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顧客サービス統括部 東京都港区南青山 2-5-20 TEL:03-5775-1092 http://www.tdb.co.jp/ 共同研究 ©2012 TEIKOKU DATABANK, LTD. 共同研究(2012-005タイに進出しているのはいかなる企業か ―独立系機械金属 5 業種企業の分析(1)― 阪南大学経営情報学部 准教授 関 智宏 キーワード タイ、中小企業、機械金属業種 独立企業 進出 1.はじめに 2.分析の方法 3.タイ進出の動向 4.企業の属性 5.小結 【本レポートについて】 本レポートは、工業集積研究会(代表:慶應義塾大学経済学部・植田浩史教授)と帝国データバンクに よる共同研究プロジェクトの成果の一部であり、阪南大学経営情報学部・関智宏准教授による「タイ進出企 業」レポートの第1回目である。近年、タイはあらためて投資先として脚光を浴びている。第1回目では、タイに 進出している日本の独立系機械金属 5 業種企業の現状を、帝国データバンクの COSMOS2 データより分 析する。

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Page 1: タイに進出しているのはいかなる企業か - TDBBOI は、外資系企業の投資動向をみる1 つの指標と言えるのである。 2001 年から2010 年までの10

顧客サービス統括部

東京都港区南青山 2-5-20

TEL:03-5775-1092

http://www.tdb.co.jp/

■ 共同研究 ◇ 

©2012 TEIKOKU DATABANK, LTD.

共同研究(2012-005)

タイに進出しているのはいかなる企業か ―独立系機械金属 5 業種企業の分析(1)―

阪南大学経営情報学部 准教授

関 智宏 キーワード タイ、中小企業、機械金属業種 独立企業 進出 1.はじめに 2.分析の方法 3.タイ進出の動向 4.企業の属性 5.小結

【本レポートについて】

本レポートは、工業集積研究会(代表:慶應義塾大学経済学部・植田浩史教授)と帝国データバンクに

よる共同研究プロジェクトの成果の一部であり、阪南大学経営情報学部・関智宏准教授による「タイ進出企

業」レポートの第1回目である。近年、タイはあらためて投資先として脚光を浴びている。第1回目では、タイに

進出している日本の独立系機械金属 5 業種企業の現状を、帝国データバンクの COSMOS2 データより分

析する。

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1.はじめに

ここに来て、タイへの投資熱が再燃している。これまでにもタイへの投資はブームがあったが、この 10 年間、外

資系企業の投資が増大しているのである。

外資系企業による投資の動向を確認するものとして、BOI の認定案件があげられる。BOI とは、The Board

of Investment of Thailand の略称であり、タイ投資委員会と呼ばれる。タイでは、外資系企業がタイ国内に進出

する際に、政府に届出をする必要があり、このタイ国政府の窓口が BOI である。BOI は、タイにおける産業振興

を目的としたタイ国政府による産業政策上の外資誘致施策である。BOI では、(1)農業、農製品、(2)鉱物、

金属、セラミックス、(3)軽工業、(4)電子、電気工業、(5)化学工業、パルプ、プラスチック、(6)機械製造、

などの業種が奨励されている。

BOI は、タイ国内の地域別誘致施策であり、3 つのゾーンごとによってメリットの得られる程度が異なっている。

地域別の 3 つのゾーンとは、第一ゾーンがバンコク首都圏、第二ゾーンがバンコク首都圏周辺、第三ゾーンが

その他の県である。また、第一ゾーンでは、特別の業種以外は BOI の対象とならないといった制限もある

(http://www.jssiam.com/BOI.html(2012 年 3 月閲覧))。BOI に認定されると、外資系企業は次のようなメリッ

トを得る。1 つは、法人税の減税である。2 つは、設備投資のための機械等の輸入関税の減税である。3 つは、

法人名義による土地所有の許可である。4 つは、容易な労働許可書の取得である。このように、外資系企業に

とって BOI に認定されることはメリットも多く、それゆえ外資系企業の多くが BOI の認定を受けている。それゆえ、

BOI は、外資系企業の投資動向をみる 1 つの指標と言えるのである。

2001 年から 2010 年までの 10 年間における BOI 認定案件数の推移をみたものが、表 1 である。表 1 による

と、1 年当たりの認定件数は、外国投資合計でみてもまた 100%外国投資合計でみても、両方ともに年々着実

に上昇していることがわかる。これは日本も同様である。地域別に日本の BOI 認定件数をみても、微増の傾向

にあることがわかる。

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表 1 BOI 認定案件数の推移

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2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年

外国投資合計 100%外国合計 日本

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350000

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2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年

外国投資合計額 100%外国合計投資額 日本投資額

(100万バーツ)

件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額外国投資合計 575 209622 483 99617 563 212589 734 317291 782 325827100%外国合計 315 106679 273 53434 305 104487 377 127942 414 139171 日本 257 83369 215 38398 260 97597 350 125932 354 171796

件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額 件数 総投資額外国投資合計 751 266643 836 205612 838 351142 614 142077 856 279233100%外国合計 404 124291 479 238004 496 157771 361 87736 558 183551 日本 353 115200 330 164323 324 106155 243 58905 342 100305

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

2003年2002年2001年 2005年2004年

注:金額単位:100 万バーツ、元ジェトロの元田時男氏の整理による数字を筆者が加工

出所:http:// home.att.ne.jp/yellow/tomotoda/boiapprovedlastedit.htm

次に、BOI 認定 1 件数あたりの投資額について、外国投資合計と 100%外国投資合計、そして地域別にみ

た日本の投資を整理したものが、表 2 である。

(件数)

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表 2 BOI 認定案件 1 件あたり投資額

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2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

外国投資合計 100%外国合計 日本

(100万バーツ)

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年外国投資合計 364.6 206.2 377.6 432.3 416.7 355.1 245.9 419.0 231.4 326.2100%外国合計 338.7 195.7 342.6 339.4 336.2 307.7 496.9 318.1 243.0 328.9 日本 324.4 178.6 375.4 359.8 485.3 326.3 497.9 327.6 242.4 293.3

注:金額単位は 100 万バーツ、元ジェトロの元田時男氏の整理による数字を筆者が加工

出所:http:// home.att.ne.jp/yellow/tomotoda/boiapprovedlastedit.htm

日本においては、幾分の例外はあるものの、BOI 認定案件が伸びながらも、投資金額が全体と外国投資合

計と比べてそれほど伸びていない、すなわち 1 件あたりの投資額がそれほど伸びる傾向でない。これは、BOI に

認定された案件が中小企業によるものであることが推察される。中小企業であれば、大企業と比べて投資金額

はそれほどまでに大きくならない。こうした中小企業がここ数年にわたって積極的にタイに投資を行っていることが

推察される。

このように、タイに進出する日系企業、近年では中小企業の数が増えているが、その一方でそれを統計的に

示すデータがそもそも制約されている。先だって BOI の認定件数をとりあげたが、確かに、BOI は、外資系企業

の進出状況を統計上把握する際に大いに参考になる 1 つの重要なデータである。しかしながら、すべての外資

系企業が BOI の認定を受けるわけではなく、その数は大きな制約を受けている。実際において、バンコク日本人

商工会議所『タイ国経済概況 2010 / 2011 年版』によると、タイ商業省事業開発局(Department of Business

Development;DBD)のデータベースとバンコク日本人商工会議所のデータとを結合させ、6773 件という数字

があがるが、そのうち企業活動が確認された企業は 53.9%(3651 社)となっている。また、これらのうち、従業員

でみた企業規模が把握できたのが 3083 社で、そのうち 33.7%(1024 社)が中小企業となっている。

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2.分析の方法

TDB のデータベース COSMOS2 データ1 (以下、C2 データと略記 ) で、タイに拠点を有する企業(以下で

はこうした企業を「タイに進出している企業」とする)を抽出したところ、2011 年 10 月 31 日時点で 3133 社にのぼ

ることが明らかとなっている。業種別にみると製造業が55.4%(1735社)と過半数を占めている。この数は、上述

の DBD とバンコク日本人商工会議所との双方のデータベースで、業種が判明している 3884 社のうち製造業

に該当する企業が 48.4%(1879 社)よりも高くなっているが、タイに進出している企業の多くが製造業であるという

ことは共通している。

以下では、タイに進出している企業のうち、製造業に焦点を当てる。なかでも特に機械金属業種に分析対象

を限定する。具体的には、金属製品製造業、一般機械器具製造業、電気機械器具製造業、輸送用機械

器具製造業、精密機械・医療機械器具製造業、の5 業種である。これらの業種に限定する理由は、タイでは、

日本を代表する自動車企業ならびに家電企業が多く立地しており、関連企業の厚い集積が各地にみられるこ

とで知られているためである。こうして抽出された機械金属業種企業は、1015 社にのぼる。これは、同じく機械金

属業種に属する TDB の全国企業 73650 社のうち、1.4%にあたる。

また、以下では特に企業規模ごとの差異に注意を払う。これは、自動車企業ならびに家電企業が加工組立

型産業であることから、特定の親企業を頂点とする階層的な分業・取引構造が形成されていることが想定され、

そうした親企業に比べて相対的に規模が小さな中小企業の多くが親企業の進出に付随してタイに進出している

と考えられるためである。

特定の親企業と取引をしている中小企業のなかには、言わば支配的関係の下に置かれている企業も少な

からず存在する。こうした企業群は系列企業と呼ばれる。TDBでは、「出資の多寡、意思決定への影響の強弱

を問わず、実質的な支配的関係の下にある」企業群を「グループ系列」としている。以下では、このようにグルー

ピングされる企業群を系列企業と呼ぶことにする。TDB のデータベースでは、機械金属業種企業 1015 社のう

ち、29.2%(296 社)が系列企業となっている。系列企業ではない企業群を独立企業とすると、独立企業は

70.8%(719 社)存在している。このように、タイに進出する企業の多くは、特定の親企業と支配的関係の下に置

かれていない独立企業である。

以下では、系列企業ではない、言わば独立系機械金属業種企業 719 社に焦点を当て、まず、タイ進出の

動向をみていく。そのうえで、タイに進出しているのはいかなる企業か、その属性を具体的にみていく。

3.タイ進出の動向

企業の進出年をみたものが、表 3 である。従業員2300 人以上とそれ未満とで従業員規模別に図示している。

1 帝国データバンクでは、訪問調査による信用調査報告書以外にも、聞き取り項目の少ない「企業概要デー

タ(COSMOS2)」を電話調査などにより毎年更新している。COSMOS2 には、「企業所在地」「創業年」「従業員

数」「資本金規模」「売上高」などが入力されており、その他のデータ項目に関しては帝国データバンクウェブペ

ージ(http://www.tdb.co.jp/lineup/cnet/cn_conct_c2.html#01)を参照されたい。 2 C2 データにおける従業員数には、個人事業主や役員人数が含まれておらず、原則的に正規雇用者のみの

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これまで、機械金属業種企業のタイ進出は、大きく①1980 年代後半から 1990 年代初頭、②1990 年代中頃

から 1990 年代後半、③2000 年代、の 3 つの進出ブームがあるように見ることができる。第 1 期では、主に従業

員 300 人以上の大企業が進出を牽引したが、第 2 期では、大企業ならびに従業員 300 人未満の中小企業

の進出数を増大させており、さらに第 3 期では、大企業の進出が少なくなるも、中小企業の進出数は第 2 期と

同じくらいの数で進出している、という点が特徴である。言わば、第 3 期のタイ進出は、中小企業が牽引している

とも言うことができる。この点は、BOI の認定件数の推移の点と整合的である。

これら 3 つのブームを支えた背景については、データから読みとることができないため、別途検討する必要が

ある。

人数を示す。その一方で、工業統計表における従業者数は、業務に従事している事業主や無報酬で従事す

る家族従業者、常用労働者を示す。このため、工業統計表における従業者数には、常時勤務していれば、役

員や理事、パートやアルバイトや出向・派遣業者などの人数が含まれており、C2 データの従業員数とは大きく異

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表 3 従業員規模別にみた進出年

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45

・・・ニ・・

300人以上

300人未満

出所:帝国データバンク調査報告書ならびに C2 データより筆者作成。

4.企業の属性

機械金属 5 業種別に、独立系機械金属業種企業の概要についてみていく。以下で、確認するのは、本社

所在地(都道府県)、資本金額、従業員数、売上高、売上伸び率である。

(1)本社所在地(都道府県)

業種別に本社所在地(都道府県)をみたものが、表 4 である。本社所在地のデータが確認された 614 社のう

ち、東京都が 20.5%(126 社)、愛知県が 16.4%(101 社)、神奈川県が 9.8%(60 社)がトップ 3 となっている。

機械金属 5 業種別にみると、金属製品や一般機械、輸送用機械では、愛知県や東京都に本社を置く企

業の数が多くなっている。輸送用機械では、静岡県も上位にあがり、東京都よりも多くなっている。電気機械では、

圧倒的に東京都が多くなっている。精密・医療機械では、サンプル数が少ないため一概には言えないが、東京

都が多くなっている。

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表 4 業種別にみた本社所在地(都道府県)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率東京都 18 14.2% 43 18.9% 39 32.2% 17 14.5% 9 42.9% 126 20.5%愛知県 22 17.3% 43 18.9% 11 9.1% 24 20.5% 1 4.8% 101 16.4%大阪府 14 11.0% 21 9.2% 10 8.3% 2 1.7% 1 4.8% 48 7.8%神奈川県 16 12.6% 21 9.2% 8 6.6% 13 11.1% 2 9.5% 60 9.8%静岡県 7 5.5% 15 6.6% 2 1.7% 18 15.4% 0 0.0% 42 6.8%埼玉県 13 10.2% 7 3.1% 6 5.0% 6 5.1% 3 14.3% 35 5.7%長野県 3 2.4% 11 4.8% 7 5.8% 5 4.3% 1 4.8% 27 4.4%京都府 2 1.6% 6 2.6% 7 5.8% 4 3.4% 3 14.3% 22 3.6%兵庫県 3 2.4% 6 2.6% 3 2.5% 3 2.6% 0 0.0% 15 2.4%広島県 4 3.1% 10 4.4% 1 0.8% 5 4.3% 0 0.0% 20 3.3%その他 25 19.7% 45 19.7% 27 22.3% 20 17.1% 1 4.8% 118 19.2%総計 127 100.0% 228 100.0% 121 100.0% 117 100.0% 21 100.0% 614 100.0%

都道府県名.金属製品 一般機械 電気機械 .輸送用機械 精密・医療機械 総計

出所:C2 データより筆者作成。

(2)資本金額

業種別に資本金額をみたものが、表 5 である。全体の 719 社の平均でみると、数値にばらつきはあるが、電

気機械が約 276 億円と最も多く、続いて輸送用機械が約 139 億円、精密・医療機械が約 86 億円、一般機

械が約 73 億円、そして金属製品が約 8 億円と最も少なくなっている。

表 5 業種別にみた資本金額(単位:千円) データ数 平均値 中央値 最大値 最小値 標準偏差

金属製品 138 774,787.2 58580 17009000 3000 2236028.8一般機械 267 7,337,805.8 80000 265608000 3000 25288426.5電気機械 149 27,617,980.9 542805 630923000 10000 87038106.5輸送用機械 138 13,872,263.9 99200 657355000 10000 66870033.1精密・医療機械 27 8,572,300.0 394944 65475000 5950 16583952.1総計 719 11,581,388.7 95000 657355000 3000 52542122.9 出所:C2 データより筆者作成。

資本金額を区分別にみたものが、表 6 である。平均値が最も高い電気機械では、100 億円以上の企業層

が 26.8%となっており、逆に金属製品では、資本金額 1 千万円以上 3 千万円未満の企業層が 26.1 %となっ

ている。

表 6 業種別にみた資本金額(区分別)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率2. 300万円以上1千万円未満 1 0.7% 1 0.4% 0 0.0% 0 0.0% 1 3.7% 3 0.4%3. 1千万円以上3千万円未満 36 26.1% 64 24.0% 30 20.1% 16 11.6% 5 18.5% 151 21.0%4. 3千万円以上5千万円未満 20 14.5% 36 13.5% 14 9.4% 19 13.8% 0 0.0% 89 12.4%5. 5千万円以上1億円未満 37 26.8% 56 21.0% 22 14.8% 34 24.6% 5 18.5% 154 21.4%6. 1億円以上3億円未満 7 5.1% 16 6.0% 4 2.7% 8 5.8% 1 3.7% 36 5.0%7. 3億円以上10億円未満 17 12.3% 17 6.4% 10 6.7% 12 8.7% 3 11.1% 59 8.2%8. 10億円以上100億円未満 17 12.3% 41 15.4% 29 19.5% 32 23.2% 6 22.2% 125 17.4%9. 100億円以上 3 2.2% 36 13.5% 40 26.8% 17 12.3% 6 22.2% 102 14.2%総計 138 100.0% 267 100.0% 149 100.0% 138 100.0% 27 100.0% 719 100.0%

総計金属製品 一般機械 電気機械 輸送用機械 精密・医療機械

出所:C2 データより筆者作成。

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(3)従業員数

業種別に従業員数をみたものが、表 7 である。全体の 719 社の平均でみると、数値にばらつきはあるが、電

気機械が約 2670 人と最も多く、続いて輸送用機械が約 1776 人、精密・医療機械が約 1100 人、一般機械

が約 860 人、そして金属製品が約 323 人と最も少なくなっている。資本金額と同様の順序となっている。

表 7 業種別にみた従業員規模別(単位:人)

データ数 平均値 中央値 最大値 最小値 標準偏差.金属製品 138 323.2 111.5 4825 6 657.1一般機械 265 859.8 129 33031 3 2969.6電気機械 149 2670.3 260 41154 1 7273.8輸送用機械 138 1775.7 262 69125 15 6549.1精密・医療機械 26 1099.5 468 5306 7 1440.4総計 716 1318.4 166.5 69125 1 4836.4

出所:C2 データより筆者作成。

従業員数を区分別にみたものが、表 8 である。平均値が最も高い電気機械では、従業員数が 500 人以上

の企業層が 39.6%となっている。しかし、輸送用機械では平均値こそ電気機械よりも少ないが、500 人以上の

企業層は 40.6%とその比率は高くなっている。これらに対して、金属製品では、従業員数 50~99 人の企業層

が 18.8%、30~49 人の企業層も 15.2%と、他の業種よりもこの規模の企業層の比率が高くなっている。

表 8 業種別にみた従業員数(区分別)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率0. 1~3人 0 0.0% 3 1.1% 4 2.7% 0 0.0% 0 0.0% 7 1.0%1. 4~9人 2 1.4% 8 3.0% 3 2.0% 0 0.0% 1 3.8% 14 2.0%2. 10~19人 8 5.8% 15 5.7% 11 7.4% 1 0.7% 2 7.7% 37 5.2%3. 20~29人 8 5.8% 17 6.4% 5 3.4% 1 0.7% 1 3.8% 32 4.5%4. 30~49人 21 15.2% 32 12.1% 11 7.4% 11 8.0% 2 7.7% 77 10.8%5. 50~99人 26 18.8% 38 14.3% 20 13.4% 19 13.8% 1 3.8% 104 14.5%6. 100~199人 25 18.1% 41 15.5% 10 6.7% 25 18.1% 3 11.5% 104 14.5%7. 200~299人 7 5.1% 21 7.9% 14 9.4% 13 9.4% 1 3.8% 56 7.8%8. 300~499人 16 11.6% 26 9.8% 12 8.1% 12 8.7% 3 11.5% 69 9.6%9. 500人以上 25 18.1% 64 24.2% 59 39.6% 56 40.6% 12 46.2% 216 30.2%総計 138 100.0% 265 100.0% 149 100.0% 138 100.0% 26 100.0% 716 100.0%

総計金属製品 一般機械 .電気機械 輸送用機械 精密・医療機械

出所:C2 データより筆者作成。

(4)売上高

業種別に売上高をみたものが、表9である。売上高のデータが確認された718社のうち、平均でみると、数値

にばらつきはあるが、電気機械が約 1990 億円と最も多く、続いて輸送用機械が約 1490 億円、精密・医療機

械が約 588 億円、一般機械が約 511 億円、そして金属製品が約 145 億円と最も少なくなっている。資本金額

ならびに従業員数と同様の順序となっている。

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表 9 業種別にみた売上高(単位:百万円) データ数 平均値 中央値 最大値 最小値 標準偏差

金属製品 137 14,507 2879 323874 193 39100.9一般機械 267 51,125 3101 2317043 30 219050.7電気機械 149 198,725 8835 4143023 40 643083.7輸送用機械 138 149,602 10099.5 8242830 360 760080.4精密・医療機械 27 58,767 15147 677661 3 132322.6総計 718 93,983 4766.5 8242830 3 469531.5 出所:C2 データより筆者作成。

売上高を区分別にみたものが、表 10 である。平均値が最も高い電気機械では、売上高が 300 億円以上の

企業層が 34.2%となっている。しかし、輸送用機械では平均値こそ電気機械よりも少ないが、500 人以上の企

業層は35.5%、さらに精密・医療機械も37.0%とその比率は電気機械と比べて高くなっている。これらに対して、

金属製品では、売上高 10 億円以上 50 億円未満の企業層が 38.0%、5 億円以上 10 億円未満の企業層も

17.5%と、他の業種よりもこの規模の企業層の比率が高くなっている。

表 10 業種別にみた売上高(区分別)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率1. 5000万円未満 0 0.0% 1 0.4% 1 0.7% 0 0.0% 1 3.7% 3 0.4%2. 5000万円以上1億円未満 0 0.0% 1 0.4% 3 2.0% 0 0.0% 0 0.0% 4 0.6%3. 1億円以上5億円未満 8 5.8% 35 13.1% 15 10.1% 1 0.7% 2 7.4% 61 8.5%4. 5億円以上10億円未満 24 17.5% 37 13.9% 10 6.7% 7 5.1% 4 14.8% 82 11.4%5. 10億円以上50億円未満 52 38.0% 80 30.0% 36 24.2% 45 32.6% 4 14.8% 217 30.2%6. 50億円以上100億円未満 14 10.2% 21 7.9% 12 8.1% 16 11.6% 1 3.7% 64 8.9%7. 100億円以上300億円未満 27 19.7% 43 16.1% 21 14.1% 20 14.5% 5 18.5% 116 16.2%8. 300億円以上 12 8.8% 49 18.4% 51 34.2% 49 35.5% 10 37.0% 171 23.8%総計 137 100.0% 267 100.0% 149 100.0% 138 100.0% 27 100.0% 718 100.0%

総計.金属製品 一般機械 電気機械 .輸送用機械 精密・医療機械

出所:C2 データより筆者作成。

(5)売上伸び率

業種別に売上高の伸び率をみたものが、表 11である。ここでは、最新の決算期から 3 カ年前からの伸び率を

みている。

3カ年の売上高のデータが確認された714社のうち、平均でみると、数値にばらつきはあるが、電気機械の伸

び率が 100.1%と最も高く、続いて精密・医療機械が 94.2%、輸送用機械が 92.8%、一般機械が 91.1%、そ

して金属製品が 90.0%となっている。ただし、ばらつきは十分に留意しなければならない。というのも、輸送用機

械や金属製品はばらつきが少ないが、他方で一般機械は、売上伸び率の最大値が 1167.7%という企業から

25.2%という企業まで多様である。これほどまでのばらつきはないにせよ、電気機械でも最大値が 365.5%という

企業から 41.4%という企業まで同じく多様である。言わば、一般機械、電気機械といった業種では、売上伸び

率でみたときに伸び率が高い企業と、低い企業との二極化が存在しているのである。

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表 11 業種別にみた売上伸び率(最新期から 3 カ年)(絶対数)

データ数 平均値 中央値 最大値 最小値 標準偏差金属製品 136 90.0% 90.4% 157.3% 31.6% 0.19246933一般機械 267 91.1% 82.7% 1167.7% 25.2% 0.786650908電気機械 147 100.1% 95.4% 365.5% 41.4% 0.406322858輸送用機械 138 92.8% 92.5% 137.6% 45.2% 0.170411218精密・医療機械 26 94.2% 98.9% 128.3% 43.3% 0.203953426

出所:C2 データより筆者作成。

売上高を区分別にみたものが、表 12 である。上のばらつきの有無を確認することができる。つまり、ばらつきが

あまり見られない輸送用機械や金属製品といった業種では、多くが、売上の伸び率が 75%以上 100%未満の

企業層に集中している(輸送用機械が 50.7%、金属製品が 55.1%)。これに対して、ばらつきがみられる一般

機械、電気機械といった業種では、同じく多くの企業が、売上伸び率が75%以上100%未満の企業層に集中

している(一般機械が 40.4%、電気機械が 41.5%)。しかしながら、その比率は輸送用機械や金属製品よりも

低く、逆にその数は少ないが、売上伸び率が 150%以上の企業層にもみられる。

表 12 業種別にみた売上伸び率(最新期から 3 カ年)(区分別)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率1. 50%未満 4 2.9% 19 7.1% 7 4.8% 1 0.7% 1 3.8% 32 4.5%2. 50%以上75%未満 20 14.7% 77 28.8% 16 10.9% 19 13.8% 3 11.5% 135 18.9%3. 75%以上100%未満 75 55.1% 108 40.4% 61 41.5% 70 50.7% 9 34.6% 323 45.2%4. 100%以上150%未満 34 25.0% 55 20.6% 57 38.8% 48 34.8% 13 50.0% 207 29.0%5. 150%以上200%未満 3 2.2% 2 0.7% 2 1.4% 0 0.0% 0 0.0% 7 1.0%6. 200%以上 0 0.0% 6 2.2% 4 2.7% 0 0.0% 0 0.0% 10 1.4%総計 136 100.0% 267 100.0% 147 100.0% 138 100.0% 26 100.0% 714 100.0%

総計金属製品 一般機械 電気機械 輸送用機械 精密・医療機械

出所:C2 データより筆者作成。

(6)系列グループ企業との取引関係

最後に、系列グループ企業との取引関係を業種別にみたものが、表 13 である。ここでいう系列グループ企

業とは、特定の親企業を持つ系列企業群のことであり、先にみた TDB がグルーピングする「グループ系列」、つ

まり、「出資の多寡、意思決定への影響の強弱を問わず、実質的な支配的関係の下にある」企業群のことで

ある。

機械金属 5 業種全体でみると、トヨタ自動車株式会社が 330 社となっている。これは、タイに進出する独立

系機械金属企業のうち、330 社がトヨタ自動車株式会社のグループ企業と取引をしているということを意味する。

割合でみると、その割合は 45.9%にのぼる。トップ 10 グループ企業をみると、トヨタ自動車株式会社のグループ

企業と取引をしている企業が最も多く、本田技研工業株式会社、日産自動車株式会社、三菱重工業株式

会社、アイシン精機株式会社といった、いわゆる自動車企業グループをはじめ、株式会社日立製作所、パナソ

ニック株式会社、株式会社東芝、三菱電機株式会社、富士通株式会社といった、いわゆる家電企業グルー

プが名前を連ねる。

業種別にみると、輸送機械では、トヨタ自動車株式会社の系列グループと取引をしている企業が最も多く、そ

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の割合は 87.7%(121 社)にのぼる。次点で本田技研工業株式会社が 71.0%(98 社)、次々点で日産自動

車株式会社が 67.4%(93 社)となっている。輸送機械では、この 3 社の自動車企業の系列グループへの取引

が比較的集中している。ほぼ同じ傾向が、電気機械についても言える。電気機械では、パナソニック株式会社

の系列グループと取引をしている企業が最も多く、その割合は 75.8%(113 社)にのぼる。次点で株式会社東芝

が 51.0%(76 社)、株式会社日立製作所が 50.3%(75 社)、そして三菱電機株式会社が 47.0%(70 社)と家

電企業が続く。

これに対して、金属製品ならびに一般機械では、輸送機械ならびに電気機械と異なり、自動車企業ならび

に家電企業のいずれかに取引が集中することなく、比較的分散しているのが特徴的である。金属機械では、ト

ヨタ自動車株式会社の系列グループとの取引をもつ企業が最も多く、その割合は 46.4%(64 社)にのぼってい

るが、次点は本田技研工業株式会社が 37.7%(52 社)、株式会社日立製作所が 31.9%(44 社)となってい

る。また、一般機械では、トヨタ自動車株式会社の系列グループと取引をしている企業が最も多く、その割合は

37.5%(100 社)、次点で株式会社日立製作所が 34.5%(92 社)、次々点で三菱重工業株式会社が 29.2%

(78 社)となっている。

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グループ名 企業数 比率(注) グループ名 企業数 比率(注)1 トヨタ自動車株式会社 64 46.4% 1 トヨタ自動車株式会社 100 37.5%2 本田技研工業株式会社 52 37.7% 2 株式会社日立製作所 92 34.5%3 株式会社日立製作所 44 31.9% 3 三菱重工業株式会社 78 29.2%4 パナソニック株式会社 41 29.7% 4 パナソニック株式会社 74 27.7%5 日産自動車株式会社 37 26.8% 5 本田技研工業株式会社 65 24.3%6 株式会社東芝 27 19.6% 6 日産自動車株式会社 59 22.1%7 三菱重工業株式会社 27 19.6% 7 株式会社東芝 55 20.6%8 アイシン精機株式会社 21 15.2% 8 豊田通商株式会社 44 16.5%9 三菱電機株式会社 19 13.8% 9 アイシン精機株式会社 35 13.1%

10 富士通株式会社 18 13.0% 10 三菱電機株式会社 35 13.1%

グループ名 企業数 比率(注) グループ名 企業数 比率(注)1 パナソニック株式会社 113 75.8% 1 トヨタ自動車株式会社 121 87.7%2 株式会社東芝 76 51.0% 2 本田技研工業株式会社 98 71.0%3 株式会社日立製作所 75 50.3% 3 日産自動車株式会社 93 67.4%4 三菱電機株式会社 70 47.0% 4 三菱重工業株式会社 59 42.8%5 日本電気株式会社 46 30.9% 5 いすゞ自動車株式会社 38 27.5%6 シャープ株式会社 42 28.2% 6 アイシン精機株式会社 32 23.2%7 トヨタ自動車株式会社 40 26.8% 7 株式会社日立製作所 31 22.5%8 富士通株式会社 39 26.2% 8 富士重工業株式会社 31 22.5%9 ソニー株式会社 30 20.1% 9 ヤマハ発動機株式会社 30 21.7%

10 三菱重工業株式会社 29 19.5% 10 株式会社クボタ 15 10.9%

グループ名 企業数 比率(注) グループ名 企業数 比率(注)1 株式会社日立製作所 8 29.6% 1 トヨタ自動車株式会社 330 45.9%2 オリンパス株式会社 6 22.2% 2 株式会社日立製作所 250 34.8%3 トヨタ自動車株式会社 5 18.5% 3 本田技研工業株式会社 243 33.8%4 株式会社東芝 5 18.5% 4 パナソニック株式会社 241 33.5%5 日産自動車株式会社 5 18.5% 5 日産自動車株式会社 218 30.3%6 三菱重工業株式会社 5 18.5% 6 三菱重工業株式会社 198 27.5%7 三菱商事株式会社 5 18.5% 7 株式会社東芝 169 23.5%8 アイシン精機株式会社 4 14.8% 8 三菱電機株式会社 140 19.5%9 武田薬品工業株式会社 4 14.8% 9 アイシン精機株式会社 96 13.4%

10 アルフレッサホールディングス株式会社 4 14.8% 10 富士通株式会社 85 11.8%

出所:帝国データバンク調査報告書より筆者作成。

図表13 系列グループ企業との取引関係

金属製品(タイ進出138社) 一般機械(タイ進出267社)

輸送機械(タイ進出138社)電気機械(タイ進出149社)

精密・医療機械(タイ進出27社) 機械金属5業種(タイ進出719社)

注:図表中の比率は、当該中分類区分における企業数÷タイ進出企業数のことであり、タイ進出を果たした企業のうち、どの程度の企業がその企業

5.小結

日系企業のタイ進出は、こんにち新しいステージに来ている。

第 1 に、系列企業ではなく、系列グループに属さない独立企業をみると、その進出は、いくつかのブームを経

て、2000 年代に入り、第 3 次のブームを迎えた。多くの独立企業がタイに拠点をもつようになっている。しかし、そ

れは 2000 年代後半に大きく落ち込み、今日さらに新しい第 4 次のブームを迎えるかどうかを慎重にみておく必要

がある。

第 2 に、特に第 3 次の進出ブームを支えているのは、従業員数 300 人未満の中小企業である。表 14 にも

表れているように、業種別に従業員の割合を、従業員数 300 人を基準としてみると、金属製品ならびに一般機

械で、300 人未満の層が他の業種と比べてより厚くなっていることから、これらの業種が進出ブームに大きく貢献

していると考えられる。

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表 13 業種別にみた従業員数(300 人を基準とする区分別)

企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率 企業数 構成比率1~299人 97 70.3% 175 75.8% 78 52.3% 70 50.7% 11 42.3% 431 60.2%300人以上 41 29.7% 90 24.2% 71 47.7% 68 49.3% 15 57.7% 285 39.8%総計 138 100.0% 265 100.0% 149 100.0% 138 100.0% 26 100.0% 716 100.0%

総計金属製品 一般機械 .電気機械 輸送用機械 精密・医療機械

出所:C2 データより筆者作成。

第 3 に、売上高は、業種により、また企業によりばらつきがみられると考えられる。売上伸び率も同様である。

輸送用機械や金属製品はばらつきが少ないが、他方で一般機械や電気機械ではばらつきが幾分見てとること

ができる。

第 4 に、系列企業グループ企業との取引関係は、主に、自動車企業ならびに家電企業のいずれか、あるい

は両方に集約されると考えられる。業種別では、輸送機械では自動車企業に、また電気機械では家電企業の

系列グループとの取引が多く見られる。逆に、一般機械ならびに金属製品は、自動車企業と家電企業とが混

在する形になっている。

次号と次々号では、自動車企業と家電企業それぞれに焦点を当て、それら産業に属する主要企業と取引を

もつ企業の取引構造分析を行うことで、タイに進出する日系企業の実態をより浮き彫りにしていく。

以上

分析・執筆

関 智宏 (阪南大学経営情報学部)

データ加工

伊東総一郎 (産業調査部[当時] 客員研究員)

藤本迪也 (産業調査部[当時] 客員研究員)

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