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Page 1: 浮世絵に見る女性の髪型...浮世絵に見る女性の髪型 各部の名称 江戸前期 寛永~宝暦(1624‐1764) 江戸中期 明和~文化(1764‐1818) 江戸後期

浮世絵に見る女性の髪型

各部の名称

江戸前期 寛永~宝暦 (1624‐1764) 江戸後期 文政~幕末 (1818‐1868)江戸中期 明和~文化(1764‐1818) 近代 明治 (1868-)

髪飾りの名称

びん

鬢・たぼ

髱・まげ

髷が小さくなる張り出したびん

鬢が流行する

1 29 75

2

1125

51

59

62

81

8610 76

8

もと ゆい

ゆい わた

もとゆい かんざし こうがい

ひら うち

《根結いすいはつ

垂髪》垂髪とは髪を結わずに垂らすこと。安土・桃山時代のころから結われた髪型。

たぼ

髱に膨らみを持たせたかもめたぼ

鷗髱が元禄頃まで結われた。

《ひょうごまげ

兵庫髷》中国女性の髪型を模倣した

か ら わ ま げ

唐輪髷が変化した髷。摂津国兵庫の遊女が結い始めたという説がある。

《かつやままげ

勝山髷》江戸吉原の遊女「勝山」が結い始めたといわれる。白い元結をかけた武家風の髪型を工夫して道中したところ大流行した。

《げんろくしまだまげ

元禄島田髷》日本髪の代表的な髪型の一つ。江戸初期の若衆 ( 美少年 ) の髷が変化したもの。最初は遊女などに結われたが後に町娘などの間で流行した。

《ばいまげ

貝髷》

簪や笄に髪を巻きつけたもの。巻貝の貝に似ているのでこの名前が付いた。江戸の遊里で結われた。

《勝山髷》既婚女性の髪型。前期の勝山髷より髱が小さくなり鬢が大きくなる。

《よこひょうご

横兵庫》遊女特有の髷で特に上級の遊女が結った。髷が膨張し蝶が羽を拡げたような形である。 や簪        などを豪華に飾った。

《とうろうびん

燈籠鬢・島田髷》燈籠鬢は燈籠の笠に似ているところから名付けられた。島田髷は未婚女性の髪型。

《大島田》島田を大きく豪華に結い長い簪を挿した遊女特有の髪型。大きな二枚 と簪は組み物である。元結には赤い布がかけられている。

髷 ( まげ )・・・髪を束ねて折って結った所 

 

鬢 ( びん )・・・顔の左右側面の髪

髱 ( たぼ )・・・襟足の毛を後ろに張りだした所

前髪・・・額上の毛を束ねたもの

《高島田》髷の根を高く結い上げる島田髷。島田髷の中で最も上品な髪型とされる。現在でも花嫁の髪型として用いられる。

やっこしまだ

奴島田ともいう。

根 ( ね )・・・髪を結う基本となる場所

笄 (こうがい)髪を巻いて髷をつくるために用いられ

たが、後に出来上がった髷の中に挿し

込むようになり中央で分解できるもの

も作られた。

《丸髷》勝山髷が変形した既婚女性の髪型。髷の下に鹿の子等の布を入れた。年齢によって布の色や髷の大きさを変え明治後期まで結われた。

丈長 ( たけなが )・・・和紙でできた髪飾り

元結 ( もとゆい )・・・髪を結い束ねるのに用いる紐

《根下がり兵庫》根の位置が下がった兵庫髷。最初は遊女の髪型であったが後に一般の女性も結うようになった。

飾  ( かざりぐし )

簪 ( かんざし )

長いたぼ

髱が流行する

二枚櫛は遊女の証 !?遊女たちは櫛を複数身に付け 1枚は自分の

髪を梳くのに、 残りは客の髪を梳くのに用

いた。 次第に、 飾りとしてつけるようになり

大きく豪華になった。 一般の女性は櫛を 2

枚以上身に付けることはなかったので、 遊

女を見分ける方法にもなった。

簪 (かんざし)髪に挿す簪は、江戸前期のころは 1本のみで、

地肌を掻く目的で用いられていた。江戸中期の

ころから装飾目的に用いられ、遊女たちの間で

数多く挿されるようになった。飾りの形状によ

り、玉簪、平打簪、ビラビラ簪等の種類がある。

櫛 (くし)江戸前期のころは一枚の梳櫛を挿す程

度であったが、江戸中期以降は、漆や

蒔絵等の装飾を施したものや、象牙や

べっ甲で作られたものなど多彩な飾り

櫛が生まれた。

《くし

 巻き》

元結で結ばずに髪を に巻きつけたもの。手間がかからないことから江戸末期まで庶民の妻女に結われた。

玉簪 平打簪

ビラビラ簪

《結綿》根の低い島田の髷に鹿の子やちりめんでできた布製の髪飾りを掛けたもの。若い女性に人気があった髪型。

※掲載画像は本展覧会出品作品 ( 部分図 ) であり、 画像に付した番号は出品番号である。

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