高校生における 白律的動機づけと レジリエンス...

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兵庫教育大学学校教育学研究, 2015, 27, pp 31-39 高校生におけ る白律的動機づけ と レ ジリ ンス と の関連 - 自己決定理論の援用の可能性一 * 西 ** ** 本研究の目的は, 高校生におけ る自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス と の関連 を検討す る と と も に, 生徒のレジリエンスを 酒養す る支援のためのア プロ ーチと し て, 自己決定理論の援用の可能性を検討するこ と であった。 高校 1 2 年生213(男子102, 女子111) を対象に, 質問紙調査を実施し た。 相関分析の結果, 自律的動機づけ及びレ ジリ エ ンスは, 己決定感, 有能感, ソーシャル ・ サポート の各変数と有意な弱い ~ 中程度の正の相関を示 し た。 AM OS によるパス解析 の結果, 自己 決定感, 有能感, ソーシャル ・ サポートがレジリエ ンスに比較的大き な正の影響 を与え るこ と が示 さ れ, 己決定感と ソーシャル ・ サポート , 有能感 も高める方向に働 く こ と が示 さ れた。 そ し て, 自己決定感, 有能感, ソーシャ ・ サポート がレジリエ ンスへ影響を及ぼすプロセスには, これらの各変数がそれぞれ独自に影響を与えるプロセスと , 有能感と自律的動機づけ を経由す る プロ セスが示 さ れた。 キ ーワ ー ド : レジリエンス, 自律的動機づけ , 自己決定感, 有能感, ソーシャル ・ サポート 問題と目的 高校生の時期は思春期中期にあたり , 自我が不安定な 「疾風怒濤の時代」 と も呼ばれ, 学業, 部活動, 人間関 , 進路選択 , 大学受験などで乗り越えなければならな い壁や課題が多 く 存在する時期である。 そのため, 高校 への不本意入学, 学業不振や人間関係の問題, 受験への 不安 な ど, 多 く の生徒が多様な問題を抱えながら高校生 活を送っており , 全ての生徒が学校生活に対する不適応 状態を呈する可能性を有していると考えられる。 平成24 年度 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問 題に関する調査」 ( 文部科学省, 2014) によると , 高等 学校におけ る不登校生徒数は, 平成21 年度の51,728(1.55%) から平成 24 年度の 57,664 (1.72%) , 4 連続で増加 てい る。 永作 ・ 新井 (2005) , 中学生を 対象に, 自己決定理論に基づいて高等学校移行時の心理 的要因 と し て自律的高校進学動機を取り 上げ, 学校移行 後の学校適応 ・ 不適応と の関連を検討 し た。 その結果, 自己決定の高い進学動機を有 し て高校に進学す るこ と が, 進学後の学校適応の高 さにつながる可能性を示 し , 自己 決定の低い進路選択は, 進学後の学校不適応につながり かねないことを示唆している。 ここでいう自己決定とは, 「求めら れた行動の価値や調整が, 内 在化 し 統合 さ れて いる程度の違い (Ryan & Decl, 2000) を意味してお , 自律性 ( 自律的) とほぼ同義である。 新井 ・ 佐藤 (2000) , 自己決定は学習の動機づけだけではな く , 子 ども の生活や行動全般に大き く 影響 を与え る概念であ る と 述べ, 西村 ・ 櫻井 (2010) , 中学生を対象に学習 動機 と 学業適応 と の関連 を検討 し た結果, 自律的学習動 機と適応的指標 ・ 不適応的指標は関連があ る こ と を示 し ている。 不登校は学校不適応の一側面にすぎないが, れらの先行研究からは, 高校入学時の生徒の自律的な動 機づけ を高める支援の重要性が示唆さ れる。 自己決定理論は, 内発的動機づけ に関す る理論 を発展 31 させたもので, 行動 に対 し て自律的 で あ る と い う こ と に より , 高い学業成績や良い精神的健康がも たら さ れる と いう理論であり , 行動に対 し ていかに自己決定性が高い かが重要である。 自己決定理論では, 「無動機づけ」 , 「外発的動機づけ」 , 「内発的動機づけ」 を自己決定 (律性) の程度によ っ て分類 し , 内発的 一外発的動機づけ 2 つを自己決定 ( 自律性) という 観点から一次元上の 両極と捉え , 連続性を持つものと している。 そして, 会的な価値を自分のものにしてい く 価値の内在化 ( 自己 調整) に注日 し て, 適切な働きかけによって, より自己 決定 ( 自律性) の程度の高い動機づけ が形成 さ れる こ と が想定 さ れてい る。 自己決定理論では, 「外発的動機づ け」 を , 報酬や罰など外部からの統制に従う 段階で最も 他律的な 「外的調整」 , 外部の評価や義務感が伴う 自己 価値の維持や恥の感覚の回避な ど外部の評価や義務感が 伴う 「取り 入れ的調整」 , 活動への価値を認め自分のも のと して受け入れている状態の 「同一化的調整」 , 自身 の価値観 と 行動や活動の価値観が矛盾 な く 統合 さ れ自己 内に葛藤を生 じずに活動に取り 組む段階の 「統合的調整」 4 つに区分し , 特に 「同一化的調整」 「統合的調整」 と 「内的調整 (内発的動機づけ) を 「自律的動機づけ」 とし , 学業成績や精神的健康な どに良い影響 を与え る と している (山口, 2012) 。 ただし , 統合的調整は, 探索 的因子分析を行う と 「同一化的調整」 や 「内的調整」 に 項目が含まれ, 統計的 に分別 で き ない と い う こ と も あ り , 近年の研究ではあまり とり あげられていない ( 西村 ・ 櫻 , 2013) 。 このため, 本研究で も 「統合的調整」 は扱 わな い こ と と し た。 自己決定理論では, 生理的欲求 と 心理的欲求 を区別 し た上で, 動機づけの基本的な心理的欲求 と し て, 自律性 欲求 ( 行為を自ら起こそう とする傾向性), 有能欲求 ( 環境と効果的に関わりながら学んでいこう とする傾向 ), 関係性欲求 ( 他者やコミュニティと関わろうとす * 兵庫教育大学大学院修士課程 ** 兵庫教育大学大学院人間発達教育専攻 平成26 1022 日受理

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  • 兵庫教育大学学校教育学研究, 2015, 第27巻, pp 31-39

    高校生におけ る 白律的動機づけ と レ ジリ エ ンス と の関連- 自己決定理論の援用の可能性一久 保 勝 利* 西 岡 伸 紀** 鬼 頭 英 明**

    本研究の目的は, 高校生におけ る自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス と の関連 を検討す る と と も に, 生徒のレ ジリ エ ンス を

    酒養す る支援のためのア プロ ーチと し て, 自己決定理論の援用の可能性を検討す るこ と であっ た。 高校 1 ・ 2 年生213名

    (男子102名, 女子111名) を対象に, 質問紙調査を実施し た。 相関分析の結果, 自律的動機づけ及びレ ジリ エ ンスは, 自

    己決定感, 有能感, ソ ーシャル ・ サポート の各変数と有意な弱い~ 中程度の正の相関を示 し た。 AMOS によ るパス解析

    の結果, 自己決定感, 有能感, ソ ーシャル ・ サポート がレ ジリ エ ンスに比較的大き な正の影響 を与え るこ と が示 さ れ, 自

    己決定感と ソ ーシャル ・ サポート は, 有能感も高める方向に働 く こ とが示 さ れた。 そ し て, 自己決定感, 有能感, ソーシャ

    ル ・ サポート がレ ジリ エ ンスへ影響 を及ぼす プロ セスには, こ れら の各変数がそれぞれ独自に影響 を与え る プロ セス と ,

    有能感と自律的動機づけ を経由す る プロ セスが示 さ れた。

    キーワ ー ド : レ ジリ エ ンス , 自律的動機づけ , 自己決定感, 有能感, ソ ーシ ャル ・ サポー ト

    問題と目的

    高校生の時期は思春期中期にあたり , 自我が不安定な「疾風怒濤の時代」 と も呼ばれ, 学業, 部活動, 人間関係, 進路選択 , 大学受験な どで乗り 越え なけ ればな ら ない壁や課題が多 く 存在す る時期であ る。 そのため, 高校への不本意入学, 学業不振や人間関係の問題, 受験への不安な ど, 多 く の生徒が多様な問題を抱え ながら高校生活を送っ ており , 全ての生徒が学校生活に対する不適応状態を呈す る可能性を有 し てい る と考え ら れる。

    平成24年度 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」 (文部科学省, 2014) によ る と , 高等学校におけ る不登校生徒数は, 平成21 年度の51,728人(1.55%) から平成24年度の57,664人 (1.72%) と, 4年連続で増加 し てい る。 永作 ・ 新井 (2005) は, 中学生を対象に, 自己決定理論に基づいて高等学校移行時の心理的要因と して自律的高校進学動機を取り 上げ, 学校移行後の学校適応 ・ 不適応と の関連を検討 し た。 その結果, 自己決定の高い進学動機を有して高校に進学するこ とが, 進学後の学校適応の高 さにつながる可能性を示 し , 自己決定の低い進路選択は, 進学後の学校不適応につながりかねないこ と を示唆し ている。 こ こ でいう 自己決定とは, 「求めら れた行動の価値や調整が, 内在化 し統合 さ れてい る程度の違い (Ryan & Decl, 2000)」 を意味 し ており , 自律性 (自律的) と ほぼ同義であ る。 新井 ・ 佐藤(2000) は, 自己決定は学習の動機づけだけではな く , 子 どもの生活や行動全般に大き く 影響を与え る概念であ

    ると述べ, 西村 ・ 櫻井 (2010) は, 中学生を対象に学習動機と 学業適応と の関連を検討 し た結果, 自律的学習動機と適応的指標 ・ 不適応的指標は関連があ るこ と を示 し

    てい る。 不登校は学校不適応の一側面にす ぎないが, これらの先行研究からは, 高校入学時の生徒の自律的な動機づけ を高める支援の重要性が示唆さ れる。

    自己決定理論は, 内発的動機づけに関する理論を発展

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    させたもので , 行動に対 し て自律的である と いう こ と によ り , 高い学業成績や良い精神的健康がも たら さ れる という 理論であり , 行動に対 し ていかに自己決定性が高いかが重要であ る。 自己決定理論では, 「無動機づけ」 , 「外発的動機づけ」 , 「内発的動機づけ」 を自己決定 (自律性) の程度によ って分類し , 内発的一外発的動機づけの 2 つを自己決定 ( 自律性) と いう 観点から一次元上の両極と捉え , 連続性 を持つも のと し てい る。 そ し て , 社会的な価値を自分のものにし てい く 価値の内在化 ( 自己調整) に注日 し て, 適切な働きかけによ っ て, よ り 自己決定 ( 自律性) の程度の高い動機づけが形成 さ れるこ とが想定 さ れてい る。 自己決定理論では, 「外発的動機づけ」 を , 報酬や罰 な ど外部から の統制に従う 段階で最も他律的な 「外的調整」 , 外部の評価や義務感が伴う 自己価値の維持や恥の感覚の回避な ど外部の評価や義務感が

    伴う 「取り 入れ的調整」 , 活動への価値を認め自分のものと し て受け入れている状態の 「同一化的調整」 , 自身の価値観と行動や活動の価値観が矛盾な く 統合 さ れ自己

    内に葛藤を生 じずに活動に取り 組む段階の 「統合的調整」

    の4 つに区分し , 特に 「同一化的調整」 「統合的調整」と 「内的調整 (内発的動機づけ)」 を 「自律的動機づけ」と し , 学業成績や精神的健康な どに良い影響 を与え る とし てい る (山口, 2012) 。 ただ し , 統合的調整は, 探索的因子分析を行う と 「同一化的調整」 や 「内的調整」 に

    項目が含まれ, 統計的に分別でき ないという こ と もあり , 近年の研究ではあまり と り あげら れていない (西村 ・ 櫻井, 2013) 。 こ のため, 本研究で も 「統合的調整」 は扱わないこ と と し た。

    自己決定理論では, 生理的欲求と心理的欲求を区別 した上で, 動機づけの基本的な心理的欲求と し て, 自律性欲求 (行為 を自 ら 起こ そう と す る傾向性) , 有能欲求(環境 と 効果的に関わり ながら学 んでい こ う と す る傾向性) , 関係性欲求 (他者や コ ミ ュ ニ テ ィ と 関わろ う と す

    * 兵庫教育大学大学院修士課程 * * 兵庫教育大学大学院人間発達教育専攻 平成26年10月22 日受理

  • 32 学校教育学研究, 2015, 第27巻

    る傾向性) の 3 つのいずれも人が生得的に持 っ てい る心理的欲求と し て特定 し ている。 こ れらの心理的欲求が全

    て成長に向けての生得的な傾向性であり , こ れらの欲求が同時に満た さ れるよ う な条件のも と で外的 な価値が内

    在化 (自己調整) され, より自己決定 (自律性) の程度の高い動機づけ を持つよう になると仮定 し ている (長沼, 2004) 。 本研究では, 自律性欲求, 有能欲求, 関係性欲求の 3 つの基本的心理的欲求の充足の程度を , それぞれ自己決定感, 有能感, ソ ーシャル ・ サポー ト から捉え るこ と と した。

    ソ ー シ ャ ル ・ サ ポー ト は , 個人 を取 り 巻 く 人々か ら受

    け る様々な形の支援 をいい, 「社会的包絡」 , 「知覚 さ れたサポー ト」 , 「実行 さ れたサポー ト」 の 3 種類に分類 される (Barrera, 1986) 。 児童生徒を対象と し た調査では, ソ ー シ ャ ル ・ サポー ト は , 微妙 な個人差 を反映す る ため

    にはサポー ト を受け る可能性への主観的評価の測定が適

    し てい るこ と からほと んど 「知覚 さ れたサポー ト」 の観

    点で測定されている (石毛 ・ 無藤, 2005)。 久田 ・ 千田 ・ 箕口 (1989) は, ソ ーシ ャル ・ サポー ト につい て , 「ふだんから自分 を取り 巻 く 重要な他者に愛 さ れ大切に さ れ

    ており , も し何か問題が起こ っ て も援助 し て も ら え る , と いう 期待の強 さ」 (Cobb, 1976 ; 久田 ・ 千田 ・ 箕口, 1989) と定義 しており , この期待は, 過去の経験によ って形成 さ れる ものであり , その経験に基づ く 将来の可能性についての予測である。 本研究では, 認知的なアプロ ーチ と し て , サポー ト を受け てい る , あ るいは受け てい な

    い と い う 主観的感覚 を測定す る事によ っ て ソ ーシ ャル ・

    サポー ト レベルを査定 した。

    動機づけは, 行動の始発性や原因性と い っ た, 行動を一定方向に向けて始発 させ, 推進し , 持続させる過程の全般を総称す る概念であるが, 一方で , 挫折や困難な状況に晒さ れるこ と で, 一時的に心理的不健康な状況に陥って も それを乗り 越えそこ から立ち直 る力 を表す概念に, レ ジリ エ ンスがあ る。

    Masten, Best and Garmezy (1990) は, レ ジリ エ ンスを 「困難あるいは脅威的な状況にも関わらず, う ま く 適応す る過程, 能力 , あ るいは結果」 と定義 し てい る。 日本においてレ ジリ エ ンスは, 「回復力」 「復元力」 「反発力」 と も言われ, 「生き る力」 な どと 訳 さ れてい る。

    レ ジリ エ ンスの研究は, 重篤な障害, 虐待や貧困な どの厳 しい環境に直面 しながら も適応的な結果を示す要因

    についての研究が行われたこ と が始まり といわれてい る

    が, 現在では, 重篤な障害の有無に関わらず, 日常生活の中で厳 しい状況でも適応でき る者と適当でき ない者の

    差 を調査 ・ 研究 し たも のを中心に, レ ジリ エ ンス研究分野の対象範囲は全般的に広 く 扱われている (今村 ・ 山本 ・ 出水 ・ 徳島 ・ 谷川 ・ 乾, 2013) 。 石毛 ・ 無藤 (2005) は中学生の受験期の学業場面におけ る精神的健康と レ ジリ

    エ ンスお よ びソ ー シ ャル ・ サ ポー ト の関連 につい て検討

    し , レ ジリ エ ンス概念の構成因子 と し て, 自 ら問題解決しよ う と する自立的な傾向である 「自己志向性」 のほか

    「楽観性」 ・ 「関係性」 の 3 因子 をあげてい る。 こ れら の研究において, 良好な精神状態へと変化 した者は自律性,

    高い計画性, ス ト レス フルな状況を統制する能力 , 家族のサ ポー ト を備え てい る こ と が示 さ れてい る (M asten,

    Burt, Roisman, 0bradovic, Long, & Tellegen, 2004) 。田中 ・ 兒玉 (2010) によ れば, レ ジリ エ ンスは, 本来

    人間が有 し , 個人内で発達させるこ と ができ , また可逆的で促進させるこ と ができ る人間の基本的な生き る力 を

    強める機能であり , 周囲からの有効な働きかけ によ り 個人内部のレ ジリ エ ンス を高めるこ と で , 危機状況からの回復ができ ると考え ら れ, 状況に適応す るための介入の可能性 も示唆 さ れてい る。 レ ジリ エ ンス を高めてス ト レ

    ス フルな状況に有効に対処でき るよ う な介入をす るこ と

    は, 予防的介入 と いう 観点から重要であ る と考え ら れてい る。 平野 (2010) は, レ ジリ エ ンス要因 を , 持 っ て生ま れた気質 と関連の強い 「資質的 レ ジリ エ ンス要因」 と

    後天的に身につけ ていきやすい 「獲得的 レ ジリ エ ンス要

    因」 に分けて捉え, 両者を測定する二次元レ ジリ エ ンス要因尺度 (BRS) を作成し , 「資質的レ ジリ エ ンス要因」と 「獲得的 レ ジリ エ ンス要因」 を分け て捉え るこ と によ

    り , レ ジリ エ ンス を後天的に高めてい く 方法 を検討できる と し てい る。

    こ れまでに, 自律的動機づけ と レ ジリ エ ンスの関連に関する先行研究は少な く , 高校生におけ る自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス と の関連を検討 し た研究は未だ見受け

    ら れない。

    学習動機づけ と レ ジリ エ ンスの関連について検討 し た

    先行研究と しては, 倉住 ・ 渡辺 (2007) は, 中学生を対象に学習意欲低下場面を取り 上げ, 場面に対する対処方略と レ ジリ エ ンシー 及び学習動機づけの関連について検

    討 し , レ ジリ エ ンス得点の高い者は回避的対処を選択 しに く く , 直接的問題対処を行う 傾向があり , 低動機づけス タイ ルを持つ者は回避的対処を行いやす く , 直接的問題対処を行わない傾向があ るこ と を示 し てい る。 ま た, 自己決定理論に関する自律的な学習動機づけ と他者から

    の働 き かけ に つい て検討 し た先行研究 に つい ては , Va11erand, Fortier, & Guay (1997) が, 高校生を対象に他者からの働きかけ と生徒の学習動機づけ , 退学への意志と行動 と の関連について検討 し , 両親や教師からの自律性支援は, 自律性やコ ンビテ ンスの認知 を介 し て自律的な動機づけ を形成 し , それが退学への意志や行動 を抑制するこ と を示 している (岡田 ・ 中谷,2006)。

    動機づけ と レ ジリ エ ンスは異な る概念であるが, 生徒の学校不適応や不登校の予防に向けて, どち ら も重要な視点で あ る と 思われる。

    以上のこ と より , 本研究では, 生徒の学校不適応や不登校予防の観点から自律的動機づけ と レ ジリ エ ンスを取

    り 上げ, 高校生におけ る自律的動機づけ と レ ジリ エ ンスと の関連を検討す ると と も に, 生徒のレ ジリ エ ンス を涵養する支援のためのア プロ ーチ と し て, 自己決定理論の援用の可能性を検討するこ と を日的とする。

    方法

    1 . 手続き2014年 1 月下句に, 兵庫県下の公立高等学校普通科 1

  • 自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス

    2 年生各120名計240名を対象に質問紙調査を行った。 調査は, 学級担任の指導の下に主に L H R の時間に無記名で実施 し , 回答はその場で即時回収し た。 調査の実施にあたり , テス ト では無 く 学校の成績とは無関係である事, 回答は強制ではな く 回答 し た く ない項目があ っ た場合は

    回答 し な く て構わないと いう 事, 回答から個人の情報や回答内容が特定 さ れる事はな く , 研究目的以外に使用 しない事 を伝え て も ら っ た。 回収 さ れた220名 (回収率91.7%) のう ち , 回答に不備のあ っ た 7 名を除く 213名(男子102名, 女子111名 / 1 年生109名, 2年生104名) を分析対象と し た。 平均年齢16.3歳 (sD= .58) であった。 分析には, SPSS (ver.21) と AMOS (ver.20) を使用 した。

    11. 質問紙の構成1 . 内容

    属性 (学年, 性別, 年齢) 。 現在の身近なソーシャル ・ サポー ト 源の種類につい て 「家族」 「友人」 「 その他」

    「い ない」 の 4 つの選択肢の中から一つ選択 させた。 測定には, 二次元レ ジリ エ ンス要因尺度, 学習動機づけ尺度, 自己決定感尺度, 有能感尺度, 学生用ソ ーシャル ・ サポート 尺度を用いた。

    2 . 使用尺度二次元 レ ジ リ エ ン ス要因尺度

    二次元レ ジリ エ ンス要因尺度 (平野,2010) は, 「困難な出来事が起き ても , どう にか切り 抜け るこ と ができ ると 思う」 な どレ ジリ エ ンスについて , 7 つの下位尺度21 項目で測定する尺度であり , 大学生用に作成 さ れたが高校生にも適用可能である と考え ら れてい る。 こ の尺度を

    用い て , 高校生におけ る レ ジリ エ ンスについ て , 「 ま った く あてはま ら ない」 から 「よ く あてはま る」 の 5 件法で回答を求めた。

    学習動機づけ尺度

    学習動機づけ尺度 (安藤, 2005) は, 「勉強するこ とが楽 しいから」 な ど自己決定理論に基づ く 4 つの下位尺度 (外的調整 ・ 取入れ的調整 ・ 同一化的調整 ・ 内的調整) について, 14項目で測定す る尺度であ る。 こ の尺度を用い て , 高校生の学習動機づけについ て, 「ぜ んぜ んあてはま ら ない」 から 「 と て も あてはま る」 の 5 件法で回答を求めた。

    自己決定感尺度 ・ 有能感尺度

    有能感 ・ 有能欲求 ・ 自己決定感 ・ 自己決定欲求尺度

    (櫻井, 1993) は, 「物事は他の人より も上手に し ている」「自分の思い通り に行動 し てい る」 な ど日常生活におけ

    る有能感, 有能欲求, 自己決定感, 自己決定欲求について, 33項目で測定する尺度である。 大学生を対象に作成さ れたが, 項目の内容から高校生にも適用可能である と考え ら れる。 こ の尺度よ り , 自己決定感尺度 8 項目, 有能感尺度 8 項目を用いて, 高校生の自己決定感, 有能感につい て , 「 ま っ た く あてはま ら ない」 から 「非常によく あてはま る」 の 6 件法で回答 を求めた。学生用 ソ ーシ ャル ・ サポー ト 尺度

    久田 ・ 千田茂 ・ 箕口 (1989) によ って作成さ れた, 学

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    生 用 ソ ー シ ャ ル ・ サ ポ ー ト 尺 度 (The Scale of

    Expectancy for Social Support : SESS) は, 将来何か問題が生 じ た場合に, 周囲の人々から どの程度の援助が期待で き るか調べ る事 を目的 と し た尺度で , 「 あなたが落ち込んでい る と元気づけ て く れる」 な ど16種類のサポート 場面 を設定 し , 各場面において どの程度サポー ト 源が対象者 をサポー ト し て く れるかについて 「絶対 ちがう」

    から 「 き っ と そう だ」 の 4 段階で評定 を求める も のであ

    る (岡安 ・ 嶋田 ・ 坂野, 1993)。本研究では 「あなたは, あなたのまわり の人たちが,

    どのく らいあなたの助けになっ ていると感 じていますか。」

    と の教示を行い, 16場面のう ち , 調査校側の意見を考慮し て 「あな たが失恋 し た と知 つた ら , 心から同情 し て くれる」 と 「あなた を心から愛 し てい る」 の 2 場面 を削除し た14場面で質間紙を構成 し た。 こ の尺度を用いて, 高校生におけ る認知的 な ソ ーシ ャル ・ サポー ト につい て ,

    「絶対ちがう」 から 「き っ と そう だ」 の 4 件法で回答を求めた。

    結果

    1 . 分析指標の作成1 . 項目分析

    各下位尺度の項日の逆転項日の処理を行い, 記述統計量と ヒ ス ト グラ ムを出力 し て, 平均値 ・ 標準偏差を確認し , 天井効果と フロ ア効果の検討 を行っ た。 各項目のヒス ト グラ ムはほぼ正規分布であっ た。 学習動機づけ尺度

    の同一化的調整に含まれる 「Q27 今, 学習 し ておかない と 後で困 るから」 の項目で 「 5 と て もあてはま る」が92 % と天井効果を示 し たため, 分析から除外 し た。

    次に , 現在の身近な ソ ー シ ャル ・ サポー ト 源の種類に

    ついての結果は, 対象者213名に対 し , 「家族」 : 47.9% (102名), 「友人」 : 42.3% (90名), 「その他」 : 2.3% ( 5 名 : 中学校の先生, 恋人, 全て, アイ ドル, 記述無 し) , 「いない」 : 7.5% (16名) , であった。 その他記述に, 「高校の先生」 に類す る記述は見 ら れなかっ た。

    2 . 各尺度の因子分析二次元 レ ジ リ エ ンス要因尺度の因子分析

    二次元レ ジリ エ ンス要因尺度は 7 つの下位尺度から構成 さ れてい るが, 先行研究 (平野, 2010) に準 じ て, 7 因子解を仮定した探索的因子分析 (最尤法, プロマ ッ クス回転) を行っ た結果, 本来の 7 下位尺度に相当す る因子は抽出 さ れなかっ た。 次に, 固有値 1 以上の探索的因子分析 (最尤法, プロ マ ッ ク ス回転) を行い, 因子負荷量が.40に満たない項目 を除外 し て再度因子分析 (最尤法, プロ マ ッ ク ス回転) を行っ た結果, 5 因子解が抽出さ れた (Table t) 。 第 1 因子の 「努力するこ と を大事にす る方だ」 な どを , 日標や意欲を持ち実行でき る力 と して 「行動力」 , 第 2 因子の 「自分から人と 親し く なること が得意だ」 な どを , 見知 らぬ他者に対す る不安や恐怖が少な く , 他者と の関わり を好む力 と し て 「社交性」 , 第 3 因子の 「 たと え自信がないこ と で も , 結果的に何とかな る と 思う」 な どを , 将来に対 し て不安 を持たず, 肯定的な期待 をも っ て行動でき る力 と し て 「楽観性」 , 第

  • の 「授業の内容が楽 しいから」 な どを , 何かに対する興味 を満足 させる ため, も し く は達成感 を得 る ために自己目的的に行動を し ている状態の 「内的調整」 , 第 3 因子の 「自分のためにな る と 思う から」 な どを , 活動への価値を認め自分のものと し て受け入れてい る状態の 「同一

    化的調整」 , 第 4 因子の 「学生なので , 勉強す るこ と があたり まえ だから」 な どを , 自己価値の維持や恥の感覚の回避な ど外部の評価や義務感が伴う 「取り 入れ的調整」

    と命名した。

    尺度の内的整合性 を検討す る ために , Cronbach の α係数 を算出 し た。 尺度全体の α係数は α= .63 と 低い値であっ た。 尺度全体と し ては分析に用いない。 下位尺度

    の 「外的調整」 「取り入れ的調整」 「同一化的調整」 「内

    的調整」 の α係数は , そ れぞれα= .77, .59, .70, .76であ っ た。 「取り 入れ的調整」 の値は α= .59 と低い値であるが, 安藤 (2005) と同 じ値であるので, こ のまま分析に用い るこ と と し た。

    下位尺度の各項目の得点の合計平均点をそれぞれ 「外

    的調整」 「取り入れ的調整」 「同一化的調整」 「内的調整」

    得点と し , 「外的調整」 と 「取入れ的調整」 の合計点を「統制的動機づけ」 , 「同一化的調整」 と 「内的調整」 の合計点を 「自律的動機づけ」 の得点と して扱う事と した。

    こ の得点化の方法は動機づけの上位概念を捉え る指標と

    し て多 く の研究で用い ら れてい る ものである (西村 ・ 櫻

    井, 2013)。自己決定感尺度の因子分析

    先行研究 (櫻井, 1993) と同様の因子構造を示すかどう か, 先行研究と同 じ 1 因子解を仮定した探索的因子分析 (最尤法, プロ マ ッ ク ス回転) を行い, 因子負荷量の低い 4 項目を除外 し て繰り 返し因子分析を行っ た結果,

    Tab l e 2 学習動機づけ尺度の因子分析結果(最尤法 ・ プロ マ ッ ク ス回転) と平均値 ・ 標準偏差

    NO. 項目 Fl F2 Fi F h2 M SD

    1316

    14

    55 11

    8

    1215

    8

    基基

    基 18

    26

    5

    06 80 70 04 54 32 24 .40 26

    .73

    .61

    04 80 07 74 00 61

    00 .63 14 .63

    -21 .6217 .58 要

    182

    4

    ( =.77) 35 他人に勉強しろと言われるから。31 勉強しないと親がうるさいから。29 勉強しないと教師にしかられるから。

    ( al=.76) 25 授業の内容が楽しいから。26 勉強することが楽しいから。23 新しい知識 iるのが楽しいから。

    ( a=.70) 28 自分のためになると思うから。24 勉強内容が将来役に立つと思うから。 32 希望する職業に必要だから。30 勉強するべき大切 内容だと思うから。

    ( =.59)34 学生 ので,勉強するのが たりまえだから。 22 勉強しないと不安だから。33 良い成績納りたいから。

    15.57 9.44 6.83 3198 4142 4825

    16 41

    寄与率

    累積寄与率/V:213 a=63

    29 -

    3514

    511

    3

    rl:

    一一一一一-

    因子間相関

    学校教育学研究, 2015, 第27巻

    Tab l e 1 二次元 レジリ エ ンス要因尺度の因子分析結果(最尤法 ・ プロ マ ッ ク ス回転) と平均値 ・ 標準偏差

    34

    Fl Fl F F h2 M SD 日

    9796

    95 94

    96

    88 92

    07

    97 97

    04

    0402

    =33

    24 65

    07

    07 06

    39

    72 53

    2230

    42

    7464

    46 37

    06

    0609

    14

    -.01 .7705 67 -06 62

    -.07 .6407 60 03 65

    0214

    02 21

    90 02 75 -09 69 -01 54 10

    -09 .93 0508 76 01 04 .73 -03

    -01 .8302 .77 04 .73

    04 83 36 -03 .B7 6402 47 44

    0501

    07

    06 06

    13

    0001

    01

    ( a'二.81)6 自分lまリ強い人間1_と思,)7 つらい:とも我程きる方f:'。8 决ナ::と観後までやりとおす・とができる。5 券力する:とt大事にする方f 。

    (a'=85)2 自分力、ら人と規しく る:とが得意f_。4 交友開保が

  • 1 因子 4 項目が抽出さ れた (Table 3)。 尺度全体のα係数は α= .74であ っ た。 次に行 っ た固有値 1 以上の探索的因子分析 (最尤法, プロマ ッ クス回転) では 3 因子解と な っ たが, 2 項目のみの因子が 2 因子抽出 さ れたこ とと因子の解釈可能性を考慮 し て, こ こ では 1 因子解を採用し, 1 因子4 項目の得点の合計平均点を 「自己決定感」得点と し て分析に用いるこ と と し た。

    Tab l e 3 自己決定感尺度の因子分析結果(最尤法 ・ プロ マ ッ ク ス回転) と平均値 ・ 標準偏差

    No 項目 Fl h2 M SD

    38 自分の思いと'おりに行動している。40 何かやりたいときには、他人に頼らず自分の半1断で決めている。 42 他人の考えにこだわらず、自分の考えと'おりにしている。36 自分の生き方は自分で決めている。

    7667.6353

    57 4.01 .95 45 4.00 .94 40 3.68 1.04 28 4.37 1.05

    自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス

    Tab l e 5 学生用 ソ ーシャル ・ サポー ト尺度の因子分析(最尤法 ・ プロ マ ッ ク ス回転) と平均値 ・ 標準偏差

    35

    目 fl f2 h2 M SD

  • 36 学校教育学研究, 2015, 第27巻

    Table 7 各尺度得点における学年差 ・ 性差の検討のための二元配置分散分析の結果

    Tab l e 9 ソ ーシ ャル ・ サポー トの高低 2 群によ る各尺度得点の平均値 ・ 標準偏差と t 検定の結果

    1年(IV=109) 2年(/V=104)男子(/V=64)女子(IV=45) 男子(IV=38)女子(/V=66) 学年差 性差交直作用

    R度 -M SD M SD F値 F値 F値レンリエンス自律的動機つ°け自ii决定感有能感ンーシヤル・サホ1一ト 13.12 2.2113.41 2.086.33 1.29 6.34 1.54 4.02 .71 3.89 .75 3.05 .82 2.86 .77 13.422.3313.20 2.136.501.23 6.481.06 4.29 .81 3.93 .70 3.20 1.06 2.93 .74 25 158 5.45 2.78 7.47 1.93 6.06 2.24 7.23 1.33 .39 0100510653 25 01014 2.00 SS高群 ( IV=107) SS低群 (N:106)尺度 M SD M SD t値レジリエンス自律的動機づけ自己決定感有能感/V=21 3 13.756.54 4.02 3.08 2.28 1.26.73 .81 12.756.28 4.01 2.92 4 666 9 278 3.45**1 .53.07 1 .46 "p

  • 自律的動機づけ と レ ジリ エ ンス

    Tab le 10 ソ ーシ ャル ・ サポ ー ト源別の各尺度得点(SS除 く ) における一元配置分散分析の結果

    37

    家法(IV=102) 友人(IV=90) いい(/V=16)- - - 多重比R度 M SD M SD M SD F'値レンリエンス 13.42 1.98 自律的動機づけ 6.53 1.26 自説定感 4.04 .72 有能感 3.18 .83

    13.29 2.22 11.92 2.86 3.37' 家法>いい6.34 1.22 6.42 1.28 1.003.99 .73 4.00 1.02 .112.88 .73 2.55 1.23 5.84 家法>友人,家法>いい

    IV二213 df=2/205 'p

  • 38 学校教育学研究, 2015, 第27巻

    ながる取り 組みと し て , ラ イ フ スキル教育やス ト レスマネ ジメ ン ト 教育 と い っ た取り 組みが考え ら れてい る (針間, 2012 ; 原 ・ 都築, 2013)。 しかし , こ れらのプロ グラムは, 主に通常の授業 と は別の教育活動 と し て行われてい る も のであ る。 本研究の結果から は, レ ジリ エ ンスに対 し て, 自己決定感, 有能感, ソ ーシ ャル ・ サポー ト がそれぞれ直接的およ び間接的に影響 を与え るこ と が示 さ

    れ, レ ジリ エ ンス を酒養す る ためのア プロ ーチ と し て ,

    自己決定理論の有用性が示唆さ れた。 こ れにより , 教員が自己決定感, 有能感, ソ ーシ ャル ・ サポー ト に配慮 した生徒への関わり方を常時活動と して意識的に行い, 様々な活動に関わり 支援するこ と で, 通常の学習活動や学校行事の指導 を通 し て , 生徒のレ ジリ エ ンスの、i画養を図るこ と が可能であ ると 推察 さ れる。

    今後の課題と し て, 本研究の限界と問題点について 2 点述べる。 第 1 に, 本研究が高校生を対象にし , 調査校が 1 校であっ た点である。 本研究の結果には, 調査校の特徴のみが反映 さ れたサ ン プリ ン グバイ アスの懸念 も あ

    り , 結果の一般化には, 複数の調査校, 校種の研究結果を検討す る必要がある。 第 2 に, レ ジリ エ ンスの涵養に向けた具体的な介入方法の検討である。 本研究は, レ ジリ エ ンス と自己決定感, 有能感, ソ ーシ ャル ・ サポー トおよ び自律的動機づけ と の関連について, 包括的な影響と プロ セス を明 ら かに し た も のであ る。 こ れを踏まえ , 今後は, 生徒のレ ジリ エ ンスの涵養に向け た, 自己決定理論を援用 し た具体的な支援プロ グラ ムを実証的に検討

    す る必要があ る と考え ら れる。

    本研究結果は, 自己決定感, 有能感, ソ ーシ ャル ・ サポー ト を通 し た ア プロ ーチがレ ジリ エ ンス を涵養す る可

    能性 を示 し た も ので あ っ た。 具体的 な支援 プロ グラ ムや

    問題が顕在化 し た生徒への介入方法については検討が必

    要であ る も のの, 少な く と も , 学校不適応や不登校の一 次予防に向けた集団への教育的アプロ ーチと して, 有用である と 考え ら れる。

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    39