維持血液透析患者のabi...

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維持血液透析患者のABIbaPWV検査の集計報告 太田ネフロクリニック 看護部 〇阿久津 陽子 後藤 紀朋 岩下 愛莉 二階堂 剛史 酒井 伸一郎

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  • 維持血液透析患者のABI・baPWV検査の集計報告

    太田ネフロクリニック

    看護部 〇阿久津 陽子 後藤 紀朋 岩下 愛莉 二階堂 剛史 酒井 伸一郎

  • 【目的】 当院では、間歇性跛行や安静時疼痛を経ずに足趾潰瘍や壊疽が出現し、下肢切断に至る症例を度々経験している。そこで、末梢動脈疾患(PAD)による虚血肢の早期発見を目的として下肢の血流を評価、PADの発生率について集計、若干の考察も加えたので報告する。

  • 【対象】 227名 (男性144名 女性83名) 平均年齢 66.3±12.1歳 平均透析歴 6.0±6.2年

    104人 45.8%

    14人 6.2% 28人 12.3%

    81人 35.7%

  • 【方法】 ①透析導入及び転入時 に初回検査として足関節 上腕血圧比(ABI),脈波伝播速度(baPWV)を 測定している。今回全維持血液透析患者を対象に再測定した。《測定期間:平成25年5月~7月》

    ②透析歴・年齢・糖尿病の有無で比較した。

    ③経過中に発症したPADの頻度と転機について

    調査した。

    ④ABI、 baPWV測定は透析終了後に施行した。

  • 【結果】 透析歴で比較

    0.00

    0.20

    0.40

    0.60

    0.80

    1.00

    1.20

    1.40

    1.60

    透析歴別ABI値 ※P<0.01

    0.00

    500.00

    1000.00

    1500.00

    2000.00

    2500.00

    3000.00

    透析歴別baPWV値 NP

  • 年代別で比較

    0.00

    500.00

    1000.00

    1500.00

    2000.00

    2500.00

    3000.00

    40歳未満 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

    年代別baPWV値 ※

    0.00

    0.20

    0.40

    0.60

    0.80

    1.00

    1.20

    1.40

    40歳未満 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

    年代別ABI値 ※P<0.001

    P<0.001

    P=0.0001

  • 糖尿病の有無で比較1

    22.20%

    11.10%

    59.30%

    7.40% 8.90%

    6.80%

    89.10%

    4.10%

    0.00%

    10.00%

    20.00%

    30.00%

    40.00%

    50.00%

    60.00%

    70.00%

    80.00%

    90.00%

    100.00%

    ABI 0.7 ABI 0.7~0.9 ABI 0.9~1.4 ABI 1.4以上

    糖尿病 非糖尿病

    (10人)

    (9人)

    (18人)

    (13人)

    (48人)

    (117人)

    (6人) (6人)

    DM 81人 NDM 146人

    ※ P<0.01

  • 糖尿病の有無で比較2

    12.30%

    63.00%

    25.00%

    15.80%

    65.80%

    18.50%

    0.00%

    10.00%

    20.00%

    30.00%

    40.00%

    50.00%

    60.00%

    70.00%

    baPWV 1500以下 baPWV 2500以下 baPWV 2500以上 糖尿病 非糖尿病

    81人 146人

    (10人) (23人)

    (51人) (96人)

    (20人) (27人)

    当院透析患者平均年齢66.4±12.1才の平均baPWV値は1961.1±516.1cm/s(正常者の約2倍)

    NP

  • PADの現状(血管専門医紹介し診断が確定した患者) 糖尿病 20人/81人:24.7%

    11人/146人:7.5%

    全体31人/227人 13.7%

    下肢切断5人 6.2%

    潰瘍形成9人 11%

    EVT治療4人 4.9%

    経過観察2人 2.5%

    下肢切断1人 0.7%

    潰瘍形成4人 2.7%

    EVT治療4人 2.7%

    経過観察2人 1.4%

    非糖尿病

    平均ABI値0.99 平均baPWV値2365

    平均ABI値0.79 平均baPWV値1632

  • 【結果のまとめ】 ⓵全体のABIの平均値は1.09±0.20、baPWVの平均値は1961.1±516.1

    で、PAD発症率は13.7%であった。

    ⓶長期透析に伴いABI値は上昇傾向、baPWV値は平均して高値で、年

    齢による差はなかった。

    ⓷加齢と共にABI値は低値を示し、baPWV値は高値を示した。 ⓸ABI値0.9未満は糖尿病患者が有意に多く、正常域においては非糖尿病 患者が有意に多かった。 ⓹当院透析患者のbaPWV値の平均値は、正常者の約2倍と高値を示し た。糖尿病の有無での有意な差は認めなかった。 ⓺PADを発症した患者のbaPWV平均値は糖尿病患者が高く、やはりABI 値は全体的に低値でハイリスクだった。

  • 【考察1】

    ABIは、動脈硬化による狭窄、閉塞の診断を行う指標となる。

    異常値≦0.9 境界値0.91~0.99

    正常値1.0~1.4 石灰化疑い>1.4以上

    baPWVは、数値が高い程動脈壁が硬化している事を示しており、

    血管老化の指標となる。

    基準値1400cm/以下

    長期透析患者

    糖尿病患者

    高齢者

    骨・ミネラル代謝異常の亢進

    動脈硬化

    加齢による血管の老化

    血管の石灰化

  • 【考察2】 PADは透析患者の合併症として認められ、重症化するとADLの低下ばかりでなく致命的な結果をもたらす。よって透析導入時より下肢の慎重なチェックが望まれる。

    定期的な下肢の視触診・問診・状態観察に加え、ABI・baPWV測定を併用し、異常が認められた場合は、下肢動脈エコーによる血流測定、血管専門医への早期の受診が予後向上に役立つと考える。

  • 茨城人工透析談話会 COI開示 筆頭発表者名: 阿久津 陽子

    演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある

    企業などは、ありません。