Download - 2019/12/13 南川丈夫 機械力学1中間試験 › member › minamikawa › ...2019/12/13 南川丈夫 ※水平軸右方向に伸びるベクトルと水平軸のなす角度を
2019/12/13 南川丈夫
機械力学1中間試験 模範解答
1. 以下について説明せよ. 1)固定連鎖と限定連鎖の違いを説明せよ. 固定連鎖は,自由度0の運動をするリンク(連鎖)である.別の言い方をすると,相対運動が全く存在しない連鎖. 限定(拘束)連鎖は,自由度1の運動をするリンク(連鎖)である.別の言い方をすると,連鎖の形状が一つの変数によって決まる連鎖.
固定連鎖の例 限定連鎖の例
2)歯車の軸の位置関係による分類を示し,それぞれ具体的な歯車名を上げて説明せよ.
1. 平行軸 歯車の軸が平行に位置する歯車. 例:平歯車,はすば歯車,やまば歯車,段歯車など 2. 交叉軸 互いの歯車軸の中心を延長すると交わる歯車 例:すぐはかさ歯車,まがりばかさ歯車,クラウン歯車など 3. 食違い軸 互いの歯車軸の延長線がねじれの位置にある歯車 例:ハイポイド歯車,ウォーム歯車,ねじ歯車など
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2019/12/13 南川丈夫2. 図の物体に働く 4 力の合力を作表により求めよ.合力の大きさ,方向(水平軸と合力のなす角度),合力のモーメントを求め.合力の作用線を記せ(点 A から合力の作用線への距離を明示).
, , ,
, , ,
合力 ※作表による合力の求め方は,教科書参照.
以下は,ベクトルの計算によって合力を求める.
ベクトル表示した場合,合力 は以下となる.
各成分に分解して考えると,下記の通りとなる. ・横軸成分の合力( ,右方向を正とする)
・縦軸成分の合力( ,上方向を正とする)
・即ち,合力の大きさ と,水平軸との合力のなす角度 は
F1 = 10 [N] F2 = 5 [N] F3 = 8 [N] F4 = 4 [N]
θ1 = 60∘ θ3 = 45∘ θ4 = 30∘ L = 15 [cm]
FF = F1 + F2 + F3 + F4
Fx
Fx = − F1 cos θ1 − F2 + F3 cos θ3 + F4 sin θ4
= − 10 [N] × cos 60∘ − 5 [N] + 8 [N] × cos 45∘ + 4 [N] × sin 30∘ = − 8 + 4 2 [N] = − 2.34 [N]
Fy
Fy = − F1 sin θ1 − F3 sin θ3 + F4 cos θ4
= − 10 [N] × sin 60 − 8 [N] × sin 45∘ + 4 [N] × cos 30∘
= − 3 3 − 4 2 [N] = − 10.9 [N]
|F | ϕ
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2019/12/13 南川丈夫
※水平軸右方向に伸びるベクトルと水平軸のなす角度を とし,左回りの角度を示すとするならば,
合力の作用線 A点回りの各力が作るモーメント の和は,
合力が作るA点回りのモーメント は,
ただし, は,A点から作用線までの距離(最短距離)である.
この時,合力のモーメントと各力のモーメントの和が一致する所が合力の作用線となる. 即ち下記の式を満たす.
左回りを正とすれば,
|F | = F2x + F2
y = (−2.34 [N])2 + (−10.9 [N])2 = 11.1 [N]
θR′ = tan−1 (
|Fy |
|Fx | ) = tan−1 ( | − 10.9 [N] || − 2.34 [N] | ) = 77.9∘
0∘
θR = θR + 180∘ = 77.9∘ + 180∘ = 257.9∘
MM = L × F1 + L × F2 + L × F3
MF
MF = LR × FR
LR
MF = M
|M | = − L F1 sin θ1 + L F2 − L F3 cos θ3
|MF | = − LRF
−L F1 sin θ1 + L F2 − L F3 cos θ3 = − LRF
LR =−L F1 sin θ1 + L F2 − L F3 cos θ3
−F
=−15 [cm] × 10 [N] × sin 60∘ − 15 [cm] × 5 [N] − 15 [cm] × 8 [N] × sin 30∘
−11.1 [N]
= 12.6 [cm]
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2019/12/13 南川丈夫3. 図のトラスの部材 BC, CF, EF に働く力を求めよ .
, , ,
まず,支点にかかる力を求める. 力の釣り合いから,ベクトル表示すると,
・横軸成分の力の釣り合い(右方向を正とする)
ただし,
・縦軸成分の力の釣り合い(上方向を正とする)
・A点まわりのモーメントの釣り合い(左回転方向を正とする)
F1 = 4 [kN] F2 = 4 [kN] F3 = 8 [kN] L = 2 [m]
RA + RD + F1 + F2 + F3 = 0
RAx − F3 cos θ = 0 θ = tan−1 LL
= 45∘
RAx = F3 cos θ
= 8 [kN] × cos 45∘
= 4 2 = 5.66 [kN]
RAy + RDy − F1 − F2 − F3 sin θ = 0
−L F1 − 2L F2 + 3L RDy − L cos θF3 = 0
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2019/12/13 南川丈夫
前述の縦軸成分の力の釣り合いの式に を代入すると,
各軸力(部材BC,CF,EF)を考える上で,トラスの部分的な力の釣り合いを考える. トラスのCDE部分のみを抜き出した際,これもやはり静止していることから,力は釣り合っているはずである.
cf. 静止する物体は,いかなる状況でも左記を満たす必要があるため.
また,トラスのCDE部分には,各部材(部材BC,CF,EF)の軸力が外力として加わっている.
力の釣り合いから, ・横軸成分の力の釣り合い(右方向を正とする)
・縦軸成分の力の釣り合い(上方向を正とする)
※軸力としては圧縮
RDy =L F1 + 2L F2 + L cos θF3
3L=
F1 + 2F2 + F3 cos θ3
=4 [kN] + 2 × 4 [kN] + 8 [kN] × cos 45∘
3
=12 + 8 2
3[kN] = 5.89 [kN]
RD
RAy + RDy − F1 − F2 − F3 sin θ = 0
RAy = − RDy + F1 + F2 + F3 sin θ
= − 5.89 [kN] + 4 [kN] + 4 [kN] + 8 [kN] × sin 45∘ = 7.77 [kN]
md2rdt2
= F = 0
FBC + FEF − F3 cos θ + FCF cos θ = 0
−F2 + RDy − F3 sin θ + FCF sin θ = 0
FCF =F2 − RDy + F3 sin θ
sin θ
=4 [kN] − 5.89 [kN] + 8 [kN] × sin 45∘
sin 45∘
= 5.33 [kN]
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2019/12/13 南川丈夫
・点Cまわりのモーメントの釣り合い(左回転方向を正とする)
※軸力としては引張
横軸成分の力の釣り合いに上記の結果を代入すると,
※軸力としては圧縮
L FEF + L RDy = 0
FEF = − RDy
= − 5.89 [kN]
FBC + FEF − F3 cos θ + FCF cos θ = 0
FBC = − FEF + F3 cos θ − FCF cos θ
= − (−5.89 [kN]) + 8 [kN] × cos 45∘ − 5.33 [kN] × cos 45∘
= 7.78 [kN]
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2019/12/13 南川丈夫4. 半径rの球の表面積は である.回転体の表面積を求める公式を用いて半円弧の重心の位置を求めよ.
x軸まわりのモーメントを考える. 半円弧の線密度をρとすると,微小質量dmは,
x軸回りにdmが作るモーメントは(仮想的にxy平面に垂直 [紙面に垂直] の方向に重力がかかるとする),
即ち,モーメントMは,
一方,重心yGとは,物体の質量が重心に集中していることと等価なので,重心yGを用いてモーメントM'を表現すると,
であるはずなので,
→
即ち,
ここで,x軸回りの円弧の回転体の微小表面積dSは,
4π r2
d m = ρd L
d M = ygd m
M = ∫ d M = ∫ ygd m
M′ = yGg∫ d m
M = M′
∫ yd m = yG ∫ d m ∫ yρd L = yG ∫ ρd L
∫ yd L = yG ∫ d L
d S = 2π yd L
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2019/12/13 南川丈夫※ が回転体の周長.そこに微小距離dLを書けると表面積になる.
即ち,表面積Sは,
よって,モーメントの関係式と比較すると,
ここで,
※円弧の長さ
であるから,
※回転体を利用しない場合の正攻法での回答
であることからスタートする.
円弧の長さ,yをθで表現すると
よって,
2π y
S = ∫ d S = ∫ 2π yd L = 2π∫ yd L
yG ∫ d L = ∫ yd L =S
2π
yG =S
2π ∫ d L
S = 4π r2
∫ d L = π r
yG =S
2π ∫ d L=
4π r2
2π π r=
2rπ
∫ yd L = yG ∫ d L
d L = r dθ
y = r cos θ
yG =∫ yd L∫ d L
=∫ π
0r sin θ r dθ
∫ π0
r dθ=
r2 [−cos θ]π0
r [θ]π0
=r{1 − (−1)}
π=
2rπ
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2019/12/13 南川丈夫5. 16 輌編成の東海道新幹線の長さは 400 mある.同じ16 両編成の新幹線が同じ速度 200km/hですれ違うとき,すれ違うのに何秒かかるか.
この問題は,下記のように変えても,同値である.
即ち,速度 で走る右の車輌が, の時間で先頭が重なり, ですれ違うまでの
時間を計算したら良い.
右の車輌の移動距離は,
である. よって,すれ違う時間 は,
v′ 2 = v1 + v2 t = t0 t = t2
D = L + L = 400 [m] + 400 [m] = 800 [m]
τ
τ =Dv′ 2
=0.8 [km]
200 [km / h] + 200 [km / h]= 2.0 × 10−3 [h] = 7.2 [s]
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2019/12/13 南川丈夫※より機械力学的な解き方(微積分を用いる) 同様に相対運動を考える.左の車輌が止まっている系を考える. 右の車輌が微小時間 で移動できる,微小距離 は,
となる.車輌がすれ違うために,右の車輌が距離Dだけ移動する時,
と表せる. 今,両車輌ともそれぞれ速度 , で等速直線運動(時間に依存しない)をしているから,
よって,すれ違うのに必要な時間 は,
となり,前述の式と同じ結果が得られる.
dt d x
d x =d xdt
d t
D = ∫D
0d x = ∫
t2
t0
d xdt
d t = ∫t2
t0
(v1 + v2)dt
v1 v2
L = (v1 + v2)∫t2
t0
dt = (v1 + v2)[t2 − t0]
τ = t2 − t0
τ = t2 − t0 =D
v1 + v2
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2019/12/13 南川丈夫6. 列車が半径 400 m のカーブを時速160 km/hで通過するとき,遠心力による側圧がレールにかからないようにするには,外側のレールを内側のレールよりどのくらい高くすればよいかを求めよ.ただし, レールの間隔は 1435 mm,重力加速度 g=9.8 m/s2 とする.
r = 400 m, v = 160 km/h, l = 1435 mm
上図で, となる条件を見つければ良い.
列車にかかる合力について,FVの方向成分,FHの方向成分を検討する.
であることから,
即ち,
即ち車輪の高低差dは,
とすれば,レールに側圧がかからない.
FH = 0 [N]
FV = mg cos θ + mv2
rsin θ
FH = mg sin θ + mv2
rcos θ
FH = 0 [N]
FH = − mg sin θ + mv2
rcos θ = 0
sin θcos θ
= tan θ = mv2 /rmg
=v2
rg
θ = tan−1 ( v2
rg )= tan−1 ( (160 [km / h])2
400 [m] × 9.8 [m /s2] ) = 26.7∘
d = l sin θ
= 1435 [mm] × sin 26.7∘ = 645 [mm]
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2019/12/13 南川丈夫7. 滑車に綱をかけて,両端にそれぞれ質量 と の物体を吊るした時,物体の加速度と綱の張力
を求めよ.ただし,重力加速度をg,物体の質量は である.先ず,それぞれの物体の運
動方程式を求めよ.また,各物体についてダランベールの原理に基づく動的な釣り合いの式を表わせ.
物体にかかる力 綱にかかる力(張力)
運動方程式 質量 の物体の運動方程式(下方向を正とする)
質量 の物体の運動方程式(下方向を正とする)
ここで,質量 の物体と質量 の物体は,綱でつながっていることから,質量 の物体が下
方向に運動すると,質量 は上方向に同じ運動をする.加速度についても同様である.
即ち,
加速度 上記の運動方程式を加速度aを用いて表すと,
張力Tを消して加速度aを求めると,
ma mb
ma > mb
ma
mad2xa
d t2= mag − T
mb
mad2xb
d t2= mbg − T
ma mb ma
mb
d2xa
d t2= −
d2xb
d t2≡ a
a
maa = mag − T
−maa = mbg − T
maa + mba = mag − mbg
a =ma − mb
ma + mbg
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2019/12/13 南川丈夫張力T 質量 の物体(または,質量 の物体)の運動方程式から,張力Tを求める.
ダランベールの原理に基づく動的な釣り合い式 質量 の物体の動的つり合い式
あるいは,
質量 の物体の動的つり合い式
あるいは,
※ きちんと動的つり合い式(ダランベールの原理)を理解していれば,上記のどちらの記法でも間違いではないが,力の釣り合いの一般式
を考慮すると,
の書き方がベター.
ma mb
maa = mag − T
T = mag − maa = mag − mama − mb
ma + mbg
= mag (1 −ma − mb
ma + mb ) = mag ( ma + mb − ma − mb
ma + mb ) =2mamb
ma + mbg
ma
mad2xa
d t2− mag + T = 0 ma
d2xa
d t2= mag − T
mb
mad2xb
d t2− mbg + T = 0 ma
d2xb
d t2= mbg − T
∑ F = 0
mad2xa
d t2− mag + T = 0
mad2xb
d t2− mbg + T = 0
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2019/12/13 南川丈夫応用問題1 下図のように2台の新幹線が静止している.この時,車両間距離は であった.今,両車輌がエンジンを同時に始動したことで,一定の推進力Fがかかり続け,両車輌は加速する.このとき,両車輌の先頭が重なる時間 ,および完全にすれ違い後尾が重なる時間 を求めよ.
本資料のダウンロード先 https://femto.me.tokushima-u.ac.jp/member/minamikawa/lecture.html
W
t0 t2
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