国際経済の変容③国際経済の変容③ ~タックス・ヘイブン、資本逃避の現状~~タックス・ヘイブン、資本逃避の現状~
●世界貿易の50%、金融取引の50%がタックス・ ヘイブンを経由
●アフリカからの資本逃避 ⇒年間1,480億ドル(15兆5400億円)
●「オフショア経済」に隠匿されている総額:
⇒11.5兆ドル(1,208兆円)!●課税を逃れているもの:
⇒年間2,550億ドル(26兆7,750億円)
⇒「穴の空いたバケツに水を入れる」(Source: Christensen, 2007)
グローバル格差社会グローバル格差社会
●ニューヨークとロンドンの2~3千人の銀行 員が毎年400億ドル(4兆2,000億円)の
ボーナス
●上位20位までの金融市場のプロ(ヘッ ジ・ファンドや債券のマネージャー)が毎 年120億ドル(1兆2,600億円)を獲得
● も富裕な層1%が、世界のすべての富 の40%を所有
これらに対処するために・・・これらに対処するために・・・
⇒2002年:国際開発資金モンテレー会議
⇒2003年:ランドー委員会の創設
⇒2004年:4ヶ国グループ結成、革新的な 開発資金メカニズムに関する国際作業
グループ設立
⇒2006年:革新的開発資金メカニズムに 関するパリ会議
(IFFIm、航空券連帯
税、通貨取引税などを議論)
⇒開発資金連帯税リーディング・グループ が誕生
従来とは異なる従来とは異なる 「「革新的な発想」革新的な発想」
が必要が必要
↓↓ グローバル・タックスグローバル・タックス
国際連帯税国際連帯税
なぜ連帯「税」なのか?なぜ連帯「税」なのか?
●各国は、お金のある人から徴税し、貧しい 人に再分配したり、税収を教育、医療、福祉
に使うことで、さまざまな問題を解決し、社 会を安定させてきた
●「グッズ減税、バッズ課税」:
・環境や社会に「よいもの」:
減税、免税、補助金
・環境や社会に「悪いもの」:
重い課税、課徴金
⇒事例:
環境税制改革
環境環境税制改革税制改革とは?とは?
●環境税→環境への負荷が減る
●その税収を社会保障にまわす
●特に企業の社会保険料負担を減らす
●福祉水準を維持しながら、企業の活力もそが ず、環境への負荷を減らす
⇒税制のパラダイム転換
「労働」への課税から
「資源・エネルギー」への課税へ
⇒「グッズ減税・バッズ課税」⇒「グッズ減税・バッズ課税」
グローバル・タックスグローバル・タックス●地球社会にはこのような仕組みがない→問題が
解決されず、社会も不安定なまま
⇒これをグローバルに行う=グローバル・タックス
<定義>
●グローバルなモノや活動に、グローバルに課税
●負の影響を抑制しつつ税収を上げ
●グローバル公共財の供給やグローバル公共善 の実現ために、税収をグローバルに再分配する 税のシステム
※国際連帯税はグローバル・タックスの一形態
グローバル・タックスの事例グローバル・タックスの事例
~航空券連帯税~~航空券連帯税~
●飛行機に乗れる「豊かな」人たちから、累進的 に税金を取る
●ビジネスクラス:10~40ユーロ
●エコノミークラス:1~4ユーロ
●エイズ、マラリア、結核という3大感染症の薬 を安定的に購入する資金源
●2006年2月28日~3月1日
「革新的開発資金メカニズムに関する
パリ会議」
パリ会議での成果パリ会議での成果
●93ヶ国が参加
●フランスに加えて、ブラジル、チリ、ルクセンブル グ、ノルウェー、コンゴ、コートジボワール、韓国
など13ヶ国が航空券連帯税を実施することを表 明⇒現在28ヶ国に(実際に実施:9ヶ国)
●イギリス、スペイン、南アフリカ、ドイツ、オースト リア、インド、メキシコなど38ヶ国が「開発資金の ための連帯税リーディング・グループ」を設立
⇒現在54ヶ国に拡大
●現在
・フランス
・チリ
・コートジボワール
・モーリシャス
・コンゴ
・韓国
・マダガスカル
・ニジェール
・マリ
で実施
※さらに今後
19ヶ国が実施予定
UNITAIDUNITAIDとは何か?とは何か?
●UNITAID(IDPF:国際医薬品購入ファシ リティー)
●2006年9月19日に設立
●目的:
安定した資金を用いて大量、か つ長期的に医薬品と診断薬を購入する ことで、これらの価格を低下させ、貧しい 人々のエイズ、マラリア、結核の治療へ
のアクセスを向上させること
UNITAIDUNITAIDの成果(の成果(20072007年度)年度)
HIV/AIDS マラリア 結核
パートナー
クリントン財団WHOUNICEFグローバル・ファンド
グローバル・ファンドWHOUNICEF
ストップ結核パートナー
シップ, グローバル・ドラッグ・フ
ァシリティ, グローバル・ファンド
受益国数 53ヶ国 22ヶ国 58ヶ国
受益者 100,000人の子どものARV治療65,000人の第2線ARV治療122,000人の妊婦のARV治療
135万人のACT治療 866,000人の第1線治療180,000人の子どもの治
療4,700人の多剤耐性治療
医薬品価格の低下
40%(小児用ARV)25-50%(第2線ARV)
29%(ACT)* 20-30%(MDR-TB)*
註:*はUNITAID, 2007eより(UNITAID, 2007d: 1をもとに筆者作成)
開発資金のための連帯税開発資金のための連帯税
リーディング・グループリーディング・グループ
2006年3月:
パリ会議で創設
2006年7月:
第1回全体会合(ブラジル)
2007年2月:
第2回全体会合(ノルウェー)
2007年9月:
第3回全体会合(韓国)
2008年4月:
第4回全体会合(セネガル)
2008年11月:第5回全体会合(ギニア)
2009年2月:
第6回全体会合(フランス)
グローバル・タックスの種類グローバル・タックスの種類
●経済関係
・通貨取引税、通貨取引開発税(CTDL)
・多国籍企業課税
など
●環境関係
・地球炭素税
・天然資源税
など
●平和関係
・武器取引税
など
●保健・衛生関係
・航空券連帯税
など