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【はじめに】胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)における消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor:GIST)の発症頻度は人口 10万人あたり 2人/年と推測され、50~60代に好発する。相対的頻度は全消化管腫瘍の 0.2~0.5%程度と考えられ,胃>小腸>大腸の順に多い。症状が乏しく出血・腹痛などの症状が現れてからの発見も多く報

告されている。今回我々は人間ドックの腹部超音波検査に

て発見された GISTの一例を経験したので報告する。【症例】66歳女性【既往歴】高血圧

【現病歴】当院人間ドックの腹部超音波検査にて肝左葉も

しくはそれに隣接する φ135mmの腹部腫瘤を指摘された。前年に他院で腹部超音波検査を行っているが腹部腫瘤の指

摘はなく、3か月前より左腹部痛が出現していた。ドック受診時の血液検査では肝逸脱酵素と炎症反応の軽度上昇

(AST:34U/L,LDH:388U/L,CRP:1.38mg/dl)を認めたが、同日行われた上部内視鏡検査で異常は指摘されなかった。

精査目的で後日行われた造影CT検査では胃体部後壁に接

する 150×100mmの腹部腫瘤を認め,厚い隔壁と中心部に壊死を伴うGISTが強く疑われ、当院外科で摘出術を施行した。

【超音波所見】肝左葉内もしくは左葉に接する

135×100mmの腫瘤を認める。境界明瞭で内部エコーは不均一、液状成分と充実成分の混合エコーを呈する。内部血流

は認めない。肝内であれば出血性肝嚢胞が疑われたが、肝

外にある場合は腫瘍の存在する臓器の特定が困難であった。

【結果・考察】人間ドックで胃や腸等の消化器は内視鏡等

で評価することが多いが、今回腹部超音波にて発見された

GISTの1例を経験した。超音波にて上腹部に腫瘤像を認めた場合は、消化管由来の腫瘍の可能性も念頭に検査をすす

めることの必要性を認識した1例であった。

人間ドックの腹部超音波にて発見された GISTの1例

◎石合 めぐみ 1)、山本 芽衣 1)、柴田 綾 1)、岡本 猛 1)

地方独立行政法人 長野県立病院機構 長野県立信州医療センター 1)

146一般演題 生理

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【はじめに】急性胃粘膜病変(以下 AGML)は,H.Pylori感染の他に,ストレスや抗炎症薬や鎮痛薬などの薬物,胃粘膜の血流不全,アルコール多飲,香辛料の多量

摂取等が原因とされている.今回,心窩部痛にて超音波検

査を施行し,AGMLと診断された 2例について報告する.【症例 1:20歳代男性】<現病歴>日常的にアルコール多飲があり,2日前より上腹部痛が出現し,嘔吐も 1回認めた.徐々に増悪し,近医受診後,精査目的に当院紹介受診

となった.受診時血液検査所見はWBC:10300/μLと炎症反応の高値を認めた.<超音波検査>胃前庭部レベルに最

大 11mm厚の全周性壁肥厚を認め,これより口側の内腔は拡張し,内容物がうっ滞するように描出された.壁の層構

造は比較的保たれ,粘膜下層優位の肥厚と輝度低下を認め

たが,固有筋層の肥厚は認めなかった.カラードプラ法で

は肥厚した壁内に血流シグナルは確認されず,AGMLが疑われた.<上部消化管内視鏡検査>胃前庭部中心に多発潰

瘍,糜爛および出血を認め,AGMLと診断された.【症例 2:20歳代女性】<現病歴>前日朝より心窩部痛が

出現し,嘔気と嘔吐を認め,近医受診.近医にて急性虫垂

炎の保存的加療を行っていたことから急性虫垂炎が疑われ,

当院紹介受診となった.受診時血液検査所見はWBC:9620/μLと炎症反応の軽度高値を認めた.<超音波検査>胃角部~胃前庭部レベルを中心に最大 10mm厚の壁の全周性肥厚を認め,これより口側の内腔は拡張を認めた.壁は

粘膜下層の肥厚と輝度低下を認め,固有筋層は軽度肥厚に

とどまっていた.カラードプラ法では肥厚した壁内の血流

シグナルは乏しく,AGMLが疑われた.<CT検査>前庭部優位に肥厚を認め,周囲濃度が上昇していることから

AGMLが鑑別に挙げられた.<上部消化管内視鏡検査>前庭部に浅い地図状の潰瘍が散在しており,AGMLと診断された.

【まとめ】胃壁の強い肥厚は進行胃癌や胃アニサキス等と

の鑑別を要するが,超音波検査では粘膜下層を主体とする

全周性壁肥厚および血流低下から AGMLと診断可能であり,超音波検査が第一選択の検査法として有用であった.

                連絡先:03-3370-2321

超音波検査が有用であった急性胃粘膜病変の 2例

◎森 美樹 1)、瀬戸 智恵子 1)、川上 千賀子 1)、髙梨 昇 2)

東海大学医学部付属東京病院 1)、東海大学医学部付属病院 2)

147一般演題 生理

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【はじめに】本邦での大腸憩室の保有率は近年増加傾向で

あり,合併症として憩室炎が知られているものの,瘻孔を

形成するのは 2~4%と比較的まれである.今回,超音波検査(以下 US)が憩室炎に伴う結腸膀胱瘻の診断に有用であった 2例を経験したので報告する.【症例 1】50歳代の男性.【主訴】糞尿,気尿,下腹部痛.【既往歴】憩室炎による S状結腸穿孔術後【血液検査】WBC10,100/μL,CRP8.86mg/dL【尿沈渣】赤血球 10-29/H,白血球 30-300/H,細菌(2+),便混入(+).【CT】S状結腸に憩室炎の可能性が疑われたが,穿孔は明らかでなかった.

【US】S状結腸壁の層構造は保たれ全周性の肥厚を認めた.S状結腸より突出する低エコー域および高エコー像を認め憩室が疑われた.膀胱後壁の内腔面は,一部隆起のある壁

肥厚を認めた.この膀胱壁肥厚部は S状結腸憩室と連続性があり,膀胱壁肥厚部および膀胱内腔には多数の高エコー

像を認め airが示唆された.US上,結腸膀胱瘻が疑われた.【症例 2】70歳代の男性.【主訴】排尿困難,気尿.【既往歴】糖尿病【血液検査】WBC12,700 /μL,CRP28.6mg / dL

【尿沈渣】赤血球<1/H,白血球>300/H,細菌(+).【CT】S状結腸尾側に憩室を疑う構造がみられ,膀胱頂部と連続していた.【US】S状結腸壁は 8mm厚の比較的平滑な肥厚を認めた.結腸壁から膀胱側に突出した低エコー

域を認め,膀胱壁との連続性を認めた.膀胱内には高エコ

ー像を認め airが示唆されたが,膀胱壁の肥厚は認めなかった.US上,結腸膀胱瘻が疑われた.【考察】結腸膀胱瘻は,炎症に起因するものが最も多く,

S状結腸は膀胱と接することが多いため憩室炎やクローン病などの炎症により瘻孔を発生しやすい.女性は子宮が介

在するため,男性に多いとされ,今回の 2症例も男性であった.憩室炎による膀胱瘻の US所見は,①腸管壁と膀胱壁との間に連続する低エコー域を認める,②低エコー域は膀胱壁側に突出している,③低エコー域や膀胱内に airを認める,④近傍の腸管壁や膀胱壁に不整肥厚像はみられないことが特徴的と考えられた.【結語】今回 USが診断に有用であった結腸膀胱瘻の 2症例を経験した.            連絡先 0463-93-1121(内線 6247)

超音波検査が有用であった S状結腸憩室炎に伴う結腸膀胱瘻の 2例

◎酒井 佑宜 1)、峯村 貴志 1)、池ノ谷 千鶴 1)、五嶋 玲子 1)、髙梨 昇 1)、浅井 さとみ 2)、宮地 勇人 2)

東海大学医学部付属病院 1)、東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学 2)

148一般演題 生理

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【はじめに】虫垂憩室炎は比較的稀な疾患とされているが、

その穿孔率は通常の虫垂炎と比較して高く、欧米ではその

穿孔率の高さから手術を積極的に行う傾向にある。今回、

我々は超音波で観察しえた虫垂憩室炎を経験したので報告

する。

【患者背景】39歳、男性。主訴は 2~3日前からの右下腹部痛にて来院。下痢はなく発熱なし。触診では右下腹部に

Blumberg徴候軽度陽性を認めた。筋性防御は無いが、圧痛あり。既往に 8年前に虫垂炎疑いの指摘あり。【検査結果】血液検査では、CRP 2.64mg/dl, WBC 9400/ulであり炎症反応の上昇を認めた。腹部超音波検査では、軽度

に腫大した虫垂を認め、周囲には微量の腹水を認めた。壁

構造は比較的保たれていたが、虫垂のほぼ中央から間膜側

に、虫垂と一部連続するような腫瘤様病変を認めた。一部

に cystic areaも認められ、その周囲脂肪組織のエコーレベルは上昇を認めた。回盲部周囲には反応性に軽度腫大した

リンパ節を認めた。CT検査では虫垂の腫大と糞石様の高吸収域を認め、急性虫垂炎と診断された。患者の意向により

保存的に経過をみることとなったが、夜間に腹痛の増悪を

認め、救急外来を受診され、翌日虫垂切除術施行となった。

【手術所見】肉眼的に虫垂は軽度腫大しており、虫垂間膜

の肥厚が確認された。腹水は微量に認められた。

【病理所見】肉眼的に虫垂の中央に穿孔を疑う所見が認め

られた。組織学的には同部位には本来の虫垂筋層よりも深

部の脂肪組織内に平滑筋組織と粘膜組織が認められ、憩室

が存在していたと考えられた。好中球主体の高度の炎症細

胞浸潤、出血を認め、憩室の構造の多くは破壊されていた。

また、盲端側には破綻していないと考えられた憩室が認め

られた。

【結語】虫垂憩室炎については臨床的な経過・治療などは

虫垂炎と同様であり疾患としての認識が低い。しかし穿孔

率の高さから、虫垂憩室を指摘できることで、有症状時に

早期に治療選択の判断材料になりうると考える。また、虫

垂炎の超音波検査を施行するときは、虫垂憩室炎を念頭に

おき検査することが重要と考える。連絡先 0280-97-3368

超音波検査で観察しえた虫垂憩室炎の1症例

◎間中 伸行 1)、小倉 景子 1)、荒明 美和 1)、森田 勝道 1)、森川 鉄平 2)、高田 晋一 3)、椿 昌裕 4)、加藤 奨一 4)

友愛記念病院 超音波・病理診断科 1)、NTT東日本関東病院 病理診断科 2)、友愛記念病院 病理部 3)、友愛記念病院 消化器科 4)

149一般演題 生理


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