000 1500 2000 2500

セル

電圧

[V]

放電容量 [mAh]

1 cycle50 cycle100 cycle150 cycle200 cycle250 cycle300 cycle350 cycle400 cycle450 cycle500 cycle

初期容量現在の容量

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IV特性による推定 ステップ応答による推定

• レート特性からSOC毎に、電流-電圧特性(IV特性)を作成し、その傾きから推定。

• 必ずしもIV特性が線形近似可能とは限らなないため、推定精度を担保するためには温度、電流値等による補正が必要。

• 電流をステップ的に変化させたときのセル電圧過渡応答から内部抵抗を求める方法。

• 特定の電流パターンを与えることが必須になるほか、電圧応答を計測する時間も必要となり、これらは電池の諸元や使用条件に依存する。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

109

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOH推定法の説明

線形近似を仮定すると・・・•傾き=内部抵抗 [Ω・m2]•切片=開回路電圧 [V]

充放電曲線(レート特性)横軸:SOC縦軸:セル電圧凡例:電流値

IV特性のSOC依存性横軸:電流値縦軸:セル電圧凡例:SOC

セル電圧

時間

開回路 閉回路(一定電流)OCV

電圧降下幅

計測時間

内部抵抗は・・・内部抵抗[Ω]=電圧降下幅[V]÷電流値[A]

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充放電曲線解析法 モデルによる推定法

• 充放電曲線のプロファイルから劣化度や実容量を推定する方法。

• 充放電曲線データから、回帰式やモデルを用いてフィッティングを行い、SOHを推定。

• 電極材料の特性データから取得が必要な手法(電池メーカは保有しているデータ)や材料の素性がわからなくても、電池の全体特性の取得のみで運用可能な手法(電池ユーザが取得可能なデータ)など、様々な方法が存在する。

• 推定対象となるLiBと同様の振る舞いをする仮想的なLiB(モデル)を、等価回路や物理現象に基づく方程式で表現し、SOHの推定に用いる方法。

• LiBの諸元毎にモデル構築やパラメータの決定が必要であり、開発と運用が複雑。

• 近年、統計的手法や機械学習を活用した推定に関する研究も行われている。

【2.BMSに関する技術動向調査】2.3 BMSの要素技術、および最新動向

110

(4)BMSの要素技術に関する最新動向

○ SOH推定法の説明

Rin

Ract. Rconc.

Cact. Cconc.

R1 R2

C1 C2

Rn

Cn

テブナン型 2分極モデル フォスター型

rLi

Li+

rLi

Li+

• 電気化学反応• 電解質内のLi+輸送(泳動、拡散)• 活物質内のLi輸送(拡散)• 劣化反応(内部抵抗上昇、電解液分解、等)など、LiB内部の現象をモデル化

参考文献:森田ら, 「内部状態推定法により電池の健全性を可視化する充電曲線解析法」, 東芝レビュー, Vol.68, p.54, 2013年有馬ら, 「リチウムイオン蓄電池の経済推定モデルの検討」, エネルギー・資源学会論文誌, Vol.39, No.3, p.11, 2018年

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2.4 BMSの技術動向調査 まとめ

111

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【2.BMSに関する技術動向調査】2.4 まとめ

112

LiBの特徴整理(なぜBMSが必要なのか?)

LiBは発火の危険性を有する部材が含まれており、使い方や周囲の環境が適切でない場合、発火・爆発事故に至る危険性がある。

LiBは機器側からの電流の要請に対して「受け身」の状態であるため、外部からの保護が不可欠である。

LiBを構成する材料によって、性能や安全性に係る特性が異なるため、事故対策にはそれぞれ最適なアプローチが異なる。

BMSの役割

BMSの基本的な役割は、LiBの適正な運用を実現することである。

主に「安全性確保」、「性能確保」、「寿命確保」の3点が重要であり、性能確保、寿命確保は安全性の向上にもつながる。

BMSの要素技術、および最新動向

BMSを構成する要素技術は測定、状態推定、制御の3つであり、ハードとソフト(アルゴリズム)によって実現される。

状態推定技術には様々な方法があり、特に重要なLiBの状態指標であるSOC推定法、SOH推定法について本調査で整理した。

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】

3.1 調査対象基準・規格

113

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象候補基準・規格の選定

海外におけるLiB搭載機器の安全性確保のために適合性確認が求められる基準や規格について、IEC、ANSI、EN、GBなどの国際規格および国家規格等に加え、UL、IEEEなど影響力の大きい団体規格を対象に、公開されているタイトルや概要から、以下の観点から調査対象候補基準・規格を選定した。

LiB搭載機器を対象したものと考えられるもの。

将来、電気用品法の安全規制の対象となることが想定されるもの。

LiB自体を対象とした基準・規格であっても、本来はLiB搭載機器に実装されるべき保護回路等の要件が規定されている可能性のあるもの。

上記の観点により選定した、調査対象候補基準・規格を次頁以降に示す。

114

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象候補基準・規格一覧

115

国等 発行・実施機関等 文献・文書名

国際 IEC(国際電気標準会議) ・IEC 60950-1(情報技術機器の安全性:一般要求事項)・IEC Guide 112(マルチメディア機器の安全ガイド)・IEC 60065(オーディオ、ビデオ及び類似機器の安全性要求事項)・IEC 62368-1(オーディオ、ビデオ、情報及び通信技術機器の安全性要求事項)※IEC 60950-1及び60065の対象製品を集約することを目的に開発された新しい国際規格。2020年に発効予定。

・IEC 61508-2(電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の要求事項)・IEC 60034-22(往復内燃(RIC)機関駆動発電セット用の交流発電機)・IEC 60335-2-15(家庭用及び類似用途の電気機器-安全性:液体加熱機器の特定要求事項)※2008年の第5版に対し、コードレスケトルの要求事項を拡張し、コードレス製品全体をカバーした。

国際 ISO(国際標準化機構) ・ISO/IEC Guide51(安全に関する国際規格作成上の指針)※JIS Z. 8051として採用。・ISO 7176-14(電動車いす及びスクータの駆動及び制御システム-要求事項及び試験方法)・ISO 8528-3(往復内燃機関駆動交流発電機)

米国 UL ・UL 991(バッテリー・マネジメントシステム)・UL 1642(リチウムイオン電池)・UL 1647(モーター駆動のマッサージ器及びエクササイズ器)・UL 1998(プログラマブル電子安全関連系)・UL 2054(バッテリーパック)・UL 2056(パワーバンク)・UL 2272(個人用eモビリティ機器)・UL 2595(電動工具用)・UL 2743(ポータブル電源パック)・UL 2849(電気自転車、電動アシスト自転車(EPAC自転車)、電動スクーター、及び電動バイク)・UL 3030(無人航空機(UAV))・UL 3100(無人搬送車(AGV))・UL 8139(電子タバコ)・UL 9540(蓄電システム)・ほか、IEC 60950-1、60065、61508-2がUL 60950-1、60065、61508-2としてそれぞれ採用されている。

<調査対象候補の海外の基準・規格の一覧>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象候補基準・規格一覧

116

国等 発行・実施機関等 文献・文書名

米国 ANSI ・ANSI C18.3M, Part 2-2017(LiBを含むポータブル電池)・ANSI/ISA 12.12.01(情報技術機器) ※UL1604の採用。

米国 ASTM ・ASTM Standard F2910-14(小型無人航空機の設計・製作基準)・ASTM Standard F3005-14a(無人航空機のバッテリー)

欧州 EN規格 ・EN 60950-1(情報技術機器の安全性:一般要求事項)・EN 60065(オーディオ、ビデオ及び類似機器の安全性要求事項)・EN 62368-1(オーディオ、ビデオ、情報及び通信技術機器の安全性要求事項)・EN 61508-2(電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の要求事項)・EN 12184(電動車いす、スクーター及び充電器:要求事項と検査方法)・EN 15194(自転車。電動アシスト自転車)

ドイツ ドイツ工業規格(DIN) ・EN規格あるいはISO規格を採用し、各国語に翻訳の上、認証機関が認証を行っている。

英国 英国規格(BS)

フランス フランス規格(NF)

イタリア イタリア規格(CEI)

スペイン スペイン規格(UNE)

韓国 技術標準院(KATS) ・KS 60950-1(情報技術機器) ※IEC 60950-1を採用・KS 60065(オーディオ、ビデオ及び類似機器) ※IEC 60065を採用※適合性が認められた製品は、KC/KCsマークが付与される。

<調査対象候補の海外の基準・規格の一覧(続き)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象候補基準・規格一覧

117

国等 発行・実施機関等 文献・文書名

中国 全国電子製品安全標準化技術委員会

・GB/T 5226.33-2017(電気機器安全)・GB 31241-2014(リチウムイオン蓄電池)・GB 8898(音響映像機器) ※IEC 60065を採用・GB 4943(情報処理機器、電気通信端末設備) ※IEC 60950-1を採用・GB 3883(電動工具(携帯型含む))・GB 7000(照明器具(携帯型含む)) ※IEC 60598-1を採用※これらの基準・規格は一部台湾でも採用されている

台湾 経済部標準検験局(BSMI) ・CNS 13438、CNS15425-1、CNS 15663第5節「含有表示」(電動二輪車、電動アシスト自転車の充電器)・CNS 15387、CNS 15424-1、CNS 15424-2(電動二輪車、電動アシスト自転車のバッテリーシステム)・CNS 14336-1(情報技術機器) ※IEC 60950-1を採用

インド IS(Indian Standard) ・IS 13252:2010(情報技術機器) ※IEC 60950-1を採用・IS 616:2010(オーディオ、ビデオ及び類似機器) ※IEC 60065を採用

タイ TIS(Thai Industrial Standards)

・TIS 1561-2556(情報技術機器) ※IEC 60950-1、IEC62368-1を採用・TIS 1195-2536 (オーディオ、ビデオ及び類似機器) ※IEC 60065を採用

マレーシア

MS(Malaysia Standards) ・MS IEC 60950(情報技術機器) ※IEC 60950-1を採用・MS IEC 60065(オーディオ、ビデオ及び類似機器) ※IEC 60065を採用

インドネシア

SNI(Standard National Indonesia)

・SNI IEC 60950(情報技術機器) ※IEC 60950-1を採用・SNI 04-6253-2003(オーディオ、ビデオ及び類似機器) ※IEC 60065を採用

豪州 AS/NZS標準 ・AS/NZS 3760:2010(In-service safety inspection and testing of electrical equipment)・AS/NZS 4836:2011(Safe working on low-voltage electrical installations and equipment)

国際 IEEE(米国電気電子技術者協会)

・IEEE 1625-2008(IEEE Standard for Rechargeable Batteries for Multi-Cell Mobile Computing Devices)・IEEE 1725-2011(IEEE Standard for Rechargeable Batteries for Cellular Telephones)

<調査対象候補の海外の基準・規格の一覧(続き)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象候補基準・規格の選定

調査対象候補基準・規格を対象に、以下の観点により調査対象文献の絞り込みを行った。

LiBを意識した規定内容の有無。例えば、LiBについての言及がなく、充電池全般について規定している場合は調査対象外とした。

LiB自体を対象とした基準・規格については、本来はLiB搭載機器に実装されるべき保護回路等の要件の有無。要件がある場合は、調査対象とした。

IEC等の国家規格を採用した国内規格については、「1.海外における規制動向調査」においてデビエーションを調査することとし、本章においては調査対象外とする。

上記の観点により、調査対象候補基準・規格のスクリーニングを行った。スクリーニングの結果を次頁以降に示す。

118

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○IEC発行の調査対象候補基準・規格

IEC 60950-1 (ed2.2 2013-05) 多くの国で本規格に対する整合規格を作成しているため、調査対象とする。

IEC Guide 112 (ed4.0 2017-06) IEC 60065、IEC 60950、62368の案内で、技術的な内容を含んでいないため、調査対象外とする。

IEC 60065(ed8.0 2014-06) LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

IEC 62368-1(ed3.0 2018-10) 多くの国で本規格に対する整合規格を作成しているため、調査対象とする。

IEC 61508-2(ed2.0 2010-04) LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

IEC 60034-22 LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

IEC 60335-2-15 LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

○ANSI発行の調査対象候補基準・規格 ANSI C18.3M, Part 2-2017

電池に関する安全要件であるため、調査対象外とする。

ANSI/ISA 12.12.01 LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

119

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

120

○ASTM発行の調査対象候補基準・規格

ASTM Standard F2910-14

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

ASTM Standard F3005-14a

搭載電池想定にLiBが存在し、LiB搭載時において充電時の安全性を高めるために、防火筐体内で行うこととしている。LiB搭載機器全体をシステムとして捉えているため、調査対象とする。

○ISO発行の調査対象候補基準・規格

ISO/IEC Guide51

規格の作成指針であるため、調査対象外とする。

ISO 7176-14(2nd edition, 2008-02-15)

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

ISO 8528-3(2nd edition, 2005-07-01)

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

○EN発行の調査対象候補基準・規格

EN 12184 (2014)

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

EN 15194(2017)

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○UL発行の調査対象候補基準・規格

UL 991

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

UL 1642

電池に関する安全要件であるため、調査対象外とする。

UL 1647

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 1998

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

UL 2054

電池に関する安全要件であるため、調査対象外とする。

UL 2056

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 2272

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 2595

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 2743

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

121

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○UL発行の調査対象候補基準・規格

UL 2849

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 3030

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 3100

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 8139

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

UL 9540

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

○GB発行の調査対象候補基準・規格

GB 31241-2014

電池についての規格であるが、電力を供給する電子製品に保護回路が付いている場合についての記載があるため、調査対象とする。

GB 3883.1-2014

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

GB/T 5226.33-2017

半導体製造装置のための要件で、LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

122

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○CNS発行の調査対象候補基準・規格

CNS 15387

LiB搭載を意識した安全要件であるため、調査対象とする。

CNS 15424-1,2

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

CNS 13438、CNS 15425-1、CNS 15663

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

○ANS/NZS発行の調査対象候補基準・規格

AS/NZS 3760:2010

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

AS/NZS 4836:2011

LiB搭載を意識した安全要件でないため、調査対象外とする。

○IEEE発行の調査対象候補基準・規格

IEEE 1625-2008

電池に関する安全要件であるため、調査対象外とする。

IEEE 1725-2011

電池に関する安全要件であるため、調査対象外とする。

123

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.1 調査対象基準・規格

○調査対象基準・規格一覧

最終的に選定した調査対象基準・規格の一覧を以下に示す

124

発行機関 文献・文書名 規格基準の対象

IEC IEC 60950-1 情報技術機器の安全性:一般要求事項

IEC IEC 62368-1 オーディオ、ビデオ、情報及び通信技術機器の安全性要求事項

UL UL 1647 モーター駆動のマッサージ器及びエクササイズ器

UL UL 2056 パワーバンク

UL UL 2272 個人用eモビリティ機器

UL UL 2595 電動工具用

UL UL 2743 ポータブル電源パック

UL UL 2849 電気自転車、電動アシスト自転車(EPAC自転車)、電動スクーター、及び電動バイク

UL UL 3030 無人航空機(UAV)

UL UL 3100 無人搬送車(AGV)

UL UL 8139 電子タバコ

UL UL 9540 蓄電システム

ASTM ASTM Standard F3005-14a 無人航空機のバッテリー

GB GB 31241-2014 携帯式電子製品用リチウムイオン電池及び電池パックの安全要求事項

GB GB 3883.1-2014 手持ち式、可搬式電動工具及び園芸工具の安全性

CNS CNS 15387 電動二輪車用リチウム二次組電池の安全性の試験方法

<調査対象の海外の基準・規格の一覧>

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3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

125

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○電気用品安全法における技術基準について

概要

電気用品安全法においては、LiB搭載機器が規制対象でないため、適合すべき技術基準を持たない。

一方で、近年事故が多発しているモバイルバッテリーについて、平成30年2月1日付けの通達改正により、電気用品安全法の規制対象となった。(経過措置期間:1年間)

上記通達改正においては、技術基準の追加は行わずに「電気用品の範囲等の解釈について」を改正することで対応した。すなわち、モバイルバッテリーに対して、リチウムイオン蓄電池の技術基準を適用した。(表1)

本調査における、海外のLiB搭載機器の基準・規格と比較する電気用品安全法の技術基準としては、リチウムイオン蓄電池の基準用いるものとする。

126

改正案 現行

Ⅰ及びⅡ (略)Ⅲ リチウムイオン蓄電池(1)~(8) (略)(9)リチウムイオン蓄電池が機器に装着された状態で輸入・販売される場合は、当該機器の輸入・販売として取り扱う。ただし、ポータブルリチウムイオン蓄電池(いわゆるモバイルバッテリー)等の主として電子機器類の外付け電源として用いられるものは、充電装置や昇圧装置等とともに同一筐体に組み込まれていても機器ではなくリチウムイオン蓄電池と解釈し、対象として取り扱う。

Ⅰ及びⅡ (略)Ⅲ リチウムイオン蓄電池(1)~(8) (略)(9)装着とは、エンドユーザーが利用する最終的な製品(機器)にリチウムイオン蓄電池を取り付けた状態を指す。機器に装着された状態の場合、リチウムイオン蓄電池は機器の一部と見なされるので、この状態での輸入・販売は、電気用品安全法上、リチウムイオン蓄電池の輸入・販売行為とは解さず、対象外として取り扱う。

表1 通達改正について(新旧対照表)http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/file/04_cn/scope/kaiseibun180201.pdfを基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○電気用品安全法における技術基準について

技術的な差異・類似点について

電気用品安全法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)における項目は以下の通りである。

類似点・差異のまとめ方方針

対象はLiB搭載機器の安全性に関係する項目のみとし、LiBそのものについては言及しない。

類似点・差異のある項目について列挙する。

具体的な内容について、類似点・差異について分析を行う。

「別表第九 リチウムイオン蓄電池」は、現行の充電池を搭載する機器の技術基準である。

「J60335-1(3版-H14)附属書B(規格)充電式バッテリーを電源とする機器」の内容を包含しているため、「別表第九 リチウムイオン蓄電池」の規定項目について比較を行う。

127

大項目 ①基本設計、②通常使用時の安全性、③予見可能な誤使用における安全性、④表示

項目① 絶縁及び配線、内圧低下機構、温度又は電流の管理、端子接続部、組電池への単電池組込み

項目② 機械的試験 運搬中の振動時の安全

環境試験 高温下での組電池容器の安全、温度変化時の安全

電気的試験 連続定電圧充電時の安全

項目③ 機械的試験 落下時の安全、衝撃時の安全、圧壊時の安全、低圧時の安全、機器落下時の組電池の安全

環境試験 異常高温時の安全

電気的試験 外部短絡時の安全、過充電時の安全、強制放電時の安全、高率充電時の安全、強制的な内部短絡時の安全、過充電の保護機能

表 整理項目一覧(「別表第九 リチウムイオン蓄電池」※より項目のみを抽出)http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/beppyoudai9.pdfを基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○IEC 60950-1(情報技術機器の安全性:一般要求事項)

適用範囲

この規格は、電気事業機器および関連機器を含む、商用電源またはバッテリ駆動の情報技術機器に適用され、定格電圧は600 Vを超えない。

この規格は、次のような情報技術機器にも適用できる:

電源に関係なく、電気通信端末機器およびTELECOMMUNICATION NETWORKインフラストラクチャ機器として使用するために設計されている。

電源に関係なく、ケーブル分配システムに直接接続されるか、その中のインフラ機器として使用されるように設計され、意図されている。

AC MAINS SUPPLYを通信伝送媒体として使用するように設計されている。

この規格の範囲内にある機器の例は次のとおり:

128

一般製品タイプ 一般製品タイプの具体例銀行設備 現金自動預け払い機(ATM)を含む金銭処理機データおよびテキスト処理機および関連機器

データ作成装置、データ処理装置、データストレージ機器、パーソナルコンピュータ、プロッタ、プリンタ、スキャナ、テキスト処理機器、ビジュアルディスプレイユニット

データネットワーク機器 ブリッジ、データ回線終端装置、データ端末装置、ルーター電気および電子小売機器 金銭登録機、関連する電子はかりを含むPOS端末電気および電子事務機 計算機、複写機、口述装置、文書シュレッダー機、デュプリケーター、消しゴム、マイクログラフィック事務機器、モーター駆動

ファイル、ペーパートリマー(パンチャー、カッティングマシン、セパレーター)、ペーパージョギングマシン、鉛筆削り機、ホッチキス、タイプライターその他の情報技術機器 写真印刷機器、公共情報端末、マルチメディア機器郵便装置 メール処理機、郵便料金機通信ネットワークインフラストラクチャ機器

課金機器、マルチプレクサ、ネットワーク給電機器、ネットワーク終端機器、無線基地局、リピータ、伝送機器、電気通信交換機器

電気通信端末装置 ファクシミリ装置、ボタン電話システム、モデム、PABX、ポケットベル、留守番電話、電話機(有線および無線)

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○IEC 60950-1(情報技術機器の安全性:一般要求事項)

129

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

4.3.8 充電式電池の過充電

③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・単電池に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。

4.3.8 充電式電池の逆充電

③-電気的試験強制放電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電単電池に対し、1ItA で90分間逆充電を行つたとき、発火又は破裂しないこと。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<IEC 60950-1と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○IEC 62368-1(オーディオ、ビデオ、情報及び通信技術機器の安全性要求事項)

適用範囲

IEC 62368は、オーディオ、ビデオ、情報および通信技術、および定格電圧が600 Vを超えない事務用および事務用機器の分野における電気および電子機器の安全に適用される。この文書には、機器の性能や機能特性に関する要件は含まれていない。

この文書は以下にも当てはまる:

本装置への組み込みを意図したコンポーネントおよびサブアセンブリ。そのような構成要素および部分組立品は、そのような構成要素および部分組立品を組み込んだ完全な機器が遵守するという条件で、この文書のすべての要件を満たす必要はない。

この文書の範囲内で他の機器に電力を供給することを目的とした外部電源装置。

この文書の範囲内の機器と共に使用することを意図した付属品。

立ち入り制限区域内に設置された大型機器機械的側面が大きい機器には、追加の要件が適用される場合がある。

熱帯地域で使用される機器。

この文書には、屋外に設置することを目的としたオーディオ/ビデオ、情報通信技術機器の要件も含まれている。屋外機器の要件は、関連する場合、現場での直接設置に適し、屋外に設置するオーディオ/ビデオ、情報通信技術機器の収納に使用される屋外エンクロージャーにも適用される。

130

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○IEC 62368-1(オーディオ、ビデオ、情報及び通信技術機器の安全性要求事項)

131

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

M4.1 一般事項 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

M4.2 充電セーフガード ③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・通常の使用における安全性、予見可能な誤使用における安全性・上限充電電圧4.25Vを超えないこと

M4.3 防火用エンクロージャー

① <著作権保護のため非公表> ・なし

M4.4 リチウム二次電池を含む機器の落下試験

③-電気的試験機器落下時の組電池の安全

<著作権保護のため非公表> ・本試験を行ったときに、組電池の内部において短絡が生じないこと・定める高さから、コンクリートの床若しくは鉄板へ組電池に最も悪影響を与えると判断される落下方向へ1回落下させる。・試験結果が最も厳しくなる組み合わせで試験を行うこと。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<IEC 62368-1と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 1647(モーター駆動のマッサージ器及びエクササイズ器)

適用範囲

これらの要件には、バイブレータ、エクササイズバイク、振動及びマッサージ用の椅子などの電動マッサージ及びエクササイズマシンが含まれ、NFPA 70のNational Electrical Codeに従って採用される。

これらの要件はまた、操作部の動きが電気的手段によって作り出されるバイブレータなどのマッサージ及びエクササイズ機器を対象とする。

これらの要件はまた、暖房機能を使用することができる携帯用電動マッサージタイプの足湯を対象としている。

これらの要件は、定格が250 Vを超える電化製品には適用されない。

これらの要件は、電動マッサージタイプの機能なしで足湯をカバーするものではない。

これらの要件には、電動式と電動式の逆変換テーブルも含まれる。

これらの要件は、浴槽の側面に配置することを目的とした、携帯用コード接続ハイドロマッサージユニットには適用されない。 これらのタイプの電気器具は、個人用衛生及び健康管理電気器具の規格、UL 1431によってカバーされている。

これらの要件は、サロンや同様の商業施設での使用を目的としたペディキュアスパを対象としていない。 これらのタイプの電気器具は、電気配管付属品の規格、UL 1951によってカバーされている。製品全体(すなわちベースにペディキュアスパ付きマッサージチェア)の一部としてペディキュアスパを含むマッサージまたはエクササイズ装置は、マッサージ及びエクササイズ機能を提供する装置の部分に関するUL 1951の要件及びUL 1647の適用要件を使用して評価されるものとする。

132

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 1647(モーター駆動のマッサージ器及びエクササイズ器)

133

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

5.3.1 電池と充電器 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載

<UL 1647と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2056(パワーバンク)

適用範囲

これらの要件は、低電圧電子機器のモバイル給電用の電池を組み込んだスタンドアロンのデバイスである、パワーバンク(時にはポータブルUSB充電器またはポータブルバックアップ電池電源とも呼ばれる)を対象としている。

これらの要件は、以下の電力特性を備えた製品を対象としている。

入力

► 最大定格60 VdcのDC電源によって供給される。

► 直接差込式の構造を通してAC本管の動力源によって供給される。

出力:最大定格60 VdcのDC出力を提供する。

これらの要件は、外部の太陽電池パネルまたは自動車用12 Vdcアダプタからの専用入力を備えた製品、またはポータブルパワーパックの調査概要、UL 2743の範囲内の他のパワーパック製品を対象としていない。

これらの要件は、電源として一体型太陽電池を備えた製品を対象としている。

134

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2056(パワーバンク)

135

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

9 電源入力試験 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

10 出力ポートの過負荷試験

③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

12 容量検証テスト ②-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載

<UL 2056と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2272(パーソナルeモビリティ機器)

適用範囲

これらの要件は、電池システム、その他の回路、及び電動スクータ用の電気部品、及び本標準で定義されているパーソナルeモビリティデバイスと呼ばれるその他のデバイスを含む電気駆動トレインシステムを対象としている。

この規格は、電気ドライブトレインシステムの安全性、及びエネルギーと感電の危険に対する電池と充電器の組み合わせの評価を目的としており、これらのデバイスの性能や信頼性を評価するものではない。さらに、パーソナルeモビリティデバイスの使用に関連する物理的な危険を評価するものではない。

136

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2272(パーソナルeモビリティ機器)

137

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

7 非金属材料 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

8 金属部品の耐腐食性

①端子接続部

<著作権保護のため非公表> ・端子接続板を有するものにあっては、端子接続板の表面は十分な機械的特性及び耐腐食性を備えた導電材料によって構成すること。

9 筐体 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

10 配線と端子 ①端子接続部

<著作権保護のため非公表> ・組電池の外部表面に端子のプラス(+)及びマイナス(-)を明示し、又は誤接続のおそれのない構造とすること。

11 充電器 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

12 ヒューズ ① <著作権保護のため非公表> ・なし

14 電気的間隔と回路の分離

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・接続端子を有するものにあっては、端子間に適切な空間距離と沿面距離を保つような配線とすること。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2272と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2272(パーソナルeモビリティ機器)

138

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

15 絶縁レベルと保護接地

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

16 保護回路と安全性解析

① <著作権保護のため非公表> ・なし

24 過充電試験 ③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電した単電池に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。

25 短絡試験 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は充電単電池の表面の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下になるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。

26 過放電試験 ③-電気的試験強制放電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電単電池に対し、1ItA で90分間逆充電を行つたとき、発火又は破裂しないこと。

27 温度試験 ②-環境試験温度変化時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を恒温槽に放置したとき、発火、破裂又は漏液しないこと。

28 不均衡充電試験 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

29 耐電圧試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

30 絶縁抵抗試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面(電気的接触面及び電池の電極電位と同じ電位を持つ金属部分は除く。)との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

31 漏電流試験 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

32 接地連続性試験 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2272と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2272(パーソナルeモビリティ機器)

139

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

33 振動試験 ②-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・振幅0.76㎜及び最大全振幅1.52㎜の単振動を充電単電池等に加える。・振動数は、10Hzから1Hz/分の割合で増加させ、55Hzに到達した後、1Hz/分の割合で減少させ、10Hzに到達したことを確認すること。・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。

34 衝撃試験 ③-機械的試験衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、固定治工具によって衝撃試験機に固定し、同じ大きさの衝撃を互いに直角な三方向(X軸、Y軸、Z軸)にそれぞれ1回ずつ衝撃を加える。

35 粉砕試験 ③-機械的試験圧壊時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を、2枚の平板間に入れ、圧壊装置によって13±1kNの力で加圧

36 落下試験 ③-機械的試験機器落下時の組電池の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電組電池をその使用を想定する機器に装着した状態で、コンクリートの床若しくは鉄板へ組電池に最も悪影響を与えると判断される落下方向へ1回落下させる。

42 水曝露試験 ③-環境試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

43 熱サイクル試験 ③-環境試験温度変化時の安全

<著作権保護のため非公表> ・恒温槽内の温度、放置時間を変化させ発火、破裂しないこと。・充電単電池等を75±2℃の中に4時間放置。 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。これらを繰り返す。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2272と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(3/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2595(電動工具用)

適用範囲

この規格は電池式電気器具に適用される。 この規格は、取り外し可能で一体型の分離可能な電池パックを組み込んだ機器に適用される。 家電製品及び電池パックの最大定格電圧は75 VDCである。

この規格は、一体型の電池充電器を備えた機器を含む、主電源または非絶縁電源から直接動作及び/または充電される電池駆動機器にも適用される。

これらの要件は、最終製品規格と併せて使用されるように構成されている。 これらの要件は、最終製品規格とは無関係に電池駆動の機器を総合的に評価することを目的としていない。

これらの要件は、製品内の電池電源の使用に特有の潜在的なリスクにのみ対処している。 主電源または絶縁されていない電源も持っている電化製品を除いて、これらの要件は、最終製品規格の電化製品の火災及び感電の危険性に関連する要件を置き換えまたは修正する。

この規格は、充電器自体の安全には適用されない。 ただし、この規格はリチウムイオン電池システムの安全な機能を網羅している。

この規格はまた、家電製品の電池システムに採用されているリチウムイオン電池の使用に関する要件にも対応している。

140

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2595(電動工具用)

141

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

10 リチウムイオン系の通常充電

②-電気的試験連続定電圧充電時の安全③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・附表第一表2に掲げる充電手順で充電した単電池は、再度28日間定電圧充電を行つたとき、発火、破裂又は漏液しないこと。28日間定電圧充電を実施する際の充電条件は、上限充電電圧を用いて確認すること。・周囲温度が20±5℃である状態において試験を行つたとき、組電池内の電池ブロックが上限充電電圧を超えないこと。

11.7 リチウムイオン充電システム

③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・周囲温度が20±5℃である状態において試験を行つたとき、組電池内の電池ブロックが上限充電電圧を超えないこと。

11.8 リチウムイオン電池の短絡

③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を、周囲温度が55±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は充電単電池の表面の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下になるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。・充電組電池を、周囲温度が20±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は組電池容器の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下となるまでのいずれか短い間(保護素子又は保護回路が組み込まれているものであって、電流が停止した場合にあっては、電流が停止してから1時間を経過するまでの間)放置したとき、発火又は破裂しないこと。

13 リチウムイオン電池の振動

②-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・次の試験条件で試験を行つたとき、発火、破裂又は漏液しないこと。- 振幅0.76㎜及び最大全振幅1.52㎜の単振動を充電単電池等に加える。- 振動数は、10Hzから1Hz/分の割合で増加させ、55Hzに到達した後、1Hz/分の割合で減少させ、10Hzに到達したことを確認すること。- 互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。- 互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれについて、イからハまでの条件に基づき、次の順序に従って振動させること。ただし、第2段階から第4段階までの順序を入れ替えて試験を行つてもよい。

14 リチウムイオン封入圧力試験

①内圧低下機構

<著作権保護のため非公表> ・単電池及び組電池の容器は、内部の圧力を低下する機構を設けること、又は破裂若しくは発火を予防するための手段を設けること。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2595と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2595(電動工具用)

142

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

15 機械的強度 ③-機械的試験落下時の安全衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、高さ1000㎜の地点から任意の向きでコンクリートの床に3回落下させたときに、発火又は破裂しないこと。・最初の3msの間に最低平均加速度が735m/s2となるように加速する。加速のピーク値は、1226m/s2から1716m/s2とする。発火、破裂又は漏液しないこと。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2595と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2743(ポータブル電源パック)

適用範囲

これらの要件は、1つ以上の電池、電気化学キャパシタ、または電気化学キャパシタモジュールを備えた携帯型及び可動型パワーパックを対象としている。 電池を備えている場合、電池は鉛蓄電池またはリチウムイオン電池のいずれかでなければならない。 パワーパックには、1つ以上の入力と1つ以上の出力がある。 ブースター機能を備えたパワーパックの場合、パワーパックは、緊急始動電力を供給するために、最大定格24VDCの空の陸上車両電池に一時的な電源を供給するために使用される。

これらの要件は、屋外での使用、一時的な屋外での使用、または屋内での使用にのみ適したパワーパックを対象としている。 屋外使用パックは、屋外での使用を制限なしに意図している。 一時屋外使用パックは、限られた濡れた状態で屋外で使用され、常に室内に保管されることを意図している。 屋内使用専用パックは、屋内での保管及び屋内での使用を目的としており、屋外での使用を目的としていない。 ブースター機能を備えたパワーパックは、いかなる条件下でも屋内使用とは見なされない。

これらの要件は、タイヤまたは他の膨張式アイテムを膨張させるためのエアコンプレッサ(タンクレスタイプ)のような追加のシステムを備えた、または対向する交通に対する警告灯として機能するライト、フラッシュライトなどを備えたパワーパックを対象とする。 これらの機能はまた内部電池によって動力を与えられる。

これらの要件は、ライト、電圧計、内蔵エアコンプレッサアセンブリ、関連ゲージ、インバータ、車両アダプター、内蔵電池などのパワーパックオプション、及びこれらのオプションがパワーパックに不可欠な場合の内蔵電池の充電を対象としている。

これらの要件は、電気自動車充電装置の充電機能に使用される配線やケーブルを網羅していない。

これらの要件は、パワーバンク調査概要、UL 2056に記載されているパワーバンクを対象としていない。

143

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2743(ポータブル電源パック)

144

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

43 通常充電動作試験

①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

44 リチウム充電システム試験

③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・上限充電電圧を超えないこと。ただし、過充電の保護機能は組電池に備えるか、または組電池を装着した機器若しくは充電器に備えてもよい。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2743と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2849(電気自転車、電動アシスト自転車(EPAC自転車)、電動スクーター、及び電動バイク)

適用範囲

この概要は、eBike、電動スクーター、電動バイクの電気システムを網羅している。 eBikeは、Pedalec(ペダルアシスト)とPedalec以外のタイプの両方として定義されている。 電動スクーターや電動バイクは、道路上での使用を目的としている。

この概要は、搭載されている電気システム、eBikeの車両システム(充電器と電池の組み合わせを含む)、電動スクーター、及び電動二輪車を網羅している。 電池を車両に統合した状態で充電する場合、充電機能はこの概要の範囲に含まれる。充電のために電池を車両から取り外した場合、充電機能はこの概要の範囲外であるが、充電器の要件は依然として適用される。

この概要は、この文書で定義されているように、eBike、電動スクーター、及び電動二輪車以外の他の電動車両を対象としていない。道路での使用を目的としておらず、個人の移動を目的とした電動スクーターは、UL 2272のPersonal E-Mobility Devices用電気システム規格に準拠している。

16 CFR Part 1512「自転車のための要件」に含まれる要件は、eBikeに適用される。 16 CFR Part 1512への準拠の検証は、この概要の範囲外である。

49 CFR、5章に概説されている連邦自動車安全基準(FMVSS)は、電動スクーター及び電動二輪車に適用される。 これらのFMVSS文書への準拠は、この概要の範囲外である。

145

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2849(電気自転車、電動アシスト自転車(EPAC自転車)、電動スクーター、及び電動バイク)

146

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

11 安全回路と安全解析

①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

12 エンクロージャー ① <著作権保護のため非公表> ・なし

13 材料 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

14 可燃性 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

15 回路の間隔と分離

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・接続端子を有するものにあっては、端子間に適切な空間距離と沿面距離を保つような配線とすること。

16 プリント配線板 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

17 内部配線と端子 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

18 変圧器 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

19 ヒューズ ① <著作権保護のため非公表> ・なし

20 コンデンサ ① <著作権保護のため非公表> ・なし

21 エンクロージャーの強度

① <著作権保護のため非公表> ・なし

23 電池パック ① <著作権保護のため非公表> ・なし

26 取り付け ① <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2849と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 2849(電気自転車、電動アシスト自転車(EPAC自転車)、電動スクーター、及び電動バイク)

147

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

29 漏れ電流 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

31 温度試験 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

32 耐電圧試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

33 耐アイソレーション試験

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

36 振動試験 ②-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。

37 衝撃試験 ③-機械的試験衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等に加える衝撃は、最初の3msの間に最低平均加速度が735m/s2となるように加速する。加速のピーク値は、1226m/s2から1716m/s2とする。

38.1 水曝露試験 ③-環境試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

38.2 熱サイクル ②-環境試験温度変化時の安全

<著作権保護のため非公表> 第1段階 充電単電池等を75±2℃の中に4時間放置する。第2段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第3段階 30分以内に-20±2℃に変え、4時間放置する。第4段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第5段階 第1段階から第4段階の手順をさらに4回繰り返す。第6段階 充電単電池等を20±5℃で7日間保管し、その後に目視検査を行う。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 2849と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3030(無人航空機(UAV))

適用範囲

これらの要件は、商用アプリケーションの飛行中またはビジネスアプリケーションに付随する飛行で使用される、この規格で定義されている無人航空機システム(UAS)の電気システムを対象としている。 これらの要件の対象となるUASは、無人航空機が25 kg(55 lbs)未満である連邦規則で識別されている、認定されたUASパイロットによって運用されることを目的としている。UASは、外部電源から充電される内蔵リチウムイオン電池を備えている。 UASは100 V dc以下の動作電圧を持つことを目的としており、屋外での動作を目的としている。これらの要件には、これらのUASの固有の機能に関連する感電、火災、爆発の危険性、及びLIASの再充電用に提供されている電池と充電システムの組み合わせも含まれる。

商用アプリケーションへのフライトは、UASが特定の用途を目的としているすべての操作と見なされる。 これには、農業用途、科学用途または研究用途、政府機関または地方警察の用途、捜索救助用途、映画産業用のビデオ用途またはニュース放送などが含まれ得るが、これらに限定されない。ビジネスに付随する飛行は、保険代理店または建設作業員による屋根の検査、不動産の写真撮影などからなることがある商業的用途のサブセットである。

この規格は以下をカバーしていない。

模型飛行機、または趣味使用のためのUASで、一般に販売され、一般に運営されることを意図しているもの。

人間の操縦士に関連する管理の側面(操縦者の誤り)、UASの取り扱い、UASと外部の物体、人または構造物との接触または影響、あるいは運用に影響を与える可能性のある強風や航空機の一般的な耐空性のような悪天候。

UASが意図した操作を正しくまたは適切に実行する能力、飛行中に電池が放電した場合にUASが安全に着陸する能力、UASの使用に関連した生理学的影響。

危険な(分類された)場所で使用するための装置。火災及び爆発の危険性を軽減するための追加要件が課されている。

軍用または同様の戦術的作戦に使用されるUAS。UAS通信の有効性、または飛行中のUAS通信の喪失の影響。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3030(無人航空機(UAV))

149

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

10 エンクロージャー ① <著作権保護のため非公表> ・なし

12 内部配線と端子 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

13 充電器 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

14 絶縁レベルと保護接地

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

15 保護回路と安全解析

①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

16 プリント配線板 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

17 電池セルと電池パック

①絶縁及び配線温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

19 回路の間隔と分離

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・接続端子を有するものにあっては、端子間に適切な空間距離と沿面距離を保つような配線とすること。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 3030と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3030(無人航空機(UAV))

150

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

28 温度試験 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

29 耐電圧試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

30 耐アイソレーション試験

①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

31 コンデンサ放電試験

① <著作権保護のため非公表> ・なし

32.6 過充電 ③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電した単電池に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。

32.7 短絡 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は組電池容器の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下となるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。

32.8 不均衡充電 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

32.9 衝撃試験 ③-機械的試験衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、固定治工具によって衝撃試験機に固定し、同じ大きさの衝撃を互いに直角な三方向(X軸、Y軸、Z軸)にそれぞれ1回ずつ衝撃を加える。

32.10 熱サイクル ③-環境試験温度変化時の安全

<著作権保護のため非公表> 第1段階 充電単電池等を75±2℃の中に4時間放置する。第2段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第3段階 30分以内に-20±2℃に変え、4時間放置する。第4段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第5段階 第1段階から第4段階の手順をさらに4回繰り返す。第6段階 充電単電池等を20±5℃で7日間保管し、その後に目視検査を行う。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 3030と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3030(無人航空機(UAV))

151

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

33 振動試験 ③-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。

34 エンクロージャー強度試験

③-機械的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

36 水曝露試験 ③-環境試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 3030と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(3/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3100(無人搬送車(AGV))

適用範囲

これらの要件は、商業環境または産業環境で屋内で使用することを目的とした電池駆動の自動誘導車両(AGV)を対象としている。 このアウトラインの対象となるAGVには、このアウトライン内で定義されているように、産業用トラックAGV(本質的に耐荷重性)、耐荷重性サービスAGV、及び耐荷重性なしサービスAGVが含まれる。 産業用トラックのAGVは1.2に従って使用することを意図しており、すべてのAGVは1.3に従って使用するものとする。 AGVは、車両に搭載されているかまたは搭載されていない間に導電性システムを通して充電される鉛蓄電池またはリチウムイオンベースの電池のいずれかを使用している電池式である。

産業用トラックAGVは、無人運転の安全基準、自動誘導産業車両と有人産業車両の自動機能、ANSI / ITSDF B56.5-2012、及びタイプの指定、使用分野、変換、メンテナンス、及び操作を含む、動力付き産業用トラックの安全基準、NFPA 505の両方に従って使用及び設置されることを意図している。

AGVの外部にある充電器などのAGVシステムの一部は、電気配線・電気設備設置規定(NEC:National Electrical Code)のNFPA 70に従って設置されることを意図している。

この概要は、AGVで使用することを目的とした特定の充電装置を含む、電池駆動のAGV及び周辺システムに関するすべての要件を示す。

この概要には、ピープルムーバーとして機能するAGVの要件は含まれていない。 これらのデバイスの要件は検討中であり、将来の改訂の一部として含まれる可能性がある。

この概要には、産業用ロボットの要件は含まれていない。産業用ロボットの要件は、ロボット及びロボット装置の規格(UL 1740)に含まれていない。

この概要には、商業用及び工業用の床清掃機器として機能するAGVの要件は含まれていない。 この装置は、ANSI C 22.2 No.336、牽引駆動式の充電式電池駆動の商用ロボット床処理機械の特定要件に準拠。

152

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3100(無人搬送車(AGV))

153

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

7.1.3 バッテリーとバッテリーマネジメントシステム-一般

①端子接続部

<著作権保護のため非公表> ・組電池の外部表面に端子のプラス(+)及びマイナス(-)を明示し、又は誤接続のおそれのない構造とすること。

7.2.17.2.2

リチウムベースバッテリー

① <著作権保護のため非公表> ・なし

17.2 保護回路とシステム安全解析

①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

36.7 過充電試験 ③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電した単電池(機器又は組電池で使用する保護素子を装着した状態のものを含む。以下「放電単電池」という。)に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。

36.8 短絡試験 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を、周囲温度が55±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は充電単電池の表面の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下になるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。・充電組電池を、周囲温度が20±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は組電池容器の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下となるまでのいずれか短い間(保護素子又は保護回路が組み込まれているものであって、電流が停止した場合にあっては、電流が停止してから1時間を経過するまでの間)放置したとき、発火又は破裂しないこと。ただし、特殊な構造の組電池にあっては、この限りでない。

36.9 不平衡充電試験 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 3100と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 3100(無人搬送車(AGV))

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節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

36.10 振動試験 ②-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・振幅0.76㎜及び最大全振幅1.52㎜の単振動を充電単電池等に加える。・振動数は、10Hzから1Hz/分の割合で増加させ、55Hzに到達した後、1Hz/分の割合で減少させ、10Hzに到達したことを確認すること。・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれについて、上記の条件に基づき、次の順序に従って振動させること。ただし、第2段階から第4段階までの順序を入れ替えて試験を行つてもよい。第1段階 充電単電池等の電圧が、充電後の電圧であることを確認する。第2段階から第4段階まで 表1に示す振動を加える。第5段階 充電単電池等を1時間放置し、その後に目視検査を行う。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 3100と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 8139(電子タバコ)

適用範囲

これらの要求事項は、使用者が吸入するエアロゾルに加熱された、ニコチンの有無にかかわらず、様々な組成の香味料、プロピレングリコール、グリセリン及び他の成分を含む消耗品を使用する電池作動式電気システムを対象とする。例としては、気化器、ベイブペン、フカペン、電子フカ、電子シャー、電子パイプ、電子タバコ、電子タバコ及び電子ニコチンデリバリーシステム(ENDS)が挙げられるが、これらに限定されない。 これらのシステムは、それらの充電システム、構成要素、部品及び付属品を包含する。

これらの要件は、使用中に吸入される電解液や他の吸入エアロゾル物質、芯その他の粒子状物質のような消耗品をカバーするものではなく、また、デバイスの動作によって排出される物質をカバーしない。(例えば、エアロゾル中の重金属排出量及び環境曝露量。)

これらの要件は、デバイスで使用される消耗品の生理的影響を考慮していない。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 8139(電子タバコ)

156

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

7 筐体 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

8 腐食に対する耐性

①端子接続部

<著作権保護のため非公表> ・端子接続板を有するものにあっては、端子接続板の表面は十分な機械的特性及び耐腐食性を備えた導電材料によって構成すること。

9 電流の流れる部品

①端子接続部

<著作権保護のため非公表> ・組電池の外部表面に端子のプラス(+)及びマイナス(-)を明示し、又は誤接続のおそれのない構造とすること。・端子接続板を有するものにあっては、端子接続板は予想される最大電流を確実に流すことができる寸法及び形状とすること。

10 電源 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

11 バッテリー収納部 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

13 偶発的な起動に対する保護

① <著作権保護のため非公表> ・なし

14 通気機構 ①内圧低下機構

<著作権保護のため非公表> ・単電池及び組電池の容器は、内部の圧力を低下する機構を設けること、又は破裂若しくは発火を予防するための手段を設けること。

15 プリント配線板 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

16 保護回路及び制御回路

③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・組電池内の電池ブロックが上限充電電圧を超えないこと。過充電の保護機能は組電池に備えるか、または組電池を装着した機器若しくは充電器に備えてもよい。

18 単一障害条件 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 8139と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 8139(電子タバコ)

157

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

19 通常充電試験 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

20 通常放電試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

21 強制放電試験 ③-電気的試験強制放電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電単電池に対し、1ItA で90分間逆充電を行つたとき、発火又は破裂しないこと。

22 不均衡充電 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

23 過充電試験 ③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電した単電池に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。

24 異常充電試験 ③-電気的試験高率充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電単電池を、設計上の最大充電電流の3倍の電流で充電し、満充電になったとき又は機器若しくは組電池で使用する保護素子が動作して充電電流を遮断したときに、発火又は破裂しないこと。

25 短絡試験 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電組電池を、周囲温度が20±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は組電池容器の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下となるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。

26 温度試験 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

27 連続動作 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

28 水曝露試験 ③-環境試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

29 落下試験 ③-機械的試験落下時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、高さ1000㎜の地点から任意の向きでコンクリートの床に3回落下させたときに、発火又は破裂しないこと。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 8139と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 8139(電子タバコ)

158

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

30 耐衝撃試験 ③-機械的試験衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、固定治工具によって衝撃試験機に固定し、同じ大きさの衝撃を互いに直角な三方向(X軸、Y軸、Z軸)にそれぞれ1回ずつ衝撃を加える。・充電単電池等に加える衝撃は、最初の3msの間に最低平均加速度が735m/s2となるように加速する。加速のピーク値は、1226m/s2から1716m/s2とする。

31 通気試験 ③-機械的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<UL 8139と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(3/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 9540 (蓄電システム)

適用範囲

これらの要件は、電気エネルギーを受け取ってからエネルギーをある形で貯蔵することを意図したエネルギー貯蔵システムを対象としているので、エネルギー貯蔵システムは電気エネルギーを負荷または地方自治体/地域電力システム(EPS)に供給できる。 必要に応じてグリッド この規格の対象となるエネルギー貯蔵の種類には、電気化学的、化学的、機械的及び熱的なものがある。この規格の対象となるエネルギー貯蔵の種類には、電気化学的、化学的、機械的及び熱的なものがある。エネルギー貯蔵システム機器(単一の完全なシステムとして、または接続されたときシステムとなる整合アセンブリとして構成されている)は、充電、放電、制御、保護、電力変換、通信、システム環境の制御、空気、火災検知のための機器を含み得る。 抑制システム、燃料その他の流体の移動と封じ込めなど。システムは、エネルギー貯蔵システムの機能に関連した他の補助装置を含み得る。

この規格の対象となるシステムには、スタンドアロンモードで使用することを意図したもの(例えば、電力を供給するための「自己供給」システム、及び「電力網」などの電力システムまたは電力網と並行して使用するものが含まれる。 システム、または複数の操作モードを実行するアプリケーションを供給すること。

テストのシステムに不可欠であるインストールマニュアルとシステムと共に提供されるインストールのためのドキュメントを除いて、インストールのための要件はこの規格の範囲外である。設置説明書は、エネルギー貯蔵システムが国内及び地域の電気規格及びその他の適用可能な規格に従って設置されることを示している。この規格は、エネルギー貯蔵システムの最終設置は、適用される設置説明書、設置方法、及び国内設置規定に従って、資格のあるサービス担当者によって行われることを前提としている。エネルギー貯蔵システムは、管轄当局による承認を前提とした設置を目的としている。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○UL 9540 (蓄電システム)

160

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

B2 設計上の推奨事項

③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載

<UL 9540と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○ASTM Standard F3005-14a(無人航空機のバッテリー)

適用範囲

この規格は、小型無人航空機システム(sUAS)で使用される電池の要件を定義している。

この規格は、sUAS電池パックを利用できるシステムの要件を定義していない。

この規格は仕様F2910に従属している。

国のGAAによって許可されている場合、特定のsUASはこの規格から免除され、安全性が重要ではない積載物として市販の(COTS)電池を使用することがある(リチウム化学は免除されない場合がある)。 航空輸送がCOTSセルまたは電池にまとめて使用される場合は、依然として航空輸送規制を遵守しなければならない。

この規格は、その使用に関連する安全上の問題がある場合は、そのすべてに対処することを目的としていない。 適切な安全衛生基準を確立し、使用前に規制制限の適用可能性を判断することは、この規格の使用者の責任である。

161

【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○ASTM Standard F3005-14a(無人航空機のバッテリー)

162

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

7.1 電気設計 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

8.1.1.1 直列セルバランス

① <著作権保護のため非公表> ・なし

8.1.1.2 温度変化 ① <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載

<ASTM Standard F3005-14aと電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○GB 31241-2014(リチウムイオン蓄電池)

適用範囲

本標準は、携帯式電子製品用リチウムイオン電池及び電池パックの安全要求を規定している。

本標準は、携帯式電子製品用リチウムイオン電池及び電池パック(以下電池及び電池パックと呼ぶ)に適用する。本標準の範囲に属する携帯式電子製品の例は以下の通り。

携帯式オフィス製品:ノート型パソコン、PDA等。

移動通信製品:携帯電話、無線電話、ブルートゥースイヤフォン、通話機等。

携帯式AV製品:携帯式テレビ、携帯式DVD再生機、MP3/MP4再生機、カメラ、ビデオ、ボイスレコーダー等。

その他携帯式製品:電子ナビ、デジタルフォトフレーム、ゲーム機、電子書籍等。

上記の携帯式電子製品はすべての製品を含んでいないため、上記以外の製品が本標準の範囲に入らないことを意味しない。

車両、船舶、航空機等に使用する場合、及び医療、採鉱、海底作業等特殊な領域で使用する携帯式電子製品用リチウムイオン電池または電池パックには、要求が付加される場合がある。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○GB 31241-2014(リチウムイオン蓄電池)

164

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

11.1 システム保護回路安全要求

③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・過充電の保護機能は組電池に備えるか、または組電池を装着した機器若しくは充電器に備えてもよい。

11.2 充電電圧制御 ③-電気的試験過充電の保護機能

<著作権保護のため非公表> ・予見可能な誤使用で安全要件を規定・組電池内の電池ブロックが上限充電電圧4.25Vを超えないこと

11.3 充電電流制御 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

11.4 放電電圧制御 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

11.5 放電電流制御 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

11.6 充放電温度制御 ③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<GB 31241-2014と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○GB 3883(電動工具(携帯型含む))

適用範囲

GB 3883のこの標準は、モータ駆動工具又は磁気駆動工具に適用する。

手持ち式電動工具、可搬式電動工具、園芸工具

定格電圧が、単相交流工具又は直流専用工具で250V以下、交流三相工具で440V以下である。最大定格入力が、3700W以下である。

この標準は、工具の通常使用及び合理的に予測できる使用においてすべての者が遭遇する、工具によってもたらされる危険を取り扱う。

電熱素子を組み込んだ工具は、この標準の適用範囲に入る。これらの電熱素子の要求事項は、GB 4706の関連の部にも規定する。

電池式のモータ駆動工具又は磁気駆動工具、及びこのような工具のバッテリパックの要求事項を、附属書Kに示す。商用電源又は非絶縁型電源から直接駆動及び/又は充電するような工具の要求事項は、附属書Lに示す。

手持ち式工具を定置式として使用するために、工具自体を改造しないで支持台又は作業台に固定できるものは、この標準の適用範囲に入り、第3部に規定する。

この標準は、次のものには適用しない。

爆発性雰囲気(粉じん、蒸気又はガス)の存在下で使用される工具、食品を調理及び加工するために使用される工具、医療目的の工具、化粧品及び医薬品と合わせて使用される工具、加熱工具、モータ駆動の家庭用及びこれに類する電気機器、産業用工作機械用電気機器、例えば、無線操縦の模型の飛行機、自動車などといった、模型製作用の小形低電圧変圧器駆動卓上工具。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○GB 3883(電動工具(携帯型含む))

166

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

K.9 感電に対する保護

① <著作権保護のため非公表> ・なし

K.12 温度上昇 ①温度又は電流の管理

<著作権保護のため非公表> ・組電池は異常な温度上昇が発生しないようにすること。ただし、充電時又は放電時に異常に温度が上昇した場合に、安全なレベルに制限するように組電池外に電流制限装置を設ける場合には、この限りでない。

K.13 耐熱性及び耐火性

① <著作権保護のため非公表> ・なし

K.18 異常運転 ③ <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載

<GB 3883と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○GB 3883(電動工具(携帯型含む))

167

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

K.19 機械的危険 ③-機械的試験圧壊時の安全

<著作権保護のため非公表> ・組電池の外部表面に端子のプラス(+)及びマイナス(-)を明示し、又は誤接続のおそれのない構造とすること。・充電単電池を、2枚の平板間に入れ、圧壊装置によって13±1kNの力で加圧する。

K.20 機械的強度 ③-機械的試験落下時の安全衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、高さ1000㎜の地点から任意の向きでコンクリートの床に3回落下させたときに、発火又は破裂しないこと。・次の試験を行つたとき、発火、破裂又は漏液しないこと。- 充電単電池等を、固定治工具によって衝撃試験機に固定し、同じ大きさの衝撃を互いに直角な三方向(X軸、Y軸、Z軸)にそれぞれ1回ずつ衝撃を加える。- 充電単電池等に加える衝撃は、最初の3msの間に最低平均加速度が735m/s2となるように加速する。加速のピーク値は、1226m/s2から1716m/s2とする。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<GB 3883と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/2)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○CNS 15387(電動二輪車用リチウム二次組電池の安全性の試験方法)

適用範囲

この規格は、電動二輪車用リチウム二次組電池(secondary lithium batteries)の安全性要求事項及び試験方法を規定する。性能に関わる部分については、規定しない。電動自転車用リチウム二次組電池の安全性要求事項は、この規格の規定を参照する。

この規格は、電動二輪車以外用の一次組電池(primary battery)、リチウム二次単電池その他のリチウム系以外の二次組電池(例 鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池及び燃料電池(fuel cell)等)には適用しない。

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【出典】各種公刊情報を基にみずほ情報総研が作成

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○CNS 15387(電動二輪車用リチウム二次組電池の安全性の試験方法)

169

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

4.4 保護デバイス及び回路

① <著作権保護のため非公表> ・なし

5.1.1 過充電試験 ③-電気的試験過充電時の安全

<著作権保護のため非公表> ・放電した単電池(機器又は組電池で使用する保護素子を装着した状態のものを含む。)に対し、10V以上で使用できる電源を用いて、設計上の充電電流によって定格容量の250%又は試験電圧(10V)に達するまで通電したとき、発火又は破裂しないこと。・なお、保護素子が動作し、電圧が試験電圧に達した場合は、その時点で試験を終了してもよい。

5.1.2 外部短絡試験 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を、周囲温度が55±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は充電単電池の表面の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下になるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。・充電組電池を、周囲温度が20±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は組電池容器の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下となるまでのいずれか短い間(保護素子又は保護回路が組み込まれているものであって、電流が停止した場合にあっては、電流が停止してから1時間を経過するまでの間)放置したとき、発火又は破裂しないこと。ただし、特殊な構造の組電池にあっては、この限りでない。

5.1.3 一部短絡試験 ③-電気的試験外部短絡時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を、周囲温度が55±5℃の環境に放置し、正極端子及び負極端子を合計80±20mΩの外部抵抗に接続して短絡させた状態で、24時間又は充電単電池の表面の温度と周囲温度との差がその最大値の20%以下になるまでのいずれか短い間放置したとき、発火又は破裂しないこと。

5.1.4 不平衡組電池充電試験

③-電気的試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<CNS 15387と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(1/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○CNS 15387(電動二輪車用リチウム二次組電池の安全性の試験方法)

170

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

5.1.5 耐電圧試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・内部配線及びその絶縁は、予想される最大電流、最大電圧及び最大温度に十分に耐えるものとすること。

5.1.6 絶縁抵抗試験 ①絶縁及び配線

<著作権保護のため非公表> ・正極端子と組電池外部に露出しており機器に装着した状態で人が触れるおそれのある金属表面との間の絶縁抵抗は、直流500Vにおいて5MΩ以上とすること。

5.2.1 圧迫試験 ③-機械的試験圧壊時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池を2枚の平板間に入れ、圧壊装置によって13±1kNの力で加圧する。・最大の圧力が得られること、試験開始時の電圧の3分の1まで急激な電圧降下が得られること、又は電池高さで10%の変形が得られることのいずれかの状況が発生した時点で加圧力を解放する。・充電単電池は、その縦軸が圧壊装置の平板と平行になるように加圧する。充電単電池のうち角形のものにあっては、その縦軸の周りに90°回転して同様の試験を実施し、角形単電池の長側面及び短側面の双方が加圧力を受けるようにする。この際、1つの試料は一方向だけに加圧力を受けるものとする。

5.2.2 衝撃試験 ③-機械的試験衝撃時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電 池等は、次の試験を行つたとき、発火、破裂又は漏液しないこと。ただし、特殊な構造の組電池にあっては、この限りでない。イ 充電単電池等を、固定治工具によって衝撃試験機に固定し、同じ大きさの衝撃を互いに直角な三方向(X軸、Y軸、Z軸)にそれぞれ1回ずつ衝撃を加える。ロ 充電単電池等に加える衝撃は、最初の3msの間に最低平均加速度が735m/s2となるように加速する。加速のピーク値は、1226m/s2から1716m/s2とする。

5.2.3 落下試験 ③-機械的試験落下時の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電単電池等を、高さ1000㎜の地点から任意の向きでコンクリートの床に3回落下させたときに、発火又は破裂しないこと。

5.2.4 振動試験 ②-機械的試験運搬中の振動時の安全

<著作権保護のため非公表> ・振幅0.76㎜及び最大全振幅1.52㎜の単振動を充電単電池等に加える。・振動数は、10Hzから1Hz/分の割合で増加させ、55Hzに到達した後、1Hz/分の割合で減少させ、10Hzに到達したことを確認すること。・互いに垂直な三方向(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれの振動の方向で、振動数の全範囲(10Hz~55Hz)を90±5分間試験する。

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<CNS 15387と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(2/3)>

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【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.2 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の概要の要約と電気用品安全法における技術基準との比較

○CNS 15387(電動二輪車用リチウム二次組電池の安全性の試験方法)

171

節番号 項目名 整理項目 内容 電安法における対応項目

5.2.5 熱応力試験 ②-機械的試験高温下での組電池容器の安全

<著作権保護のため非公表> ・充電した組電池を、70±2℃の空気循環式オーブンの中に7時間放置した後、当該空気循環式オーブンから取り出し、当該組電池の容器の温度を20±5℃に戻したとき、当該容器に内容物の露出を引き起こす変形が起こらないこと。

5.3.1 温度サイクル試験

②-機械的試験温度変化時の安全

<著作権保護のため非公表> 第1段階 充電単電池等を75±2℃の中に4時間放置する。第2段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第3段階 30分以内に-20±2℃に変え、4時間放置する。第4段階 30分以内に20±5℃に変え、少なくとも2時間放置する。第5段階 第1段階から第4段階の手順をさらに4回繰り返す。第6段階 充電単電池等を20±5℃で7日間保管し、その後に目視検査を行う。

5.3.2 高温高湿試験 ③-環境試験 <著作権保護のため非公表> ・なし

海外基準・規格と電安法の比較・青字:海外基準・規格のみの記載・赤字:電安法の技術基準のみの記載

<CNS 15387と電安法(リチウムイオン蓄電池 技術基準)の比較(3/3)>

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3.3 LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査 まとめ

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海外におけるLiB搭載機器の安全性確保のために適合性確認が求められる基準や規格について、それらの概要を要約するとともに、電気用品安全法における技術基準と比較し、両者間の技術的な差異・類似点をまとめた。

国際規格であるIEC規格あるいはISO規格は、枝番により一部の製品に対する特別要求事項が追加されているものの、汎用的に作成されている傾向にある。

一方、ULやASTMといった民間規格は、製品ごとの規格を多く開発しており、製品の仕様や使用条件に応じた規格の内容となっていることが分かった。

電気用品安全法(電安法)との比較では、電安法におけるLiBの安全基準と各国規格を比較した。電安法のLiBの安全基準は当然ながら、汎用的に使用されるLiBが対象であるため、LiB搭載機器の使用条件に係る項目について、規制内容に差分があることが分かった。

【3.LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査】3.3 まとめ

173

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【まとめと今後の課題】

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【まとめと今後の課題】まとめ

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本調査では、近年事故報告事例が増加傾向にあるLiB搭載機器を電気用品安全法の規制対象に追加することも視野に入れ、LiB搭載機器の技術基準の検討への寄与を目的とし、以下の調査を実施した。

1. 海外における規制動向調査

米国、カナダ、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン、韓国、中国、台湾、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、豪州、国連およびIECを対象に、各国政府や国際機関が策定したLiB搭載機器の安全性に関する規制について根拠法令や規制対象範囲などの詳細の動向について調査した。

あわせて規制制定の背景となった、あるいは今後、影響を及ぼす可能性のある事故事例について、OECD、欧州、米国、豪州の直近10年分の事故事例の調査を行った。

調査対象の多くの国において、国際規格であるIEC規格を技術基準として採用していることが分かった。また、米国、カナダあるいは豪州のような連邦制の国においては、州によって規制内容が異なり、最も規制が強化された州においては、UL規格への適合を製造・販売の必須条件としていることが分かった。

また豪州や台湾では、電気用品の安全性を技術的な知見に基づき3段階でレベル分けし、各レベルに応じた認証を行うなど、効率的と考えられる規制を行っている国もあった。

事故事例の調査においては、LiBを搭載したノートPCやホバーボードの普及に応じて事故の件数が増加し、追随する形でLiBを意識した規制の改正が行われていることが分かった。

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【まとめと今後の課題】まとめ

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2. BMSに関する技術動向調査

LiBの特徴整理(なぜBMSが必要なのか?)

• LiBは発火の危険性を有する部材が含まれており、使い方や周囲の環境が適切でない場合、発火・爆発事故に至る危険性がある。

• LiBは機器側からの電流の要請に対して「受け身」の状態であるため、外部からの保護が不可欠である。

• LiBを構成する材料によって、性能や安全性に係る特性が異なるため、事故対策にはそれぞれ最適なアプローチが異なる。

BMSの役割

• BMSの基本的な役割は、LiBの適正な運用を実現すること。

• 主に「安全性確保」、「性能確保」、「寿命確保」の3点が重要であり、性能確保、寿命確保は安全性の向上にもつながる。

BMSの要素技術、および最新動向

• BMSを構成する要素技術は測定、状態推定、制御の3つであり、ハードとソフト(アルゴリズム)によって実現される。

• 状態推定技術には様々な方法があり、特に重要なLiBの状態指標であるSOC推定法、SOH推定法について本調査で整理した。

3. LiB搭載機器の安全性に関連する基準・規格の海外動向調査

海外におけるLiB搭載機器の安全性確保のために適合性確認が求められる基準や規格について、それらの概要を要約するとともに、電気用品安全法における技術基準と比較し、両者間の技術的な差異・類似点をまとめた。

国際規格であるIEC規格あるいはISO規格は、枝番により一部の製品に対する特別要求事項が追加されているものの、汎用的に作成されている傾向にある。

一方、ULやASTMといった民間規格は、製品ごとの規格を多く開発しており、製品の仕様や使用条件に応じた規格の内容となっていることが分かった。

電気用品安全法(電安法)との比較では、電安法におけるLiBの安全基準と各国規格を比較した。電安法のLiBの安全基準は当然ながら、汎用的に使用されるLiBが対象であるため、LiB搭載機器の使用条件に係る項目について、規制内容に差分があることが分かった。

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【まとめと今後の課題】今後の課題

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今後の課題、特にLiB搭載機器の技術基準の検討を行う場合、以下のような課題等が考えられる。

安全性確保を第一とし、LiBや用途(機器)に応じた異常の定義と保護について再度整理する必要がある。

• 現状、LiBの保護は一品一様の状態であり、搭載されるLiBの特性や用途(機器)に応じて、異常を定義し保護を行っている。

• たとえば、スマートフォンなどの小型電子機器とモータを活用する機器では、要求される出力に大きな違いがあるため、異常の定義と適切な保護方法は大きく異なることが想定される。

• また、豪州や台湾で導入されているような、LiB搭載機器の安全性のレベルに応じた規定を設けることによって、開発・販売のコストと規制対応のコストのバランスが良くなることが期待されるため、検討することが望ましい。

安全性確保の観点から、「劣化後の安全性確保」も論点のひとつになるものと考えられる。

• 現状の電安法におけるLiBの試験はLiBが新品の状態におけるものであり、劣化後も同じ試験をクリアすることは保証されていない。

• LiBを搭載した機器のなかには数年単位で使用されるものもあるため、劣化を考慮した安全性確保は重要であり、長期信頼性の確保や安全性に対する警告の表示などがあると、一般ユーザの安全性確保に資する。

• たとえば、長期間の保護という観点からは、オンラインによる遠隔監視や保護ソフトウェアのアップデートなども必要となる可能性もある。

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参考資料(用語の解説)-リチウムイオン蓄電池、バッテリマネジメントシステム-

2019年3月15日

「平成30年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査)」

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用語解説の方針

リチウムイオン蓄電池、およびバッテリマネジメントシステムに関連する技術用語を解説した

正式なものだけでなく、メーカや業界で用いられている用語も極力含めた

報告書で用いられている技術用語には、簡単な解説が併記されているものもあるが、あらためて説明した

IECやJIS規格などで用いられている用語との関連性も含めた

報告書内に図表を用いた解説がある場合は省略した

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2

用語(英語) 意味

セル(Cell) 正極-セパレータ-負極で構成される電池の最小単位。単セル、単電池ともいう。市販品はセルを複数組み合わせた組電池である。

活物質(Active Material) 電極に使用される電気化学反応を担う物質。LiBの場合、Li+を格納したり、放出したりする物質に相当する。

電解液(Electrolyte) 電池内部でイオンを伝導させる媒体。LiBでは、Liを含む物質を有機溶媒などに溶かしたものが利用されるため可燃性である。

正極(Cathodeまたは、Positive Electrode)

放電時に外部回路へ電流が流出する(電子を受け取る)電極。負極より高い電位をもつ材料が用いられる。プラス極ともいう。LiBの場合、正極活物質と電解液などの混合物で構成される。

負極(Anodeまたは、Negative Electrode)

放電時に外部回路から電流が流入する(電子を放出する)電極。正極より低い電位をもつ材料が用いられる。マイナス極ともいう。LiBの場合、負極活物質と電解液などの混合物で構成される。

セパレータ(Separator) 正極と負極を絶縁し、短絡を防止するための部材。絶縁性があると同時にイオン電導性も確保しなければならない。LiBの場合、不織布のようなものが用いられる。

集電体(Collector)※「集電箔」と呼ぶこともある

セルに電流や電圧を印加するための電気伝導体。電極(の外側)に接するように配置する。薄い金属を用いるため集電箔ともいう。通常、電流を取り出すために電極面からはみ出た部分がある(タブと呼ぶ)。

導電助剤(Conductive Additive)

電極の電気伝導性を高めるための材料。LiBの場合、特に正極は金属酸化物であるため金属と比較して電気伝導性が低いため、電気伝導性を高くするために加える。

バインダ(Binder) 活物質、導電助剤は、粉末状のため、それぞれを結着させるために“のり”のような役割を果たす材料。集電箔へ結着させる役割も担う。

熱溶融性セパレータ LiBが異常高温状態になった際、熱暴走に至らないよう、セパレータが溶融することで穴を塞ぎ、Li+イオンの流れを遮断する機能をもつセパレータ。更に高温状態になった際、最終的に正極、負極の短絡が起きないような機能も持つ。熱溶融した際に形状が維持される必要がある。

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3

用語(英語) 意味

過電流防止装置(Overcurrent Protection Device)

規程した値以上の電流(過電流)が流れることを防止する装置。PTC(Positive Temperature Coefficient)がこの役割を担う。過電流が流れるとPTCに電流が流れ、温度が上昇し抵抗が上昇、結果電流を遮断する。

電流遮断装置(Current Interrupt Device)

内圧が上昇した際などに機械的に電流を遮断する装置。CIDと呼ばれる。

クーロンカウンター(Coulomb Counter)

LiBに流入・流出した電流を測定、積算することで、電気量を求める装置。電池残量の算出(SOC推定)に用いられる。

放電曲線(Discharge Curve) 横軸に容量(または、SOC)、縦軸にセルの電圧(閉回路電圧)を取ったグラフ。

レート特性(Rate Characteristics)

放電電流値が放電曲線に与える影響をグラフ等で示したもの。LiBの内部抵抗に起因して、放電電流(放電レート)が大きくなると電池の電圧が低下する。充電時も同様。

温度特性(TemperatureCharacteristics)

温度条件が放電曲線に与える影響をグラフ等で示したもの。LiBの内部抵抗は温度によって変化することに起因した特性。温度が低くなると内部抵抗が大きくなり、電池の電圧が低下する。充電時も同様。

サイクル特性(Cycle Characteristics)

繰り返し充放電の回数が放電曲線に与える影響をグラフ等で示したもの。LiBは繰り返し使用することで劣化し容量が低下する。劣化要因は内部抵抗増大の他、様々存在する。充電時も同様。

開回路電圧(Open Circuit Voltageまたは、Open Circuit Potential)

電池が外部回路(負荷)から切り離されているときのセル電圧。充放電時に、電極内の化学組成が変化するためSOCとともに変化する。OCV(または、OCP)と略記する。※厳密に言えば“電位”を意味するPotentialは正しくないが、vs.○○のような場合によく使用される

閉回路電圧(Closed CircuitVoltageまたは、Closed Circuit Potential)

電池を外部回路(負荷)につないだときのセル電圧。放電時は電池の内部抵抗分だけ開回路電圧より低くなる。

過電圧(Over Voltage) 電気化学反応が起きるために必要な平衡電位からのずれ。広義では、電池の分極による電圧降下分を意味する(例えば、抵抗過電圧などは抵抗による電圧降下分と同義)。

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用語(英語) 意味

終止電圧(End Voltageまたは、Cutoff Voltage)

充放電を終了する電圧のこと。通常は、実用上使用できなくなる電圧として決定されるが、ここでは簡単のため電池として機能しなくなる電圧(安全に電流を取り出すことができなくなる電圧)と考えてよい。

容量(Capacity) 電池が充放電することができる電気量。放電時、終止電圧に達するまでに放出する電気量。実容量ともいう。単位は[mAh](ミリアンペアアワー)または、[Ah](アンペアアワー)を使う。つまり単位は[C](クーロン)と同じ。

理論容量(Theoretical Capacity)

電極に使用される活物質が蓄えることができる理論的な電気量。通常は単位質量あたりの電気量[mAh/g]として表す。当然のことながら、電池として組み上げると理論容量まで電気を取り出すことはできない。

放電深度(Depth of Discharge; DOD)

電池の実容量に対する放電した容量の比率。放電した容量÷実容量で計算される。または、DOD=1-SOC。

充電状態(State of Charge; SOC)

電池の実容量に対する残っている容量の比率。SOC=1-DODで計算される。ただし、電極のSOCといった場合は、理論容量に対する比率で表す(特にシミュレーション上は理論容量に対して定義する必要がある)。

時間率(Hour Rate) 充放電電流の大きさと電池の容量を規定するときに用いる表現。例えば「5時間率で5Ahの容量」といったとき、1Aの放電電流で5時間電流を流すことができることを意味する(このとき、「5時間率放電電流は1A」という表現をする)。電池は電流値によって取り出せる電気量が変化するため、このような表現が必要となる。IEC 61434ではLiBにかける負荷電流値を「ItA = C5 Ah/1h」などと表現しているが、C5とは5時間率(5時間で放電完了に達する電流値)における電池の容量を指している。

Cレート(C rate) 電池容量を基準とした相対的な電流量のこと。1Cの電流とは、ある電池が1時間で容量を使い切る(終止電圧に達する)電流値のこと。例えば、容量5Ahの電池では1Cは5Aとなる。

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用語(英語) 意味

健全度(State Of Health;SOH)

LiBの劣化状態を表す指標。大きく分けて、①新品からの容量低下で表現する方法、②内部抵抗の増加率で表現する方法、の2通りがある。

充放電可能電力(State Of Power; SOP)

LiBに対して充放電可能な電力量を表す指標。LiBは放電中に電圧が低下※していくため、充電状態によって取り出せる電力が変化する。SOCとSOHに依存する指標。 ※電圧が変化しにくいLiBも存在する

熱暴走(Thermal Runaway) LiB内部の化学反応による発熱が放熱を上回ると電池温度が上昇し、化学反応が加速することで、更なる発熱を招き、温度の制御が不可能な状態になること。LiBの発火・爆発につながる。

熱分解反応(Thermal Decomposition Reaction、またはPyrolysis Reaction)

熱エネルギーによって、物質が分解される化学反応。常温で安定に存在している物質も、熱エネルギーを加えて高温状態になることで分解される。LiBにおいては、有機化合物である電解液や電極活物質(金属酸化物)が熱分解を起こす材料もある。

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(様式2)

頁 図表番号4 -83 -83 -83 -

二次利用未承諾リスト

委託事業名: 平成30年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 (リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査)

報告書の題名:平成30年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 (リチウムイオン蓄電池搭載電気用品の安全基準に関する調査) 調査報告書

受注事業者名:みずほ情報総研株式会社

ラミネート形(積層構造)の例

タイトル事業目的(整理)

円筒形(巻回構造)の例

角形(巻回構造)の例