異文化コミュニケーションにおけるアウェアネスの実践...

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1 異文化コミュニケーションにおけるアウェアネスの実践 ―プロセスワークの援用― 岩田好司 Awareness Practice in Intercultural Communication: Applications of Process Work Yoshinori IWATA Abstract Process Work is an awareness practice that allows us to follow, unfold and integrate what’s happening inside and outside of ourselves. Founded in the 1970s by Arnold Mindell (1940 - ) as Process Oriented Psychology, it has been expanding its range of application from individual psychotherapy to group work such as organizational change or conflict facilitation. The purpose of this article is to apply Process Work to the field of intercultural communication. Focusing on individual level, we initially examine its basic theory in this context. With its communication awareness, Process Work supports us in crossing our cultural boundaries to integrate diverse beliefs, values, and behaviors of dissimilar others. We subsequently focus on Process Work group approach from multicultural and diversity communication perspective. It has been developing theories and skills to facilitate conflicts due to cultural diversity. As the field of intercultural communication also provides an integrative approach to domestic and global diversity, we anticipate future collaboration of the two interdisciplinary disciplines. We finally argue that the practice of Process Work raises intercultural awareness and sensitivity, and expands the possibilities of mindful, holistic, and inclusive intercultural communication.

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1

異文化コミュニケーションにおけるアウェアネスの実践

―プロセスワークの援用―

岩田好司

Awareness Practice in Intercultural Communication:

Applications of Process Work

Yoshinori IWATA

Abstract

Process Work is an awareness practice that allows us to follow, unfold and

integrate what’s happening inside and outside of ourselves. Founded in the

1970s by Arnold Mindell (1940 - ) as Process Oriented Psychology, it has been

expanding its range of application from individual psychotherapy to group

work such as organizational change or conflict facilitation.

The purpose of this article is to apply Process Work to the field of

intercultural communication. Focusing on individual level, we initially

examine its basic theory in this context. With its communication awareness,

Process Work supports us in crossing our cultural boundaries to integrate

diverse beliefs, values, and behaviors of dissimilar others.

We subsequently focus on Process Work group approach from multicultural

and diversity communication perspective. It has been developing theories

and skills to facilitate conflicts due to cultural diversity. As the field of

intercultural communication also provides an integrative approach to

domestic and global diversity, we anticipate future collaboration of the two

interdisciplinary disciplines.

We finally argue that the practice of Process Work raises intercultural

awareness and sensitivity, and expands the possibilities of mindful, holistic,

and inclusive intercultural communication.

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キーワード(key words):プロセスワーク Process Work、多様性 diversity、異

文化間アウェアネス intercultural awareness

1. はじめに

プロセスワーク(以下 PW)は自己の内部や外部で生起しているプロセス(変

化)に従い、それを展開しながら自己に統合していくためのアウェアネス(自覚、

気 づ き 1 ) 実 践 で あ る 。 PW は 、 ユ ン グ 派 深 層 心 理 学 者 で あ っ た Arnold

Mindell(1940-)によって 1970 年代に創始された。その後個人心理療法をコアと

しながらも、コーチング、組織変革、葛藤ファシリテーションなどに幅広く援用

され、その理論と実践は現在に至るまで様々な変化発展を続けている。

他方、異文化コミュニケーション(以下 ICC)の理論や教育・研修においても

アウェアネス訓練は非常に重要な役割を演じており、PW のアウェアネス実践を

援用することは意義のあることと思われる。また、ICC 領域には元来、グループ

(組織)レベルの理論や葛藤解決の理論が希薄であり、この分野でも PW の援用

可能性を探ることは、ICC 論が異文化・多様性コミュニケーション2論へとシフ

トしていく上で有用であろう。

以上のような観点から、小論では、まず個人レベルのコミュニケーションに焦

点を当て、PW と ICC の理論的統合を試みる。次に集団レベルのコミュニケーシ

ョンに着目し、PW のグループ理論を異文化・多様性コミュニケーションの文脈

において考察する。最後に ICC 領域でのアウェアネス実践について検討し、PW

が ICC に関するアウェアネスや異文化間感受性(能力)を高め、マインドフルで

全体性に開かれた異文化・多様性コミュニケーションを可能にすることを明らか

にする。

2. 異文化間エッジワーク

PW は個人療法としてスタートしたが、その後、その基礎理論を様々な領域、

特にグループレベルに応用することによって発展していった。ここでは、個人レ

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ベルの基礎理論を異文化統合のワーク(取組み)に援用し、PW と ICC の理論的

統合を試みる。

2.1 プロセスストラクチャー

PW でいう「プロセス」とは、「私たちが観察しているものの変化」(A.P. Mindell

& A.S. Mindell, 1990, p.8)のことである。私たちの内部であれ、他者との関

係であれ、あるいは世界であれ、変化はとどまることがない。しかし、ある種の

変化は私たちのアウェアネスの近くにあり、ある種の変化は遠くにある。PW で

は前者を1次プロセス、後者を2次プロセスと呼ぶ。前者は「私(たち)」が同

一化できる部分であり、「私(たち)」のアイデンティティー(=1次アイデンテ

ィティー)を構成するが、後者は、「私(たち)」がいまだ同一化していない2次

アイデンティティーであって、「未知なるもの」、「不慣れなもの」、「困ったこと」

などと感じられる。そして両者を隔てる境界がエッジと呼ばれる(A.P. Mindell,

1985)。

可変的な文化概念を主張する倉地(1998)は、多文化共生教育の観点から、「人

がそれを自分の文化であると認識することができる文化を自文化」(p.39)、「自

分が慣れ親しんでいないもの、未知なるもの」(p.41)を異文化と捉えているが、

この捉え方は、PW の 1 次、2次プロセスの考え方と重なり合う。ただ、大きな

相違はエッジに対する着目であろう。エッジは PW 独自のコンセプトだが、日常

意識の限界に位置し、未知の世界(異文化)へのアクセスを妨げている。

2.2 異文化間エッジワーク

PW の「ワーク」とは、プロセスに対するアウェアネスを高め、アウェアネス

から遠い 2次プロセスを 1次アイデンティティーに「統合する」作業といえる(A.S.

Mindell, 2006, p.139)。これは汎用性の高いメタ理論であって、異文化統合の

プロセスにも適用できる。今、それを異文化間エッジワークと呼び、その過程を

PW の用語を使って素描してみると次のようになる。

文化には様々な定義があるが、ここでは構築主義的な観点(Berger, & Luckman,

1966)から捉え、あらゆる文化集団においてその構成員が内在化する「価値観、

[文書の引用文

や 注 目 す べ き

箇 所 の 要 約 を

入 力 し て く だ

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ボ ッ ク ス は 文

書 の ど の 位 置

に も 配 置 で き

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ス の 書 式 を 変

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信念、行動様式」(Bennett & Bennett, 2004, p.150)と定義してみよう。すると私

(たち)が内在化、そして同一化している文化的枠組みを自文化(1 次アイデン

ティティー)とすることができる。エッジは「常識」に守られたこの自文化とい

う快適帯の限界に位置し、当然のことながら、簡単には越えられない。この「内

在化された文化的エッジ」 (A.P. Mindell, 1984, p.73)を越えて2次アイデンティティ

ー(異なる他者の文化)にアクセスし、それをゆっくり、丁寧に体験する。そして

今度は逆に、2 次アイデンティティーの側から1次アイデンティティー(自文化)

を客観化し、両者を相互作用させながら他者の文化を統合していく。

PW には、フィードバック、チャンネル、シグナル、などにアウェアネスを向ける

独自のコミュニケーション理論があり、統合のプロセスを促進するために用いられ

る。もちろん異文化統合のエッジワークにも有用だ。

2.3 フィードバック・アウェアネス

今、エッジワークに取り組む人をクライエント、そのパートナーをファシリテ

ーターと呼ぼう。ファシリテーターはワークの促進者だが、何らかの促進行為を

示唆したときに、感情価の高い「脈のある」反応があれば、それが肯定的なフィ

ードバックとなり、その方向に進むのが基本である。フィードバックは「興奮度

測定器のようなものである3」(Diamond & Jones,2004, p.73)。ゆえに、クライ

エントが興味を示さない場合、それは否定的フィードバックとなり、その場合示

唆は取り下げるべきである。判断が難しいのは、通常のフィードバック理論には

ない PW 独自のカテゴリーの場合である。すなわち、「興奮度」は高いが、否定し

たり、ためらったり、忍び笑いをする場合で、これはクライエントがエッジにい

ることを示している。たとえば異文化の行動様式を模倣してみるようにクライエ

ントに示唆した場合、しばしばこのようなエッジフィードバックに出会う。この

ような場合、PW には数々の対処方法がある。代表的な方法として、1)エッジ越

えをサポートする 2)繰り返し要請する 3)誰ならできるかを尋ね、その人物

になったところを想像してもらう 4)エッジを代表する人物と想像上で交渉す

る 5) 代 り に や っ て 見 せ る 、 な ど が あ る ( Goodbread,1997; Diamond &

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Jones,2004)。

2.4 チャンネル・アウェアネス

エッジ越えを促進する第 2 の理論としてチャンネル理論がある(A.P. Mindell,

1985)。

体験はそもそも全感覚的なものだが、実際には、その時々で体験の仕方が異な

っている。その体験の仕方を PW ではチャンネルと考える。背景にあるのは情報

理論で、送信された情報は一定のチャンネル(通信路)を通じて受信されると考

える。「体験する」とは私たちの外部や内部から情報がもたらされるということ

であり、それは必然的にチャンネルを通じてなされる。

PW では4つの感覚チャンネルと、それらの組み合わせで構成される2つの混

合チャンネルを想定する。感覚チャンネルとは、視覚(visual)、聴覚(auditory)、

身体感覚(proprioceptive)、運動感覚(kinesthetic)のチャンネルである。

多くの文化においては視覚や聴覚チャンネルが好んで使われるが、運動や身体

感覚にはエッジがある。エッジを越えてそれらのチャンネルを使うと 2 次プロセ

スへのアクセスが迅速かつ容易である場合がよくある。例えば Nagata(2007)は

身体感覚へのアウェアネスを“bodymindfulness”と名付け、そのチャンネルを

通じてアクセスした 2 次プロセスの内容をコミュニケーションスキルの改善な

どに用いることを提案している。

以上はプロセスを直接体験する感覚チャンネルだが、それらが組み合わさった

混合チャンネルとして関係性(relationship)と世界(world)チャンネルを想定す

る。前者は私たちが他者との関係を通じてプロセスを体験しているときであり、

後者は世界(コミュニティー、社会、世界、環境など)の諸問題を通じて体験し

ているときのチャンネルである。両者とも ICC 現象と深い関連がある。他者との

人間関係や、その文化的背景への取り組みは ICC の主たる関心事であるからだ。

2.5 シグナル・アウェアネス

エッジワークを促進する 3 番目のスキルとしてシグナルワークがある。シグナ

ルワークとは、シグナル=「一定量の情報」(A.P. Mindell, 1989, p.150)のチャ

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ンネルを確定し、そのチャンネルにおいてシグナルを増幅(amplification)す

ることである(A.P. Mindell, 1985, p.p.94-95)。

シグナルは何らかのチャンネルを通って送受信される。見ているのか、聴いて

いるのか、感じているのか、動いているのか、はたまた、そこには人や世界との

関係性が絡んでいるのか。エッジワークのファシリテーターは強いシグナルを拾

い、メインとなっているチャンネルの体験を励まして増幅する必要がある。この

増幅によってエッジ越えを助け、クライエントを異文化=2次アイデンティティ

ーの体験に導くことができるからである。

2.6 異文化間エッジワークの具体例

以上が異文化間エッジワークの概要だが、やや抽象的すぎて理解しづらい。そ

こで異文化摩擦の具体例を 1 例だけとりあげ、PW の基礎理論を適用してみるこ

とにする。

ある ICC クラスの受講者Aさんが次のような異文化接触体験を記した。Aさん

は女子大学生である。

「近所を気にしない隣人」

隣家にイギリス人が住んでいる。音楽を聴く場合、日本人なら近所に迷惑の

かからない音量で聴くが、その隣の家はすごい音量で聴いたりして、何かに

つけ大胆な気がする。これこそ異文化だと思うけど、少し迷惑な気がする。

「欧米人=大胆」というステレオタイプが隠れていることにAさんが気づくの

は困難ではないが、どう対処するかまでには至らない。そこで筆者がファシリテ

ーターとなってワークしてみた。音楽を聴くときは「近所に迷惑のかからない音

量で聴かなければならない」という 1 次アイデンティティーが直ちに見えてくる。

強いシグナルとしては「すごい音量」という表現があり、チャンネルは聴覚で

ある。そこで A さんを、隣人になって大きな音で音楽を聴いてみる体験に導いて

みる。聴覚シグナルを増幅するためである。エッジがあるのですぐ体験に入って

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いけないが、例えば、草原のような人のいないところで、ボリュームを最大にし

て音楽を聴いたらどうかと提案してエッジのハードルを下げてみる。すると良い

フィードバックが返ってくる。実際、Aさんは、すぐに体験に入っていって「迷

惑をかけられない」というエッジを越えた自由を味わう。充分に味わったのち、

その気分、すなわち隣人の視点から普段の自分(1 次アイデンティティー)を見

てもらうと、周囲を気にしすぎて、人生を充分に楽しめていない自分に気付く。

実際問題への対処としては、「隣人に対して共感的態度がとれるようになってい

ると思うので、いい感じで付き合っていけるだろう」とのことであった。Aさん

は、ある意味で、個人主義的な異文化を統合し始めたといえるだろう。

もちろん以上は教室での公開ワークなので統合の取組みは充分ではない。A さ

んが隣人への対処や、異文化統合を強固なものとするためには、何らかの長期的

プログラム(e.g.,小池、1997)が必要となろう。

なお、異文化統合のエッジワークは、例えば異文化トレーニングにおけるクリ

ティカル・インシデントやケース・スタディーに援用できるだろう。また、何が

自文化(1次プロセス)で何を異文化(2次プロセス)ととらえているのかをマ

ッピングしてみるだけでも異文化アウェアネスを高めるのに有意義である。

3. 多様性への包括的アプローチ

以上のように、PW はエッジを越えて、異なる他者の文化を統合するための独

特な方法論を提供しているが、PW はこの基礎理論を個人レベルから、対人、グ

ループ、組織レベルへと応用し、新たな理論を生成しながら発展している。ここ

ではグループレベルに着目し、基礎理論の応用発展形であるグループ理論を異文

化・多様性コミュニケーションの文脈において考察する。異文化・多様性コミュ

ニケーションとは、下位文化も含めた不特定多数の多様な異文化集団間のコミュ

ニケーションという意味で、広義の ICC と捉えてもよいだろう。この領域では、

人種差、民族差、国籍差、性差、年齢差、性的指向の差、健康状態の差、企業間

の差、企業内の部署間の差、その他あらゆる差異を文化的差異の問題と捉え、ICC

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の理論とスキルが援用されている(e.g., Gardenswarts et al., 1993; Triandis,

1995; Ferdman & Brody, 1996; Bennett & Bennett, 2004;八代・山本 2006; 久

米・長谷川, 2007)。

以下に検討するように、PW も多様性への包括的アプローチを提供しており、この

分野での ICC と PW の協同が期待される。

3.1 パラダイムシフト

PW 理論が個人レベルから対人、集団レベルへと発展する過程で個人と集団の

見方に一種のパラダイムシフトが起こってくる。すなわち、個の集合が全体をつ

くるのではなく、全体(フィールド)が時と場合に応じて多様なロール(役割)

をつくり、個がそれを一時的に引き受けるという考え方である。これがロール理

論だが、PW はロール理論に基づいて集団や社会の多様性にアプローチするよう

になった(A.P.Mindell, 1995)。

ところで、PW の理論家 Diamond (2006)が強調するように、「すべてのロールが

平等に作られているわけではない」(p.15)。多様なロールが相互に作用するとき、

必ず力(パワー)の問題(葛藤)が生ずる。この問題に取り組むため、PW は力

関係(ランク)の理論を発達させた。

ランク理論とロール理論をまず検討し、次に実際のグループワークを素描して

みよう。ICC 研究の領域には元来パワーの理論が希薄であり(Singer, 1998)、

また、ICC 教育分野でも葛藤解決の理論やファシリテーションが充分に導入され

ているとは言い難い(鈴木、2003)。この意味で PW のグループ理論は ICC の理論

や教育に貢献できるだろう。

3.2 ランク理論

パワーが、「物事を生起させたり、望ましい結果を生じさせたりする力」

(Coleman, 2006, p.121)だとすれば、ランクとは通常、社会的に決定された価

値システムに由来するパワーと定義できる(Diamond, 2006)。

PW では、ランクをより広く捉え、社会(文化)的ランク、心理的ランク、霊

的ランクという3つのカテゴリーを想定する(A.P. Mindell, 1995)。まず、社

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会(文化)的ランクだが、「肌の色」、宗教、ジェンダー、年齢、性的指向、経済状

況、教育程度、健康状態などの多様性において、ランクとそれに付随する特権が

存在すると考える。一定の社会で、ランクが高い場合には、ランク差を意識しな

いが、ランクの低い方はランク差に気付きやすい。このランクはまた、国際社会

でのランクにも適応される。例えばランクの高い人種、民族、国家、宗教などに

所属することはその個人に大きなランクを付与するので、国際社会でのランクは

ICC にとって重要な役割を演じる。

Sorrells (2013)は、社会的正義を意識した ICC 論だが、その中で人種、階級、

ジェンダー、性的指向など社会的に構築されたカテゴリーにおける私たちのパワ

ーの位階を“positionality”(p.12)と呼んでいる。“positionality”が私たち

の世界観を大きく左右しているが故、自分の“positionality”を自覚すること

が ICC 実践や異文化間葛藤(解決)に大きな影響を与えると主張している。

“positionality”は私たちのパワーと特権に関わり、PW のランク概念と重な

り合っているが、PW 理論のユニークな点は個人的パワーを考慮する点である。

たとえばコンフリクト状況において社会的ランクの低い側が、高い側と対等に渡

り合うことができるのは、個人的ランクが高いからである(Diamond, 2006)。個

人的ランクとして、心理的ランク、霊的ランクが想定されている(A.P. Mindell,

1995)。

高ランク側が自らのランクに無自覚のとき、抑圧や差別が起こる。低ランク側

は傷つき、怒り、抗議する。逆にいえば、個人や集団が傷つき、怒り、抗議する

とき、その背後にはランクの無自覚や乱用がある。自分(たち)のランクを自覚

し、全体の利益のために使うべきである(A.P. Mindell, 1995)。

PW の最終的な目的は自覚を高めることにあるが、ランクに関しても同様であ

る。グループワークを通じて、個人やグループのランクの差異に取り組み、ラン

クに対する自覚を高めていくことを目指している。ICC の教育・研究を行ってい

る Collett (2007) は、PW のランク理論を分析ツールとしてオーストラリアの高

等教育機関における支配的なコミュニケーションスタイルの問題を指摘し、馬渕

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(2010)は、異文化間・多文化教育におけるランクアウェアネスの必要性を強調し

ているが、両者とも PW 同様、力関係に鋭敏になることが多様性、多文化共生(の

教育)を実現する契機になると考えるのである。

3.3 ロール理論

PW のロール理論は、フィールド(場)の理論を前提としている。フィールド理

論とはもともと物理学の理論だが、ゲシュタルト心理学(コフカ, 1988)に援用

され、グループダイナミクス(Lewin, 1997)へと発展した。その基本的な考え

方は、個の総和が全体になるのではなく、全体(フィールド)が個のダイナミッ

クな相互作用を生みだすということである。

このフィールドのパラダイムに基づいて、 A.P. Mindell (1992)はタイムスピ

リットを想定する。すなわちグループワークにおいては、フィールドが時と場所

(タイムスピリット)の影響を受けてロール(役割、立場、観点)を作り、個や

集団が一時的にそのロールを引き受けると考える。社会学者、 Peter Berger

(1963)は、社会が状況に応じて台本を提供し、役者である個人が割り当てられた

ロールを演ずるとしているが、グループワークにおけるタイムスピリットやロー

ルは「或る瞬間や場所に限られた働きであるため、素早く変化する。集団におけ

るロールは固定的なものではなく流動的なものである。いろいろな人や仲間が

次々とロールに入り、ロールは絶えず変化する」(A.P. Mindell, 1995, p.42)。

3.4 多様性への包括的アプローチ:葛藤から共生へ

私たちの内面が多様であるように、いかなるグループにも多様性がある。そこ

にはランクの差異があり、様々な緊張や葛藤がある。故に、ある問題をとりあげ

ると他の問題も絡みあっていることが直ちに明らかになる。こうした複雑に絡み

合った諸問題を包括的に扱うにはどのようにすれば良いのだろうか。

PW では、ロール理論を活用することによって、多文化・多様性の諸問題を同時

に扱っていく。一般的なグループワークを想定し、それをファシリテーターの観

点から素描してみよう。ファシリテーターは自己の内外で生起するあらゆる事に

アウェアネスを保つ必要があることは言うまでもない。

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ワークするトピックが決まっていればよいが、そうでなければ、グループに提

案してもらう。多様性の強いグループならば、数多くのトピックが提案されるに

違いない。例えば数百人規模で 90 年代から定期的に開催されている PW の国際セ

ミナー(「ワールドワークセミナー4」)では、PW のグループアプローチが適用さ

れ、人種、国家、民族など狭義の ICC にかかわるトピックのみならず、ジェンダ

ー、貧富の差、年齢の差、同性愛者嫌悪など多様性コミュニケーションに関わる

トピックを含め、さらには、植民地主義、地域紛争などの政治、国際社会問題な

ど、広範な問題が取り扱われる。共通したトピックを整理しながら、焦点を当て

るトピックについてコンセンサスを得る(A.P. Mindell, 1992)。

トピックが決定したら、提案者に提案理由を語ってもらう。それに共感する意

見を求めていくとロール(役割、立場、観点)ができるが、同時に、それとは異

なる様々なロールが浮上してくる。ワークの会場にスペースがあれば、ロールの

立ち位置を設定するとよい(A.P. Mindell & A.S. Mindell, 1990)。そして参加

者は、もしあるロールが身近に感じられれば、その位置に移動する。発言しても

よいし、そこにいるだけでもよい。しかし、気持ちが変わったら、その立ち位置

を 離 れ 、 他 の 立 ち 位 置 に 移 動 す る こ と が で き る 。 学 習 心 理 学 者 で あ る

Johnson(1971)は、ロール(立ち位置)の変更は心理的に大きな影響をもたらす

ことを指摘している。

ファシリテーターは、グループの1次アイデンティティー(「私たちの文化」)

を尊重しつつ、それぞれのロールのインタラクションをチャンネルに留意しなが

ら促していく(Dworkin,1989)。すると、ロールは深まっていくが、プロセスの進

行が滞ってしまうことがある。そのようなとき、話題にはなるが誰も引き受けな

いロール(ゴーストロール)に注意を促し、そのロールを登場させると、グルー

プの 2 次アイデンティティー(異文化)が浮上してくる。例えば大学の教室で、

差別についてワークすると、「外国人留学生」、「国際結婚児」、「女子学生」、「成

績不振者」、「障害者」その他のランクが低い「被害者」ロールが出てくるだろう。

その時フィールドには、「加害者」ロールや、差別を放置している「傍観者」ロ

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ールがゴーストロールとして演じられぬまま隠されていることになろう。それら

隠されたロールにも声を与えることによって 2 次プロセスへのアクセスを促す

のである。

ワークの流れの中で重要なシグナルがある。それはグループエッジ(例えば感

情的な問題や個人感情や人間関係の問題などを回避する傾向)やホットスポット

(集団の感情レベルが高まったり、落ち込んだりする瞬間)の発生だ。そんなと

き、その背後にある 2 次プロセスを探っていく。すると対立や葛藤の下にある共

通基盤に触れて、相互理解が生まれることがある。たとえば、文化相対主義的な

相互理解だ(A.P. Mindell, 1995)。

また、様々な声が理解され、聞き届けられたとき、「場」の雰囲気が和むとき

が訪れる。問題は必ずしも解決したわけではないが、ある種の仲間意識が芽生え

て、一時的に解消したという言い方の方が正しいであろう5。しかし、コミュニ

ティー感覚が芽生え、新たなグループが創造されていくならば、問題解決の基盤

が形成されたことになる。これは、付け焼刃的問題解決より、持続可能な方法の

ように思える(A.S. Mindell, 2008)。

PW は以上のように、葛藤を乗り越え、文化的多様性を許容するコミュニティ

ー作りのためのファシリテーション理論と技法を発達させてきた。この理論と技

法は企業、学校、公共機関、国際機関、地域コミュニティーなどにおける教育・

研修、組織変革(コーチング、コンサルティング)や葛藤解決などに幅広く援用さ

れている(A.P. Mindell, 2002)。

ところで、上記のような多様性に関わる活動領域には異文化トレーナーも積極

的に参入するようになっており(Paige & Martin, 1996; Pusch, 2004; 山本、

2010)、多様性へのアプローチにおいて異文化トレーナーと PW トレーナーが協同

することもありうるだろう。PW のグループアプローチは、一種のロールプレイ

だが、異文化トレーニングで用いられるロールの固定したロールプレイ(e.g.,

De Bono, 1985)と比較すると大きく異なるフィールド理論に基づいており、ま

た企業や教育の現場にあるリアルな多文化・多様性状況をファシリテートするの

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で大きな教育・研修効果が期待できる。そして何より、グループの葛藤を共生の

契機とする方法を学ぶことは多文化社会に生きる学習者にとって有意義なこと

にちがいない。

4. 異文化間アウェアネス

以上のように PW はアウェアネスの実践によって個人や集団の変化・成長をフ

ァシリテートしていく。プロセスストラクチャー、シグナル、チャンネル、フィ

ールド、ロール、ランクなどに対するアウェアネス実践は、コミュニケーション

全般に関わるものであり、当然のことながら ICC 状況においても重要な役割を演

ずるものと予想される。

ここでは、ICC 状況におけるアウェアネスを異文化間アウェアネスと定義し、

その実践を異文化間感受性(能力)の発達との関連において考察する。

4.1 異文化間感受性とアウェアネス

異文化環境で効果的にコミュニケーションできる能力(異文化間能力)育成を

目的として異文化トレーニングが行われるが、そのプログラムの大部分には自己

の文化や他者の文化に対するアウェアネス向上という項目が含まれている(e.g.,

Brislin & Yoshida, 1994; Cushner & Brislin, 1996)。文化的差異に対するア

ウェアネスがあれば、ただちに適切なコミュニケーション行動がとれるわけでは

ないが、異文化間アウェアネスなしには効果的な ICC 実践はありえないだろう。

Hammer, Bennett & Wiseman(2003)は、「異文化間感受性」を「適切な文化的差

異を識別し、経験できる能力」(p.422)と定義しているが、文化的差異に気づく

アウェアネスの能力とも言い換えることができよう。すると異文化間アウェアネ

スの発達は「異文化間感受性発達モデル」(M.J.Bennett,1993)とパラレルに考

えることが可能になる。文化的差異に対するアウェアネスが洗練されていくにし

たがって、それに基づいて構築される現実や世界観が文化相対主義の方向に変

化・発達していく。つまり自文化に対する自覚が未発達な段階から、異なる他者

の文化を自覚し、両者を統合していく異文化間アウェアネス発達モデルが想定で

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きる。

PW では至る所でアウェアネスをトレーニングするが、それは異文化間アウェ

アネス、ないしは異文化間感受性を向上させるだろうか。

Kobayashi(2009)は、PW トレーニングと異文化間感受性の関連を調査して肯定

的な結果を得ている。すなわち前項で言及した「ワールドワークセミナー」の参

加者を対象として、セミナーの前後に Intercultural Development Inventory

(Hammer, Bennett & Wiseman, 2003)を用いて調査を行い、①PW のグループワ

ークはセミナー参加者の異文化間感受性を高める効果があった、②PW のトレー

ニングを以前に受けたことのある参加者は異文化間感受性が高かった(p.144)、

という結論を得た。つまり、プロセスワークのアウェアネストレーニングは異文

化間感受性、そしてそれとパラレルに発達するとみなされる異文化間能力

(M.J.Bennett, 1993)を高めるトレーニングとしても有効であるということが示

されたことになる。

4.2 異文化間マインドフルネス

マインドフルネスは仏教の文脈でのアウェアネスのことであり、日本語では

「正念」という漢字が当てられる。ティク・ナット・ハン(2001)によれば、マ

インドフルネスとは漢字が示すとおり「今」の「心」であり、自己の内部や外部で

「今」起きていることに自覚を保ち、また自覚を保ちながら(「念をいれて」)行

為することである(「正念継続」)。

岩田(2010)はティク・ナット・ハン(2005)が提唱する呼吸法をベースとし

たマインドフルネストレーニングをホリスティックな展望をもつ ICC 論に取り

入れている。

Ting-Toomey(1999)も、こうしたマインドフルネスの有用性を ICC の実践に認

めている。ただし、彼女が主として参照するマインドフルネスは仏教系というよ

りも、①新たなカテゴリーの創造、②新たな情報の受け入れ、③複数の視点への

気づき、などを柱とする Langer(1989, 1997)の実験心理学的知見である。

Ting-Toomey はマインドフルな ICC を「不慣れな状況において自己の思い込み、

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見方、自文化中心主義的傾向に気づくと同時に、自己と異なる他者がどのような

展望をもち、どのような解釈を行うかに注意を払うこと」(vii)と定義し、文化

や自己の価値観、言語や非言語コミュニケーション、自己のアイデンティティー、

観察、傾聴など、あらゆる側面に自覚=マインドフルネスをもちこむ ICC モデル

を提案している(p.49)。

また、Ting-Toomey (1999, 2004)は、異文化間能力がマインドフルネスの 4

段階を経て発達するとしている。すなわち異文化間能力に関して①全く自覚のな

い段階(total mindlessness) ②充分な自覚のない段階(semimindfulness) ③

充分な自覚がある段階(fullmidfulness) ④マインドフルな ICC を自由自在(マ

インドレス)に行える段階(mindless mindfulness)である。

他方、PW のアウェアネスは仏教系や心理学系のマインドフルネスと共通点を

持ちながらもコミュニケーション理論に基づくコミュニケーション(プロセス)

に関するアウェアネスであることに特徴がある。Diamond & Jones(2004)によれ

ば、PW におけるアウェアネスはメタ・コミュニケーターとして理解できるとい

う。コミュニケーションには内容と関係という 2 つの側面があり(Watzlawick,

Bavelas & Jackson, 1968)、私たちはコミュニケーションについて気づき、解釈

し、それをメタ・コミュニケートできる。このメタ・コミュニケーターは自文化

(1次アイデンティティー)にとらわれている段階から、他者の文化(2次アイ

デンティティー)に気づき、両者を俯瞰する「とらわれのない」、「公平な」(p.29)

メタ・コミュニケーターへと発達する。

このメタ・コミュニケーターの発達は Ting-Toomey の異文化マインドフルネス

の発達段階とパラレルに考えることができる。たとえば、PW の「とらわれのな

い」、「公平な」メタ・コミュニケーターは、その第4段階にいるだろう。

Ting-Toomey(2004)は最終段階の異文化コミュニケーターを「深いレベルでのダ

イナミックな放縦さ」をもち、「対立、両義性、不安にも動ぜず」、「様々な世界

観、価値観、行動様式の間を安全にバランスをとって往来できる」(p.244)と描

写している。

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このようにあらゆる経験に対して開かれていることを A.S. Mindell(2006)は、

PW の観点から「内的深層民主主義」と呼び、「私たちの内面や世界のすべての部

分に対して開放的で、包摂的な態度をもつメタスキル」(p.137)と説明している。

背景にあるのは全体性(wholeness)への志向であって、世界のあらゆる人々や立

場を尊重する「深層民主主義」(A.P. Mindell, 2002)は PW の理念的柱の1つと

なっている。そしてそれを可能にするのが、「公平で」「とらわれのない」高みか

らコミュニケーションを観察するメタ・コミュニケーター=アウェアネスなので

ある。

様々な文化や共文化が混在する多文化・多様性状況がローカルかつグローバル

に遍在する世界において、すべてに開かれ、すべてを包摂するメタ・コミュニケ

ーターが必要とされている。PW はそうしたアウェアネスを養成するトレーニン

グであり、包摂性を鍵概念とするグローバル市民教育(Osler & Starkey, 2005)や、

その理念を共有する ICC 教育への援用が期待される。

5. おわりに

本稿では、PW のアウェアネス実践を ICC の文脈において考察した。PW はアウ

ェアネスに基づく独自のエッジワークをもち、それは異文化統合のプロセス促進

に援用できた。また、PW は多文化集団の対立・葛藤をファシリテートする理論

や技法をもち、多様性へのアプローチにおいて ICC 論との協同が期待される。

このような PW のトレーニングは ICC に関するアウェアネスや異文化間感受性

(能力)を高め、マインドフルで全体性に開かれた異文化・多様性コミュニケー

ションを可能にすることが示された。

なお、小論では、PW の ICC 領域への援用可能性とその意義について理論的考

察を行ったが、ICC 教育・研修・研究への具体的活用については踏み込むことが

できなかった。稿を改めて論じたい。

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1 小論中、文脈によっては「アウェアネス」の代わりに「自覚」や「気づき」とい

う表現を用いる。 2 小論では「異文化・多様性コミュニケーション」という用語を下位文化も含めた

多様な文化集団間のコミュニケーションという意味で用いる。なお、この表現は鈴

木・八代・吉田(2009)で、同様の意味で用いられている。 3 以下、引用文の日本語訳はすべて筆者による。 4詳細については以下参照。http://www.worldwork.org/ 5 鈴木(2003)が指摘するように、PW のアプローチは葛藤の解決を直接目指すの

ではなく、そのプロセスを支援、促進(ファシリテーション)する。

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