タヒチ帰国後のzika feverの2例

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• タヒチ(French Polynesia)から日本への2例の輸入Zika feverを報告する

• タヒチでは2013年11月に保健省がZika feverのアウトブレイクをアナウンスしており、現在6630人の疑い症例と333例の確定例が報告されている。

• アウトブレイクは現在も続いているが急性期の入院例はない(感染後のGBSの報告あり)

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症例1

• 生来健康な20代男性が12月中旬に4日間続く発熱、頭痛、関節痛と、前日から出現した皮疹を主訴に受診

• 12月上旬にボラボラ島に6日間観光のために訪れていた

• 37.2℃の微熱と体幹・四肢の皮疹を認めた

• 白血球3300、血小板14.9万と低下

• 血清のreal-time RT-PCRでZIKVが陽性でありZika feverと診断した

• 皮疹やその他の症状はその後数日以内に自然軽快した

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症例2

• 生来健康な30代女性が1上旬に5日前からの後眼窩痛、微熱と、1日前からの皮疹、掻痒感を主訴に救急外来を受診。

• 12月中旬に観光のためにボラボラ島を訪れていた

• 受診時、眼球結膜充血と体幹・四肢に皮疹を認めた

• 白血球3500、血小板14.4万と減少を認めた

• 血清のreal-time RT-PCRは陰性であったが、尿ではZIKVが検出された

• Zika IgMと中和抗体はペアで上昇した

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ちなみに症例1の皮疹

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Background

• Zika feverは主に蚊に媒介されることにより感染する発熱疾患で、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱ウイルスと同じフラビウイルス科に属する

• 発熱、頭痛、関節痛/関節炎、皮疹などの症状を特徴とする

• ウガンダのZikaの森のアカゲザルから分離されたことに由来する

• 現在は東アフリカ、西アフリカ、南アジア、東南アジア、ミクロネシアに広く分布しており、2007年にはヤップ島でのアウトブレイクが報告されている

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Case 2の系統解析

• 症例2の尿検体より得られたZIKVのE-proteinの遺伝子配列(470bp)を系統解析したところ、カンボジアで2010年に分離された株と99.1%の相同性、ヤップ島で2007年に分離された株と97.9%の相同性を示した。またアジアやミクロネシアで分離されたその他の株とも相同性が高かった。

• 一方でアフリカ起源のZIKV株とは相同性が低いことが分かった

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Discussion and Conclusion

• 今回の2症例は2013年から起こっているタヒチでのアウトブレイクに関連している

• ニューカレドニアでは26例のタヒチからの輸入例と、1例の国内発症例が報告されている

• 今回以外にもZika feverの輸入例は報告されており、これまでにセネガルからUSAへの輸入例、インドネシアからオーストラリアへの輸入例の報告があり、最近ではタイからカナダとドイツへそれぞれ輸入例が報告されている

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Discussion and Conclusion

• これまでに報告されているZika feverの症例は限られているが、軽症例が多く、自然治癒する疾患でもあり実際には診断されていない症例が多いのかもしれない

• デング熱とチクングニア熱に臨床像が似ているため、これらとの鑑別が必要である。実際、タヒチではZika feverと同時にデング熱も流行している

• 今回の2症例でも迅速キットでNS1, IgM, IgGが陰性であることと、血清遺伝子も陰性であることを確認している

• これまでZika feverでは血小板減少の報告はなかったが、今回の2症例では白血球減少に加えて軽度の血小板減少があり、デング熱や黄熱と類似した検査所見を呈することが示唆された

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Discussion and Conclusion

• 2例目は血清のウイルスは陰性であったが、尿検体からウイルスが分離された。尿検体からZikaウイルスが分離されたのは本症例が初である。

• デング熱では血清のウイルスが消失した後も尿検体からウイルスが分離されることがあり診断に有用であることが報告されているが、Zika feverでもviremiaが消失した後も尿検体を用いて診断できることが示唆された

• 現在もタヒチではアウトブレイクが続いており、流行地帰国後の皮疹を伴う発熱疾患ではZika feverを考慮すべきである。

• また流行地を旅行する際には防虫剤を使用した防蚊対策が重要である