調査報告書 - 学校法人東邦大学...文部科学省平成...

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文部科学省平成27年度科学技術人材育成補助事業 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ【連携型】 研究職における 子育て・介護ニーズ調査 調査報告書 2018 年 3 月 千葉大学・東邦大学・量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所

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Page 1: 調査報告書 - 学校法人東邦大学...文部科学省平成 27年度科学技術人材育成補助事業 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ 【連携型】

文 部 科 学 省 平 成 27 年 度 科 学 技 術 人 材 育 成 補 助 事 業ダ イ バ ー シ テ ィ 研 究 環 境 実 現 イ ニ シ ア テ ィ ブ【連 携 型】

研究職における 子育て・介護ニーズ調査

調査報告書

2018年 3月

千葉大学・東邦大学・量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所

発行日

2018 年 3月 13日

編集・発行

東邦大学 ダイバーシティ推進センター

〒143-8540 東京都大田区大森西 5-21-16

TEL ■ 03-3762-4151(内線 2103)

FAX ■ 03-5763-6684

E-mail ■ [email protected]

H P ■ http://www.danjo.toho-u.ac.jp

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4

5

7

8

8

東邦大学

A・分析対象者の属性

B・調査結果

  (1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)

  (2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果)

  (3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果)

C・東邦大学についてのまとめ

9

10

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13

13

千葉大学

A・分析対象者の属性

B・調査結果

  (1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)

  (2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果)

  (3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果)

C・千葉大学についてのまとめ

14

15

17

18

19

放射線医学総合研究所

A・分析対象者の属性

B・調査結果

  (1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)

  (2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果)

  (3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果)

C・放射線医学総合研究所についてのまとめ

2

3

3

3

4

 

20

20

Ⅰ. 調査の背景

Ⅱ. 調査目的

Ⅲ. 調査方法

Ⅳ. 本報告書の構成

Ⅴ. 調査報告

Ⅵ. 全体のまとめ

  謝辞

目次

ページ

文 部 科 学 省 平 成27年 度 科 学 技 術 人 材 育 成 補 助 事 業ダ イ バ ー シ テ ィ 研 究 環 境 実 現 イ ニ シ ア テ ィ ブ【連 携 型】

研究職における 子育て・介護ニーズ調査

調査報告書

01

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Ⅰ. 調査の背景

取組の概要

概要

 本取組は、千葉大学が代表機関、東邦大学並びに放射線医学総合研究所が共同実施機関となりコンソーシアムを組織することで、男女共同参画推進に関するそれぞれの機関の実績を共有するとともに、新たな取組を共同で行い、多様な立場や経験をもつ人材が活躍できるダイバーシティ研究環境の実現とその環境の周辺機関への波及を目指すものである。  上記目標を達成するために、下記のA~Hの取組を前期3年間の行動計画に基づいて組織的に推進し、かつそれらの取組内容を他の周辺機関へも波及させる。

取組項目

 子育て・介護ニーズ調査については、上記“B. ライフイベント支援”の一環であり、どのような支援やサポートが必要かについて明らかにするために実施したものである。

 育児や介護と仕事の両立はまだまだ課題も多く、日本全体に目を向ければ、他の先進諸国に比べて、女性研究者の割合が低いままである。このたび、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ連携型」に採択され、女性研究者支援をさらに促進する機会を得た。そこで、3機関で連携し、育児と介護のニーズを調査することとした。具体的には、現在育児中や介護中の教職員のみだけではなく、今後育児や介護に関わる可能性がある人や、これまで育児や介護を経験した人から見たニーズも把握し、育児や介護と仕事の両立のためには何が必要なのかについて明らかにすることを目的とした。3機関で同時に、統一項目調査を実施することにより、機関それぞれの類似点、差異が把握でき、どのような支援が必要なのかについて、より詳細な情報を得ることを目指した。

Ⅱ. 調査目的

研究力向上

E. 研究インターンシップF. 研究スキルアップ支援 / キャリア・アップ支援G. 女性上位職の増加への取組H. 上位職増加に向けての女性研究者の裾野拡大

ダイバーシティ環境推進

A. 共同シンポジウム開催 B. ライフイベント支援 C. 研究活動再開支援D. 共同研究の支援・促進

調査方法

 全教職員を対象とした、無記名方式によるアンケート調査をWeb 調査で3機関(千葉大学・東邦大学・放射線医学総合研究所)で実施した。調査期間は、2016 年 5月~2017 年 1月の 9ヶ月であった。

本報告書における分析対象者

 調査は、各機関において全教職員を対象として実施された。本報告書においては、 研究職につく798名(千葉大学 501名、東邦大学 224名、放射線医学研究所 73名)の分析を行った。なぜなら、女性研究者支援に始まったプロジェクトの延長線上に、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ連携型」があるため、研究者が長く安心して働くためには何が必要かについてを、より明らかにする必要があるためである。

Ⅲ. 調査方法

Ⅳ. 本報告書の構成

 この調査を実施した3機関(千葉大学・東邦大学・放射線医学総合研究所)は、研究機関としては組織が大きく異なるため、まずは、各機関ごとの結果を示す。各機関について、全体の結果と男女別の結果を示した。

0302

2 3

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東邦大学     A・分析対象者の属性

東邦大学     B・調査結果

保育園・保育施設

病児保育

学童保育

子の看護休暇

育児休業制度

学内保育施設

短時間勤務制度

フレックスタイム制度

所定外労働の制限

両立支援等助成金

ベビーシッター

テレワーク制度の導入

育児相談専門のカウンセラー

家事援助 4.5 39.4 36.2 21.0

4.0 18.8 51.8 25.4

2.7 17.0 49.1 31.3

3.6 18.3 46.0 32.1

2.7 10.7 44.2 42.4

1.3 13.4 42.0 43.3

1.8 10.3 44.6 43.3

0.9 6.3 45.5 47.3

1.3 10.3 40.6 47.8

0.4 3.1 40.2 56.3

0.4 2.2 38.4 58.9

2.20.4 34.4 62.9

0.9 2.7 19.2 77.2

0.90.9 16.5 81.7

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Figure 1 東邦大学における子育て支援に対するニーズ

 B・調査結果

(1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)❶子育て支援に対するニーズ(全体) 子育て支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答の多い順に並べたのが Figure 1である。「保育園・保育施設」、「病児保育」「学童保育」の順でニーズが高く、子どもを預ける先へのニーズが高いことが示された。一方、「家事援助」「子育て専門のカウンセラー」「テレワーク制度の導入」などについては、現時点ではニーズがさほど高くないことが示された。

女性男性25 歳以下26-30 歳31-35 歳36-40 歳41-45 歳46-50 歳51-55 歳56-60 歳61 歳以上教授准教授講師助教・助手医学部理学部薬学部看護学部その他大森大橋佐倉習志野その他5年以下6-10 年11-15 年16-20 年21-25 年26-30 年31-35 年36-40 年配偶者なし常勤の配偶者ありフルタイム非常勤の配偶者ありパートタイム非常勤の配偶者ありその他非常勤の配偶者あり自営業の配偶者あり無職の配偶者ありその他の配偶者あり子どもなし子どもあり妊娠中妊娠計画中または不妊治療中妊娠・出産の予定はないいない同居中の要介護家族がいる別居中の要介護家族がいる

�84140142038504531269513760761403321255

1391610581684932282410854986532211372701547231941681046

割合 (%)37.562.50.41.88.917.022.320.113.811.64.022.816.526.833.962.514.79.411.22.262.17.14.525.90.430.421.914.312.510.74.53.62.221.938.42.214.30.94.916.50.931.368.83.110.386.675.04.520.5

性別

年齢

職位

所属学部

所属地区

勤務年数

配偶者の有無と就業状況

子どもの有無

妊娠出産予定

介護が必要な家族

Table 1 東邦大学の分析対象者の属性 �=224

Ⅴ. 調査報告東邦大学

 A・分析対象者の属性    分析対象者の属性は Table 1のとおりです。

0504

4 5

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東邦大学     B・調査結果

東邦大学     B・調査結果

2.2

0.4

1.3

0.9

0.9

0.0

0.9

0.0

12.1

7.1

11.6

6.7

7.1

8.6

2.2

0.9

44.2

44.6

39.3

42.0

36.2

35.7

34.4

32.1

41.5

47.8

47.8

50.4

55.8

60.7

62.5

67.0

介護相談専門のカウンセラー

短時間勤務制度

テレワーク

所定外労働の制限

フレックスタイム制度

介護休業制度

介護休暇

介護保険制度

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Figure 2 東邦大学における介護支援に対するニーズ

❷介護支援に対するニーズ(全体) 介護支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答が多い順に並べたのが Figure 2である。「介護保険制度」「介護休暇」「介護休業制度」の順でニーズが高かった。

* p<.05 * * p<.01男性

女性

介護保険制度 介護休業制度 介護休暇 テレワーク フレックスタイム制度

* * *** *

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

4 . 0 0

男性

女性

ベビーシッター 学童保育 家事援助 育児休業制度 テレワーク制度の導入 フレックスタイム制度

**

**

**

**

*

*

* p<.05 * * p<.01

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

4 . 0 0

Figure 3 東邦大学において男女で子育てニーズについて有意差があった項目

Figure 4 東邦大学において男女で介護ニーズについて有意差があった項目

❶子育て支援に対するニーズ(男女別)

❷介護支援に対するニーズ(男女別)

(2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果) 子育てと介護の支援のニーズ(子育ては Figure 1の14項目、介護は Figure 2の8項目)について尋ねた項目について、男女において差異があるかについて、t検定を行った結果、子育ては6項目(Figure 3)、介護も5項目(Figure 4)に有意差が認められた。いずれの項目も男性よりも女性の方が、有意にニーズが高いという結果であった。

0706

6 7

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東邦大学     B・調査結果/C・東邦大学についてのまとめ

千葉大学     A・分析対象者の属性

 子育て・介護の支援のニーズを聞いた結果、子育てについては“子どもを預ける先”へのニーズが高かった。介護については「介護保険制度」「介護休暇」「介護休業制度」などの制度が重視されていることがわかった。調査協力者の属性を見ると、子育てについては“子どもあり”が 57.9%を占め、一方、介護については、“要介護がいない”が 76.3%であり、現実的なニーズと、想像上のニーズになっている可能性はある。 男女別のニーズや意識を見ると、ほぼ全ての項目で、男性に比べ、女性の方が“是非必要である”との回答が多く、困難についても女性の方が強く感じているという結果であった。 しかし、研究については、男女ともに、“時間が足りないと感じる”“将来に不安を感じる”など強く感じている結果も示されており、男女ともに研究を続けていく上での不安や困難を感じていることが示されていた。 東邦大学においては、学内に保育園や病児保育施設を有し、また、准修練医制度など、子育て・介護のサポートになる制度もあるが、全体としては女性の方が困難を感じている傾向は強いように思われる。

C・東邦大学についてのまとめ

(3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果) 研究、教育、家庭などについて尋ねた10項目に対する男女別の結果を示したのが Figure 5である。すべての項目について男女の間に有意差は見られなかった。下記の項目は「1.よくある、2.ある、3.ない」の3件法で尋ねているため数値が低いほどよくあることを示している。最も強く感じられているのは、「研究のために時間が足りないと感じることがある」という項目であることが分かり、子育てや介護への不安以上に、研究に対する不安が強いことが示されているとも言えよう。

0 . 0 0

0 . 5 0

1 . 0 0

1 . 5 0

2 . 0 0

2 . 5 0男性

女性

自分の将来に関して

不安を持つことがある

自分の健康に関して

不安を持つことがある

子育てに対して

不安を持つことがある

親などの介護に対して

不安を持つことがある

家庭や家族の問題のために

仕事が制限されていると思う

余暇や休養にあてる時間が

足りないと感じることがある

家庭・私生活と仕事との

やりくりに苦しむことがある

仕事のために家庭や私生活が

犠牲になることがある

教育のための時間が足りないと

感じることがある

研究のための時間が足りないと

感じることがある

Figure 5 東邦大学における研究者のワークライフバランスに関する項目(男女別)

●ワークライフバランスに関する項目男性女性欠損値25 歳以下26-30 歳31-35 歳36-40 歳41-45 歳46-50 歳51-55 歳56-60 歳61 歳以上欠損値教授准教授・講師助教・助手その他欠損値西千葉亥鼻松戸・柏の葉その他欠損値5年以下6-10 年11-15 年16-20 年21-25 年26-30 年31-35 年36-40 年欠損値配偶者なし常勤の配偶者ありフルタイム非常勤の配偶者ありパートタイム非常勤の配偶者ありその他の非常勤の配偶者あり自営業の配偶者あり無職の配偶者ありその他の配偶者あり欠損値子どもあり子どもなし妊娠中妊娠計画中または不妊治療中妊娠・出産の予定はない欠損値いない同居中の要介護者がいる別居中の要介護者がいる欠損値

�29919481246210195706044386

10816012397132761713841220311663343626878

116190184251110856

199302125433996366159525

割合(%)59.738.71.60.24.812.420.219.014.012.08.87.61.221.631.924.619.42.655.134.17.60.82.440.523.212.66.87.25.21.61.41.623.237.93.68.41.02.221.61.01.239.760.32.410.867.719.273.13.019.05.0

性別

年齢

職位

所属地区

勤務年数

配偶者の有無と就業状況

子どもの有無

妊娠出産予定

介護が必要な家族

Table 2 千葉大学の分析対象者の属性

千葉大学

 A・分析対象者の属性    分析対象者の属性は Table2のとおりです。

�=501

0908

8 9

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千葉大学     B・調査結果

千葉大学     B・調査結果

3.6

9.4

6.0

3.4

5.0

3.0

3.6

6.0

3.8

3.6

2.4

2.0

2.4

3.2

3.4

21.8

31.5

19.8

17.8

10.6

9.8

7.6

9.2

8.8

9.8

6.6

2.2

4.6

1.8

0.2

49.9

34.1

44.9

38.3

42.7

46.7

41.5

36.9

39.5

37.3

37.3

37.7

32.1

33.3

23.8

16.4

17.0

22.6

33.1

33.3

34.5

39.7

40.3

40.9

48.5

48.5

52.3

53.9

57.5

68.5

8.4

8.0

6.8

7.4

8.4

6.0

7.6

7.8

7.4

5.2

5.2

5.8

7.0

4.2

4.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Figure 6 千葉大学における子育て支援に対するニーズ

 B・調査結果

(1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)

❶子育て支援に対するニーズ(全体) 子育て支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答が多い順に並べたのが Figure 6である。「保育園・保育施設」、「病児保育」「学童保育」の順でニーズが高く、子どもを預ける先へのニーズが高いことが示された。一方、「子育て専門のカウンセラー」「家事援助」などについては、現時点ではニーズがさほど高くないことが示された。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1.6

3.0

1.4

2.2

1.4

1.0

0.8

0.8

0.2

12.4

8.6

8.6

13.6

5.8

5.4

2.6

2.6

1.6

50.3

43.5

44.7

36.5

40.9

38.1

42.3

38.9

34.9

27.7

37.1

37.9

39.7

45.3

48.3

49.9

51.9

58.3

8.0

7.8

7.4

8.0

6.6

7.2

4.4

5.8

5.0

Figure 7 千葉大学における介護支援に対するニーズ

❷介護支援に対するニーズ(全体) 介護支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答が多い順に並べたのが Figure 7である。「介護保険制度」「介護休暇」「介護休業制度」の順でニーズが高かった。

1110

10 11

Page 8: 調査報告書 - 学校法人東邦大学...文部科学省平成 27年度科学技術人材育成補助事業 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ 【連携型】

千葉大学     B・調査結果

千葉大学     B・調査結果/C・千葉大学についてのまとめ

 子育て・介護の支援のニーズを聞いた結果、子育てについては“子どもを預ける先”へのニーズが高く、一方、介護については「介護保険制度」「介護休暇」「介護休業制度」など制度が重視されていることがわかった。 男女別のニーズや意識を見ると、ほぼ全ての項目について男女で有意差が見られ、男性に比べ、女性の方が“是非必要である”との回答が多く、困難についても女性の方が強く感じているという結果であった。 ワークライフバランスについても、男性に比べ女性の方が困難を感じているという結果であった。研究については、男女ともに、“時間が足りないと感じる”“将来に不安を感じる”など強く感じている結果が示されており、男女ともに研究を続けていく上での不安や困難を感じていることが示されていた。

 C・千葉大学についてのまとめ

Figure 10 千葉大学における研究者のワークライフバランスに関する項目(男女別)

●ワークライフバランスに関する項目

自分の将来に関して

不安を持つことがある

自分の健康に関して

不安を持つことがある

子育てに対して

不安を持つことがある

親などの介護に対して

不安を持つことがある

家庭や家族の問題のために

仕事が制限されていると思う

余暇や休養にあてる時間が

足りないと感じることがある

家庭・私生活と仕事との

やりくりに苦しむことがある

仕事のために家庭や私生活が

犠牲になることがある

教育のための時間が足りない

と感じることがある

研究のための時間が足りない

と感じることがある

****

* *

*

0 . 0 0

0 . 5 0

1 . 0 0

1 . 5 0

2 . 0 0

2 . 5 0男性

女性

* p<.05  * * p<.01

Figure 8 千葉大学において男女で子育てニーズについて有意差があった項目

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

4 . 0 0男性

女性

* p<.05 * * * p<.001***

***

***

***

***

***

*** ****

***

******

***

***

❶子育て支援に対するニーズ(男女別)

保育園・保育施設

病児保育

ベビーシッター

学童保育

職場内保育施設

家事援助

短時間勤務制度

育児休業制度

育児部

子の看護休暇

所定外労働の制限

両立支援等助成金

テレワーク

フレックス

タイム制度

Figure 9 千葉大学において男女で介護ニーズについて有意差があった項目

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

4 . 0 0* * * p<.001

❷介護支援に対するニーズ(男女別)

******

******

******

******

短時間勤務制度

所定外労働の制限

介護部分休業制度

介護休暇

介護休業制度

介護保険制度

テレワーク

フレックス

タイム制度

男性

女性

(2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果)

 子育てと介護の支援のニーズを尋ねた項目(子育てはFigure 6の15項目、介護はFigure 7の9項目)について、男女において差異があるかについて、t検定を行った結果、子育てでは「育児相談専門カウンセラー」以外のすべての項目(Figure 8)、介護では「介護相談専門カウンセラー」以外のすべての項目 (Figure 9) について、男性より女性の方が、有意にニーズが高いという結果であった。

(3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果)

 研究、教育、家庭などについて尋ねた10項目に対する男女別の結果を示したのがFigure 10である。この項目は「1.よくある、2.ある、3.ない」の 3 件法で尋ねているため数値が低いほどよくあることを示している。そのうちの 5項目に有意差が見られ、いずれも男性より女性の方が強く感じていることが分かった。 「研究のために時間が足りないと感じることがある」という項目は男女で有意差はなく、男女ともに強く感じているという結果が示されており、子育てや介護への不安以上に、研究に対する不安が強いことが示されているとも言えよう。

1312

12 13

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放射線医学総合研究所     A・分析対象者の属性

放射線医学総合研究所     B・調査結果

5.5 32.9 53.4 5.5 2.7

4.1 16.4 60.3 16.4 2.7

2.7 23.3 52.1 19.2 2.7

4.1 11.0 54.8 26.0 4.1

2.7 13.7 52.1 27.4 4.1

4.1 12.3 52.1 28.8 2.7

1.4 41.10.0 54.8 2.7

26.00.00.0 71.2 2.7

4.1 43.8 49.3 2.70.0

4.1 45.2 47.9 2.70.0

5.5 46.6 43.8 4.10.0

4.1 50.7 43.8 1.40.0

9.6 57.5 30.1 2.70.0

17.8 54.8 24.7 2.70.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

 B・調査結果

(1)子育て・介護に対する意識(全体の結果)

❶子育て支援に対するニーズ 子育て支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答が多い順に並べたのが Figure 11である。「保育園・保育施設」、「病児保育」、「学童保育」の順でニーズが高く、子どもを預ける先へのニーズが高いことが示された。一方、「家事援助」「子育て専門のカウンセラー」などについては、現時点ではニーズがさほど高くないことが示された。

Figure 11 放射線医学総合研究所における子育て支援に対するニーズ

Table 3 放射線医学総合研究所の分析対象者の属性  �=73

 

男性

女性

欠損値

25 歳以下

26-30 歳

31-35 歳

36-40 歳

41-45 歳

46-50 歳

51-55 歳

56-60 歳

61 歳以上

欠損値

常勤(定年制職員)

常勤(任期制職員)

非常勤

5年以下

6-10 年

11-15 年

16-20 年

21-25 年

26-30 年

31-35 年

36-40 年

41-45 年

欠損値

配偶者なし

常勤の配偶者あり

フルタイム非常勤の配偶者あり

パートタイム非常勤の配偶者あり

その他非常勤の配偶者あり

自営業の配偶者あり

無職の配偶者あり

子どもあり

子どもなし

妊娠中

妊娠計画中または不妊治療中

妊娠・出産の予定はない

欠損値

いない

同居中の要介護者がいる

別居中の要介護者がいる

43

29

1

3

3

1

13

13

11

12

8

8

1

39

12

22

17

19

11

11

6

4

1

2

1

1

15

26

4

9

2

3

14

52

21

1

4

64

4

51

1

21

割合(%)

58.9

39.7

1.4

4.1

4.1

1.4

17.8

17.8

15.1

16.4

11.0

11.0

1.4

53.4

16.4

30.1

23.3

26.0

15.1

15.1

8.2

5.5

1.4

2.7

1.4

1.4

20.5

35.6

5.5

12.3

2.7

4.1

19.2

71.2

28.8

1.4

5.5

87.7

5.5

69.9

1.4

28.8

性別

年齢

勤務形態

勤続年数

配偶者の有無と

就業状況

子どもの有無

妊娠出産予定

介護が必要な家族

放射線医学総合研究所

 A・分析対象者の属性    分析対象者の属性は Table3のとおりです。

1514

14 15

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放射線医学総合研究所     B・調査結果

放射線医学総合研究所     B・調査結果

Figure 12 放射線医学総合研究所における介護支援に対するニーズ

19.2 53.4 24.7 2.70.0

1.4 5.5 61.6 28.8 2.7

0.0 9.6 58.9 28.8 2.7

0.0 16.4 47.9 31.5 4.1

5.5 47.9 42.5 4.10.0

2.7 49.3 45.2 2.70.0

1.40.0 38.4 58.9 1.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

男性

女性

*

*

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

フレックスタイム制度テレワーク

*

**

*

2 . 0 0

2 . 2 0

2 . 4 0

2 . 6 0

2 . 8 0

3 . 0 0

3 . 2 0

3 . 4 0

3 . 6 0

3 . 8 0

学童保育 職場内保育施設 短時間勤務制度 フレックスタイム制度

男性

女性

Figure 13 放射線医学総合研究所において男女で子育てニーズについて有意差があった項目

Figure 14 放射線医学総合研究所において男女で介護ニーズについて有意差があった項目

❶子育て支援に対するニーズ(男女別)

❷介護支援に対するニーズ(男女別)

(2)子育て・介護に対する意識(男女別の結果)

 子育てと介護の支援のニーズ(子育ては Figure 11の14 項目、介護は Figure 12の 7項目)について尋ねた項目について、男女において差異があるかについて、t検定を行った結果、子育ては4項目(Figure 13)、介護は2項目(Figure 14)に有意差が認められた。いずれの項目も男性よりも女性の方が、有意にニーズが高いという結果であった。

❷介護支援に対するニーズ(全体) 介護支援に対するニーズについて、 “ぜひ必要”であるという回答が多い順に並べたのが Figure 12である。「介護保険制度」「介護休業制度」「フレックスタイム制度」の順でニーズが高かった。

1716

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放射線医学総合研究所     B・調査結果

放射線医学総合研究所     C・放射線医学総合研究所についてのまとめ

 子育て・介護の支援のニーズを聞いた結果、子育てについては“子どもを預ける先”へのニーズが高く、一方、介護については「介護保険制度」「介護休業制度」など制度が重視されていることがわかった。 男女別のニーズや意識を見ると、「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「テレワーク」などの働き方に関する制度については女性の方がよりニーズが高いことがわかった。また、ワークライフバランスについては、男女で有意差はほとんどなく、仕事と家庭の両立については、男女ともに同程度に不安や困難を感じていることが示された。

 C・放射線医学総合研究所についてのまとめ

Figure 15放射線医学総合研究所における研究者のワークライフバランスに関する項目(男女別)

自分の将来に関して

不安を持つことがある

自分の健康に関して

不安を持つことがある

子育てに対して

不安を持つことがある

親などの介護に対して

不安を持つことがある

家庭や家族の問題のために

仕事が制限されていると思う

余暇や休養にあてる時間が

足りないと感じることがある

家庭・私生活と仕事との

やりくりに苦しむことがある

仕事のために家庭や私生活が

犠牲になることがある

学生・実習生など指導のために

時間が足りないと感じることがある

研究のために時間が足りないと

感じることがある

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

2.00

2.20

2.40

2.60

*

男性

女性

●ワークライフバランスに関する項目

(3)ワークライフバランスに関する項目(男女別の結果) 研究、教育、家庭などについて尋ねた 10項目に対する男女別の結果を示したのが Figure 15 である。この項目は「1.よくある、2.ある、3.ない」の 3件法で尋ねているため数値が低いほどよくあることを示している。1 項目 (「家庭や家族の問題のために、仕事が制限されている」) のみに有意差が見られ、女性の方が、家庭や家族のため仕事が制限されていると強く感じていることが分かった。

1918

18 19

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 3機関の研究者それぞれの調査データについて分析したが、子育てや介護に対するニーズは、機関ごとに多少の違いはあったにせよ、類似した結果であったと言える。 子育てについては、保育園、病児保育、学童保育など、子どもを預ける施設についてのニーズが高く、仕事と家庭の両立には安心して預けられる場所が必要であることを示した結果であろう。しかし、他の項目についても「必要である」「ぜひ必要である」を足した割合はすべての項目において 50%を超えており、比較的ニーズの割合が低かった項目についても導入の検討が必要と思われる。 介護については、介護保険、介護休暇、介護休業制度などの介護を行うためのシステム、制度についてのニーズが高かった。ただし、他の項目についても「必要である」「ぜひ必要である」を足した割合はすべての項目において 70%を超えており、全項目について導入の検討が必要と思われる。 子育てや介護のニーズについては、男女間に有意差がある項目も多く、いずれも男性より女性の方が必要性を感じていることが明らかになった結果であった。ワークライフバランスについては、男女差は少なく、特に「研究のための時間が足りない」という項目は3機関すべてで男女差なく、最も強く感じられていることであった。研究者としては、研究をする時間の確保は重要と思われ、なんらかの改善が求められる。

Ⅵ. 全体のまとめ

 この調査は文部科学省平成27年度科学技術人材育成補助事業の採択を受け実施したものであり、調査にご協力くださいました教職員の皆さまに心から感謝の意を表します。多くの皆さまにご協力いただきましたので、今後も分析を重ね、皆さまにとってのより良い職場環境になるために役立たせていただきます。ご協力誠にありがとうございました。

謝辞

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文 部 科 学 省 平 成 27 年 度 科 学 技 術 人 材 育 成 補 助 事 業ダ イ バ ー シ テ ィ 研 究 環 境 実 現 イ ニ シ ア テ ィ ブ【連 携 型】

研究職における 子育て・介護ニーズ調査

調査報告書

2018年 3月

千葉大学・東邦大学・量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所

発行日

2018 年 3月 13日

編集・発行

東邦大学 ダイバーシティ推進センター

〒143-8540 東京都大田区大森西 5-21-16

TEL ■ 03-3762-4151(内線 2103)

FAX ■ 03-5763-6684

E-mail ■ [email protected]

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