第5章 立体異性体...異性体: •構造異性体 (structural isomers) +a •立体異性体...
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第5章 立体異性体
キラル分子 光学活性 絶対配置
Fischer投影式 ジアステレオマー
メソ体 化学反応における立体化学
光学分割
異性体:
• 構造異性体 (structural isomers)
• 立体異性体 (stereoisomers) +Aγ 性異体守一章5
hu
'A 今'u
図 5-1種々の異性体|笥の関係
異性体分子式が同じで,構造が異なる.
構造異性体 立体異性体原子が結合する 11阪(つながり方) 原子がつながる! 臓は同じで,が異なる (1-9節参照). 空間的な配置が異なる.
C H3 C H3C H1C H2C H3 C H3C H
C H3
エナンチオマー ジアステレオマー互いに重ね合わせる { 象と鋭像の関係にはない (5-5節)• ことができない像と鏡{ 象の関係 (5-1節) .
3Hメ忌くH 3 H CメーぐH H
Br/ C iw Fw iC ¥ Br C I CI
構造異性体C H 3
C 4H lO C H 3C H 2C H 2C H 3 H 3C - C H
C H 3 ブタン 2 メチルプロパン
C2H60 C H 3C H 20 H C H 30 C H 3 エタノール メトキシメタン
(ジメチルエーテル)
MODEL BUILDlNG 立体異性(stereoisomerism )とは,原子のつながり方が同じで p 空間的な配置が奥戸なる異性体を表す用語である 立体異性休の例には,比較的安定で単離することができるシスートランス奥性体やすばやい柱|瓦変換によって平ig!rにある (通常は単離できない)立体配座(コンホメ ーシヨン)異性体などがある (2-5 - 2-7 節および 4-1節参照)
立体異'性体
H P < : H 3 同 < ; H 3
cis-I,3ージメチルシクロペンタン IrailS- I,3-ジメチルシクロペンタン
5章で新たに学習する異性体
5章で新たに学習する異性体
構造異性体の例:
立体異性体の例:
cis, trans 異性
立体配座異性
鏡像立体異性体 (Mirror-image related stereoisomers)
右手と左手の関係
実像と鏡像が互いに重なり合わせることができない関係である。
.,A 'EA
ヲ&子分なEレ一フキ'EA
FD
平 H中間ょブC H, て二斗Hw --r H w --r H C H ] トI C H3
フ+タンの ブタンのアンチ配座異性体 ゴーシュ配座異性体 メチルシクロヘキサン メチルシク ロヘキサン
シクロプロピルシクロベンタンとシクロブチルシクロブタンとは異性体か
本章では, 鏡像立体異性 (m irror-image stereoisomerism)というもう一つの異性現象について学ぶ 左手と右手とは重ね合わせることができないが. 互いに鏡像の関係になっている ことにちなんで〔図 5-2 (A )), この程の分子は「利き手」をもっているということがある この図のように,手はかなづちのような鏡像と重ね合わせる ことができる物体〔図 5-2(B )]とは奥なる 分子の利き手の性質は自然界において非常に重要な意味をもっている なぜなら,生物機能に関連のある化合物のほとんどが「左利き」あるいは「右利き」だからである. ちょうど友人の右手と握手するのは左手と握手するのとまったく違う ように,I右利き」の分子と「左利き jの分子は互いに異なった反応をすることがある 異性体問の関係を図 5-1 にまとめた
(A )
左手 右手5花
左手と右手は重ね合わせることができない
(B )
3兎
図 5-2(A )左右の手は鋭像の関係にある立体巽性のモデルである (B )アキラルなかなづちの像とその鏡像は重ね合わせることができる
かなづちの{ 象とその鏡像は重ね合わせることができる
キラルな分子 5-1 次に示すラジカル的なブロモ化反応では、2−ブロモブタンを単一化合物として与えているように思える。
果たして、本当に同じものなのか?
十平性異体守一旦阜戸口、,u?u
図 5-3ブタンの第二級水素の片方がiE換されると。2-プロモブタンの二つの立体異性体が生成する
MODEL BUILDING
5-1 キラルな分子
•• . 互いに重ね合わせることのできない鏡像の形で存在する分子とは,どのような
分子だろうか ブタンのラジカル的臭素化について考えてみよう この反応はおもに第二級炭素上で起こり ,2 ブロモブタンを生成する 出発物質の分子模型を見ると,第二級炭素上のどちらの水素が臭素に世換されても . ただ 1種類の 2ーブロモブタンが生成するかのように思える (図 5-3) しかし本当にそうだろうか
H 3C H r ー「J
':- hv I 一一一一一一一一歩亡 - H sr
q ¥ C H 3
H、C ,H 3 ¥ C 5・s r
+ C
H r ¥ C H,
H ミC B1 3 ¥ C 会H
C H r ¥ C H J
キラルな分子はその鏡像に重ね合わせることができないメチレン水素の片方を臭素で置換して得られる二つの 2-ブロモブタンについ
て,もっと詳しく見てみよう 実際この二つの構造は重ね合わせることができないので,同一物ではない(下図参照). 二つの分子は向かい合った鏡像の関係にあか片方をもう一方に変換するには,いったん結合を切る必要がある. その分子の鏡像に重ね合わせる ことのできない分子はキラル (chiral)であると よばれる像とその鋭像の関係にあるおのおのの異性体を工ナンチオマー(鏡像異性体.enantlOm er : e17ωltios,ギ リシャ語の「逆 J)とよぶ ブタンの臭素化の例ではエナンチオマーの 1 : 1の混合物が生成する
H H
H J H ¥ 町 H 3C /らHr {象 鏡{象
エチル( 背) とメチル( 緑) の部分が左の像と重なる ように1m転させた鋭像
2-プロモブタンの二つのエナンチオマーは重ね合わせることができない
A B
化合物 A と B ぼ分子模型を組み立てよう。
2つのモデルを重ね合わせてみよう。
キラルな分子は鏡像に重ね合わせることができない。
ラジカル的ブロモ化により生成したふたつの2-bromobutaneは、重ね合わすことができない。よって、同一化合物ではない。
このような分子は、キラルであるという。
実像と鏡像の関係にある各々の異性体をエナンチオマーと呼ぶ。
一方、鏡像と重ね合わせることのできる分子をアキラルな分子とよぶ。
キラルな化合物は、すべて4つの異なる置換基が結合した原子を持つ。
その原子は、不斉原子(立体中心または不斉中心)と呼ぶ。
不斉中心には*印を付けて示す。
不斉中心を一つしか持たない分子は必ず、キラルである。
キラルとアキラルな分子の例:
2-ブロモブタンのようなキラルな分子とは違って,その鏡f象に重ね合わせることができる構造をもっ化合物はアキラル (achiral)である キラルな分子とアキラルな分子の例を下に示す はじめの二つのキラルな構造は互いにエナンチオマーの関係にある
円口
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H
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3 H C
鏡{ 象と重ね合わせ鏡{象と重ね合わせることができない ることができる
鋭像と重ね合わせることができない
上に示したキラルな化合物の例は すべて四つの異なる置換基が結合した原子をもっ そのような核は不斉原子 (asymmetric atom. たとえば不斉炭素) または立体中心 (st巴reocenter)とよばれる このような中心原子には * 印をつけて示すことがある. 立体中心が一つしかない分子は必ずキラルである (5-6節において,立体中心が二つ以上ある分子は必ずしもキラルではないことを学ぶ)
どれがキラルでどれがアキラルか おのおのの立体けI心の
分子の対称性はキラルな構造とアキラルな構造を区別するのに役立つキラルという言葉は,ギリシャ語の「手」または「利き手jを立l床する cheir に由
来する 人間の手はエナンチオマーのように互いに鏡像の凶係にある〔図 5-2(A) J 他の数多くのキラルな物体の中には靴,耳。ねじらせん階段などがある一方,ボール,水中めがね 1 かなづち〔図 5-2(B )J. 釘などのように アキラルな物体は数多くあるらせん階段のように,立体中心をもたないキラルな物体も多く存在する。これ
はキラルな分子にも当てはまる I キラルかどうか,つまりキラリティーをもつかどうかは。ある物体とその鏡{ 象を重ね合わせられないかどうかだけで決まるということを覚えておこう . 本章で取り上げるのは,立体中心をもっているためにキ
ではどうすれば分子がキラルかどうかを判定できるのだろうか。 きっとすでに気づいていると思うが,これは常に容易にできるというものではない 最も路実な方法は,その分子とエナンチオマーの分子模型を組んでユ,それらが重なり合うかどうかを調べることであるが,この万法は能率が悪い. より簡単な方法は,その分子の対称性について調べることである。ほとんどの有機化合物についてキラルかどうかを判定するには,対本]; 聞の有無
を調べさえすればよい 対称面 (plan巴of symmetry) [ または鏡面 (m irror plan巴)J とは,その面の片方にある構造がもう一方にある稲荷造の鏡像になるように 分子
93 ・EAヲゐ子分な'v
-フキ'A
phd
立体J:I:I{、
↑fi¥↑ {象 鋭像
鏡面(Cレは不斉炭素による)立体中心を表す
MODEL BUILDING
分子の対称性はキラルな構造とアキラルな構造を区別するのに役立つ
分子の対称性をチェック:
対称面 (a plane of symmetry (mirror plane))をもたない → キラル
メタンは6つ、クロロメタンは3つ、ジクロロメタンは2つ、ブロモクロロメタンは1つ。
ブロモクロロフルオロメタンは対称面を持たない。
キラル
練習問題5−5 すべてのジメチルシクロブタンの構造を書き、どれがキラルかを示せ。キラルでないものについては対称面を示せ。
光学活性 5-2 鏡像異性体(エナンチオマー)は、物理化学的性質が同じ。
沸点、融点、密度は同じである。
しかし、平面偏向との相互作用だけが異なる。
平面偏向がエナンチオマーのうちのひとつの試料を通過するとき、平面偏向は時計回りか、または半時計回りかに回転する。(次ページ参照)
エナンチオマー間で、回転角度の絶対値は同じ。しかし、符号が逆。
進行する光に向かって:
• 時計回り: 右旋性 dextrorotary (+)
• 反時計回り: 左旋性 levorotary (-)
•
光学活性な分子のことを光学異性体とも言う。
キラルな分子との相互作用エネルギーに違いが生じる。
7-1 カテコールアミン関連医薬品
カテコールアミン:カテコール骨格+フェネチルアミン構造を 持つ分子の総称
カテコールアミン類の生合成経路
84
本章では,カテコールアミン関連医薬品,アセチルコ リン関連医薬品,ヒスタミン関連医薬品,オピオイド関連医薬品,ステロイド,非ステロイド性抗炎症剤 H M G-CoA還元酵素阻害薬,抗がん剤,ピスホスホネート系製剤, レニン・アンジオテンシン系に作用する薬剤, βラクタム系抗生物質を取り上げ, 化学構造と薬理作用の関係について解説する.
日 カテコールアミン関連医薬品 l
7-1-1 αおよびβ受容体の作動薬と遮断薬
カテコールアミン catecholamine とはチロシン tyrosineから生合成されるカテコール骨格とフェネチルアミン構造を同一分子内に保有する物質の総称である. チロシンは水酸化酵素によりドパ dopa に, ドパが脱炭酸を受けてドパミン dopamin巴に変換され,引き続きアミノ基の β位が立体選択的に水酸化されてノルアドレナリン noradrenalineができる. さらにアミノ基がメチル化を受けてアドレナリ ンadrenalineが生合成される. これらは交感神経系の伝達物質であり神経末端のアミン頼粒に貯蔵される.
心fXH22tyrosine チロシン
水酸化酵素 l脱炭酸酵素::ur2H :: 。~ ~酸化酵素 ::D LH2Nm r:ofLNH何
dopamine ドノTミン
noradrenal ine ノlレアドレナリン
図 7-1-1 カテコールアミン類の生合成経路
adrenaline アドレナリン
神経末端から遊離したカテコールア ミン系神経伝達物質は大部分がアミン頼粒に再取り込みされて再び利用される また一部は,カテコールー0-メチルトラ ンスフエラーゼ (C O M T) により3位の水酸基が選択的にメチル化されるか,モノアミンオキシダーゼ (MAO) により酸化的にアミノメチル部位がカルボン酸に変換され不活性化される.
β2受容体選択的作動薬
Ar – C – C – N –
88
はα2受容体選択的作動薬である.α2受容体に結合することで,交感神経から遊離したノルアドレナリンがアミン頼粒に再度取り込まれ α1 作用が減弱されるため血圧が降下する. メチルドパ m e thyldopa も間接的α2受容体作動薬である. ド‘パ脱炭酸酵素の基質として αーメチルドパミンを経て, α2受容体の選択的アゴニストである αーメチルノルアドレナリンに変換されることで降庄作用を示す.
7-1-1-3 β2受容体選択的作動薬ノルアドレナリ ンのアミノ基に,かさ高いイソプロピル基を導入したイソプレナリンは αl作
用をほとんど示さずβ作用が選択的に発現する. しかし βl 作用と β2作用がいずれも強いため,l鳴息患者に気管支拡張作用を期待して投与した場合, βl に由来する強心効果は副作用( 手指振戦や心停充進など) となる. カテコールアミンのアミノ基にトリメトキシフェネチル基( 構造式の点線枠内) が置換していると見なすことができる トリ メトキノール trimetoquinol は, β2親和性が比較的高い. しかし カテコールアミンの部分構造をもっため,生体内で不安定で、作用時聞が短い点に難がある. なお,アミノ基の置換基と してよりかさ高い t-ブチル基を導入したサルブタモール salbutamolやテルブタリン terbutaline では向選択性がさらに向上した. これらの医薬品はカテコール骨格をもたないことや大きな置換基がアミノ基に導入されたことによるM A O 抵抗性の獲得により 持続性もやや改善されている.
トリメトキシフェネチル構造
(β:::: tox色引カテコールアミン構造
trimetoquinol トリ メトキノール
7-1-1-4 αI 受容体選択的遮断薬
HOPdkH3 salbutamol サルブタモール
図 7-1-6
HobtK3 terbutaline テルフeタリン
キナゾリン骨格を有するプラゾシン prazosin やブナゾシン bunazosin は経口投与が可能な高血圧症の治療薬である. 芳香環から窒素 lっと炭素 1つを介して第三級アミンの窒素が配置されており,フェネチルアミンに類似した部分構造 C A r - N - C - N一) を有している( 構造式の太線部分) .αI受容体のみを選択的に遮断し α2受容体は遮断しないため ノルアドレナリンの再取り込みは抑制されない. 従って β作用が強く発現することによる反射性頻脈などの副作用のない優れた医薬品である.
Nの置換基をよりかさ高くすることで β2親和性が高まった。
不安定で作用時間が短い
MAO抵抗性の獲得
旋光度は旋光計で測定する 平面偏向とは?
キラル分子との相互作用により、平面偏向が右または左に回転する。
これを、旋光 (optical rotation) という。
旋光を引き起こす化合物は、光学活性であるという。
光j原 あらゆる方向の面内で振動している通常の光
C H 3 (一)-2-ブロモブタンの入った試料セル
偏光面が l 回転する 中
検光子
一つの面内で振動している平面偏光
図 5-5 旋光昔| による 2-ブロモブタンの (-)エナンチオマーの旋光度の測定
食卓で使われるふつうの砂糖( 天然のスクロース)の 0 .1 g m L- ]の水溶液を lO cm のセルに入れて旋光度を測定すると,時計まわりに 6.650 の旋光度を示した [a]の値を計算せよ この結果から天然のスク ロースのエナンチオマーの[a] がわかるか
光学活性な分子の比旋光度は,融点 沸点および密度のよう にその分子に固有の物理定数である 4種類の化合物の比旋光度を表 5-1 に示す
旋光度は工ナンチオマーの組成を表すすでに述べたように,エナンチオマーどうしは互いに,平面偏光を同じ大きさ
だけ逆の方向に回転させる たとえば 2ーブロモブタンの (一)のエナンチオマーは偏光面を反時計まわりに 23. 10 回転させ,その鏡像である (+) -2-ブロモブタンは時計まわりに 23.1 0 回転させる したがって ( +) と( 一) のエナンチオマーの1 ・lの混合物は旋光性を示さないため,光学不活性であるというこ とになるこの ような混合物はラセミ体 i. (racem at巴) あるいは ラセミ混合物 1" (racemic m ixture) とよばれる もし一方のエナンチオマーが もう一方のエナンチオマー
種々のキラルな化合物の比旋光度[α]55
C H2C H3 C H2C H 3
HwB-iC r ¥ C H, 23.1 H3C ./丸、 +23.1
Br (一) - 2 - プロモブタン (+ )-2 ブロモブタン
H H
H ヲーN WCIC H ¥'C O O H + 8.5 H O O C/えもH 3.8
C H 3 (+ )-2ーアミノプロパン酸 ( 一) ヨーヒドロキシプロノTン酸
[( + )ーアラニン〕 [ (一)ー乳酸〕
注 ハロアlレカンは純液体状態で1 カルポン酸は水溶液中で測定した他
『/'i 今,“件
ヱ平白山{子光qh
FD
小 / ペノ/ 回転角
T訳者注 .昔は個々の結晶がどちらか一方のエナンチオマーから成るラセミ体の結晶〔現在ではコングロメレート (conglomerate)とよぶ〕のことを「ラセミ混合物j(racemic m ほture)とよんだが。現在では「ラセミ混合物Jは「ラセミ体J(racemat巳 racernic modifiαtion) と同じ意味に用いられている なお。「ラセミ化合物J(racem ic com-pound. 昔は racemat巴ともよばれた)とは,コングロメレートと違って個々の結晶が等モルのエナンチオマ一対の分子化合物から成るラセミ体の結品のことである
実測旋光度 α
実測旋光度 α は以下に依存する:
• キラル分子の構造
• キラル分子の濃度
• 試料セルの長さ
• 光の波長
• 溶媒
• 温度
通常、溶媒に依存するものの、比旋光度 (specific rotation [α]) を以下のように定義して、用いる:
比旋光度は、化合物に固有の値である。
会中性異体立且早5
ru
'i
今,b
T l 訳者注実際の旋光言| では!検光子の光軌を 透過光の光前hと直交するように回転させ. 透過光の強度が最小となるようなH別立世を求めることによって。(同光而の回il!i;fijを測定する
* 比旋光度 [α]の次元は degcnlg-Iで。単位は(セルの長さ 1 = 1なので) 10- 1 deg cm2 g-Iである笑iJ!IJに対して比旋光度[α]の単位は長くて不便なので通常[α]を概単位で表すことが多い さらに! 浴解度に関する実際的な理由から 試料淡Ji cをl∞m L中の溶質のグラム数で記載している文献もある この場合実話[ 1 ) の続光度を100倍しなければならない1 " 2
i' 2訳者j主比旋光度を記述する|努には 試料濃度と溶媒も明記する必要がある たとえば
[α]智+ 80,O(c 1.00 エタノール)のように記述する ところが上の脚注に舎かれているように! 試辛|淡!立をitfす C はg m L-1ではなくgdL一I(溶液 100 m L r1"の溶質のグラム数)を用いる慣習になっているしたがって比続光度の式は
100α [α];= 7ウアと表されることもある この場合c' の単位は gdL一lである 純液体の場合は試料の管皮 ρ(g cm-3) を用いて
で表す
の方向に回転する もう一方のエナンチオマーについて同じ実験を行うと,偏光面はまったく同じ大きさだけ しかも反対の方向に回転する進行してくる光に向かつて見た場合に 偏光面をH寺計まわりに回転させるエナンチオマーは右旋性 (dextrorotatory : dexter,ラテン語の「右 J)であり,その化合物は( 便宜的に) ( + ) のエナンチオマーであると いう。 したがって,偏光面を反時計まわりに回転させるもう一方のエナンチオマーは左旋性(Jevorotatorylaevus,ラテン語の「左 J)であり 。これを( 一) のエナンチオマーという このような光との特殊な相互作用は光学活性 (optical activity) とよばれ,エナンチオマーはしばしば光学異性体 (opticalisom er) ともよばれる
旋光度は旋光計で測定する平而偏光とは何か またその回転をどのようにして測定するのだろ うか 通常
の光は,光の進行方向に対して垂直な面内であらゆる方向に振動している電磁波の束であると考えることができる 通常の光が偏光子とよばれる物質を通過すると一つの面内で振動する光だけが透過して 残りの光はすべて「フィ ルター」にかかつて除かれてしま う 透過 した光は平面偏光 (plane- polarized light)とよばれる( 図 5-5)光が分子の中を通過するとき,核の周囲の電子ゃいろいろな結合にあず、かって
いる電子は光の電場と相互作用する もし平面偏光がキラルな物質の中を通過すると,電J易はその分子の「左半分」と「右半分」とでは異なった相互作用をするこの相互作用のため, 旋光 (optical rotation) とよ ばれる偏光面の回転が起こ る旋光を引き起こす試料は光学活性 (optically active)であるといわれる旋光度は旋光計 (polarimet巴r)を用いて測定する( 図 5-5)ーこの装置では,ま
ず光が平面偏光に変えられ,それが試料の入ったセルの中を通過する。偏光面の回転角は,枚光子とよばれるもう一つの偏光子を用いて,透過光の強度が最大になる ようにそれを調整する ことにより測定されるi ' 1 測定された回転角 ( 度で表す) がその試料の実測旋光度 (observed optical rotation)αである. その値は光学活性分子の濃度や構造,試本|セルの長さ,光の波長,溶媒および温度に依存する混乱を避けるため,各化合物について Q の値を表す標準として比旋光度 (specificrotation) [α] を用いる この値は( 溶媒に依存するが) 次のように定義される
比旋光度* 1" 2
ここで, [αJ = 比旋光度, t = I E L度(t ),( 入射光の波長 jjff光度の測定に通常用いられるナ トリウム蒸気灯の
場合 その燈色のD 発光線(通1 f t.,単に D 線と よばれる) の波長は589nm である
α = 実iJWの旋光度( J支)試料セルの長さ (デシメートル),この値は通常l ( すなわちl O cm )であることが多い浴液の波度 (g m L一1)
練習問題5-6
光j原 あらゆる方向の面内で振動している通常の光
C H 3 (一)-2-ブロモブタンの入った試料セル
偏光面が l 回転する 中
検光子
一つの面内で振動している平面偏光
図 5-5 旋光昔| による 2-ブロモブタンの (-)エナンチオマーの旋光度の測定
食卓で使われるふつうの砂糖( 天然のスクロース)の 0 .1 g m L- ]の水溶液を lO cm のセルに入れて旋光度を測定すると,時計まわりに 6.650 の旋光度を示した [a]の値を計算せよ この結果から天然のスク ロースのエナンチオマーの[a] がわかるか
光学活性な分子の比旋光度は,融点 沸点および密度のよう にその分子に固有の物理定数である 4種類の化合物の比旋光度を表 5-1 に示す
旋光度は工ナンチオマーの組成を表すすでに述べたように,エナンチオマーどうしは互いに,平面偏光を同じ大きさ
だけ逆の方向に回転させる たとえば 2ーブロモブタンの (一)のエナンチオマーは偏光面を反時計まわりに 23. 10 回転させ,その鏡像である (+) -2-ブロモブタンは時計まわりに 23.1 0 回転させる したがって ( +) と( 一) のエナンチオマーの1 ・lの混合物は旋光性を示さないため,光学不活性であるというこ とになるこの ような混合物はラセミ体 i. (racem at巴) あるいは ラセミ混合物 1" (racemic m ixture) とよばれる もし一方のエナンチオマーが もう一方のエナンチオマー
種々のキラルな化合物の比旋光度[α]55
C H2C H3 C H2C H 3
HwB-iC r ¥ C H, 23.1 H3C ./丸、 +23.1
Br (一) - 2 - プロモブタン (+ )-2 ブロモブタン
H H
H ヲーN WCIC H ¥'C O O H + 8.5 H O O C/えもH 3.8
C H 3 (+ )-2ーアミノプロパン酸 ( 一) ヨーヒドロキシプロノTン酸
[( + )ーアラニン〕 [ (一)ー乳酸〕
注 ハロアlレカンは純液体状態で1 カルポン酸は水溶液中で測定した他
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ヱ平白山{子光qh
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小 / ペノ/ 回転角
T訳者注 .昔は個々の結晶がどちらか一方のエナンチオマーから成るラセミ体の結晶〔現在ではコングロメレート (conglomerate)とよぶ〕のことを「ラセミ混合物j(racemic m ほture)とよんだが。現在では「ラセミ混合物Jは「ラセミ体J(racemat巳 racernic modifiαtion) と同じ意味に用いられている なお。「ラセミ化合物J(racem ic com-pound. 昔は racemat巴ともよばれた)とは,コングロメレートと違って個々の結晶が等モルのエナンチオマ一対の分子化合物から成るラセミ体の結品のことである
Examples of specific rotations:
再確認:エナンチオマー間の比旋光度の絶対値と符号の関係
旋光度はエナンチオマーの組成を表す。 + と – のエナンチオマーの混合物 (1:1)は、平面偏向の回転が相殺されるので全体として旋光度はゼロである(光学不活性)。 → ラセミ体混合物。
通常は、どちらかのエナンチオマーが過剰に存在する場合が多い。
エナンチオマー過剰率 (enantiomeric excess, ee)
= 主エナンチオマーの割合(%) ー 副エナンチオマーの割合(%)
例)
50% ee とは、75% と 25% のエナンチオマーの混合物のこと。これを、光学純度は50%と示す。
もう一方のエナンチオマーが他方に変化しながら平衡に達するとき、この過程をラセミ化という。
体性異体立且早FU 。o'i 今,Mに変化しながら平衡に達するならば,この過程をラセミイヒ (racemization)というたとえば, (+ )ーアラニン (表 5-1)のようなアミノ酸は,化石の中で非常にゆっくりとラセミ化しその結果,光学活性が減少することがわかっているキラルな分子の光学活性は,二つのエナンチオマーの存在比にi宣媛比例する
それは一方のエナンチオマーしか存在しない場合に最大となり,その試料は光学的に純粋である こつのエナンチオマーが等量存在する場合に光学活性はゼロになり,その試料はラセミ体であり光学不活性となる 実際には,一方のエナンチオマーが他方よりも過剰に存在する混合物を扱うことが多い. エナンチオマ一過剰率(巴nantiomer excess, ee)は,どの程度過剰に存在するのかを示す値である
エナンチオマ一過剰率(巴e)= 主エナンチオマーの割合(% )一回lエナンチオマーの割合(% )
ラセミ体は二つのエナンチオマーの 1 : 1の混合物なので (ee = 0),巴巴はラセミ体に対して一方のエナンチオマーがとεの程度過剰に存在するのかを示す尺度である 田は純粋なエナンチオマーの旋光度に対する混合物の依光度の割合(% )から求めることができる この値は光学純度 (opticalpurity)ともよは、れる
光学純度とエナンチオマ一過剰率[aJ潟会抽エナンチオマ一過剰j率(e巴) = 光学純度= 回日明 x 100 %
[ 日]純粋なエナ汁オマー
化石の中から得られた(+ ) ーアラニンの溶液は [a J = + 4.25 を示した. その ee と光学純度はいくらか この試が|に実際に含まれるエナンチオマーの割合はいくらかまたその割合から導かれる笑測旋光度はどうなるか島幸法のてびき純粋な( + ) ーアラニンの比旋光度がいくらかを調べ それから上の式を使って答えを導く必要がある解答・表 5-1 から純粋な (+ )ーアラニンの比旋光度が+ 8.5であることがわかる・上の式から,エナンチオマ一過剰率 (ee)= 光学純度= (4.25 / 8.5) x 100 % = 50 % となる・これはこの試料のうち 50 % が純粋な (+ )異性体であり,残りの 50 % はラセミ体であることを意味する. ラセミ体の部分は等量の( +) と( 一) のエナンチオマーで構成されているので,この試料に含まれる実際の割合は( +) アラニンが 75 % で(ー)ーアラニンカさ 2 5 %となる.25 % の(ー)エナンチオマーは同じ訟の(+ )エナンチオマーの旋光を打ち消す したがって,この混合物は 75 % - 25 % = 50 % の光学純度であり. 笑測旋光度は純粋な右liA'1生のエナンチオマーが示す旋光度の半分で‘ある
練習問題5-7
練習問題5-8
体性異体立且早FU 。o'i 今,Mに変化しながら平衡に達するならば,この過程をラセミイヒ (racemization)というたとえば, (+ )ーアラニン (表 5-1)のようなアミノ酸は,化石の中で非常にゆっくりとラセミ化しその結果,光学活性が減少することがわかっているキラルな分子の光学活性は,二つのエナンチオマーの存在比にi宣媛比例する
それは一方のエナンチオマーしか存在しない場合に最大となり,その試料は光学的に純粋である こつのエナンチオマーが等量存在する場合に光学活性はゼロになり,その試料はラセミ体であり光学不活性となる 実際には,一方のエナンチオマーが他方よりも過剰に存在する混合物を扱うことが多い. エナンチオマ一過剰率(巴nantiomer excess, ee)は,どの程度過剰に存在するのかを示す値である
エナンチオマ一過剰率(巴e)= 主エナンチオマーの割合(% )一回lエナンチオマーの割合(% )
ラセミ体は二つのエナンチオマーの 1 : 1の混合物なので (ee = 0),巴巴はラセミ体に対して一方のエナンチオマーがとεの程度過剰に存在するのかを示す尺度である 田は純粋なエナンチオマーの旋光度に対する混合物の依光度の割合(% )から求めることができる この値は光学純度 (opticalpurity)ともよは、れる
光学純度とエナンチオマ一過剰率[aJ潟会抽エナンチオマ一過剰j率(e巴) = 光学純度= 回日明 x 100 %
[ 日]純粋なエナ汁オマー
化石の中から得られた(+ ) ーアラニンの溶液は [a J = + 4.25 を示した. その ee と光学純度はいくらか この試が|に実際に含まれるエナンチオマーの割合はいくらかまたその割合から導かれる笑測旋光度はどうなるか島幸法のてびき純粋な( + ) ーアラニンの比旋光度がいくらかを調べ それから上の式を使って答えを導く必要がある解答・表 5-1 から純粋な (+ )ーアラニンの比旋光度が+ 8.5であることがわかる・上の式から,エナンチオマ一過剰率 (ee)= 光学純度= (4.25 / 8.5) x 100 % = 50 % となる・これはこの試料のうち 50 % が純粋な (+ )異性体であり,残りの 50 % はラセミ体であることを意味する. ラセミ体の部分は等量の( +) と( 一) のエナンチオマーで構成されているので,この試料に含まれる実際の割合は( +) アラニンが 75 % で(ー)ーアラニンカさ 2 5 %となる.25 % の(ー)エナンチオマーは同じ訟の(+ )エナンチオマーの旋光を打ち消す したがって,この混合物は 75 % - 25 % = 50 % の光学純度であり. 笑測旋光度は純粋な右liA'1生のエナンチオマーが示す旋光度の半分で‘ある
75 % の光学純度の( + )-2ーブロモブタンの旋光度は何度か この試料には何% の(+) と(一)のエナンチオマーが含まれているか 光学純度が 50 %と 25 % の試料について同じ問いに答えよ
まとめ 二つのエナンチオマーは光学活性によ って識別することができる 光学活性は平面偏光とエナンチオマーとの相互作用から生じ,旋光計で測定される一方のエナンチオマーが偏光面を時計まわりの方向に回転させるならば(右旋性),もう一方は反時計まわりに同じ大きさだけ回転させる( 左旋性) 比旋光度 [α]はキラルな分子だけがもちうる物理定数である エナンチオマー聞の相互変換によってラセミ化が起こ り,光学活性が失われる
5-3 絶対配置 : R,S 順位則キラルな化合物の純粋なエナンチオマーの構造は どのようにして決定できる
のだろうか もし構造が決まったとしても,明確な名前をつけてその鏡像と区別する方法はあるのだろう か
X 線回折を用いて絶対配置を決定することができるあるエナンチオマーのすべての物理的性質は, 比旋光度の符号以外はその鏡像
のものと実質上まったく同じである 比旋光度の符号と置換基の空間的配置,つまり 絶対配置 Cabsolute configuration)との間に何らかの関係はあるのだろ うか[ ロ] の値から,あるエナンチオマーの構造を決定できるのだろうか 残念ながら,それはできない つまり. あるエナンチオマーの構造と比旋光度の符号との問には,何ら直接の関係はない たとえば乳酸(表 5-1 ) をそのナトリウム塩にすると,立体中心の絶対配置は変化 しないにもかかわらず,比旋光度の符号は(そして大きさも)変わってしまう (欄外参照)もし比旋光度の符号から構造について何の情報も得られないとする と,キラル
な分子のあるエナンチオマーの絶対配置をどうすれば知ることができるのだろうか いいかえれば, 2 ブロモブタンの左旋性のエナンチオマーが表 5-1 に示した構造をもっている (したがって右旋性のエナンチオマーはその鏡像体の絶対配置をもっている)ことは,どうすればわかるのだろうか そのような情報は単結晶 X 線回折解析法( 1-9節および欄外の図参照)によってしか得られない だからといって構造を決定するためには,すべてのキラルな化合物に X 線解析法を用いなければならないというわけではない この方法によ って確かな構造が決められた化合物と化学的な関連づけを行うこと によっても,絶対配置を決める ことができる たとえばX 線解析法で (一) 乳酸の立体中心がわかれば, C+ ) ナトリウム塩の絶対配置(C- ) 一乳酸と同 じ絶対配置〕を知る ことができる
口フ唱iq,h 悶ロハ
キリ斗,da' 百HQU R
置『同レ-一閃同ふ叶d占ぜハa也5率巾qd pb
H
/ C¥"" O H H O O C .C H 3
[α]官= - 3.8 (-) 乳酸(左旋性)いO HH,O
H
/ C¥切 O HN a+一O O C .C H 3 [α]官= + 13.5
(+ )ー乳酸ナトリウム(右旋性)
×線回折j去によって決定された(+ ) ー乳酸の構造
体性異体立且早FU 。o'i 今,Mに変化しながら平衡に達するならば,この過程をラセミイヒ (racemization)というたとえば, (+ )ーアラニン (表 5-1)のようなアミノ酸は,化石の中で非常にゆっくりとラセミ化しその結果,光学活性が減少することがわかっているキラルな分子の光学活性は,二つのエナンチオマーの存在比にi宣媛比例する
それは一方のエナンチオマーしか存在しない場合に最大となり,その試料は光学的に純粋である こつのエナンチオマーが等量存在する場合に光学活性はゼロになり,その試料はラセミ体であり光学不活性となる 実際には,一方のエナンチオマーが他方よりも過剰に存在する混合物を扱うことが多い. エナンチオマ一過剰率(巴nantiomer excess, ee)は,どの程度過剰に存在するのかを示す値である
エナンチオマ一過剰率(巴e)= 主エナンチオマーの割合(% )一回lエナンチオマーの割合(% )
ラセミ体は二つのエナンチオマーの 1 : 1の混合物なので (ee = 0),巴巴はラセミ体に対して一方のエナンチオマーがとεの程度過剰に存在するのかを示す尺度である 田は純粋なエナンチオマーの旋光度に対する混合物の依光度の割合(% )から求めることができる この値は光学純度 (opticalpurity)ともよは、れる
光学純度とエナンチオマ一過剰率[aJ潟会抽エナンチオマ一過剰j率(e巴) = 光学純度= 回日明 x 100 %
[ 日]純粋なエナ汁オマー
化石の中から得られた(+ ) ーアラニンの溶液は [a J = + 4.25 を示した. その ee と光学純度はいくらか この試が|に実際に含まれるエナンチオマーの割合はいくらかまたその割合から導かれる笑測旋光度はどうなるか島幸法のてびき純粋な( + ) ーアラニンの比旋光度がいくらかを調べ それから上の式を使って答えを導く必要がある解答・表 5-1 から純粋な (+ )ーアラニンの比旋光度が+ 8.5であることがわかる・上の式から,エナンチオマ一過剰率 (ee)= 光学純度= (4.25 / 8.5) x 100 % = 50 % となる・これはこの試料のうち 50 % が純粋な (+ )異性体であり,残りの 50 % はラセミ体であることを意味する. ラセミ体の部分は等量の( +) と( 一) のエナンチオマーで構成されているので,この試料に含まれる実際の割合は( +) アラニンが 75 % で(ー)ーアラニンカさ 2 5 %となる.25 % の(ー)エナンチオマーは同じ訟の(+ )エナンチオマーの旋光を打ち消す したがって,この混合物は 75 % - 25 % = 50 % の光学純度であり. 笑測旋光度は純粋な右liA'1生のエナンチオマーが示す旋光度の半分で‘ある
絶対配置 5-3 絶対配置:不斉中心に結合した置換基の実際の空間的配置のこと。
比旋光度の符号と絶対配置の間に直接的な関係はない。
絶対配置は、単結晶X線回折解析法により決定できる。
または、化学変換により絶対配置が決定されている既知化合物に変換することで決定できる。
75 % の光学純度の( + )-2ーブロモブタンの旋光度は何度か この試料には何% の(+) と(一)のエナンチオマーが含まれているか 光学純度が 50 %と 25 % の試料について同じ問いに答えよ
まとめ 二つのエナンチオマーは光学活性によ って識別することができる 光学活性は平面偏光とエナンチオマーとの相互作用から生じ,旋光計で測定される一方のエナンチオマーが偏光面を時計まわりの方向に回転させるならば(右旋性),もう一方は反時計まわりに同じ大きさだけ回転させる( 左旋性) 比旋光度 [α]はキラルな分子だけがもちうる物理定数である エナンチオマー聞の相互変換によってラセミ化が起こ り,光学活性が失われる
5-3 絶対配置 : R,S 順位則キラルな化合物の純粋なエナンチオマーの構造は どのようにして決定できる
のだろうか もし構造が決まったとしても,明確な名前をつけてその鏡像と区別する方法はあるのだろう か
X 線回折を用いて絶対配置を決定することができるあるエナンチオマーのすべての物理的性質は, 比旋光度の符号以外はその鏡像
のものと実質上まったく同じである 比旋光度の符号と置換基の空間的配置,つまり 絶対配置 Cabsolute configuration)との間に何らかの関係はあるのだろ うか[ ロ] の値から,あるエナンチオマーの構造を決定できるのだろうか 残念ながら,それはできない つまり. あるエナンチオマーの構造と比旋光度の符号との問には,何ら直接の関係はない たとえば乳酸(表 5-1 ) をそのナトリウム塩にすると,立体中心の絶対配置は変化 しないにもかかわらず,比旋光度の符号は(そして大きさも)変わってしまう (欄外参照)もし比旋光度の符号から構造について何の情報も得られないとする と,キラル
な分子のあるエナンチオマーの絶対配置をどうすれば知ることができるのだろうか いいかえれば, 2 ブロモブタンの左旋性のエナンチオマーが表 5-1 に示した構造をもっている (したがって右旋性のエナンチオマーはその鏡像体の絶対配置をもっている)ことは,どうすればわかるのだろうか そのような情報は単結晶 X 線回折解析法( 1-9節および欄外の図参照)によってしか得られない だからといって構造を決定するためには,すべてのキラルな化合物に X 線解析法を用いなければならないというわけではない この方法によ って確かな構造が決められた化合物と化学的な関連づけを行うこと によっても,絶対配置を決める ことができる たとえばX 線解析法で (一) 乳酸の立体中心がわかれば, C+ ) ナトリウム塩の絶対配置(C- ) 一乳酸と同 じ絶対配置〕を知る ことができる
口フ唱iq,h 悶ロハ
キリ斗,da' 百HQU R
置『同レ-一閃同ふ叶d占ぜハa也5率巾qd pb
H
/ C¥"" O H H O O C .C H 3
[α]官= - 3.8 (-) 乳酸(左旋性)いO HH,O
H
/ C¥切 O HN a+一O O C .C H 3 [α]官= + 13.5
(+ )ー乳酸ナトリウム(右旋性)
×線回折j去によって決定された(+ ) ー乳酸の構造
75 % の光学純度の( + )-2ーブロモブタンの旋光度は何度か この試料には何% の(+) と(一)のエナンチオマーが含まれているか 光学純度が 50 %と 25 % の試料について同じ問いに答えよ
まとめ 二つのエナンチオマーは光学活性によ って識別することができる 光学活性は平面偏光とエナンチオマーとの相互作用から生じ,旋光計で測定される一方のエナンチオマーが偏光面を時計まわりの方向に回転させるならば(右旋性),もう一方は反時計まわりに同じ大きさだけ回転させる( 左旋性) 比旋光度 [α]はキラルな分子だけがもちうる物理定数である エナンチオマー聞の相互変換によってラセミ化が起こ り,光学活性が失われる
5-3 絶対配置 : R,S 順位則キラルな化合物の純粋なエナンチオマーの構造は どのようにして決定できる
のだろうか もし構造が決まったとしても,明確な名前をつけてその鏡像と区別する方法はあるのだろう か
X 線回折を用いて絶対配置を決定することができるあるエナンチオマーのすべての物理的性質は, 比旋光度の符号以外はその鏡像
のものと実質上まったく同じである 比旋光度の符号と置換基の空間的配置,つまり 絶対配置 Cabsolute configuration)との間に何らかの関係はあるのだろ うか[ ロ] の値から,あるエナンチオマーの構造を決定できるのだろうか 残念ながら,それはできない つまり. あるエナンチオマーの構造と比旋光度の符号との問には,何ら直接の関係はない たとえば乳酸(表 5-1 ) をそのナトリウム塩にすると,立体中心の絶対配置は変化 しないにもかかわらず,比旋光度の符号は(そして大きさも)変わってしまう (欄外参照)もし比旋光度の符号から構造について何の情報も得られないとする と,キラル
な分子のあるエナンチオマーの絶対配置をどうすれば知ることができるのだろうか いいかえれば, 2 ブロモブタンの左旋性のエナンチオマーが表 5-1 に示した構造をもっている (したがって右旋性のエナンチオマーはその鏡像体の絶対配置をもっている)ことは,どうすればわかるのだろうか そのような情報は単結晶 X 線回折解析法( 1-9節および欄外の図参照)によってしか得られない だからといって構造を決定するためには,すべてのキラルな化合物に X 線解析法を用いなければならないというわけではない この方法によ って確かな構造が決められた化合物と化学的な関連づけを行うこと によっても,絶対配置を決める ことができる たとえばX 線解析法で (一) 乳酸の立体中心がわかれば, C+ ) ナトリウム塩の絶対配置(C- ) 一乳酸と同 じ絶対配置〕を知る ことができる
口フ唱iq,h 悶ロハ
キリ斗,da' 百HQU R
置『同レ-一閃同ふ叶d占ぜハa也5率巾qd pb
H
/ C¥"" O H H O O C .C H 3
[α]官= - 3.8 (-) 乳酸(左旋性)いO HH,O
H
/ C¥切 O HN a+一O O C .C H 3 [α]官= + 13.5
(+ )ー乳酸ナトリウム(右旋性)
×線回折j去によって決定された(+ ) ー乳酸の構造
NaOH
H2O
では、ふたつのエナンチオマーをどのように区別し、名前をつけるか?
立体中心の表記法 R,S-順位則. R.S. Cahn, C. Ingold, and V. Prelog らにより、絶対配置を示す方法として提唱された。
4つの置換基に、ルールに従って順位を付ける。
• a highest priority
• b second-highest priority
• c third-highest priority
• d lowest priority
次に、優先順位の低い置換基を、自分から最も遠い位置に置く。
残り3つの置換基の配列、すなわち、a→b→c が反時計回りか、時計回りか?
反時計回りなら、絶対配置は S と表記され、時計回りなら R と表記。
S (sinister、ラテン語の左)
R (rectus、ラテン語の右)
R,S の表記の仕方:
(R)-2-bromobutane
(S)-2,3-dihydroxypropanal
(R,S)-bromochlorofluoromethane (a racemic mixture)
比旋光度の符号が分かっている場合、以下のように付ける。
注意)R,S と +,- と関連はない。
(R)-(+)-2,3-dihydroxypropanal.
H
O
OH
HOH
a
b c
d
優先順位の付け方. Rule 1:
まず、不斉中心に直接結合している原子を比べる。
優先順位は原子番号と同じ。従って、水素が常に4番目。
同位体については、質量数の大きい方を優先する。
Rule 2:
立体中心に直接結合している2つの原子が、同じ優先順位の場合は、違いが生じる点まで置換基の鎖を辿っていく。
章pb ヲ&
今,h
今'u
置換基の鎖をたとεっていく途中で枝分れがある場合,優先順位の高いほうの校を選ぶ. よく似た枝分れがあれば,相違が生じる点までたどり校の順位を決める
立体異性体
r 31f じめて相違勺12ごCH歩高い優先順位
/ C(CH 3h (/ d H - C ,¥"'C H 2C H 3 C
C H ( C H3h b (5)-3 エチルー2,2,4 - トリメチルペンタン
二つの例を下に示す
/ Ia d H- C牛¥",C H2C H3 b
C H 3 c (R)-2 ヨードブタン
順位則 3 二重結合や三重結合は単結合とみなし両方の原子がともに多重結合で結ぼれているもう一方の原子で,二重または三重に置換されているとする
とみなすH H I I C -C - R I I C C
lまH . .H :C = c
R
右側の構造式中の赤い原子は,実際にそこについているのではなく ,左側の官能基の優先順位を決めるために便宜的につけたものである
とみなすC C I I
- C - C - R I I C C
lま- C三 C - R
とみなすo C I I - C -O H
lまHn
01c
とみなすco
一H
Ole-。(まUN
O
OHHC
欄外と本意の冒頭に出てくる Sーと尺ーア実際の化合物での R ,S)II町立の例を,ルブテロールの構造中に示す
/ C H = C Hぅ b-d H一一C,¥""C H 3 C
O H α R
次の置換器の構造を往き,各組のうちで優先順位の高い)llfiに順位をつけよ(a) メチル,プロモメチル。トリクロロメチル,エチル(b) 2ーメチルプロピル(イソブチル),1-メチルエチJレ(イソプロピル),シクロヘキ
シル(c) ブチル, 1-メチJレプロピル (sec-ブチル),2- メチルプロピル(イソフ.チル),1,1ージメチルエチル(tert-フ'チル)
(d)エチル,1 クロロエチル 1-プロモエチル,2 -ブロモエチル
E誼語面謹軍司・αH O / 0 d H- C 11
,¥"'''C H b C H 20 H c R
例えば…
Rule 3:
二重結合や三重結合は単結合と見なし、両方の原子がともに多重結合で結ばれているもう一方の原子で、二重または三重に置換されているとする.
たとえば