企業財務 (コーポレート・ファイナンス)68 授業科目名 (講義題目)...

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68 授業科目名 (講義題目) 企業財務 (コーポレート・ファイナンス) 開講学期 前 期 2 単位 担当教員 村 藤   功 講義コード 科目区分 対象学生 必 修 1(2)年生 20176010 開講予定日 ① 4/9 ② 4/16 ③ 4/23 ④ 4/30 ⑤ 5/14 ⑥ 5/21 ⑦ 5/28 ⑧ 6/4 ⑨ 6/11 ⑩ 6/18 ⑪ 6/25 ⑫ 7/2 ⑬ 7/9 ⑭ 7/16 ⑮ 7/30 試験 8/6 履修条件 なし(簡単な簿記の知識があることが 望ましい)。 キーワード 企業財務、コーポレートファイ ナンス、企業価値、事業価値、 NPV、ベータ、CAPM、平均資 本コスト、最適資本構成 全体の教育 企業財務の基礎理論を習得し、日本企 業における経営企画や財務実務への応 用を可能にする。 個別の学習 投資基準の理解、企業価値の計 算方法、平均資本コストの計算 方法、リスクの理解、最適資本 構成の考え方の理解等 授業形態 (項   目) ・講義・演習 ・グループワーク、ペアワーク ・プレゼンテーション ・ディスカッション 使用する ・テキスト(紙媒体) ・スライド資料(電子媒体) 授業の概要 1. 企業財務の基礎理論の習得 企業財務は、事業価値と投融資からなる企業価値をいかに最大化し、これを支える 資本構成をいかに最適化するかを考える学問である。 事業会社においては、事業活動を数字で把握し、貸借対照表、損益計算書、キャッ シュフロー等財務諸表の実績により現状を把握する一方で、将来のビジョン、財務 戦略を中期計画、予算等の将来計画に数字化し、予定と実績を比較しながら戦略の 実行を進捗管理することが求められる。 このコースでは、財務戦略の観点から見た企業価値評価、リスクと、資金調達、資 本構成の最適化を始めとするコーポレート・ファイナンスの基礎理論を一通り理解 し、習得することをめざす。 2. 企業財務理論の実務への適用 企業財務は、実務への適用を前提とする学問であり、財務理論と実務には、世界中 どこへ行っても大きなギャップがある。世界各国には、各国特有の理念、ステーク ホールダーのプライオリティーの違い、異なる政治経済制度や異なる資本市場、金 融市場がある。このため、財務理論の実務への適用に際しては、企業価値や株主価 値の低下をもたらさないように注意を要する。 日本の事業会社セクターは、バブル崩壊後の会計ビッグバン、金融ビッグバンを終 えて、少子高齢化社会や東アジアの成長に対応するために財務の構造改革に迫られ ている。財務の構造改革に対応するためには、財務の基礎理論を理解し、実務の場 で注意深く適用における問題を解決していく必要がある。このコースでは、グロー バル・スタンダードの一般理論を学ぶことを基本としながらもこれに止まらず、理 論を現代日本企業実務に適用する場合の主要問題点を確認し、解決方法の選択肢を 検討する。

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68

授業科目名(講義題目)

企業財務(コーポレート・ファイナンス)

開 講 学 期単 位 数

前 期2単位

担 当 教 員 村 藤   功講義コード 科 目 区 分

対 象 学 生必 修

1(2)年生20176010

開講予定日① 4/9 ② 4/16 ③ 4/23 ④ 4/30 ⑤ 5/14 ⑥ 5/21 ⑦ 5/28 ⑧ 6/4⑨ 6/11 ⑩ 6/18 ⑪ 6/25 ⑫ 7/2 ⑬ 7/9 ⑭ 7/16 ⑮ 7/30 試験 8/6

履 修 条 件

なし(簡単な簿記の知識があることが望ましい)。 キーワード

企業財務、コーポレートファイナンス、企業価値、事業価値、NPV、ベータ、CAPM、平均資本コスト、最適資本構成

全体の教育目 標

企業財務の基礎理論を習得し、日本企業における経営企画や財務実務への応用を可能にする。

個別の学習目 標

投資基準の理解、企業価値の計算方法、平均資本コストの計算方法、リスクの理解、最適資本構成の考え方の理解等

授 業 形 態(項   目)

・講義・演習・グループワーク、ペアワーク・プレゼンテーション・ディスカッション

使 用 す る教 材 等

・テキスト(紙媒体)・スライド資料(電子媒体)

授 業 の 概 要 1. 企業財務の基礎理論の習得• 企業財務は、事業価値と投融資からなる企業価値をいかに最大化し、これを支える

資本構成をいかに最適化するかを考える学問である。• 事業会社においては、事業活動を数字で把握し、貸借対照表、損益計算書、キャッ

シュフロー等財務諸表の実績により現状を把握する一方で、将来のビジョン、財務戦略を中期計画、予算等の将来計画に数字化し、予定と実績を比較しながら戦略の実行を進捗管理することが求められる。

• このコースでは、財務戦略の観点から見た企業価値評価、リスクと、資金調達、資本構成の最適化を始めとするコーポレート・ファイナンスの基礎理論を一通り理解し、習得することをめざす。

2. 企業財務理論の実務への適用• 企業財務は、実務への適用を前提とする学問であり、財務理論と実務には、世界中

どこへ行っても大きなギャップがある。世界各国には、各国特有の理念、ステークホールダーのプライオリティーの違い、異なる政治経済制度や異なる資本市場、金融市場がある。このため、財務理論の実務への適用に際しては、企業価値や株主価値の低下をもたらさないように注意を要する。

• 日本の事業会社セクターは、バブル崩壊後の会計ビッグバン、金融ビッグバンを終えて、少子高齢化社会や東アジアの成長に対応するために財務の構造改革に迫られている。財務の構造改革に対応するためには、財務の基礎理論を理解し、実務の場で注意深く適用における問題を解決していく必要がある。このコースでは、グローバル・スタンダードの一般理論を学ぶことを基本としながらもこれに止まらず、理論を現代日本企業実務に適用する場合の主要問題点を確認し、解決方法の選択肢を検討する。

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授業の進め方 1. 頻度:週に1回、中間試験を含めれば15回の授業を行う。7回目授業終了後に中間試験、全ての授業終了後に最終試験を行う。

2. 言語:講義は日本語だがリーディングは英語資料も使用する。3. 授業の進め方

事前に指定されたリーディングマテリアルを読み、宿題をやってくることを前提とする。その回の重要なコンセプトを説明して Q&A を行い、最後に宿題についてディスカッションを行う。

企業財務を学ぶ最善の方法は、実際のケースや数字を使って計算して結果を出してみることである。学生は、事前準備の際、自分のパソコンのエクセルや計算機で、実際に計算することが求められる。

教科書および参 考 図 書

i) 教科書◎ McGrawhillから出版されているPrinciples of Corporate Finance, Brealey/Myers/Allen(13th

edition)を必ず購入すること。宿題はここから出される。日本円だと8千円程度だが、為替レートにより変動する。生協で買うと多少のディスカウントがある。こちらをグローバル・スタンダードの教科書として使用する。

◎ 中央経済社から村藤著の「日本の実務に役立つコーポレート・ファイナンス」を2006年1月末に出版したので、こちらを日本の企業財務実務のための教科書として使用する。これは2800円。これは QBS の2006年時点の授業内容を本にしたものなので授業とはより関係が深い。

ii) 参考書●「事業ポートフォリオの最適化」 中央経済社 村藤 功 3400円●「連結財務戦略」東洋経済新報社、アーサーアンダーセン 村藤 功 2400円●「ネットの政府」同文舘、村藤 功 3700円〇 日経 BP 出版センターから上記教科書第10版(Brealey/Myers/Allen の Principles of

Corporate Finance)の日本語訳が、コーポレート・ファイナンス(上、下2巻:各6600円)として出版されている。

試験・成績評価 の 方 法 等

•コースに対する参加と有益な意見のコントリビューション:40%•中間試験:30%、最終試験:30%

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第 1 回 目

<講義テーマ>価値評価の考え方

<講義のねらい>•企業財務におけるキャッシュフローを割り引いた現在価値の考え方を理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、株式会社における財務担当者の役割を確認する。次に、現在価値と機会費用の考え方を説明し、永続年金、年金、永続成長年金や社債における現在価値の考え方を説明する。最後に名目金利と実質金利の差異について講義する。

•宿題:BMA 2章の Problem Sets の16について、あらかじめ解いてきてあてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 1、2章、 村藤 CF Section 1 価値 1・1価値の考え方

第 2 回 目

<講義テーマ>株式の価値評価

<講義のねらい>•企業価値、事業価値、自己資本価値の定義の違いと、株式の評価の基本を理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、企業財務を考える場合の貸借対照表の基本形と、ストックとフローの対応関係について理解する。次に、日本に存在する株式のリターンについての諸説を検討し、誤った考え方と正しい考え方を指摘する。また、通常使われる ROE と正しい ROE の違いを説明する。さらに株式の評価方法として、配当の成長がある場合とない場合を説明し、成長力の計算方法を解説する。

•宿題:BMA 4章の Problem sets の28について、あてられた人は、参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 4章、村藤 CF Section 1 価値 1・2株式の価値評価

第 3 回 目

<講義テーマ>設備投資基準

<講義のねらい>•新規プロジェクトに投資する場合の投資基準の選択肢について理解し、NPV法を実際に使えるようにする。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず設備投資基準の考え方について説明し、選択肢としてのペイバック法、帳簿リターン計測法、IRR 法、使用資金が限られている場合のプロフィタビリティー・インデックス法等について検討する。次に、NPV による設備投資判断と営業キャッシュフローの予測手法について説明する。最後に、会計コストとキャッシュ・コストの違い、購入しないでリースにした場合のコストの計算方法について説明する。

•宿題:BMA 6章の Problem sets の12について、参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 5、6章、村藤 CF Section 1 価値 1・3投資基準

授 業 計 画

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第 4 回 目

<講義テーマ>リスクとリターン

<講義のねらい>•企業財務におけるリスクの定義、リスクとリターンの関係について理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、アメリカと日本のリターンの違いを見て、なぜ、日本市場の特徴を考える。次に、財務上のリスクを定義し、リスクの計測単位としての標準偏差等を理解。最後に、市場リスクと個別リスクの区別、CAPM で利用する市場リスクの計測方法について解説する。

•宿題:BMA 7章の Problem sets の17について、あてられた人は、参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 7、8章、村藤 CF Section 2 リスク 2・1リスクとリターン

第 5 回 目

<講義テーマ>資本コスト、EVA と会計上のバイアス

<講義のねらい>•リスクと必要リターンを反映した平均資本コストの計算方法、経営指標としての EVA、会計上と経済上の利益の差異等について理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、CAPM と資金調達の関係、平均資本コストの考え方、計算方法を説明し、日本の不完全な証券市場線の問題を指摘する。次に、リスク指標としての事業ベータと自己資本ベータの関係、事業ベータの本質、自己資本コストの計算方法について説明。さらに EVA、MVAと自己資本価値やNPVとの関係について解説。最後に、設備投資と研究開発費の差異、会計上の利益と経済上の利益の違いについて説明する。

•宿題:BMA 12章の Problem sets の20について、あてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 9章、12章、村藤 CF Section 2 リスク 2・2資本コスト、EVA と会計上のバイアス

第 6 回 目

<講義テーマ>プロジェクト分析

<講義のねらい>•感度分析、リアルオプションとデシジョンツリーについて理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、不確実性を取り扱う場合の、感度分析やブレークイーブン分析を扱い、次にリアルオプションの考え方やメリット、適用場面について考える。最後に、デシジョンツリーの考え方、メリット、適用場面について解説する。

•宿題:BMA 第10章の Problem sets の26について、あてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等> BMA 10章、22章

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第 7 回 目

<講義テーマ>株式による資金調達

<講義のねらい>•普通株による自己資本調達と IPO の方法、必要自己資本の把握方法を理解。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、自己資本を調達する場合の帳簿上の処理と時価の認識、次に会社成長時の自己資本価値推移、発行価格と初値の区別について解説。次に、IPO の是非、株式市場の選定、IPO のプロセスについて説明する。最後に、連結事業部経営を行っている場合の、デマンド方式による自己資本ニーズの把握方法と自己資本の調達の考え方について解説。

•宿題:BMA 第15章の Problem sets の13について、あてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 14、15章、村藤 CF Section 3 資本構成と資金調達、3・1株式による資金調達連結財務戦略 第3章の2、第4章の1、2

第 8 回 目

<中間試験>1-7回の講義で健闘した企業財務の考え方を適用する簡単な計算問題、選択問題など。

第 9 回 目

<講義テーマ>配当政策

<講義のねらい>•自己資本リターンや配当の意味、税金の影響、法人配当と社内配当の違い等を理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず配当の種類と性質について確認し、リントナーの配当支払モデルや配当と内部留保の選択について説明する。次に、株主における配当課税と譲渡益課税を計算し、株式会社の利益配分時の二重課税の問題を指摘する。最後にグループ経営における外部配当政策と内部配当政策、連結事業部の資本構成、社内剰余金制度や社内配当制度の運営方法について説明する。

•宿題:BMA16章の Problem sets の16についてあてられた人は、参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA16章、村藤 CF Section 3 資本構成と資金調達、3・2配当政策

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第 10 回 目

<講義テーマ>負債政策と税金の資本構成に与える影響

<講義のねらい>•資本構成における借入の役割、税金の資本構成に与える影響、平均資本コストが使えない場合の APVについて理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず M&M の最適資本構成の考え方を説明し、現実に負債を利用した場合の平均資本コストの変化と最適資本構成の考え方について解説する。次に、税効果とタックスシールドの関係、法人税や所得税等、投資家別の税制と最適資本構成への影響について検討する。最後に、平均資本コストが使いにくい場合の APV の考え方について解説する。

•宿題:BMA19章の Problem sets の6についてあてられたひとは参加者の前で説明する。

<参考文献等>BMA 17章、18章、19章、村藤 CF Section 3 資本構成と資金調達、3・3負債政策と税金の資本構成に与える影響

第 11 回 目

<講義テーマ>有利子負債の評価

<講義のねらい>•有利子負債を評価するために必要な、金利の期間構造、デュレーション、ボラティリティー、ALMや格付け等について理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、社債の評価、価格と利回りの関係、デュレーション、ボラティリティーの計算と ALMの手法について解説する。次に、金利の期間構造、スポット金利、フォワード金利、フューチャー金利の区別、期間構造の理由と各種金利の利用方法について解説する。最後に、債務不履行リスク、社債の格付けや銀行の行内格付けと事業会社側の対応について説明する。

•宿題:BMA23章の Problem sets の12について、あてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 3章と23章、村藤 CF Section 3 資本構成と資金調達、3・4有利子負債の評価

第 12 回 目

<講義テーマ>為替リスクと海外投資

<講義のねらい>•為替レートがどういう理由で変動するか理解し、為替リスクのヘッジについて考える。また海外プロジェクトを評価する場合の問題点について理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、為替レートが、金利差、インフレ、期待値、購買力平価によってどのような影響を受けるか考える。次に、事業会社にとっての為替リスクがどのように発生し、どうやってヘッジすればいいか、海外予算をどうやって作ればいいか考える。最後に、海外投資の問題点として、海外プロジェクト評価の問題点、プロジェクトの割引率の決め方、ポリティカルリスクについて、解説する。

•宿題:BMA27章の Problem sets の10 について、あてられた人は参加者の前で発表する。

<参考文献等>BMA 英語版26章、27章

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第 13 回 目

<講義テーマ>財務経営管理

<講義のねらい>短期、長期の資金調達、短期資金計画や連結財務経営管理と財務改革等について理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、企業の運転資金需要、売掛金や在庫担保融資と長期資金調達戦略について説明する。次に、短期資金計画の必要性、作成手順と現金保有レベルの考え方について検討する。最後に、日本企業の連結財務経営管理制度や財務改革法について解説する。

•宿題:BMA29章の Problem sets の23について、あてられた人は参加者の前で説明する。

<参考文献等>BMA 29章、30章、村藤 CF Section 4 財務経営管理

第 14 回 目

<講義テーマ>企業買収や合併

<講義のねらい>•M&A の理由と問題点、方法の基本を理解し、やっていい買収といけない買収を区別する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず水平・垂直統合、地域的・業務的補完性等の M&A を行う理由を検討する。次に、コングロマリットの買収、低い株価収益率企業の買収等問題がある M&A とその理由について解説し、どういう条件が満たされれば M&A は株主にとっての価値を生むのか検討する。最後に、企業価値評価とM&A の対象、対象事業の括り方、事業売却のプロセスについて説明する。

•宿題:BMA 31章の Problem sets の9についてあてられたひとは参加者の前で説明する。

<参考文献等>BMA 31章、村藤 CF Section 5 企業グループの事業ポートフォリオ、資本構成の最適化、5・1企業買収や合併

第 15 回 目

<講義テーマ>企業グループの資本構成の最適化

<講義のねらい>•法人の資本構成、連結事業部の資本構成と、グループ全体の資本構成の関係について理解し、資本構成の最適化のための手法を理解する。

<ディスカッション・ポイント>•講義:まず、連結事業部制における社内財務制度の設定方法と需要と現実にギャップがある場合の埋め方について解説する。次に、株式発行、不要投融資の処分、事業売却、自社株買いが自己資本に与える影響について説明する。最後にコミットメントライン、証券化、プロジェクトファイナンス等の金融手法が資本構成に与える影響について検討する。

•宿題:BMA 33章の Problem sets の8について、参加者でディスカッションする。

<参考文献等>BMA 32章、33章、村藤 CF Section 5 企業グループの事業ポートフォリオ、資本構成の最適化、5・2企業グループの資本構成の最適化

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第 16 回 目

<期末試験>後半(9−15回)の講義で検討した企業財務の考え方を適用する簡単な計算問題、選択問題等。欠席数が多かったり宿題の答えを発表しなかったり中間試験の成績が悪かったりする人は良い点を取らないと必修でも不合格になるので注意すること。