眼視観測による国際宇宙ステーションの軌道速度の測定 · 軌道速度v=7.68...
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式1、式2を用いて、A2とB3の組み合わせについて計算した結果、次の通りとなった。 軌道速度V=7.68 [km/s]
眼視観測による国際宇宙ステーションの軌道速度の測定
北川翔太 新井雄太(高2) 【東京工業大学附属科学技術高等学校 科学部】
(2)計算法
ISSの軌道をTwo Line Elements〔4〕を用いて計算し、図3の通り緯度引数uを求めた。昇交点ΩとPとSA、ΩとQとSBでそれぞれ球面三角を設定すると、次の式により緯度φ1,φ2を求められる。
国際宇宙ステーション(ISS)は上空約400kmを周回する有人人工衛星で、肉眼で観測できる。このISSの軌道速度を、全国からの目撃報告を元に、誰にでも出来る眼視観測の手法で求めた。
1.国際宇宙ステーション(ISS)観測イベント『きぼう、みーつけた!』 科学部では主催イベント『きぼう、みーつけた!』〔1〕で、全国の参加者からISSの目撃報告(都道府県名・時刻他)を集め対地軌道を描く試みを行ってきた。2011年2月22日には専門観測として、有志の方にISSが自分の居場所の子午線を通過した時刻(秒単位)、及び観測点の緯度・経度の観測をしていただいた(表1)。
(1)作図法 φ1,φ2を観測日の対地軌道
〔2〕から読み取ると(図2)、各観測点の直下点緯度φは表1の通りである。式1によりP,Q間の角度θを求め、距離に換算し軌道速度Vを計算する。 ここで、地球の半径R=6356 [km], ISSの高度h=351 [km]〔3〕とする。
図2 2011年2月22日のISS 対地軌道図〔2〕 (1目盛り1°)
記号 都道府県 子午線 通過時刻 t
観測点 ISS軌道直下点 の緯度 φ 経度 λ(東経) 緯度 φ′(北緯)
A1 大阪府 18時18分29秒 135.734° 34 度47 分57.08 秒 37.5°
A2 兵庫県 18時18分38秒 135.465° 34°44’41.4691 37.5°
A3 兵庫県 18時18分35秒 135.213° 34 度54 秒36 秒 37.5°
A4 和歌山県 18時18分48秒 135.18° 34.219 度 37.5°
B1 群馬県 18時19分41秒 139.06° 36.39 度 40.0°
B2 埼玉県 18時19分51秒 139.712° 35 度49 分58 秒 40.0°
B3 東京都 18時19分44秒 139.817° 35 度38 分40 秒 40.0°
B4 東京都 18時19分31秒 139.598° 35 度43 分5 秒 40.0°
表1 2011年2月22日の専門観測の報告一覧
2.軌道速度の算出 観測点とISSの位置関係は図1の通りである。観測地点A,Bの子午線をISSが通過したとき、その直下点をP,Qとする。P,Qに北極Nを加え球面三角を構成し、余弦定理を適用すると次の通りである。
cosθ=cos(90°-φ1)×cos(90°-φ2) +sin(90°-φ1)×sin(90°-φ2)×cos(Δλ) (式1)
図1 ISSの軌道と観測点
[参考] [1]東工大附属高科学部主催国際宇宙ステーションISS観測イベント『きぼう、みーつけた』 , http://www1.hst.titech.ac.jp/club/sci_club/event.html [2],[3]ドイツ航空宇宙センター(DLR). Heavens- Above! . http://www. heavens-above. com/
[2] “Ground Track” . 2011-2-22 [3] “ISS-Orbit”. 2011-2-22 [4]NATIONAL AERONAUTICS AND SPACE ADMINISTRATION(NASA). Human Space Flight (HSF) - Realtime Data , http://spaceflight.nasa.gov/realdata/sightings/SSapplications/Post/JavaSSOP/orbit/ISS/SVPOST.html [謝辞] イベントにご参加下さった皆様、そして私たちに長年助言下さっている加茂昭さんに感謝致します
表2 A2,B3の各方法による軌道速度
他に写真観測報告一件
図3 計算法の原理図と2011年2月22日のTwo Line Elements〔4〕
3.まとめ 表2の通り、作図法では、主に、使用した図の読み取り精度(0.5°単位)より±1.2 [km/s] (16%)の誤差が生じた。計算法では±0.13 [km/s] (1.7%)であり、これは観測時刻の精度によるものであった。したがって計算法の精度を向上させるためには、時刻を秒以下の精度で測る必要があるとわかった。また計算法によりP,Qの経度を求めることができ、A2では134.6°となり、B3では138.6°となった。表1の実測値と比較すると、それぞれ0.90°、1.2°の差があった。原因は子午線の方角設定にあると考えられる。目に見えない子午線を正確に設定する方法の研究を、今後の課題としたい。今回の観測では、人間の目を道具としても、時速27648 [km]の高速移動体の速度を±470 [km/h]の精度で求められるということがわかった。
近畿地方のA1~A4の群と関東地方のB1~B4の群を組み合わせて計算した。その結果、最も参照値に近い組み合わせはA2-‐B3であり、軌道速度は次の通りとなった。 軌道速度V=7.47 [km/s]
(式3)
(式2)
図2の通り、P,QはA,Bの子午線上にあり同じ経度λであるが、緯度は不明である。そのため、P,Qのφ1,φ2を作図により求めた(作図法)。さらに、精度の向上を目指し、軌道計算により観測時刻から緯度φを求めた(計算法)。いずれもP,Q間の移動距離を出し、観測時刻の時間差で割ることで軌道速度を求める。なお、ISSの向心力と万有引力のつり合いから求めた軌道速度V´=7.70 [km/s]を参照値とする。
きぼう、みーつけた
A2-B3 軌道速度V [km/s] 作図法 7.47±1.20 [km/s] 計算法 7.68±0.13 [km/s] 参照値 7.70 [km/s]
A2 B3 P
Q
V=L/Δt=2π(R+h)×(θ°/360°)/(t2-t1)
sinφ=sinu×sini
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