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    I.はじめに

     中枢及び末梢神経系において,神経細胞の興奮を伝える軸索は髄鞘(myelin)と呼ばれる多重の密な細胞膜により被覆される有髄軸索と,髄鞘を持たない無髄軸索に分けられる(図 1)。この髄鞘は跳躍伝導と呼ばれる非常に早い神経伝達に必須であり,また,中枢神経系においてはオリゴデンドロサイト,末梢神経系においてはシュワン細胞という異なるグリア細胞により形成される 1)。グリア細胞による軸索の被覆は生物進化の比較的初期から存在するが,髄鞘は脊椎動物に至って初めて形成されるようになったと考えられる 2)。実際に無脊椎動物の神経系を観察すると,グリア細胞は多数の軸索を一本ずつ被覆しており,脊椎動物の無髄神経に類似している 3)。脊椎動物の中枢および末梢神経系には,多くの有髄神経線維が存在しており,それらの有髄神経線維では軸索上の特定の領域に

    細胞接着分子やイオンチャネルなどの膜関連蛋白の集積が認められる 4)。末梢神経系におけるシュワン細胞の発達は,軸索とシュワン細胞との相互作用によって大きく影響を受ける。例えば,シュワン細胞の髄鞘形成は軸索からのシグナルによって厳密にコントロールされている。それに対して中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトによる髄鞘形成は比較的多くの要因に影響され,内因性の制御も受けている 5)。また,最近の研究から髄鞘形成細胞が軸索の微小環境や生存に影響を及ぼし,軸索のエネルギー代謝に深く関わっていることが明らかになってきた 6)。軸索の代謝へのグリア細胞の影響のメカニズムは,少なくとも部分的には,中枢神経系と末梢神経系で共通しており,異なるグリア細胞が被覆する軸索に対して同様の役割を果たしている可能性が示唆される。この総説では,最近明らかになってきた髄鞘形成細胞と軸索間における分子・代謝相互作用に焦点をあて,種々の神経疾患におけるこうした相互作用の影響について述べる。

    山梨医科学誌 29(1),19~ 30,2014

    軸索と髄鞘の相互作用の分子メカニズム

    大 野 伸 彦山梨大学大学院医学工学総合研究部医学系学域解剖分子組織学教室

    要 旨:軸索と髄鞘との間の相互作用は,髄鞘を形成するグリア細胞の分化や軸索の機能と長期的な生存に重要な役割を果たしている。こうした相互作用は軸索と髄鞘形成細胞の間の細胞間結合に関わる分子や,これらの細胞によって産生され,細胞間を両方向性に輸送される可溶性分子を介している。様々な軸索のシグナルが髄鞘形成細胞,特にシュワン細胞の分裂,分化,髄鞘の形成と維持に関与している。同時に,髄鞘形成細胞はミトコンドリアの機能維持を含めた軸索の代謝を補助することによって,軸索の発達と生存に必須の役割を果たしている。今後の遺伝工学の発達,動物モデルや新たな培養系の開発によって髄鞘形成細胞と軸索の相互作用の分子メカニズムの更なる解明がもたらされ,それらが神経疾患に対する新たな治療法の開発につながる可能性が高い。

    キーワード 軸索,髄鞘,シュワン細胞,オリゴデンドロサイト,ミトコンドリア

    総  説

    〒 409-3898 山梨県中央市下河東 1110番地 受付:2013年 11月 7 日 受理:2014年 9 月 4 日

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    II.髄鞘形成細胞と軸索の接着による相互作用

     末梢神経系の無髄神経線維において,シュワン細胞は髄鞘とその構成蛋白を欠き,複数の軸索を一本ずつ被覆する Remak束と呼ばれる構造を形成する(図 1)。これらの細胞は髄鞘を持つ細胞にあまり発現していない細胞接着分子や細胞表面リセプターを発現している 7)。細胞接着分子である Llや NCAMは Remak束を構

    成するシュワン細胞に豊富であるが,髄鞘の形成に伴って発現が低下する。シュワン細胞のLl発現はシュワン細胞の接着と感覚神経軸索の生存に必須である 8)。NCAMは 120-180 kDaの糖蛋白質であり,軸索の伸長に関わっている 9)。無髄軸索とシュワン細胞の間の相互作用は K+濃度など,軸索周囲の微小環境の維持と修飾に深く関わっている可能性がある 10)。 中枢および末梢神経系の有髄神経線維におい

    図 1. 末梢神経線維の電子顕微鏡写真.(a)無髄神経線維においては,シュワン細胞(Nu)が細い突起によって軸索(Ax)を一本ずつ被覆している.(b)一方,有髄神経線維では単一のシュワン細胞(Nu)が一本の軸索(Ax)を被覆し,髄鞘(My)を形成している.(c)有髄神経線維では隣り合う髄鞘の間隙に当たるランビエの絞輪(N)があり,絞輪部に隣接して傍絞輪部(PN)が存在する.傍絞輪部の髄鞘形成細胞と軸索(Ax)の細胞膜の間には高電子密度の傍絞輪部複合体が観察できる(矢頭).スケールバー:500 nm.

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    ては隣り合う髄鞘の間隙に,非常に特化した「ランビエ絞輪」という構造が形成される(図 2)。この絞輪部では電位依存性 Na+チャネルが軸索の細胞膜上に集積している。そしてこれらのNa+チャネルの局所的な脱分極が跳躍伝導を任っている。発達の過程においては,まず「ヘミノード」と呼ばれる片側のみの絞輪様構造が,軸索を囲みはじめた髄鞘形成細胞の突起の長軸方向端に形成され,Na+チャネルや絞輪部の蛋白はその最外側に位置するようになる。その後,

    絞輪部の構成分子が髄鞘形成細胞の細胞端のヘミノードと共に移動していき,最終的に隣の髄鞘形成細胞のヘミノードと共に成熟した絞輪部構造を形成する。絞輪部は足場蛋白,及び接着分子によって形成され,維持されていると考えられる(図 2)。例えば,膜結合細胞外基質である gliomedinはシュワン細胞によって産生され,軸索細胞膜上の neurofascin186(NF186)や NrCAMといった接着分子と結合する。これらの分子が遺伝的に障害されると,絞輪の形

    図 2. 髄鞘形成細胞と軸索の間の結合に関わる複合体.(a)神経細胞(Neuron)の髄鞘(Myelin)に被覆された軸索(Axon)の一部を拡大する.有髄神経線維は,髄鞘の間隙に相当する絞輪部(Node),隣接する傍絞輪部(Paranode),Juxtaparanode,そして絞輪間部(Internode)に分けられる.(b)絞輪部には Na+チャネルやNrCAM,neurofascin 186(NF186)が存在し,末梢神経系においては Gliomedin,中枢神経系においては Brevicanと結合する.この複合体は Ankyrin G,β4 spectrinを介して,細胞骨格に連結されている.(c)傍絞輪部では Casprと Contactinを含む複合体が,髄鞘形成細胞の細胞膜ループ上のNF155と結合し,また Protein4.1Bを介してアクチン細胞骨格につなぎとめられている.(d)Juxtaparanodeでは K+チャネル (Kv1.1/1.2)が軸索膜上に豊富に存在し,K+チェネルは Tag-1,Caspr2を介してシュワン細胞膜と結合する.Caspr2は Protein4.1Bを介して軸索のアクチンを主体とする膜骨格に結合していると考えられている.

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    成と Na+チャネルの集積が有意に障害されたり,遅延したりすることから,この結合は絞輪部形成の比較的早期において重要な役割を果たすと考えられる 11)。 2つの隣合う絞輪部の間,すわなち絞輪間部の両端には傍絞輪部(paranode)と呼ばれる軸索-グリア細胞間の結合を担う領域が存在し,小分子の拡散を制限している(図 2)12,13)。傍絞輪部では,ループ状に髄鞘形成細胞の細胞膜が軸索膜に近接し,ループを形成する。そしてこのシュワン細胞膜のループは,電子顕微鏡下で高電子密度構造として観察される septate-like結合を介して軸索膜と連結している(図1)。Septate-like結合は軸索-グリア間の接着装置であり,傍絞輪部軸索細胞膜上に存在する contactinと contactin associated protein 1(Caspr 1)がその形成に必要である(図 2)。Caspr1は Protein4.1Bを介して,軸索の細胞骨格に連結されている。髄鞘形成細胞側の傍絞輪部細胞膜は contactinや Caspr 1と結合する neurofascin155(NF155)を含んでいる。 Caspr 1欠損マウスや contactin欠損マウスでは,傍絞輪部における septate-like結合は欠損するか異常をきたしており,神経伝達速度は遅延し,絞輪部及び傍絞輪部にオルガネラの集積が認められる 14–16)。contactin欠損マウスでは,絞輪部の Na+チャネルの集積はあまり影響を受けないが,正常では傍絞輪部からは排除される電位依存性 K+チャネルが,傍絞輪部に拡散する 14,15)。従って,傍絞輪部の軸索-グリア細胞の結合は神経伝達に重要な役割を果たしており,Na+チャネルや K+チャネルの有髄軸索における分布を空間的に隔てる「拡散防護壁」として機能している。 Juxtaparanodeは傍絞輪部に隣接する部位であり,電位依存性 K+チャネルが多く分布している(図 2)。Juxtaparanode部では細胞膜上の Tag-1(Transient Axonal Glycoprotein-1/contactin-2)が,Caspr2と結合して複合体を形成すると考えられている 17,18)。Juxtaparanode部に存在する K+チャネルの絞輪部への拡散は

    この Tag1-Caspr2複合体と傍絞輪部の septate-like結合によって制限されていると考えられている 14,18)。 髄鞘形成細胞と軸索の間に局在するその他の膜関連蛋白も髄鞘形成細胞の振る舞いを制御すると考えられている。例えばシュワン細胞の Necl-4(nectin-like protein-4) は,Necl-1に結合し,正常な髄鞘の形成に重要である 19)。軸索-シュワン細胞の接着における Par3の局在と p75NTR(neurotrophin受容体)との相互作用は髄鞘形成開始に重要であり,このことは neurotrophinがシュワン細胞の髄鞘形成を制御しうることを示している 20,21)。シュワン細胞の細胞接着分子である N-cadherinは髄鞘形成時に軸索-シュワン細胞の接着面において Par3と共局在し,上皮細胞で見られるように Par3の誘導に関わっていると考えられる 22)。N-cadherin,もしくは関連蛋白であるβ -cateninのシュワン細胞特異的な欠損マウスにおいて髄鞘形成の遅延が見られることから,N-cadherinとβ -cateninはシュワン細胞の極性の形成と髄鞘形成の時期の決定に関わっていると考えられる。

    III.髄鞘形成細胞の振る舞いに影響する軸索のシグナル

     末梢神経系では,軸索からのシグナルが,増殖,分化そして髄鞘の形成といったシュワン細胞の発達をコントロールする 23)。軸索のneuregulin(NRG)はシグナル分子のファミリーであり,チロシンキナーゼ受容体であるErbBと反応し,シュワン細胞の増殖,分化と生存を制御している 24,25)。NRG1は少なくとも 15のアイソフォームを持つが,膜結合型のⅢ型アイソフォームが髄鞘形成における軸索-シュワン細胞間のシグナル伝達において重要である。Ⅲ型 NRG1はシュワン細胞の ErbB2-ErbB3 受容体複合体に結合し,PI3K/Akt,Erk1/2,Ca2+,FAK,Rac/Cdc42などの関連する複数のシグナル経路を介して髄鞘形成の開始

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    と軸索の径に合った髄鞘の厚みを決定している 25)。Ⅲ型 NRG1の発現量は髄鞘の存在と厚みのみならず,Remak束の形成にも影響している 26,27)。 蛋白分解酵素は,NRG1-ErbBによるシグナル伝達に深く関わるとされている。例えば軸索の β -secretase である β -amyloid converting enzyme(BACE1)は髄鞘形成と関連している 28,29)。BACE-1欠損マウスでは髄鞘形成や再髄鞘化が障害されており,結果的に中枢・末梢神経系における髄鞘は菲薄化しており,髄鞘関連蛋白の発現量も減少している。BACE-1欠損マウスにおける髄鞘形成と再髄鞘化の障害は,NRG1分子の切断が減少し,NRG1と ErbB受容体との結合が抑制されるためと考えられている(図 3)28)。対照的に軸索のα -secretaseである tumor necrosis factor-α -converting enzyme (TACE, ADAM17)の発現低下は髄鞘過形成や異所性の髄鞘形成を引き起こす 30)。この表現型はⅢ型 NRG1の過剰発現と類似することから,神経細胞のα -secretaseはⅢ型 NRG1を切断し不活性化することを示唆している。以上の結果は神経細胞に発現する蛋白分解酵素がNRG1による髄鞘形成を促進することも抑制

    することもありうるということを示している。 軸索における蛋白分解酵素を介するシグナル伝達は髄鞘の維持にも必要である可能性がある。シュワン細胞ではなく軸索におけるプリオン蛋白 PrPcの発現が,生体における髄鞘の維持に必須である 31)。興味深いことに,PrPc欠損による慢性脱髄性多発神経症は,PrPcの蛋白分解産物によって防止される 31)。軸索による髄鞘の維持の分子メカニズムは今だ不明な点が多いが,こうした知見は成体発症の脱髄疾患の病態生理を解明する上で重要な示唆に富むと考えられる。

    IV.髄鞘形成細胞と軸索の代謝の相互作用

     脊椎動物の神経系において軸索を被覆する細胞は髄鞘を形成し,跳躍伝導を担う特別な役割を持っている。しかし髄鞘関連疾患において軸索の変性が惹起されることから,これらの被覆するグリア細胞が軸索の生存をサポートするという役割も担っていることが分かってきた 32)。例えば,多発性硬化症などの中枢神経系における炎症性脱髄疾患においては進行性の軸索の喪失が認められる 33)。進行性の軸索変性はオリゴ

    図 3. 軸索 –シュワン細胞間のNeuregulin(NRG)を介するシグナルの調節.(a)軸索膜上のⅢ型NRG1(NRG1-III)はβ-amyloid converting enzyme(BACE1)によって切断される.(b)これにより,シュワン細胞膜上の ErbB2-ErbB3受容体複合体への結合が促進され,結果として髄鞘形成が促進される.

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    デンドロサイトを障害する白質ジストロフィーなどのヒトの神経疾患においても認められる 24)。遺伝性の末梢神経疾患である Charcot-Marie-Tooth(CMT)病の I型は,peripheral myelin protein 22(PMP22)やmyelin protein zero(MPZ; P0)などのシュワン細胞に発現している分子の変異によって引き起こされ,脱髄を特徴とするが,軸索の変性と喪失も認められる 34,35)。軸索変性を惹起する髄鞘形成細胞の機能障害は,髄鞘の形成や維持の異常とは独立していると考えられている。例えば中枢神経においては,proteolipid protein(PLP)や 2’, 3’-Cyclic-nucleotide 3’-phosphodiesterase(CNP)の欠損といったオリゴデンドロサイトに特異的な異常によって,髄鞘の形成は正常に行われるものの,病的な進行性の軸索障害が引き起こされる 36,37)。また末梢神経系においてはMPZのいくつかの変異が軸索障害型の CMTであるⅡ型 CMTを発症することが知られている。Ⅱ型CMTでは軸索は障害されるが髄鞘は保たれることが特徴であり,そのため神経伝達速度や髄鞘の形成は正常だが,軸索の喪失による感覚,聴覚障害が進行する 38)。Ⅱ型 CMTを起こす遺伝子の多くは神経細胞に発現しているが,P0は末梢神経の髄鞘を形成するシュワン細胞に多く発現している。また髄鞘形成細胞に発現しているmyelin-associated glycoprotein(MAG)の欠損マウスでは,髄鞘形成は正常に行われるが,中枢及び末梢神経系において軸索径の減少が認められる 39,40)。 髄鞘関連疾患において,軸索の変性は永続的な神経症状に寄与している 24,33,34)。脱髄や髄鞘の異形成に伴う軸索の障害と変性のメカニズムは未だに不明な部分が多いが,軸索の構造や代謝に影響を及ぼすという髄鞘の役割と関連している可能性がある。髄鞘を形成しているグリア細胞が軸索に及ぼす影響の一つは軸索の細胞骨格の翻訳後修飾による軸索の径の増加である。軸索と髄鞘形成細胞の間の何らかのシグナルが軸索の径や軸索輸送を制御しているニューロフィラメント,微小管,細胞骨格関連蛋白の

    翻訳後修飾を変化させると考えられる。髄鞘関連蛋白myelin basic protein(MBP)に変異を持つ shivererマウスではオリゴデンドロサイトは変性せずに軸索の周囲を 2~ 3層覆うのみであり,そのため軸索の細胞骨格は完全には成熟せず,軸索の径は小さいままである 41,42)。shivererマウスで軸索の径が小さいのは,neurofilamentや微小管の間のスペースが狭いためであり,これはMAG欠損マウスの軸索に類似している 40)。しかし,shiverer変異マウスでは軸索変性はみられない。一方,shivererマウスを PLP欠損マウスと交配し,オリゴデンドロサイトが PLPを欠損すると軸索変性が惹起される。これらの結果から軸索の成熟が障害されても,それ自体は軸索の変性や喪失につながらないことが示唆される。 髄鞘の異常による進行性かつ末梢側優位の軸索変性は,軸索のエネルギー代謝における適応障害に関連している可能性がある。例えば,長い軸索の細胞体近傍と遠位部はそのエネルギーの産生と消費を考えた時に大きく異なる性質をもつ可能性がある 6)。神経細胞の Na+/K+ ATPaseは絞輪間の軸索細胞膜上の存在し,軸索の ATPの大部分を消費して軸索内 Na+と細胞外 K+を交換し,そのイオン勾配を保っている 43,44)。このことは髄鞘に被覆された軸索の神経伝達に係るエネルギー需要はランビエ絞輪部のみに限局しないことを示唆している。こうした概念は,ミトコンドリアの大部分が絞輪間部に存在するという過去の報告とも合致するものであり,またこのことから軸索の ATPは主に絞輪間部で生成されると考えられる 45,46)。ミトコンドリアは軸索における ATPの主な供給源であるため,絞輪間部のミトコンドリアはエネルギー依存性である軸索の輸送の維持にも重要と考えられる。 髄鞘疾患における病態生理においてミトコンドリアの分布と機能の障害が関与する可能性が考えられてきた 47,48)。軸索の興奮伝達における脱分極は電位依存性 Na+チャネルに依存している。そして神経伝達の反復のためには Na+/

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    K+ ATPaseによる軸索内 Na+と細胞外 K+の交換が必要である。絞輪部の軸索膜上に電位依存性 Na+チャネルを集積することで,跳躍伝導に伴う神経伝達速度の上昇のみならず,そのエネルギー消費も低減すると考えられている 48)。脱髄後,Na+チャネルは脱髄した軸索膜上に瀰漫性に分布し,神経伝達を回復するが,Na+と K+の交換に必要なエネルギー消費は増加すると考えられる 49)。それ故にヒトの脳組織や動物の脱髄モデルにおいて,軸索のミトコンドリアのサイズが有髄軸索に比較して脱髄軸索において増加することは,こうしたエネルギー需要の増加に対する適応反応であると考え

    られる(図 4)50–54)。shivererマウスや Plp1突然変異マウスのような髄鞘異形成モデルにおいても,中枢神経系において軸索のミトコンドリアの密度が増加する 55,56)。以上の結果はミトコンドリア機能の変化や軸索の代謝が,髄鞘形成細胞と軸索の相互作用に依存していることを示唆している。 脱髄や髄鞘異形成に伴う軸索ミトコンドリアの変化の分子メカニズムは不明な点が多いが,軸索ミトコンドリアの 2つの集団の制御が関係していると考えられる。軸索のミトコンドリアの多くは,単独もしくは複数の静止したミトコンドリアの集団を形成し,成長円錐など

    図 4. 脱髄軸索におけるエネルギー供給の不足による軸索変性.(a)脱髄軸索では神経伝達に伴い Na+チャネルを通って流入した Na+を,Na+/K+ ATPaseを介してエネルギー依存的に排出している.(b)十分なエネルギー産生が得られない場合,軸索内に蓄積した Na+が Na+/Ca2+交換体を介して排出され,Ca2+流入を惹起する.Ca2+流入による軸索内 Ca2+濃度の上昇は蛋白分解酵素の活性化などを経て,軸索の変性を引き起こす.

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    の ATP消費の高いと考えられる部位に比較的豊富に存在する 53,57,58)。移動性のミトコンドリアは一般的に小さく,軸索内を前向もしくは逆向性に輸送されている。脱髄は,軸索における静止ミトコンドリアのサイズのみならず,輸送の速度を増加させる 53)。再髄鞘化に伴って静止ミトコンドリアのサイズと輸送の速度は脱髄前の状態に戻る。これらの制御において,軸索内 Ca2+と輸送ミトコンドリアの停止に関わる蛋白が重要な役割を果たしている可能性がある。なぜなら局所的なミトコンドリアの動きの抑制は軸索における静止ミトコンドリアのサイズの増加につながるためである 59,60)。その機序として,脱髄に伴っての不十分な ATP産生,および軸索内の Na+増加と,Na+/Ca2+交換体(NCX)を介した軸索内の Ca2+増加が考えられる(図 4)48)。軸索の生存は炎症性細胞による NOの産生によって障害される。NOは脱髄軸索内へ拡散し,ミトコンドリアによるATP産生を障害するため,軸索における Na+

    と Ca2+の蓄積を介して軸索の変性を惹起しうる 48)。したがって,炎症細胞による軸索障害因子の放出は急性の軸索の切断と喪失を引き起こすが,脱髄や髄鞘異形成に伴う軸索の変性は月~年の期間を要する慢性的なプロセスともなりうる 33)。それ故に脱髄に伴う軸索の初期反応は,軸索の機能を維持し,ミトコンドリアの分布やふるまい,そしてライフサイクルを変化させるものである可能性がある。 軸索のミトコンドリアは,限られた寿命をもち,これは神経細胞の活動性のみならずミトコンドリアの動態にも依存していると考えられる。従って,異常なミトコンドリアの動態は軸索の機能や生存を障害すると考えられる 57,58)。末梢神経系における CMTにおいては,ミトコンドリアの動態に係る分子であるmitofusin 2(Mfn2)や Ganglioside induced differentiation associated protein 1(GDAP1)が一部の原因遺伝子となっている。軸索のミトコンドリアの大部分は細胞体で生まれ,軸索を末梢に向かって運ばれ,静止ミトコンドリアの分布する部位

    に到達する。ここで新しいミトコンドリアは既存の静止ミトコンドリアと融合する。機能不全のミトコンドリアの一部は分裂により静止ミトコンドリアから除かれ,神経細胞体へと運ばれ,分解される 57)。この軸索ミトコンドリアのライフサイクルは細胞体における転写と翻訳に依存しており,従って軸索の末梢部分をエネルギー代謝の恒常性維持の上で脆弱にする要因となっている可能性がある。このことは末梢神経系においては四肢末梢から,また中枢神経系の神経症や白質ジストロフィーにおいては長い神経路から,進行性の軸索喪失が起こる理由になると考えられる 36,61,62)。 最近の研究から髄鞘を形成するグリア細胞が乳酸などの軸索におけるエネルギー産生の基質を供給している可能性が分かってきた 6)。乳酸の輸送を担う monocarboxylate transporter 1(MCT1)をオリゴデンドロサイト特異的に欠損させると,中枢神経系における軸索の変性が引き起こされる 63,64)。このオリゴデンドロサイト特異的なMCT1欠損下における軸索の変性は軸索への乳酸輸送の障害によって引き起こされていると考えられる。軸索のミトコンドリアが髄鞘に覆われている絞輪間部に多いという所見は軸索ミトコンドリアのエネルギー基質が髄鞘を形成しているグリア細胞から供給されているという概念を支持している 45)。またこれらの結果は,軸索機能・生存の維持に対する髄鞘形成細胞の影響は,個々の絞輪間部に限局しているという概念と矛盾しない 40,65)。最近の研究から,グルコース供給が限られる状態においては,シュワン細胞のグリコーゲンが有髄末梢神経線維における軸索のエネルギー基質となる可能性が指摘された 66)。このモデルではシュワン細胞内においてグリコーゲンから生成された乳酸が,軸索へと輸送され,ATP産生と神経の興奮性を維持していると考えられている。MCT1がこれらのシュワン細胞による乳酸の輸送に関わっている可能性についてはさらなる検討の必要があるが,これらの研究から乳酸のようなエネルギー基質の輸送が髄鞘の軸索保護

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    機能の一つであると考えられる(図 5)。 解糖系は軸索の細胞質全体で機能していると考えられる。しかし,細胞体で合成された解糖系の酵素が遅い軸索輸送によって運ばれているとすれば,軸索における解糖系の効率は長さに依存する可能性がある。このことは長い軸索の末梢ほどミトコンドリアによるエネルギー産生に依存する必要があることを示唆しており,従ってグリア細胞によるエネルギー基質の供給が長い神経路においては重要であると考えられる 6)。しかし,最近,glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH) が 速い軸索輸送によって運ばれる小胞上に存在し,こうした小胞上の解糖系酵素が速い軸索輸送を維持するのに必要であることが示された 67)。Huntingtinや Rab2あるいは解糖系酵素自身の翻訳後修飾によって調節される解糖系酵素の小胞への結合が神経疾患にどのように関与しているかは,今後検討する必要がある 67–69)。これらの研究は,解糖によるエネルギー産生の調節が長い軸索における軸索の変性と,エネルギー代謝の障害に関わっている可能性を示唆して

    いる。 乳酸の他にも多くの小分子が軸索と髄鞘形成細胞の間を両方向性に伝達されている可能性がある。例えば,マウスにおいては,mitochondrial transcription factor A(Tfam)のシュワン細胞選択的な欠失によるミトコンドリアの代謝異常によって,ニューロパチーに類似した病理学的所見を呈することが報告され,ニューロパチーがシュワン細胞のミトコンドリアの障害から 2次的に引き起こされることが示唆された 70)。シュワン細胞のミトコンドリアの障害が異常なストレス応答を引き起こし,その結果脂質代謝の変化が起こる 71)。こうしたシュワン細胞における脂質代謝の変化によって髄鞘脂質成分の喪失が起こり,acylcarnitinesという脂肪酸ベータ酸化の中間代謝産物が蓄積し,シュワン細胞から放出されることで軸索の変性が惹起されると考えられている。 同じ代謝産物が中枢神経系と末梢神経系の髄鞘形成細胞において全く異なる役割を果たすこともある。中枢神経系においては Na+依存性の活動電位をブロックすることはオリゴデンド

    図 5. 中枢神経系の有髄神経線維における代謝産物の伝達系.神経伝達の際には,ランビエ絞輪部において電位依存性 Na+チャネルを通して Na+の流入が起こり,この Na+は絞輪間部の Na+/ K+ ATPaseを介してエネルギー依存的に排出される必要がある.軸索のミトコンドリアは絞輪間部に多く存在し,そのエネルギー産生のための基質は髄鞘形成細胞によって供給されていると考えられる.オリゴデンドロサイトや星状膠細胞によって産生された乳酸が(i),monocarboxylate tranporter(MCT)を介して輸送され,軸索に取り込まれ(ii),そして軸索内でミトコンドリアによるエネルギー産生の基質として利用されている可能性が高い(iii).

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    ロサイトの増殖と髄鞘の形成を促進する 72,73)。中枢神経系における軸索の電気的活動は軸索からの ATP放出を促進し,アストロサイトによるサイトカインの放出を介してオリゴデンドロサイトによる髄鞘形成を促進すると考えられている 74)。対照的に,末梢神経系においては,軸索による ATPの放出が P2受容体を介してシュワン細胞の分化と髄鞘形成を抑制すると考えられている 75)。

    V.終わりに

     最近の遺伝学的技術,遺伝子改変モデルおよび髄鞘形成の培養系を用いた研究から,髄鞘を形成する細胞と軸索の間の相互作用が,それらの振るまいと運命を決定づけることが明らかになってきた。髄鞘形成細胞と軸索の間の相互作用に係る分子の数は急速に増加しており,これらによる複雑なシグナルネットワークの解明には新たな動物モデルの開発や培養モデルによる介入実験,イメージング技術の改良など,様々なアプローチが必要と考えられる。髄鞘形成細胞が軸索を保護するメカニズムの解明は,神経系における発達,傷害及び再生における理解を促進し,また神経疾患における新たな治療戦略の開発につながるものと期待される。

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