埋立地の作り方埋 立...

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埋 立 国土がせまく平地が少ない日本では、海を埋立ててみなとや 海上空港をつくってきました。 現在では、埋立地にも経済性や安全性などの機能に加えて、景 観や親水性( しんすいせい) といった水辺環境への配慮も求めら れるようになってきました。 今後も埋立地はわたしたちの暮らしを支える大切な役割を担 っていくでしょう。 埋立地の作り方 埋立工事の例を、関西国際空港の建設をとおしてみてみましょう。 ステップ 1 海の底を固める(地盤改良海の底には、水を含んだやわらかい土の層が横たわっています。このままでは重いモノ をのせると沈んでしまいます。そこでまず、このやわらかい土の層の中に砂の柱(砂杭) をつくって中の水を抜いたり、セメントを混ぜて固めたりして、土を硬くして強くします。 ステップ 2 囲いをつくる(護岸(ごがん)工事) 埋立てる土を海に入れるときに、波によって 埋立地が壊れないように、また濁った水が流 れ出さないようにするために、囲い(護岸)を つくります。最近の護岸は単なる囲いとして の機能だけではなく、水辺の環境に配慮した 機能も加わっています。 ステップ 3 土を入れる(埋立工事) 護岸による囲いがほぼでき上がると、いよいよ中に土を入れていきます。 土砂を一度にたくさん運べる土運船 という船を使って、海に土をまんべん なく入れていきます。 埋立が進んでくると、揚土船 という船についたベルトコン ベアによって海の上まで土を 盛り上げます。 砂杭 2003年10月1日現在、日本の 国土面積は37万7,899.20(平方キロメートル)で、埋立など によって2002年からの1年間 で11.95増えました。 1950年から54年間、日本の国 土面積は埋立で1,814.61増加しました。これは東京ドーム 3万9,000個分の広さに相当す る面積です。 東京湾では、1945年から 1991年までの46年間に、埋立 により157ほど陸地面積が 増加しました。 埋立の歴史 大阪湾の沖合5kmの海上につくられた関西国際空港 写真提供:関西国際空港用地造成株式会社 社団法人日本埋立浚渫協会|みなとkids

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Post on 14-Feb-2021

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  • 埋 立国土がせまく平地が少ない日本では、海を埋立ててみなとや海上空港をつくってきました。現在では、埋立地にも経済性や安全性などの機能に加えて、景観や親水性(しんすいせい)といった水辺環境への配慮も求められるようになってきました。今後も埋立地はわたしたちの暮らしを支える大切な役割を担っていくでしょう。

    埋立地の作り方埋立工事の例を、関西国際空港の建設をとおしてみてみましょう。

    ステップ 1海の底を固める(地盤改良)海の底には、水を含んだやわらかい土の層が横たわっています。このままでは重いモノをのせると沈んでしまいます。そこでまず、このやわらかい土の層の中に砂の柱(砂杭)をつくって中の水を抜いたり、セメントを混ぜて固めたりして、土を硬くして強くします。

    ステップ 2囲いをつくる(護岸(ごがん)工事)埋立てる土を海に入れるときに、波によって埋立地が壊れないように、また濁った水が流れ出さないようにするために、囲い(護岸)をつくります。最近の護岸は単なる囲いとしての機能だけではなく、水辺の環境に配慮した機能も加わっています。

    ステップ 3土を入れる(埋立工事)護岸による囲いがほぼでき上がると、いよいよ中に土を入れていきます。

    土砂を一度にたくさん運べる土運船という船を使って、海に土をまんべんなく入れていきます。

    埋立が進んでくると、揚土船という船についたベルトコンベアによって海の上まで土を盛り上げます。

    砂杭

    2003年10月1日現在、日本の国土面積は37万7,899.20㎢(平方キロメートル)で、埋立などによって2002年からの1年間で11.95㎢増えました。1950年から54年間、日本の国土面積は埋立で1,814.61㎢増加しました。これは東京ドーム3万9,000個分の広さに相当する面積です。東京湾では、1945年から1991年までの46年間に、埋立により157㎢ほど陸地面積が増加しました。

    埋立の歴史

    大阪湾の沖合5kmの海上につくられた関西国際空港

    写真提供:関西国際空港用地造成株式会社

    社団法人日本埋立浚渫協会|みなとkids