グルコサミン研究　Vol.10　2014 31

　マウス結腸癌細胞を移植した担癌モデルにおけるキチンオリゴ糖（chitin oligosaccharide，NACOS）およびキトサンオリゴ糖（chitosan oligosaccharide，COS）経口投与による抗腫瘍効果を検討した．NACOS および COS 給餌群では，腫瘍成長はコントロール群に比較して有意に抑制された．NACOS 投与群では腫瘍組織内に TUNEL 陽性細胞がコントロール群と比較して有意に増加し，COS 群では増加傾向が認められた．さらに NACOS および COS 投与群では，血清中 IL－12 およびINF－γ濃度が有意に増加していた．これらの結果から，NACOS および COS の経口投与により免疫反応が賦活化され，抗腫瘍効果を示すことが示唆された．また Myd－88 ノックアウトマウスを用いた実験により，NACOS および COS の抗腫瘍メカニズムには，Myd－88 依存的および非依存的な両方の経路が関係していることが示唆された．今回の研究結果により，NACOS および COS は抗腫瘍効果を有する機能性食品としての活用が期待される．

グルコサミン研究 10：31-36，2014

keywordsキチンオリゴ糖，キトサンオリゴ糖，腫瘍成長，機能性食品，自然免疫

要 旨

担癌マウスモデルを用いた経口投与によるキチンおよびキトサンオリゴ糖の抗腫瘍効果Anti-tumor Activities of Oral Administrations of Chitin and Chito-san Oligosaccharides in Experimental Tumor Mouse Model

益田幸枝１），東　和生１），大﨑智弘１），今川智敬１） 柄　武志１），伊藤典彦１），南　三郎１），佐藤公彦２）

黒住誠司２），清瀬正敏２），岡本芳晴１）＊

Sachie Masuda１），Kazuo Azuma

１），Tomohiro OsakI１），Tomohiro Imagawa

１） Takeshi Tsuka

１），Saburo MInamI１），Kimihiko Sato

２），Seiji KurozumI２）

Masahiro KIYose２），Yoshiharu Okamoto

１）