味覚刺激 と自律神経 脳活動 - srut.org · 味覚刺激と自律神経活動 動物にお...
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The Japanese Association for the Study of Taste and Smell
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assooiation for the Study of Taste and Smell
日本味と匂学会誌 Vol.20 No .2 PPI51 −160 2013 年 8 月
総説特集 味覚 (うま味)と口腔保健 よ り健康な生活を 目指して一 7
味覚刺激 と自律神経 ・ 脳活動の 関連
杉本 久美子1)’
・土橋 な つ みD ・泰羅 雅登
2)・臼井 信男2)
([
東京医科歯科大学 ・歯学部 ・口腔保健学科、2
東京医科歯科大学大学院
医歯学総合研究科 ・認知神経生物学)
口腔内に摂 り入れ た 食物か らの 味覚情報は 、 大脳皮質 の 第一次 ・第二 次味覚野に伝え られ て 、味が知覚 ・
認知 され る だけで はな く、意識 に の ぼ らな い 形で 自律神経を介 して 唾液分泌を始め とする消化器系へ の 調節
を引 き起こす。 そ れ と同時に、大脳辺縁系に送られた味覚情報は快 ・不快の 情動 を生 じ、そ の 評価結果が摂
食行動として表出される 。 こ の ような味覚刺激 に対す る生体 反応が味 の 質に よ っ て 異な る の か と い う点を調
べ る た め 、自律神経の 応答な ら び に脳波 に よ る 脳活動 の 解析 を行 っ て 検討 した。そ の 結果、自律神経活動に
おい て は 、 唾液分泌促 進効果 の あ る うま味刺激で 副交感神経活動の 上昇が み られ た の に対 し、一様 に 嫌われ
る苦味刺激で は 唾液分泌促進効果が低 く、交感神経活動 が 上 昇す る こ と、な らび に 副交感神経活動 と唾液分
泌量 との 間 に は 正 の 相関が あ る こ とが明 らか とな り、副交感神経 を亢進 させ る うま味な ど は他 の 消化器 に も
促進作用 を及ぼすが、交感神経 を亢進させ る苦味は負の 調節を行う可能性が 示唆された。また、脳波か ら情
動の 基本的 4 感情 、 すなわち喜 (満足感)、怒 (ス トレ ス )、哀 (気落ち感)、楽 (リ ラ ッ ク ス 感)の レベ ル
を解析 した結果、甘味と酸味刺激中の 満足感の 一E昇や苦味刺激中の ス トレ ス 上昇 とリラ ッ クス 感低 下な ど、
味質に よ り異なる感情の変化パ ターン が観察され、こ の 方法を用 い て 刺激 に対す る情動変化の 客観的把握が
可能 と な る こ とが示 唆さ れ た の で 、本稿で紹介する。
キーワー ド ;5 基本味刺 激、自律神経活動 、脳活動 、情動 、 味覚唾液反射
は じめに
食物 を摂取 し、消化、吸収す る 過程 は、生 命維持
の ために一生涯繰 り返さ れ る機能で あ る。こ の機能
を営むため に 生体は きわめ て 巧妙な調節機能を備 え
て い る 。 消化器系全体に わ た っ て 、外界か ら取 り入
れ た食物 の 成分 や 量・性状 の 情報を化学的な ら び に
機械的 セ ン サー
で 検 出 し、そ の 情報 を基に 、 効率よ
く消化液分泌や消化管運動 の 調節 を行 っ て い る 。
まず、口か ら取 り入 れ た 食物は 口腔内 の様 々 な感
覚器を刺激 し、そ の 情報 は大脳皮質 に到達 して 、 味
覚 、 触 圧 覚、温度感覚あ る い は 辛味 (刺激性)感覚
として 知覚 され、食 の 総合的認知が 行わ れ る。こ の
と き鼻腔に抜ける食物の 香 り (フ レーバ ー
) も総合
的味わ い の 重要な要素をなす。一方、こ れ らの 情報
は同時 に 扁挑体 な どの 大脳辺 縁系に達 し、 快 ・不
快、す な わ ち、お い し い ・まず い とい っ た情動評価
を生 み出 し、摂食行動を調節する 。 食後の デ ザート
は 別腹 、 食欲が な くて も一
旦食 べ 物 を 冂 に する と食
事が進 む と い っ た 口常的体験 は、お い し さ の 情動が
胃の 働きを活発 に しD
、 さらなる受け入れ態勢を整
える ため と考え られ る。また、意識 に の ぼ らな い 形
で 、味覚を含む 口腔内の 感覚情報は 自律神経を介 し
て 反射性 に、消化液の 分泌 と消化管の運動を促進さ
せ 、 消化器系に 食 べ 物を受 け入れる準備 を開始させ
る1’y)
。 続 い て 、胃、腸に 食塊 が送 られ る と、機 械
的、化学的刺激 はよ り直接 的に反射性調節 を引 き起
こす蛔 。消化管の 壁 に は 2 層 の 神経叢 があ り、第
二 の 脳 と もよ ば れ る神経細胞の ネ ッ トワーク が存在
Reoeived July lO,2013;Accepted Ju■y 31,2013
Thc activities ofautonemic nerves and brain associated with taste stimulation ,’Kumiko Sugimoto:SchQol ofOral Health Care Scicnccs, Faculty ofDentistry , Tokyo Medical and DenLal University,1−5−45 Yushima ,Bunkyo −ku, Tokyo l l3・8549;ksugimQto.bohs@tmd.ac.jp;Fax;
+ 81−3−5803−4640
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日本味 と匂学会誌 Vo120 No .2 2013 年 8 月
杉本 久美子 ・土橋
して い る た め、刺激が加わ る とこ の 内在神経系を介
して 腸内反射に よ る 消化管運動 な どの 調節が行 わ れ
る 。こ の 内在神経系 に 加 えて、副交感神経 と 交感神
経が腸管外か ら走行支配 し、そ れ ぞ れ促進性お よ び
抑制性 の 調節 を 行 う。 延髄 お よ び 脊髄 か ら 出 る 自律
神経 による調節 はさらに上位 の 脳か らも調節 を受 け
て い る 。 食物の お い し さや 楽し い 食事環境か ら生 じ
る快情動 は、副交感神経を介する促進性調節をよ り
強化 し、栄養摂取機能を高め る一
方で 、味気ない 食
事や ス トレ ス は交感神経 を介して 機能 を低 ドさせ る
要因とな る。こ の よ うに 生命維持 に 不可欠な栄養摂
取機能 に対 して、消化器の感覚か ら誘発 さ れ る 自律
神経活動と情動 は 重要な調節要素 と な る た め、本稿
で は味覚刺激が こ れ らの 神経活動 に 与え る影響 に つ
い て紹介 し、心身ともに健康な生活を送 る た め の 考
察 を 行 い た い 。
なつ み ・泰羅 雅登 ・臼井 信男
味質の 認知閾値 を求めた後、刺激が明確 な味 として
感じられか つ 中等度の 強 さ と な る よ う閾値の 約 3 倍
濃度 の 溶液 を本実験 に 用 い た。使用 した 最頻 の 濃度
は シ ョ 糖と NaC1 で 100 mM 、 MSG で 30 mM 、ク エ
ン 酸 で 3mM 、キ ニ ーネ で 3 μ M で あ っ た。こ れ
らの 味溶液 を 1分 間 口 に含ん で い る時 の 自律神経活
動を 、 無刺激時お よ び純水を口 に含ん だ時とウ ィ ル
コ ク ソ ン の 符号付順位検定に よ り比較した。その 結
果、副交 感神 経活動 は、無刺 激時 と比 較 し て 、
MSG 刺激 中有意 に L昇 し (p く O.05)、クエ ン 酸刺
激 中 に ト昇傾向 (p < 0.D を示 し た の に 対 し、キ
ニーネ刺激中は純水時 と比 べ て減少傾向 (p く 0.D
を示 した (図 IA)。一方、交感神経活動は、キ ニ
ー
ネ刺激中 に 無刺激時、純水時 と比 較 して 有意 に 上 昇
した が (p く O.OI)、 他 の 4 基本味刺激で は有 意な変
化は認め られ なか っ た 〔図 IB)。
味覚刺激と 自律神経 活動
動物 に お け る 自律神経活動 の 記録 か ら、味覚刺激
お よ び胃や腸に到達 した うま味 や 甘 味等の 成分が迷
走神経求心路 を活性化し、反射性 に迷走神経遠心路
の活動を変化させ る こ とが 明 らか に され て い る即 面
。
ヒ トで も同様 に味覚刺激に よる反射 が起 き る 際 に 自
律神経活動の 変化を伴うと考えられ 、 その 検証 を行
うた め、5 基本味の 溶液を 1分間 口 に 含 ん で い る 問
の 副交感神経 と交感神経 の活動変化を解析し た 。 自
律神経 活動 は、心 拍す な わ ち 心電 図 の R−R 間隔 の
変動 を周波数解 析 し、O.25Hz に ピーク を もつ 高周
波数 成分 (HF )を副交 感神経活動の 指標、0,07Hz
に ピーク を もつ 低周波 数 成 分 (LF ) を HF で 除 し た
値を交感神経活動 の 指標 と して 推計 しだ3〕
。 こ の 理
論的背景 は、呼吸に伴う肺受容器か らの信 号に よ る
心拍変動は副交感神経活動を反映 し、動脈の 圧受容
器か らの 信号 による心拍変動は交感神経 と副交感 神
経の 活動を反映する との考え に基づ くL4’ ls )
。 測定 ・
分析方法の 詳細に つ い て は、他の 論文S’16)
を参照 い
た だ きた い 。
5 種類 の 基本味刺激 と し て、3 〜 300mM シ ョ 糖、
1 〜 300mM NaCl 、1 〜 300 mM グ ル タ ミ ン 酸 ナ ト
リ ウ ム (MSG )、 O.1〜 10mM ク エ ン 酸お よ び 0.3
〜 100 μ M 塩 酸 キ ニ ーネ (キ ニ ーネ ) の 5 −一 6 段
階濃度 の 溶液 をそれぞれ H一味、塩 味、うま味、酸味
お よ び苦味刺激 と して用 い た 。 まず全 口 腔法に て各
A ms2
700.0
副 600.0 .、交 500、0 .感
神 400・0
経 300.o活 200.0動 100.0
0、0
B
41374365 44ア7 433.1
十
* 529.54ss.6
.1
無刺激 練水 シ∋糖 NaCl MSG クエ ン酸 キ ニ ーネ
7.00 −
6.OG 一交
感 5・00 一
神 4.00
籌ii拍 2.71!.s7
膕
弸
ー目
口聖■鬮■
弸
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1
、、ll
圏,慧
無朿1]dV 純水 シ ョ糖 NeCI MSG クエ ン 酸 キ ニー
ネ
ホ廓:ρくO.01r 窟:Pく0.05.十:ρ
くO.1
図 15 基本味溶液刺激中 の 自律神経活動 の 変化
A :副交感神経活動 。 無刺激時 と比 較 し て 、 うま
味刺激中 の 有 意な上 昇 と酸味刺激 ri.1の ト昇傾向
が認め られた。苦味刺激で は純水時と比較 して
減少す る傾 向がみ られた 。
B 交感神経活動。苦味刺激中は無刺激時お よ び
純水時と比 較し て 有意な上 昇 が 認 め られ た が、
他 の 味刺激では有意な変化 は認められなかっ た。
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味覚刺激 と自律神経 ・脳活動 の 関連
味覚刺激と唾液分泌
味覚刺激 に よる自律神経活動変化 の ア ウ トプ ッ ト
と して 、ヒ トで最 も直接的 に観察で きる の が、味覚
唾液反射 による唾液分泌 で ある 。 口腔 内に加えられ
た 味覚刺 激 の 信号 は 鼓索神経、舌咽神経、大浅錐体
神経に よ っ て延髄孤束核の ニ ューロ ン に伝達 され、
その 情報が次 い で 延髄にある E ・「唾液核の ニ ュ
ー
ロ ン に 送ら れ る。そ の 結 果、副交感神経系の 働 きに
よ り耳下腺 、 顎下腺 、 舌 ド腺か ら電解質を含む水様
性の 唾液が多量 に分泌される。一方、ス トレス な ど
に よ る 交感神経系 の 活性化は タ ン パ ク 質に富む粘性
の 高い 唾液を少量分泌 させ る 。 したが っ て 、 唾液分
泌 は 自律神経の 活動 バ ラ ン ス が 反映された結果 と捉
え る こ とが出来 る 。
そ こ で 、前項の 自律神経活動測 定 の 際 に、味覚刺
激時 の 唾 液分泌速度 を測定 し、ウ ィ ル コ ク ソ ン の 符
号付順位検定に よ り無刺激時お よび 純水時 と の 比較
を行 っ た 。 その 結果 、 無刺激時お よ び純水時と比較
する と、5 基本味すべ て の 刺激 が 唾 液分泌速 度を有
意に増加 させ たが、そ の 中で 苦味刺激は促進効果が
他 の 味質 に比 較 して 弱か っ た (図 2>。こ れ らの 結
果を基 に、刺激時 の 唾液分泌速度と副交感神経活動
お よ び交感神経活動が どの ように 関連す るか を検討
した結果 を図 3 に示す 。 副交感神経活動 と唾液分泌
速 度 と の 問 に は 正 の 有 意 な 相 関 (r ≡O.359、p <
O. 1)が認 め ら れ 、 か つ 、交感神経活 動 と唾液分泌
速度と の 間 に は 弱 い な が ら有意 な負の 相 関 が 認 め ら
れ た (r =−0,294、p く 0.05)。
gimi[
200
180
唾160
液 140
分 1.20泌 10e速
O.BO度
O,60 040
0.20 000
a167165a
a155
ユ ヨ8
昏,置 b
匸c 鬣“ 1D1
0740 .7嫡 鰾卩1鷺隈、r1尺塚げi聾『.」3%ゴ『ヤr:こ恐’F丁■る瓲
無刺激 純水 シ ョ糖 NaOl
図 2 味覚刺激 に よ る 唾液分泌速度 の 変化
5 基本味刺激す べ て が無刺激時お よ び純水時と比
較 して 唾液分泌速度を上昇させ たが、苦味は他 の
味質に 比較 して 促 進効果 が 低 か っ た。
異な る ア ル フ ァ ベ ッ ト間は有意差 があ る こ と を示
す (P く O.Ol)。
こ こ まで の 結果を総合す ると、うま味や酸味刺激
は 副交感神経活動を高め て 唾液分泌 を効 果的 に 促進
す る こ と、さらには消化器系全体をも活性化する可
能性が示唆さ れ た 。
一方、苦味刺激 は、副交感神経
活動 の 低下 と交感神経活動の 上昇を生 じ、唾液分泌
へ の 効果 も低 い と い う特徴 が み られ た が 、これ は嫌
わ れ る味で ある こ とに 起 因して い る と推 測 され る 。
実際に、味の 好み に つ い て 5 段 階 (L 嫌 い 、2,どち
らか とい えば嫌 い 、3,どちらで もない 、 4.どちらか
と い え ば 好 き、5.好 き〉 で 回 答 を得 た結果、甘 味
4.42 ± 0.16 (平均値 ± 標準誤差、n =25)、 塩味 4,17
± 0.19、うま味 4.58 ± 0.13、酸味 3.96 ± 0.18、苦
味 2.42 ± 0.23 と な り、昔味以 外の 味質は 4 前後 と
好 む者が多か っ た の に対 し、苦味は ほ とん どの 被験
者で嫌わ れ る味で あ っ た。こ の こ とか ら、口 腔内 に
味覚刺激が加わ る と、基本的に は副交感神経系 を介
する無条件反射の経路 を介 して 唾液分泌 が促進され
るが、嫌 い (不快)の 情動 を生 じ る味の 場合 は交感
神経活動 の 上昇 も伴 い 、基本の 反射性調節に修飾を
加え る 可能性が示唆された 。
味覚刺激と情動 :脳波か らの解析
食物を味わ う時に 生 じる快 ・不快 の 情動 は 、 前述
の よ うに自律神経を介する 反射性調節 に影響 を与 え
る だけ で な く、摂 食行動に直接的か つ 強力な影響を
及 ぼ す。 好物を摂取する ときに は、食物 に 関す る視
覚、味覚、嗅覚、口腔内体性感覚の 情報 が総合 され
て、過去 の 経験 に照 ら して こ の食べ 物は お い しく身
体 に有益 とい う情動評価 がな され、食欲 は増進 さ
a
gfmln
400
350
300
唾
液2・s°
分 泌 200
速
度 150
100
M $G クエ ン酸 キ ニー
ネ 050
000
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一
0 500 1000 1500msz O 2 4 6 8
副交感神経活動 交感神経活動
図 3 自律神経活動と唾液分泌速度 との 閧係
唾液分泌 速度は 、 副交感神経活動 と正 の 相 関 (r
=O.359,p く 0.Ol) を示 し、交感神経神経活動 とは
負 の 相関 (r =−0.294,p < O.05) を示 した 。
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杉本 久美子 ・.L橋
れ 、 積極 的 に摂取 す る行 動 と して 表 出 され る 。 逆
に、あ る 食物 を摂取 して 食中毒や ア レ ル ギーを起 こ
す とい っ た経験をす る と、負 の 情動体験とな り、そ
れ 以 降そ の 食物を忌避して摂取 しない と い う行動 が
定着す る 。こ の よ うに食物 を味わ う際 に は、味 の 知
覚 ・認知に加えて情動に関わ る脳の 活動が 生 じて お
り、
一人ひと りが感 じる情動 を客観的 に提え る事が
で きれば、言語的 コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン が 困難な 認知
症患者等に お い て も、 内的に どの ように感 じて い る
の か を把握す る こ とが可能とな る。
味覚刺激時の ヒ トの 脳活動を非侵襲的に検出する
方法として 、 近年 、 Magnetoencephalography(M 巳G :
脳 磁 図)]TTek
hmctional Magnetic Resonance Imaging
〔fMRI : 機能的磁気共鳴両像法)2°.zz)
、 Near−lnfrared
Spectoroscopy(NIRS : 近赤外 分光法)231,
な どが利用
され て い る。特 に、MEG や fMRI は 空 間解像 能 が
高い た め 、味覚刺激時 の 脳内活動領域 と その 応答性
に つ い て こ れ らを用 い た詳細 な検討が 行われ て い
る。活動 領域 と し て、大脳皮質第一
次味覚野 で あ る
島皮質、前頭 ・頭 頂弁蓋部 は共通 して報告 され て お
り、そ の 中 で も各基本 味に対して よ り強く選択的に
活性化 され る領域があ る との 報告もな され て い るユ2〕
。
さら に、第一
次味覚野 から情報を受け、嗅覚 など他
の 感覚情報 も総合 して 高次 の 食 の 総合判断が行わ れ
る眼窩 前頭皮質 で は、快 と不快 の 刺激 で 異な る領域
が活性化 さ れ、情動処理 に 重要 な扁桃体 は両刺激 に
よ り活性化され る こ とが報告 され て い る1°”。こ の よ
うに、味覚刺激中に活性化され る 脳領域につ い て の
知見 は得 られつ つ あ る もの の 、そ の活動に伴 っ て 実
際 に どの よ うな情動 を生 じて い る の か に つ い て 客 観
的 に 分析 し た報告は まだない 。
そ こ で、今回、大 が か りな設備 を必要 と せ ず、
フ ィー
ル ドで の デー
タ採取が可 能 な脳 波計測 を行
い 、味の種類に よっ て 生 じる情動の違い を捉える こ
と を試み た 。 脳波は臨床的 に も確立 され て い る脳活
動 の 記録 方法 で あ る が 、従来、味覚刺激に よ る誘発
電位を 100 回以 上加算平均する こ とに よ り有意 な信
号 を得 る 試 み が行 わ れ て きた峨,一方、本 研 究 で 使
用 した感性 ス ペ ク トル 解析シ ス テ ム ((株)脳機能研
究所〉は 、 1 回の 計測 で 情 動解析が可能 とい う利点
を有 し、国際 10−20 法 に したが っ て 、頭 皮 上 に 設 置
した 10箇所の 電極か ら導出 した脳波を分析す る25’26)
。
実際 の実験 の 様子 と プ ロ トコ ール を図 4 に示す 。
こ
なつ み ・泰羅 雅登 ・臼井 信男
の 解析 シ ス テ ム は、喜 (満 足感)、怒 (ス トレ ス )、
哀 (気落 ち感)、楽 (リ ラ ッ ク ス 感) の 各要素を主
観的に純粋体験 して い る ときの 脳波パ ターン との 相
互相関 を分析す る こ とで、様 々 な感覚経験 をして い
る 時 の 情 動 の 4 要素 の レ ベ ル を推計する もの で あ
る 。 本シ ス テ ム を用 い て、被験者が口腔内に注入 さ
れた 5ml の刺激溶液を閉眼状 態で 20〜 30 秒間味
わ う際 の 情動変化 を解析 した 。 刺 激溶液 は、明確に
味 の 質 を感 じられ情動 を伴 う条件 とするため に 高め
の濃度 と し 、 O.5 M お よ び 1.OM シ ョ 糖 、 O.03 M ま
た は 0,1M ク エ ン 酸、0.5 M MSG 、0.3 mM キ ニー
ネを用 い た。さらに、お い しさを高め る た め に使用
され る辛味成分 の カ プ サ イ シ ン (0.03mM また は
0.1 皿 M )を刺激 に 用 い 、感作 を避 け る た め に刺激
順序は最後と し た 。
各刺激 に よ る 4 基本感情 (怒 ・喜 ・哀 ・楽)の 変
化例 を図 5 に示 す。こ の被験者に お い て は、シ ョ 糖
刺激時に ス トレ ス の 下降と満足感 ・リラ ッ ク ス 感 の
上 昇が み られ、MSG 刺激 時に ス トレ ス の 下 降と満
足感 の 上昇、キ ニ ーネ刺激時に ス トレ ス・気落ち感
の 上 昇と リラ ッ クス 感 の ド降な どの 変化 がみ られた
が、カ プ サ イ シ ン で は 主観 的辛さ が 弱か っ た こ と を
反映 して、大 きな変化は み られ なか っ た 。 感情 レベ
ル は個人 に よ る ば らつ きが大 きい ため、各被験者 の
データ を Z 変換 に よ り規準 化 し た うえで 、閉 眼 無
刺激時 を基準 と し て各刺激時に お け る被験 者 12名
の 平均 を 求 め た 結 果 (図 6)、味の 質に よ り異な る
感情変化を生 じる 囗∫能性が示唆さ れ た 。 被験者数が
少な い た め 、 純水 と比較 した変化が有意 とな らない
もの が 多 い もの の 、シ ョ 糖で は、ス ト レ ス の低 ドと
満足感 ・リ ラ ッ ク ス 感 の 上昇、ク エ ン 酸 で は 、ス ト
レ ス ・リ ラ ッ ク ス感の 低下 、 満足感の 上昇 、キニー
ネで は、ス ト レ ス・気落ち感 の 上昇 と リ ラ ッ ク ス 感
低下 とい っ た味 の 質に よる特徴的変化パ ターンが 得
ら れ た 。 慨括する と 、 全員に好 まれ る甘味 で はポジ
テ ィ ブ な感情変化 が み られ 、嫌 わ れ る苦味で は ネ ガ
テ ィ ブ な感情変化が 生 じて い る こ とが明確 に示され
た 、,一方、MSG で 明確.なパ タ
ーン が み ら れ なか っ
た 要 因 と して は、全 員 うま味 自体は 好 む もの の 、
MSG 溶液 を単独で 味 わ うと お い し く感 じ られず、
塩 味 な ど の 他 の 味 と混合 して 始めて お い しく感 じ ら
れる性 質があ る た め と考え られ 、今後混合刺激 を用
い て検討する 必要がある 。 シ ョ 糖 、ク エ ン 酸 お よ び
一154 一
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味覚刺激 と自律神経・脳活動の 関連
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図 4 味覚 ・辛味刺激 に よ る 脳波変化 の 記録実験
A :被験者の [1内 に 外径 4mm の チ ューブ を挿人 し、コ ン トロ ール 装置で シ リ ン ジを押
す こ とに よ り 5 ml の 各溶液を一一
定速度で 注入 し た。
B : 国 際 10−20 法 に 従 い 、赤丸で 示し た 10箇所 の 電極 よ り脳波を導出 した。
C : 実験の プ ロ トコ ール 。 閉眼時 を規準と し て刺激時 の 変化 を抽出 し た。
や 怒 (ス トレス )一聾 喜 〔満足惑 )r 鈩 哀 〔気 落ち 感}尋 棄 (リラックス 惑)
5431
ユ
o
.1
一1
・3
.4
一5
図 5 味覚お よ び辛味刺激 に よ る 4 基本感情の 変化 例
味覚刺激に よ り変動 した部分を赤枠 で 示 し た。
一155一
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杉本 久美子・土橋 なつ み
・泰羅 雅登・臼井 信男
■ 怒(ス トレス ) 鬮 喜〔満足感) 驥 哀(気落ち感) 膃 楽(リラックス 感〕
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図 6 味覚お よび辛味刺激 に よ る 4 基本感情の 変化
Z 変換に よ りノーマ ラ イ ズ し て 閉眼時 を 規準 と した 12名の 平均値 を示
し、エ ラーバ ー
は標準誤差 を示す。味 の質に よ り異な る変化パ ターン が
み られ た 。 ウ ィ ル コ ク ソ ン の 符号付順位検定を 行 い 、 純水 を口 に 含 ん
だ場合 と比 較 し て有意 な変化 ま た は 変化傾 向が み られ た もの に マ ーク
を附 した 。 クエ ン 酸 とカ プサイ シ ン の 各濃度 に つ い て は被験者は 6 名。
カ プサ イシ ン は 2 段階の 濃度を使用 し た が 、前 2 刺
激は濃度に かか わ らず同様の 感情 パ ター
ン を示 した
の に 対 し、カ プ サ イ シ ン で は濃度に よ るパ ターン の
違 い が認め られた。低濃度カ プ サ イ シ ン で は ス トレ
ス 低下 が み られ た が 、高濃度 で 辛みが強 くな る と逆
に ス トレス が 上 昇する 結果 と なり、刺激性 の 上昇 に
伴 っ て 、生 じる感情 パ ター ン も変化する こ とが示 さ
れ た 。
さらに、図 7 に示 す よ うに 基本感情を加減す る こ
とに よ り、 複合感情 (好奇心 、 無力感 、 疲労感、心
地 よ さ感、鎮静感、気分良さ感)を求め る こ とも可
能 とされ て お りZフ〕、こ の方法に従 っ て刺激時の 複合
感 1青変化を検討 した結果 を図 8 に 示す 。 各刺激 につ
い て 純水の パ ターン と の 比 較 で 表 して い る が、好 ま
れる甘味刺激で は心 地よさ、気 分 よさ、鎮静感など
が強 ま り、嫌が られ る苦味刺激で は心地 よ さ感や鎮
静感が低下 し、疲労感が上昇 した,また、刺激性 の
強 い ク エ ン 酸、キ ニ ーネお よ び カ プ サ イ シ ン は 共通
して 好奇心 を高めたが、ク エ ン 酸 と低濃度の カ プ サ
イ シ ン に は キ ニー
ネ と異 な り、心 地 よ さ感 や 気分 よ
さ感 を高め る効果が 認 め ら れ た 。 摂食 ・嚥下障害患
者 に対 し、感覚 を覚醒 さ せ る た め に、ク エ ン 酸や カ
図 7 基本感情 と複合感情の 関係
〔株}脳搬能研究所より資料提供
プサイ シ ン の 刺 激が利用 さ れ て い る が 、こ の 結果 は
そ れ らの 刺激が 不快を 生 じな い 可能性 を示 す と考 え
られ る 。
今回、脳波記録か ら基本感情お よ び複合感情の 分
析を行っ た 結果 、 好 まれ る 味 と嫌 わ れ る味に対 して
異 なるパ ター
ン の 感情変化が捉え られ た こ とは、逆
に い え ば 、 脳波 パ ター
ン か ら客観的 に 味の快 ・不快
を推測 で きる可能性を示唆する と考えられる 。
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The Japanese Assooiation for the Study of Taste and Smell
日本 味と匂学会誌 Vo120 No.22013 年 8 月
D
疲労感
無力感
國
気分よさ感
ショ 糖
心 地よさ感
鎮静 感
味覚刺激 と自律神経 ・脳活動の 関連
,OM ショ糖
圈
気分よさ感
地 よさ感
静 感
圜0.3mM 好奇心
キニ ー
疲労 感
無力懸
気分よさ感
D
疲労感
匳 ]。 1M
好奇心 クエ ン 酸 2
無 力感
f
気 分よさ感
カプサイシ ン
心地よさ感
DOO3Mクrxン 酸
鎮静感
気分 よさ感
mM
叶イシ ン
図 8 基本感情の 結果 (図 7)か ら求めた味覚・辛味刺激 に対す る 複合感情 の変化
各刺激につ い て 、 純水を口 に含ん だ時との 比較で示 した。
おわ りに
味覚刺激に対する感性解析に加えて 、現在、頭皮
上 21 箇所 に 設置 した電極 の 記録か ら、一定 の 周波
数帯域 の ニ ューロ ン活動量を検出、マ ッ ピ ン グする
方法 (NAT :Neuronal Activity Topography)2s〕
を 用 い
て、刺激時に特定 の 周波数帯域 の 脳波活動 が高まる
領域 の 同定を試み て い る 。 現時点で は 、脳波か らの
分析は空 間的解像度 が 悪 く、味 の 種類 に よ る 反 応パ
ターン の 違 い は全 く見出 されて い ない 。 しか し、 味
覚刺激 と カ プサイ シ ン に よ る体性感覚刺激で は若干
の 違 い が 認 め られ て お り、4 〜 8Hz の θ帯域 で は
味覚刺激中両側頭部近辺 に ニ ュー
ロ ン 活動量 の 増加
がみ られ、カ プサ イ シ ン で は頭頂部近辺で の活動増
加が 観察 さ れ た。ま た 、8 〜 13Hz の a 帯域 で は、
味覚刺激中に前額部や 右前頭部を中心 に ニ ュー
ロ ン
活動 の 増加 が み ら れ て お り、NIRS で 観察さ れ た 活
動領域 の 前頭 前野23}
との 対応、情動 と の 関連が 示
唆 され る が 、 こ の 分析に 関 し て は今後さ らに検討を
重ね る 必 要があ る 。
本稿で 、味覚刺激 中 の 自律神経活動お よ び脳波の
分析か ら他覚的 、 客観的に刺激に対する 生体反応 と
情動変化を検出する試み を行い 、味の快 ・不快の 違
い が 異なる 自律神経活動 と脳活動 を 引 き起こすこ と
を報告した。今回は基本 的味刺激 の み を用 い て い る
が、今後実際 の 食物の 味わ い に近づ ける よ うに、複
雑 な味 や うま味 をお い しく感じ ら れ る条件下 で 実験
を行い 、こ の 方法の有用性 を検証 して い きた い と考
えて い る 。 特 に 、 脳波 に よ る分析は、大が か りな装
置 を必要 とせ ず、フ ィー
ル ドに お い て も利用 で きる
利点が ある た め 、主観的感 じ方を言語表現 で きない
認知症等 の 対象者 に 対 し て、そ の 内面 を推 し量 る 上
で 有用な ツー
ル に なる可能性があ り、内面理解を対
象者へ の 対応に活か し、 健康 とQOL の 向上ため の
サポー
トに役 立 て い くこ と が期待さ れ る。
謝 辞
本研究実施 に あた り多大な ご協力をい ただい た東
京医科歯科大学大学院医歯 学総合研 究科小児歯科学
分 野 の 三 輪 全 三 先 生 、 上 原 奈緒子 先生 な ら び に
(株)脳機 能研 究所の 武者利光先生、田 中美枝子先
生 に深 く感謝申し上げ ます 。
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The Japanese Association for the Study of Taste and Smell
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TheJapanese Association for
HJas zata\k- -ff.S
the Study of Taste and Smell
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味覚刺 激 と自律神経 ・脳活動 の 関連
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〈 著者紹介 〉
杉本 久美子 (す ぎもと くみ こ )氏略歴
1973 年 大阪大学薬学部卒業
1973年 東京医科歯科大学歯学部技官
旦983 年 薬学 博士 の 学位取得 (大阪大学)
1986〜1987年 米国モ ネル 化学感覚研 究所 研究員 (Postdoctora且fellow)
1992年 東京医科歯科大学大学院歯学研 究科助手
且997年 同講師
1997 年 米 国 ル イ ジ ア ナ州立大学生物科学研 究員
2004〜2010 年 東京医科 歯科大学 歯学部冂腔保健学科教授
2011 年〜 東京医科歯科大学 歯学部 口 腔保健学科口腔保健工学専攻教授
土橋 なつ み (つ ちはし なつ み)氏略歴
2007年 九 州大学歯学部卒業
2012年 東京医科歯科大 学大学 院医歯学 総合研 究科口 腔機能再構 築 学系
(小 児歯科学)専 攻博士 課程修了
2012年 東京医科歯科大学歯学部 口 腔保健学科口 腔保健 工 学専攻 口 腔保健 蝋 、
基礎 工 学講座 口腔基礎科学分野非常勤講師 ・」
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The Japanese Association for the Study of Taste and Smell
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The Japanese Assooiation for the Study of Taste and Smell
日本味と匂学会誌 Vo1.20 No .2 2013 年 8 月
杉本 久美子 ・土橋 なつ み ・泰羅 雅登 ・臼井 信男
泰羅
1981年3 月
1985 年 3 月
1985 年 4 月
1987年 4 月
1990 年ll月
1991年 7 月一
1993 年 3 月
2004 年 5 月
2005年 4 月
2010 年 5 月
雅登 (た い ら まさと)氏略歴
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学大学院歯学研 究科 博士課程修了
(財)東京都神経科学総合研究所流動研究員
日本大学医学部 (第一生理学)
米国 Johns Hopkins大学客員研究員 (兼任)
米国 Minnesota州立大学客員講師 (兼任)
冂本大学総合科学研 究所教授
日本大学大学院総合科学研究科教授
東京医科歯科 大学大学院医歯学総合研究科教授
臼井 信男 (うす い の ぶ お)氏略歴
1990 年 [1本大学 文理学部心理学科卒業
1992 年 日本大学 大学院文学研究科心理 学専攻博士 前期課 程修了
1998年 日本 大学大 学院文学研究科心理学専攻博士後期課程 修了 博士
(心理学 )
1997年 山梨県環境科学研究所環境生理学研究室 研究員
2002 年 科学技術振 興事業団 (社会技術研究 シ ス テ ム) 研究員
2004 年 科学技術振興機構 (CREST ) 研究員
2011年 東京医科歯科人学大学院医歯学総合研究科認知神経生物学分野
技術補佐 員
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