集団づくりのための エクササイズ · ワークシート 学習日 月 日 年 組 番...
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事例2 楽しい学級(学校)生活にしよう -いじめ-
・ピンクのカードに書くこと = 学級(学校)生活の中から,人とのかかわりで
うれしかったことや,気持ちの良い思いをした時
のことを思い出して書きましょう。
・ブルーのカードに書くこと = 学級(学校)生活の中から,人とのかかわりで
嫌な感じを受けたことや,不快な思いをした時の
ことを思い出して書きましょう。
※カードは無記名にする。
・考えが近いものや似ているものを近くに貼るようにする。
・ピンクのカードの集まり具合をみながら,互いに意見交
換をする。
「うれしいと感じるのはどんな時が多いでしょうか。」
・ブルーのカードの集まり具合をみながら,互いに意見交
換をする。
「嫌な感じを受けるのはどんな時が多いでしょうか。」
気づき
エピソード1
エピソード2
ピンクのカードとブルーのカードを準備する。
ピンクのカードとブルーのカードをそれぞれ別の模造紙に貼り,イメー
ジマップ を作る。
楽しい学級(学校)生活にしよう-いじめ-
気づきから へ
【 ね ら い 】 ・楽しい学級(学校)生活にするための手立てを話し合うことから,
学級に支持的な風土を育み,児童相互が連帯感をもてるようにする。
【 対 象 】 ・小学校4年生~中学校3年生(学級活動)
【時間の目安】 ・40分程度【資料・準備物】 ・気づきの活動で作成したイメージマップ(教室内に掲示する)
・メモ用紙(メモ係使用)
・ワークシート
【 形 態 】 ・グループ(10人程度)→一斉【進め方の説明】
全体の構成 ・問いに対するブレインストーミングを実施し,その結果を発表し合
いその後に個々の考えをワークシートに記入する活動で構成されて
いる。
活 動 1
・グループごとに役割分担を決める。(司会係・メモ係)
・ブレインストーミングの注意事項を確認する。
※小学校においては,役割を事前に決めておいてもよい。
活 動 2
・「楽しく学級(学校)生活をするためには,互いにどうしていった
らよいのでしょうか。」の問いに対してブレインストーミングを実
施する。
※ブレインストーミングの時間は 20分程度が適切であるが,学級の実態によって 15分や 10分にし,活動3・4の時間で調整するのもよい。
活 動 3
・ブレインストーミングで出た意見をグループごとに発表する。
・発表が終わったら聞いていた人は盛大に拍手をする。
活 動 4
・ブレインストーミングを終えてからの考えや感想をワークシート
にまとめる。
投げかけの言葉
学級(学校)生活を楽しいものにするには,互いの
気づかいが必要だと思います。相手のことを考え,自
分の考えが分かるように伝えることで互いの理解を深
めることも必要でしょう。
これからどんなことをして学級(学校)生活を楽し
くしていったらよいか考えていきましょう。
学び
【 解 説 】
□ いじめが生じる背景には,学級の支持的な風土が十分に育っていなかったり,児童
生徒相互の連帯感が育っていなかったり,教師と児童生徒の信頼関係が成立していな
かったり等様々な要因が考えられる。
本事例は,学級の支持的な風土づくりのための活動である。いじめが顕在化してい
る場合には,いじめられる側の児童生徒を保護し,いじめる側の児童生徒を指導する
ことが必要となる。その場合には,生徒指導的な対応を直接とることになるため本事
例の活用は難しいと考えられる。本事例は,年度当初の学級づくりなどに実施すると
効果があると考えられる。
ワークシート
学習日 月 日 年 組 番 氏名
[ブレインストーミングの約束事]
・友達の発言に文句を言ったり,批判したりしないようにしましょう。
・意見は多いほどいいので,たくさん発言するようにしましょう。
・思いついたことはなんでも自由に話しましょう。
・友達の話から連想したことや思いついたこともどんどん発言しましょう。
① 他の班の意見を聞いていいなと思ったことを書きましょう。
② 話し合いをして自分が感じたことや感想を書きましょう。
③ 楽しい学級(学校)にするために,これから自分がやってみたいことや,他の人
と協力していっしょにやってみたいことを書いてみましょう。
楽しい学級(学校)生活にしよう-いじめ-
学びから へ
○ もっと仲良くなれるようにゲーム集会を開こう(話し合い)
(ねらい)
・話し合い活動を通して役割分担をしたり,計画を一緒にたてたりしながら連帯感
を育んでいきたい。
○ 楽しい学級にするための約束事を決めよう(話し合い)
(ねらい)
・楽しい学級にするためにはどんな約束事があったらよいか話し合うことを通して,
共に学級をよくしていこうとする意欲を高めていきたい。
○ 学級(学校)生活を楽しくするために,自分ができることをやってみよう。
(ねらい)
・各自が学級生活を楽しく(快く)過ごすための方法を考え,実際に活動すること
を通して,実践することの喜びやその意義を実感させていきたい。
(例1)一日のうちで 30人の人に声をかけてみる。「おはよう」「一緒に遊ぼう」「一緒にやろうよ」等
(例2)学級を楽しくする隊を作って,学級のためになることを考え実行する。
・休み時間に楽しく遊ぶ計画をたてる。
◎ 一か月やってみたら感想をまとめてみましょう。
「やってみて何か変わったことがありましたか。」
「実際やってみてどんな気持ちになりましたか。」
「もっとやってみたいことがみつかりましたか。」
(ねらい)
・実践したことを振り返る活動を通して,達成感
や自尊感情,自己有能感を感じさせたい。
たとえば その1
たとえば その2
チャレンジしてみよう
行動
たとえば その3
事例3 テーマ 「いじめ」は犯罪? -いじめ-
から
次の文章を読んで何を感じますか。
気づき
エピソード
毎日給食を食べられなかったB君
B君は学校で汚いもの扱いをされている。B君のものをゴミ箱に捨てら
れるだけではなく,クラスメイトはB君の机のうえや机の中にゴミを捨て
る。「さあ,ゴミ箱に捨てよ。」と言ってB君の机に近づいてくる。消しゴムの
カスや鉛筆を削ったカス,掃除で出たゴミはすべてB君の机の中に入れら
れる。放課後になって,ゴミ箱の中にゴミが入っていると,捨てる当番の子は
B君の机の上でゴミ箱をさかさまにする。
いちばんつらいのは給食の時間である。給食の時間になると,配膳され
た後にクラスの誰かがB君のパンを床に落とし,踏みつけ,「拾って食えよ」
と言う。誰かが転んだふりをしてぶつかってきて,B君の給食を床の上にぶ
ちまける。午前中にためたゴミがB君の給食に入れられる。ゴキブリが入
れられたこともある。犬の糞を入れられたこともあった。みんなが「早く
食えよ」と言う。B君はもう何ヶ月も給食を食べていない。
「教室の悪魔」より
テーマ 「いじめ」は犯罪? -いじめ-
気づきから へ
【 ね ら い 】 ・「いじめ」はその行為により,相手や自分の身近な人々に多大な迷惑をかけ,犯罪にもつながることが分かる。
【 対 象 】 ・小学校6年,中学生(道徳)【時間の目安】 ・45分【資料・準備物】 ・ワークシート【 形 態 】 ・一斉【進め方の説明】
全体の構成 についてどんな些細なことでも,「いじめ」は絶対に許すことのできないこと
である,ということを徹底していく。活 動 1
・ 今までに人からされたいやな経験について話し合う。・ 「いじめ」か「いじめ」でないかは,どこで分けることができるのか考える。
・ 「いじめ」の定義について話し合う。活 動 2
・ 「いじめ」に関係する人として,どのような人がいるか話し合う。・ 「いじめ」をなくす方法について考える。・ 「いじめ」に加わった人の話を聞く。(VTRや作文)
活 動 3・ 「いじめ」をすることにより,誰に迷惑をかけるかを話し合う。
・ ・ 「いじめ」が進行するとどうなるか。何が起こるか考える。・ 「いじめ」に加わったことが原因で少年院に入所した人の話を聞く。
振 り 返 り授業で感じたことや考えたことをワークシートに書く。
投げかけの言葉「いじめ」はいけないこと,ということは誰もが知っていることです。でも
自分が「いじめ」に加わっている,ということを理解できずに「いじめ」が進行していることもあります。「いじめ」は犯罪につながることもあります。未成年だからといって許されることではありません。
【 解 説 】□ 本学習は,「いじめ」が進行すると,犯罪にまで発展することもあるということに視点を置いたものである。子どもたちに,自分が悪い行いをすれば,場合によっては法的処分を受けることもあるということを知らせることにより,子どもの心の中にリミッターを育てることが大切であると考える。道徳性の発達からすると,処罰を受けるのがいやだから「いじめ」をしないと考えることは,それほど価値の高いものではないが,この時期大切なことであると考える。
【 発 展 】□ いじめは絶対にいけない,許すことのできないことであるということを徹底することが大切です。そのためには,いじめを生まない集団づくりが必要です。児童会や生徒会を中心に,いじめについてまじめに話し合いのできる雰囲気をつくっていけるようにする。
※ 参考 「教室の悪魔」 著者 山脇由貴子 ポプラ社
学び
ワークシート学習日: 月 日 年 組 No. 氏名:
活 動 1○ 今までに人からされたいやなことを書いてみましょう・・・・・・
○ 上記の中でこれは「いじめ」だ,と思うものを で囲みましょう。
いじめ」とは「いじめ」とは,身近な人間関係のある者から,心を傷つけられたり,暴力を
ふるわれたことにより,精神的な苦痛を感じているもの。
活 動 2○ 「いじめ」の行われているところには,いじめている人の他にどんな人がい
るでしょう。・ ・・ ・・ ・
○ 「いじめ」をなくすには,どうしたらいいですか。
活 動 3○ 次の〔 〕に言葉を入れましょう。
『 「いじめ」は,〔 〕』
振 り 返 り○ 授業を受けて感じたことや考えたことを書きましょう。
テーマ 「いじめ」は犯罪? -いじめ-
学びから へ
いじめを生まない集団づくりのため児童会活動や生徒会活動を活性化してみんなで考える機会を持とう。
1 人権集会を開こう(学年集会,全校集会) 小学校( ねらい)人権について知ることで,相手に対する思いやりのあるかかわり方について考え,い
じめのないよりよい学校生活にしようとする意欲を持つ。
○ 人権について知ろう① 人権チェックカード 人権チェックカード
自己点検をする 年 組名前相手やものに対して,自分はどんな行動をしてい
② 人権クイズ るか,振り返ってみよう。言われてうれしい ◎ いつもしている・・・10点
言葉,傷つく言葉ベ ○ だいたいしている・・ 5点スト 10 △ あまりしていない・・ 1点(事前アンケート) ◎○△
1 人にいやなことを言ったことがない
③ 仲良しゲーム 2 相手にめいわくをかけたことがない
構成的グループエ 3 だれにでもあいさつしている
ンカウンター(仲の 4 少しのことでおこったり泣いたりしていない
良さを見つめるゲー 5 友達を「~さん」とよんでいる
ム)を実施 6 仲間はずれをしていない
7 仲間はずれを知らんぷりしていない
8 だれとでも同じように仲良くしている
2 「いじめを考える生徒フ 9 相手にしつれいな言葉づかいはしていない
ォーラム」の開催 10 ものやお金を大切にしている中学校・高校
100~80 60~79 59~103 ピアフレンド活動の充実 すごいで賞 あったかいで賞 がんばりま賞
中学校
人権チェックをした感想4 人間関係プログラムでスキルの習得※ 県の事業として友達同士の絆づくりプロジェクトを推進しています。
たとえば
あなたなら
どんなことができますか?
行動
平成24年度校内研修支援事業 学校生活スキルトレーニング演習資料
茨城県教育研修センター
〔演習1〕
【ウォーミングアップ】
ねらい スキルトレーニングに入る前に,なごやかな雰囲気づくりをし,活動意
欲を高める。
時 間 10分間
進め方
1 「アドジャンⅠ」
・2分間いろいろな人とジャンケンをして,勝った数をカウントする。誰が一番
多く勝ったか確認して,チャンピオンにみんなで拍手を送る。
2 「アドジャンⅡ」
・2分間いろいろな人と変則ジャンケンをして,指の本数が同じになった数をカ
ウントする。誰が一番多く同じ回数になったか確認して,チャンピオンにみん
なで拍手を送る。
3 「バースデー・ライン」
・全員で誕生日順の輪を作る。そのとき言葉はいっさい使わない。指などを使っ
て相手に知らせる。
・ラインができたら,誕生日の順番に誕生日と名前を言ってもらう。
〔演習2〕友 だ ち と か か わ る ス キ ル
話の聴き方のスキルねらい 友だちとかかわる場面において,相手が話しやすく,真剣に聴いていることが
伝わる聴き方を身に付け,受容的に話を聴いてもらう気持ちのよさを体験できる
ようにする。
時 間 学級活動(45分)
準 備 ワークシート,掲示用資料
進め方
インストラクション今回のスキルトレーニングのねらいを説明する。
モデリング① 場面を設定し,二人組(聴き役が教師,話し役が子どもまたはT・T)でロールプ
レイを行って見本をする。
【場面設定例】
○○さんは先生に,昨日家に帰ってからのことを話してください。
② 二つの聴き方(「悪い聴き方」,「上手な聴き方」の順)を行う。
③ 二つの聴き方をされてどんな感じがしたのかを話し役が発表する。
・最初の聴き方は話をするのが嫌になった。
・あとの聴き方は話しやすく,いい気持ちになった。 など
④ 見ていた子どもにどんな感じがしたかを発表する。
⑤ 気を付けたい三つのポイントを知る。
・体を向ける ・話す人を見る ・相づちをうつ
※ 三つのポイントを掲示物で提示する。
リハーサル① 場面設定をし,二人組になってロールプレイを行う。
「ポイントを意識して友だちの話を聴いてみよう。」
「上手な聴き方」を1分行う。終わったら交代し,同じように行う。
【場面設定例】
昨日家に帰ってからのこと,一番ほしいもの,一番こわいもの,好きな食べ物
最近楽しかったことなど。
② 話を聴いての感想を発表する。
③ ポイント以外にどう聴いてもらうと話しやすかったですか。
・質問をしてもらう ・最後まで聴いてもらう
・繰り返してもらう
④ 三つのポイント以外にも自分でできそうだなと思ったことを実際に試してみる。
相手を代えて別な問題で話す。1分間ずつ交代して行う。
フィードバッグ振り返りカードを記入し,お互いの聴き方のよいところを話し合う。
定 着 化聴き方のポイントを整理し,これからも友だちや家族に『上手な聴き方』をしてあ
げられるように促す。
留意事項○ このトレーニングの前に学級の雰囲気づくりとして構成的グループエンカウンター
を行う。
○ 話を聴くことは相手に心理報酬(受容,満足感など)を与える行為であることを強
調する。
○ 同じ人とばかりペアにならないように配慮する。
○ 三つのポイント以外に意見が出ない場合,よい行動を取り上げたり,例示したりす
る。
評価のポイント○ 主な尺度項目 ・先生や友だちが話をしているとき,きちんと聴くことができる。
○ 行動面の視点 ・三つのポイントを意識して,相手が話しやすく,真剣に聴いてい
ることが伝わるように聴くことができるか。
(例)話のシナリオ
ねえ,ねえ,聞いてよ。この間の日曜日ね,家族で潮干狩りに海
にいったんだ。天気もよくてさ。波もなくて最高だったの。まだ,
水がつめたくておよげなかったけど,足を水につけると,すごく気
持ちよかった。
そして,砂浜を熊手で掘ったんだ。最初は全然見つからなかった
んだけど,少し掘っていくとアサリが出てきたの!それから,家族
の中で誰が一番アサリをたくさんとれるか,競争したんだよ。そう
したら,お父さんもお母さんも夢中で砂を掘ってたよ。ぼくも(わ
たしも)いっしょうけんめいだったよ。しりもちをついて,おしり
がびちょびちょになっちゃったけどね。ぼく(わたし)は,15個
とったんだ。一番とったのはお兄ちゃんだったけど,すごく楽しか
った。みんなで80個もとったんだよ。次の日,おみそ汁にして食
べたんだけど,おいしかったよ。
夏に,また海に行きたいなあ。今度はカニもつかまえたいな。
「上手な話の聴き方」振り返りカード
年 組 名前
友だちの話を上手 上手に聴くためのポイント ◎ または ○
に聴くことができ
ましたか? 身体を向ける
話す人を見る
話をしてくれた友
だちに◎か○を書 相づちをうつ
き入れてもらいま
しょう。
「上手な聴き方」は,どうすればよいかわかりましたか?
当てはまるところに○をつけましょう。
よくわかった だいたいわかった あまりよくわからなかった わからなかった
( ) ( ) ( ) ( )
今日の授業で,感じたことを書きましょう。
〔演習3〕集 団 で 生 活 す る ス キ ル
感情を適切に処理するスキル
ねらい 他人とかかわる場面において,自分の感情を適切にコントロールできる力を身に
付け友だちと望ましい関係をつくることができるようにする。
時 間 学級活動
準 備 ワークシート,掲示用資料,表情カード,信号カード
進め方
インストラクション① 拡大用紙を使って今回のスキルトレーニングのねらいを説明する。
「カンカン君と仲よくなろう」
② 「最近すごく腹が立った経験」についてブレインストーミングを行う。
モデリング① 場面を設定し,教師と児童の二人組でロールプレイを行って見本とする。
【場面設定例】
友だちであるBから,Aが自分の悪口を言っていたことを聞き,怒ってAに本当
のことを確かめに行く。
② ワークシートを使って,感情をコントロールしていない場面(例1)と感情をコン
トロールして話す場合を,二人組でロールプレイを行う。(例2は事前に作成してお
く。)
③ 自分の感情を適切に処理し,表現していくことの大切さとその方法(クールダウン
等)について説明する。
【信号に例えた感情処理の方法例】
赤信号:「一時停止」… 自分の感情を見つめてみる。怒りなどの感情から一時
的に離れ,冷静になる。
※「リラックス,リラックス」「待て,待て」等
黄信号:「クールダウン」… 落ち着いて,自分の感情の要因について考えてみる。
自分が今,何をしたいのか考えてみる。どんな結果が望ましいのか想像
してみる。
※深呼吸,カウントダウン法
「5・4・3・2・1 はい,落ち着いた。」
青信号:「行動開始」 … 落ち着いた気持ちで実行してみる。
リハーサル① 場面設定をし,その場合のAとBの役になってロールプレイを行う。
【場面設定例】
登校してみると,自分の机の上に,昨日にB貸した自分(A)の定規が二つに
折られて置いてあった。Cに聞くと,Bがその定規をさっき置いていったらしい。
・最初は即興で感情の処理ができていない場合を行わせる。
・次に二人で感情処理ができている場合のシナリオをワークシートを使って作り,演
技させる。
フィードバッグ① 感情の適切な処理ができている二人組のロールプレイをできるだけ紹介してよい点
をほめ,日常生活で実践していく意欲が高まるようにする。
定 着 化(般化)① 「赤信号」や「クールダウン」といった言葉を用いて,今回学習したスキルを日常
生活の友人関係の中でも使っていくよう促す。
② 事後友だちとのトラブルなどが起きたときも「クールダウンしてごらん。」といっ
た言葉掛けを意図的に用いる。
留意事項
○ 信号に例えた感情処理の方法を説明に用いる場合は,子どもの発達段階にそった易
しい言葉を使って説明するようにする。
○ リハーサルの場面では,最後はBが謝る結果でも,Aの誤解だったという結果でも
よいことにし,自由にシナリオが作れるようにする。
評価のポイント
○ 主な尺度項目
暴力をふるったり人を傷つけることを言う前に,一度止まって考えることができる。
○ 行動面の視点
友だちとの日常的なかかわりにおいて,自分の感情を適切に処理した望ましい言動
をとり,トラブルを避けることができているか。
【 デモンストレーション・シナリオ 】
場面
「友だちであるBから,Aが自分の悪口を言っていたことを聞き,怒ってAに本当
のことを確かめに行く。」
例1 A:「(すごい勢いでどなりながら)私の悪口をBに言ったでしょう?」
B:「何が?」
A:「何がじゃないよ!言っていたの知ってるんだからね。」
B:「言ってないよ。」
A:「うそつかないでよ。言ってたんでしょ。」
B:「言ってないって言ってるでしょ。うるさいんだよ!」
AB:(けんかになる)
例2 【一時停止・クールダウン】を使って気持ちを落ち着かせる
(もうれつに怒っている自分の心よ,一時とまれ。落ち着いてみよう。悪口を言
ったかどうかを確かめるだけだ。言っていたとしたら,どうしてなのかその理由
を聞くだけだ…。)
…こう自分に言い聞かせて友だちに向かう。
A:「私の悪口をBに言ったでしょう?」
B:「言ってないよ。」
A
B:「あーあれね。悪口のつもりじゃなくて,Aの言い方がきついときがあるっ
て話をしていただけだよ。」
A
B:「そうだね。悪かったね。」
A
【 ロールプレイ・シナリオ 】
場面
「登校してみると,自分の机の上に昨日Bに貸した自分(A)のじょうぎが二つに
折られ置いてあった。Cに聞くと,Bがそのじょうぎをさっきおいていったらしい。」
①「感情のコントロールをしない場合」A役とB役に分かれて,自由に演技してみよう。
②「感情のコントロールができている場合」二人でシナリオを作って演技してみよう。
ロールプレイのシナリオ
A
B
A
B
A
B
A
B
アサーション・トレーニング「三つの話し方」
目 的三つの話し方(「攻撃的な自己表現」,「非主張的な自己表現」,「適切な自己表現」)をロ
ールプレイで実際に演じることで体験的に理解しその特徴や違いを学ぶ。
そして,友達とうまくコミュニケーションをとるためには,「適切な自己表現」(アサーティブ
な自己表現)が大切であることを知る。
準 備・ 三つの話し方シナリオ(資料1)
・ ふりかえりカード (資料2)
・ ワークシート (資料3)
・ 三つの話し方のまとめ(資料4)
進め方
導 入(1) 人とやりとりするには,三つの話し方(コミュニケーション)があり,それを学習するこ
との意義を伝える。
・ 三つの話し方
「攻撃的な自己表現」(相手を傷つけるコミュニケーション)
「非主張的な自己表現」(自分を傷つけるコミュニケーション)
「適切な自己表現」(バランスのとれたコミュニケーション)
(2) 児童に対しては,三つの話し方をそれぞれ「いばりやさん」,「おどおどさん」,「さわや
かさん」と名付けて説明する。
(3) このロールプレイのねらいややることを説明する。
・ 教師がデモンストレーションをするとき,他の教師とのTTで役割演技をするなどして,
児童のモチベーションを高めるよう心掛ける。(資料1)
(4) 三つの話し方の確認をする。
・ 三つの話し方が自分や相手をどんな気持ちにさせるか考える。
・ 三つの話し方にはどんな違いがあるか考えさせる。
・ 言い方や声の出し方,態度などを変えることで「いばりやさん」,「おどおどさん」,「さ
わやかさん」にもなれることを知らせる。
ロールプレイ(1) 二人組になり,三つの話し方(資料1)を役割分担してロールプレイをする。 (5分間)
・ 三つの役に違いを出すようにして,少しオーバーにセリフを読むだけでなく,役になっ
た気持ちで相手の相手役も,その人の気持ちになる。
・ ロールプレイの場面では演技に対する児童の抵抗が予想される。批判的な態度や意見は
控えるよう意識させるとともに,その児童のよい点を認める。
(2) ふりかえりカードに記入する。(資料2)
・ 三つの役をした人は「1」,「2」の問いに,相手役をした人は「3」,「4」の問いに
答える。
(3) 役割を交代して行う。(5分間)
(4) ふりかえりカードに記入する。(資料2)
・ 三つの役をした人は「1」,「2」の問いに,相手役をした人は「3」,「4」の問いに
答える。
(5) ふりかえりカードに記入する。(資料2)
・ ふりかえりカード「5」,「6」を記入する。
(6) ある場面でのシナリオをアサーティブな表現で考え,ワークシート(資料3)に記入する。
(7) 作成したシナリオを2人で役割分担してロールプレイをする。
(8) ロールプレイをしての感想や気付いたことをお互いに話し合う。
(9) いくつかのグループに全体の前で演じてもらう。
シェアリング(1) ふりかえりカード(資料2「1」から「6」)に記入したことを基に,感想や気付いたこ
とを発表し合う。
・ どんな気持ちがするか,自分と相手で味わってみる。
(2) ふりかえりカードに記入する。(資料2)
・ ふりかえりカード「7」を記入する。
(3) 今日の授業で気付いたことや感想を発表し全体で振り返る。
(4) 三つの話し方のまとめをする。
・ 三つの話し方(資料4)を使って確認する。
・ 言い方や声の出し方,態度を変えることで,私たちは「いばりやさん」,「おどおどさ
ん」,「さわやかさん」にもなれることができることを確認する。
・ 毎日のやりとりの中でも言い方を工夫したり,言葉を変えたりすることで私たちは3人
の誰にでもなれ,「いばりやさん」,「おどおどさん」,「さわやかさん」の3人は,私たち
みんなの心の中に少しずつ住んでいることを知らせる。
(5) 自分も相手も大事にする「さわやかさん」を心掛けようと提案する。
〔参考文献〕
・「子どものためのアサーショングループワーク」 園田雅代・中釜洋子 著
日本・精神技術研究所 2007
・「教師のためのアサーション」園田雅代・中釜洋子・沢崎俊之 著 金子書房 2009
(資料1) 「三つの話し方シナリオ」
この前遊んだとき,私は友達に漫画の本を貸しました。私の兄が読みたいと言っ
ているので,それを返してくれるように頼みます。
〈いばりやさん〉
いばりやさん:この前の本返せよ。
相手 :えっ,何?
いばりやさん:何がじゃないよ。貸しただろ,この前。
相手 :あー。あれね。忘れてただけだよ。そんなふうに言わなくてもいいだろ
う。
いばりやさん:忘れてたって?いつもそうじゃないか。
相手 :そんなことないよ。
いばりやさん:ふざけるなよ。
相手 :ふざけてなんていないけど・・・。
いばりやさん:いいからちゃんと返せよな!
〈おどおどさん〉
おどおどさん:ええっと。あの。この前の・・・。
相手 :何?
おどおどさん:あの。この前貸した漫画の本なんだけど・・・
相手 :何だっけ?
おどおどさん:うんと。この前の漫画の本。
相手 :あぁ。ごめん忘れてた。今持ってないから,また今度でいい?
おどおどさん:あ,うん。いつでもいいんだ。別にそんなにたいしたことじゃないし。
相手 :そう?悪いね。
おどおどさん:いいよ。いいよ。
〈さわやかさん〉
さわやかさん:Aさん。この前貸した漫画の本,今日返して欲しいんだけど。
相手 :あぁ,あれね。今日じゃなきゃだめ?
さわやかさん:明日お兄ちゃんが読みたいって言ってるから,できれば今日返して欲し
いんだけど。
相手 :あぁ,そうか。まだ読み終わっていないから,
あと一日ぐらいあるといいんだけど。
さわやかさん:じゃあ,明日の朝まで待つよ。どう?
相手 :それなら,大丈夫だよ。
さわやかさん:じゃあ,決まりね。
(資料2) ふりかえりカード
年 組 名前
の中に○を付けてください。
● 「いばりやさん」,「おどおどさん」,「さわやかさん」の三つの話し方をやっ
てみて
1 一番気持ちがよかったのはどの人のときですか?
いばりやさん おどおどさん さわやかさん
2 一番いやな気持ちになったのはどの人のときですか?
いばりやさん おどおどさん さわやかさん
● 3人の相手役をやってみて
3 一番気持ちのよかったのは,どの人を相手していたときですか?
いばりやさん おどおどさん さわやかさん
4 一番いやな気持ちになったのは,どの人を相手していたときですか?
いばりやさん おどおどさん さわやかさん
● ロールプレイが両方終わったあとで
5 自分がやるのでも,相手役をするのでも気持ちがよかったのはどの人のとき?
いばりやさん おどおどさん さわやかさん
6 その理由について考えてみよう。
● まとめのあとで
7 今日の授業で気付いたことや感想を書きましょう。
(資料3) ワークシート
年 組 名前
れんらくちょうを先生に見せるためにならんでいるとき,自分の前に何も言
わずにわりこんできた子がいました。そのとき,あなたはどのように言いますか。
セリフを考えて書きましょう。。
〈アサーティブな表現でセリフを書きましょう。〉
自分:
相手:
自分:
相手:
自分:
相手:
(資料4) 「三つの話し方のまとめ」
〈いばりやさんの話し方〉「自分が大事,相手は大事じゃない。」
○ あなたは,自分が相手よりえらいし自分が正しいと思っている。
○ 相手は,あなたのスタイルからそのことを感じとるので,あなたに対して腹を立
てたり,なぜだかわからないけど,くやしかったり,傷ついたりする。
〈おどおどさんの話し方〉「自分を出せなくて,相手のいいなりになってしまう。」
○ あなたは,自分が出せなくて,相手に自分の気持ちをうまく伝えられないと
思っている。
○ 相手は,あなたのそんな自信のなさを感じとり,いいかげんにはっきりして
ほしいと感じてイライラしたり,またかとうんざりしたり,自分がえらくなっ
たような気がしたりしている。
〈さわやかさんの話し方〉「自分も大事だし,相手も大事。」
○ あなたは,自分も大事だし,相手も同じように大事だと思っている。だから,二
人とも満足するところをなんとかして見つけ出そうとする。
○ あなたは,どうどうとしてさわやかで自分に対する自信をもっている。
○ 相手は,あなたから大切にされたし,意見もよく聞いてもらえたと感じている。
- 1 -
● 人それぞれの言葉の受け取り方や表現の違いに気付くためのエクササイズ●
~ 流れ星~
■ 準備
・白紙(A4判またはB5判) ・振り返り用紙(人数分)
■ 内容
・口頭で順番に伝える「流れ星」に関する情報を絵で表現する。
■ 実施できる時間
・学級活動
■ 展開例
① 今日は人と人が分かり合うということはどういうことか,そして,そのためにはどうすれば
よいかについて,エクササイズを通して考えてみたいと思います。
② まず,人が互いに分かり合うということはどのような状態になったときのことか,思い浮
かべてください。数人の人に発表してもらいます。
③ 私たちは普段たくさん話をしていますが,こちらが話していることが相手にどれほど伝わ
っているでしょうか。また,相手が話していることをどれほど正確にとらえているでしょうか。
コミュニケーションできたということは,相手が伝えたいと思っていることを,相手の立場に
立ってそのままとらえることなのです。
④ 今日のエクササイズのねらいは,コミュニケーションにおける人それぞれの言葉の受け
取り方や表現の仕方の違いなどに気付くことです。
⑤ それでは,ちょっとしたコミュニケーションの実験をしてみましょう。紙を配りますので,こ
れから私が順番に言うことを絵に描いてみてください。隣りの人の絵を見ると影響を受けて
しまいます。絵のコンクールをするわけではないので,自分の思ったとおりに描いてくださ
い。
⑥ これから行うことについて,何か質問はありますか。
⑦ それでは始めます。
・紙の右上の隅から左下の方に向けて,流れ星が一つ落ちてきました。
・その星の下に一軒の家が建っています。
・その家の前には大きい池があって,アヒルが3羽泳いでいます。
・その家の玄関には旗竿が立っていて,日の丸の旗がかかっています。
・その家の後ろには大きい木が一本立っていて,その木のてっぺんの
所に三日月が見えています。
・渡り鳥が2,3羽飛んでいます。 以上です。
⑧ 近くに座っている3~4人でグループをつくって,描いた絵を見せ合ってください。
⑨ 先生が伝えたかった絵はこれです。皆さんが描いた絵とずいぶん違いますよね。また,
皆さんが描いた絵を比べてみてもずいぶん違っていました。みんな同じ情報を聴いて描い
たのにどうしてこれほど違うのでしょうか。
⑩ 振り返り用紙に従って,どのような問題があったと思われるか,自分が感じたり,思った
り,考えたりしたことをそのまま書いてください。
(以後の分かち合いについては,P.29「好きなプロスポーツは?」の展開例⑪,⑫を参照し
てください。)
参考文献星野欣生・津村俊充『Creative School』P 45~P59 プレスタイム
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「流れ星」振り返り今日の実習を振り返って……
1 情報の伝え手(先生)に問題があるとすれば,それは何だと思いますか。どのようにすれば
もっとよかったと思いますか。いくつでも,思いつくままに書いてください。
2 情報の受け手(皆さん)に問題があるとすれば,それは何だと思いますか。どのようにすれ
ばもっとよかったと思いますか。いくつでも思いつくままに書いてください。
3 その他,気付いたことや感じたことを何でも書いてください。
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● 相手の気持ちに目を向けることを意識するためのエクササイズ●
~ 好きなプロスポーツは? ~
n 準備
・ワークシート・グループ決定の留意点・振り返り用紙(人数分)
n 内容
・スポーツに関する意識調査において,人気があった順番に,大相撲,プロ野球,プロサッ
カー,プロゴルフの4競技の順位について,グループの全員で合意し決定する。
n 実施できる時間
・学級活動
n 展開例
① 今日は多数決とは違う,全員が合意して決める意思決定の仕方を体験してみましょう。
一人一人が自分の意見や考えを言い合い,よく聴き合って,全員で納得して結論を出しま
す。
② このエクササイズのねらいは,グループ決定を行う際に,グループ・プロセス(各メンバ
ーの感情やグループの動き)に目を向けることです。
③ まず初めに,多くの人が好きだと答えたプロスポーツの順位を,ワークシートに記入して
ください。ここでは誰にも相談しないで自分一人で考えて順位を決定してください。また,そ
の理由も考えておいてください。
④ 次に,今から発表するグループをつくってください。グループのメンバー同士で,自分が
決定した順位を発表し合い,ワークシートに書き込んでいってください。
⑤ 各メンバーがつけた順位は様々だと思いますので,今からグループ決定の留意点に注
意して,グループとしての順位を決めてもらいます。
⑥ これから行うことについて,何か質問はありますか。
⑦ それでは15分間時間をとりますので,グループとしての順位を決定してください。
⑧ はい,作業を終了してください。グループごとに順位を発表してください。
⑨ 正解は,1番プロ野球,2番プロサッカー,3番大相撲,4番プロゴルフです。
⑩ さて,ここからは今行ったグループ活動を振り返ってみたいと思います。振り返り用紙に
従って,自分が感じたり,思ったり,考えたりしたことをそのまま書いてください。
⑪ 次に,今書いたことをグループ内で分かち合ってください。最初の質問について全員が
発表したら次の質問にというように,自分の書いたことをそのままグループのメンバーに伝
えてください。メンバーの発表は真剣に聴いて,質問があったら是非してください。決して批
判したり茶化したりしないようにしてください。他の人の考えを聴くことで,自分一人では気
付かなかったことを知ることができます。また,自分の感じ方や考え方の幅を広げることに
つながります。
⑫ 最後に,皆さんと一緒にエクササイズをして,先生が気付いたことや感じたことをお話し
したいと思います。
参考講座中村和彦「南山大学人間関係研究センター第59回人間関係講座」
参考文献星野欣生・津村俊充『Creative School』P173~P189 プレスタイム