@・@・@・@・@・@・@
・・・・・・川町
「星の子供たち」の帰還
ーー占
星術の政治的図像学
占星術はマクロコスモス
(宇宙)とミクロコスモス
(人間
)
を照応関係に置くことにより、人
間
の運命を天体の運行のよう
に予測しよ
うとする技術である。
技巧を凝らしたホロスコ
ー
プ
でなくともかまわない
。
ごく通俗的で単純化された占い
の、誕
生日によ
っ
て所属が決められる十
二星座はただそれだけで
、人
生という時空における
指針の設定を可能に
する座標系をなして
いる。
よく知ら
れているように、こうした占いで用いられる星座は
誕生時に太陽が黄道十二宮のとの宮に位置したかによ
ってリ決ま
る。
そして、それぞれの星座が
担う占星
術的な意味は、三月
二
一日
から四月
二O日までにあたる
牡羊座
(白羊宮)を端緒とし
て、
各星座が連鎖して
ゆく関係
のなかで定まってくる。
そこに
はいわば自我と世界の生成変化をめぐる神話が埋め込まれてい
る。
あまり意識することのない
星座間のこの関係について
、ロ
ーレ
ンツ
・イ
エー
カ
ー
『運命を読む
美しい技術
』(E5E
E問Rbミ
RKghbsMFhtgMWE
込認九NRESH-Hへたミ念切ミS
司、丸町、
田中
京竜
与えさ~ロhhhfコロ問巾NEE白ヨ宮口〈虫、一白mN88に基づき
、
手短か
にまとめておこう
。
三月一
一一日が起点となるのは、一言うまでもなく
、
昼夜の長さ
が等しい春分の日だからである。
古代ロl
マ人は敵の城壁を破
壊する武器を
「アリ
エス
」、すなわち
「牡羊」と
呼んだ。
坑界
が破砕さ
れて、新し
い年がこの星座とともに始まるのである。
牡キ
座とはこのようにパイオ
ニアであり、いまだ
州国とした場
ではない
世界をおのれ
の力のみで切り開く凄まじいエネ
ルギー
を立味する
。
これに続く
牡牛座
(金牛宮)は、制羊座とは対照
的に、物質的な世界の豊かさに寄
着した重厚な存在を象徴す
る。
第三の双子座
(双児宮
)は牡牛座の重さを止揚した騒さや
合理性、対極的なもの
同士の調
和を特徴とする。
以上のよう
に、後続する星座は直前の星座がもっ
性格の否定によって
規定
されているのである
。
従って、双子座のもつ透明な合理
性を否定し、
絶対的な判秘
を担うのが次の蟹座
(巨蟹宮
)となる
。
それは
明織な輪郭をも
34 [ イメージの記憶J 18 1 ) 11の子jJtたち」の帰JÇ
たない情緒や感情といった内面性に関係している
。
獅子医
(獅
子宮)は蟹座のこの内向的主観性とはまったく逆に、全力で自
己主張し、みずからを積極的に表現する
。
そして
、
そこで抑圧
された繊細な
批判精神を体現する
星座として、乙女
座(処女
宮)が続くのである。
乙女座とともにひとつの発展段階が終わり、自由な遊びゃ社
交、優雅さを備えた調和を象徴する天秤座
(天秤宮)が愛場す
る。
だが、この調和は長続きしない。
見せかけの平衡は破壊さ
れ、死の不安や危機、航ぃ気味なものを内に苧んで彼岸を見据え
た搬座
(天賜宮)が次に続くからだ。
内在的な確実性はそこで
破壊されてしまうため、何らかの超越性をめぐる宗教や哲学が
必要とされることになる。
射手座
(人馬宮)とは、彼方へと放
たれる矢が表わしているように、超越的な意味を目がけたそう
した冒険の担い手なのである
。
の
ゆ料品 一
らげ
←代庁φ
叶叫人ゲレ
、,i7・'1
a司
はJλ
ι
語超も
物いを
か
の先エ信
そ時
通
吉田文憲〈著〉
宮沢賢治
||幻の郵便脚夫
-四六判2
26
頁定価2310
円
迎想へ向かう
矢の運動とは対極的に、山
羊座(磨潟{呂)は制
度や法のかたちをとった支配権力に深く関わる
。
他方、この権
力に対抗する自由や人間同士の共和国的な精神的結合を志向す
るのが水瓶座
(宝瓶宮)である。この星座は山羊座の段階で制
度化され硬直してしまった世界を、知性と精神性によって新た
に築き直そうとする
。
このようにして最後の魚座
(双魚宮)にいたる。
そこではも
はや確固とした制度も安定した自我も解体されてしまってい
る3
残されたのは
、大海のようにと
らえと
ころのない世界のな
かで、純粋な共感や共苦を経験することだけである||魚のよ
うに。
自我と世界のあいだの境界が消失しているからこそ、こ
の状態の次には、自力で自我を雑立する牡羊座の運動が連鎖
し、それによって十二星座の円環は閉じられることになる
。
イエl
ガーは
、
自分の星座が表わす性格を進んで体現しよう
自らの物語を「虹や月あかりからも
ちってきた」と書いた賢治は、宇宙的
メディェl
タ!
なアンテナを持った〈媒介者〉であり、
その象徴が詩「屈折率」に現れる〈郵便
脚夫〉の姿である。本書では、賢治童話
の持つメッセージ性を「手紙を出す」
行為になぞらえ、〈郵便脚夫
〉砕拠り所
に賀山田の代表作を読み直す。
.好評既引IJ .
太宰治生誕川口年
太宰治の手紙東郷克美〈著〉
・四六判仮フランス装・3 1 6頁定価2415円
Iご口芯羽羽羽i注紋胡叫吋…主技副抑即文到却跡iは応草!Iih廿1'!1JI.(IjIlI'll!j!Il泊F.lI陥~刀llE
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[イメージの記憶J 18 I星の子供たち」の帰巡ヨう
図 1 雌iライオン「イ空リアJ を抱くムッソリ ニ目 1924 年
出典=Jost Philipp Klenner: Mussolini und der Löwe , S. 90
図 2 アルブレヒト・テューラー 〈ソ Jレ・ユスティア工(正義
の太陽としてのキリスト) ),銅版画, 1498-99 年
としたり、無意識のうちに演じてしまっている
作家や詩人たち
の例を挙げている。
例えば
一八八三年七月三日
(蟹座)生まれ
のフランツ・カフカだ。
「蟹座」はドイツ語で「穴55
」。
これ
は蟹ばかりではなく、海老やザリガニなどの甲殻類も意味す
る。
音楽で穴55
と
言えば音符を最後から最初に向けて弾く
「逆行」を指し、これは蟹よりもむしろ淘老の動きだ
。
蟹座の
人聞は逆行する||双子座的な合理性以前の夢、神話、象徴、
過去、記憶の世界へ。『変'身』で毒虫にな
っ
たグレゴl
ルザ
ムザは後ずさりすることを
学ぶ。「カフカの主人公たちの祁も
前進して目標にたどり着くことはない
。
彼らの運命は後ずさり
の道で決まる。
」(」おq-ωNS。
カフカの掌編「小さな寓話」で
は、ひたすら走り続けてきた鼠を待ち構えていた猫が、こう
一言
ってから
、
その鼠を食べてしまう||「走る方
向を変えさえす
ればいいんだよ」。
これがカフカにと
っ
ての「後ずさりの道」
なのだ。
あるいは
一八七五年
二一月四日
(射手座)生まれの詩人ライ
36 [ イ メージの記憶1 18 f lJ1 の子供たち」の帰巡
マリア・リルヶ
。
射手座に対応する宮が「人馬宮」であ
ることが示すように、矢を射るのはケンタウロスである
。
リ
ル
ケはモl
リス・ド・ゲランの物
諮問『ケンタウロス
』をドイツ語
に翻訳しているほか
、
ケンタウロスを歌ったフランス語の詩を
残している。
イェ
l
ガ1
は
『オルフエウスへのソ、不ァ卜
』所収
の「『騎手』という名の星座」をめぐる詩で歌われる「そして
ふたつはひとつになる」という
一節に、人馬一体となったケン
タウロスのイメ
ー
ジを読み取って
いる。
ここでわれわれも、
獅子座生まれのある
人物について
、同じ
ような事例を示すことにしよう
。
その人物とはベニ
!卜・ム
ッ
ソリ
1
ニである。
彼は自分の誕生した日時
(一八八三年七月二
九日
日曜日午後
二同
)に触れ、「太陽が獅子符に入っ
て八日同」
と品川口くなど、獅子座の生まれであることを強く意識していた
。
さらに、「イタリ
ア」と名づけた雌ライオンと
一緒にいる自分
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の姿をたびたび写真に慣らせており、自動車の座席でライオン
の仔を抱えたり(図l
)、ライオン
とともに般の中にいたり
す
るムッソ
リ
l
ニの姿がイタリア内外
の雑誌や新聞を飾
ってい
た。
いかにも獅子座らしい
、
強い自己顕示と
言うべきだろう
か。
ムッソリ
l
ニのこうした報道写真に敏感に反
応したのがア
ピ
・
ヴァl
ルブルクである。
ルート
ヴイツヒ
・ピンスヴ
アンガ
l
の精神療養所で
統合失調症の治療を受けていた一
九二凹年
に、ヴ7l
ルブルクは幼いライオンと自動車に乗るム
y
ソリ
l
ニの写真をドイ
ツ
の新聞に見
つけ、車に乗って天に昇る太陽
神
ソルという
、
古代ギリシア
・ロl
マにおける支配者イメー
ジの
残存をそこに認めている。
支配者の宮である獅子宮に位出する
支配者の星としての太陽とは、古
代ロ!
マで帝国の守秘神とし
て崇拝された「征服さ
れざる太陽
(ωo一5〈円吉田)」であり
、
今
劇場のイデアG カミァロ/足達
古代の記'隠術を革新し、 二一世紀のヴアーチャルなアーカ イ ヴへと
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[ イ メ ー ジの記憶J 18 r m.の子供たち」の帰j辺37
-・E亘--.c;:t-õ ・盟理軍思冒為市町"附"'~af戸u,C(;相fldl<ItÍØTI 制E 附13\1PJìIJ.ID川町cfnl 'Ot1t>卯岡崎剛 Ib<r仰向開閉め叩,E喧開眼jgr吋1刷 plm閥的措S相m“""bJ叩町時! ",i~圃~・めα ('om"m問。" mb 3Uf'師明訓 1甜flùn!l l ""
拘7τ,d'hcIJ bin9 b間切町阿b肘市ù,巾 igtt官官周c1_llleu"ftiigs蜘Ig"OldtJ"nO 1(1四控。"""9-r,,,,"o::l) <1:9叫E 駅P.同和'iat'<l!ll.附ι 1.'I'>iiíj. am 伽仔開均開町旬t依"t:age rTo~ S間前rifl bc� \'\)o',"'onl><ol "",b bi< t<dJ1.f' jùo柑1 ";町幻1i"帆nachrn~a~f即閣制加島市附g'i4be切dj刷ffM多\l< "bcr加.1,0町制開札
i)...t<lb '~"' l""'"叫刷酬の抑制側制bl'称別冊!,,~Ulß ~,向).cIj,伽向酬川nbu蜘如何情制dj 開4'41lf1¥l1Ig rl"tT "lI1gCII ~刷b""n附ω ß'術"蜘市曲 eo:::問問 fill~ll'哨恥r!lゆ剤耐耐炉供柑dj叩削伽'<1'""出9
f111~.
図 3 ユピテルとサト ウ ルヌス, ヨ ーハン ・リ ヒ
テンヘFルガー 『予言の1!JJ ( 1527 年版) より
日
ではムy
ソ
リ
|
ニがそうした「宇
宙的な意味
と使命の伝達
者」になっ
ているのた
、
とヴ
ァ
l
ルブルクは
言、っ。
これは彼に
と
っ
て、思わず
「古代の残存!」と感
眼科付きで記さずにはい
られないような重要な発見だ
った。
ムツソ
リ
l
ニはヴァl
ルブ
ルクが探究し続けた「古代の残存」を、このときまさに体現し
ていたのである
(以上の点について詳しくは次を参照
。
』om門
司訂正否穴一巾コロ巾円ミ
58
丘、之さNhHh同町、トロ号、立モモミ守史認き九九尽
み司凡町長同門きもロとな伺与さミ
SDhミ
ERHDN同NRK芝、\ミミミミh問中
ミNHhkRHNOC日1・uu∞ω甲山凶)。
ヴァ
l
ルフルクが晩年に作成していた図像パネルのなかに
は、ムツソ
リ
l
ニとライオンの写真をデユl
ラl
の作品
《ソ
ル・ユステイアエ
(正義の太陽としてのキリ
スト
)》(図2
)と
並べて比較しているものがある。そこにはライオンも登場して
いる。
この「ソル
・
ユスティアエ」の図像では
、
異教的太陽神
とキリス
ト
のイメー
ジが融合している。
ライオンを従えた写真
をはじめとして
、
ムyソリ
1
ニの政治プロパガンダには
、
古代
ギリシア・ロ
l
マに由来し
、
キリ
スト教のイメ
ー
ジ体系でも活
用されてきた象徴の活力が、このように動員されていたのだっ
た。
この場合の太陽のように、
占星術信仰できわめて重要だった
のは、黄道十
二宮のそれぞれがもっ守護星としての惑星
(太陽
と月を含む
)だった。
天王星や淘
一士足
、
冥王星が発見される以
前のヨ|口y
パ中山
では
一般に
、
白羊宮と天搬宮の'可能回生は火
星
(対応する神はマルス
)、
金牛宮と天
秤宮は
金星
(ウエヌ
ス)、双児宮と処女宮は水星
(メルクリ
ウス
)、
巨蟹宮は月
(ア
ルテミス
)、獅子宮は太陽
(アポロン
)、
謄刻宮と宝瓶詰は土星
(サトゥルヌス
)、
人馬宮と双魚宮は木星
(ユピテル)だった
。
中山に数多く
揃かれた占
星術の図像として、守護星の下に生
まれた人々の性格や職業を表わした「星の子供たち
」がある。
「火星の子供たち」の場合であれば、守護神であ
る軍神マルス
が上部に大きく柿かれ、この星に属する星座である天秤座と乙
女座のイ
メー
ジが両脇に置かれて
、
その下の地上では、火星の
子供たちが人殺しゃ獣の屠殺、戦争、略奪
、
放火なとの破壊的
な行為を繰り広げている
、
とい
っ
た具合である。
38 [ イメージの ,h~t阜] 18 I症の子供たち」の川越
星々のなかでもとくに畏怖されたのが土星だった
。
サトウル
ヌス(ギリシア神話のクロノス)は、自分の子供たちを食らう
姿で表現されること
が多かった。
クロノスは父であるウラノス
を去勢して追放したが
、
自分自身もこの父問機、わが子に権力
を奈川われると予言されたため、生まれた子供たちを次々に呑み
込んでしまった
。
それを逃れた米子ゼウス
(ロl
マ神話のユピ
テル)によってクロノスは倒されることになる
。
サト
ウルヌス(クロノス
)はこのようにかつての宇宙の支配
者であり
、
その不吉な
力は非
常に恐れられていた
。
一五世紀の
占星術師ヨl
ハン
・リヒ
テンベルカーによる予
言動聞には
、
天搬
宮における木星と土星の会合(二つ以上の惑星が、地球からの
見かけ上
、
精一道十二宮のひとつのなかで
出合うかのように見え
る現象)をめぐる予言が収められ、挿
絵の木版画では片足が俸
の義足で松葉杖をつき鎌を手にした老人として土星
(サトゥル
鵠( 苦言己戦立ナ γ憶争土のの
会戦記争争憶
現代韓国社会が失ったベト
ナム戦争参戦の記憶。それ
は特需による経済発展をも
たらし
た。
一九九九年韓国
に、韓国軍による民間人虐
殺という衝撃的事実が明ら
かになる。真実を記憶し
真
の和解を求める韓国の市民
団体の足跡を辿る。
⑨2835
円
ヌス)が、牡牛の角を力づくで押さえ込んでいる若い
男として
木星(ユピテル)が擬人化されている(図
3
)。
木星と土星の
会合は「大会合」と呼ばれ、世
界的な変動を生むとされてい
た。宗教改革期にはそれが、マルテイン・ルタ
!
の出現と結び
つけられ、ルタ1
自身もまた、サト
ウルヌス
的な怪物と見なさ
れた。
さらにこの農民戦争の時代に、大地と結びつきの強いサ
ト
ウ
ルヌス
(土星)は、権力に対して反抗する農民の象徴という意
味も帯びていた。
ヴァl
ルブルクは「
サトウルヌ
スとユピテル
が並びあって現われる様子は農民戦争のスナップショッ
ト
のよ
うに見えた」と書いている
(「ルタ|
の時代の言葉と図像におけ
る異教的
H
古代的
予言」
、
富松保文訳、ありな告房
、
五
一1
五二
頁)。「土星の子供たら」の図像には、決民
のほか、処罰
処刑
を受ける罪人や最下岡
山の被差別民たちがしばしば拙かれてい
i修イオ手メ去学 lh委主
西村清和[著]
⑨5775
円
ことばとイメー
ジの連関の
仕組についての多彩かつ混
乱した議論を精査し、「読書
とイメ
ー
ジ」「視覚的隠聡」
『小説の映画化」「〈物語る絵〉
のナラト
ロジ|
』「小説と挿
絵』の視点から、ことばと
形象の交叉がもたらす経験
とその歴史的変遷を問う。
三元社東京都文京区本郷 1.28-36 1 F
電.., 03.3814-1867 FAX03-3814-0979
[ イメー ジの記憶1 18 r星の子供たち」の川巡39
る。
サトウルヌスは社会秩序の底辺からその転覆をうかがう、
追政された至上神なのである。
ユピテルが聖なる錠を体現する存在であるのに対して、サト
ウ
ルヌスは無気味な力で強制する。
ユピテルがポリスの秩序を
守る神であるとすれば、サトウルヌスはかつての権力を奪還し
ようと図る敵対者としての「反神
(の認gmo口
)」である。
こうしたサト
ウルヌスとユピテ
ルの対立関係には、しかし、
むしろ双分的な至上権
(主権)の相補性を見るべきではないだ
ろ、っか。
それはジヨルジユ・デユメジルがインド
H
ヨーロッパ
語族の神話に見出した、荒
々し
い魔術的緊縛神と厳正な司法の
仰との対
である。
デユメジルはギ
リ
シア
神話のウラノス
(およ
びその一種の分身であるクロノス)に緊縛神の性格を認めてい
る。
また、ウラノスに対応する古代インドの主権
神ヴアルナ
は、禿頭
、脳病、臼ないし黒色、黄色い服、
そして、足が不自
由で杖をついた姿で想像されていたという
(デユメジル
『ゲル
マン
人の神話と神
々
」、松村
一男訳、ら
くま学
芸文
服、四五頁参
照)0サトウルヌスの片足を義足として描く例は必ずしも多い
わけではないものの、このイメ
ー
ジがほかならぬユピテルとの
対抗関係のなかで
登場していることに、
同時代の不穏な政治情
勢によって顕在化した、インド
H
ヨーロッパ語族の神話の古層
にまで達する「古代の残存
」が認められるかもしれない
。
占星術における星辰の神々は、古代神話にさまざまな宗教
・
哲学思想、さらに東方の占星術などが混請した状態にある
。
だ
が、まさにその重層性を通じてこそ、彼らはヨーロッパの文化
的記憶へと執拘に働きかけてきたのだ
。
ムツソリ
l
ニはこうし
た古代的象徴の力を知っていた。
サトウルヌスとユピテルの対
附する占
星術図像が農民戦争のスナップショットであ
ったとす
れば、仔ライオンを抱く車上のムツソリl
ニのスナ
ップシヨy
トは、
「ソル・ユスティアエ」の翻案であるとともに、現代に
魁った「太陽の子供たち」という占星術図像だ
ったのである。
(たなかじゅん表象文化論
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40 [ イメージの記憶J 18 I皐の子供たち」の帰逃