成熟期を迎えた 100 円ショップの戦略 - tok2 · 2003-02-11 ·...

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成熟期を迎えた 100 円ショップの戦略 37990390 商学部経営学科 崔相鐡ゼミ 大谷 弥令

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成熟期を迎えた 100 円ショップの戦略

37990390

商学部経営学科

崔相鐡ゼミ

大谷 弥令

目次

第1章 DS の流行現象 第1節 DS が急激に伸びてきた理由 第2節 日本独特の要因でさらに加速

第2章 21世紀を勝ち抜く戦略 第1節 価格戦略 第2節 エンターテイメント戦略

第3章 100 円ショップとは 第1節 100 円ショップの起源 第2節 100 円ショップとバッタ屋の違い 第3節 100 円ショップのしくみ

第4章 各社の比較 第1節 日本の大手企業 第2節 各社の戦略

第5章 海外進出 第1節 国による意識の違い 第 2 節 各社の進出状況

第6章 まとめ

第1章 DS の流行現象 第1節 DS が急激に伸びてきた理由

DS が 8 0 年代末期から 90 年代にかけて急成長をとげたのは日本だけでなく、

米国を含めて世界的な現象になっている 。これには、何らかの共通な原因があ

ると考 えられる。

第一 に、旧ソ連、東欧の社会主義諸国の崩壊現象である 。このことによ って、

一挙に安い労働力が世界市場にあふれ、それを機にいわば「価格破壊」をその

まま商法に取り入れて、急成長をとげている。

第二 に、80 年代の米国 あるいは英国(レーガン、サッチャー)の採用した規

制緩和政策の推進も①消費者の間 での貧富 の差の拡大をもたらして DS の購買

力を増やし、②同時に DS の進出、拡大を容易にした。

第三 に、米国 のルールを世界に拡張する動き(規制緩和政策の国際的なルー

ル化)も DS の国際的な成長、波及 に力を与えるものであった。

第2節 日本独特の要因でさらに加速 わ が国での DS の躍進も基本的にはこうした世界的な流れ の中ででのことと

考えられる。と同時に、日本の固有の原因 として次 のような事情があった。

第一に、急激な貿易黒字の拡大が進み、そのことによって円高が進行 したこ

と、その結果、急速な内外価格差が拡大し、外国のものを平行輸入で仕入れる

DS の活躍の場 が広がった。

第二に、平岩レポートをはじめ として、このところ急速に規制緩和政策が進

められ、このことが DS の活動をバックアップした。

第三に、従来の政府による業界保護が手厚 かったため、業界 の中で自立的活

動を進める機運が薄く、脆弱な体質であったため 、保護がはずされ たとたん に

DS 等の新興勢力の新規参入、シェア拡大が容易にできた。

第四に、消費者の間でバブルの反省で低価格商品に対するニーズが強 く、そ

の結果 、D S に対 する購買意欲が一挙 に広がった。

これ以外に、日本の場合 、消費者の生活の基盤が比較的均質であり 、かつ横

並び的 な行動を選択しがちな傾向 がある ため 、バブルとはまた逆の方向 で、DS

で購入 するということが一種の流行現象として、ファッションとなる側面があ

ったことも否めないであろう。かくして、DS は 90 年代前半のスタートとなっ

た。

第2章 21世紀を勝ち抜く戦略 第1節 価格戦略

価格は、マーケティング・ミックスの重要 な一部分である 。販売戦略におい

て、価格は直接的で有効 な競争手段である ので、コストの関連を検討しての上

ではあるが、大 いに活用を考えてよい要素 だといえる。

価格は顧客が製品を購入するときの重要な決定要因であり 、購入製品の満足

度がその支払い価格より大きいと判断すれ ば購入する。したがって、設定価格

水準は、競争市場での差別的優位性として働く。ただ、価格 の高低は、直接的

に企業 の損益に影響を与えるから 、低価格戦略を採用する には原価面での優位

性を確立していることが必要である。

販売市場での価格は、基本的には「提供製品」に対するも のである 。しかし、

顧客要望は多様化しているから 、「基本製品」の段階で低価格が求められる場合

もある ので、これにも対応する ことが大切 である 。

企業における価格戦略の目標としては、売上の 大化、シェアの 大化、利

益率の向上、利益の 大化、競争力の強化 、顧客満足などが考えられる。

小売業の競争の多くは価格から始 まる。そして、皆 がディスカウント価格に

なってしまうと、その有効性を失ってしまう。すると、次 の品質の競争に入る。

「同 じ値段でも質が良 い」という競争である。よ く、これを価格か品質のいず

れかを選択する競争と解釈している商業者がいる が、それ は誤りで、「品質 +価

格」の 2 つが一体となった競争である。これを一般的に「価値競争」といって

いる 。90 年代に入 って始 まった流通業界の価格破壊は「価格競争」であったが、

すぐ価格ととも に品質が問われるようになって、いま「価値競争」の時代に入

っている。したがって、今はただの安い物(粗悪品)を安く売るだけではお客

様は呼 べない。良 い物が安 くなくてはお客様 が来てくれない。ディスカウント、

ロープライス化に際して商品の質を忘れてはなら ない。

また、価格競争のあとはサービス競争が差別化の武器となる 。サービスの

範囲は広いが、その一つである人的サービスは欠かせない差別化の武器 である 。

なぜなら「同 じ価格、同 じ品質」だったら人的サービスのレベルが高 く、感 じ

の良 い店をお客様は選 ぶからである。にも かかわら ず、今 の小売店は大型店か

ら小型店に至る まで人的サービスをなおざりにしている。それは、大型店はマ

ニュアルによる教育を 上のも のとしてきたから である。また、チェーンてん

でも ない中小商店も従業員が数人 いると、チェーンストアのマネをして接客マ

ニュアルなどを作って教育した。パートタイマーを採用して、すぐ戦力化する

ため にはマニュアルは欠 かせない。しかしマニュアルに頼り きった接客は「作

業」になってしまって、お客様に感動を与えることができない。お客様に感動

を与えない接客 は、厳 しい競争を勝ち抜 くための差別化の武器とはならない。

一般的にディスカウントストアにおいては薄利多売により利益をほとんどあ

げないところ が多いが、大創産業は急成長を遂げている。

バブル崩壊後数年間は、「価格破壊」をキーワードにディスカウントストアが

売上を伸ばしてきたが、昨今の消費不況の中 で、安売りだけを前面に打 ち出し、

他にはこれといった特長 のない店舗では売上を伸ばすことができず、極度の売

上不振や倒産に追い込 まれた店舗も多い。

もはや過去の成功方程式はいっさい通用しない。逆 に革新を恐れない独自の

経営が今ほど効力を発揮する時代はない。

従来型流通業が構造疲労と消費不振に喘 ぐ一方で、たとえばユニクロやしま

むら、大創産業やドン・キホーテなど、折 からのデフレ経済を逆手に取り、こ

れまでの業界常識を覆すような型破りの勝 ち組企業たちが近年、目を見張るよ

うな急成長を遂げたのは周知の通りである 。

「現在の勝 ち組」はこういう時代だから こそ突出 した成長 が可能になる。つ

まり「百年に一度 の天下大乱期」とは劇的な新旧交代期でもある 。「小が大を食

う絶好 のチャンス期」と言い換 えてもいいだろう。

とりわけ先進諸外国の中で日本 の流通・商業は、金融 などと同様に“遅れた”

産業セクターの一つである。少 なくとも現況の国内流通業は「日本でしか通用

しない」業態とシステムに安住してきた。だから こそ、逆 にこの業界 はまだ大

きな可能性に満 ちている のだ。

今後間違いなくニュータイプの流通業が、これ までの勢力 に取って代わりわ

が国 の市場を席捲していくに違 いない。前述の流通外資や[現代の勝 ち組]は

もとより、まだ若く元気 な無数の新興勢力、さら に異業種からの参入勢力がそ

の主役 となる かもしれ ない。

かつて、価値観が 1 80 度変わった戦後の狂乱 と混沌の中に、「闇市 」が生 まれ、

多くの新興流通企業を生み出した。そして激動の現代 はそれ さえも上回る「新・

流通闇市時代」が到来している。まさに今、この流通業では「何でも あり」だ。

乱世に通用する 「新時代流通の旗手」たる革新者が今ほど求められている時代

はない。

90 年代半ば価格破壊への対応と、その中 での利益商品として、多くの卸売業

は PB 開発をした。しかし、今 までメーカーの作 った物 だけを売っていたので、

慣れぬことを手 がけて、不良品が出たり 、見込み違 いで大量 のデットストック

を抱えたりして失敗を繰り返した。

90 年代半ばには P B 商品開発が裏目に出 て倒産をした卸売業もあった。その

ため「PB を開発しても うまくいかない」という意見も多く出 て、事実 PB 商品

開発から手を引いた卸売業も多かった。

しかし、これを乗り越えた卸売業は 3 つの PB 商品の方向を確率した。1 つは

そこそこだが NB 商品に比 べて破格 に安い PB 商品。2 つ目は、品質は NB 並 み

で、価格は NB 商品より多少安い PB 商品。3 つ目は、品質は NB 商品を上回る

ほどで。価格は NB 商品より多少安い PB 商品の 3 つである。

これ により卸売業の PB 商品は市場で徐 々に人気が高まり 、NB 商品と堂々対

抗しながら、卸売業ばかりでなく、小売業にとっても利益商品となっている 。

第2節 エンターテイメント戦略 現在、日本の小売業、流通業およ びサービス業は、従来の国内の戦略 では迫

りくる流通外貨から身を守れなくなっている 。今ほど、「流通ビックバン」をど

のよ うに乗り切るかが試 される時代はない。2 1 世紀を勝ち抜 くための差別化戦

略のキーワードは、エンターテイメントである。

エンターテイメントとは、「お客様が来 て楽しめる ことがある」ことである 。

価格が安い、いい商品があるというだけではなく、お客様に「何かワクワクす

る」、「も う一度来てみたい」さらには、「くつろ ぎながら買物ができる、遊 びも

できる 」という印象を与えることである 。一種の非日常性の提供とも いえる 。

価格競争からエンターテイメント競争へと、米国小売業、サービス業はすでに

変化している 。この動きを つかめる企業こそが、21 世紀を勝ち抜 く経営ができ

るといえる。また、安 くするため にはコストを掛けないよ うにしなくてはなら

ない。しかし、楽しい店をつくり 、従業員のサービスをする ためにはコストが

かかる 。この矛盾する ことを同時に実現しなくては勝ち残る ことはできない。

特 に、これから は楽しいショッピングのできる環境づくり が集客を左右する 。

これをアメリカではエンターテイメント化といって、9 0 年代の初めから取り入

れている。

第3章 第1節 100 円ショップの起源

すでにお馴染みの 1 00 円ショップも実はアメリカからやってきた業態だ。当

初は催 し物的にスーパーの店頭などで雑貨や台所小物を売っていた程度だった

が、いまでは 100 円ショップ用の商品開発はフランチャイズ展開をするまでに

なった。アメリカで 1 00 円ショップにあたる のは「ワンダラー・ショップ」で、

扱い商品は雑貨 、食品、文房具など、日本 とあまり差はない。

さら にアメリカには、店内のも のすべて 10 ドルという「テンダラー・ショッ

プ」も けっこうある 。日本でも 1000 円均一とか、その他の均一価格ショップが

増えており、これらを総称してアメリカでは「バラエティストア」と呼んでい

る。

NYの小売業界がまだ先 の見えない低迷状態にあった 1 991 年頃から、それ ま

でにない新たな業態が目 につくよ うになってきた。全商品均一価格を特色にす

るワンプライスストアである。その先駆けとなったのがマンハッタンのミッド

タウンにも出店した「ア・リアル・ニューヨーク・バーゲン」という、一律 10

ドルを売り物にする紳士婦人のカジュアル衣料店である。

瞬時に安いと実感させ、しかもわかりやすい一律 10 ドルという設定。不況下

で安値を訴求する業態が数多く存在する なかで、この明快さは瞬く間 に雨後の

筍のごとく追随者を生み出し、当時の不動産価格の下落に伴 う家賃の低下もあ

って、マンハッタンのあちこちに同種の「10 ドルの衣料品」店が登場 すること

になった。また、このアイディアは衣料品にとどまらず、オモチャもあればキ

ッチン・アクセサリーもあり、料理用品もあればファッション・アクセサリー

もある といった「何でも屋」にまで発展し、さら には、健康製品、ビューティ

ー製品、ステーショナリー、オモチャなどに焦点をあてる店 のなかには「一律

98 セント」を打 ち出す動 きも見られるようになり、ワンプライスそのも のによ

り劇的な安さを訴求する方向へも発展していったのである 。

ワンプライスストアと呼 ばれるようになったこの業態が登場 してきた背景に

ある のは、80 年代末から始まった小売り大不況のなかでの過剰在庫でもある 。

つまり 、第三者が運営するということで、これは形を変えたファクトリー・ア

ウトレットであると言 えるものでもあった。そして、これら の店はその成り立

ちから して展開 する商品は絶えず変化をする。商品政策に一貫したも のを求め

てはこの種の店 は成立し得ないわ けで、その日、その週、どんなも のを仕入れ

られるかについての予測 は立たない。従 って店は刻 々変化する。今週 は買うも

のがなかったからといって、来週もまたそうである とは限ら ない。ひょっとす

るとこのうえない掘り出し物と出会える可能性もある。これ は偶然の産物であ

るが、この予測 のできない変化が人々に足を運ばせる大きな力になったのであ

る。

正価に対してどの程度安いかという視点で生活者を刺激する のではなく、明

らかに常識を超えた価格設定を店作りのすべてにすることで生活者を圧倒する。

このよ うにワンプライスストアは価格破壊型業態の新しい形 である と思えた。

しかし、この業態開発ブームの直後に訪れ た景気回復と、その後の歴史上かつ

てない好景気の持続はワンプライスストアをきわめ て短命なものにした。無論

アメリカ全体を見渡せばこの業態 は今なお存続しているのだが、基本業態のひ

とつとして取り上げる ほどの勢力 ではない。

本来なら聡明な買い物 が志向されるはずの買い控 えの時代ほど「衝動買い」

が盛ん になるも のである 。そこには自己抑制のなかでのストレス解消といった

姿勢があるわけで、不況下での「買わない」時代にも商機があることを示唆し

ている 。

米国にも「ダラーゼネラル」や 「ファミリーダラー」など、2 ,000~ 3,000 店

を擁するワンコイン販売方式の「コンビニエンス・ティスカウンター」と呼 ば

れる成長業態がある。しかし、わ が国の 100 円ショップとは成立基盤を異にし

ている 。

前者 は米国の低所得者層におけるその日暮らしの生活必需ニーズに対する業

態であるのに対 し、後者 は明らかに「新 しい買い物 の楽しさ」を売っている 。

要はモノ志向ではなくコト志向なのだ。

価格を全く気 にせずに買 えるという「買 い物の自由性」は、消費における新

しい発見と言 える 。さら に遊びで気楽にモノ が買える というのも 、これ まで我々

が味わ ったことのない一種の快感 だろう。

もっとも 、消費者の利用の仕方はこのところ確実に変化している 。近年の 100

円ショップは、単に「ワンコインで気軽に楽しさが買える店 」に留 まらず、よ

り生活に密着した「必要不可欠な日常ストア」として確実に国民の間 に定着し

つつある。百貨店、スーパー、コンビニに次ぐ「第 4 の業態 」と言われる所以

だ。

もちろんその背景には不況による節約志向もある だろう。しかしそれよりも

注目すべきは、近年の 100 円ショップの品揃えにおける幅の広がり と奥行きの

深さだ。さら に個々の商品そのも のの機能 、品質面での向上 は目を見張るばか

りだ。

言 うまでも なくこの市場の日本 での開拓者は大創産業だ。催事販売などで古

くから あった 100 円ショップだが、これ だけメジャーになる とは誰も予想しな

かっただろう。価格を全く気にせず買える という「買い物 の自由性」は消費に

おける新しい発見と言 える。

消費者が容易に「安い」と感じない昨今だが、「コイン1枚 !!」の表現手法は

アピール度が高 い。消費者を引き寄せてコインを積み重ねる薄利多売戦術であ

る。これまで、100 円、300 円、500 円ショップなどのワンプライスショップは

多く存在していたが、近頃ワンコインショップも人気を集めている 。例えば、

フィットネスクラブが 15 分 100 円、英会話教室が 30 分 500 円、クリーニング

業界でもワイシャツなどを常時 100 円で洗濯、また宅急便も 50 キロ以内なら

100 円、各社に共通する のは徹底 したコスト削減である。このようにワンプラ

イスのバリエーションとして、プライスラインを固定した業態が続 々登場して

いる 。

図表 日米バラエティストアの営業指標比較

第2節 100 円ショップとバッタ屋の違い

大手スーパーの中にも 100 円ショップを始めるところが出 てきている 。資金

の 100 円ショップは生活必需品からちょ っとしたアイデア商品までラインナッ

プはさまざま。値段の安 さが人気を呼んでいるのだが、バッタ屋やディスカウ

ントストアとどう違うのだろうか。

バッタ屋とは正規の流通経路を通さずに仕入れた品を安値で売る商人。主に

倒産品の商品や B 級品、メーカーからの横流し品を扱っているが、中 には模造

品などを置いているところもある 。バッタ屋は買 い取った倒産品をディスカウ

ントストアや問屋などに卸して利益を得る。市価の 10 分の 1 程度で入手 するこ

とも あるという。一方、ディスカウントストアは流通経路の簡略化はもちろん

のこと、出店コストが低 い都市郊外に展開 している 。バッタ屋などから商品の

納入があればおれを目玉商品として売り出すことも ある。ローコストオペレー

ションで店舗経費や人件費などを抑え、不要なサービスは一切排除してよく売

れる定番商品だけを陳列している 。米国ではすでにウォルマートや K マートな

どが、この手法 で成功している 。

100 円ショップも一種のディスカウントストアで 100 円という馴染みや すい

金額にウエートを置いた新しい業態だ。「商品は 100 円ショップ専門の問屋から

仕入れます。問屋は半端物などで、不良品ではないがそのままでは卸 せないよ

うなも のを集めている 」また、多 くの 100 円ショップがアジアなどからの大量

輸入で低価格を実現し、急成長している。ただ、スーパーが店内 に併設する 100

円ショップの場合、バッタ屋やディスカウントストアとh考え方が少 し異なる 。

こう し た シ ス テ ムにつ い て 詳 しい大 手 メ ー カー 幹 部 は内 情 を こう説 明 する 。

「100 円ショップ単体だけで儲 けだすというより、スーパーの抱えている在庫

を処分するため にやっている面があるのでは。も ちろん、それだけでお客さん

は来 ませんから 、赤字覚悟でいくつかの目玉商品をつくっているようです。100

円ショップで利益を上げなくてもスーパーの宣伝や店全体の集客力アップにつ

ながれ ば 1 00 円ショップで儲けなくても十分採算がとれるという考え方 です」

ディスカウントストアといえども 、規模やバイイングパワー、集客力などが

伴っていないといくら効率的な経営をしても利益は出ない。低価格だ、廉価だ

と宣伝 してイメージだけを先行させながら 、実際には全然安くなっていない店

も多数あるのが実情のよ うだ。

図 100 円ショップとバッタ屋の違い

第3節 100 円ショップのしくみ 100 円ショップの安さは、これ まで世間で言われてきた安 さとは違 う。メー

カー希望小売価格ではなく、消費者希望価格であり 、価格決定権を完全に握 っ

た初め ての小売業なのである。

不況が続く中 で抜群の集客力を誇る店がある。ダイソーが全国的に展開し急

速に店舗数を増やしている 1 00 円ショップである。かつての 100 円ショップの

イメージといえば、安 くても品質が悪い、品揃えが悪く欲 しい商品がない、売

れ残り品や処分品ばかり である といったも のだった。

ダイソーが 近出店している店舗は、売場面積が広 くて、品揃えが豊富であ

り、魅力的な商品 が多い。「この商品 が 1 00 円で買える の」といった驚くほどお

買い得 な物もある 。通常 3000 円はするのではないかと思われるような商品まで

100 円で扱っている。

ダイソーは、売上げを伸 ばしているだけでなく、十分な利益を上げている。

すべての商品を 100 円で販売しても 、利益が確保できる秘訣は、東南アジアか

らの輸入、大量仕入れ、値入ミックスの 3 つである 。

特に注目したい手法は、値入ミックスである 。P B 商品の際の値入ブランドミ

ックスと同様に、粗利益率の高 い商品と低 い商品を巧みに組 み合わせることで

全体の粗利益額を確保するという手法である。

均一販売により 、目玉商品で集客 し、粗利益率の高 い商品で利益を稼ぎ、

終的に利益を確保する というも のである 。

図表 均一価格による値入ミックス

単価 粗利益率 粗利益

商品 X 100 円 5% 5 円

商品 Y 100 円 15% 15 円

商品 Z 100 円 40% 40 円

平均 20%

この均一価格による値入ミックスを活用することにより、100 円ショップば

かり でなく、 近は、衣料品の 1000 円均一ショップや 3000 円均一ショップも

続々登場し、成果を上げている 。

均一価格による販売をする際に注意が必要なことは、中途半端な品揃えを し

ないことである 。売場全体を均一価格にすることは難しいにしろ、店側の都合

ではなく、顧客 のニーズに合わせて十分な品揃えを することが肝心である。

各社が PB 商品に力を入れるには、訳がある 。P B 商品は、広告・宣伝費や営

業費などのメーカーの負担分がなく、基本的に小売店などの流通業者が大量発

注で全品とも買 い取るため、仕入れ値が安 くなる 。このため 、N B 商品と違 い

店頭価格を安くしても 、販売量を増やしや すいので利益を残せる。さらに決定

的なことは、独自企画の商品なので他の店 との違いを はっきり打ち出 せる点だ。

しかし、P B 商品は返品なしの商品だけに、売れ残った在庫はすべて自社の負担。

売り切る力がなければ手を出せないが、他店との差別化に欠 かせない一手でも

ある 。

大量に仕入れた製品をさばくには、店舗数が多いほど良い。大手 100 円ショ

ップ業者が猛烈 に出店を続けている理由はここにある。店 が増えれ ば、さら に

大量仕入れが可能になり 、コストがさら に下がる 。

以前に比べ商業開発のコストがずいぶん低下した。その分出店しや すくなっ

たが、同時に競合も激しくなった。だから店舗を大型化して競争力を強化しな

けれ ばならない。そこで店を 2 倍の広さにした。でも売上はせいぜい 2 割くら

いしか増えない。というのが苦 しい実態なのである 。

100 円ショップの客の 9 割 は、女性 である 。昼間は主婦が立 ち寄り、午後 3

時を過ぎると学校帰りの女子高生がグループでや って来る。6 時を過ぎた頃 か

ら職場帰りのOLがどっと繰り出す、といったよ うに女性客がとぎれ ない。学

校や地域の行事 の景品を大量に買われることがある が、これも女性が選ぶ場合

が多 い。日曜、祭日になると父親 と子供という組 み合わせも見られる。子供が

おも ちゃを欲しがり、折 からの不況でおこずかいの少ないお父さんも 100 円な

らと、潔く出 かけてくる 。さら に、企業においても文房具などを経費削減の観

点から 100 円ショップ利用に積極的になってきているようだ。

第4章 各社の比較 第1節 日本の大手企業 図表 現在の勢力図( 2002 年 2 月 7 日)

企業名 店舗名 創業年 店舗数 売上高 伸長率

大創産業 ダイソー 1972 2400 2400 億円 20.0%

山洋エージェンシー ワンオーオー 1985 609 310 億円 28.8%

キャンドゥ キャン☆ドゥ 1977 401 297 億円 43.3%

オースリー シルク 1981 183 114 億円 6 .9%

ワッツ 1995 190 95 億円 29.8%

[参考 ]

九九プラス SHOP99 1996 103 190 億円 64.5%

100 円ショップを運営するチェーンは、全国で 20 社くら いある といわれてい

る。シェアはダイソーが 60~ 70%を占めてガリバー企業の強さを見せつけてい

るが、2 位以下の企業も独自商品の開発や、積極的なフランチャイジーの募集

と直営店展開とを併せて店舗数の拡大に力を入れ、同一商圏の中で他社の店舗

と 2~ 3 店で競合 する状況が増える中、差別化とスケールメリットの追求 に専念

して、追い上 げに拍車をかけている。

デフレ時代の価格破壊現象は今や第 3 ラウンドを迎えている 。

まず第 1 段階は流通の合理化による価格破壊だ。これはかつての総合スーパ

ーやディスカウンターなどによる手法。要 はメーカー(ある いは卸) からの大

量一括購入で仕入れ値を下げ、さらに自社 の経費と流通コストを削減し他社よ

りも低い粗利で低価格を実現する というも の。 もプリミティブな価格破壊だ。

第 2 段階は小売業自らが生産に踏 み込み劇的に価格を下げる SPA 型の価格破

壊。すなわちユニクロ流成功方式であり 、これが近年の市場を席捲してきた。

第 3 段階に突入 した価格破壊の実態は日本向けの細 かい仕様発注とか小難し

い加工コストをかける ことなく、中国現地の生産ラインを丸ごと抱 えて売りさ

ばくシステムを確立する ことによ ってさら に安い価格を実現できる 。

それを地で行 く典型的企業が大創産業だろ う。時計や老眼鏡まですべて 100

円という価格破壊は、そうした手法抜きでは不可能だったはずである 。

中国で作った商品の原価

*アパレル………婦人ショーツ 34 円・紳士Tシャツ 65 円・Yシャツ 198 円

*服飾……………エプロン 78 円・スリッパ 65 円

*キッチン用品…コーヒーポット 73 円

*食器…………… 24 ピース食器セット 220 円・ガラス製コップ 16 円・割り箸

100 膳 18 円

*その他…………セロハンテープ 36 円・ヘアドライヤ 62 円・目覚まし時計 90

第2節 各社の戦略 大創産業

売場面積が広 くて、品揃えが豊富であり 、魅力的な商品が多い。

「ワンコインで気軽に楽 しさが買 える店」にとどまらず、より生活に密着した

「必要不可欠な日常ストア」として確実に消費者に定着している。非食品ゼネ

ラルマーチャンダイザーたるバラエティストアへと到着しつつある 。

商品 の単品管理という発想がない。レジ打刻時も雑貨と食品の 2 分類だけ。

従って、補充・発注の判断は“目分量”に頼らざるを得ず、品切れも売れ残り

も出さない適正在庫コントロールは、個人 の能力による。

山洋エージェンシー

楽しさを重視したベーシックモデル。

広々としたスペースをカラフルに彩る、楽 しさあふれる店舗展開を実施して

います。文具をはじめ 、生活用品、コスメティック、ファンシー、ガーデニン

グなど、生活必需品からゆとり ある暮らしを実現するグッズまで、ナショナル

ブランドを取り入れた種類豊富な品揃えで販売促進を図ります。

キャンドゥ

当社は、「お客様 の立場に立ってを基本に、消費生活をより豊かにする ことに

よって地域社会の向上・発展に寄与する 」を経営理念とし、その実現 の為に、

以下の方針を掲げており ます。

商品開発の追及→品質向上、バラエティの豊富さ、品揃えの充実の同時実現

を目指し、日 々驚きと感動を店作りに提案 する商品開発を実践しております。

出店開発の追及→商圏範囲でのシェアの獲得と競争力のある地域開発を構築

いたします。

個店対応の追及→全国展開チェーンメリットを有効活用しつつ、地域ニーズ

に適応 した商品 とサービスの提供 で地域密着の店作りを目指しており ます。

オースリー

独自のノウハウを生かした、綿密 なマーケティング。

当社独自のノウハウのひとつとして、出店時の綿密 なマーケティングがあり

ます。商圏内人口や客層などを分析した上 で、 適 な立地に出店するシステム

は、業界でも高 い評価を得ています。また、オンラインのコンピュータ処理に

よる商品情報管理で、タイムリーに売れ行き動向を把握。その上で、常に先を

見通した商品戦略を立てることが可能です。

2001 年 12 月下旬に、首都圏の 5 店舗で 100 円以上の商品を販売する実験を

始める。300 円、500 円、800 円と複数の価格を設定し、原価が 500 円を超える

生活雑貨などを陳列した。商品価格の多様化を進めて一品当たりの粗利益率を

拡大させれば、数量の停滞を補う効果がある 。価格に柔軟性を持たせる ことで、

逆に粗利益の幅を抑えて集客効果を狙うこともできる。

キャンドゥは 4 年前に 100 円以上の雑貨販売を試みたが、全 く客に相手にさ

れず、企画倒れに終わった。

100 円でも粗利益は取れるが、200 円なら十倍以上に膨らむ。

米国ではダラージェネラルやファミリーダラーといった複数 の価格線を設定

する生活雑貨店がそれ ぞれ 、5000 店を越える規模にまで成長している 。デフレ

下で消費者の圧倒的な支持を集め、出店を加速してきた日本 の 1 00 円ショップ

はそん な海外の動きにも目を向けながら 、業態の根幹をなす価格政策で揺れ動

いている。

ワッツ

拡大を続ける 100 円ショップ業界で、敢 えて「絞り込み」を中心に据 える当

社の戦略。

取扱商品アイテム数は 6,000 アイテム程度とし、絞り込んだ商品の中 で品質

の向上を図る一方、顧客ニーズに合った商品開発を目指し、毎月 200 アイテム

程度の新規商品を売場に提供する ことにより、顧客満足の実現を図ります。

ダイナミックな新規出店、ドラスティックな閉店を実施し、絞り込んだ店舗

において活性化と売上高の拡大を目指すと同時に、既存店舗のレベルアップ、

活性化に心掛け、既存店売上高前期比2%増を達成し、利益体質の強化を図り

ます。

本部指導のも と、店舗担当社員によるパート社員に対する指導・教育内容の

レベルアップを図り、店舗担当社員の管理店舗数 10 店舗を実現できる管理能力

の獲得を目指すと伴に、年功序列的賃金体系を改め、業績評価による新しい賃

金制度の導入することにより、従業員満足の実現を図ります。

九九プラス

一般的な 100 円ショップが、プラスチック加工品などの日用品や雑貨類を中

心にした品揃えなのに対 し、SHOP99 は売場 の 8 0%を食品が占め ている 。中で

も生鮮食品が売場の 30%ほどを占めている点が他 の 100 円ショップとは決定的

に異 なる。そのため、SHOP99 で買 い物する客は、平均で週 5.5 回来店する。

一般の 100 円ショップが 1、2 回程度なのと比 べても頻度の高 さが分かる 。

POS レジは置 くものの商品別のベスト 20、ワースト 20 の把握 にとどめ 、発

注の際 の「仮説 」、「検証 」を重視した仕事 の差別化を求めている。システムの

革新に見合う人材の育成 が課題であることは間違いない。

と各社各様の独自性を出そうとしている が、商品のバラエティが魅力 の、新

商品が次々と投入される新鮮さを武器にリピーターを増やそうとすれ ば、他社

の開発商品を取り込み、店舗を大型化し、清潔感とムードある売場づくり へと、

競争はエスカレートしている。

100 円ショップは軒並 み高い伸 びを示している 。大量出店と店舗の大型化に

よるところが大 きいが、スケールメリットの拡大は粗利益率の向上にも貢献し

ている 。ダイソーは公表 していないが仕入れ量がケタ違いに多いだけに粗利益

率 40%ぐらいと推定される。業界平均は 25~ 35%ぐら いだが、仕入れ量に応じ

て上昇 しているようだ。

しかし、この急速な成長に物流や在庫管理などのシステム面の整備 が追いつ

かず、無駄なコストが利益を圧迫する懸念がある 。このよ うな状況の中POS

システムを強化するといった戦略も出てきている 。

第5章 海外展開 第1節 国による意識の違い

為替の変動があり、値段 の付け方も各国様々なのでその商品価値を日本と比

較する ことは出来ません が、どの国も主流の商品は「日用品」のよ うです。各

国共にここ数年 で人気が出てきましたが、発祥の地 は米国では 1879 年にペンシ

ルバニア州に「5セントショップ」が開店 したとの記録があります。その後 、

「1ドルショップ」が本格的に登場し始め たのが 1950 年代ということです。

スーパーを見て歩くとその国で流行っている商品が購入できるので、友人へ

のお土産にする人が多 いようですが、これ からは低価格ショップでのお土産捜

しが増 えるかも しれません。

海外進出は 1985 年の円高を契機に企業が日本経済の構造調整のなかで進め

てきたリストラクチャリングの一環である 。このリストラクチャリングの柱は、

国内拡販戦略・円高対応戦略・国際分業であり、国際分業とは国内、欧米、ア

ジア NIES・ ASEAN などに製品ごとに生産拠点を 適地域へ再編成しよ うとい

うも のである 。

人間の根本的ニーズ(生存欲求・生理的欲求)は国 によって大きな違 いはな

いも のの、日常生活での細かなニーズは国 によって結構違っている 。進出国の

文化・習慣・制度・消費者のニーズなどが把握しや すいかどうかによ って成否

が分 かれる。カナダやイギリスのような英語圏では、国の諸事情が分 かりやす

く成功 しやすいが中国・韓国などのアジアの国々では把握が難しいよ うだ。

しかし、1 00 円ショップの多くはアジアの国 々に進出 している 。

何 が売れて何 が売 れ ないのかを見極める のが 100 円ショップビジネス の成

功・不成功を分けている 。しかし、日本人によく売れる商品が外国人に人気が

なかったり、逆 に日本人に不人気な商品が外国人に大いにウケたり する。海外

での展開は、価格・商品ともに日本と同 じではない。

商品開発の国際化が求められている。

日本人からすれ ば確かに 100 円くら いだが、国によ ってはかなりの高額 とな

り、日本人感覚の「成り行きでの購入」ではなく、目的意識を持った実質的買

物の一 つになる ところも ある。

第2節 各社の進出状況 大創産業…………………台湾・韓国に 100 店舗以上を合弁会社にて達成。

シンガポールに 850 坪の大型店を単独で出店 。

国内の出店と併 せ、「規模の利益」を追求する 。

香港・マレーシア。

日本国内と同様のアイテムを取り扱っている。

約 300 店舗。

山洋エージェンシー……台湾の FC 店「彩遊館」を展開。

フィリピン・カンボジア・中国・韓国。次 は香港へ。

約 3 0 店舗。

オースリー………………韓国の商社契約による FC 展開。「シルク」名 にて。

アジアでは「おしゃれな生活雑貨」として人気も高いため 、出店による「規

模の利益」追求型と、山洋エージェンシーやオースリーに見る FC 契約への卸

売りによる利益安定型の戦略に分 かれている。

図 台北のダイソー

アメリカでは従来、メキシコ、ブラジル、台湾、フィリピンから入荷してい

たが、 近は中国が圧倒的なシェアを占めている 。また、運搬コストのかかる

ものはアメリカ国内から 、玩具は香港から 、陶磁器はブラジルから と、製品の

特長に合わせて輸入国も変わる傾向にある 。

第6章 まとめ 食品スーパーと大きく異 なるのは、特売を一切行わない点 。価格が同 じなの

で、値札を変えなくてすむうえ、新たにポップを用意する必要もない。特売の

ため に、商品の配置を大きく変更 する必要もない。だから 、経験の少 ないパー

トの従業員だけでも店舗を経営できる。いつも同値なのでチラシも一切いら な

い。こうして販促費は、ほぼゼロ になる 。

単品での商品管理をしていないため、生活雑貨用品などの売れ筋商品が品切

れになった場合 は補充に時間がかかる。各店舗から本社への発注システムもコ

ンビニのように合理化されていませんから 、商品管理をきちんとやろ うと思 え

ば人件費などのコストが膨らんでしまうのです。

価格破壊は日本 の物価が海外並み、特にアメリカ並みになる まで進行 するだ

ろう。それは、「日本の物価 はアメリカの2倍!」と高 いからで、日本の物価格

差がなくなる まで価格破壊は展開 されて行 くと思われる。

長期化するデフレ経済下において小売業の苦戦が続 くなかで、成長分野の象

徴とも いうべきワンプライスストアの市場 が拡大し続けている。その要因とし

ては、現在の小売専門店が怠ってきた「店舗コンセプトの明確さ」、「買物の楽

しさ」、「品揃え」、「店舗 づくり 」を改めて鮮明にした努力の結果といえる。そ

して今日更なる発展のキーワードは「限り ない革新性」と「商品開発力」、「出

店戦略」、「人材の育成」、等 であり 、今後日常生活の一部 として確実に定着 して

いくことが予測 される。

流通がある限りブームが消える ことはない。ただ、客のニーズにこたえてい

かなければ生 き残れない。先の見 えない小売業だが、1 00 円ショップは今後も

様々な形態に枝分かれ し、成長し続ける可能性をはらんでいる。

参考文献 三浦あかね( 1999)『100 円ショップの魔術商法』エール出版社

大技一郎・松尾武幸( 2002)『流通業界ハンドブック』日本実業出版社

波形克彦( 1997)『200X「卸売業」「小売業」はこう変わる』経営情報出版社

波形克彦( 2001)『小売業の「21 世紀型」革新戦略』経林書房

日興リサーチセンター『日本企業「海外進出地図」の読み』