cv分野におけるサーベイ方法

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サーベイ方法 片岡 裕雄 http://www.hirokatsukataoka.net/

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サーベイ方法

片岡 裕雄 http://www.hirokatsukataoka.net/

概要 • サーベイ方法について –  サーベイの重要性

–  基礎知識編

–  最先端編

• 勉強方法 –  情報の獲得

–  アイディアの発想法

※全てコンピュータビジョンやパターン認識の研究として話を進めます

サーベイの重要性 –  最先端を知らないと,「研究」にならない!

–  トップ研究室はそれだけの調査能力を持っている

–  さらに言うと,調査をした上での実装力を持っている

–  論文をより上位の研究レベルに到達させるためにはサーベイが必要

ブログより転載・詳細を説明

片岡裕雄 技術メモ・読書ログ  h#p://www.hirokatsu16.blog.fc2.com/

基礎知識 –  どれだけの手法を知っているか,で研究するための引き出しの数が増え,問題解決能力が高まる

–  取り掛かりとして,スタンダードな手法となるアルゴリズムを勉強する

–  ここでは自分が今までに読んできた本を紹介

ディジタル画像処理 • ディジタル画像処理

–  CG-ARTS協会

•  ディジタル画像とは何か?から始まり,単純なアルゴリズムが紹介されていて,画像処理入門者が手軽に読めるような構成になっています.最初に読む一冊.

CV最先端ガイド • コンピュータビジョン最先端ガイド

–  アドコムメディア

•  最先端のアルゴリズムがチュートリアル形式で丁寧に取り上げられています.一章ごとにひとつのアルゴリズムが解説されています.

OpenCV2プログラミングブック •  OpenCVプログラミングブック

–  マイナビ

•  OpenCVの使い方とアルゴリズムが説明されています.CVのアルゴリズムとOpenCVによる実装方法が同時に勉強できます.このプログラム書を写経(丸ごとタイピング)することで書き方を覚えてきました.

Computer Vision •  Computer Vision: Algorithm and Applications

–  Springer

•  MSRのRichard Szeliskiさんが書いている本で,彼のページからもpdfをダウンロードできます.アルゴリズムはもちろん,アプリケーションの視点からも書かれています.

日本語版 Computer Vision: Algorithms and Applications

• コンピュータビジョン アルゴリズムと応用

–  共立出版

•  本家Szeliski本の日本語訳です.CVのかなり広い分野においてそのアルゴリズム・理論の話や応用分野について記述されています.この一冊で初学者から研究者まで,ビジョン分野の内容を網羅しています.

Multiple View Geometry •  Multiple View Geometry in computer vision

–  Cambridge Univ. Press

•  主にカメラ幾何の話しが紹介されている,比類なき書籍です.カメラ幾何を勉強するならこれ.

その他 –  その他,オライリーの詳解OpenCV,コンピュータビジョン –視覚の幾何学-, コンピュータビジョン (David Forsyth, Jean Ponce)などなど

–  Springerでも理論だけでなく,サーベイ本も多数出版されています

サーベイについて -  こちらも,どれだけの手法を知っているか,で研究する為の引き出しの数が変わり,問題解決能力が高まる

-  最新の手法について知る事ができるため,自分の研究の位置づけを考えることができる

-  開発者ならともかく,新しいことを実現しようとする研究者にとってサーベイ能力は必要不可欠

サーベイのメリット –  様々な手法を知ることができ,自分の知識レベルが向上

–  スタンダード手法をいくつも知る

–  トップに限らず国際会議に通すためには関連研究との比較が必要,その時に適切な論文から引用されていないと査読者によっては評価がマイナス

–  論文だけでなく,動画像やデータセット・ソースコードなど入手可能

など多数

サーベイの基本 –  トップ会議やジャーナルから論文をダウンロードする

–  サーベイ論文やサーベイ本があるかを調べる

–  読んだ論文の関連する論文を探す

–  著者を調べる

トップ会議やトップジャーナル –  トップ会議やジャーナルから論文を読む

Top Conference: CVPR, ICCV, ECCV

Second: ACCV, BMVC, ICIP, ICPR, WACVなど

Journal: PAMI, IJCV, CVIU, Pattern Recognitionなど

–  情報源: CVPapers on the web, IEEE Xplore, arXiv

–  ここにリンクがなくても,著者ページなどにあることも多いので,タイトルや著者名で検索する

論文のフォロー –  CVPapers on the webには上位会議の論文が掲載される

•  会議の直前になると更新されるのでテーマをチェックして論文をダウンロード

•  著者によっては論文リンクがないのでタイトルや著者名で検索

–  arXivは平日に毎日更新される

•  Computer Vision, AI, Multimediaセクションに関連論文が投稿されることも多い

•  マメにチェックすることが必要だが,新しい情報が更新される

•  論文の質を評価できる目も必要

サーベイ論文・サーベイ本 –  サーベイ論文・サーベイ本があるかどうかを調べる

–  それぞれの分野についてまずはその類の書籍がないか確認

–  PAMIやCVIU,国内論文誌や研究会でもサーベイ論文は存在

–  “(キーワード) Survey” “(キーワード) Review”などで調べると出てくることが多いです

関連研究を探す –  読んだ論文の関連する論文を探す

•  トップ会議に出てくる人は,サーベイを十分にしています.逆に言うと,サーベイをしてその研究の位置付けをしていないと上位会議には通らないということですね.なので,その研究者のサーベイ能力を借りて調べていくことも重要.あとは取捨選択する.

著者で検索 –  著者名で調べる

•  よく名前を見る人は,その人の歴史を遡ってサーベイしてみるのも面白いです.研究者のページから研究に関する情報を収集しましょう.

論文の読み方と把握する情報(個人的な) –  アブストラクト=>結論=>図とその注釈=>本文

–  アブストラクト:全体の内容を簡単につかむ

–  結論:どのくらい成果が出ているかを知る

–  図と注釈:図で分かり易く,そして具体的なイメージをつかむ

–  本文:全体の流れ,アルゴリズム,数式,実験結果

数式の理解 –  わからない(そして必要な)数式は書き出して見る

–  イメージをつかむ:inputとoutputが何かを理解する

–  参考がある場合には検索

–  日頃から数式に触れておく

論文の手法を実装する場合 –  まずは十分に論文の内容を理解する

–  次にソースコードがあるかどうか調べる

–  ない場合にはどんな順序で実装するか手順を確認

–  実装

情報の獲得 –  適切なタイミングで,適切に情報を得ること

–  知識の蓄積と繰り返し

•  ※教科書をいくら読んでも,それを書いた人たちを超えることは到底できない.その人たちは遥か先にいると考えたほうが良い.教科書を知ることはもちろん,さらに幅広い知識を吸収して,実践してそれを自分のものにして様々な知識を組み合わせて初めて自分のオリジナルな手法に到達する.

勉強しろ! –  博識になるには?勉強するしかない

–  博識の人とそうでない人も実は入って来る情報は変わらない

–  引き出しを多く持っていると残る情報量が違う

–  専門分野だけでなく多くの分野に精通する知識(何にでも興味を持って知識を累積)

–  複数分野に精通することで勝つ方法もある

論文・読書とアイディアノート –  インプット/アウトプットの回転効率を高めてアイディアの質を高める

–  インプット:論文を数多く読む,読書をとにかくする

•  研究者には年間数百本の論文を読む人もいる

•  もちろん読書も年間数百冊読む人もいる

–  アウトプット:ブログ/SNS,論文,実装,議論,研究ノート等

•  知識は発信して初めて認識してもらえる

•  議論によってアイディアを完成させる

–  アイディアノートを持ち歩いてアイディアが浮かんだら書く

参考:アイデアマラソン

アイデアマラソンのルール 1) 一冊のノートを持ちます.あなたの「人生ノート」です.仕事も,個人のことも,発想も,全て時間順(時系列)に書き込みます. 2) 毎日必ず,最低一個,オリジナルの発想を考えてノートに書きます. 3) 発想を,まわりの家族・友人・同僚と話してできればPCのDBにも入れます.

参考:発明王とノート

–  トーマス・エジソンは生涯3,500冊のノートを残した

–  ノートを何度も見返して,アイディアを完成させた

–  アイディアを蓄積して必要な時に引用した

To invent, you need a good imagination and a pile of junk. - Thomas Alva Edison