兵庫県教育委員会gimu-bo/gakuryokutyousa/dvd-katuyou.pdf · だし 、著作権等...
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「『ことばの力』の育成を図る授業改善の促進」事業に係るDVDについて
「ことばの力」は知的活動の基盤であるとともに、コミュニケーションや感性・情
緒の基盤であり、豊かな心を育む上でも「ことばの力」に関する能力を高めることは
重要です。学習指導要領においても、思考力・判断力・表現力等を育むために、その
基盤となる言語に関する能力の育成が重視されています。そして、「ことばの力」の
育成は国語科だけでなく、国語科を軸として全教科において求められるものです。「こ
とばの力」の育成を図るための学習活動として、①体験から感じ取ったことを表現す
る、②事実を正確に理解し伝達する、③概念・法則・意図などを解釈し、説明したり
活用したりする、④情報を分析・評価し論述する、⑤課題について構想を立て実践し、
評価・改善する、⑥互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させるこ
となどを充実させる必要があります。
これらの学習活動はいずれも従来から重視されていますが、特に⑤と⑥の学習活動
の充実のための教師の指導が重要となります。今回の DVD 作成では、そのような指導
の手立てと児童生徒の学びの姿に注目して編集しています。
各教科等の目標を達成し、「確かな学力」を身に付けさせるために、DVDを参考
に「ことばの力」の育成を図る学習活動を充実させ、児童生徒に身に付けさせたい力
が付いたかどうかを評価・検証し、授業改善に生かしてほしいと考えます。
今後、教育委員会、学校等の研修会等でこのDVDを活用し、「ことばの力」の育
成を図る授業改善を促進していくための一助となることを期待しています。
最後に、DVDを作成するにあたり、授業協力校4校の児童生徒の皆様、先生方、
また指導いただいた学識経験者の方に深く感謝申し上げます。
DVDの取扱いについて
教育委員会や学校において、教員研修を目的として使用される場合に限り複製が可能です。た
だし、著作権等の関係上、WEB への掲載は厳に慎んでいただきますようお願いいたします。
また、収録している映像中に児童・生徒の顔等が撮影されている部分がありますので、肖像権
等の関係上、取扱いには十分注意していただきますようお願いいたします。
○授 業
授業の目標を実現するための手立てとして効果的な言語活動を設定し、児童生徒の思考が
深まる場面において、多様な考えを出し合う様子を収録
○学識経験者の解説
本時の授業及び「ことばの力」の育成を図る授業の取組についての解説を収録
D V D
1
「『ことばの力』の育成を図る授業改善の促進」事業に係るDVDの学習指導案等について
【国 語】
1 淡路市立学習小学校 (P3~8)
(1)研究テーマ コミュニケーション能力を高める授業づくり
~聞き方の質を高める指導の工夫~
(2)学 年 第6学年
(3)単 元 名 物語を読み、人物の生き方について考えを深め合おう
教 材 「海の命」 立松 和平
(4)授 業 者 深谷 弘志 教諭
(5)学識経験者 川端 建治 (京都教育大学附属桃山小学校 元副校長)
2 市川町立市川中学校 (P9~12)
(1)研究テーマ 確かなことばを身につけ、自ら学ぶ子の育成
~ことばの力が育まれる楽しい授業をめざして~
(2)学 年 第2学年
(3)単 元 名 登場人物の言葉や言動に注意して、作品を読み味わう
教 材 「卒業ホームラン」 重松 清
(4)授 業 者 大塚 髙誉 主幹教諭
(5)学識経験者 松本 勝信 (大阪教育大学 名誉教授)
【算数・数学】
1 播磨町立蓮池小学校 (P13~16)
(1)研究テーマ 説明する理数教育
~質の高い話し合いをめざして~
(2)学 年 第4学年
(3)単 元 名 面積
(4)授 業 者 松井 恵子 教諭
(5)学識経験者 榎並 雅之 (近大姫路大学 講師)
2 豊岡市立日高西中学校 (P17~20)
(1)研究テーマ ことば豊かにすすんで表現する力を育む
(2)学 年 第3学年
(3)単 元 名 図形と相似
(4)授 業 者 北村 孝典 教諭
(5)学識経験者 岡部 恭幸 (神戸大学大学院 准教授)
○構 成
1 単元名
2 単元目標
3 本単元における「ことばの力」の育成について
4 単元の評価規準
5 単元の指導計画
6 本時 (1)目標 (2)展開
○本時の展開には、DVDに収録されている箇所にカメラマーク を付けています。
学 習 指 導 案
「ことばの力」に特化して
書いています。
2
淡路市立学習小学校 第6学年 国語科学習指導案
1 単元名 物語を読み、人物の生き方について考えを深め合おう。
教材「海の命」(立松和平)
2 単元目標
○人物の生き方に関心をもち、その生き方についての考えを深めようとする。
○人物相互の関係や主人公の心情の動きを自分の言葉でとらえ、その「とらえ方」を互いに比べ合うことで、
自分の考えを広げ合い、読み方を深め合うことができる。
○語感や言葉の使い方に関心をもち、語句相互の関係を理解することができる。
3 本単元における「ことばの力」の育成について
本単元で取り扱う『海の命』は、クエを父の敵と考えていた主人公「太一」が、クエと向き合う中で、漁師
としての生き方に葛藤し、大きく成長していく姿を描いた作品である。本単元で育成したい「ことばの力」と
して、自分の読み方の過程を分析しまとめる「読み方をとらえる力」と、自分の考えや集団の考えを発展させ
ていく「聞き合う力」がある。これらの力を育成するために、次のような手立てを考える。
まず一点目は、児童が主体的に学習し、互いの読み方を聞き合いたくなるような「課題発見」である。物語
の山場で「太一」は、父の敵と考えていたクエを殺さなかった上に、「海の命」だと思うに至っている。その
過程には、「父」「与吉じいさ」の生き方や「母」の願い、そして「クエ」の様子が影響している。人物相関図
を活用し、生き方が違う「父」「与吉じいさ」に対する「太一」の思いの違い、心配している「母」といつか
クエをしとめたいと夢見ている「太一」の海に対する思いの違い、場面展開によって変化する「太一」の「ク
エ」に対する思いの違いなどをとらえさせる。そして、対比する形で違いを見極めたくなるように課題を設定
し、問題意識を持って学習を進めるようにする。
二点目は、思考を深める「一人学習」である。発問に対して、印象や思いつきで意見を発表するのではなく、
時間をしっかりとって、叙述から読み取ったことをじっくり書く中で、考えを深めさせていく。また、読み方
を具現化させるためのワークシートの工夫として、「父」「与吉じいさ」を見ている「太一」のつぶやきや「ク
エ」の見え方から考えられる「太一」の思いを書かせ、それを手がかりに、「太一」の心情の変化について自
分の考えやとらえ方をまとめさせる。
三点目は、学び合いが生まれる「聞き合う活動」である。一問一答式の授業や、それぞれが思ったことを発
表するだけの活動では、「聞き合う力」が育ちにくい。付け加えなどを行う共感的な聞き方や発言を比べなが
ら新たな意見を持つ聞き方など、児童の聞き方の質を高める「聞き方づくり」を行う。また、「クエ」との出
会いの中での心情の変化や場面を通しての太一の生き方を考えるための手立てとして、教師の効果的な板書・
発問によって、互いの読み方のずれ、対立、偏りなどに着目させ、互いの読み方・とらえ方を高め合っていく
ような場面を作る。
以上の3つの手立てを効果的に取り入れることで、「太一」の成長とその成長に大きく関わる人物・事物と
の関係をより深く考えさせたい。そして、この単元を通して「読み方をとらえる力」「聞き合う力」を高める
ことで、国語科だけでなく、他の教科の学習でも生かせる「ことばの力」の育成へとつながっていくと考える。
4 単元の評価規準
○国語への関心・意欲・態度
・主人公「太一」の生き方について知ったり、考えたりしようとする。
○話す・聞く能力
・互いの読み方やとらえ方を比べて聞き合い、考えを広げたり、深めたりすることができる。
○書く能力
・根拠になる文をもとに、他の叙述などと関係付けて、自分の考えを書くことができる。
3
○読む能力
・「太一」の生き方の変化を考えるために、場面ごとに変わる人物相互の関係、海への関わり方、「クエ」の
描写を対比して読むことができる。
○言語についての知識・理解・技能
・言葉の使い方や語句相互の関係を文脈に沿って理解することができる。
・クエの様子を表す比喩など、表現の工夫とその効果に気付くことができる。
5 単元の指導計画(全13時間)
時間 ○目標 ・学習活動 言語活動に関する指導上の留意点
【第一次】太一が漁師として成長する時に大きな役割を果たした人物たちと太一との関係を解明するため
の学習課題や学習計画を設定する。
1
2
○「海の命」を読み、学習の見通しを立てる。
・語句の読み方や意味を確かめながら、音読練
習をする。
・登場人物を確かめながら、場面分けを行う。
・一番大事だと思う場面を考え、理由もあわせ
て書きまとめる。
・語り手の視点が「太一」にあることを明らかに
して、場面展開や人物関係を把握させる。
・出所を焦点化することで、書きやすくし、課題
発見の手がかりとする。
3
4
○漁師としての太一の成長に関わった各人物へ
の太一の思いや見方をとらえ、読みの課題を
見付ける。
・太一との相関図を各自で書く。
・人物相互の関係と場面構成について話し合い、
太一の思いや見方を対比し、学習課題を設定
する。
①「父」と「与吉じいさ」
②「母」と「クエ」
③「想像のクエ」と「本物のクエ」
・太一の葛藤の場面では、それまで関わってきた
人物に対する様々な思いが入り混じっている
ことを確かめ、対象人物への太一の思いや見方
を相関図に書かせるとともに、その根拠となる
叙述もあわせて書かせる。
・交流する中で、「場面展開に合わせた人物設定」
や「人物像や形象の対比的な描写」に着目した
課題を方向付けていく。
【第二次】主人公太一の、対象人物や事物への見方・考え方の変化について考えていく課題で、一人学習
をし、それぞれの読み方を聞き合う。
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6
○漁師としての父と与吉じいさへの太一の思い
を対比する。(一場面と二・三場面)
・父と与吉じいさの会話文や行動描写の対比的
表現を書き抜き、それを手がかりに自分の読
み解き方を書きまとめる。(一人学習)
・それぞれの読み解き方を検討し合い、自分の
読み解きを深める。(聞き合い)
・両者の言動の中から、それを見たり聞いたりし
ている太一の思いが感じられる表現に着目さ
せる。あわせて「漁の仕方」「死の迎え方」に
着目するようにはたらきかける。
・漁師太一にとっての父と与吉じいさの役割を明
確にさせる。
4
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8
○与吉じいさの死の前後における、海に対する
太一と母の思いを対比する。
・四場面での海に対する関わり・思いが分かる
描写について書き抜き、それを手がかりに自
分の読み解き方を書きまとめる。(一人学習)
・5時と同様(聞き合い)
・太一に向かってつぶやいた母の言葉と「母が見
ている海は、いつしか…」という一文に着目さ
せる。
・母の心配が大きくなっている点、与吉じいさの
教えを守りつつも、瀬の主を破る夢を追い求め
ている点をおさえ、太一の心の葛藤に気付かせ
ていく。
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10
○一場面から四場面までの思いと本物のクエを
見た時の太一の思いを対比して、その変化を
とらえる。
(一~四場面と五場面)
・五場面でのクエの見え方から、太一のクエに
対する思いの変化についての自分の読み解き
方を書きまとめる。(一人学習)
・5時と同様(聞き合い)
・出会いから立ち去るまでの太一の気持ちの動き
を、太一にとってのクエの見え方の描写に着目
させ、とらえさせる。
・瀬の主クエに対する太一の思いの変化をとら
え、葛藤していた「本当の漁師としての生き方」
について止揚した太一の心のあり方をとらえ
させる。
【第三次】「漁師としての太一の成長」について自分なりにまとめ、それをもとに、「太一の見つけた『海
の命』とは何か?」について考え合う。
11
12
本
時
○「漁師としての太一の成長」についてまとめ
る。
・自分のとらえ方をワークシートに書きまとめ
る。
・「いつごろから、村一番の漁師となっていった
のか」について聞き合う。
・六場面の『太一は村一番の漁師であり続けた。』
にまず着目させた上で、「いつごろから、村一
番の漁師になっていったのか」という課題で、
考えをまとめさせる。
・村一番の漁師について考える手がかりとして、
太一の様子や周りで起こった出来事を場面ご
とに確かめておく。
・意見の違いを明らかにすることによって、「太
一」の成長についての考えをより深いものにさ
せていく。
13
○太一の見付けた『海の命』の意味について考
える。
・自分のとらえた「漁師としての太一の成長」
をもとに、『海の命』の意味について、太一の
思いを想像して書きまとめる。
・五場面の終わりまでの太一の心情の変化を振り
返らせ、考えをまとめさせる。
・考えを書きまとめやすくするために、父に語り
かけるような「太一」の言葉で書くか、考えを
「自分」の言葉で書くかを選ばせる。
5
6 本時(12/13)
(1) 目 標
「漁師としての太一の成長」についてまとめる。
(2) 展 開
学 習 活 動 指導上の留意点(言語活動は下線)
1 課題を確認し、目的意識をもつ。
2 ワークシートに書き込んだことを確かめ、互い
の読み解き方を聞き合い、考えを深め合う。
○与吉じいさに言われた時(三場面)
○海が太一にとって自由な世界になった時(四場面)
○クエを殺さないで帰った時(五場面)
(三場面と考える根拠)
・「おまえは村一番の漁師だよ」と与吉じいさに認
められたから
・与吉じいさに漁の仕方を教えてもらったから
(四場面と考える根拠)
・「海が自由な世界になる」ほど、だれももぐれな
い瀬にもぐれるようになったから
(五場面と考える根拠)
・「村一番の漁師」の意味は、海の命を必要な分だ
けとる漁師だと思う。
・四場面では、「村一番の漁師」の意味をちゃんと
分かっていなかったから、復讐のためにとろう
としていた。
・五場面でおだやかな目で見つめるクエをとって
も仕方ないと思ったから
・五場面でクエをこの海の命だと思い、大切にし
ていこうと思ったから
・五場面で与吉じいさの言う「村一番の漁師」の
生き方を選んだから
3 聞き合ったことをもとに、「村一番の漁師」につ
いて振り返り、自分の考えをまとめる。
4 次時の活動を確かめる。
・「漁師としての太一の成長」について、考えを
深めていくことを確かめる。
・「いつごろから、村一番の漁師になっていった
のか」を課題の入り口として、発言させる。
・自分の立場を明らかにしてから、読み解き方を
発表させる。
・二つ以上の意見が出ると考えられる。「漁師と
しての太一の成長」について考えを深め合うた
めに、根拠にするところ、読み解き方を明らか
にしてから、話し合わせる。また、一つの意見
しか出なかった場合は、三場面と五場面を対比
させるような発問により、考えを深めさせる。
・発言が一通り終わったら、三場面以降のことを
中心に考えを深めさせていく。
・与吉じいさの言う「村一番の漁師」の意味が問
題になれば取り上げ、ならない場合は、指導者
の発問によって考えを深めるようにはたらき
かける。
・板書や聞き合ったことを手がかりに場面ごとの
つながりを意識してふりかえり、自分の考えを
まとめさせる。
・一~五場面での成長の様子とともに、六場面以
降の様子も想像させて書かせる。
・成長した太一が見つけた「海の命」の意味につ
いて考えることを知らせる。
いつごろから、村一番の漁師になっていったのかを考えよう!
6
「 海 の 命 」 ⑧ 月 日 六 年 ( )
学 習 の め あ て
※ 聞 き 合 い の 後 、 「 村 一 番 の 漁 師 」 に つ い て 考 え が 変 わ っ た こ と 、 く わ し く 分 か っ た こ と を 書 こ う 。
五四
三二
一場 面
・ 瀬 の 主 ク エ に 出 会 っ た 。
・ 瀬 の 主 ク エ を 殺 さ ず に 済 ん だ 。
・ 母 は 父 の 瀬 に も ぐ る の で は な い か と
心 配 し た 。
・ 父 の 死 ん だ 瀬 に も ぐ り は じ め た 。
・ 与 吉 じ い さ の 代 わ り に 、 一 本 づ り の
漁 を 任 さ れ た 。
・ 与 吉 じ い さ の 死 に 出 会 っ た 。
・ 与 吉 じ い さ の 弟 子 に な っ た 。
・ 与 吉 じ い さ の 一 本 づ り を 手 伝 っ た 。
・ も ぐ り 漁 師 の 父 に あ こ が れ 、 い っ
し ょ に 漁 を し た が っ て い た 。
・ 父 の 死 に 出 会 っ た 。
起 こ っ た 出 来 事 や 太 一 の 様 子 い つ ご ろ か ら 「 村 一 番 の 漁 師 」 に な っ て い っ た の か
進 め 方
① 各 場 面 で 起 こ っ た 出 来 事 や 太 一 の 様 子 に つ い て 確 か め る 。
② ① を 参 考 に 、 太 一 は い つ ご ろ か ら 「 村 一 番 の 漁 師 」 に な っ て い っ た の か を 考 え 、 そ う 考 え る 理 由 を 書 き ま と め よ う 。
太 一 は 、 い つ ご ろ か ら 「 村 一 番 の 漁 師 」 に な っ て い っ た の か を 考 え よ う !
7
市川町立市川中学校 第2学年 国語科学習指導案
1 単元名 登場人物の言葉や言動に注意して、作品を読み味わう。
教材「卒業ホームラン」(重松 清)
2 単元目標
○「卒業ホームラン」を注意深く読み、内容や表現の仕方について考えを意欲的に交流しようとする。
○人物像や人間関係の捉えについて、根拠を挙げて自分の考えを書いたり、述べたりして、互いの考えを検
討して自分の考えを広げたり、深めたりすることができる。
○物語の全体と部分との関係、例示や描写の効果、登場人物の言動などから、登場人物を的確に捉え、それ
ぞれの心情を理解することができる。
○抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句、多義的な意味を持つ語句について理解し、語感を磨き、語い
を豊かにすることができる。
3 本単元における「ことばの力」の育成について
2年間、国語科が中心として、他の教科や他の領域においても、各教科等のねらいを達成するために、言
語活動を充実させる取組を行い、生徒の表現力向上等の成果が得られた。特に国語科においては、語い・語
句の習得等、基礎基本の定着と併せ、思考力・判断力・表現力等を高めさせる取組として「ワークシートの
改善」「発問の工夫」「思考力を高めさせる課題」等、言語活動の充実を図ってきた。
本単元の国語科としての学習目標を達成するために、「ワークシート活用」「課題を絞った話し合い」等の
言語活動を行っていくことは、「ことばの力」育成に繋がるものである。本単元に登場する加藤家(徹夫・
佳枝・智・典子)は、日常生活の中で、それぞれの距離感を保ちながら、平穏に暮らす一家である。しかし、
微妙に薄れていく家族関係に気付き、修復の方法をそれぞれに模索している。加藤家の人々の心情を、本文
に沿って整理・分析し、自分の考えとして論述させたい。また、それらをグループの中で伝え合い、互いの
思考力・表現力を評価させたい。
言語活動のねらいとしては、6つの柱の中で、「④情報を分析・評価し、論述する」「⑥互いの考えを伝え
合い、自らの考えや集団の考えを発展させる」を軸にしている。導入時に、自分の意見を持ち、学習を進め
ていく中で、情報を分析・整理していく。そして、互いに意見を交流する中で、多面的なものの見方や考え
方に発展させ、終末には、自分やクラスの考えの高まりを振り返る機会をタイミングよく必要に応じて設け
る。具体的な言語活動としては、加藤家の人物像を的確に読み取り、父と娘・父と息子の関係、公的な立場
と私的な立場の狭間で、葛藤する徹夫の姿、そして徹夫や子どもたちの生き方を「ワークシート」に整理し、
自分のことばで表現することである。また、読み取った内容に基づき、「これからの生活に生かせることは
何か」について、互いの考えを発展させることである。
4 単元の評価規準
○国語への関心・意欲・態度
・親子関係や思春期の心の動きに共感しながら、理解を深める学習に進んで取り組もうとしている。
○話す・聞く能力
・人物像や親子関係、「家族とは何か」についてのとらえ方の違いを踏まえて、根拠や考えを比べながら、
自分の考えを深めることができる。
○書く能力
・本文から読み取った内容を、目的や意図に応じて「ワークシート」に的確に自分のことばで文章化する
ことができる。
・課題について、本作品を通して根拠を示しながら論述している。
9
○読む能力
・徹夫や典子などの発言や言葉遣い、行動や態度に注目して、人物像を捉えている。
・加藤家の親子関係や徹夫の葛藤している姿を本文から正確に読み取っている。
・作品の最後の一文に込められた徹夫の決意について、物語全体を踏まえた考えをもつことができる。
○言語についての知識・理解・技能
・野球用語に関連させた「ホームイン」など多義的な意味を表す語句について理解し、語感を磨き、語い
を豊かにしている。
5 単元の指導計画(全6時間)
時間 ○目標 ・学習活動 言語活動に関する指導上の留意点
1 ○漢字や語句を確認しながら、全文を通読し、
家族4人の状況を掴む。
・家族4人状況を読み取り、第1次感想を書く。
・範読を聞き、登場人物の状況、場面の関係、
野球用語を理解させた上で、場面ごとの感想
をワークシート①に書かせる。
2 ○全体の構成を掴み、学習課題を設定する。
・各自の第1次感想をクラスで話し合い、交流
しながら、個人とクラスの考えを発展させる。
・6つの場面を整理し、疑問点や学習課題をも
つ。
・全体を場面ごとにワークシート①に整理し、
登場人物や状況を読み取らせる。
・「話し合い」では、単なる紹介にならないよ
うに、異なる考え方を通して自分の考えを修
正・発展させるようにワークシート①を活用
する。
3 ○会話や行動描写から、徹夫の人物像や家族関
係について捉える。
・監督である徹夫について考え、人間関係をま
とめ、意見を交流する。
・徹夫を中心として、互いの思いや生き方をワ
ークシート②にまとめさせる。
・「話し合い」では、個人の意見を他の意見と
比較させ、修正を加えるか判断させる。
4 ○最後の試合をきっかけにして、徹夫の変化を
読み取り、家族と向き合おうとしている徹夫
の姿を掴む。
・試合の経過に沿って、智や典子に対する徹夫
の変化を各自がまとめ、意見を交流し、発展
させる。
・徹夫の心情の変化が読み取れる箇所を、根拠
を挙げて、ワークシート③にまとめさせる。
・「話し合い」を通して、個人の意見を修正さ
せる場合、最初の意見が残るようにさせる。
5 ○父と子の三球勝負の場面、徹夫の言動に表れ
ている思いを読み取る。
・ワークシートにまとめたものを、班で伝え合
い、クラスで発表し、発展させる。
・本文を注意深く読み取らせ、ワークシート④
にまとめさせる。
・「話し合い」では、個人の意見は、個人から
班、班からクラスへと発展させる。
6
本
時
○徹夫の「家族みんなで、ホームインしよう」
という表現に込められた家族への思いを読み
取り、考えを高め合う。
・「徹夫の思い」「家族」について、意見を交流
する。
・本単元の学習を通して、自分を振り返る。
・「話し合い」で班から発表される意見を、ク
ラス全体が共有できるように、実写投影機等
を用いる。
・ワークシート⑤にまとめさせ、本単元の学習
後の変化を評価する。
10
6 本時(6/6)
(1) 目 標
徹夫の典子に対する思いの変化と、「家族みんなで、ホームインしよう」という最後の表現に
込められた家族への思いを読み取り、考えを高め合う。
(2) 展 開
学 習 活 動 指導上の留意点(言語活動は下線)
1 ねらいを確認し、⑥場面の三球勝負後か
ら通読する。
2 三球勝負後、徹夫の言葉を根拠にして徹
夫の思いを読み取る。
(1)典子への思いについて考え、クラスで発
表する。
①②場面
「言葉が見つからない」
⑤場面
「何を語り、何を見せればいいのかが分
からない」
⑥場面
「今なら、何かを話してやれるかもしれ
ない。納得はしないだろうが、伝える
ことはできるだろう。」
(2)家族への思いについて考え、クラスで発
表する。
「四人で帰ろう」
「先制点なのか、追加点になるのか、劣
勢に立たされての四点かは分からない
けれど」
「家族みんなで、ホームインしよう」
3 本時を振り返る。また、本単元の学習を
終えて、学習内容が今後の自分に生かせる
ことはないかを振り返り、ワークシートに
記述し、クラスで発表する。
・ワークシート⑤を配布し、本時のねらいを意識
させる。
・①②⑤場面に表れている典子への思いを教師の
板書で振り返る。
・徹夫が典子に伝えることができるだろうと言っ
た内容を記述させる。
・典子に対して向き合おうとしている徹夫の変化
を読み取らせる。
・机間観察し、個人の意見を評価しながら代表的
な意見を教師が選択する。
・「話し合い」では、個人の意見を個人からクラ
スへと発展させる。
・「話し合い」ではクラス全体が意見を共有でき
るように板書させ、本文の提示は実物投影機を
用いる。
・個人の意見の違いや共通点を発見させる。
・「家族とは、互いに葛藤しながらも最後はみんな
が帰るべき原点である」ことを補足する。
・時間配分として、通読に5分、ワークシート記
述に10分、発表に10分、話し合いに15分、
個人の意見修正に5分、本単元のまとめに5分
と設定する。
・ワークシート⑤をにまとめさせ、本単元の学習
後の変化を評価する。
徹夫の言葉から典子や家族への思いを読み取ろう。
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播磨町立蓮池小学校 第 4 学年 算数科学習指導案
1 単元名 面積
2 単元目標
○長方形や正方形の面積を表すことに関心をもち、長方形や正方形の求積公式を利用して、身の回りにある
ものの面積を求めようとする。
○長方形や正方形の求積の仕方を考えることができるとともに、工夫して面積を求めることができる。
○求積公式を用いて、色々な長方形や正方形の面積を適切な単位を選んで求めることができる。
○面積の概念を知り、面積の単位(㎠、㎡、㎢、a、ha)が分かる。また、長方形、正方形の公式を理解す
る。
3 本単元における「ことばの力」の育成について
面積については、第 1 学年の「ひろさくらべ」以降、取り上げていないので、ほとんどの児童にとって
日常の経験以上の理解はないと思われる。一部に先行学習をしている児童もいるが、そのような児童も、長
方形や正方形の面積は長さをかけて求めると考えている場合が多いと思われ、面積の概念形成に問題がある
と考えられる。
本単元の特徴は、普遍単位のよさと必要性を実感させ、そこから公式を導き出させることである。普遍単
位としては、第2学年、第3学年の長さ、かさ、重さに続くものであり、面積は 1 辺が1㎝の正方形(1㎠)
を隙間なく並べることにより、その個数によって容易に広さを表せることを実感させ、普遍単位を用いるこ
とのよさを捉えさせるとともに、面積の概念形成を図る。さらに、長方形や正方形の面積の公式を見出す中
においても、それぞれの形の中に基準となる単位面積(1㎠)が、隙間なくいくつ並べられるかを軸にして、
その個数の求め方として明らかにしていくことになる。また、本単元のもう一つの特徴は、公式という演繹
的に使える「ことばの式」に初めて出会うことである。普遍単位をもとに見つけ出した「ことばの式」が、
日常生活においてとても有用であることを実感させるのに適した単元である。
学習を進める中で、児童は形式的に公式に数値を当てはめて計算し、求積のみに執着する場合も多いと思
われる。しかしながら、今、児童に求められる問題解決能力とは、公式に数値を当てはめて計算し、面積を
求めるという技能的側面ではなく、既習の事柄や経験等を基に、話し合いを通し、自らの考えを再構築しな
がら、公式とその根拠を導き出す思考力及び自ら学ぼうとする意欲と能動的な態度である。さらに、次学年
では、三角形や平行四辺形、台形など、1 辺が 1 ㎝の正方形ではしきつめられない図形の面積を求める学
習へ、また、1㎤を普遍単位とする体積の求積へと学習は発展していく。そのような未習図形を求積する際
に児童が発揮すべき力とは、十分な面積の概念形成と、上記したような問題解決能力であると考える。そこ
で、児童には、具体物を用いたり、言葉、式、図を用いたりして考え、説明する活動を豊かに経験させたい。
説明する中で、考えを十分に構築し、公式を導く中で、正確な概念形成が培われるであろうし、さらには、
論理的に思考する力にもつながるであろう。そして、公式という便利な方法を忘れたり、公式にあてはまら
ない図形の求積に出会ったりしても、普遍単位をもとにしながら、たくましく求積を行う児童像を追求した
い。さらに、豊かな説明活動を支えるために、児童自身が自ら公式を考え出したいという目的意識と主体性
が重要であり、そのために、単元導入や単元構成に必要感や見通しを持たせたいと思う。
また、自己の学びの変容を認識するためのノートづくりにも取り組んでいるところであり、新たな発見や
感動に基づく「あしあと(振り返り)」づくりをさせながら、未習事項についても考えを広げられるような
意欲や学びが連続していくノートづくりを目指したい。
13
4 単元の評価規準
○算数への関心・意欲・態度
・面積の大きさを数値化して表すことのよさに気付いている。正方形や長方形の面積の公式を導き出そう
としている。
・身の回りの図形の広さに関心を持ち、公式を使って面積を求めようとする。
○数学的な考え方
・長方形や正方形の求積の仕方を考えるとともに、工夫して面積を求めることができる。
○数量や図形についての技能
・正方形や長方形の面積を、公式を用いて求めることができる。
○数量や図形などについての知識・理解
・面積の単位(㎠、㎡、㎢、a、ha)と測定の意味について理解している。
5 単元の指導計画(全10時間)
時間 ○目標 ・学習活動 言語に関する指導上の留意点
1 ○広さの比べ方や表し方について関心を高め、単
元の課題を捉える。
○広さの比べ方をいろいろな方法で考える。
・同じひもの長さで、さまざまな四角形を作る。
・それぞれの四角形の広さの比べ方を考える。
・単位と測定の意味理解を図るため、既習の量に
ついての学習と関連付けながら、いろいろな方
法で広さの比べ方を考えさせ、説明させる。
2 ○面積の概念を理解する。
○面積の単位「平方センチメートル(㎠)」を知り、
1㎠を単位にして面積を求める。
・1㎠の小さな正方形に区切って広さを比べる
・1㎠になる三角形など、1㎠となる理由を説明
する。
・変形し1㎠の正方形になることを、説明を通し
ながら、理解を深めさせ、単位正方形の概念形
成につなげる。
3
本時
○長方形の面積を求める公式を見いだし、面積を
求める。
・周りの長さが18㎝の長方形の広さ比べをす
る。
・手際良く単位正方形を数える方法を考える中か
ら、長方形の公式を見出す。
・筋道立てて説明しようとする態度を育むため、
既習事項を基にする。
・式と具体的な図との併用で、説明させ、理解を
深めさせる。その際、図形の周りの長さと面積
との混同を防いだり、単位正方形の数を数える
と図形の面積は求められることを深く理解さ
せたりするために、長さをかけているのではな
く、手際よく個数を求めるための乗法であるこ
とに気付かせ、説明させる。
4 ○公式の簡潔性を実感し、正方形の面積を求める
公式を見出し、面積を求める。
・長方形の面積の公式の考え方を生かして、正方
形の面積の公式をつくる。
・身の回りのもので、広さを求められるものの面
積を求積する。
・長方形の面積の公式の考え方が、正方形にも生
かされる点や長方形と正方形の定義の相違点
を明らかにしながら、説明し合う中で、正方形
の公式を導かせる。
14
5 ○面積の単位「平方メートル(㎡)」を知り、大
きな長方形や正方形の面積を求める。
・1㎡を知り、それを単位にして求めた方がよい
場合を意識し、1㎡を単位にして面積を求め
る。
・1辺が1mの単位正方形があることを知らせ、
1㎠と1㎡を視覚的に捉えさせる中で、どのよ
うな大きさの場合に1㎡を基準にした方がよ
いか話し合わせ量感を養ったり、1㎡を基準に
しても公式が使えたりすることを児童の説明
活動を通して迫らせる。
6 ○㎡と㎠の単位間相互の関係を理解する。
○長さの単位が異なる場合の長方形の面積を工
夫して求める。
・周囲が同じ4mの2つの長方形(1m×1mと
90 ㎝×110 ㎝)の広さ比べを行い、単位をそ
ろえて面積を求める必要性を理解する。
・㎡と㎠の単位間の相互の関係を理解する。
・単位をそろえないと比べられないことをペアト
ークなどの説明活動を通して、認識を深めさせ
る。
・課題解決にむけては、1㎡に1㎠の正方形を敷
き詰めたらいくつになるか、グループ討議から
集団討議へと発展させながら、話し合わせる。
7 ○1㎡の量感を養う。
・1㎡の新聞紙を使って色々調べることで、1㎡
の量感を身に付ける。
8 ○複合図形の面積の求め方を工夫して考え、その
考え方を説明しあう中で、複合図形の面積の求
め方の理解を深める。
・かどが 90 度の図形は、正方形や長方形でなく
ても求積できるかについて考える。
・これからも使えそうな求め方を調べる。
・グループ討議などを取り入れ、既習事項を基に、
筋道立てて説明しようとする態度を育む。
・集団討議では、正方形や長方形の面積の公式を
活用すれば、より簡単に面積が求められること
に迫らせるとともに、いつでも使えそうな方法
についても視点をもたせ理解を深めさせたい。
9 ○面積の単位「アール(a)「ヘクタール(ha)」
「平方キロメートル(㎢)」を知り、大きな長
方形の面積を求める。
○㎡とそれぞれの単位間の関係を理解する。
△㎡で表しにくい大きな面積には、1㎡の単位正
方形の 1辺を 10 倍するごとに面積の新たな単
位が存在し、それを使うと便利であることを知
る中で、単位間の関係の理解を深める。
・図と式を併用し、a や ha そして㎢の大きさを
㎡を使って説明させる中で、単位間の関係を理
解させる。
10○学習内容の自己評価
△たしかめ道場で復習を行い、ステップ「面積め
いろ」に取り組む際、方眼コースと公式コース
に分かれるめやすとし、それぞれ習熟をはかる。
15
6 本時(3/10)
(1) 目 標 長方形の面積を求める公式を見出し、公式を利用して面積を求めることができる。
(2) 展 開
学 習 活 動 指導上の留意点(言語活動は下線)
1 課題を確認し、目的意識をもつ。
・前の時間に学んだ1㎠のいくつ分か考えたら
いい。
2 長方形の面積を求める方法を考える。
(1)一つの長方形について、面積を調べる。
・ワークシートを使おう。
・ノートに自分でかいて考えよう。
・マス目を描いて、調べる。
・型紙を置いて数える。
・計算で求める。
(2)全体の場で求積方法について話し合う。
・1㎠がいくつ並ぶかが面積だから、数えた。
・長方形は、必ず4つの角が直角だから、「何
のいくつ分」で必ず並ぶ。
・掛け算ですばやく求められる。(縦の個数×
横の列の数もしくはその逆)
3 本時のまとめとして長方形の面積の公式をつくる。
・この式で、周りの長さが18㎝の長方形の面
積を全て簡単に求められる。求めよう。
4 振り返り(あしあと)を行う。
・周りが 18 ㎝の長方形は、どんな長方形ができる
か考えさせながら、長方形の定義を明確にさせる。
・これまでの学習を想起させ、1㎠という単位正方
形の数を数えると面積を求めることができること
を想起させる。
・単位正方形が隙間なく敷き詰められる考えを持た
せる前段階として、長方形の定義である直角の性
質に目を向けさせる。
・先行学習をしており、長方形の公式を述べる児童
がいる場合は、「ことばの式」を探ろうという姿勢
は全体に広げた後、公式の意味に踏み込めるよう
に、式の考え方が通る「ことばの式」を見つけ出
すことを意識付ける。
・どの長方形を求めたいか、ワークシートを使うか
どうかなど、小さな選択肢を与えることで、意欲を
持続させる手立てとする。
・考えあぐねている児童には、型紙を並べることを促す。
・型紙は、1㎠に切っている方眼紙 と 15 マス
程がつながったままの方眼紙 の
2 種類を用意し、色々な考えを引き出せるように
しておく。
・なぜその方法を選んだのか、また、途中で面積の
求め方を変えた児童には、なぜ、方法を変えようと
思ったのかをメモさせておいて、全体討議の中で、
よりよい面積の求積方法を考える手立てとさせる。
・計算だけを行う児童には、その根拠をはっきりさ
せるため、図・言葉・式の意味なども書かせる。
・図と式を併用することに着目させて、求積方法を
考えさせる。
・聞き手は、話し手の説明を補完する姿勢を大切に
させ、集団の考えとして発展させる。
・求積方法を探る段階では、単位正方形の並びに着
目させ、規則正しく並んでいるので、乗法を用い
ると手際よく個数をもとめられることを、話し合
いを通して迫らせる。
・数値を入れて検証させるなどし、公式の簡潔さを
実感させたい。
・これからも、どの構成要素が分かれば、求積でき
るかについて話し合わせる中で、理解の深まりを
図りたい。
・どの長方形の面積求積にも使える「ことばの式」
を「公式」とよぶことを指導する。
・本時で大切だと思った考え方や個人の考え方の変
容を振り返らせる。
長方形の面積を求めよう。
つながったまま
の方眼紙を 4 マ
ス(4㎠)ずつ
切り 5 列並べ
長方形の面積は、かけ算で、求められる。
たて×よこ(または、よこ×たて)
周りの長さが18㎝でできる長方形の面
積を求めよう
16
豊岡市立日高西中学校 第3学年 数学科学習指導案
1 単元名 図形と相似
2 単元目標
図形の相似の概念を明らかにし、三角形の相似条件などを基にして図形の性質を確かめ、論理的に考察し
表現する力を伸ばすとともに、相似の考えを活用することができる。そのために、
ア:平面図形の相似の意味と相似な図形の性質を理解する。
イ:三角形の相似条件を知り、それを使って図形の性質を証明することができる。
ウ:平行線と線分の比についての性質を見出し、それを活用することができる。
エ:三角形の中点連結定理を理解する。
オ:基本的な立体の相似の意味と、相似な図形の相似比と面積比および体積比の関係について理解する。
カ:相似な図形の性質を、さまざまな場面で活用することができる。
3 本単元における「ことばの力」の育成について
これまで、単元ごとで、話し合い活動を中心に授業を展開するように心がけてきた。その中で、生徒は互
いの意見を交流することで、理解や考えを深めることができるようになってきた。話し合いでは、自分の言
葉で話すことができるようになり、全体的に学習意欲も高まってきた。
本単元では、図形の相似の概念を明らかにし、三角形の相似条件や平行線と線分の比に関する性質などを
使って、図形の性質を論理的に考察させていく。図形の領域において、生徒は視覚的に同じ長さの辺や同じ
大きさの角を示すことは比較的容易にできるが、それらがなぜ同じになるのかという根拠を示すことに苦手
意識をもつことが多い。そこで、その根拠を1つずつ明らかにすることで、論理的に考察する力や表現する
力を伸ばすことができる単元である。
授業の中では、ホワイトボードを使って図形から分かる辺や角の関係を可視化し、その中で、根拠が明ら
かであるものを中心に取り上げていく。このとき、それらの根拠を話し合わせ、代表の生徒に黒板の図を使
って説明させることで、共通理解を図るとともに、自分の考えを論理的に説明する力や表現する力を伸ばせ
るようにしたい。また、これらの見出した関係の中から問題を解決するために必要な情報を取り出し、それ
らを用いて三角形の相似の証明や辺や角・面積などを求める方法に見通しをもたせて取り組ませたい。
4 単元の評価規準
○数学への関心・意欲・態度
・図形の基本的な性質や関係を見いだしたりするなど、数学的に考え表現することに関心をもち、意欲的
に数学を問題の解決に活用して考えたり、判断したりしようとしている。
○数学的な見方や考え方
・事象に潜む関係や法則を見いだしたり、数学的な推論の方法を用いて理論的に考察し表現したり、その
過程を振り返って考えを深めたりすることができる。
○数学的な技能
・相似な図形の性質、三角形の相似条件などを、数学の用語や記号を用いて簡潔に表現することができる。
○数量や図形などについての知識・理解
・相似の意味、三角形の相似条件、平行線と線分の比についての性質、相似比と面積比及び体積比の関係
などを理解している。
17
5 単元の指導計画(全24時間)
時間 ○目標 ・学習活動 言語活動に関する指導上の留意点
1
~
8
○相似な図形を見いだし、相似であることを
証明することができる。
・図形の相似の意味や三角形の相似条件を理
解し、相似な図形の性質を見いだす。
・話し合い活動を通して、問題から、仮定・結論・
図形の性質から分かることをあげさせ、証明に
必要な事象を選択し、あてはまる相似条件を考
えるとともに、証明の見通しを立たせる。
・数学の用語や記号を用いて証明を書くように指
導する。
9
~
15
○平行線と線分の比の性質を証明し、それら
を利用することができる。
・平行線の性質や三角形の相似条件を用いて、
平行線と線分の比の性質を証明する。
・平行線と線分の比の性質を利用して、線分
の長さを求める。
【本時12/24】
・問題の中で分かっていることやこれから明らか
にしなければならないことを整理する。
・それぞれのつながりを考え、対応する辺や角な
ど相似比や図形の性質が利用できる所を話し合
う。
16
~
20
○相似比と面積比や体積比の関係を調べ、そ
れらを利用することができる。
・相似な図形の相似比と面積比及び体積比と
それらの関係について考える。
・相似比・面積比・体積比の関係について、既習
事項を振り返りながら予想を立たせ、文字式な
どを用いながら説明させる。
21
~
22
○日常生活の中で相似な図形の性質が利用さ
れていることを知る。
・相似な図形の性質を用い、日常生活の事象
や図形の性質などを考える。
・日常生活の事象を数学の用語や記号を使って表
わしたり、相似な図形の性質を利用していると
ころを話し合わせる。
23
~
24
・まとめの問題に取り組む。
18
6 本時(12/24)
(1) 目 標
平行線と線分の比の定理を利用して、いろいろな線分の長さを求めることができる。
(2) 展 開
学 習 活 動 指導上の留意点(言語活動は下線)
1 課題を確認し、目的意識をもつ。
下の図で、AB//CD//EF のとき、EF の長
さを求める。
(1)△ABE∽△DCE である理由を考える。
(2)(1)を全体で確認する。
(3)△ABE と△DCE の相似比を求め、対応す
る辺の比を全体で考える。
(4)△EBF と△CBD に注目し、相似比と線分
EF の長さを班で考える。
(5)全体で班の考えを共有させる。
・図形モデルを見せ、辺 AB、CD の長さが与え
られていることから、これらの辺を含む三角形
で相似な三角形の組を考えさせる。
・モデルの図を提示し、平行線であることから、
視覚的に「2 組の角が等しいから、相似である」
ことに気付かせる。
・全体で確認するときには、代表の生徒に黒板の
図を使って発表させる。
・モデルを利用し、相似である図形の対応する辺
の比がすべて3:2であることを確認させる。
・モデルに3:2であることが視覚的に分かるよ
うに図に相似比を書き入れて確認させる。
・上記の相似な三角形では EF の長さを求めるこ
とができないことを確認させ、EF を含む三角
形で相似な三角形の組△EBF と△CBD に着目
させ、相似であることと相似比を考えさせる。
・問題の図をホワイトボードにかかせ、分かった
ことを書き込ませて、その図を使って話し合わ
せる。
・△EBF∽△CBD である理由は、代表の生徒に
黒板の図を使って説明させる。
△ABE と△DCE において
AB//CD だから∠EAB=∠EDC(錯角)
∠AEB=∠DEC(対頂角)
よって 2 組の角がそれぞれ等しいので
△ABE∽△DCE
相似比は AB:DC=12:8=3:2
だから BE:CE=3:2
AE:DE=3:2
△EBF と△CBD で、
∠EBF=∠CBD(共通)
EF//CD より∠BEF=∠BCD(同位角)
よって、2 組の角がそれぞれ等しいので
△EBF∽△CBD
19
(6)班ごとに EF を求め、考え方を整理し、互
いに説明する。
(7)代表の生徒が問題の解き方を説明する。
2 練習問題に取り組む。
下の図で、AB//CD//EF のとき、AB の長
さを求める。
(1)個人で考える。
(2)班で考える。
(3)全体の場で代表の生徒が班で話し合った
考えを発表する。
3 本時を振り返り、まとめをする。次時への
予告をする。
・EF の求め方を互いに伝えることで、考えを整
理して、理解を深めさせる。
・与えられた図形から、着目した図形のモデルを
利用して、思考過程の共通理解を図らせる。
・問題を提示し、相似な三角形△CBD と△EBF
を見付け、その相似比が3:5であることに気
付かせ、そこから分かるほかの辺の比について
考えたことを、図に書かせる。
・個人で考えたことをもとに、線分 AB を求める
ために必要な相似な三角形を見付け、相似比に
ついて考え、話し合わせる。
△ABF∽△CDF、相似比5:2
△ABC∽△FCE、相似比3:2
・黒板に示した図に、注目した三角形と相似比を
色チョークで書き込ませ、図を示しながら考え
たことを発表させる。
・平行線と線分の比の定理を利用すれば、相似な
図形における線分の長さを求めることができ
たことを確認させる。
・次時は、三角形の2辺の中点を結ぶ線分につい
て注目することで導かれる定理について見通
しをもたせる。
(3)から EB:EC=3:2だから
相似比 EB:CB=3:(3+2)=3:5
EF:CD=3:5なので、比例式
EF:8=3:5を計算する。
20
委 員 長 松本 勝信 大 阪 教 育 大 学 名誉教授
副委員長 岡部 恭幸 神 戸 大 学 大 学 院 准教授
委 員 川端 建治 京都教育大学附属桃山小学校 元副校長
榎並 雅之 近 大 姫 路 大 学 講 師
林 さなえ 淡路市立学習小学校 教 諭
大塚 髙誉 市川町立市川中学校 主幹教諭
松井 恵子 播磨町立蓮池小学校 教 諭
高品 佐織 豊岡市立日高西中学校 教 諭
福本 悟 播 磨 東 教 育 事 務 所 主任指導主事
浅野 勝也 播 磨 西 教 育 事 務 所 主任指導主事
藤本 和隆 但 馬 教 育 事 務 所 主任指導主事
仲野 幹 淡 路 教 育 事 務 所 指導主事
事 務 局 横山 一郎 義 務 教 育 課 課 長
本玉 義人 義 務 教 育 課 主任指導主事兼初等教育係長
山本 浩一 義 務 教 育 課 指導主事
「『ことばの力』の育成を図る授業改善の促進」に係るDVD作成委員会
「『ことばの力』の育成を図る授業改善の促進」事業に係るDVDの活用について
兵庫県教育委員会義務教育課 平成26年2月