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EViews による Durbin-Wu-Hausman 検定 説明変数の外生性に関する検定(Durbin-Wu-Hausman 検定) 説明変数が確率変数である場合を考える。説明変数と誤差項との間に相関がなければ、 最小自乗推定法を用いればよい。しかし、説明変数と誤差項との間に相関があると、2 段階最小二乗法(操作変数法)を用いることが望ましい。そこで、説明変数と誤差項の 間に相関を持つかどうかを検定する必要がある。これが、 Durbin-Wu-Hausman による「外 生性の検定(exogeneity test)」である。ここで、「説明変数が誤差項と相関を持つ場合」 には「説明変数は内生変数(endogenous variable)」であるといわれ、「説明変数が誤差 項と相関を持たない場合」には「説明変数は外生変数(exogenous variable)」であると いわれる。 次のモデルを考える。 i i i u x x y i 2 2 1 1 0 (1) ただし、 ) ( 0 ) ( , ) ( , 0 ) ( 2 2 j i u u E u E u E j i i i いま、操作変数( 2 1 , i i z z )を考え、各説明変数を操作変数に対して回帰し、 1 2 2 1 1 0 1 i i i i z a z a a x (2) 2 2 2 1 1 0 2 i i i i z b z b b x (3) (2)式と(3)式をOLSで推定した場合の、推定残差を、それぞれ 2 1 , i i e e で示す。 これらの推定残差を用いて、次式をOLSで推定する。 i i i i i i u e e u x x y i 2 4 1 3 2 2 1 1 0 (4) ここで、次の帰無仮説と対立仮説を考える。 0 0 : 0 : 4 3 4 3 0 or H H A 帰無仮説は「すべての説明変数は外生変数」であることを表し、対立仮説は「少なくと も一つの説明変数は外生変数ではない」ことを表している。(1)式において各説明変 数( 2 1 , i i x x )が外生変数であれば(4)式で付け加えられた( 2 1 , i i e e )はあまり説明力 が無いはずである。 したがって、帰無仮説が採択されると「すべての説明変数は外生変数」であり、帰無仮 説が棄却されると「少なくとも一つの説明変数は外生変数ではない」となる。この検定 はワルド検定によって行われる。今の例では、ワルド検定統計量は自由度2のカイ自乗 分布にしたがう(自由度は制約の数と等しい)。 EViews による Durbin-Wu-Hausman 検定 教科書、例題3-1のデータに基づき、日本経済の消費関数の分析を行う。ここで、 被説明変数は消費(C)、説明変数は、所得(Y)と利子率(r)である。

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EViews による Durbin-Wu-Hausman 検定

説明変数の外生性に関する検定(Durbin-Wu-Hausman 検定)

説明変数が確率変数である場合を考える。説明変数と誤差項との間に相関がなければ、

最小自乗推定法を用いればよい。しかし、説明変数と誤差項との間に相関があると、2

段階最小二乗法(操作変数法)を用いることが望ましい。そこで、説明変数と誤差項の

間に相関を持つかどうかを検定する必要がある。これが、Durbin-Wu-Hausman による「外

生性の検定(exogeneity test)」である。ここで、「説明変数が誤差項と相関を持つ場合」

には「説明変数は内生変数(endogenous variable)」であるといわれ、「説明変数が誤差

項と相関を持たない場合」には「説明変数は外生変数(exogenous variable)」であると

いわれる。

次のモデルを考える。

iii uxxyi

22110 (1)

ただし、 )(0)(,)(,0)( 22 jiuuEuEuE jiii 。

いま、操作変数( 21, ii zz )を考え、各説明変数を操作変数に対して回帰し、

1221101 iiii zazaax (2)

2221102 iiii zbzbbx (3)

(2)式と(3)式をOLSで推定した場合の、推定残差を、それぞれ 21, ii ee で示す。

これらの推定残差を用いて、次式をOLSで推定する。

iiiiii ueeuxxyi

241322110 (4)

ここで、次の帰無仮説と対立仮説を考える。

00:

0:

43

430

orH

H

A

帰無仮説は「すべての説明変数は外生変数」であることを表し、対立仮説は「少なくと

も一つの説明変数は外生変数ではない」ことを表している。(1)式において各説明変

数( 21, ii xx )が外生変数であれば(4)式で付け加えられた( 21, ii ee )はあまり説明力

が無いはずである。

したがって、帰無仮説が採択されると「すべての説明変数は外生変数」であり、帰無仮

説が棄却されると「少なくとも一つの説明変数は外生変数ではない」となる。この検定

はワルド検定によって行われる。今の例では、ワルド検定統計量は自由度2のカイ自乗

分布にしたがう(自由度は制約の数と等しい)。

EViews による Durbin-Wu-Hausman 検定

教科書、例題3-1のデータに基づき、日本経済の消費関数の分析を行う。ここで、

被説明変数は消費(C)、説明変数は、所得(Y)と利子率(r)である。

EViews において、「File」→ 「New」→ 「Workfile」において下記のように、入力

する。まず、「Workfile structural type」の右側の矢印をクリックし、「Dated-regular

frequency」を選択する。次に、「Start Data」を「1994」,「End date」を「2006」と

し、OKをクリックする。

すると、次の画面が現れ、作業が可能となる。

ここで、「Quick」をクリックし、「Empty Group (Edit Series)」を選択する。

下記の画面が現れるので、消費(CONS)、所得(Y)、及び利子率(R)の値を入力する。

実際には、エクセルの表をコピー&ペイストすればよい。

Durbin-Wu-Hausman 検定の ここでは操作変数として Y(-1), R(-1)を考える。

Step 1: 残差の計算

「Quick」をクリックし、「Estimate Equation」を選択し、Y を「定数項、Y(-1), R(-1)」

で回帰する。

「OK」を押すと、次の結果が現れる。

この残差を保存するために、「PROC」→「Make Residual Series」を選ぶと

次の画面が現れる。

「OK」を押すと次の画面が現れ、推定残差が「resid01」という名前で保存される。

Step 2:残差の計算

同様に、「Quick」をクリックし、「Estimate Equation」を選択し、R を「定数項、Y(-1),

R(-1)」で回帰する。

「OK」を押すと、次の結果が現れる。

この残差を保存するために、「PROC」→「Make Residual Series」を選ぶと

次の画面が現れる。

「OK」を押すと次の画面が現れ、推定残差が「resid02」という名前で保存される。

Step 3:検定統計量の計算

「Estimate Equation」を選択し、CONS を「c Y R resid01 resid02」で回帰する。

「OK」を押すと、次の結果が現れる。

Resid01 と resid02 の係数が0であるかどうかを検定するために、「View」→「Coefficient

Diagnostics」→「Wald test」を選択する。

次の画面が合わられるので、

「c(4)=c(5)=0」を入力する。

「OK」を選択すると次の結果が得られる。

この結果から、カイ自乗統計量は 2.5864 であり、そのP値は 0.2744 である。つまり、

有意水準5%のもとでは、帰無仮説が採択され、説明変数は外生変数であるという帰無

仮説を棄却できないことがわかる。