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伊丹市国民健康保険 2 特定健康診査等実施計画 平成25年4月 伊丹市国保年金課

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伊丹市国民健康保険

第 2 期 特定健康診査等実施計画

平成25年4月

平成25年4月

伊丹市国保年金課

第2期特定健康診査等実施計画

もくじ

序 章 計画策定にあたって

1 計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2 生活習慣病予防対策の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1)生活習慣病予防に着目する意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2)伊丹市における生活習慣病予防対策の必要性・・・・・・・・・・・・・2

3)生活習慣病予防においてメタボリックシンドロームに着目する意義・・・4

3 特定健診・特定保健指導の基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・5

1)第1期で示された基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2)第2期で新たに追加された考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

4 計画の性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

5 計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

6 計画における対象者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

第1章 伊丹市の概況と健康課題

1 伊丹市国民健康保険の加入状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2 健康課題の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

1)医療費の状況からみた健康課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

2)伊丹市国保特定健診の実施結果からみた健康課題・・・・・・・・・・・9

(1)特定健診結果の有所見者割合からみた健康課題・・・・・・・・・・・9

(2)特定健診結果有所見者の内訳からみた健康課題・・・・・・・・・・・10

第2章 第1期の評価

1 目標達成状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

1)実施に関する目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

(1)特定健診実施率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

(2)特定保健指導実施率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

2)成果に関する目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

(1)内臓脂肪症候群(該当者及び予備群)減少率・・・・・・・・・・・・14

2 目標達成に向けた取り組み状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

1)伊丹市国保特定健診結果からわかる特定健診実施の効果・・・・・・・・15

2)特定健診実施率向上の方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

(1)実施した方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

(2)未受診理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

(3)第 2期実施計画に向けた必要な方策・・・・・・・・・・・・・・・・17

3)特定保健指導実施率向上の方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

(1)実施した方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

(2)特定保健指導未利用の理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

(3)第 2期実施計画に向けた必要な方策・・・・・・・・・・・・・・・・19

4)メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少方策・・・・・・・・・20

(1)市内フィットネス事業者との連携による事業・・・・・・・・・・・・20

(2)健康増進事業との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

第3章 特定健診・特定保健指導の実施

1 達成しようとする目標値の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

2 対象者の見込み数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

3 特定健診の実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

1)実施体制等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

2)特定健診の実施契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3)特定健診の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

4)伊丹市国保特定健診実施項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

(1)伊丹市国保特定健診の独自健診項目を追加する意義・・・・・・・・・ 24

①HbA1cおよび空腹時血糖

②血清尿酸

③血清クレアチニン

④安静時心電図

⑤貧血検査(赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット)

5)周知、案内方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

6)受診券の交付方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

7)受診券の書式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

8)未受診者等対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

9)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

4 保健指導の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

1)保健指導対象者選定の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

2)特定保健指導の実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

(1)実施体制等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

(2)特定保健指導の実施契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

(3)特定保健指導の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

(4)特定保健指導対象者の選定と階層化・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

(5)特定保健指導の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

(6)特定保健指導利用券の交付方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

(7)特定保健指導利用券の書式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

3)特定保健指導以外の保健指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・34

(1)適切な医療を受けるための保健指導・・・・・・・・・・・・・・・・・34

①糖尿病予防

②循環器疾患予防

ア.高血圧

イ.脂質異常

(2)慢性腎臓病(CKD)発症・進展予防の保健指導 ・・・・・・・・・・・・37

5 外部委託基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

6 実施スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

第4章 特定健診・特定保健指導の結果の通知と保存、報告

1 特定健診・特定保健指導のデータの形式・・・・・・・・・・・・・・・・40

2 特定健診・特定保健指導の記録の管理・保存期間について・・・・・・・・40

1)記録の管理について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

2)記録の保存期間について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

3)結果の保存方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

3 個人情報保護対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

4 特定健診・特定保健指導の実績報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

第5章 特定健康診査等実施計画の公表・周知及び評価・見直しに関して

1 計画の公表・周知について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

2 計画の評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

第6章 他の保健事業との連携

1 第2次健康日本21における医療保険者の役割・・・・・・・・・・・・・42

2 がん検診および肝炎ウイルス検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

3 その他の保健事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

1)健康度アップ相談会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

2)ダイエット教室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

参考資料

1 高齢者の医療の確保に関する法律(抜粋)・・・・・・・・・・・・・・・・・44

2 外部委託の委託基準 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

3 個人情報保護に関する規定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

4 特定健診結果判定の基準値一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

5 用語の解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

1

序 章 計画策定にあたって

1 計画策定の趣旨

わが国は、国民皆保険の下、誰もが安心して医療を受けることができる医療

保険制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた。

しかしながら、急速な少子高齢化、経済の低成長、国民の生活や意識の変化等、

医療を取り巻く様々な環境が大きく変化してきており、国民皆保険を将来にわ

たって堅持し続けるためには、国民の生活の質の維持向上を確保しながら、今

後、医療費が過度に増大しないことが必要とされる。

国は、このような状況に対応するため、平成18年の医療制度改革によって、

医療費の伸びの抑制を図ることを目標とした、具体的で実行性のある制度を創

設した。

特に、生活習慣病を中心とした疾病の予防を重視することが、誰しもの願

いである健康・長寿を確保しつつ、医療費の伸びの抑制にも資することから、

糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満症等(以下「糖尿病等」という。)の生活

習慣病予防のための健診および保健指導を充実させることを目的として、医療

保険者に特定健康診査及び特定保健指導の実施を義務づけた。

このような医療制度改革を背景に、伊丹市国民健康保険では、「高齢者の医

療の確保に関する法律(以下「法」という。)」第19条に基づき、平成20年

度からの5年を第1期とした「特定健康診査等実施計画」を策定し、40歳以

上の被保険者を対象として、糖尿病等の生活習慣病予防に着目した健診(以下、

「特定健診」という。)及び健診の結果により健康の保持に努める必要がある

者に対する保健指導(以下、「特定保健指導」という。)を実施してきた。

本「第2期特定健康診査等実施計画」は、国の定める「特定健康診査等基

本指針(以下「基本指針」という。)」(法第18条)に基づき、制度創設の趣

旨や第1期特定健康診査等実施計画の評価等を踏まえ、伊丹市の地域特性や健

康実態に即した事業の展開を図り、糖尿病等の生活習慣病に係る医療費の伸び

を抑制することを目的として策定したものである。

2

2.生活習慣病予防対策の必要性

1)生活習慣病予防に着目する意義

国民の受療の実態は、高齢期に向けて生活習慣病の外来受療率が徐々に増加

し、次に75歳頃を境にして生活習慣病を中心とした入院受療率が上昇している。

これを個人に置き換えてみると、不適切な食生活や運動不足等の不健康な生活

習慣がやがて糖尿病等の生活習慣病の発症を招き、外来通院及び投薬が始まり、

生活習慣の改善がないままに、その後こうした疾患が重症化し、心筋梗塞などの虚

血性心疾患や脳卒中等の発症に至るという経過をたどる。

このため、個人の健康づくりの基盤となっている生活習慣をとらえ、その

改善に向けた予防対策を進めることによって発症しない境界域の段階で留め

ることができれば通院患者を減らすことができ、すでに生活習慣病を発症し

ている者に対しても重症化や合併症の発症を予防し入院患者を減らすことに

つながる。その結果、国民の生活の質の維持及び向上を図りながら医療費の

伸びの抑制を実現することが可能となるのである。

2)伊丹市における生活習慣病予防対策の必要性

伊丹市国民健康保険において、平成23年6月審査分の生活習慣病4疾病(高血

圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管疾患)の診療費は、約2億2,100万円であった。

このことから、年間の診療費は、約26億5,200万円となり、伊丹市国保の年間総診

療費の約20%を占めている。

図1「総医療費に占める生活習慣病4疾病診療費の割合」は、平成20年から毎

年増加傾向にある。一方、県内市町国保全体の総医療費に占める生活習慣病4疾

病診療費の割合は横ばいで推移していることから、特に、伊丹市国保被保険者で

は生活習慣病予防対策の必要性が高いことが明らかである。

3

図1 総診療費に占める生活習慣病4疾病診療費の割合 (6月審査分の比較)

*生活習慣病4疾病=高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管疾患

さらに、生活習慣病レセプト件数に占める重症化疾患レセプト件数の割合と、糖

尿病レセプトに占める糖尿病合併症レセプト件数の割合を県内市町全体と比較し

てグラフで示したものが図2「生活習慣病レセプト件数に占める重症化疾患・糖尿病

合併症レセプト件数割合の県平均との比較(6月審査分)」である。このグラフから、

伊丹市は県内市町全体と比較して高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣

病が重症化して起こる疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病合併症)の診療

割合が高い傾向にあり、伊丹市において生活習慣病の重症化予防対策が重要で

あることがわかる。

図2 生活習慣病レセプト件数に占める重症化疾患・糖尿病合併症レセプト件数割合の

県平均との比較 (6月審査分)

重症化疾患・糖尿病合併症のレセプト件数の割合

0

2

4

6

8

10

12

14

脳血管疾患 虚血性心疾患 糖尿病性神経障害

糖尿病性網膜症

糖尿病性腎症

人工透析

H20 伊丹市H21 伊丹市

H22 伊丹市

H23 伊丹市H24 伊丹市H20 県

H21 県H22 県H23 県

H24 県

割合

0

5

10

15

20

25

伊丹市 市町計 県計

H20~H23 H20~H23 H20~H23

(%)

H H H H H H H H H H H H

20 20 20 21 21 21 22 22 22 23 23 23

4

3)生活習慣病予防においてメタボリックシンドロームに着目する意義

特定健診・特定保健指導の制度においては、メタボリックシンドロームに着目する

点に特色がある。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として、

高血糖、脂質異常、高血圧を呈する病態であり、それぞれが重複した場合には心

血管疾患、脳血管疾患等の発症リスクが高く、内臓脂肪を減少させることでそれら

の発症リスクの低減が図られるという考え方を基本としている。つまり、内臓脂肪型

肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧は予防可能であり、また、発症し

てしまった後でも、血糖、血圧等をコントロールすることにより、心筋梗塞

等の心血管疾患、脳梗塞等の脳血管疾患、人工透析を必要とする腎不全など

への進展や重症化を予防することは可能であるというという考え方である。

また、図3「メタボリックシンドローム該当者・予備群と年間平均医療点数

の関係」に示すように、厚生労働省が平成21年度の特定健診結果と平成22

年4月~平成23年3月診療分のレセプトとの突合をした約269万人のデ

ータから、メタボリックシンドローム該当者と予備群の年間平均医療点数は、

非該当の人と比較して8~10万円程度高い傾向にあることがわかった。

この結果から、メタボリックシンドロームの解消のために取組むことは、医

療費の伸びの抑制につながることがわかる。

図3 メタボリックシンドローム該当者・予備群と年間平均医療点数の関係 参照)厚生労働

4

5

3 特定健診・特定保健指導の基本的な考え方

1)第1期で示された基本的な考え方

図4 特定健康診査・特定保健指導の基本的な考え方

2)第2期で新たに追加された考え方

第2期特定健康診査等実施計画においては、第1期の枠組みを維持し、引き

続き国及び保険者において、実施率の向上に向けた取組みを推進することとさ

れた。

また、保険者の新たな取組みとしては腹囲を基準としたリスクを有する者への

対応が重要とした上で、特定保健指導の対象にはならないがリスクを有する者へ

の対応も重要視されている。

具体的には、非肥満でリスク(血圧、血糖及び脂質が基準値を超えていること

並びに喫煙歴があることを指す)がある者については、その態様に応じて保健指

導を行う必要性や、特に受診勧奨判定値以上の者に適切に健診結果の情報提

供を行うことの重要性が、第2期においては認識されている。

6

4 計画の性格

この計画は、法第19条に基づき、国が定める基本指針に即して、伊丹市国

民健康保険が特定健康診査および特定保健指導の実施に関する事項を定める

ものであり、国の健康づくりの方針(第2次健康日本21)、兵庫県医療費適

正化計画及び伊丹市健康づくり計画との調和や整合性を図るものとする。

5 計画の期間

この計画の期間は、法第19条第1項に基づき、5年を一期とし、平成25年

度から平成29年度までの5年間とする。

6 計画における対象者

この計画における対象者は、法第20条に基づき、伊丹市国民健康保険の被

保険者であって、特定健康診査の実施年度中に40歳から75歳となる者とす

る。

7

第1章 伊丹市の概況と健康課題

1.伊丹市国民健康保険の加入状況

男性 女性 計

総人口 96,810 100,243 197,053

国保被保険者数 25,615 26,492 52,107

国保加入率 26.5 26.4 26.4

40~74歳

人口 42,883 44,813 87,696

国保被保険者数 16,884 18,175 35,059

国保加入率 39.4 40.6 40.0

表1 伊丹市国保の加入状況 (平成23年4月1日現在) (人、%)

伊丹市国民健康保険の加入状況は、表1「伊丹市国保の加入状況」のとおりで、

特定健診等の対象者となる40歳~74歳の者の約4割が伊丹市国保被保険者

である。また、伊丹市国保被保険者の状況について、性・年齢階級別に示すと、

図5「伊丹市国保の性・年齢階級別加入者数」のとおりで、65歳~74歳の前

期高齢者の割合が高いことがわかる。

男性

男性

739

788

950

991

1,073

1,198

1,312

1,680

1,652

1,391

1,128

1,453

3,368

4,002

3,890

01,0002,0003,0004,0005,000

 0~4

 5~9

10~14

15~19

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70~74

女性

699

798

918

909

946

1,116

1,293

1,638

1,630

1,315

1,115

1,580

3,723

4,542

4,270

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

図5 伊丹市国保の性・年齢階級別加入者数(平成23年4月1日現在)

8

2.健康課題の現状

1)医療費の状況から見た健康課題

平成23年 1 月~12月の 1 年間の伊丹市国保被保険者のレセプトから、1 件400

万円以上の高額なレセプト(36件)を抽出して検証すると、表2「1 件400万円以

上の高額レセプトの原因となる疾患」のとおり、生活習慣病の関与が強いと予測される

ものは58.3%(21件)であった。また、この21件について、どのような生活習

慣病を有しているのかを調べたところ、表3「400万円以上の高額レセプトの背景に

ある生活習慣病」に示すとおり、高血圧症が最多であった。

さらに、これらのうちで、定期的な診療も健診受診もしていなかった者は、約

4割であることがわかった。

生活習慣病の多くは自覚症状がないままに進行し、重症化して初めて自覚症状が出るとい

う特徴がある。医療費の伸びを抑えるためには、生活習慣病の重症化によって、高額な医療費

を必要とする者を予防することが重要であるが、特に定期的な健康管理が必要であることがわ

かる。

表2 1件400万円以上の高額レセプトの原因となる疾患 (件・%)

疾患

生活習慣病の重症化による疾患 その他 合

計 大動脈疾患 虚血性心疾患 その他の

心疾患

脳血管

疾患 がん、白血病等

件数 7 6 6 2 15 36

割合 58.3% 41.7% 100

表3 400万円以上の高額レセプトの背景にある生活習慣病 (重複あり)

疾患名 高血圧症 脂質異常症 糖尿病 高尿酸血症 不明 腎不全(再掲)

人数 17 6 6 3 2 5

生活習慣病の関与が強い

21件に占める割合

81.0% 28.6% 28.6% 14.3% 9.5% 23.8%

9

2)伊丹市国保特定健診の実施結果からみた健康課題

(1)特定健診結果の有所見者割合からみた健康課題

平成20年度~23年度に実施した伊丹市国保特定健診において、各健診項

目における有所見者の割合を経年で比較し、さらに、県内市町全体と比較した

内容をグラフで示したものが図6-1~3「伊丹市国保特定健診における有所見

者割合」である。

図6-1 伊丹市国保特定健診における有所見者割合(男性)

図6-2 伊丹市国保特定健診における有所見者割合 (女性)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

腹囲 BMI ALT

(GPT)

中性

脂肪

HDL LDL 血糖 HbA1c 収縮期

血圧

拡張期

血圧

尿酸 尿蛋白 クレアチニン

H20 伊丹市 H21 伊丹市 H22 伊丹市 H23 伊丹市 H20 市町計 H21 市町計 H22 市町計 H23 市町計

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

腹囲 BMI ALT

(GPT)

中性

脂肪

HDL LDL 血糖 HbA1c 収縮期

血圧

拡張期

血圧

尿酸 尿蛋白 クレアチニン

H20 伊丹市 H21 伊丹市 H22 伊丹市 H23 伊丹市 H20 市町計 H21 市町計 H22 市町計 H23 市町計

10

図6-3 伊丹市国保特定健診における有所見者割合 (総数)

平成20年度~平成23年度の経年変化にみる有所見者の状況は、尿酸、尿蛋白、

クレアチニン等の腎臓の機能に関する健診結果の有所見者は減少しておらず、県内市

町と比較しても多い傾向にある。また、高血糖状態を示す血糖・HbA1cヘモグロビンエイワンシー

の有所

見者割合も増加傾向にある。さらに、肥満の指標となる腹囲、BMI も県内市町と比較

すると多いことがわかる。一方、中性脂肪・血圧については減少傾向ではあるが、県

平均と比較するといずれも高い傾向にあった。

つまり、これらのことから伊丹市国保の被保険者は、高血圧症、糖尿病、腎機能低

下の予防に重点を置いた対策が必要であり、エネルギー摂取過多による肥満や内臓脂

肪蓄積の解消に引き続き取組む必要があることがわかる。

また、LDL コレステロールを除いて、男性のほうが女性よりも有所見者の割合が多

く、危険度が高いことがわかる。

(2)特定健診結果有所見者の内訳からみた健康課題

伊丹市国保特定健診受診者の健診結果において有所見者の状況から課題

と考えられる高血圧、脂質異常、高血糖のそれぞれについて、有所見者の

詳細な状況を示したものが、図7-1~3である。

高血圧では、有所見者の割合が減少していても、Ⅱ度~Ⅲ度の重症化しやすい値

の人の割合は変化がなく、最も重症度が高いⅢ度高血圧の者の7割近くが未治療者で

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

腹囲 BMI ALT

(GPT)

中性

脂肪

HDL LDL 血糖 HbA1c 収縮期

血圧

拡張期

血圧

尿酸 尿蛋白 クレアチニン

H20 伊丹市 H21 伊丹市 H22 伊丹市 H23 伊丹市 H20 市町計 H21 市町計 H22 市町計 H23 市町計

BMI

11

ある点が課題であり、重症化予防の支援が必要である。

また、脂質異常については、有所見者の割合が高いものの受診勧奨値である

160mg/dl 以上の人の割合は年々減少している。しかし、重症化しやすい 180mg/dl 以

上の人の約9割が未治療者である点が課題である。

さらに、高血糖に関する健診項目である HbA1c の有所見者が増加傾向であるが、そ

の内訳をみると治療の必要ないが改善が必要な 5.2~6.0%の人が増えており、合併症

リスクが高くなる HbA1c7.0%以上の人については改善していない。この点で、高血糖

に関する合併症予防の支援の重要性がわかる。

図7-1 伊丹市国保特定健診結果における血圧有所見者の年次推移

図7-2 伊丹市国保特定健診結果における脂質異常有所見者の年次推移

12

図7-3 伊丹市国保特定健診結果における HbA1c 有所見者の年次推移

第2章 第1期の評価

1.目標達成状況

1)実施に関する目標

(1)特定健診実施率

第 1期特定健康診査等実施計画において国は、市町村国保が第1期最終年度の平成

24年度には、40歳から74歳までの対象者の65%以上が特定健診を受診するこ

とを目標として定めている。

伊丹市国保特定健診の実施率は、表4「特定健康診査の実施状況」のとおり、実施

率は増加傾向にあるが、国が定める目標値に対してかなり低い水準となっている。ま

た、県内市町国保の平均をも下回っている。

さらに、図8「平成20年度からの年齢別受診率の推移」から明らかなように、若

い世代の受診者数が少ないことが課題となっている。

表4 特定健康診査の実施状況

平成 20年度 平成 21年度 平成 22 年度 平成 23 年度

目標 23% 30% 40% 50%

実績 23.3% 27.1% 27.5% 27.5%

県市町平均 30.5% 29.7% 30.2% 31.6%

13

図8 平成20年度からの年齢別受診率の推移

(2)特定保健指導実施率

第 1期特定健康診査等実施計画において国は、市町村国保が第1期最終年度の平成

24年度には、必要とされる対象者の45%以上が特定保健指導を利用することを目

標として定めている。

伊丹市国民健康保険における特定保健指導の実施率は、表5「特定保健指導の実施

状況」のとおり増加傾向にあるが、国が定める45%の目標値に対して低い水準とな

っており、県内市町国保の平均をも下回っている。

表5 特定保健指導の実施状況

平成 20年度 平成 21年度 平成 22年度 平成 23年度

目標 20% 25% 30% 40%

実績 2.7% 8.7% 8.7% 14.1%

県市町平均 16.4% 20.3% 17.6% 18.7%

20年度からの特定健診受診率の推移

8.6%

8.0%

9.1%

11.8%

15.4%

27.6%

29.3%

9.9%

10.6%

11.1%

13.4%

19.5%

32.1%

35.6%

11.1%

10.4%

12.5%

14.9%

22.1%

31.4%

35.8%

11.0%

10.9%

11.4%

14.6%

24.9%

32.9%

37.8%

0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%60.0%70.0%

40-44

45-49

50-54

55-59

60-64

65-69

70-74

H23

H22

H21

H209.2%

11.1%

14.4%

18.1%

25.3%

34.0%

34.2%

12.8%

13.9%

16.4%

21.5%

28.8%

38.5%

38.8%

14.2%

15.8%

17.8%

22.5%

30.2%

37.4%

40.3%

12.4%

14.6%

17.0%

24.0%

32.0%

38.2%

40.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70~74歳

男性 女性国の目標値 国の目標値

14

2)成果に関する目標

(1)内臓脂肪症候群(該当者及び予備群)減少率

国は、制度開始の平成20年度と比較して、第1期最終年度である平成24年度に

は、内臓脂肪症候群の該当者及び予備群の数を10%減少することを目標として定め

ている。

内臓脂肪症候群の減少率は、次の算定式に基づき評価することとされている。

算定式

1-

条件 ○該当者及び予備群の数は、健診実施率の高低で差が出ないよう、実数ではなく、健診受

診者に含まれる該当者及び予備群の者の割合を対象者数に乗じて算出したものとする。

○なお、その際に乗じる対象者数は、各医療保険者における実際の加入者数ではなく、メ

タボリックシンドロームの減少に向けた努力が被保険者の年齢構成の変化(高齢化効果)

によって打ち消されないよう、年齢補正(全国平均の性・年齢構成の集団に、各医療保険

者の性・年齢階層(5歳階級)別メタボリックシンドロームの該当者及び予備群が含まれ

る率を乗じる)を行う。

なお、伊丹市国保特定健診受診者の内臓脂肪症候群(該当者及び予備群)の人数と

割合は、表6「内臓脂肪症候群(該当者及び予備群)の人数・割合」のとおりである。

表6 内臓脂肪症候群(該当者及び予備群)の人数・割合

平成 20年度 平成 21年度 平成 22年度 平成 23年度

該当者 1,244人

16.6%

1,451人

16.5%

1,530人

17.0%

1,527人

16.9%

予備群 902人

12.0%

1108人

12.6%

1,034人

11.5%

1,063人

11.7%

当該年度の健診データにおける該当者及び予備群の数

基準年度の健診データにおける該当者及び予備群の数

15

2.目標達成に向けた取り組み状況

1)伊丹市国保特定健診結果からわかる特定健診実施の効果

表7「平成23年度伊丹市国保特定健診受診者の受診回数別健診結果」より、健診を継

続して受診している者の健診結果と、初めて受診した者の健診結果には、明らかな差が認

められ、初めて健診を受診した者の方が継続して受診している者よりも、基準値を超える割

合が高かった。つまり、特定健診を受診することが、生活習慣病予防の最も重要な対策とな

っていると言える。

表7 平成23年度伊丹市国保特定健診受診者の受診回数別健診結果

受診勧奨値のうちガイドラインを踏まえた受診勧奨対象者

継続受診者

(過去に 1 回以上受診が

ある者)

H23 年度

初めて受診者

項目

基準値

(受診勧奨値)

基準値を超えた者の割合 基準値を超えた者の割合

身体の大きさ

BMI 25 以上 22.9% 26.2%

腹囲 85or90 以上 31.6% 34.9%

血管が

傷む

(動脈

硬化の

危険因

子)

内臓脂肪

中性脂肪 400 以上 0.8% 1.6%

HDL コレステロール 34 以下 1.2% 1.2%

インスリン

抵抗性

血糖

空腹時血糖 126 以上 17.9% 26.0%

HbA1c 6.5 以上 5.1% 6.1%

計 19.3% 27.2%

血管を

傷つける

血圧

収縮期 160 以上 4.6% 7.2%

拡張期 100 以上 1.6% 4.2%

計 5.3% 9.0%

その他の動脈硬化

危険因子

LDL コレステロール 160 以上 11.5% 13.3%

腎機能

尿蛋白 2+以上 1.6% 1.5%

eGFR 50or40 未満 1.7% 2.1%

尿酸 9.0 以上 0.4% 1.1%

16

2)特定健診実施率向上の方策

(1)実施した方策

特定健診の受診を普及し、実施率を向上させることを目的として実施した内容は、

表8「特定健診実施率向上対策」に示すとおりである。

表8 特定健診実施率向上対策

周知方法 ・ 受診券送付時の案内文書の創意工夫

・ 受診券送付時の封筒をオレンジ色にして目立つようにし、開封し

なくても案内の内容がわかるように表記を工夫した。

・ 広報伊丹への掲載と特集記事の作成

・ ポスター作成

・ 自治会回覧の活用

・ 市内医療機関、歯科医院に案内文書設置の協力を得た

受診勧奨 ・ 未受診者への電話による受診勧奨

・ 前年度受診者で当該年度未受診者への受診勧奨ハガキの送付

・ 新規対象者である、当該年度中に40歳になる者へのハガキによ

る受診勧奨

利便性の向上 ・ 健診受診時の自己負担金の無料化

・ 集団健診において日曜日の健診を実施し、平日受診できない人

が受診機会を得られるように対応した

・ 集団健診において、前立腺がん検診・大腸がん検診を同時に実

施できるようにし、要望の多かったセット健診を実施した。

・ 市の成人の健康づくりを実施する部門と、国保特定健診担当の窓

口を一体化することで、市民の健診に関する問合せ窓口を一元

化し、迅速に対応できる組織を構築した。

17

(2)未受診理由

平成24年度に、特定健診・特定保健指導の制度開始から一度も健診を受

診したことがない対象者に対して電話による受診勧奨を行い、併せて未受診の

理由も調査した。その結果は表9「特定健診未受診の理由」のとおりである。

最も多かったのは、「時間の都合がつかない」というもので、仕事が不定期

であったり、日曜日しか休みがない等、健診受診をする時間的な余裕がないと

いう理由が多かった。また、「医療機関で既に何らかの疾患の治療を受けてい

るため、健診は必要ない」、「健康だから必要ない」という理由も多かった。

表9 特定健診未受診の理由(平成24年度)

(3)第2期実施計画に向けた必要な方策

① 受診しやすい実施体制をつくる。

② 治療中の者にも健診を実施してもらえるような働きかけ。

③ 自覚症状が無い状態でも健診を継続して受診する必要性や、健診結果の数値が示

す意味について理解を得られるように啓発する取り組みの強化。

④ 他の機関で健診を受診した者について、健診結果の提出を受けられるような仕掛け

づくり。

時間の都合がつかない 223 29.0%

医療機関で治療中 187 24.4%

健康だから健診は必要ない 139 18.1%

他の機関で健診を受けた 69 9.0%

制度をしらなかった 28 3.6%

面倒だった 19 2.5%

身体の調子が悪い 14 1.8%

その他 89 11.6%

合計 768 100.0%

18

3)特定保健指導実施率向上の方策

(1)実施した方策

特定保健指導の実施率を向上させることを目的として実施した内容は、表

10「特定保健指導実施率向上対策」に示すとおりである。

市の成人の健康づくりを実施する部門と国保特定健診担当を一体化した組織を構

築することにより、生活習慣病のリスクが高い者について効果的に特定保健指導の利

用を勧奨することが可能になった。

表10 特定保健指導実施率向上対策

個別の利用勧奨 ・ 積極的支援該当者について、保健師が電話による利用勧奨を

実施。

⇒家庭訪問により、メタボリックシンドロームの改善の必要性を説

明し、特定保健指導の利用を勧奨

・ 動機付け支援該当者について、保健師が電話による利用勧奨を

実施。

適切な医療を受ける

ための勧奨

・ 特定保健指導の該当者であって、特定健診結果が受診勧奨判

定値を超えている者については、重症化を予防するために

治療が必要であることを健診結果に基づいて説明した。

(2)特定保健指導未利用の理由

平成23年度に特定保健指導の対象者となったが利用しなかった者に対して未利

用の理由を調査した結果は、表11「平成23年度特定保健指導未利用者アンケート

結果」のとおりである。この結果が示すように、自分自身で体調管理をしていると回

答した者、保健指導の必要性を全く感じていない者を合わせると49.5%であり、

健診結果や、予防の必要性について正しい理解が得られるような対策が必要である。

19

表11 平成23年度特定保健指導未利用者アンケート結果 (複数回答)

(3)第2期実施計画に向けた必要な方策

① 第1期に引き続き、特定保健指導(動機付け支援・積極的支援)該当者で、未利用者に

対して、健診結果について正しく認識し、生活習慣の改善が必要であることを理解して

もらうために、特定保健指導の利用勧奨をすることが必要である。

② 第1期に引き続き、特定保健指導該当者で、すでに治療が必要となる検査数値を呈し

ている者については、健診結果について正しく認識し、適切な医療を受ける必要性に

ついて保健指導を行い、重症化を予防する。

③ 特定保健指導対象者の利便性を勘案し、外部委託だけではなく、利用しやすい事業展

開を図る必要がある。

回答数 347

内訳 件数 %

体調管理のため、自分で運動や食事などに気をつけている 149 42.9%

忙しくて時間がない。 51 14.7%

保健指導の必要性を全く感じない。 23 6.6%

受診後に服薬治療を開始した 22 6.3%

(内訳) 高血圧 4

脂質異常 6

糖尿病 2

内容不明 10

すでに特定保健指導を利用している 21 6.1%

実施している病院に行くのが遠い、抵抗がある。 17 4.9%

その他 64 18.5%

20

4)メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少方策

(1)市内フィットネス事業者との連携による事業

メタボリックシンドロームの予防・解消を目的とした運動指導について、民間

事業者の持つノウハウを活用することを目的に、平成24年度から市内フィット

ネス事業者と連携した事業を開始した。

この事業は特定保健指導に該当した40~64歳の者について、市内フィット

ネスクラブの無料体験チケットを送付し、利用者には生活習慣改善の契機となる

アドバイスや運動の実践的な指導を行うものである。

(2)健康増進事業との連携

特定保健指導未利用者への利用勧奨保健指導時に、健康政策課が実施する、「ダイエ

ット教室」「健康度アップ相談会」「栄養改善教室」などを活用して生活習慣病予防の

契機となるように紹介するなど、対象者がなるべく色々な選択肢から選べるように取

組んだ。

21

第3章 特定健診・特定保健指導の実施

1 達成しようとする目標値の設定

国が基本指針で示す目標に従い、伊丹市国民健康保険においては表12「第2期の実

施目標」のとおり、目標値を定める。

表12 第2期の実施目標

平成 25年度 平成 26年度 平成 27年度 平成 28年度 平成 29年度

特定健診実施率 32% 34% 36% 46% 60%

特定保健指導実施率 20% 30% 40% 50% 60%

2 対象者の見込み数

伊丹市国民健康保険における特定健診・特定保健指導の対象者見込数を表13「第2

期特定健診の対象者及び受診者の見込」、表14「第2期特定保健指導の対象者及び利

用者の見込」のとおりとする。

表13 第2期 特定健診の対象者及び受診者の見込

年齢 性別 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度

40~64歳

対象者 9,169 9,450 9,739 9,998 10,304

受診者 1,506 1,626 1,750 2,271 3,012

対象者 10,250 10,521 10,800 11,087 11,380

受診者 2,316 2,501 2,692 3,493 4,633

65~74歳

対象者 7,287 7,212 7,138 7,065 6,993

受診者 3,590 3,877 4,172 5,415 7,182

対象者 9,487 9,597 9,709 9,821 9,935

受診者 4,169 4,502 4,845 6,288 8,340

合計

対象者 16,456 16,662 16,877 17,063 17,297

受診者 5,096 5,503 5,922 7,686 10,194

対象者 19,737 20,118 20,509 20,908 21,315

受診者 6,485 7,003 7,537 9,781 12,973

対象者 36,193 36,780 37,386 37,971 38,612

受診者 11,581 12,506 13,459 17,467 23,167

実施率 32% 34% 36% 46% 60%

22

表14 第2期 特定保健指導の対象者及び利用者の見込

年齢 対象者 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度

40~64歳

積極的

支援

対象者 248 260 271 341 440

利用者 32 51 69 108 166

対象者 76 83 89 112 148

利用者 11 17 23 37 57

動機付け

支援

対象者 148 164 182 243 331

利用者 19 29 40 64 97

対象者 83 85 83 101 125

利用者 22 33 47 73 112

65~74歳

動機付け

支援

対象者 499 504 501 606 747

利用者 106 165 228 357 548

対象者 263 279 296 377 484

利用者 74 117 162 251 385

合計

積極的

支援

合計

対象者 324 343 360 453 588

利用者 43 68 92 145 223

動機付け

支援

合計

対象者 993 1,032 1,062 1,327 1,687

利用者 221 344 477 745 1,142

合計

対象者 1,317 1,375 1,422 1,780 2,275

利用者 264 412 569 890 1,365

実施率 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

3 特定健診の実施方法

1) 実施体制等

特定健診の実施にあたっては、被保険者が受診しやすい健診の実施体制を維持する

ことが重要である。第1期計画に引き続き、身近な公共施設に出向く集団健診や市内

の身近な医療機関で受診できる方法、土日の健診実施など、利便性の向上に配慮して

いく。

実施体制については表15「特定健診実施体制」のとおりである。

23

表15 特定健診実施体制

健診方法 場所 回数 実施期間

個別健診方式 市内実施医療機関 随時 年間を通じて

集団健診方式 公共施設 (市役所、いたみホ

ール、ラスタホール、きららホー

ルなど)

年間14回

(内 日曜日2回、土曜日

1回 )

7月から不定期

2) 特定健診の実施契約

伊丹市医師会との委託契約により実施する。

3) 特定健診の実施期間

伊丹市国保特定健診の実施期間は、4月 1日から翌年3月31日とする。

4) 伊丹市国保特定健診実施項目

国が定める特定健診の実施項目は、特定健診がメタボリックシンドロームに着目し

たものであることから、メタボリックシンドロームの判定に必要最低限の項目のみが

法定化されている。しかし、高額な医療費がかかる心筋梗塞などの心血管疾患、脳梗

塞などの脳血管疾患、人工透析を必要とする腎不全などへの進展や重症化を予防する

ためには、生活習慣改善等の必要な対象者を緊急性や効率性を鑑みて抽出できること

が重要であるため、その判断材料となる健診項目を、伊丹市国保特定健診独自の健診

項目として第1期計画に引き続き全受診者に実施する。

伊丹市国保特定健診の実施項目については表16のとおりである。

24

表16 伊丹市国保特定健診の実施項目

種 別 検 査 項 目

基本的な健診項目

質問票(服薬歴、喫煙歴等)、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)

理学的検査(身体診察)、血圧測定

血中脂質検査(中性脂肪、HDL コレステロール、LDL コレステロール)

血糖検査(空腹時血糖、HbA1c)

肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)

尿検査(尿糖、尿蛋白)

追加健診項目

(伊丹市独自の項目)

安静時心電図検査

貧血検査(赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値)

尿酸、血清クレアチニン

(1)伊丹市国保特定健診の独自健診項目を追加する意義

①HbA1cおよび空腹時血糖

国が定める健診項目では、空腹時血糖もしくは HbA1c のいずれかの検査を実施す

ることとなっている。

空腹時血糖と HbA1c の検査は、ともに高血糖状態かどうかを判断するために実施す

る健診項目である。空腹時血糖は採血した時点での血中のブドウ糖濃度を示すことか

ら、検査を実施した時間帯によって数値に変動が生じる。一方、HbA1c は過去1~3

ヵ月の血糖値を反映した血糖のコントロール状態を示すため、数値は安定した平均値

を示す。

表17「HbA1c と空腹時血糖との関係」は、平成22年度の伊丹市国保特定健診受

診者の結果における空腹時血糖と HbA1cの関係を示している。空腹時血糖だけで正常

(100mg/dl未満)と判定された者は70.0%であるが、その一方で HbA1cだけで

正常(5.1%以下)と判断された者は46.8%、空腹時血糖と HbA1c の両方が正常

と判断された人は41.3%であった。つまり、空腹時血糖だけを健診項目とした場

合には、空腹時血糖では正常と判断されながら実際には慢性的な高血糖状態にある者

(図中 A )が見落とされてしまうのである。

このことから、伊丹市国民健康保険では全受診者に空腹時血糖と HbA1c の両方の検

25

査を実施することとする。

表17 HbA1c と空腹時血糖との関係 (平成22年度 伊丹市国保特定健診結果より)

HbA1c

空腹時血糖

正常 保健指導判定値 受診勧奨判定値

5.1以下 5.2~5.4 5.5~6.0 6.1~6.4 6.5~6.9 7.0以上

3,210 1,797 1,248 231 156 219

46.8% 26.2% 18.2% 3.4% 2.3% 3.2%

100未満 4,801 2,836 1,342 580 27 10 6

70.0% 41.3% 19.6% 8.5% 0.4% 0.1% 0.1%

100以上 2,060 374 455 668 204 146 213

30.0% 5.5% 6.6% 9.7% 3.0% 2.1% 3.1%

②血清尿酸

高尿酸血症は、血管の内皮を損傷させ、動脈硬化を引き起こす。この動脈硬化は腎

臓で進行して痛風腎となり、腎不全の原因となるため、生活習慣の改善や適切な治療

を行うことにより、早期に改善することが重要である。そこで、高尿酸血症と診断さ

れる血清尿酸値7.0mg/dl 以上の者が、特定保健指導の対象となり、生活習慣改

善に取組む機会を得られるのかについて調べたところ、表18「メタボリックシンド

ローム該当者・予備群と血清尿酸値の関係」に示すとおり、高尿酸血症の者の中で、

特定保健指導の対象となるメタボリックシンドローム該当者・予備群に当たるのは、

わずか半数であった。そこで、伊丹市国民健康保険では、慢性腎臓病のハイリスク者

を効果的に抽出することを目的として、血清尿酸値の検査を受診者全員に実施する。

表18 メタボリックシンドローム該当者・予備群と血清尿酸値の関係

(平成22年度 伊丹市国保特定健診結果より)

血清尿酸値 7.0mg/dl以上

人数 割合

合計 744 100%

メタボリックシンドローム該当者・予備群 386 51.9%

メタボリックシンドローム非該当 358 48.1%

26

③血清クレアチニン

国が定める腎機能に関する健診項目では、尿蛋白のみが法定化されており、腎機能を

判断するためのもう 1つの重要な項目である血清クレアチニンは含まれていない。

表19「尿蛋白と eGFRの関係」は、平成23年度の伊丹市国保特定健診受診者の結果に

おける尿蛋白の検出の程度と eGFR(血清クレアチニン値をもとに算出する腎臓のろ過機能

を表す数値)の関係を示している。図中 B は、尿蛋白が正常でありながら eGFR の数値が

低下しており、慢性腎臓病ステージで軽度~末期腎不全と判定される対象者である。

このように、人工透析を要する腎不全を予防するためには、尿蛋白だけでは不十分で

あることがわかる。

伊丹市国民健康保険では、腎機能低下の早期発見と進行の予防により人工透析の導

入者を減少させ医療費の適正化を図るためにも、血清クレアチニン検査を全受診者に

実施する。

表19 尿蛋白と eGFRの関係 (平成23年度伊丹市国保特定健診結果より)

8,890 人 404 人 0 人 148 人

2,586 人 2,475 人 84 人 0 人 27 人

5,897 人 5,595 人 238 人 0 人 64 人

838 人 738 人 62 人 0 人 38 人

104 人 72 人 19 人 0 人 13 人

13 人 9 人 1 人 0 人 3 人

4 人 1 人 0 人 0 人 3 人

正常または高値

軽度~中等度低下

正常または軽度低下

15未満0.0% 0.0%--0.0%0.0%

94.2%

26.2%

正常

正常

(-)or(±) (+)

A3A2

顕性アルブミン尿微量アルブミン尿

高度蛋白尿軽度蛋白尿

0.0%

0.2%

0.1%

0.8% 0.1%

0.0%0.0%

0.0%

G4

末期腎丌全(ESKD)

高度低下

G3b

G5

中等度~高度低下

G1

G3a

0.7%

7.8% 0.4%

60-90未満

45-60未満

59.3%G2

0.7%

1.1%

30-45未満

62.5%

27.4%

尿検査・GFR共に実施

90以上

1.6%4.3% 0.0%

(2+)以上

A1

0.0%

0.0%2.5%

8.9% 0.0%

9,442

0.1%

15-30未満

高血圧・腎炎など

糖尿病

【再掲】尿潜血+以上

原疾患

0.3%0.9%

尿蛋白区分

GFR区分(ml/分/1.73㎡)

B

26

27

④安静時心電図

安静時の心電図は、無症状の心肥大や虚血性変化、脳塞栓の原因となる心房細動な

どを知るうえで有効な健診項目である。また、心臓の冠動脈の変化がわかるため、現

時点での心血管疾患リスクの進行度を知るためにも重要な健診項目である。心筋梗塞

などの心血管疾患は、高額な医療費を必要とする疾患であることから、伊丹市国保特

定健診では全受診者に安静時心電図を実施し、予防を図るものとする。

⑤貧血検査(赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット)

貧血状態が長期間続くと、心電図異常が出現するなど、他の臓器への影響がある。

さらに、溶血性貧血や鉄欠乏性貧血等の場合には、HbA1c 値が実際の値よりも低くな

るので、高血糖状態の正確な判断にも欠かせない。

「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」では、貧血検査は「詳細な健診

項目」として、既往歴や視診の結果、貧血が疑われる場合に実施するとされているが、

貧血の初期段階では視診での判断が困難と言われることからも、伊丹市国民健康保険

では全員に対して実施する。

5) 周知、案内方法

6) 受診券の交付方法

伊丹市国保特定健診の受診券は、当該年度末までを受診期間として、6月に全対象者

に一斉に送付する。また、送付時期に先がけての健診受診希望者については申し出に

より適宜対応する。

健診受診は、受診券の提出及び被保険者証の確認の 2つを要件とする。

(1) 受診券及び受診案内は対象者個人に郵送し、個別に案内する。

(2) 市広報「広報伊丹」及びホームページに受診方法等を掲載する。

(3) 自治会回覧を活用した特定健診受診案内を行う。

(4) その他 (国保納税通知書送付時や健康手帳送付時等に案内文書を同封する等)

28

7) 受診券の書式

【受診券】(A4版)

8) 未受診者等対策

(1) 受診勧奨ハガキ等による個別勧奨

(2) 健診の必要性等に関する啓発

広報、回覧、ホームページ掲載等、様々な方法を模索し、効果的なものについては、

可能なものから積極的に実施する。健診の必要性や効果についてわかりやすく情報

提供するために創意工夫を凝らす。

(3)他機関で受診した人の結果を提出してもらい、生活習慣病予防につなげる仕組みを

創設する。

9) その他

伊丹市国民健康保険の被保険者で人間ドック、事業主健診及びその他特定健診の実施項

目を含む健診を受診した場合は、法第20条に基づき、その結果の提出をもって特定健診

を受診したものとみなす。

〒XXX-XXXX 修 〒NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN 正NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN 記

入NNNNNNNNNNNNNNNN 欄

受診券の交付を受けたときは、すぐに、上記の住所欄に変更がある場合、ご自宅の住所を自署してください。(特定健康診査受診結果等の送付に用います。)

特定健康診査を受診するときには、受診券と被保険者証を窓口に提出してください。どちらか一方だけでは受診できません。

特定健康診査は受診券に記載してある有効期限内に受診してください。

特定健康診査結果は、受診者本人に対して通知するとともに、保険者等において保存し、必要に応じ、保健指導等に活用しますので、ご了承の上、受診願います。また、この券で受診する追加項目、その他「人間ドック」健診についても同様です。

健診結果のデータファイルは、決済代行機関で点検されることがある他、国への実施結果報告として匿名化され、部分的に提出されますので、ご了承の上、受診願います。

被保険者の資格が無くなったときは、この券を使用しての受診はできません。すみやかにこの券を保険者等にお返しください。

不正にこの券を使用した者は、刑法により詐欺罪として懲役の処分を受けることもあります。

この券の記載事項に変更があった場合には、すぐに保険者等に差し出して訂正を受けてください。

6.

7.

8.

2.

3.

4.

5.

特定健康診査受診上の注意事項

1.

健康診査受診券

 (※和暦表記)

 平成XX年XX月XX日

保 険 者

             ※詳細項目は基本項目の結果により医師の判断で実施

窓口の自己負担

 受診券整理番号  XXXXXXXXXXX

 (※カタカナ表記)

 N

保険者負担上限額負担額 負担率

集団

個別

集団

個別

実施項目

詳細項目

実施形態

個別

集団

個別

健診

健診内容

追加項目

その他

基本項目

生活機能評価

人間ドック個別

集団

集団

所 在 地

平成XX年XX月XX日 交付

 有効期限

 生年月日

電話番号

 性別

 氏名

番  号

名  称

 支払代行機関番号

 支払代行機関名

 契約とりまとめ機関名

(表面) (裏面)

29

4.保健指導の実施

1)保健指導対象者選定の考え方

伊丹市国保特定健診を受診した者について、健診結果に応じて必要となる保健指

導の内容をフローチャートに示したものが図9「特定健診から保健指導へのフローチ

ャート」である。

重症化や合併症の危険が低いものから、レベル1~4に分類しており、それぞれに

必要となる保健指導の内容が異なる。さらに、慢性腎臓病の発症・進展を予防するた

めには特定保健指導以外の保健指導が必要であり、全受診者の中から健診結果に基づ

いて別途対象者の選定と保健指導を実施することが必要である。

これらの保健指導について、伊丹市国保被保険者の健康課題から優先順位が高いと

判断される順に具体的な内容を示したものが表20「保健指導対象者の明確化と優先

順位・支援方法」である。

図9 特定健診から保健指導へのフローチャート

30

表20 保健指導対象者の明確化と優先順位・支援方法

優先

順位 種類 目的

対象者

(保健指導レベル・図8中の表示) 支援方法

特定

保健

指導

生活習慣病の

発症予防

レベル2

メタボリックシンドローム該当者

及び予備群

・積極的支援は個別支援

・動機付け支援は、個別支援と集

団支援のどちらか一方。

慢 性 腎 臓 病

(CKD)の発症

と進展予防

全受診者より抽出

eGFR 及び尿蛋白を指標とした

腎機能低下者。

・個別支援

・健診結果から、自身の状態を理

解し、適切な行動に移せるよう

支援する。

受診勧奨

(重症化予防)

レベル3より抽出

特に重症化リスクの高い者

・個別支援

・健診結果から、自身の状態を理

解し、医療機関受診や生活習

慣改善に取組めるよう支援す

る。

医療との連携

(重症化予防)

レベル4より抽出

治療中でありながらコントロール

不良のもので、特に重症化リスク

の高い者。

・個別支援

・治療中断者の把握のために、レ

セプトと健診データの突合を行

う。

・コントロール不良によって起こり

うる合併症等を理解し、適切な

行動が取れるように支援する。

・かかりつけ医との連携体制を整

えていく。

・医療機関における診療報酬上

の生活習慣病管理料・栄養指

導料の積極的な活用。

31

2)特定保健指導の実施方法

(1) 実施体制等

実施体制については、表21「特定保健指導の実施体制」のとおりである。

表21 特定保健指導の実施体制

支援内容 指導方法 場所 回数 実施期間

積極的支援 個別 医療機関 随時 4月~3月末

動機付け支援

個別 医療機関 随時 4月~3月末

集団 市役所 年間4クール 不定期

(2)特定保健指導の実施契約

伊丹市医師会との委託契約で実施する。

また、動機付け支援のうち、集団指導は、保険者の直接実施とする。

(3)特定保健指導の実施期間

伊丹市国保特定保健指導の実施期間は、4月1日から翌年3月31日までとする。

(4)特定保健指導対象者の選定と階層化

特定保健指導は、厚生労働省が定める「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」

に示された階層化方法に基づいてメタボリックシンドローム該当者およびその予備群

と判定された者を対象とし、生活習慣改善のための保健指導を行う。表22「特定保

健指導の対象者(階層化)」のとおり、内臓脂肪の蓄積の程度と危険因子の数により階

層化し、「動機付け支援」と「積極的支援」に区別して行う。但し、高血圧・高血糖・

脂質異常の内服治療中の者は継続的な医療管理が行われていることから、特定保健指

導の対象から除外される。

32

表22 特定保健指導の対象者(階層化)

腹囲 追加リスク

④喫煙歴 対象

①血糖②脂質③血圧 40~64歳 65~74歳

≧85cm(男性)

≧90cm(女性)

2つ以上該当 積極的支援

動機付け支援 1つ該当 あり

なし

上記以外で

*BMI≧25

3つ該当 積極的支援

動機付け支援 2つ該当 あり

なし

1つ該当

*BMI=体重(kg)÷( 身長(m)×身長(m))

(5)特定保健指導の内容

① 動機付け支援の内容

支援形態 <面接による支援>次のいずれか

●1人20分以上の個別支援 ●1グループ80分以上のグループ支援

<6か月後の評価>次のいずれか

●個別支援 ●グループ支援 ●電話 ●e-mail 等

支援内容

●生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシン

ドロームや生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活

習慣の振り返り等から生活習慣改善の必要性を説明する。

●生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説

明する。

●栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。

●対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、

有効に活用できるように支援する。

●体重・腹囲の計測方法について説明する。

●生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。

●対象者とともに行動目標・行動計画を作成する。

33

<6か月後の評価>

●身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。

②積極的支援の内容

初回時の面接による支援 動機付け支援における面接による支援と同様

3か月以上の継続的な支援 ● 支援 A(積極的関与タイプ)

・生活習慣のふり返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じ

た支援をする。

・栄養、運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。

● 中間評価

● 支援 B(励ましタイプ)

・行動計画の実施状況の確認

6か月後の評価 ● 個別面接、グループ支援 等

・身体状況や生活習慣に変化がみられたかを確認する。

(6)特定保健指導利用券の交付方法

特定保健指導の利用券は、特定保健指導対象者に対し特定健診受診の 1~2ヶ月後に

発行する。特定保健指導の利用は、利用券の提出及び被保険者証の確認の 2つを要件と

する。

34

(7)特定保健指導利用券の書式

【利用券】(A4版)

3)特定保健指導以外の保健指導

(1)適切な医療を受けるための保健指導

適切な医療を受けるための保健指導は、重症化予防の観点から優先度の高い者を対象

とし、保険者が関係機関と連携し対象者の優先順位と保健指導にあたる人員数等を鑑み

て実施する。

①糖尿病予防

糖尿病は、神経障害、網膜症、腎症、足病変といった合併症を併発するだけでなく、

心筋梗塞や脳卒中のリスクを2~3倍増加させるとされている。

図10「健診結果からみた糖尿病の状況」のとおり、平成23年度伊丹市国保特定健

診結果において糖尿病有病者(糖尿病治療中の①と HbA1c6.1%以上の②③の合計)は、

1,009人であった。その中で、糖尿病、高血圧、脂質異常等の治療をしていない者は、

(表面)(裏面)

※原則、特定保健指導開始時に全額徴収

 利用券整理番号  XXXXXXXXXXX

保険者負担上限額

 性別

 有効期限

 氏名

 支払代行機関名

 支払代行機関番号

電話番号

特定保健指導区分

 生年月日

負担額負担額窓口の自己負担※

平成XX年XX月XX日 交付

所 在 地

 平成XX年XX月XX日

 (※和暦表記)

 XXXXXXXXXXX

 (※カタカナ表記)

 受診券整理番号

 契約とりまとめ機関名

番  号

保 険 者

名  称

特定保健指導利用券

〒XXX-XXXX 修 〒NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN 正NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN 記

入NNNNNNNNNNNNNNNN 欄

特定保健指導を利用するときには、利用券と被保険者証を窓口に提出してください。どちらか一方だけでは利用できません。

医療機関に受診中の場合、主治医に特定保健指導を受けてもよいかどうかを確認してください。

特定保健指導は利用券に記載してある有効期限内に利用してください。

※原則、特定保健指導開始時に全額徴収 窓口での自己負担は、原則、特定保健指導開始時に全額お支払い頂きます。なお、全額徴収でき

ない場合は、次回利用時以降にもお支払い頂きます。

特定保健指導の実施結果は、保険者において保存し、必要に応じ、次年度以降の保健指導等に活用しますので、ご了承の上、受診願います。

保健指導結果のデータファイルは、決済代行機関で点検されることがある他、国への実施結果報告として匿名化され、部分的に提出されますので、ご了承の上、受診願います。

被保険者の資格が無くなったときは、この券を使用しての受診はできません。すみやかにこの券を保険者等にお返しください。

不正にこの券を使用した者は、刑法により詐欺罪として懲役の処分を受けることもあります。

この券の記載事項に変更があった場合には、すぐに保険者等に差し出して訂正を受けてください。9.

3.

4.

特定保健指導利用上の注意事項

5.

6.

7.

8.

1.

2.

35

199人であった。

未治療のまま放置したり、治療を中断したりすることが糖尿病の合併症の増加につ

ながることから、第2期計画では、HbA1c8.0%(JDS値。NGSP値で 8.4%)以上

の者のうち、未治療者と治療中断者に重点をおいて保健指導を実施し、合併症予防を推

進する。

図10 健診結果からみた糖尿病の状況(平成23年度)

②循環器疾患予防

脳血管疾患と心疾患を含む循環器疾患の予防は、基本的には危険因子の管理であり、

確立した危険因子としては、高血圧、脂質異常、喫煙、糖尿病の4つがある。

第2期計画においては、特に高血圧と脂質異常について保健指導を実施する。

36

ア.高血圧

高血圧は、脳血管疾患や虚血性心疾患などあらゆる循環器疾患の危険因子である。

第2期計画では、中でもⅢ度高血圧(収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧1

10mmHg以上)に該当し、未治療及び治療中断者に重点的に保健指導を実施する。

図11 健診結果からみた高血圧の状況 (平成23年度)

イ.脂質異常

脂質異常は、心筋梗塞などの虚血性心疾患の危険因子であり、特に総コレステロール

及び LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の高値は、日米欧いずれの診療ガイド

ラインでも脂質異常症の各検査項目の中で最も重要な指標とされている。日本人を対象

とした疫学研究でも、虚血性心疾患の発症・死亡リスクが明らかに上昇するのは総コレ

ステロール値240mg/dl 以上あるいは LDL コレステロール160mg/dl 以上からが多

くなっている。

高血圧フローチャート ~医療制度改革の目標達成にむけて~

★特定健康診査受診者数

9,468 人 受診率

<130 <85

130~139 85~89

140~159 90~99

160~179 100~109

≧180 ≧110

高血圧治療ガイドライン2009

4,522 人 47.8% 4,946 人 52.2%

1,235 人 27.3% 3,287 人 72.7% 1,150 人 23.3% 3,796 人 76.7%

734 人 19.3% 3,062 人 80.7%

685 人 55.5% 982 人 29.9% 正常血圧 367 人 50.0% 2,321 人 75.8% 4,355 人 46.0%

305 人 24.7% 1,054 人 32.1% 正常高値 367 人 50.0% 741 人 24.2% 2,467 人 26.1%

201 人 16.3% 996 人 30.3% 867 人 75.4% Ⅰ度 2,064 人 21.8%

39 人 3.2% 225 人 6.8% 223 人 19.4% Ⅱ度 487 人 5.1%

5 人 0.4% 30 人 0.9% 60 人 5.2% Ⅲ度 95 人 1.0%

血圧分類

32.1% 正常 血圧

75.4% 正常 高値

Ⅰ度( 軽症)

Ⅱ度(中等 症)

Ⅲ度( 重症)

I 治療中(高血圧)の状況 M(O・P)治療なしの者の状況

--

かつ

または

または

拡張期

または

成人における血圧値の分類(mmHg)

または

収縮期

Ⅲ度高血圧

Ⅱ度高血圧

Ⅰ度高血圧

正常高値血圧

正常血圧

分類

29.9%

5.2%

19.4%

75.4%

0.9%

6.8%

30.3%

32.1%

3疾患治療なし

血圧分類 特定保健指導として実施特定保健指導以外の保健指導として実施

Ⅰ度高血圧以上(受診勧奨レベル)

正常高値血圧以下

3疾患治療中

階層化

健診結果

保健指導対象者の明確化について「高血圧治療ガイドライン」を判断基準に置

健診

保健指導対象者の明確化

血圧分類計

高血圧治療中高血圧治療なし(糖尿病・脂質異常症治療中)

0% 20% 40% 60% 80%0%20%40%60%80%

受診勧奨レベル

37

こうしたことを踏まえて、第2期計画では、LDL コレステロール180mg/dl 以上の

者であって、未治療・治療中断者に重点的に保健指導を実施する。

図12 健診結果からみた脂質異常の状況 (平成23年度)

(2)慢性腎臓病(CKD)発症・進展予防の保健指導

新規の人工透析導入患者増加の一番大きな原因は、糖尿病性腎症、高血圧による腎

硬化症も含めた生活習慣病による慢性腎臓病(CKD)が非常に増えたことだと考えられ

ている。さらに、脳卒中や心筋梗塞などを発症する人の背景に、慢性の腎臓疾患を持

った人が非常に多いという事実が明らかになった。

すなわち、慢性の腎臓疾患は、単に末期腎不全(透析)のリスクだけではなくて、

心血管疾患の発症リスクを背負っている危険な状態であり、腎機能の問題は、全身の

血管系の問題であることを意味していると考えられている。

また、人工透析の導入を予防することは、医療費の観点だけでなく、被保険者の

LDL-Cフローチャート ~医療制度改革の目標達成にむけて~

★特定健康診査受診者数

9,468 人 受診率

4,522 人 47.8% 4,946 人 52.2%

2,160 人 47.8% 2,362 人 52.2% 1,810 人 36.6% 3,136 人 63.4%

681 人 21.7% 2,455 人 78.3%

1,005 人 46.5% 1,349 人 57.1% 120未満 347 人 51.0% 1,490 人 60.7% 4,191 人 44.3%

586 人 27.1% 575 人 24.3% 120~139 334 人 49.0% 965 人 39.3% 2,460 人 26.0%

375 人 17.4% 295 人 12.5% 1,019 人 56.3% 140~159 1,689 人 17.8%

194 人 9.0% 143 人 6.1% 791 人 43.7% 160以上 1,128 人 11.9%

55 人 2.5% 37 人 1.6% 284 人 15.7% 再)180以上 376 人 4.0%

● ●

LDL-C

57.1% 120未満

56.3% 120~139

140~159

160以上

--

M(O・P)治療なしの者の状況I 治療中(脂質異常)の状況

6.1%

12.5%

24.3%

57.1%

43.7%

56.3%

治療なし

1 0.5% 4 2.8%

161 83.0%

3 0.4%

13 6.7% 9 6.3% 45 5.7%

19 9.8% 13 9.1%

117 81.8%

人数 割合

720 91.0%

23 2.9%

人数 割合

HbA1c6.5以上

Ⅱ度高血圧以上

脂質異常治療中脂質異常以外の治療中

人数 割合

3疾患治療なし

LDL分類 特定保健指導として実施

特定保健指導以外の保健指導として実施

140以上(受診勧奨レベル)

139以下

3疾患治療中

階層化

健診結果健診

保健指導対象者の明確化

LDL分類計

脂質異常治療中脂質異常治療なし(高血圧・糖尿病治療中)

0%20%40%60%80% 0% 20% 40% 60% 80%

受診勧奨レベル

名簿作成(④名簿作成ツールへ)

38

QOLを守る点からも有益であることから、慢性腎臓病の発症や進展を予防することを

目的として、第2期計画では、CKDの病期(ステージ)の指標となる eGFR(推算糸球

体ろ過量)と尿蛋白を指標とし、腎機能の低下者に対して優先的に保健指導を実施す

る。

* eGFR(推算糸球体ろ過量)とは、腎臓が老廃物を尿へ排泄する能力をどの程度

もっているかの目安となる数値で、血清クレアチニン値と年齢と性別から計算

する。この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになる。

5.外部委託基準

特定健診、特定保健指導ともに外部委託によって実施する。事業者の選定・評価にあた

っては、国の示す「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」及び「標

準的な健診、保健指導プログラム(確定版)」における「健診の実施に関するアウトソー

シング」、「保健指導の実施に関するアウトソーシング」に基づいて行う。

39

6.実施スケジュール

実施スケジュールは、表23「年間スケジュール」及び表24「月間スケジュール」の

とおりである。

表23 年間スケジュール

4月 5 月 6 月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

表24 月間スケジュール

当該月 1 ヵ月後 2 ヵ月後 3 ヵ月後

特定保健指導未利用者

への利用勧奨

特定健診実施

実施報告 ・健診結果登録

・保健指導対象者抽出

特定保健指導利用券発行

特定保健指導以外の保健指導

・適切な医療を受けるための保健指導

・慢性腎臓病予防の保健指導

特定健診・保健指導実施期間

受診券発送

集団健診開始

未受診者への受診勧奨

前年度実績の確定 次年度準備

集団特定保健指導

1回目

集団特定保健指導

4回目 集団特定保健指導

2回目

集団特定保健指導

3回目

40

第4章 特定健診・特定保健指導の結果の通知と保存、報告

1.特定健診・特定保健指導のデータの形式

特定健診・特定保健指導の記録の管理は、「電磁的方法により作成された特定健

康診査及び特定保健指導に関する記録の取扱いについて(平成20年3月28日健

発第 0328024号、保発第 0328003号)」に基づき作成されたデータ形式とする。

2.特定健診・特定保健指導の記録の管理、保存期間について

1)記録の管理について

「電磁的方法により作成された特定健康診査及び特定保健指導に関する記録の

取扱いについて(平成20年3月28日健発第 0328024 号、保発第 0328003 号)」

に基づき作成されたデータ形式で、代行機関に送付し、兵庫県国民健康保険団体連

合会の共同電算処理システムである特定健康診査等データ管理システムで管理さ

れる。

2)記録の保存期間について

データの保存期間は、実施基準第10条第1項に基づき、記録作成の日の属する

年度の翌年度から5年を経過するまでの期間又は、加入者が他の保険者の加入者と

なった日の属する年度の翌年度の末日までの期間とする。

3)結果の保存方法

特定健診、特定保健指導の結果の保管に関しては、特定健康診査等データ管理シス

テム及び伊丹市国民健康保険においては紙媒体、電子媒体により保存、保管する。

41

3.個人情報保護対策

特定健診等の実施に当たっては、以下の取り組みにより、個人情報の漏えい防止

に細心の注意を払う。

1)特定健診、特定保健指導で得られる健康情報等の取扱については、「伊丹市個

人情報保護条例」及び「国民健康保険組合における個人情報の適切な取扱いの

ためのガイドライン」に従い、適切に対応するよう周知徹底する。

2)特定健診・特定保健指導を外部に委託する際には、委託先に対して個人情報の

管理について、関係法令等を遵守し業務を遂行するよう周知徹底するとともに、

個人情報の目的外使用の禁止等を契約書に定める。

4.特定健診・特定保健指導の実績報告

特定健診・特定保健指導等データの保管・管理及び国で示された報告様式に基づい

た社会保険診療報酬支払い基金への報告については、国の指定する標準的な様式に基

づいて報告するよう、大臣告示(平成20年厚生労働省告示第380号)及び通知で

定められている。

伊丹市国民健康保険では、兵庫県国民健康保険団体連合会の共同事業を利用し、健

診実施年度の翌年度11月1日までに報告するものとする。

42

第5章

特定健康診査等実施計画の公表・周知及び評価・見直しに関して

1.計画の公表・周知について

第2期特定健康診査等実施計画は、法第19条第3項に基づき、伊丹市ホームペ

ージに全文を掲載して公表し、周知をはかる。

2.計画の評価

この計画の期間は平成25年度から平成29年度の5年間とするが、厚生労働省が

定める「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」に示される評価指標や目標

値の達成状況により、実施方法等の見直しを随時行い、変更したときには直ちに公表

するものとする。

第6章 他の保健事業との連携

1.第2次健康日本21における医療保険者の役割

医療保険者は、健康増進法における「健康増進事業実施者」でもあり、国の健康づ

り施策においても重要な役割を担っている。国の施策も平成25年度から新しい方針

でスタートすることから、本計画は、その国の施策(第2次健康日本21)との整合

性を図りながら様々な取組みを実施する。

第2次健康日本21において国が設定している目標項目53のうち、医療保険者が

係するのは、表25『「第2次健康日本21」における目標項目のうち、医療保険者が関係

る目標項目』に示すとおりである。

43

表25 「第2次健康日本21」における目標項目のうち、医療保険者が関係する目標項目

医療保険者が関係する目標項目

循環器疾患

① 高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)

② 脂質異常症の減少

③ メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少

④ 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上

糖尿病

① 合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少

② 治療継続者の割合の増加

③ 血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1c

が JDS値 8.0%(NGSP値 8.4%)以上の者の割合の減少)

④ 糖尿病有病者の増加の抑制

⑤ メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少(再掲)

⑥ 特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上(再掲)

2.がん検診および肝炎ウイルス検査

がん検診および肝炎ウイルス検査は、市が健康増進法に基づいて実施している。

第1期においても、特定健診とがん検診の同時実施を実現してきた。第2期におい

ても、継続して実施するとともに、成人の健康づくり部門との連携を強化する。

3.その他の保健事業

1)健康度アップ相談会

健康度アップ相談会は、健診結果に関する相談や生活習慣病予防を目的として保

健師と栄養士が実施する健康相談会である。特定健診受診者らが、この相談会を利

用して生活習慣を改善したり、健康不安を解消できるように利用を勧奨する。

2)ダイエット教室

ダイエット教室は肥満解消を目的とした教室である。被保険者が教室に参加す

ることで、肥満を改善して生活習慣病を予防するために利用を勧奨する。

44

参考資料

45

1.高齢者の医療の確保に関する法律(抜粋) 第7条

2 この法律において「保険者」とは、医療保険各法の規定により医療に関する給付を行う政府、健康保険組合、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団をいう。

(特定健康診査等基本指針)

第18条 厚生労働大臣は、特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査をいう。以下同じ。)及び特定保健指導(特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者として厚生労働省令で定めるものに対し、保健指導に関する専門的知識及び技術を有する者として厚生労働省令で定めるものが行う保健指導をいう。以下同じ。)の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(以下「特定健康診査等基本指針」という。)を定めるものとする。

2 特定健康診査等基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健康診査等」という。)の実施方法に関する基本的事項

(2) 特定健康診査等の実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、次条第1項に規定する特定健康診査等実施計画の作成に関する重要事項

3 特定健康診査等基本指針は、健康増進法第9条第1項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

4 厚生労働大臣は、特定健康診査等基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、

あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。

5 厚生労働大臣は、特定健康診査等基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(特定健康診査等実施計画)

第19条 保険者は、特定健康診査等基本指針に即して、5年ごとに、5年を一期として、特定健康診査等の実施に関する計画(以下「特定健康診査等実施計画」という。)を定めるものとする。

2 特定健康診査等実施計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 特定健康診査等の具体的な実施方法に関する事項

(2) 特定健康診査等の実施及びその成果に関する具体的な目標

(3) 前2号に掲げるもののほか、特定健康診査等の適切かつ有効な実施のために必要な事項

3 保険者は、特定健康診査等実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(特定健康診査)

第20条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、四十歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。ただし、加入者が特定健康診査に相当する健康診査を受け、その結果を証明する書面の提出を受けたとき、又は第二十六条第二項の規定により特定健康診査に関する記録の送付を受けたときは、この限りでない。

(実施の委託)

第28条 保険者は、特定健康診査等について、健康保険法第63条第3項各号に掲げる病院又は診療所その他適当と認められるものに対し、その実施を委託することができる。この場合において、保険者は、受託者に対し、委託する特定健康診査等の実施に必要な範囲内において、厚生労働省令で定めるところにより、自らが保存する特定健康診査又は特定保健指導に関する記録の写しその他必要な情報を提供することができる。

2.外部委託の委託基準

1)特定健康診査委託基準

● 人員に対する基準

・特定健康診査を適切に実施するために必要な医師、看護師が質的及び量的に確保されている

こと。

46

・常勤の管理者(特定健康診査を実施する各施設において、特定健康診査に係る業務に付随す

る事務の管理を行う者)が置かれていること。ただし、管理上支障がない場合は、健康診査

機関の他の職務に従事し、又は同一の敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事するこ

とができるものとする。

● 施設又は設備等に関する基準

・特定健康診査を適切に実施するために、必要な施設及び設備を有していること。

・検査や診察を行う際に、受診者のプライバシーが十分に保護される施設(部屋)が確保され

ていること。

・救急時における応急処置のための体制を整えていること。

・健康増進法第 25 条の受動喫煙防止措置が講じられていること(医療機関においては、患者の

特性に配慮すること)。

● 精度管理に関する基準

・特定健康診査の検査項目について内部精度管理が定期的に行われ、検査値の精度が保証され

ていること。

・外部精度管理調査を定期的に受け、検査値の制度が保証されていること。

・特定健康診査の精度管理上の問題点があった場合に、適切な対応策が講じられること。

・検査の全部又は一部を外部に委託する場合には、委託を受けた事業者において、以上の措置

が講じられるよう適切な管理を行なうこと。

● 健診結果等の情報の取扱いに関する基準

・特定健康診査に関する電磁的記録を作成し、保険者に対して当該電磁的記録を安全かつ速や

かに提出すること。

・特定健康診査の受診者本人への通知に関しては、受診者における特定健康診査の結果の経年

管理に資する形式により行われるようにすること。

・受診者の特定健康診査結果等の保存及び管理が適切になされていること。

・高齢者の医療の確保に関する法律第 30条に規定する秘密保持規定を遵守すること。

・個人情報の保護に関する法律及びこれに基づくガイドライン等を遵守すること。

・保険者の委託を受けて特定健康診査の結果を保存する場合には「医療情報システムの安全管

理に関するガイドライン」を遵守すること。

・健診結果の分析等を行うため、保険者の委託を受けて特定健康診査の結果に係る情報を外部

に提供する場合には、本来必要とされる情報の範囲に限って提供するとともに、提供に当た

っては、個人情報マスキングや個人を特定できない番号の付与等により、当該個人情報を匿

名化すること。

● 運営等に関する基準

・対象者の受診が容易になるよう、土日・祝日・夜間に特定健康診査を実施するなど、利用者

の利便性に配慮した取り組みを行い、特定健康診査の受診率を上げるよう取り組むこと。

・保険者の求めに応じ、保険者が適切な特定健康診査の実施状況を確認する上で必要な資料の

提出等を速やかに行うこと。

・特定健康診査の実施者に必要な研修を定期的に行うこと等により、当該実施者の資質の向上

に努めること。

・特定健康診査を適切かつ継続的に実施することができる財務基盤を有すること。

・保険者から受託した業務の一部を再委託する場合には、保険者との委託契約において、再委

託先との契約において本基準を遵守することを明記させること。

・次に掲げる事項の運営についての重要事項に関する規定を定め、当該規定の概要を、保険者

及び受診者が容易に確認できる方法(ホームページ上での掲載等)を通じて周知すること。

また、規定の概要を周知するに当たっては、指定の様式により行うこと。

*事業の目的及び運営の方針

*従事者の職種,員数及び職務の内容

*特定健康診査の実施日及び実施時期

*特定健康診査の内容及び価格その他の費用の額

*事業の実施地域

*緊急時における対応

*その他運営に関する重要事項

47

・特定健康診査の実施者に身分を証する書類を携行させ、特定健康診査の受診者等から求めら

れたときは、これを掲示すること。

・特定健康診査の実施者の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行うとともに健康

診査機関の設備及び備品等について、衛生的な管理を行うこと。

・虚偽又は誇大な広告は行わないこと。

・特定健康診査の受診者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるた

めの窓口を設置する等の措置を講じるとともに、苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内

容等を記録すること。

・従業者及び会計に関する諸記録を整備すること。

2)特定保健指導委託基準

● 人員に関する基準

・特定保健指導の業務を統括する者(特定保健指導を実施する施設において、動機付け支援及

び積極的支援の実施その他の特定保健指導に係る業務全般を統括管理する者をいう。以下「統

括者」という)は、常勤の医師、保健師又は管理栄養士であること。

・常勤の管理者(特定保健指導を実施する各施設において、特定保健指導に係る業務に付随す

る事務の管理を行う者)が置かれていること。ただし、管理上支障が無い場合は、保健指導

機関の他の職務に従事し、又は同一の敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事するこ

とができるものとする。

・動機付け支援又は積極的支援において、初回の面接、対象者の行動目標及び特定保健指導支

援計画(以下「支援計画」という)作成並びに特定保健指導の評価に関する業務を行う者は、

医師、保健師又は管理栄養士(平成 24 年度末までは、保健指導の実務経験を有する看護師を

含む)であること。

・対象者ごとに支援計画の実施(対象者の支援計画の作成、対象者の行動変容の状況の把握及

び評価、評価に基づいた支援計画の変更等を行うことをいう)について統括的な責任を持つ

医師、保健師又は管理栄養士が決められていること。

・動機付け支援又は積極的支援のプログラムのうち、対象者の支援計画に基づく食生活に関す

る実践的指導は、管理栄養士その他の食生活に関する専門知識及び技術を有する者(事業場

における労働者の健康保持増進のための指針(THP指針)に基づく産業栄養指導担当者、産業

保健指導担当者等)により提供されること。また、食生活に関する保健指導を自ら提供する

場合には、管理栄養士その他の食生活に関する専門知識及び技術を有する者を必要数雇用し

ていることが望ましいこと。

・動機付け支援又は積極的支援のプログラムのうち対象者の支援計画に基づく運動に関する実

践的指導は、運動に関する専門知識及び技術を有する者(THP 指針に基づく運動指導担当者、

産業保健指導担当者等)により提供されること。また、運動に関する保健指導を自ら提供す

る場合には、運動に関する専門知識及び技術を有する者を必要数雇用してることが望ましい

こと。

・動機付け支援又は積極的支援のプログラムの内容に応じて、再委託先や他の健康増進施設等

と必要な連携を図ること。

・特定保健指導実施者は、国、地方公共団体、医療保険者、日本医師会、日本看護協会、日本

栄養士会等が実施する一定の研修を終了していることが望ましいこと。

・特定定保健指導対象者が治療中の場合には、対象者ごとに支援計画の実施について統括的な

責任を持つ者(医師、保健師又は管理栄養士)が必要に応じて当該対象者の主治医と連携を

図ること。

● 施設又は設備に関する基準

・特定保健指導を適切に実施するために、必要な施設及び設備を有していること。

・個別指導を行う際に、対象者のプライバシーが十分に保護される施設(部屋)が確保されて

いること。

・運動の実践指導を行う場合には、救急時における応急措置のための体制を整えていること。

・健康増進法第 25条の受動喫煙の防止措置が講じられていること(医療機関においては、患者

の特性に配慮すること)。

● 特定保健指導の内容に関する基準

48

・特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準に基づき厚生労働大臣が定める特定保健

指導の実施方法に準拠したものであり、科学的根拠に基づくとともに、対象者や地域、職域

の特性を考慮したものであること。

・具体的な動機付け支援又は積極的支援のプログラム(支援のための材料、学習教材等を含む)

は、保険者に提示され、保険者の了解が得られたものであること。

・最新の知見、情報に基づいた支援のための材料、学習教材等を用いるよう取り組むこと。

・個別指導を行う場合は、対象者のプライバシーが十分に保護される場で行われること。

・契約期間中に、特定保健指導を行った対象者から当該特定保健指導の内容について相談があ

った場合は、事業者は相談に応じること。

・特定保健指導対象者のうち特定保健指導を受けなかった者又は特定保健指導を中断した者へ

の対応については、対象者本人の意思に基づいた適切かつ積極的な対応を図ること。

● 特定保健指導の記録等の情報の取扱いに関する基準

・特定保健指導に関する電磁的記録を作成し、保険者に対して当該電磁的記録を安全かつ速や

かに提出すること。

・保険者の委託を受けて、保健指導に用いた詳細な質問票、アセスメント、具合的な指導の内

容、フォローの状況等を保存する場合には、これらを適切に保存・管理すること。

・高齢者の医療の確保に関する法律第 30条に規定する秘密保持規定を遵守すること。

・個人情報の保護に関する法律及びこれに基づくガイドライン等を遵守すること。

・保険者の委託を受けて特定保健指導の結果を保存する場合には「医療情報システムの安全管

理に関するガイドライン」を遵守すること。

・インターネットを利用した支援を行う場合には、「医療情報システムの安全管理に関するガイ

ドライン」を遵守し、次に掲げる措置等を講じることにより、外部への情報漏洩、不正アク

セス、コンピュータウイルスの進入等の防止のための安全管理を徹底すること。

*秘匿性の確保のための適切な暗号化、通信の起点及び終点識別のための認証並びにリモ

ートログイン制御機能により安全管理を行うこと。

*インターネット上で保健指導対象者が入手できる情報の性質に応じて、パスワードを複

数設けること(例えば、健診データを含まないページにアクセスする場合には英数字の

パスワードとし、健診データを含むページにアクセスする場合には本人にしか知りえな

い質問形式のパスワードとすること等)

*インターネット上で健診データを入手できるサービスを受けることについては、必ず本

人の同意を得ること。

*本人の同意を得られない場合における健診データは、当該サービスを受ける者の健診デ

ータとは別の保存場所とし、外部から物理的にアクセスできないようにすること。

・保健指導結果の分析等を行うため、保険者の委託を受けて特定保健指導の結果に係る情報を

外部に提供する場合には、本来必要とされる情報の範囲に限って提供するとともに、提供に

当たっては、個人情報のマスキングや個人を特定できない番号の付与等により、当該個人情

報を匿名化すること。

● 運営等に関する基準

・対象者の利用が容易になるよう、土日・祝日・夜間に特定保健指導を実施するなど、利用者

の利便性に配慮した取り組みを行い、特定保健指導の実施率を上げるよう取り組むこと。

・保険者の求めに応じ、保険者が適切な特定保健指導の実施状況を確認する上で必要な資料の

提出等を速やかに行うこと。

・特定保健指導を行う際に商品等の勧誘・販売等行わないこと。また、特定保健指導を行う地

位を利用した不当な推奨、販売(商品等を特定保健指導対象者の誤解を招く方法で勧めるこ

と等)等を行わないこと。

・特定保健指導の実施者に必要な研修を定期的に行うこと等により、当該実施者の資質の向上

に努めること。

・特定保健指導を適切かつ継続的に実施することができる財務基盤を有すること。

・保険者から受託した業務の一部を再委託する場合には、保険者との委託契約において、再委

託先との契約において本基準を遵守することを明記させること。

・次に掲げる事項の運営についての重要事項に関する規定を定め、当該規定の概要を、医療保

険者及び利用者が容易に確認できる方法(ホームページ上での掲載等)を通じて、幅広く周

知すること。また、規定の概要を周知するに当たっては、指定の様式により行うこと。

49

*事業の目的及び運営の方針

*統括者の氏名及び職種

*従事者の職種,員数及び職務の内容

*特定保健指導の実施日及び実施時期

*特定保健指導の内容及び価格その他の費用の額

*事業の実施地域

*緊急時における対応

*その他運営に関する重要事項

・特定保健指導の実施者に身分を証する書類を携行させ、特定保健指導の利用者等から求めら

れたときは、これを掲示すること。

・特定保健指導の実施者の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行うとともに、保

健指導機関の設備及び備品等について、衛生的な管理を行うこと。

・虚偽又は誇大な広告は行わないこと。

・特定保健指導の利用者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるた

めの窓口を設置する等の措置を講じるとともに、苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内

容等を記録すること。

・従業者及び会計に関する諸記録を整備すること。

・保険者から受託した業務の一部を再委託する場合には、以下の事項を遵守すること。

*委託を受けた業務の全部又は主たる部分を一括して再委託してはならないこと。

*保険者との委託契約において、再委託先との契約において本基準に掲げる事項を遵守す

ることを明記させること。

*保険者への特定保健指導の結果報告等に当たっては、再委託した分も含めて一括して行

うこと。

*再委託先及び再委託する業務の内容を運営についての重要事項に関する規定の概要に明

記すること。

*再委託先に対する必要かつ適切な監督を行うこと。

3.個人情報保護に関する規定

1)保険者に対する守秘義務規定

国民健康保険法(平成 20年 4月 1 日施行分)

第 120条の 2 保険者の役員若しくは職員又はこれらの職に合った者が、正当な理由なしに、

国民保険事業に関して職務上知得した秘密をもらしたときは、1 年以下の懲役又は百万円以

下の罰金に処する。

地方公務員法

第 34 条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、

同様とする。

2)特定健診等の実施の委託を受けた者に対する守秘義務規定

高齢者の医療の確保に関する法律(平成 20年 4月 1日施行分)

第 30 条 第 28 条の規定により保険者から特定健康診査等の実施の委託を受けた者(その者

が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員又はこれらの者であった者は、

その実施に関して知り得た個人の秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。

第 167 条 第 30 条の規定に違反して秘密を漏らした者は、1 年以下の懲役又は百万円以下

の罰金に処する。

50

4.特定健診結果判定の基準値一覧

検査項目 基準値 保健指導判定値 受診勧奨判定値 単位

BMI 18.5~24.9 25.0以上

腹囲 男性 85未満 85以上

cm 女性 90未満 90以上

収縮期血圧 130未満 130~139 140以上 ㎜ Hg

拡張期血圧 85未満 85~89 90以上 ㎜ Hg

中性脂肪 150未満 150~299 300以上 mg/dl

HDL コレステロール 40以上 35~39 34以下 mg/dl

LDL コレステロール 120未満 120~139 140以上 mg/dl

GOT(AST) 30以下 31~50 51以上 IU/l

GPT(ALT) 30以下 31~50 51以上 IU/l

γ-GTP 50以下 51~100 101以上 IU/l

血清クレアチニン 男性 1.3未満 1.3~1.9

2.0以上 mg/dl 女性 1.2未満 1.2~1.9

血清尿酸 6.9以下 7.0~7.9 8.0以上 mg/dl

アルブミン 3.9以上 3.8以下 mg/dl

空腹時血糖 100未満 100~125 126以上 mg/dl

HbA1c

NGSP値 5.6未満 5.6~6.4 6.5以上

% JDS値

(平成24年度

まで採用)

5.2未満 5.2~6.0 6.1以上

尿糖 (-) (+) (++)以上

尿蛋白 (-) (+) (++)以上

ヘモグロビン値 男性 13.1以上 12.1~13 12以下

g/dl 女性 12.1以上 11.1~12 11以下

赤血球数 男性 410~529 380~409 379以下

×104/㎕ 女性 380~479 350~379 349以下

5.用語の解説

用 語 解 説

あ行

アウトソーシング 業務の一部を外部の会社に委託すること全体をいいます。

か行

階層化 特定保健指導は、内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着

目し、リスクの高さや年齢に応じてレベル別(動機付け支援・

積極的支援)に行います。そこで、特定健診の結果から保健

指導を行うため対象者の選定とレベル分けを行うことを階層

化といいます。

狭心症 動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが

悪くなると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素、栄養)不足

となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じま

す。これが「狭心症」です。

虚血性心疾患 「狭心症」、「心筋梗塞」などを総称して「虚血性心疾患」と

いいます。

クレアチニン 筋肉の中にはクレアチンリン酸と呼ばれるエネルギーを貯めた

窒素化合物が含まれています。これが酵素の働きによってクレア

チンに分解されるときエネルギーを放出し、そのエネルギーを使

って筋肉は動きます。クレアチンは役割を終えると、クレアチニ

ンという物質に変えられます。体内の窒素は腎からしか排泄され

ませんので、クレアチニンも血液を介してすべて腎臓から尿中に

排泄されます。このためクレアチニンの血中濃度は腎機能(ろ過

能)の指標として用いられています。

空腹時血糖 血糖値とは、血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度です。

空腹時血糖は、前夜から 10 時間以上の絶食での採血で血糖値

を測定し、夜食べた食事中の糖質がどれくらい肝臓で取り込

まれ、血液中に残っていないかをみています。

血圧 血圧とは、血管の内圧のことです。一般には動脈の血圧のこ

とで、心臓の収縮期と拡張期の血圧に分けて表されます

高血圧症 正常者の平均値よりも常に血圧が高い状態を「高血圧症」と

いいます。重症度によって、Ⅰ度~Ⅲ度に分類されます。

高尿酸血症 血清尿酸値が 7.0mg/dL を超えた状態を「高尿酸血症」といい

ます。この状態が続くことで尿酸塩結晶が関節に沈着して起

こる炎症が「痛風発作」です。

51

52

用 語 解 説

さ行

脂質異常症 血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態

のことです。

心筋梗塞 冠状動脈が完全につまってしまい、心臓の筋肉に酸素と栄養

がいかなくなり、その部分の壁の動きが悪くなってしまう病

気のことをいいます。心臓の壁の動きが悪くなると、ポンプ

としての力が落ちてしまいます。

た行

中性脂肪 3つの脂肪酸とグリセロールという物質が結びついたもので

す。脂肪酸はすぐに使えるエネルギーで中性脂肪は貯蔵用の

エネルギーとなります。中性脂肪は必要に応じて脂肪酸にな

り、エネルギーとして使われます。最近、血液中の中性脂肪

が増えると、HDL コレステロ-ルを減らし、LDL コレステロールが増えてし

まうことが分かってきました。

糖尿病 糖代謝の異常によって起こるとされ、血糖値(血液中のブド

ウ糖濃度)が病的に高まることによって様々な特徴的な合併

症を引き起こす危険性のある病気です。

な行

脳血管疾患 脳の血管がつまったり、破れたりして起こります。脳梗塞、

脳出血に分類されます。

脳梗塞 脳の血管が血栓(血の塊)によってつまり、そこから先へ酸

素や栄養が供給されなくなり、脳の組織が破壊されてしまう

病気です。

脳卒中 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作に分類さ

れます。

(くも膜下出血)

脳をおおっている3層の膜(内側から軟膜、くも膜、硬膜)

のうち、くも膜と軟膜の間にある動脈瘤が破れ、膜と膜の

間にあふれた血液が脳全体を圧迫することをいいます。

(一過性脳虚血発作)

脳の血管がつまるタイプのうち、24 時間以内に回復するも

のをいいます。

脳出血 脳の中の細い血管が破れて出血し、神経細胞が死んでしまう

ものをいいます。

53

尿酸 細胞の核の成分であるプリン体が分解されてできる老廃物で

す。血液中の濃度が高くなると溶けきれなくなった尿酸が結

晶化し痛風の原因となります。

尿蛋白 尿中の蛋白量を測定します。腎臓の働きが正常な時は、血液

を濾過する際に蛋白を血液へ戻しますが、病気になると尿中

に漏れてしまいます。尿中の蛋白の量を測ることで腎臓の状

態がわかります。

尿糖 蛋白質と同様、糖分は尿の中にほんのわずかしか含まれませ

ん。尿糖は、試験紙を用いて尿の中の糖分を調べる検査で、

糖尿病の有無を診断するのに有効です。

は行

肥満症 肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積された状態をいいます。医

学的にみて減量治療の必要な肥満を「肥満症」と診断してい

ます。

ま行

慢性腎臓病 糸球体濾過量(GFR)で表される腎臓の機能低下があるか、

蛋白尿などの腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3ヵ月以

上)に持続するもの全てを包含していいます。

BMI(体格指数)

(Body Mass Index)

肥満であるかどうかを判断するための指数のことをいいま

す。体格指数=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

GOT(AST) 肝臓や心筋、骨格筋に多く存在する酵素ですので、肝炎や肝障

害、心筋梗塞などで基準よりも高い値となります。

GPT(ALT) 肝臓に特化して存在する酵素で、肝臓の細胞が壊れると著しく

増加します。肝炎や脂肪肝、アルコール性肝障害などで高値と

なります。

γ-GTP 蛋白質を分解する酵素の一つです。アルコールや薬剤などが肝

細胞を破壊したときや、結石・がんなどで胆管が閉塞したとき

に、血中に出てくるもので、肝臓や胆道に病気があると異常値

を示します。

54

用 語 解 説

HbA1c 赤血球の中に含まれるヘモグロビン(血色素)にブドウ糖が結

合したものです。血液中に余分な糖があると、ヘモグロビンと

たくさん結合して数値が上昇します。赤血球の寿命が尽きるま

での3~4か月の間血液中に存在することから、1~3か月間

の平均的な血糖の状態を表します。

HDL(善玉コレステロール) HDL コレステロールは、体の隅々の血管壁から余分なコレス

テロールを肝臓に運び、動脈硬化を防止します。少なくなるこ

とが問題になります。

LDL(悪玉コレステロール) 肝臓で合成されたり、食物から取り入れられた LDL コレステ

ロールは、血液中を通って体内の必要なところへ運ばれ、細胞

膜やホルモンの合成に使われます。体の隅々に運ばれた LDL

コレステロールが余ると、動脈の血管壁にたまり、結果的に血

管を細くして血液の通り道が狭くなったり、血栓ができやすく

なり、動脈硬化を促進させてしまいます。

伊丹市国民健康保険

第2期 特定健康診査等実施計画

発行 伊丹市健康福祉部地域福祉室国保年金課

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平成 25(2013)年 4 月