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私の専攻しているフィリピン語は、魅力の多い言語だと1年勉強する中で感じました。フィリピンの方たちは温厚で陽気な方が多く、ネイティブの先生方はユーモア溢れる方ばかりで毎回楽しく受講しています。フィリピン語専攻は毎年10人前後という少人数であるため、絆が強くとても仲が

いいです。週末には全員ででかけたりと、下宿している私にとっては兄弟のような存在です。これからある語劇祭も団結力で良いものにしていきたいと思っています。フィリピン語は他の言語に比べて学びやすい言語だと思っています。アルファ

ベットであるため文字を一から勉強するわけではありません。入学してすぐ会話表現の勉強を始められるのが良い点だと思います。今年の春、フィリピンに旅行に行ったとき、フィリピン語を使って現地の方と

お話しすることができとても感動しました。新しい言語を学び、ネイティブの方と会話する喜びは外国語学部ならではのものだと思います。“mabuhay!”これは私が1番好きなフィリピンの言葉です。この単語には2つの意味があります。1つは「ようこそ!」という意味です。フィ

リピンに行くと、空港やレストランなどいたるところにこの言葉を見つけることができます。もう1つの意味は「乾杯!」という意味です。私が現地のレストランに行った時

は定員さんも一緒になって“mabuhay!”といったのを覚えています。この言葉を現地で

使うとフィリピンの方たちはすごく喜んでくれます。ぜひ覚えて使ってみてください。

私は、2014年4月から1年間フィリピン大学に留学しました。決意の背景は、日本語・フィリピン語間通訳の人材不足や経済発展と豊富な労働力を求めて現地進出する日系企業の増加から、言語習得の重要性を感じたからです。現地では、文化や宗教にも理解を深め、人生観が変わるような経験もしました。ここでは、フィリピン大学と現地で関わったボランティアの2点を紹介します。まず、フィリピン大学では文学や歴史、社会福祉学などを勉強しました。どれ

も英語ではなくフィリピン語での授業をお願いしました。始めは苦労しましたが、現地学生は気さくで明るく、私がフィリピン語を話せるとわかるとすぐに打ち解けることができました。彼らは、授業の発言も積極的でプレゼンスキルに優れています。一方、楽しむ時は楽しんでメリハリのある姿が印象的です。また、現地では言語を活かして学生ながら貴重な体験をしました。例えば、

2013年に台風で被害を受けたタクロバンという地域にNPOの通訳として同行しました。そこで、親を亡くしながらも夢を持って生きる子どもたちに出会ったことは大きな経験となりました。私はこれをきっかけに現在でも、防災教育活動に取り組んでいます。最後に、日本を離れて周囲の

サポートのありがたさに気づかされました。もちろん、ホストファミリーは私を家族の一員として迎えてくれてホームシックはなかったですよ。フィリピンだからこそ経験できることがきっとあなたを成長させてくれるはずです。

4年 福原  恵

2年 坂本 祐梨子 フィリピンの人・ことば・文化に関する研究テーマを多様な学問的視点から考え、それを卒業論文として自らのことばで表現し、私たちが暮らす市民社会に向けて積極的に発信したいと思っている人。研究テーマを深めるために、フィリピン語の言語能力を高める努力を惜しまない人。

 Sayang……“Ubusin mo iyan, sayang, e.”「もったいないから食べてしまいなさい。」フィリピンの家庭に食事に招かれるとよく言われます。“Busog na ako.”「いえいえもういっぱいです。」おかずを少し残して感謝の意を示すのが、フィリピンでの奥ゆかしさです。 語尾のngは「ング」ではなく、「ン」と発音して口を軽くあけ、音を鼻にぬきます。「サーヤン」です。ng以外の部分は、ローマ字読みしてやればよく、新たに文字を覚える必要がないことに加えて、フィリピン語を学びやすいものにしています。 Sayang という語の後には、そこはかとない気持ちが残ります。それはFilipinas(フィリピン)の輝きと翳りを映し出しています。 Tao 人…… Filipinasは、地球上のいたるところに広がる人を除けば資源のない国です。経済大国でも、ましてや軍事大国でもありません。その名は、スペイン・ハプスブルグ王朝のフェリペ王子の名に由来しています。 スペイン人が来る前、Filipinasには、多くの民族が住んでいました。現在でもその数は150を下らないと言われます。そのなかには、キリスト教徒、ムスリム、さらにより人口規模の小さい少数民族が含まれています。少数民族のなかには、グローバリゼーションの下でアイデンティティのみならず、存在の危機に瀕している民族もあります。自然環境を失い、文化や言語を失い、アイデンティティを失うことで、生殖能力まで失いつつあるのです。 同じことは、海外に移住したフィリピン人にも言えます。現在、日本の小中学校では多くのフィリピン人児童生徒が学んでいます。彼ら、彼女らは、学齢期の途中でフィリピンから日本に移り住むことが多く、日本語はもちろん母語についても十分な表現力を獲得できないセミリンガルの状態に陥ることがあります。 こうした問題は、フィリピンの人々のみが直面する問題ではありません。グローバリゼーションのなかで私たちもまた同じように文化の問題、言語の問題、アイデンティティの問題に直面しているのではないでしょうか。 Pag-asa 希望……フィリピン語専攻では、フィリピンの人々と私たちが共有している問題を、皆さんの生き方を通して考えていく姿勢を養って欲しいと考えています。そうした問題は、容易には解決できず、私たちに閉塞感や無力感をもたらすかもしれません。民族紛争のように白黒をつけてはいけない場合もあるかも知れません。フィリピン語専攻の教育プログラムは、教室のなかだけの語学に留まらず、多方向的なコミュニケーションの場を創造し、現実的、現場的視点に立って困難な問題に粘り強く取り組むことのできるリーダーシップを育てたいと思っています。

オフィス街の聖母マリア像

フィリピン語専攻

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