理学が解明する...

13
2014/7/3 1 5HiSEP特別セミナー 2014.07.3 講師 加藤 泰建 理学が解明する 先史アンデスの文明 先史アンデス文明の研究 インカ帝国 15世紀に南米大陸を支配していた大国家 1532年にスペイン人によって征服 クスコ市1983年世界遺産),マチュピチュ遺跡1983年世界遺産) スペインによる征服まで他の文明社会とは交流がなかった 16世紀にいたるも先史社会(文字による記録がない) プレ・インカ文明 金属細工、土器、織物で知られる ナスカの地上絵1994年世界遺産) アンデスの文明はいつ、どのようにして・・・ 紀元前3000年~ カラル遺跡2009年世界遺産) 紀元前1000年~ 独特の神殿社会 西暦前後~ 都市国家 西欧の文明とはまったく異なる歩みをとげた文明 人類の文明、人類の社会はどのようにして発展してきたのか

Upload: others

Post on 24-Feb-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

1

第5回HiSEP特別セミナー

2014.07.3講師 加藤 泰建

理学が解明する先史アンデスの文明

• 先史アンデス文明の研究

– インカ帝国• 15世紀に南米大陸を支配していた大国家

• 1532年にスペイン人によって征服

• クスコ市(1983年世界遺産),マチュピチュ遺跡(1983年世界遺産)

• スペインによる征服まで他の文明社会とは交流がなかった

16世紀にいたるも先史社会(文字による記録がない)

– プレ・インカ文明• 金属細工、土器、織物で知られる

• ナスカの地上絵(1994年世界遺産)

– アンデスの文明はいつ、どのようにして・・・• 紀元前3000年~ カラル遺跡(2009年世界遺産)

• 紀元前1000年~ 独特の神殿社会

• 西暦前後~ 都市国家

西欧の文明とはまったく異なる歩みをとげた文明

人類の文明、人類の社会はどのようにして発展してきたのか

Page 2: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

2

前950年○

イドロ期神殿建立ID期1

地域型神殿

神殿更新ID期2

彩色土製レリーフ彩色壁画

前800年◎

クントゥル・ワシ期神殿建立KW期1

石彫彩色壁画

特別の墓 広域型神殿

神殿更新KW期2

彩色壁画 特別の墓

前550年◎

コパ期神殿建立CP期1

彩色壁画石彫

地方型神殿

神殿更新CP期2

彩色壁画石彫、土製レリーフ

特別の墓

神殿構造の大変化CP期3

前250年△

神殿の放棄

前800年ごろの神殿KW1

前650年ごろの神殿KW2

前550年ごろの神殿CP1

前400年ごろの神殿CP2

Page 3: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

3

1

2

Page 4: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

4

埋葬のイメージ図

12

3

4

5

前 800年 いったい何が起こったのか

この大建設工事の途中で、古い神殿建築の床を掘りぬいて穴を掘り特別な埋葬儀式を行った後、建物全体を埋めて新しい神殿を建立した。

特別な埋葬が行われた墓は五基いずれも金属製品の飾りを伴う副葬品が納められていた。

考古学 資料を収集・分析SIENCE 資料の科学分析

クントゥル・ワシでは、それまで地域社会の中心として機能していた神殿をことごとく地中に埋め、丘全体を石垣で支えた巨大な神殿を築いた。

特別な墓の被葬者は(離れている一つの墓を除き)いずれも赤い顔料が振りかけられていた。

副葬品の中には、大きな白い貝、大きな骨の円盤、赤い貝殻のビーズ、青い石の玉などがあった。

考古学 層位発掘

SIENCE 蛍光X線分析

SIENCE 蛍光X線分析 ・産地同定

解釈・総合

Page 5: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

5

放射性炭素年代測定法でわかる ・・・・・・・・・・

放射性炭素年代測定法とは何か、その限界、改良の可能性

神殿を直接測定することはできない(建設の時期は簡単にはわからない)

墓に埋葬された人骨は年代測定の資料になる

神殿に関連する堆積(土層)に含まれる有機物の年代測定は可能

かつては人骨は年代測定の資料にはなりにくかった

食物連鎖の頂点にいる人間の骨は測定が難しい・・・・・・

クントゥル・ワシの場合、神殿建立時に埋葬が行われた

1.年代の決定:どうして前 800年とわかるのか

年代を測定したい事象・対象について適切な資料が得られるとは限らない

測定のために多量の資料が必要(破壊分析)

年代科学

同位体化学

地球科学

• 1947年アメリカの物理化学者Willard Libbyが放射性炭素年代測定法を発見• 炭素の同位体 C12,C13,C14 (陽子数6, 中性子数6,7,8, 質量数12,13,14)• C12とC13は安定同位体、C14は放射性同位体(半減期5730年でN14に壊変)• 放射性炭素C14は常に大気圏上層で生成(微量)される

• 大気中で酸化され二酸化炭素となり植物は光合成によって、動物も食物連鎖によってC14を取り込む

• 生物体は一定濃度のC14を含むが、死後は壊変するので減少する。• 有機物試料の放射性炭素を測定すれば死後の経過時間が計算可能

画期的な発明:1960年のノーベル化学賞記録のない過去の実年代の測定が可能となった!

測定方法の飛躍的改良試料のC14量を測る手法の改良 加速器質量分析法(AMS)放射性炭素濃度は一定という仮定の較正

リビーの発見後半世紀を経てC14年代法は重要性を再認識年代科学の確立と文理融合研究の展開

放射性炭素年代測定法とは

Page 6: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

6

未補正14C年代 measured radiocarbon age14C/12C比のみ(同位体分別未補正)で計算

14C年代 conventional radiocarbon age

y BP (before present)AD 1950年を基準

測定方法AMS :加速器質量分析骨コラーゲン抽出

安定同位体比13C/12C比を測定資料のδ13C(千分率)を基準‐25に補正

補正曲線のデータセットIntcal 09

暦年代(較正年代) calibrated result 

大気中14C濃度の変動を補正

既知の樹木年輪や湖などの縞状堆積の年代測定により作成された補正曲線

conventional radiocarbon age14C年代:2610年±30 BP

BP (before present)AD 1950年を基準

2610‐1950=BC660年 ?

±:シグマ(標準偏差)

calibrated result 較正年代(暦年代)

Cal BC 810 to 770  (95%)Cal BC 800 to 790  (68%)

C13/C12=17.3安定同位体比

Laboratory numberBeta‐342537

4

Page 7: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

7

墓から出土した金属製品の成分比率

Au Ag Cu Fe 重量(g)

① 十四人面金冠 88.8 10.03 0.96 0.21 250

② 五面ジャガー金冠 66.46 31.49 1.74 0.31 174

ジャガー・双子マスク 81.01 17.60 0.93 0.46 34

横顔ジャガー耳飾り(L) 82.14 16.48 1.06 0.32 60

横顔ジャガー耳飾り(R) 77.91 20.42 1.26 0.41 60

蛇目角目ジャガーマスク 80.41 18.04 1.26 0.29 71

③ 耳飾り(L) 78.20 18.69 2.84 0.27 39

耳飾り(R) 85.30 11.99 1.97 0.74 43

④ 円錐形ペンダント 81.27 15.44 3.03 0.26 3.3

鳥形飾り1 91.93 7.26 0.43 0.38 0.5

鳥形飾り2 92.49 6.78 0.32 0.41 0.5

鳥形飾り3 39.23 58.82 1.78 0.18 0.5

⑤ 円盤 0 0 100 0 9

2.金属製品の成分分析文化財科学保存科学

金属製品(金工芸品)は破壊分析ができない 可搬型装置による蛍光X線分析

墓に埋葬されたのは、ほとんどが金製品で、銀製品、銅製品はごくわずか

同じ製品でも部位によって組成比が異なる

銅製品は特殊な埋葬⑤のみで、金属の装身具としては別扱い

製品ごとに組成比が異なる

銀製品は少ない(埋葬④のみ)。同じ形の金製品とセット

金製品は、金の含有率がきわめて高い

埋葬②の「五面ジャガー金冠」だけは、金の含有率がやや低い

埋葬③の耳飾りは、二枚の板を接合して作られている(接合は金蠟)

砂金粒(銀が含まれる)を集めて叩き、金のナゲットを作る

銀の含有量が異なるナゲットを組み合わせて坩堝で融解

色彩、耐久性、細工のしやすさ(硬軟)

金属製品の成分分析からわかったこと

金銀の比を調整したナゲットを叩き延ばして板を作る

Page 8: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

8

金 88.8%,銀 10%の十四人面金冠①より複雑な切り取り加工

金 66.5%, 銀 31.5%の五面ジャガー金冠②より単純な打ち出し加工

金 92%, 銀 7%の鳥形飾り(2点)金 39%, 銀 59% の鳥形飾り ④

蛍光X線分析によって硫化水銀であることがわかった

壁画や土製レリーフにも同じ赤色顔料が用いられていた

硫化水銀の産地はクントゥル・ワシからは遠距離

クントゥル・ワシ遺跡で前800年に硫化水銀が使用されていたというデータ⇒ 別の研究に展開されていく

金製品を含む墓では,必ず被葬者の頭部を中心に振り撒かれていた

埋葬の同時性が確実な五つの墓では,①-④に赤い顔料

副葬品を多く伴う墓の場合には赤い顔料が撒かれていた

特定の用途に限定される資源

Cooke, C. et.al, Over three millennia of mercury pollution in the Peruvian Andes, PNAS, 106-22:8830-8834, 2009

3.墓に撒かれていた赤い顔料は何か

産地が限定された特殊資源

地質学

地球科学

環境史学

Page 9: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

9

近隣の二つの湖の水銀汚染には 二つのピークCal BC 1400-500 と Cal AD 1400-

第一ピークの中でも Cal BC 600 に大規模開発

第一のピークは離れた第三の湖には認められない

他の遺跡の考古学的証拠からも裏付けられる

第二のピークはCal AD 1400に始まっている

第二のピークは第三の湖にも顕著に認められる

スペイン人による銀の採掘に用いられた水銀アマルガム法は1554年に考案されたという

クントゥル・ワシ期の広域型神殿 Cal BC 800-550アンデス全域に広域物流が促進する時期に合致

水銀鉱山の本格的な開発は16世紀とされていたが水銀汚染は予想よりも早くインカ時代に始まっていた

Frank Schultz の研究(2004) Cerro Sapo, BoliviaSchultz, F. et.al 2004, Carbonatite diversity in the Central Andes: The Ayopaya alkaline province, Bolivia, Contri. Mineral Petrol 148, 391-408

青い石はソーダライトと結論

蛍光X線分析,微小部分化学分析装置で確認

産地はどこか?

鉱物記載学的作業

Cerro Sapo の Diesse鉱山で現在の産出状況を調査(2005)、比較資料を入手

岩石の鉱物組成と組織・構造の特徴を観察

岩石記載学的作業 4

構成する個々の鉱物の特徴を化学・物理学的に分析

4.青い石の原産地同定

クントゥル・ワシ出土のソーダライトはボリビアのセロ・サポが原産と判明!

地質学

Page 10: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

10

五つの墓の副葬品に含まれていた特殊な資源

金製品

白いほら貝

ペルー北海岸

ストロンブス貝 エクアドル海岸

赤い貝殻 スポンディルス貝 エクアドル海岸

骨の円盤 海生哺乳類 ペルー北海岸

青い石 ソーダライト ボリビア山地 セロ・サポ鉱山

クントゥル・ワシ神殿で確認された他の特殊資源

黒石の利器 ペルー南部山地、 エクアドル山地

ジャガー ペルー東部雨林地帯 アマゾン

砂金粒

獣骨

リャマ ペルー中部山地

黒曜石

赤い顔料 硫化水銀(辰砂) ペルー南部山地 サンタ・バルバラ鉱山

オマキザル

メガネグマ

ペルー東部雨林地帯 アマゾン

ペルー東部雨林地帯 アマゾン

前950年頃自然の丘の上を整形して神殿が建立された イドロ期神殿(ID-1)地域の中心として機能 近隣の地域神殿と相互に交流・競合神殿の増改築が行われ革新の契機に イドロ期神殿(ID-2)

前 800年頃丘全体を整形して新しい神殿が建立された クントゥル・ワシ期神殿(KW-1)このとき古いイドロ期神殿はことごとく地中に埋められた広域社会の中心として機能 アンデス全域にわたり物流が促進される神殿の増改築が行われ革新の契機に クントゥル・ワシ期神殿(KW-2)

前 550年頃新しい神殿が建立された コパ期神殿(CP-1)古いクントゥル・ワシ期神殿を活用しながら新しい神殿に地方社会の中心として機能 地方の資源活用へ神殿の大改築が行われ、独自の神殿構造へ コパ期神殿(CP-2)神殿の機能が変質 コパ期神殿(CP-3)

地方社会の中心

拡散・充実

広域社会の中心

物流・情報の促進

地域社会の中心

交流・競合神殿の放棄

Page 11: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

11

クントゥル・ワシ神殿

エクアドル山地黒曜石

ペルー南部山地ワンカベリカ

硫化水銀(朱)、黒曜石

ボリビア山地セロ・サポ

ソーダライト

アマゾン地方ジャガー、オマキザル、

メガネグマ

広域型神殿クントゥル・ワシ

クントゥル・ワシ神殿には広範囲にわたる

各地の多様な資源が集まってきた。

神殿は人、物、情報が集まる場所

エクアドル海岸部スポンディルス貝ストロンブス貝

ペルー北海岸金製品、海産物

チャビン・デ・ワンタル神殿

前800-550年

クントゥル・ワシ期神殿広域社会の

中心として機能

C4 植物C 13を比較的多く含む植物アワ、ヒエトウモロコシ

C3 植物C13 をあまり含まない植物

コメ、ムギ、イモ

植物の同位体比は光合成の方法の違いによって大きく二グル―プに分けられる

C13/C12の同位体比δ13C値(基準からのずれ)

N15/N14の同位体比δ15N値(基準からのずれ)

窒素安定同位体N15の比率は同じ海生でも種類によって異なる

遺跡から出土した人骨に残されたコラーゲン(タンパク質)を抽出して食性を判断

動植物(食物)に含まれる同位体比は生理的条件、生息する環境によって異なる

海の生物は重い同位体を比較的多く含む

海の生物は陸生生物よりC 13,N15を比較的多く含む

5.炭素・窒素同位体の分析による食性の復元

N15の比率海生の

哺乳動物がもっとも高い

N15の比率海生貝類

が低い傾向にある

先史人類学

同位体化学

Page 12: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

12

▲ クントゥル・ワシ期 800 BC‐□ コパ期 550 BC‐+ 神殿放棄後

トウモロコシ

Cal BC 800 以前(○,X)トウモロコシ利用なし

Cal BC 800 (▲)トウモロコシ利用導入

ばらつきあり

Cal BC 550 以降(□)かなりばらつき

Cal BC 250 以降(+)トウモロコシ利用は増

トウモロコシ利用の比率は徐々に高くなる傾向がある

しかし導入されるとただちに農業が転換とはならない

ジャガイモ

海産物

発掘調査ではおよそ10万点の動物骨が得られた

動物考古学、生物考古学の専門家が分析:1万点のうち4000点について種同定

アンデス文明では一世紀以降の国家社会において農業が本格的に発展

前800年-前250年のクントゥル・ワシでトウモロコシ農業は始まっていたか

広域型神殿は多様な資源の入手を可能にしたが、生業の転換には直結しなかった

オジロジカ(野生) リャマ(家畜) 構成比

前950年‐ イドロ期 420 2 0%

前800年‐ クントゥル・ワシ期 1122 82 7%

前550年‐ コパ期 455 164 26%

前250年‐ 放棄後 257 215 46%

800年を境に家畜動物リャマが導入され物流(荷駄獣)や食肉としての利用が始まっていたが、動物利用の在り方は大きく転換はしない

人骨コラーゲンを用いた食性分析の結果によればトウモロコシは導入されていたが主要作物には転換していない

6.前 800-前 250年に生業の転換はあったのか生物考古学

動物考古学

Page 13: 理学が解明する 先史アンデスの文明hisep.saitama-u.ac.jp/pluginfile.php/16/mod_forum... · 2014. 7. 3.  · 2014/7/3 1 第5回hisep特別セミナー 2014.07.3 講師

2014/7/3

13

6

7

7.前 800年以降、金属製品の利用・製作はどうなったのか

前 800-550年 クントゥル・ワシ期前650年ごろ神殿更新(KW2) 墓⑥ (前 800年の金製品と比べて変化はない)その後墓⑦ :新しい形状の胸飾り、装飾にも変化

8 9

前 550-250年 コパ期コパ期にも金属製品を伴う特別の墓は二基確認している。墓⑧、墓⑨金製品は大きく変化し、多様な飾りが製作されるようになった。技術革新が進み、接合の技術も巧みになる。玉飾りや管玉飾りが多い。ジャガーのモチーフなど図像の象徴的表現は失われた。