土質力学Ⅱ~粘土の圧密No.1~ 2002/6/3
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第4章 土の圧縮と圧密 地盤の沈下を捉える
この章での学ぶこと:①地盤沈下の量を知る!②地盤沈下の時間を知る!③地盤沈下をコントロールする!
4.1 土の圧縮現象
圧縮(Compression) :土が自重や上載荷重を受け、沈下する現象この時、その沈下に時間的な問題が生じない現象。(主に砂地盤)
圧密(Consolidation):圧縮過程において間隙水を徐々に排出しながら沈下する現象。この時、時間的な問題が生じる現象。(主に粘土地盤)
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(1)飽和粘土の圧密現象→土の圧密のモデルを考えよう!
飽和した粘土を図のような容器に入れ、ポーラスストーン(透水性の良い多孔質の石)をのせて、その上部から荷重を加えることを考える。ただし、容器の側壁は剛でせん断変形はなく、起こりうる変位は主として土の体積収縮に起因する鉛直変位である。この鉛直変位は、荷重を加えた途端に生じるのではなく、時間と共に進行し、最後に一定値に落ち着く、径時変化をたどる。
ポーラス・ストーンp
飽和土
容器
飽和土の圧密
このような現象(水を入れた容器内のピストンの動きよって)をモデル化する。
土:ピストンを支えているバネの動き→土の骨格構造を表現(弾性体)間隙水:容器内の水→ この水は、ピストンに開けられた小さな孔を
通して外へ流れ出る。孔の大きさは、透水性を表現。
バネの力:有効応力、バネまたはピストンの変位:鉛直ひずみを表現p
(a) 載荷の瞬間(σ’=0,u=p)
水抜口 p
(b) 排水の途中(σ’>0,u<p)
p
(c) 最後の段階(σ’=p,u=0)
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01 ee
+∆
−=∆ε
圧密現象を物理量間隙比 e を用いることを考えて見よう!
鉛直ひずみの変化⊿εは
荷重の増加に伴う間隙比の変化
p0
p0+Δp
(1+e0)Vs
Vs(1+e0-Δe)Vs
Vs土粒子 土粒子
ΔeVs
(a) 荷重p0の時 (b) 荷重をΔpだけ増した時
水
断面積A 水
・・・ ①
問題
土の要素に圧縮力が作用し,間隙比がe0からeに変化した。このとき元の土要素の高さがH0からHになった。沈下量⊿Hを算出する式を求めよ。
土の模型
H0 H1
土粒子
ΔHe0
間隙
1
土粒子
e間隙
力
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荷重増加の各段階で圧密が完了した時に着目。→ 外荷重pと鉛直ひずみεとの関係を求めて見る。
応力と鉛直ひずみとの関係
ε
ε
mv
1
Δε
Δp
p0 p
(a) ε-p曲線
ε
ε
p0 Log p
(b) ε-log p曲線
Δε
Δlog p
0
0
0
0pplog
ee
ppplog
eC c−
=
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛ ∆+∆−
=
一方、e-logp曲線の勾配は、次式で与えられる。Ccは、圧縮指数と呼ばれており、荷重の大きさに無関係にほぼ一定値を取ることが知られている。
間隙比と応力との関係
e0
e
Δe
Δp
av
1
p(a) e-p曲線 (b) e-log p曲線
e0
e
ΔeCc
1
log p
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛ ∆+
0
0
ppp
log
p0 p0
・・・ ④
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4.3圧密沈下量を知る。(1) e-log p曲線を用いる方法
(2)体積圧縮係数mvを用いる方法
(3)圧縮指数Ccを用いる方法
・・・ ⑥
・・・ ⑦
0
0
1 eee
hS c +−
⋅= ・・・ ⑤
hpmS v ⋅∆⋅=0
001 PPlogh
eC
S cc ⋅⋅
+=
4.4 テルツァギー圧密理論 (粘土の圧密現象を計算する)
テルツァギーによる圧密理論では次の仮定を行っている。
(a) 土は均一である。
(b) 土の間隙は水で完全に飽和されている。
(c) 土粒子および水の圧縮量は無視できる。
(d) 土中の水の排出は一次元的に行われ,かつダルシーの法則が成り立つ。
(e) 土の圧縮も一次元的である。
(f) 透水係数は圧力の大きさに関係なく一定である。
(g) 小さい供試体で示される土の性質は,実際の地盤の性質と同じである。
(h) 圧密圧力と間隙比とは,微少量の範囲で直線的関係にある。
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圧密の基本方程式
圧密の最終沈下量のみを計算するには,先週の知識でこと足りるが,
圧密量の時間的関係を調べるには,粘土層中の過剰水圧の時間的
変化を解析することが必要になる。以下,Dは排水長である。
図に示すように地
中の飽和粘土層の
上下が砂層であり
粘土層中の水は上
下に排出されるもの
とし,粘土層の下端
からzの高さにあるdz× 1 × 1 なる微小六面体を考える。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・
1
1
dzH
D
D z
dz
u p
t=∞ t=0
砂
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・砂
飽和粘土
等時線
圧密の進行による間隙水圧と有効応力の相対的な割合の変化
その上下両面の水頭の差は
・・・・・・ (1)
ここに,dh :上下両面の水頭の差,du : ある時間tにおけるdzの上下面における過剰水圧の差,γw : 水の単位体積重量
よって、この微少六面体における動水勾配は,
・・・・・・ (2)
この式の負号はzの増加に伴いhは減少するからである。
w
dudhγ
=
zu
zhi
w ∂∂
−=∂∂
−=γ1
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次にダルシーの法則により間隙水の浸透流速は
v=ki ・・・・・・ (3)
ここに,v : 浸透流速,k: 透水係数
微小六面体の下面における流入速度は,
・・・・・・ (4)
微小六面体の上面における流出速度は,
・・・・・・ (5)
よって、単位時間に微小六面体から失われる流量は、断面が単
位面積であるから
・・・・・・ (6)
zukkiv
wzz ∂
∂−==γ
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛∂∂
+∂∂
−== ++ dzzu
zukkiv
wdzzdzz 2
2
γ
dzzukvv
wzdzz 2
2
∂∂
−=−+ γ
一方,nを土の単位体積当りの間隙の体積とすれば
・・・・・・ (7)
しかるに ・・・・・・ ( 8) であるから
・・・・・・ (9)
dzの厚さに対しては,
・・・・・・ (10)
(10)式の体積変化は,(6)式に示した失われた水量に等しいはずで
あるから,
・・・・・・ (11)
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ∆=
∆=
∂∂
=∂∂ pm
VVn
tpm
tn
vv
v Q'
tu
tup
tp
∂∂−
=∂−∂
=∂∂ )('
tum
tn
v ∂∂
−=∂∂
dztumdz
tn
v ∂∂
−=∂∂
2
2
2
2
zu
mk
tudz
tumdz
zuk
wvv
w ∂∂
=∂∂
∴∂∂
−=∂∂
−γγ
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ここで、 とおくと次式の圧密方程式を得る。
・・・・・・ (12)
ここに,cv: 圧密係数 (cm2/sまたはcm2/min) である。
圧密の基本方程式は,熱伝導の基本方程式と同型であり,表のよ
うに主な要素を対比することができる。
vwv
cm
k=
γ
2
2
zuc
tu
v ∂∂
=∂∂
wvaek
γ)1( +
=
熱拡散係数圧密係数cv
比熱と単位体積重量の積体積圧縮係数mv
熱伝導係数透水係数k時 間時 間t温 度間隙水圧u
熱伝導理論圧密理論記号
圧密理論と熱伝導理論の要素の比較
圧密速度の計算
ある圧密度Uzに達するまでの所用時間は,
・・・・・・ (19)
ここに,t : 圧密度Uzに達する経過時間,H : 圧密を起こす土層の排水距離,cv: 土層に加わる圧密圧力がp1からp2に増加する場合の平
均圧密係数,Tv:圧密度Uzに対する時間係数
また,ある経過時刻tにおける圧密量ΔHtを求めるには、まず
・・・・・・ (20)
から時間係数Tvを求め,次にこのTvに相当する圧密度を求めると
ΔHt=Uz・ΔH1によって計算できる。
vv
THc
t ⋅⋅= 21
2HtcT v
v =
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