岩手県野菜生産振興計画...合計 14,532 100 11,680 100 10,462 100 72...

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岩手県野菜生産振興計画 平成 31 年3月 岩手県農林水産部

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岩手県野菜生産振興計画

平成 31年3月 岩手県農林水産部

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目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第1 現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1 生産・出荷

2 野菜作経営体

3 加工・業務用野菜

4 米政策の見直しによる水田の有効活用

第2 目指す姿と目標指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第3 基本方針と推進方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

1 本県の野菜産地を牽引する野菜作経営体の育成

2 生産部会等を核とした野菜産地の再強化

3 水田等を活用した新たな野菜産地の創造

4 経営安定・発展のための環境の整備

第4 重点品目と品目別振興方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

第5 計画の推進体制と評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

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1

はじめに

○ 策定の趣旨

本県では、各地域の気象や立地条件を生かしながら野菜の産地形成を図ってきました

が、国民の食の多様化・洋風化に伴う嗜好の変化や、加工・業務用需要の割合の増加な

ど、野菜を取り巻く環境が年々変化する中で、多様化する消費動向や流通情勢を的確に

把握し、迅速に対応する産地の育成が課題となっていました。

このため、県では、産地自らが現状分析や課題抽出を行い、産地の目標や取組方策な

どを実践するための指針として、平成 26 年 3 月に「岩手県野菜成長ビジョン」を策定し、

それぞれの取組を支援してきました。

一方、本県の野菜産地は、生産者の高齢化等に伴う生産力の弱体化が進行しており、

将来にわたって本県が安定的に野菜の生産や供給を確保するためには、意欲ある担い手

を確保・育成しつつ、経営規模の拡大や生産性の向上を図り、消費者や実需者のニーズ

に応じた生産供給体制の確立に向け、一層の取組強化が必要となっています。

こうしたことから、関係機関・団体等と連携し、本県の野菜生産の振興を図るための

目指す姿や基本方針、具体的取組の推進方策、重点品目別の推進方策等を示した「岩手

県野菜生産振興計画」を策定しました。

○ 計画の位置付け

「いわて県民計画(2019~2028)」及び「政策推進プラン」(計画期間:2019年~2022

年)に基づく、野菜の生産振興の具体的な取組計画として、位置付けます。

○ 計画の期間

計画の期間は、2019年度から 2022年度までの4年間とします。

なお、社会経済情勢や消費者ニーズの変化、計画の進捗状況などを踏まえ、必要に応

じて、計画の内容を見直すなど、弾力的に対応していきます。

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第1 現状と課題

1 生産・出荷

(1) 生産動向

本県の平成 29年の野菜の産出額は 260億円

で、県農業産出額の 9.7%を占め、耕種では米

に次ぐ部門となっています(図1)。

しかし、高齢化や担い手不足等により経営

体数・作付面積が年々減少しており、生産力

の低下が懸念されています(図2)。

また、平均作付面積を全国や東北地方と比

較し、小規模であることが特徴となっていま

す(図3)。

野菜の主要品目の面積は、全体的に作

付面積は減少傾向にあります(図4)が、

1戸当たりの規模拡大が進んでいるキ

ャベツでは、作付面積は増加傾向にあり

ます(表1)。

また、本県で栽培されている主な園芸

品目のうち、トマトとミニトマト、ほう

れんそうはハウス栽培の割合が高くなっ

ていますが、きゅうりとピーマン、なすはハ

ウス栽培の割合が低く、露地(トンネルを含

む)栽培主体となっています(表2)。

さらに、果菜類のトマト、ピーマン、なすの単収を見ると、全国平均より低く

なっており(表3)、この要因の一つとして、施設化率が低いことや、他産地よ

りも作期が短い点が挙げられます。

このことから、今後、生産構造を改革し野菜産地力の向上を図るため、機械化

(耕地及び作付面積統計、農産園芸課業務資料) (2015農林業センサス)

(野菜生産出荷統計)

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体系の確立した土地利用型野菜の作付け拡大やパイプハウスの団地的整備、植物

の成長を最適な状況に保つ環境制御装置の導入を進める必要があります。

表1 県内主産地におけるキャベツの1戸当たり野菜作付面積の推移

(単位:戸、ha、戸/ha)

項目 H20 H22 H24 H26 H28 H30

生産者数 138 110 97 90 85 80

作付面積 401 430 450 420 420 421

平均面積 2.9 3.9 4.6 4.7 4.9 5.3

(農産園芸課調べ)

表2 主な品目のハウス栽培の割合 (単位:ha、%)

品目 栽培面積

(A)

ハウス栽培面積

(B)

施設化率

(A/B)

きゅうり 115 31 27

トマト 60 51 85

ミニトマト 33 33 99

ピーマン 131 36 27

なす 22 6 27

ほうれんそう 427 411 96

※ほうれんそうの面積は、栽培延べ面積

(JA全農いわて「H30共販野菜作付面積集約」)

(2) 出荷動向

平成28 年産野菜の流通状況をみると、県内で生産された野菜のうち74.5%(10

万 8,500 トン)が出荷されており、そのうち 60.6%が系統出荷となっています。

系統出荷の出荷割合を地域別にみると、関東市場が約6割、東北市場が約 3.5

割、その他市場が約0.5割であり、関東市場向け出荷の割合が高くなっています。

今後とも、夏秋期を中心とした野菜産地として、市場や消費者の安定供給を求

めるニーズに対応していくことが必要です。

表3 主要果菜の 10a当たり収量 (単位:kg/10a)

区分 トマト ピーマン なす

県平均 4,640 4,300 2,430

全国平均 6,140 4,430 3,300

(平成 28年度野菜生産出荷統計)

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(農林水産省野菜出荷統計及び JA全農いわて聞き取り)

2 野菜作経営体

本県の販売金額別の野菜作経営体数をみると、販売額 1,000万円未満の経営体が、

大半を占めており(H27:94.4%)、減少割合が大きくなっている一方で、販売金額

3,000万円以上の野菜作経営体数は増加しています(表4)。

また、販売金額 3,000 万円以上の野菜作経営体数の割合は 1.1%とわずかですが、

こうした経営体が県全体の販売金額に占める割合は2割程度と推測されます。

大規模経営体においては、収益性の確保や規模拡大の視点のほか、企業的なマネジ

メント手法に基づいた経営管理能力の習得や雇用の確保が課題となっています。

また、野菜作経営体においては、さらなる所得の向上や雇用確保のため、周年出荷

体制を構築することが重要となっています。

表4 野菜の販売金額規模別経営体数 (単位:経営体、%)

販売金額区分 H17 H22 H27 H27/H17

経営体数比 経営体 割合 経営体 割合 経営体 割合

~100万円 4,727 32.5 4,303 36.8 4,211 40.3 89

~500万円 7,407 51.0 5,636 48.3 4,649 44.4 63

~1,000万円 1,627 11.2 1,133 9.7 1,020 9.7 63

~3,000万円 696 4.8 489 4.2 467 4.5 67

~5,000万円 61 0.4 74 0.6 61 0.6 100

~1億円 14 0.1 26 0.2 33 0.3 236

1億~ 12 0.1 19 0.2 21 0.2 175

合計 14,532 100 11,680 100 10,462 100 72

(農林業センサス)

3 加工・業務用野菜

外食、中食の増加等食の外部化の進行により、野菜需要のうち加工・業務用需要

は増加傾向にあります(図5)。

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しかし、家計消費用の国産割合はほぼ 100%であるのに対し、加工・業務用では

7割程度にとどまっており、国産野菜を使いたいという実需者のニーズに応えられ

ていないのが現状です。

本県においては、近年、直接契約や予約相対(直送、市場経由)等による加工・

業務用野菜の生産を拡大しており、県全体の加工・業務用野菜の出荷量は増加傾向に

あります(表5)。

加工・業務用野菜は、家計消費用と比較して価格の変動は少ないものの、単価は

家計消費用と比較して低いことや、実需者からは、定時・定量供給が求められるこ

とから、大規模栽培での安定生産が重要です。

また、加工・業務用野菜においては、用途により生食出荷とは異なる品質、規格

及び出荷体系が求められることから、生産に先だち実需者とのマッチングと、ニー

ズに応じた生産が必要不可欠になります。

さらに、水田を活用した加工・業務用野菜の作付けは、単収の向上や排水対策が

課題であることから、水田転作ほ場に対応した生産技術の導入が必要になります。

表5 県内における加工・業務用野菜生産出荷実績の推移 (単位:千円、t、%)

H25 H26 H27 H28 H29 H29/H28 H29/H25

販売金額 492,030 701,149 749,812 827,581 773,967 94 157

出 荷 量 5,216 6,237 6,557 6,653 7,846 118 150

(農産園芸課調べ)

4 米政策の見直しによる水田の有効活用

平成 30年度からの米政策の大幅な見直しに伴い、米以外の収益性の高い園芸品目

等の導入により、水田を有効活用して農業者が所得を確保できる取組が急務となっ

ています。

県内では、水田に野菜を作付している面積は微減となっています(表6)が、水

図5 加工・業務用野菜及び家計消費用の国内仕向量

(農林水産政策研究所調べ)

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田の有効活用や経営の安定の視点から見ると、水田を活用することで、野菜の生産

拡大の余地があります。

このため、地域の土質や気象条件等を踏まえた、水田への野菜品目の導入や作付拡

大の取組が必要不可欠となってきています。

さらに、水田において野菜の生産力を確保するためには、排水対策が最も重要な課

題であり、そのうえで化学性等の土壌改良を適切に実施することが必要です。

表6 野菜作付面積と水田への作付面積 (単位:ha、%)

項目 H17 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

野菜作付面積 9,810 9,120 9,030 8,960 8,830 8,760 8,460 8,300

うち水田

作付面積 2,620 2,600 2,520 2,460 2,440 2,300 2,390 2,290

同上比 27 29 28 28 28 27 28 28

(耕地及び作付面積統計)

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第2 目指す姿と目標指標

本県の野菜生産における現状と課題を踏まえ、以下の4つの基本方針を掲げ、野菜

の生産振興に取り組み、野菜作経営体の育成と産地の強化により、農業者の収益向上

を目指し、農業産出額の増加につなげます。

【目指す姿】 大規模野菜作経営体や生産部会(産地)が、需要動向を踏まえた効率的

で生産性の高い野菜を生産し、収益性が確保できる経営を実現している。

【基本方針】

1 本県の野菜産地を牽引する野菜作経営体の育成

2 生産部会等を核とした野菜産地の再強化

3 水田等を活用した新たな野菜産地の創造

4 経営安定・発展のための環境の整備

【目標指標】

◎ 大規模園芸産地育成数

2022年度までに、新たな大規模園芸産地を9産地育成することを目指します。

◎ 環境制御技術導入経営体数

2022 年度までに、環境制御技術を新たに 16経営体が導入することを目指します。

野菜作経営体の育成と産地の強化

農業者の収益向上

県・市町村・農業団体・関係事業者等が

連携した支援

農業産出額の増加

重点品目の生産 生産部会等を核とした

野菜産地の再強化

本県の野菜産地を牽引する

野菜作経営体の育成

水田等を活用した

新たな野菜産地の創造

経営安定・発展のための

環境の整備

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【株式会社A】 ○経営概況:露地野菜(キャベツ、スイートコーン、大根など)90ha

○雇用:31 名 ○特徴:標高差を活かした継続安定出荷や周年生産体制、マーケットニーズに基づく生産販売

○販売金額:約3億円

【B農園】 ○経営概況 施設野菜(大玉トマト、中玉トマト、ミニトマト)60a

○雇用:14 名 ○特徴:夏秋栽培(パイプハウス)+冬春栽培(鉄骨ハウス)を組み合わせたトマト周年栽培

○販売金額:約 4,000 万円

第3 基本方針と推進方策

【推進方策】

(1) 企業的な大規模経営体の発展促進

・ 農業・商工関係団体や金融機関等と連携し、

経営管理能力向上に関するセミナーの開催や、専

門家による経営診断に基づく経営戦略の作成等

を支援します。

・ 生産工程管理体制や危機管理体制の構築を図

るため、カイゼンの導入による経営マネジメント

の手法や、認証GAPの導入を支援します。

・ 経営体同士のネットワーク化や、外食事業者・

実需者等とのマッチングによる、販路の拡大に向

けた取組を支援します。

(2) 産地の中核を担う野菜作経営体の確保・育成

・ 集落営農組織や認定農業者等の規模拡大や雇

用導入による経営のステップアップを図るため、

対象経営体のリストアップによる重点的な技

術・経営指導や、「いわて農業経営相談センター」

を通じた専門家の派遣による法人化等の取組を

支援します。

・ 高度な経営管理能力の醸成や最先端の農業生

産技術の習得に向け、「いわてアグリフロンティ

アスクール」への受講の誘導や、各種セミナー

の開催等に取り組みます。

・ 収益性の高い品目導入や経営の多角化に向け

た研修会の開催により、先進的な経営体の取組

の情報提供等を行い、経営発展の更なる取組を

支援します。

【基本方針2】生産部会等を核とした野菜産地の再強化

生産部会を核とした産地の体質の強化と、後継者の確保・育成や、女性農業者・

若手生産者の活躍推進に取り組みます。

【基本方針1】本県の野菜産地を牽引する経営体の育成

企業的な大規模経営体の発展促進や産地の中核を担う野菜作経営体の確保・育成

を図ります。

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【推進方策】

(1) 生産部会を核とした産地の体質の強化

・ 産地ごとに、「生産構造分析」や「産地診断」等

による現状分析を踏まえた「園芸産地拡大実践プラ

ン」の策定を推進します。

・ 県や農業団体で構成する岩手県園芸産地改革戦略

推進会議技術対策部会の活動を通じ、単収の向上や

省力化・低コスト化に向けた取組を支援します。

・ 産地のリスク管理や消費者等からの信頼確保のた

め、生産部会での県版GAPの取得を支援します。

(2) 後継者の確保・育成や女性農業者の活躍の支援

・ 産地の後継者確保・育成のため、関係機関・団体

と連携し、新規就農者の確保に向けた相談会の開催

や、ベテラン農家が指南役となった、きめ細やかな

指導体制の構築に取り組みます。

・ 女性農業者や若手生産者による共同生産体制に向

けたグループ化や、高付加価値化の取組を支援しま

す。

【推進方策】

(1) 土地利用型野菜の導入の促進

・ 水田等への土地利用型野菜の導入を促進するた

め、優良事例を紹介する研修会の開催や、作付け

に必要な機械化体系の導入、安定生産に必要な排

水対策の取組等を支援します。

・ 関係機関や関係団体等で構成する集中支援チー

ムを設置し、新たに土地利用型野菜の産地化に取

り組む際に必要な生産技術・経営管理能力の向上

を支援します。

・ 需要が増加しているキャベツやたまねぎ等の加工・業務用野菜の安定生産に向け、

実需者との定期的な意見交換によりニーズを的確に把握するとともに、品種や作型

【基本方針3】水田等を活用した新たな野菜産地の創造

水田等への機械化体系の確立した土地利用型野菜の作付拡大や、パイプハウスの

団地的整備、ハウス栽培で植物の成長を最適な状況に保つ環境制御技術の導入等に

より、新たな野菜産地を創造します。

土地利用型野菜の導入事例

技術対策部会の現地研修

ベテラン農家による指導

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施設野菜団地の整備

環境制御技術の普及拡大

等の技術的課題の解決に取り組みます。

・ 水田を土地利用型野菜の作付けに適したほ場への転換を迅速に図るための土壌改

良技術を実証し、野菜作付適地への推進拡大を進めます。

・ 水田を活用した土地利用型野菜の安定生産に向け、小麦や大豆等の土地利用型作

物と組み合わせた野菜作ほ場への転換を計画的に進めます。

(2) 施設野菜団地の整備の促進

・ 施設野菜の導入を促進するため、優良事例を紹介

する研修会の開催や、ハウス団地の整備、安定生産

に必要な排水対策の取組等を支援します。

・ 関係機関や関係団体等で構成する集中支援チーム

を設置し、新たに施設野菜の産地化に取り組む際に

必要な生産技術・経営管理能力の向上を支援します。

・ 既存のパイプハウスにおいて、慣行栽培よりも多

収化が可能な生産技術の普及を進めます。

(3) 環境制御技術等革新的生産技術の迅速な普及

・ 施設野菜における周年での計画的な生産を進める

ため、ICTを活用した高度な環境制御装置の導入

を支援します。

・ 高度な環境制御技術の習得にかかる技術支援や研

修会の開催により、実証技術の迅速な普及を図りま

す。

・ 農業研究センター敷地内に整備した「スマート園

芸技術研究開発拠点」において、高収量を目指した

実証試験や技術研修による人材育成等を行い、周年雇用や冬期所得が確保できる施

設園芸のモデル構築を目指します。

【推進方策】

(1) 労働力の確保と不足への対応強化

・ 農業求人募集サイトや広告媒体を活用したアルバイト・パート人材の確保や、農

福連携等の取組の支援等、多様な労働力の確保を支援します。

・ 環境制御技術の導入による長期安定出荷や、冬期栽培品目の導入による周年出荷

体制の構築により、通年雇用の確保を支援します。

【基本方針4】経営安定・発展のための環境の整備

野菜作経営体が安心して生産できるよう、環境を整備します。

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・ 労働力不足や省力化生産に対応するため、最先端技術の実証やいわてスマート農

業研究会等を通じた実証成果の情報提供により、本県農業の実情に即したスマート

農業技術の早期普及に取り組みます。

(2) 経営基盤の強化

・ 国庫補助事業等を活用し、規模拡大に必要な機械・施設の導入や、効率的な出

荷・流通体制の構築に向けた集出荷施設の整備を支援します。

・ 新規就農者の確保・定着を図るため、農業次世代人材投資資金の活用による就

農前の研修や就農後の早期の経営確立を支援します。

・ 農業近代化資金や農業経営基盤強化資金等の各種制度資金の活用により、経営

体の規模拡大や経営改善を図る際の負担を軽減を支援します。

(3) 各種セーフティーネット対策の活用促進

・ 自然災害による被害対策や価格下落時の経営リスク軽減に向け、園芸施設等に対

する共済加入の促進や補強等の取組を支援するとともに、野菜価格安定や、収入保

険制度等の活用を促進します。

・ 施設園芸セーフティーネット構築事業の加入の推進により、燃油価格高騰時の所

得の確保を支援します。

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第4 重点品目と品目別推進方策

(1) 重点品目の考え方

市場や実需者のニーズを踏まえつつ、本県の気象条件に適した、機械化体系の確

立した土地利用型野菜や、労働収益性の高い品目を選定し、重点的に推進します。

ア 土地利用型野菜

キャベツ、レタス、ねぎ、たまねぎ、にんじん、えだまめ、加工用トマト、ば

れいしょ、にんにく

イ 労働集約型野菜

きゅうり、トマト(ミニトマト含む)、なす、ピーマン、ほうれんそう、菌床し

いたけ

(2) 品目別目標及び推進方策

区分

品目

現状と目標

(2017年→2022年)

推進の方向 地域

推進方策 水田

畑地

露地

施設

土地利用型野菜

キャベツ

栽培面積

826ha→900ha

出荷量

25,800t→28,100t

○ ○ ○

県央・県南・県北

1 水田等を活用した団地の形

成及び大規模経営農家の育成

と計画的生産の推進

2 計画的な生産出荷の誘導と

定植実績や作柄等の把握によ

る的確な出荷情報の提供

3 実需者ニーズに基づく、加

工・業務用途向け生産の推進

レタス

栽培面積

113ha→125ha

出荷量

2,190t→2,420t

○ ○

県央・県北

1 長期安定出荷のための計画

的な安定生産の推進と腐敗性

病害対策の徹底による夏場の

安定生産

2 栽培管理の徹底による品質

の向上、特に夏期の鮮度保持と

規格選別の徹底

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区分

品目

現状と目標

(2017年→2022年)

推進の方向 地域

推進方策 水田

畑地

露地

施設

ねぎ

栽培面積

440ha→480ha

出荷量

5,080t→5,540t

◎ ○ ○

県央・県南・県北

1 早出し作型導入による長期

安定出荷の推進

2 収穫作業等の機械化による

省力生産と生産規模の拡大に

よる低コスト化

3 結束出荷やコンテナ出荷、バ

ラ出荷などの実需者ニーズに

合わせた出荷対応

たまねぎ

栽培面積

42ha→130ha

出荷量

1,260t→3,900t

◎ ○ ○

県央・県南・沿岸

1 実需者ニーズに基づく、水田

転作作物としての導入推進

2 転作田における安定生産技

術の確立

3 機械化一貫体系導入による

省力化の推進

にんじん

栽培面積

166ha→180ha

出荷量

1,610t→1,740t ○ ○ ○

県央・県南・沿岸

1 トンネル栽培やべたがけ栽

培による長期安定出荷の推進

2 有機物の投入と深耕による

土づくり

3 発芽向上と間引きの励行

4 黒葉枯病対策

えだまめ

栽培面積

265ha→290ha

出荷量

3,480t→3,800t

○ ○ ○

県央・県南

1 総合的土壌改良、良食味生

産、適期収穫による市場評価の

高い品質の安定生産

2 品種作型の組み合わせ、地域

の集団的な生産計画による継

続出荷体制

3 機械化一貫体系導入による

省力化の推進

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区分

品目

現状と目標

(2017年→2022年)

推進の方向 地域

推進方策 水田

畑地

露地

施設

加工用トマト

栽培面積

15ha→20ha

出荷量

1,079t→1,438t

◎ ○ ○

県北・県央

1 実需者ニーズに基づく、水田

転作作物としての導入推進

2 転作田における安定生産技

術の実証

3 機械化体系導入等による省

力化の推進

ばれいしょ

栽培面積

50ha →55ha

出荷量

1,240t→1,365t ○ ○ ○ 県南

1 実需者ニーズに基づく、水田

転作作物としての導入推進

2 無病種いもの利用

3 早期(6月下旬から)の疫病

防除、良質たい肥の施用と深耕に

よる土づくり

にんにく

栽培面積

61ha→70ha

出荷量

232t→260t

○ ○ ○ 県央

1 実需者ニーズに基づく、水田

転作作物としての導入推進

2 機械化体系導入による省力

化の推進

労働集約型野菜

きゅうり

栽培面積

240ha→240ha

出荷量

10,400t→11,400t

○ ○ ○ ○

県央・県南・県北・沿岸

1 土壌病害対策の徹底、簡易点

滴かん水栽培の導入、摘葉及び

病害虫防除の徹底、草勢維持対

策、環境制御技術導入(施設栽

培)による長期安定出荷の実現

2 鮮度保持及び出荷規格の厳

守等、生産工程管理対策の徹

底。

3 計画的な出荷に向けた作柄

把握

による的確な出荷情報の提供

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区分

品目

現状と目標

(2017年→2022年)

推進の方向 地域

推進方策 水田

畑地

露地

施設

トマト

栽培面積

137ha→137ha

出荷量

5,119t→5,630t

○ ○ ◎

県央・県南・県北・沿岸

1 環境制御技術や高温対策技

術の導入など草勢維持対策の

推進による長期安定出荷の実

2 作型組み合わせや誘引方法

の見直し等、省力化による6~

10月の長期安定出荷の実現

3 出荷時期に即した着色度合

いでの収穫や出荷規格の厳守

と予冷の実施による鮮度保持

の徹底

ミニトマト

栽培面積

59ha→59ha

出荷量

1,610t→1,770t

○ ○ ◎

県央・県南・県北・沿岸

1 環境制御技術や高温対策技

術の導入など草勢維持対策の

推進による長期安定出荷の実

2 作型組み合わせ等による6

~10月の長期安定出荷の実現

3 出荷規格の厳守と予冷の実

施による鮮度保持の徹底

4 裂果の発生が少なく、食味・

着色が良好な品種の導入検討

なす

栽培面積

121ha→121ha

出荷量

1,690t→1,850t

○ ○ ○ ○

県央・県南

1 病害対策の徹底、簡易点滴か

ん水栽培等の導入、ハウス、露

地トンネル栽培の推進による

長期安定出荷の実現

2 適期収穫及び選別の徹底に

よる良品生産

3 計画的な出荷に向けた作柄

把握による的確な出荷情報の

提供

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区分

品目

現状と目標

(2017年→2022年)

推進の方向 地域

推進方策 水田

畑地

露地

施設

ピーマン

栽培面積

184ha→190ha

出荷量

7,180t→8,100t

○ ○ ○ ◎

県央・県南・県北・沿岸

1 ハウス、露地トンネル栽培の

推進による6~10 月までの長

期安定出荷の実現

2 ウイルス病など病害対策の

徹底と環境制御技術等の導入

による長期安定出荷の推進

3 品質管理と選別の徹底によ

る腐敗や過熟果等の事故防止

4 高温乾燥時の積極的なかん

水による尻腐果対策の推進

ほうれんそう

栽培面積

771ha→771ha

出荷量

2,930t→2,930t

○ ○

県央・県北

1 土壌病害対策、高温対策等を

中心とした安定生産対策の徹

底と生産拡大による日別出荷

量の安定化

2 収穫から出荷までの適切な

鮮度保持管理の徹底による、夏

期高温時の品質向上

3 計画的な生産誘導と播種実

績や作柄等の把握による的確

な出荷情報の提供

4 機械化や出荷調製センター

の利用による省力化と規模の

拡大

5 寒じめ栽培の拡大

菌床しいたけ

出荷量

4,291t→4,700t

○ ○ ○

県央・県北・沿岸・県南

1 冬期の所得確保・生産拡大を

図る品目として導入を推進

2017 年数値:野菜生産出荷統計、特用林産物生産統計調査(菌床しいたけ)、農産

園芸課調べ(たまねぎ、加工用トマト)

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第5 計画の推進体制と評価

「岩手県園芸産地改革戦略推進会議」の各構成機関が、それぞれの役割分担に応じ

て施策を展開し、総合的な推進を図ります。

また、各産地においては、産地分析に基づき、自ら産地の現状分析や課題の抽出を

行い、産地の目標や取組方策、重点支援対象等を定めた「産地拡大実践プラン」を策

定し、その取組について、毎年成果の検証による評価と改善を行い、産地の強化に向

けた取組を実践します。

岩手県園芸産地改革戦略推進会議

【農産園芸課】 ・園芸産地改革戦略推進会

議の総括

・野菜生産振興計画の策定、

検証

・生産振興施策に係る事業 の推進

【流通課】 ・マッチング支援

・流通情報の収集、分析、

提供

・流通販売施策・事業の推進

【全農岩手県本部】 ・生産部会活動への支援

・流通販売対策の実施

【農業普及技術課】 ・広域的な技術及び経営課題

の対応、調整 ・技術対策部会の企画運営

【農業研究センター】 ・新技術の開発 ・経営的な課題への助言

【各農業改良普及センター】 ・地域の技術及び経営課題

の対応

【各農業協同組合】

・生産部会としての活動

・産地拡大実践プランの策

定、実践

【生産者・実需

者・有識者等】

・推進会議の所掌

事項に係る提

専門委員会

いわての野菜産地戦略企画部会

【広域振興局農政担当部及び農林振興センター】 ・地方推進会議の総括 ・産地支援行動計画の策定、

進行管理

【市町村】

技術対策部会

地方推進会議

・産地の後継者の確保、育成 ・生産技術の普及、指導 ・施設・機械整備の支援 ・経営管理能力向上の支援 ・新規栽培や面積拡大に係る種苗 や資材等への支援

・農地の利用調整による規模拡大 支援

・施設園芸団地の整備や作型分化等の取組支援