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Multi-Layer Networks 4.6.2 Percolation Cascades
風間 一洋
和歌山大学
概要
• 文献[68]の内容を中心に多層ネットワークにおけるパーコレーションを議論している
[68] S. V. Buldyrev, R. Parshani, G. Paul, H. E. Stanley, and S. Havlin. Catastrophic cascade of failures in interdependent networks. Nature, 464(7291):1025–1028, 2010.
多層ネットワークの パーコレーション過程
• 層内エッジと層間エッジは意味的に同一とする
• ノード間パスは2種類のエッジを含むことができる(Buldyrev et al.の定義) 1. 接続関係エッジ(connectivity edges)
• 層内エッジ群におけるパーコレーション過程
• 単層ネットワークの場合と同一
2. 依存関係エッジ(dependency edges) • 層間エッジ群におけるパーコレーション過程
• ノード間の依存関係を表す
多層ネットワークを使った パーコレーション過程の例
• Buldyrev et al.の2層ネットワークにおけるカスケード故障の分析を説明(Fig. 7)
– Fig. 3の多重ネットワークに似た相互依存ネットワークを考える
–層内次数分布は任意
–各層のノード間に層間隣接性が存在
–確率1 − 𝑝 𝑤ℎ𝑒𝑟𝑒 𝑝 ∈ 0,1 でランダムにノードを削除
Figure.3 Zachary Karate Club Club (ZKCC) Network
多層ネットワークを使った パーコレーション過程(1)
• 上位層のノードを攻撃
多層ネットワークを使った パーコレーション過程(2)
• 攻撃されたノードを削除
• 二つの層から,その層内エッジを削除
⇒上位層の連結成分が複数の孤立集合に分解
– 𝑎11, 𝑎12, 𝑎13
多層ネットワークを使った パーコレーション過程(3)
• 下位層を更新
• 上位層で異なる連結成分に属するようになった,下位層で隣接するノード間の層内エッジを削除
⇒下位層の連結成分が複数の孤立集合に分解
– 𝑏21, 𝑏22, 𝑏23, 𝑏24
多層ネットワークを使った パーコレーション過程(4)
• 上位層を更新
• 下位層で異なる連結成分に属するようになった,上位層で隣接するノード間の層内エッジを削除
⇒より多くの孤立集合に分解
– 𝑎11, 𝑎12, 𝑎13⇒ 𝑎31, 𝑎32, 𝑎33, 𝑎34
多層ネットワークを使った パーコレーション過程
• 2層間を交互に繰り返して進行
• 二つのネットワークが定常状態に達するまで,より小さな連結成分に少しづつ分割
• 定常状態
–ある層の連結成分に含まれるノードが,他層の対応する連結成分に含まれるノードにしか依存関係がない
パーコレーション過程における ネットワークのロバスト性
• 不均一な層内次数分布を持つ相互依存ネットワークは,均一なものほどロバストではない
–単層ネットワークにおけるランダム故障とは反対
• 2層の相互依存性により,単層ネットワークのパーコレーションよりも緩やかに遷移する
相互依存ネットワークにおける パーコレーションの相転移(1)
• 図(a)~(d)で示した過程 • 層内ネットワークA, B層
– 平均次数3のERグラフ
• A層のある割合のノードが,B層のどのノードにも依存しない(孤立ノード)
• B層は孤立ノードなし – 𝑞𝐵 = 1
• x軸:A層から削除されるノードの割合
– 1 − 𝑝 • y軸: 𝐴層の孤立ノードの割合
– 1 − 𝑞𝐴
相互依存ネットワークにおける パーコレーションの相転移(2)
• 依存エッジの割合にクリティカルポイントが存在する
– 小さければ2次相転移 • 孤立ノードが多い
– 大きければ1次相転移 • 孤立ノードが少ない
コンフィギュレーションモデルの 場合の相転移の研究
[372] D. Zhou, J. Gao, H. E. Stanley, and S. Havlin. Percolation of partially interdependent scale-free networks. Phys. Rev. E, 87:052812, 2013. • ERグラフではなくコンフィギュレーションモデルでネットワークを作成 – 次数分布がベキ分布
• ハイブリッドな相転移を示す – パーコレーションパラメタ𝑝のクリティカルポイント
• 相互GCCサイズが非ゼロの極小値に不連続にジャンプ
– A層からノードを削除する割合を増大: 𝑝 → 0 • 相互GCCサイズが連続的に変化
層内エッジと層間エッジの 配置に関する研究
• 層間エッジを一様ランダムに配置しない場合[69,259]
–相互依存ネットワークはランダム故障によりロバストになる
–パーコレーションの相転移
• 一次相転移から二次相転移に変化
その他の研究
• 層内ネットワークの選択に空間制約を考慮する研究[203]
• ノードの組が相互接続した連結成分(mutually-connected component)にない場合の研究[35,311]
• ノードが接続関係エッジと/または依存関係エッジで互いに隣接している場合の研究[258]
• 相互接続した連結成分の概念を変更した場合の研究(ソースノードの導入)[230]
依存関係エッジを経由する 隣接ノードの組の例
• ある層で隣接するが,他の層では別の連結成分に属するノードの組が,依存関係エッジを介して隣接