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腎移植について
高原史郎日本移植学会 理事長
慢性腎臓病CKDシンポジウム2014年3月13日 東京国際フォーラム
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1953年 メリル、ムレー、ハリソンは双子間で腎移植を行い、初めて成功した。
1956年 楠 隆光先生 が急性腎不全の治療として大腿部に腎移植を行った。
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そもそも何で腎移植が必要か?
腎臓の病気内科的治療 薬など
外科的治療 手術など
何をしても治らない
進行してしまった
→ 慢性腎不全 → 腎臓置換
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臓器置換
再生医療 iPS細胞
人工臓器
臓器移植
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自分の細胞から臓器を作る
再生医療
iPS細胞
まだ腎臓は作れません
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人工臓器
人工腎臓= 血液透析
透析週3回 1回に4時間 12時間/1週
1週間=24時間x7日=168時間
12時間/168時間=1/14 で
血液をキレイにする→ 日常生活に色々な制限
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臓器移植
提供者 ドナー が必要
拒絶反応の克服
大事な移植臓器を免疫が攻撃
→ 免疫を抑える薬が一生必要免疫抑制剤
大変ですが、唯一の根治療法言われています
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提供者が必要
生体腎移植 1つ
親子、兄弟、夫婦、など
献腎移植 (死体腎移植) 2つ
善意の提供者お礼なし、名前も知らさない
日本臓器移植ネットワーク
→ 臓器配分
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腎移植の手術
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腎移植の手術
自分の腎臓
全身麻酔で3時間くらい次の日から食事もできます
移植腎
取りません
移植腎
膀胱
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多臓器摘出手術レイアウト
麻酔器
電気メス電気メス
電気メス電気メス
外回り看護婦
外回り看護婦
麻酔科医麻酔科医
肝チーム
外回り
肝チーム 外回り
心チーム
外回り
心チーム 外回り
CP液CP液
モニターモニター
心臓用
テーブル
心臓用 テーブル
手術器具台手術器具台
肝臓用
テーブル
肝臓用 テーブル
UW液UW液
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腎提供者の手術 生体腎移植
お腹を切りません全身麻酔で3時間くらい次の日から食事もできます → 4日で退院
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生体腎移植のための腎採取術
従来の手術 腹腔鏡による手術
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腎移植の進歩
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腎移植の成績 生体腎移植
移植した腎臓が働いている率=生着率
移植した年 5年 生着率
~1970年 12%1971年~1980年 55%1981年~1990年 77%1991年~2000年 92%2001年~2010年 95%
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臓器移植の進歩
手術技術
免疫学
組織適合性試験
感染症に対する予防・治療
臓器保存法
人工臓器
免疫抑制剤
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免疫抑制剤の進歩
17
1980
1985
1990
2000
2005
1995
2010
イムラン
サンディミュン(ネオーラル)
プログラフ
セルセプトシムレクト
ブレディニン
オルソクローンスパニジン
(グラセプタ)
サーティカン
赤字:日本製
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腎移植の進歩
血液型が異なっていても可能
夫婦間でも可能
提供者に少ない負担で可能
血液透析をしなくとも可能
10年前、20年前とは大違い
おもに生体腎移植での話ですが
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腎臓移植の出来る組合せ
= 輸血の出来る組合せ
A B
AB
O
血液型不適合移植
→ 血液型が違ってもできます
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血液型不適合移植での処置
脾臓摘出あるいは抗体療法
抗A抗B抗体の除去
血漿交換
強力な免疫抑制療法
抗凝固療法
簡単に言うと、血液型を変えてしまうのです
→ でも、性格は変わりません
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夫婦間生体腎移植
非血縁者 組織適合性は完全不一致
成績は親子より良い
本当の夫婦であることの確認
戸籍謄本 第三者からの確認
精神科カウンセリング
本意であることの確認
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透析を始める前の腎移植
腎機能障害 慢性腎不全
透析
腎臓移植
長所内シャントが不要合併症の軽減
↓長期予後の改善
先行的腎移植、 透析前移植
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腎移植の進歩
血液型不適合 31%
夫婦間 41%
腹腔鏡での手術 90%
透析しないで移植 21%
生体腎移植で
10年前、20年前とは大違い
2011年実績
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日本の腎移植の現状
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腎移植件数の年次推移
759866 904
995
11391230
1204
1313
1485 16011605
637728 731
835942
1043994
11241277
1389
1412
112 134 167 144181 163 184 175 146
12611610 4 6 16
16 24 26 14 62 86 770
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
総数
生体腎
献腎
(心停止)
献腎
(脳死)
(症例)
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日本の腎移植の統計
腎移植 総数 28,009 1956-2011年生体 22,035死体 5,974
2012年 総数 1,605透析患者さんの200人に1人
生体 1,412脳死体 77心臓死体 116 献腎 193
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ドナーとの関係(生体腎)最近の推移
481482471
401409
114
116
114131 126
38 37364855
173147
351
253
199
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
2003
年(n=7
28)
2004
年(n=7
27)
2005
年(n=8
34)
2006
年(n=9
23)
2007
年(n=1
031)
親
兄弟・姉妹
その他の血縁
夫婦
その他の非血縁
不明
(症例)
(生体腎の合計数)
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そもそも、臓器移植は必要か?
「移植を受けてまで生きたくない。」という意見
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腎移植を受けなくとも命には関わりありません
絶対に腎移植を受けた方が良いとは言いません。
腎移植を受けたために、亡くなった人もいます。
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移植を受けた人の移植前の体調
腎臓 肝臓 心臓よかった 19.7% 9.5% 0%普通 47.4 17.5 0
悪かった 27.5 36.5 33.3
非常に悪かった 5.5 36.5 66.7
日本移植者協議会
約20%
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移植を受けた人の移植後の体調
日本移植者協議会
腎臓 肝臓 心臓
全く健康 11.8% 20.0% 28.6%
ほぼ健康 61.3 51.7 71.4
どちらともいえない 17.3 18.3 0
体調が悪い 8.4 10 0
非常に悪い 1.2 0 0
約73%
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移植者スポーツ大会
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いわゆる医学的な「生体腎移植の適応」
提供者・受者の年齢
(ドナー75歳以下、レシピエント70歳以下)もとの病気の種類によっては移植できない?
(IgA腎症、ネフローゼ、糖尿病性腎症)何でも移植できます。
合併症(糖尿病、心血管系)重症になる前に移植すること
A型からB型への移植できる?→できます。HLA型が違っていても移植できる?→できます。透析歴が長くても移植できる?→できます。(ただし糖尿病ある人は早く移植すること)
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世界の死体臓器提供数 2010年
0
5
10
15
20
25
30
35
スペイン
米国
ベルギー
フランス
オーストリア
イタリア
アイルランド
イギリス
ドイツ
オーストラリア
カナダ
スウェーデン
ブラジル
ニュージ...
台湾
イスラエル
香港
韓国
チリ
イラン
サウジアラビア
メキシコ
マレーシア
日本
0.15.3
32.024.9
出展: Transplantation Procurement Management(TPM): International Registry Organ Donation and Transplantation からの抜粋
(人)
人口百万人あたりのドナー数
9.0
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肝臓移植 米国 vs 日本 2009
6101464
219
米国
7
日本
生体移植脳死移植
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4つの考え方とは?
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まとめ
腎移植は、腎不全の唯一の根治療法
提供者が必要で、一生、薬(免疫抑制剤)が必要
殆どうまくいくようになった
血液型が合わなくとも、夫婦でも、透析前でも、可能となった
生体腎の提供者の負担は少なくなった。
昨年、腎移植を受けたのは約1600人、生体腎が1400人、
献腎が200人