市場均衡と 厚生経済学の基本定理 - waseda university市場均衡と...
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市場均衡と厚生経済学の基本定理
・完全競争
・部分均衡と一般均衡
・交換経済
完全競争の条件
・ 多数性の条件‐ 多数の主体,全体の取引数量に比べて小さい
・ 同質性の条件‐ 財は完全に同質的
・ 無名性(匿名性)の条件‐ 差別的に取り扱うことはない
・ 情報の完全性の条件‐ 市場に関する情報が完全である
・ 潜在的競争者(参入・歳出の自由)の条件‐ 参入・退出の自由が保証,法的,制度的,経済的な制
約を受けない
市場均衡の定義
・ 主体的需要関数・主体的供給関数を集計する
・ 市場需要関数・市場供給関数
・ 市場均衡は
D d k l
S s k l
k ki
i
n
k ki
i
n
( ) ( ) ( , ,..., )
( ) ( ) ( , ,..., )
p p
p p
= =
= =
=
=
∑
∑
1 2
1 2
1
1
D S k lk k( *) ( *) ( , ,..., )p p= = 1 2
・ 超過需要関数を
として
市場均衡の意味
・ 需給バランス
‐ 市場での需要量と供給量はその価格の下で一致
・ 個別主体は主体的均衡
‐ 経済が市場均衡にあるならば,個別の経済主体はそこから離れる誘因(インセンティブ)をもたない
E D S k lk k k( ) ( ) ( ) , ,..., )p p p≡ − = ( 1 2
E k lk ( *) , ,..., )p = =0 1 2 (
pk
E
Sk
Dk
pk*
0 xkxk*
2財2消費者の交換経済における一般均衡
・ エッジワースのボックス・ダイヤグラム
・ 初期保有点(ベクトル)
ωA=(ω1A,ω2
A), ωB=(ω1B,ω2
B)
・ 適当に点 OA をとって個人Aの原点とする
・ 横軸に第1財 x1を,縦軸に第2財 x2を測る
・ OA から横軸上にω1A+ω1
Bを,縦軸上に
ω2A+ω2
Bをとり,(ω1A+ω1
B,ω2A+ω2
B)を OBとし,これを個人Bの原点とする
・ x1A,x2
A :個人Aの需要量
・ x1B,x2
B:個人Bの需要量
・ 価格 p1,p2の下での予算制約式
p1x1A+p2x2
A =p1ω1A+p2ω2
A
p1x1B+p2x2
B =p1ω1B+p2ω2
B
・ 初期保有点ωを通る負の傾きをもった直線は,2人の個人に共通の予算制約線
・ 第1財が高くなると傾きが急になる
・ 第1財が安くなれば傾きが緩やかになる
・ 効用関数 u A=u A(x1A,x2
A)u B=u B(x1
B,x2B)
・ 価格ベクトル(p11,p2
1)
・ A, Bの需要:(x1A1,x2
A1),(x1B1,x2
B1)
x1A1+x1
B1<ω1A+ω1
B (超過供給)
x2A1+x2
B1>ω2A+ω2
B (超過需要)
・ E1 (p11/p2
1)<0
・ 価格ベクトル(p12,p2
2)
・ 需要:(x1A2,x2
A2),(x1B2,x2
B2) x1
A2+x1B2>ω1
A+ω1B (超過需要)
x2A2+x2
B2<ω2A+ω2
B (超過供給)
・ E1(p12/p2
2)>0
・ p11/p2
1 と p12 /p2
2 の間に E1(p1*/p2
*)=0 となるような価格比p1
*/p2* が存在
→均衡価格ベクトル
パレート最適の定義
・ 交換経済
・ 効用関数
・ 初期保有ベクトル
・ 実行可能配分
・ 実行可能配分 x,y
のとき,xはyによって支配されるという
・ 実行可能配分xは,他のいかなる実行可能配分によっても支配されないとき, パレート最適(配分),パレート効率的(配分)という
・ 他の配分へ移行することによって,他の人の状態を悪化させることなしに,もはや誰の状態も改善することができなくなっている
・ 他の人の効用を一定水準にとどめ,ある消費者の効用を最大化する実行可能配分を見つければ,それがパレート最適配分になる
交換経済におけるパレート最適条件
・ 限界代替率の均等
2人2財交換経済におけるパレート最適配分の図解
・ P点では
MRSPA>MRSP
B
・ A氏が第1財を第2財より,B氏が第2財を第1財より相対的に高く評価している→交換の利益
・ 点Rでは(点Sでも同じ)
MRSRA>MRSR
B
・ A氏は第2財を提供し第1財と交換したいが,もはや交換のための第2財は残っていない
・ 契約曲線:パレート最適配分の集合
厚生経済学の基本定理
・ [厚生経済学の第1基本定理]
‐ 完全競争市場における均衡(完全競争均衡)はパレート最適である
・ [厚生経済学の第2基本定理]
‐ 任意のパレート最適な配分は,一括固定税,一括補助金を用いることにより,完全競争市場の均衡によって達成される
基本定理の意義
・ 価格の自動調整機能
価格をシグナルとした分権的意思決定
→無駄のない配分(効率的配分)の達成
・ アダム・スミスの「見えざる手」
・ 配分は初期保有に強く依存
・ 初期保有における不平等は保存
・ 公正で効率的な資源配分
←再分配+分権的市場
・ 政府は個別主体以上に多くの情報が必要
交換経済における厚生経済学の基本定理の図解
・ 均衡配分Eは契約曲線上にあり,パレート最適である
初期保有がω→競争均衡はE点ある価値判断→望ましい配分はE’点