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前立腺腫瘍のVMATにおけるGafchromic film EBT3 を用いた線量検証東海大学理学部物理学科 櫛田淳子研究室 3BSP3102 山田鴻一郎

参考文献[1] Comissioning and quality assurance of treatment planning computers Jacob Van Dyk , Joanna E Cygler[2]A tool to include gamma analysis software into a quality assurance program Agnew CE、McGarry CK[3]R-TECH社 製品案内 http://r-tech-japan.com/GAFCHROMIC%20Film.html[4]放射線治療計画の線量分布計算 九州大学大学院医学研究院 有村秀孝 http://web.shs.kyushu-u.ac.jp/~arimura/1_DoseCalculationInRTP.pdf

背景放射線治療は外科療法、化学療法と並ぶ三大治療の1つであり治療の選択肢の1つである。放射線治療には多門照射や原体照射等、様々な照射方法がある。他にも、上記照射方法に比べ、さらに腫瘍部位に線量を集中させ、正常細胞の線量を抑えたIMRT (Intensity Modulated Radiation Therapy)といわれる照射方法もある。近年、その中でも、VMAT (Volumetric Modulated Arc Therapy)といわれる照射方法が多くの施設で行われている。これは回転強度変調放射線治療といい、回転原体照射とIMRTを

組み合わせた照射技術でガントリ回転中に線量率、ガントリ速度、リーフ形状を連続的に変化させて線量分布強度を変調する照射方法である。回転しながら照射を行うことで時間短縮等のメリットがある。VMATは様々な要素(ガントリ角度、リーフの動き)が線量分布に影響を与える可能性が

ある為、患者の治療計画毎に線量検証が必要である。線量検証には電離箱や半導体検出器、フィルムを使用した方法等があるが、本研究ではフィルムを使用し検証を行い、検証方法と原理の理解に努めた。

目的

前立腺腫瘍のVMATにおけるGafchromic film EBT3 を用いた線量検証を行い、線量検証方法と原理を理解する。

フィルム[ Gafchromic film EBT3 ]R-TECH社が開発した線量検証用のフィルム。大きさ “8”×”10” ⇒ 203.5 ㎠ [3]

特徴・感光層の表裏が不均一に分布・100µmの厚さのシリカ微粒子で挟まれている。・照射位置の線量が濃度に依存・一般のスキャナーで使用可能・スキャン方向と film 角度に依存・リアルタイムに放射線による画像の生成が可能・現像処理が不必要・水中で使用可能 ・明室で切断可能

R-TECH社が開発した線量検証をするためのファントム。[3]線量検証フィルムと同時に使用。

RT-3000-New-WaterファントムFig.2 検証前のファントム画像

画像解析[ガンマ解析法]計画して得られた線量値と実測で得られた線量値の差から線量の相違を見る方法である線量差分法と、計画されたある点と同じ線量値を示す実測された線量値までの距離から位置の相違を見る方法であるDTA(Distance-To-Agreement)を統合した解析方法。

Fig.4三次元解析画像 [4]

参照点と評価点の距離𝑟 𝕣𝑐 , 𝕣𝑟 = 𝕣𝑐 − 𝕣𝑟参照点と評価点の線量差δ 𝕣𝑐 , 𝕣𝑟 = 𝐷𝑐 𝕣𝑐 − 𝐷𝑟 𝕣𝑟

Γ 𝕣𝑐 , 𝕣𝑟 =𝑟 𝕣𝑐, 𝕣𝑟∆𝑑𝑀

2

+δ 𝕣𝑐 , 𝕣𝑟∆𝐷𝑀

2

𝑟 𝕣𝑟 = 𝑚𝑖𝑛 Γ 𝕣𝑐 , 𝕣𝑟 ∀ 𝕣𝑐𝑟 𝕣𝑟 ≤ 1 ⇒ Pass𝑟 𝕣𝑟 > 1 ⇒ Fail

横軸:X軸、奥行き:Y軸縦軸:線量値∆𝐷𝑀:線量的許容値[%]∆𝑑𝑀:空間的許容値[mm]

Pass とFailの合計中Passしている割合がPass率で、高ければ高いほど治療計画の再現性が高い。(通常:3 mm 、3%でPass率95%以上を許容範囲とする。[2])

Fig.1 治療計画画像

①2個のタフウォーターWD型の間にフィルムを挟み線量を10段階に分けて3 Gyまで照射した(線量濃度変換テーブル作成)

②テーブル用フィルムをスキャン③DD-Analysisでフィルムの濃度と線量の関係を解析し、テーブルを作成

④前立腺がんを想定した治療計画をEclipse により作成

⑤フィルムの線量とダブルチェックするためにDelta4でPass 率の確認

⑥フィルムを、人体を模した立体の器のファントムに装着

⑦ファントムをCT撮影

実験(検証)方法

⑧⑦のCTに④の治療計画を合成する⑨⑧を使用し実際にファントムに照射⑩フィルムをスキャン⑪DD-IMRT で治療計画の線量分布とフィルムの線量分布を比較

Fig.3 八王子病院での検証

実験(検証)装置Varian社:Eclipse、Novalis-TxR-TECH社:

Gafchromic film EBT3RT-3000-New-Waterファントム

EPSON社:スキャナーEuro Medi Tech社:Delta4京都科学者社:タフウォーターWD型(10 cm厚)

解析ソフトR-TECH社:DD-IMRT、DD-Analysis

寝台

Novalis-Tx

OBI

ガントリ

展望

Fig.10 SBRT用ファントム

マルチセル方式動体ファントム

呼吸波形確認装置

今回の結果を応用し ACCUTHERA社が肺、腎臓、脊椎など体幹部における6~8方向から1点に集中して照射する

治療方法である体幹部定位放射線治療(SBRT:Stereotactic Body RadioTherapy)用のマルチセル方式動体ファントムを開発したがまだこのファントムの有用性は確認されていない。今回用いた Gafchromic film EBT3を

使用しこのファントムの有用性について今後検討していく。

99.1397.82

93.54

92.00 92.16

99.7298.80

96.2995.12

93.74

90.00

91.00

92.00

93.00

94.00

95.00

96.00

97.00

98.00

99.00

100.00

Pass率

[%]

median filter matrix

4points

解析

3 points U

解析

Non 3×3 5×5 7×7 9×9

Fig.9 2つの解析における Pass率とmedian filter matrixとの関係

結果

前立腺

体の正面から見た画像

三次元画像

体側から見た画像

足から見た画像

isocenter

ガントリ回転方向

照射方向

Gafchromic film EBT3

RT-3000-New-Waterファントム

Y profile

X profile

L(lower point)

U(upper point)

R(right)L(left)

98.01 99.7291.32 97.25

38.8243.46

30

40

50

60

70

80

90

100

Pass率

[%]

スキャン方向における角度 [rad]

Fig.7 治療計画毎のEBT3 filmとPass率との関係

画素数65.0dpiの

治療計画画像

画素数25.4dpiの

治療計画画像

画素数12.0dpiの

治療計画画像

0° 90°

Fig.8 0°と90°でEBT3filmのスキャン方向

90°のスキャン方向

95

まとめ①3 points U 解析と4 points 解析のPass 率を比較した。Fig.5、6の赤く染まっている部分は𝑟 𝕣𝑟 が1より大きい。Fig.5、6より3 points U 解析と比較し4 points 解析は低線量領域で僅かに治療計画と合わないことが分かる。これはpoint を記す際にペンで書いたことによる誤差であると考えられる。そのため検証時はなるべく手で書く point 数を少なくし、3 points U解析する。

②Fig.7から90°方向にスキャンした時Pass 率が大きくなることが分かる。これによりEBT3 film の特徴である濃度とスキャン方向の依存性を証明できた。検証時は線量濃度変換テーブルとfilmのスキャン方向を同方向にする必要がある。③Film には不均一性があり、これを改善するために全ての点において、ある一点から行列の範囲で平均化するmedian filter matrix を使用した。しかしFig.9からmedian filter matrix の行列を加えていくことで線量の勾配が平坦化され誤差が大きくなると分かった。最後に①、②、③より検証では 3 points U 解析で行う。スキャン時に線量濃度変換テーブルとスキャン方向を同方向にする。median filter matrix を加えない。この3つを行うことが重要である。

Fig.5 3 points U 解析でのPass率99.72%

前立腺 前立腺

大大

小 小

Y profile

X profile

0°のスキャン方向

前立腺

線量

濃度

線量

濃度

Fig.6 4 points 解析でのPass率99.13%

3 points U 解析 : Left, Right, Upperの3点を利用し治療計画画像と差分、比較4 points 解析 : 3 points UとLowerの4点を利用し治療計画画像と差分、比較

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