重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快)...

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1 重篤症例の概要 (症例1)アナフィラキシーショック(回復) 30代 女性 既往歴 :さばアレルギー :接種 15 分後、全身痒み、咳、めまいが出現。25 分後 咳、呼吸困難、血圧低下 90/70、悪寒あり。エピネフリン、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、 アミノフィリン水和物、酸素投与を施行。血圧 90/70、呼吸改善。 2 時間 30 分後、 維持液開始。2 時間 50 分後、咳、のどの痒みが再び出現。ヒドロコルチゾンコ ハク酸エステルナトリウム、アミノフィリン水和物、プレドニゾロンを施行。 5 間後、咳なし、喘鳴なしにて帰宅。ワクチン接種 1 日後、悪寒、震え、全身痒み、 咳が出現。発熱なし。デキサメタゾン、プレドニゾロンを施行。ワクチン接種 2 後、背部痛、胃痛、咳、痒みが出現し、他院へ入院。アナフィラキシー後、アレ ルギー症状継続(食事摂取にて、咳、全身の痒み)。ワクチン接種 8 日後、退院 にて、プレドニゾロン処方。ワクチン接種 11 日後、肉を食した後、痒み、咳出 現したため、プレドニゾロン増量処方。ワクチン接種 24 日後、プレドニゾロン 服用にて症状発現なし。 因果関係:否定できない (症例2)アナフィラキシーショック(回復) 30代 女性 既往歴 :慢性膵炎 :ワクチン接種 10 分後、動悸、少し息が苦しい感じが出現するも授乳用のミルク を調乳していた。ワクチン接種 15 分後、息苦しさが強く、苦しさを訴え、顔面 と両腕の発赤を指摘されたため臥床。血圧 135/86mmHg 上昇、頻脈 72/分。両手 先のしびれあり、血管確保の上、ヒドロコルチゾン、マルトース加乳酸リンゲル 液、ビタミン C、グルタチオンを投与。ワクチン接種 35 分後、息苦しさは少し 改善されるも、発作的に息がつまる様な感じと手先のしびれを繰り返す。ワクチ ン接種 65 分後、めまいがあり介助してもらい歩行。血圧 120mmHg 台、脈拍 120 130/分。ワクチン接種 2 時間 45 分後、歩行可能、めまい感消失にて点滴終了 し、帰宅。 因果関係:否定できない (症例3)吐気(軽快) 資料1-4

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Page 1: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

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重篤症例の概要

(症例1)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 さばアレルギー

経 過 接種 15 分後全身痒み咳めまいが出現25 分後 咳呼吸困難血圧低下

9070悪寒ありエピネフリンヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

アミノフィリン水和物酸素投与を施行血圧 9070呼吸改善2 時間 30 分後

維持液開始2 時間 50 分後咳のどの痒みが再び出現ヒドロコルチゾンコ

ハク酸エステルナトリウムアミノフィリン水和物プレドニゾロンを施行5 時

間後咳なし喘鳴なしにて帰宅ワクチン接種 1 日後悪寒震え全身痒み

咳が出現発熱なしデキサメタゾンプレドニゾロンを施行ワクチン接種 2 日

後背部痛胃痛咳痒みが出現し他院へ入院アナフィラキシー後アレ

ルギー症状継続(食事摂取にて咳全身の痒み)ワクチン接種 8 日後退院

にてプレドニゾロン処方ワクチン接種 11 日後肉を食した後痒み咳出

現したためプレドニゾロン増量処方ワクチン接種 24 日後プレドニゾロン

服用にて症状発現なし

因果関係 否定できない

(症例2)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 慢性膵炎

経 過 ワクチン接種 10 分後動悸少し息が苦しい感じが出現するも授乳用のミルク

を調乳していたワクチン接種 15 分後息苦しさが強く苦しさを訴え顔面

と両腕の発赤を指摘されたため臥床血圧 13586mmHg 上昇頻脈 72分両手

先のしびれあり血管確保の上ヒドロコルチゾンマルトース加乳酸リンゲル

液ビタミン Cグルタチオンを投与ワクチン接種 35 分後息苦しさは少し

改善されるも発作的に息がつまる様な感じと手先のしびれを繰り返すワクチ

ン接種 65 分後めまいがあり介助してもらい歩行血圧 120mmHg 台脈拍 120

~130分ワクチン接種 2 時間 45 分後歩行可能めまい感消失にて点滴終了

し帰宅

因果関係 否定できない

(症例3)吐気(軽快)

資料1-4

2

20代 女性

既 往 歴 アセチルサリチル酸ダイアルミネートで薬疹

経 過 ワクチン接種直後より吐気出現吐気強く立位困難のため側臥位にて安静にし

経過観察バイタルサイン正常めまいなし呼吸障害なし意識あり移動に

伴い吐気増強その後移動可能となり帰宅ワクチン接種 1 日後吐気はや

や改善ワクチン接種 2 日後吐気は少し残存

因果関係 否定できない

(症例4)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 蕁麻疹虫垂炎子宮外妊娠骨関節炎

経 過 ワクチン接種 30 分後痒み出現ワクチン接種 1 時間後痒み増強上半身の

皮疹が出現ワクチン接種 2 時間 30 分後全身の蕁麻疹強い痒みにて皮膚科

受診デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムヒドロキシジンを施行ワク

チン接種 3 時間後蕁麻疹軽快呼吸苦出現ワクチン接種 3 時間 30 分後全

身の蕁麻疹軽度の呼吸苦咳にて皮膚科入院ワクチン接種 6 時間 30 分後

蕁麻疹軽快咳軽減呼吸苦少しあり全身のほてりありワクチン接種 1 日後

蕁麻疹少しあり呼吸苦少しあり咳ありその後皮疹消失呼吸苦なし咳

あり退院

因果関係 否定できない

(症例5)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 ペンタゾシンブチルスコポラミン臭化物インドメタシンナトリウムで発疹

ショック症状呼吸苦高脂血症一過性脳虚血発作

経 過 ワクチン接種 30 分後全身そう痒間発疹アナフィラキシーが出現ワクチ

ン接種 1 時間後急患室受診生理食塩水にて静脈確保しデキサメタゾンリ

ン酸エステルナトリウムヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムを施行

その後皮膚症状改善し自宅安静を指示ワクチン接種 1 日後眩暈立ち

くらみ頭痛が出現血圧安定しているが状態不安定にて入院顔面浮腫白

血球増多 11950cellsμL核左方移動ワクチン接種 2 日後顔面浮腫残存状

態安定したため退院ワクチン接種 5 日後腹痛下痢消化管症状が出現

ワクチン接種 9 日後下痢止まらず他院受診し点滴施行ワクチン接種 13 日

後アナフィラキシー回復腹痛下痢軽快

因果関係 否定できない

(症例6)39以上の発熱(回復)

3

20代 女性

既 往 歴 アモキシシリンコーヒーチョコレートで蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種より 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種後一過性に吐気が生じたが自然消失翌日吐気関節痛37の発熱

がありアセトアミノフェンメトクロプラミドの内服薬処方接種 2 日後悪

寒戦慄が生じ402まで発熱白血球 7100mm3(好中球 91)CRP272mgdL

尿(潜血(2+)蛋白(1+)白血球(plusmn))補液とアセトアミノフェンのみで

3 日後に 3784 日後に 362に解熱し症状消失なおインフルエンザ

簡易検査で A(-)B(-)血液培養陰性尿培養は少量のグラム陽性球菌のみのた

め尿路感染症は否定的

因果関係 否定できない

(症例7)発熱発疹肝機能異常(軽快)

30代 女性

既 往 歴 精神科通院中(バルプロ酸ナトリウムクロミプラミン塩酸塩ミアンセリン塩

酸塩ゾルピデム酒石酸塩服用中二回の入院歴有り)

経 過 ワクチン接種 6 日前に 38の発熱頭痛鼻水痰あり受診しクラリスロマ

イシンカルボシステインロラタジンの処方を受ける鼻水咳痰軽度体

温 358ある状態でワクチン接種ワクチン接種約 2 時間後より後頸部から

頭にかけて痛みがあり次第に悪化体温 382~39翌日医療機関を受診

しクリンダマイシン点滴クラリスロマイシン経口投与解熱剤鎮痙剤の処

方受けるその 2 日後医療機関を受診し検査にて GOT 653 IULGPT 291 IUL

にて入院

因果関係 否定できない

(症例8)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後咽喉頭浮腫眼瞼浮腫が出現し抗ヒスタミン薬グリチルリ

チングリシンL-システイン塩酸塩の静脈注射にて軽快

因果関係 否定できない

(症例9)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種約 30 分後悪心嘔吐 2 回顔面紅潮手指冷感血圧低下 80-mmHg

呼吸苦出現医療機関を受診しSpO2 93にてアナフィラキシーとの診断であ

った点滴加療を行うも症状継続にて入院CK 上昇 198IUL顔面紅潮浮腫

呼吸困難に対し補液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムを投与

その後血圧回復 12966mmHg蕁麻疹なしワクチン接種翌日症状改善にて

退院

因果関係 否定できない

(症例10)動悸(回復)

40代 女性

4

既 往 歴 無

経 過 季節性インフルエンザワクチン同時接種ワクチン接種約 2 時間後より動悸

頭痛発熱(最高 380)咽頭痛両季肋部を中心とした全身痛が出現し徐々

に悪化動悸は推定脈拍 100~120分程度アセトアミノフェンを服用したが

動悸は継続安定剤を内服して入眠翌朝には動悸回復その他の症状は徐々に

改善ワクチン接種より 6 日目には完全に回復

因果関係 否定できない

(症例11)両上眼瞼発赤腫脹両下肢しびれ(回復)

20代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後より両上眼瞼発赤腫脹が出現両下肢しびれ感も発現

脱力様症状で体位保持困難となり臥床両頬部まで発赤腫脹感波及あり血

圧 16896mmHgワクチン接種 1 時間後にヒドロコルチゾンを投与するも症状

変わらず入院血圧 13480mmHgメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナト

リウム点滴ワクチン接種 5 時間後症状軽快ワクチン接種翌日症状回復し

退院

因果関係 否定できない

(症例12)下痢関節痛倦怠感頭痛(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 5 時間後より腹痛下痢ワクチン接種 8 時間後には関節痛と倦怠感出現

翌日下痢回復頭痛出現接種 2 日後関節痛と倦怠感は消失するも頭痛は継

続接種 3 日後頭痛は軽くなったがまだ継続

因果関係 否定できない

(症例13)上腹部痛下痢倦怠感(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン

接種 15 時間後より上腹部痛と倦怠感出現ワクチン接種 25 時間後には下痢

この後上腹部痛は軽減傾向にあるも倦怠感とともに投与 3 日後まで継続倦

怠感は 4 日後も継続

因果関係 否定できない

(症例14)しびれ(両手~両肘下)(回復)

40代 女性

既 往 歴 高血圧高コレステロール血症

経 過 ワクチン接種約 10 分後両手のしびれ(両手から両肘下まで拡大)動悸あり

翌朝には症状消失

因果関係 否定できない

(症例15)39以上の高熱(軽快)

5

10代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 時間後発熱咽頭痛上肢と下肢のしびれ出現頭痛めま

い呼吸苦あり

因果関係 否定できない

(症例16)39以上の発熱インフルエンザA型(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過ワクチン接種2 日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3 日後

朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温上昇

徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検査にて

A型陽性ワクチン接種2日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3

日後朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温

上昇徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検

査にてA型陽性

因果関係 否定できない

(症例17)アナフィラキシー様反応(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 8 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種 30 分後めまい前胸部圧迫感出現経時的に増強し悪寒振戦四肢

のしびれ出現増悪を認めた末梢ルートを確保後ヒドロキシジン塩酸塩筋注

ヒドロコルチゾンコハク酸エステル静注にて軽快傾向

因果関係 否定できない

(症例18)アナフィラキシー反応(回復)

20代 女性

既 往 歴 クローン病(プレドニゾロン 15mg日 服用)

経 過 ワクチン接種翌朝出勤途中で気分不良あり出勤後に呼吸障害意識レベル低

下に至った動脈血液ガス分析ではpH 741pCO2 52torrpO2 72torr血球計

数では異常なく血液生化学では低カリウム血症 33 mEqL を認めた酸素吸

入及び静脈ライン確保更に副腎皮質ステロイドホルモンを投与し約 12 時間

で回復

因果関係否定できない

(症例19)顔面感覚鈍麻(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 15 分後嘔気嘔吐左頬のぴり

ぴりとした痛み及びけいれん様収縮神経障害が出現ワクチン接種 20 分後

ブドウ糖加酢酸リンゲル液輸液開始左頬表情筋痙攣用収縮が出現ワクチン接

種 2 時間後入院その後嘔気軽減左頬表情筋収縮頻度は軽減ワクチン接

種翌日嘔気左頬表情筋収縮は消失軽度心窩部不快感左頬部知覚鈍麻味

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 2: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

2

20代 女性

既 往 歴 アセチルサリチル酸ダイアルミネートで薬疹

経 過 ワクチン接種直後より吐気出現吐気強く立位困難のため側臥位にて安静にし

経過観察バイタルサイン正常めまいなし呼吸障害なし意識あり移動に

伴い吐気増強その後移動可能となり帰宅ワクチン接種 1 日後吐気はや

や改善ワクチン接種 2 日後吐気は少し残存

因果関係 否定できない

(症例4)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 蕁麻疹虫垂炎子宮外妊娠骨関節炎

経 過 ワクチン接種 30 分後痒み出現ワクチン接種 1 時間後痒み増強上半身の

皮疹が出現ワクチン接種 2 時間 30 分後全身の蕁麻疹強い痒みにて皮膚科

受診デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムヒドロキシジンを施行ワク

チン接種 3 時間後蕁麻疹軽快呼吸苦出現ワクチン接種 3 時間 30 分後全

身の蕁麻疹軽度の呼吸苦咳にて皮膚科入院ワクチン接種 6 時間 30 分後

蕁麻疹軽快咳軽減呼吸苦少しあり全身のほてりありワクチン接種 1 日後

蕁麻疹少しあり呼吸苦少しあり咳ありその後皮疹消失呼吸苦なし咳

あり退院

因果関係 否定できない

(症例5)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 ペンタゾシンブチルスコポラミン臭化物インドメタシンナトリウムで発疹

ショック症状呼吸苦高脂血症一過性脳虚血発作

経 過 ワクチン接種 30 分後全身そう痒間発疹アナフィラキシーが出現ワクチ

ン接種 1 時間後急患室受診生理食塩水にて静脈確保しデキサメタゾンリ

ン酸エステルナトリウムヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムを施行

その後皮膚症状改善し自宅安静を指示ワクチン接種 1 日後眩暈立ち

くらみ頭痛が出現血圧安定しているが状態不安定にて入院顔面浮腫白

血球増多 11950cellsμL核左方移動ワクチン接種 2 日後顔面浮腫残存状

態安定したため退院ワクチン接種 5 日後腹痛下痢消化管症状が出現

ワクチン接種 9 日後下痢止まらず他院受診し点滴施行ワクチン接種 13 日

後アナフィラキシー回復腹痛下痢軽快

因果関係 否定できない

(症例6)39以上の発熱(回復)

3

20代 女性

既 往 歴 アモキシシリンコーヒーチョコレートで蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種より 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種後一過性に吐気が生じたが自然消失翌日吐気関節痛37の発熱

がありアセトアミノフェンメトクロプラミドの内服薬処方接種 2 日後悪

寒戦慄が生じ402まで発熱白血球 7100mm3(好中球 91)CRP272mgdL

尿(潜血(2+)蛋白(1+)白血球(plusmn))補液とアセトアミノフェンのみで

3 日後に 3784 日後に 362に解熱し症状消失なおインフルエンザ

簡易検査で A(-)B(-)血液培養陰性尿培養は少量のグラム陽性球菌のみのた

め尿路感染症は否定的

因果関係 否定できない

(症例7)発熱発疹肝機能異常(軽快)

30代 女性

既 往 歴 精神科通院中(バルプロ酸ナトリウムクロミプラミン塩酸塩ミアンセリン塩

酸塩ゾルピデム酒石酸塩服用中二回の入院歴有り)

経 過 ワクチン接種 6 日前に 38の発熱頭痛鼻水痰あり受診しクラリスロマ

イシンカルボシステインロラタジンの処方を受ける鼻水咳痰軽度体

温 358ある状態でワクチン接種ワクチン接種約 2 時間後より後頸部から

頭にかけて痛みがあり次第に悪化体温 382~39翌日医療機関を受診

しクリンダマイシン点滴クラリスロマイシン経口投与解熱剤鎮痙剤の処

方受けるその 2 日後医療機関を受診し検査にて GOT 653 IULGPT 291 IUL

にて入院

因果関係 否定できない

(症例8)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後咽喉頭浮腫眼瞼浮腫が出現し抗ヒスタミン薬グリチルリ

チングリシンL-システイン塩酸塩の静脈注射にて軽快

因果関係 否定できない

(症例9)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種約 30 分後悪心嘔吐 2 回顔面紅潮手指冷感血圧低下 80-mmHg

呼吸苦出現医療機関を受診しSpO2 93にてアナフィラキシーとの診断であ

った点滴加療を行うも症状継続にて入院CK 上昇 198IUL顔面紅潮浮腫

呼吸困難に対し補液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムを投与

その後血圧回復 12966mmHg蕁麻疹なしワクチン接種翌日症状改善にて

退院

因果関係 否定できない

(症例10)動悸(回復)

40代 女性

4

既 往 歴 無

経 過 季節性インフルエンザワクチン同時接種ワクチン接種約 2 時間後より動悸

頭痛発熱(最高 380)咽頭痛両季肋部を中心とした全身痛が出現し徐々

に悪化動悸は推定脈拍 100~120分程度アセトアミノフェンを服用したが

動悸は継続安定剤を内服して入眠翌朝には動悸回復その他の症状は徐々に

改善ワクチン接種より 6 日目には完全に回復

因果関係 否定できない

(症例11)両上眼瞼発赤腫脹両下肢しびれ(回復)

20代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後より両上眼瞼発赤腫脹が出現両下肢しびれ感も発現

脱力様症状で体位保持困難となり臥床両頬部まで発赤腫脹感波及あり血

圧 16896mmHgワクチン接種 1 時間後にヒドロコルチゾンを投与するも症状

変わらず入院血圧 13480mmHgメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナト

リウム点滴ワクチン接種 5 時間後症状軽快ワクチン接種翌日症状回復し

退院

因果関係 否定できない

(症例12)下痢関節痛倦怠感頭痛(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 5 時間後より腹痛下痢ワクチン接種 8 時間後には関節痛と倦怠感出現

翌日下痢回復頭痛出現接種 2 日後関節痛と倦怠感は消失するも頭痛は継

続接種 3 日後頭痛は軽くなったがまだ継続

因果関係 否定できない

(症例13)上腹部痛下痢倦怠感(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン

接種 15 時間後より上腹部痛と倦怠感出現ワクチン接種 25 時間後には下痢

この後上腹部痛は軽減傾向にあるも倦怠感とともに投与 3 日後まで継続倦

怠感は 4 日後も継続

因果関係 否定できない

(症例14)しびれ(両手~両肘下)(回復)

40代 女性

既 往 歴 高血圧高コレステロール血症

経 過 ワクチン接種約 10 分後両手のしびれ(両手から両肘下まで拡大)動悸あり

翌朝には症状消失

因果関係 否定できない

(症例15)39以上の高熱(軽快)

5

10代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 時間後発熱咽頭痛上肢と下肢のしびれ出現頭痛めま

い呼吸苦あり

因果関係 否定できない

(症例16)39以上の発熱インフルエンザA型(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過ワクチン接種2 日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3 日後

朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温上昇

徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検査にて

A型陽性ワクチン接種2日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3

日後朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温

上昇徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検

査にてA型陽性

因果関係 否定できない

(症例17)アナフィラキシー様反応(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 8 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種 30 分後めまい前胸部圧迫感出現経時的に増強し悪寒振戦四肢

のしびれ出現増悪を認めた末梢ルートを確保後ヒドロキシジン塩酸塩筋注

ヒドロコルチゾンコハク酸エステル静注にて軽快傾向

因果関係 否定できない

(症例18)アナフィラキシー反応(回復)

20代 女性

既 往 歴 クローン病(プレドニゾロン 15mg日 服用)

経 過 ワクチン接種翌朝出勤途中で気分不良あり出勤後に呼吸障害意識レベル低

下に至った動脈血液ガス分析ではpH 741pCO2 52torrpO2 72torr血球計

数では異常なく血液生化学では低カリウム血症 33 mEqL を認めた酸素吸

入及び静脈ライン確保更に副腎皮質ステロイドホルモンを投与し約 12 時間

で回復

因果関係否定できない

(症例19)顔面感覚鈍麻(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 15 分後嘔気嘔吐左頬のぴり

ぴりとした痛み及びけいれん様収縮神経障害が出現ワクチン接種 20 分後

ブドウ糖加酢酸リンゲル液輸液開始左頬表情筋痙攣用収縮が出現ワクチン接

種 2 時間後入院その後嘔気軽減左頬表情筋収縮頻度は軽減ワクチン接

種翌日嘔気左頬表情筋収縮は消失軽度心窩部不快感左頬部知覚鈍麻味

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 3: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

3

20代 女性

既 往 歴 アモキシシリンコーヒーチョコレートで蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種より 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種後一過性に吐気が生じたが自然消失翌日吐気関節痛37の発熱

がありアセトアミノフェンメトクロプラミドの内服薬処方接種 2 日後悪

寒戦慄が生じ402まで発熱白血球 7100mm3(好中球 91)CRP272mgdL

尿(潜血(2+)蛋白(1+)白血球(plusmn))補液とアセトアミノフェンのみで

3 日後に 3784 日後に 362に解熱し症状消失なおインフルエンザ

簡易検査で A(-)B(-)血液培養陰性尿培養は少量のグラム陽性球菌のみのた

め尿路感染症は否定的

因果関係 否定できない

(症例7)発熱発疹肝機能異常(軽快)

30代 女性

既 往 歴 精神科通院中(バルプロ酸ナトリウムクロミプラミン塩酸塩ミアンセリン塩

酸塩ゾルピデム酒石酸塩服用中二回の入院歴有り)

経 過 ワクチン接種 6 日前に 38の発熱頭痛鼻水痰あり受診しクラリスロマ

イシンカルボシステインロラタジンの処方を受ける鼻水咳痰軽度体

温 358ある状態でワクチン接種ワクチン接種約 2 時間後より後頸部から

頭にかけて痛みがあり次第に悪化体温 382~39翌日医療機関を受診

しクリンダマイシン点滴クラリスロマイシン経口投与解熱剤鎮痙剤の処

方受けるその 2 日後医療機関を受診し検査にて GOT 653 IULGPT 291 IUL

にて入院

因果関係 否定できない

(症例8)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後咽喉頭浮腫眼瞼浮腫が出現し抗ヒスタミン薬グリチルリ

チングリシンL-システイン塩酸塩の静脈注射にて軽快

因果関係 否定できない

(症例9)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種約 30 分後悪心嘔吐 2 回顔面紅潮手指冷感血圧低下 80-mmHg

呼吸苦出現医療機関を受診しSpO2 93にてアナフィラキシーとの診断であ

った点滴加療を行うも症状継続にて入院CK 上昇 198IUL顔面紅潮浮腫

呼吸困難に対し補液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムを投与

その後血圧回復 12966mmHg蕁麻疹なしワクチン接種翌日症状改善にて

退院

因果関係 否定できない

(症例10)動悸(回復)

40代 女性

4

既 往 歴 無

経 過 季節性インフルエンザワクチン同時接種ワクチン接種約 2 時間後より動悸

頭痛発熱(最高 380)咽頭痛両季肋部を中心とした全身痛が出現し徐々

に悪化動悸は推定脈拍 100~120分程度アセトアミノフェンを服用したが

動悸は継続安定剤を内服して入眠翌朝には動悸回復その他の症状は徐々に

改善ワクチン接種より 6 日目には完全に回復

因果関係 否定できない

(症例11)両上眼瞼発赤腫脹両下肢しびれ(回復)

20代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後より両上眼瞼発赤腫脹が出現両下肢しびれ感も発現

脱力様症状で体位保持困難となり臥床両頬部まで発赤腫脹感波及あり血

圧 16896mmHgワクチン接種 1 時間後にヒドロコルチゾンを投与するも症状

変わらず入院血圧 13480mmHgメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナト

リウム点滴ワクチン接種 5 時間後症状軽快ワクチン接種翌日症状回復し

退院

因果関係 否定できない

(症例12)下痢関節痛倦怠感頭痛(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 5 時間後より腹痛下痢ワクチン接種 8 時間後には関節痛と倦怠感出現

翌日下痢回復頭痛出現接種 2 日後関節痛と倦怠感は消失するも頭痛は継

続接種 3 日後頭痛は軽くなったがまだ継続

因果関係 否定できない

(症例13)上腹部痛下痢倦怠感(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン

接種 15 時間後より上腹部痛と倦怠感出現ワクチン接種 25 時間後には下痢

この後上腹部痛は軽減傾向にあるも倦怠感とともに投与 3 日後まで継続倦

怠感は 4 日後も継続

因果関係 否定できない

(症例14)しびれ(両手~両肘下)(回復)

40代 女性

既 往 歴 高血圧高コレステロール血症

経 過 ワクチン接種約 10 分後両手のしびれ(両手から両肘下まで拡大)動悸あり

翌朝には症状消失

因果関係 否定できない

(症例15)39以上の高熱(軽快)

5

10代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 時間後発熱咽頭痛上肢と下肢のしびれ出現頭痛めま

い呼吸苦あり

因果関係 否定できない

(症例16)39以上の発熱インフルエンザA型(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過ワクチン接種2 日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3 日後

朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温上昇

徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検査にて

A型陽性ワクチン接種2日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3

日後朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温

上昇徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検

査にてA型陽性

因果関係 否定できない

(症例17)アナフィラキシー様反応(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 8 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種 30 分後めまい前胸部圧迫感出現経時的に増強し悪寒振戦四肢

のしびれ出現増悪を認めた末梢ルートを確保後ヒドロキシジン塩酸塩筋注

ヒドロコルチゾンコハク酸エステル静注にて軽快傾向

因果関係 否定できない

(症例18)アナフィラキシー反応(回復)

20代 女性

既 往 歴 クローン病(プレドニゾロン 15mg日 服用)

経 過 ワクチン接種翌朝出勤途中で気分不良あり出勤後に呼吸障害意識レベル低

下に至った動脈血液ガス分析ではpH 741pCO2 52torrpO2 72torr血球計

数では異常なく血液生化学では低カリウム血症 33 mEqL を認めた酸素吸

入及び静脈ライン確保更に副腎皮質ステロイドホルモンを投与し約 12 時間

で回復

因果関係否定できない

(症例19)顔面感覚鈍麻(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 15 分後嘔気嘔吐左頬のぴり

ぴりとした痛み及びけいれん様収縮神経障害が出現ワクチン接種 20 分後

ブドウ糖加酢酸リンゲル液輸液開始左頬表情筋痙攣用収縮が出現ワクチン接

種 2 時間後入院その後嘔気軽減左頬表情筋収縮頻度は軽減ワクチン接

種翌日嘔気左頬表情筋収縮は消失軽度心窩部不快感左頬部知覚鈍麻味

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

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冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

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土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

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因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

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(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

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既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 4: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

4

既 往 歴 無

経 過 季節性インフルエンザワクチン同時接種ワクチン接種約 2 時間後より動悸

頭痛発熱(最高 380)咽頭痛両季肋部を中心とした全身痛が出現し徐々

に悪化動悸は推定脈拍 100~120分程度アセトアミノフェンを服用したが

動悸は継続安定剤を内服して入眠翌朝には動悸回復その他の症状は徐々に

改善ワクチン接種より 6 日目には完全に回復

因果関係 否定できない

(症例11)両上眼瞼発赤腫脹両下肢しびれ(回復)

20代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後より両上眼瞼発赤腫脹が出現両下肢しびれ感も発現

脱力様症状で体位保持困難となり臥床両頬部まで発赤腫脹感波及あり血

圧 16896mmHgワクチン接種 1 時間後にヒドロコルチゾンを投与するも症状

変わらず入院血圧 13480mmHgメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナト

リウム点滴ワクチン接種 5 時間後症状軽快ワクチン接種翌日症状回復し

退院

因果関係 否定できない

(症例12)下痢関節痛倦怠感頭痛(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 5 時間後より腹痛下痢ワクチン接種 8 時間後には関節痛と倦怠感出現

翌日下痢回復頭痛出現接種 2 日後関節痛と倦怠感は消失するも頭痛は継

続接種 3 日後頭痛は軽くなったがまだ継続

因果関係 否定できない

(症例13)上腹部痛下痢倦怠感(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン

接種 15 時間後より上腹部痛と倦怠感出現ワクチン接種 25 時間後には下痢

この後上腹部痛は軽減傾向にあるも倦怠感とともに投与 3 日後まで継続倦

怠感は 4 日後も継続

因果関係 否定できない

(症例14)しびれ(両手~両肘下)(回復)

40代 女性

既 往 歴 高血圧高コレステロール血症

経 過 ワクチン接種約 10 分後両手のしびれ(両手から両肘下まで拡大)動悸あり

翌朝には症状消失

因果関係 否定できない

(症例15)39以上の高熱(軽快)

5

10代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 時間後発熱咽頭痛上肢と下肢のしびれ出現頭痛めま

い呼吸苦あり

因果関係 否定できない

(症例16)39以上の発熱インフルエンザA型(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過ワクチン接種2 日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3 日後

朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温上昇

徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検査にて

A型陽性ワクチン接種2日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3

日後朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温

上昇徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検

査にてA型陽性

因果関係 否定できない

(症例17)アナフィラキシー様反応(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 8 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種 30 分後めまい前胸部圧迫感出現経時的に増強し悪寒振戦四肢

のしびれ出現増悪を認めた末梢ルートを確保後ヒドロキシジン塩酸塩筋注

ヒドロコルチゾンコハク酸エステル静注にて軽快傾向

因果関係 否定できない

(症例18)アナフィラキシー反応(回復)

20代 女性

既 往 歴 クローン病(プレドニゾロン 15mg日 服用)

経 過 ワクチン接種翌朝出勤途中で気分不良あり出勤後に呼吸障害意識レベル低

下に至った動脈血液ガス分析ではpH 741pCO2 52torrpO2 72torr血球計

数では異常なく血液生化学では低カリウム血症 33 mEqL を認めた酸素吸

入及び静脈ライン確保更に副腎皮質ステロイドホルモンを投与し約 12 時間

で回復

因果関係否定できない

(症例19)顔面感覚鈍麻(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 15 分後嘔気嘔吐左頬のぴり

ぴりとした痛み及びけいれん様収縮神経障害が出現ワクチン接種 20 分後

ブドウ糖加酢酸リンゲル液輸液開始左頬表情筋痙攣用収縮が出現ワクチン接

種 2 時間後入院その後嘔気軽減左頬表情筋収縮頻度は軽減ワクチン接

種翌日嘔気左頬表情筋収縮は消失軽度心窩部不快感左頬部知覚鈍麻味

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

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経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 5: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

5

10代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 時間後発熱咽頭痛上肢と下肢のしびれ出現頭痛めま

い呼吸苦あり

因果関係 否定できない

(症例16)39以上の発熱インフルエンザA型(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過ワクチン接種2 日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3 日後

朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温上昇

徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検査にて

A型陽性ワクチン接種2日後昼頃から咳出現深夜発熱373ワクチン接種3

日後朝386の熱がありアセトアミノフェン内服昼過ぎには396まで体温

上昇徐々に関節痛が出現したため同日午後医療機関受診インフルエンザ検

査にてA型陽性

因果関係 否定できない

(症例17)アナフィラキシー様反応(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 8 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種 30 分後めまい前胸部圧迫感出現経時的に増強し悪寒振戦四肢

のしびれ出現増悪を認めた末梢ルートを確保後ヒドロキシジン塩酸塩筋注

ヒドロコルチゾンコハク酸エステル静注にて軽快傾向

因果関係 否定できない

(症例18)アナフィラキシー反応(回復)

20代 女性

既 往 歴 クローン病(プレドニゾロン 15mg日 服用)

経 過 ワクチン接種翌朝出勤途中で気分不良あり出勤後に呼吸障害意識レベル低

下に至った動脈血液ガス分析ではpH 741pCO2 52torrpO2 72torr血球計

数では異常なく血液生化学では低カリウム血症 33 mEqL を認めた酸素吸

入及び静脈ライン確保更に副腎皮質ステロイドホルモンを投与し約 12 時間

で回復

因果関係否定できない

(症例19)顔面感覚鈍麻(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 15 分後嘔気嘔吐左頬のぴり

ぴりとした痛み及びけいれん様収縮神経障害が出現ワクチン接種 20 分後

ブドウ糖加酢酸リンゲル液輸液開始左頬表情筋痙攣用収縮が出現ワクチン接

種 2 時間後入院その後嘔気軽減左頬表情筋収縮頻度は軽減ワクチン接

種翌日嘔気左頬表情筋収縮は消失軽度心窩部不快感左頬部知覚鈍麻味

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

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喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

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院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

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かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 6: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

6

覚異常(にがみ)ありワクチン接種 12 日後心窩部不快感左頬部知覚鈍麻

味覚異常は消失神経障害は回復

因果関係 否定できない

(症例20)咳頭痛関節痛息苦しさ喘息(軽快)

20代 女性

既 往 歴 感冒時発熱時に喘息出現

経 過 ワクチン接種後鼻汁咳頭痛関節痛息苦しさ出現ワクチン接種 2 日

後喘鳴出現ワクチン接種 3 日後医療機関受診体温 378脈拍 90-120

分血圧 13476 mmHg喘鳴継続ワクチンの副反応と診断され入院

因果関係 否定できない

(症例21)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 15 分後嗄声目の痒み戦慄出現し血圧 14884 mmHg脈拍

109分SpO2 98であり治療のため入院ラニチジンメチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウムを点滴投与しさらにクロルフェニラミンを静注に

て脈拍 98分S pO2 99胸部ラ音無しワクチン接種 45 分後目の痒みと

動悸は消失し嗄声も改善血圧 14090 mmHg脈拍 74分SpO2 99

因果関係 否定できない

(症例22)急性肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 薬剤アレルギー肝障害

経 過 クチン接種 3 日後まで熱感持続ワクチン接種 7 日後より心窩部鈍痛しその

後痛みが強まると共に嘔吐 386の発熱同日血液検査を実施し血中ビリ

ルビン 22mgdLZTT 127 UAST 1760 IUL ALT 1029 IULALP 675 IUL

γ-GTP 918 IULWBC 1100μLRBC 490μL血色素 149gdL血小板 219

times104μLヘモグロビン 439gdL

因果関係 否定できない

(症例23)高熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 大腸癌

経 過 ワクチン接種前体温 359ワクチン接種 7 時間後39の発熱が出現ワ

クチン接種翌日37台の発熱が継続のため入院しビタミン B 製剤アモキシ

シリンチアプロフェン酸メチルメチオニンスルホニウムクロライドを投与

ワクチン接種 4 日後解熱ワクチン接種 6 日後退院

因果関係 情報不足

(症例24)アナフィラキシーショック(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー性鼻炎

経 過 ワクチン接種 3 時間後より掻痒を伴う蕁麻疹様紅斑が出現し四肢から全身に

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

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既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 7: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

7

拡大次第に掻痒感が増悪するとともに血圧は 12070 から 9040 mmHg へ低

下さらに四肢末端チアノーゼも出現したため救急搬送

因果関係 否定できない

(症例25)アナフィラキシー様反応(軽快)

50代 女性

既 往 歴 クラリスロマイシン等抗菌剤等の薬剤アレルギーあり

経 過 ワクチン接種後アナフィラキシー様症状(眼瞼浮腫顔面紅潮咽頭圧迫感

悪心)が出現翌日軽快

因果関係 否定できない

(症例26)肝機能異常(回復)

40代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 4 日後全身倦怠感が出現ワク

チン接種 6 日後嘔気頭痛胃痛下痢倦怠感にて受診ワクチン接種 7 日

後嘔気頭痛胃痛が増強するとともに375の発熱にて受診AST 1067IUL

ALT511IULγ-GTP 416IUL総ビリルビン 11mgdL より急性肝炎と診断

肝庇護剤投与開始ワクチン接種 8 日後AST338IULALT 346IULγ-GTP

365IUL総ビリルビン 05mgdLワクチン接種 10 日後微熱嘔気頭痛胃

痛は軽快傾向ワクチン接種 18 日後肝機能異常回復

因果関係 否定できない

(症例27)血管迷走神経反射疑い(回復)

40代 女性

既 往 歴 機械性蕁麻疹

経 過 ワクチン接種 15 分後浮動性めまい動悸が出現し救急外来を受診ワクチ

ン接種 25 分後四肢冷感しびれが出現し酸素飽和度の低下を認めたステ

ロイド等の投与を行い症状は軽快したが経過観察目的にて入院となったワ

クチン接種翌日状態安定のため退院となった

因果関係 否定できない

(症例28)発熱食欲減退(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種翌日375の発熱食欲不振が出

現にてアセトアミノフェンを服用ワクチン接種 2 日後389の発熱にて入院

インドメタシン糖電解質アミノ酸液乳酸リンゲル液クーリングを施行

その後体温 395寒気にてインドメタシンを使用ワクチン接種 3 日後体

温 372にて乳酸リンゲル液を点滴その後体温 374腹部痛にてテプレノ

ンクーリングを施行ワクチン接種 4 日後体温 372にて退院

因果関係 否定できない

(症例29)左上腕の痛みとしびれ(軽快)

40代 女性

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

65

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

76

板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

97

委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

98

Page 8: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接

8

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後接種した左上腕のしびれ感冷感疼痛が出現その後辛み

や苦みが分かりにくい味覚異常が出現ワクチン接種 1 ヶ月後症状は軽減傾向

にあるが持続

因果関係 否定できない

(症例30)末梢神経炎筋炎(未回復)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 日後起床時より右上腕(接種側)三頭筋の筋力低下疼痛が

出現ワクチン接種 2 日後左大胸筋のけいれんが出現ワクチン接種 3 日後

左大腿筋四頭筋けいれんが出現ワクチン接種 9 日後左上腕三頭筋の筋力は

MMT で 4 程度

因果関係 情報不足

(症例31)蕁麻疹(胸部)神経障害(口腔内のしびれ感)(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月以内前B 型肝炎ワクチン接種本ワクチン接種直後

前胸部発疹口腔内しびれが出現プレドニゾロン投与入院にて経過観察ワ

クチン接種翌日症状軽快にて退院

因果関係アレルギー反応として否定できない

専門家の意見

中村先生

蕁麻疹の出現時期と投与との関係からはしびれ感も含めアレルギー反応として出現したも

のと考えます

埜中先生

アナフィラキシー様症状に類似したもの因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係不明ワクチン接種後比較的早期に症状が出現しており迷走神経過緊張のように

思えますがMRI 検査で異常がみられれば ADEM かもしれません

(症例32)左上肢の筋力低下痛み(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種時指先に響く等の症状はなかったワクチン接種翌日就寝時に

左上肢のだるさに気づくワクチン接種 2 日後朝膝より前腕にかけて痛みが出

現しだるさが徐々に悪化本ワクチン接種 4 日後季節性インフルエンザワク

チン接種本ワクチン接種 7 日後コップも持ちにくいと医療機関受診右手握

力 22左手握力 8入院その後右手握力 18左手握力 16 まで回復

因果関係 否定できない

(症例33)有痛性紫斑病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 血管性紫斑病

9

経 過 本ワクチン接種7日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後右上腕に有痛性紫斑が出現ワクチン接種 5 時間後左上腕に有痛性紫

斑歩行困難が出現し入院ワクチン接種翌日けいれん発作が出現し解離

性障害を疑うも投薬なしにて改善ワクチン接種 2 日後けいれん発作あるも経

過観察にて改善以後けいれん発作なしワクチン接種 3 日後有痛性紫斑消

退傾向ありワクチン接種 7 日後有痛性紫斑が再出現ワクチン接種 12 日後

有痛性紫斑残るも痛み自制可能にて退院自己赤血球皮内注射で陽性にて有痛性

紫斑および解離性障害から自己赤血球感作症と診断

因果関係 否定できない

(症例34)アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 季節性アレルギー抗生物質でショック症状あり

経 過 ワクチン接種 5 分後気分不良嘔気上下肢のふるえが出現血圧 10265mmHg

脈拍 130分その後悪寒戦慄嘔気が増悪し嘔吐脱力が出現臥床を要

する状態ワクチン接種 10 分後コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムメト

クロプラミド20ブドウ糖液投与酸素吸入を実施その後血圧 12265mmHg

脈拍 102分ワクチン接種 1 時間 20 分後回復

因果関係 否定できない

(症例35)間質性肺炎増悪発熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎アスペルギルス症(プレドニゾロン抗真菌剤を服用中在宅酸素

療法を導入し近日退院予定であった)肺膿疱症慢性呼吸不全高血圧高尿

酸血症肺炎気胸慢性閉塞性肺疾患

経 過 ワクチン接種 2 時間後より発熱呼吸苦が出現にて酸素増量間質性肺炎増悪

が出現ワクチン接種翌日胸部 X 線検査にて間質性陰影増悪ありメチルプレ

ドニゾロンコハク酸エステルナトリウムメロペネム水和物ミカファンギンナ

トリウム投与開始ワクチン接種 2 週間後発熱間質性肺炎増悪は軽快

因果関係 否定できない

(症例36)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 くだものアレルギー感冒薬で薬疹季節性インフルエンザワクチン接種

経 過 ワワクチン接種 10 分後頸部から頭にかけて熱感あり一時的に動悸出現し眼

前暗転軽い悪心が出現頻脈傾向 90分血圧低下なし直ちに臥床安静にて

数分間で回復

因果関係 因果関係不明

(症例37)紫斑意識障害けいれん(調査中)

30代 女性

既 往 歴 自己赤血球感作性紫斑病の指摘有るも確定診断無し

経 過 本ワクチン接種 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2

時間後ふらつきと接種側上腕から前腕への紫斑対側前腕の紫斑出現嘔吐

嘔気なし接種翌朝筋力低下出現トイレまでの歩行がかろうじて可能紫斑

10

は有痛性で前腕部にまで拡大接種翌日夜3 回のけいれん発作が認められたが

以後の発作はなし

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性もあるが情報不足

(症例38)アナフィラキシー(回復)

40代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進症

経 過 ワクチン接種 1 時間後嘔気めまい悪感が急速に出現ヒドロコルチゾン投

与にて急速に改善

因果関係 否定できない

(症例39)頭痛めまい悪心(回復)

20代 女性

既 往 歴 インフルエンザワクチン予防接種 30 分後に息苦さ(2 年前)食物アレルギー

経 過 ワクチン接種 5 分後めまいと吐気が出現し徐々に症状が悪化回転性めま

いが出現髄膜刺激症状なし血圧低下なし頭痛あり入院神経学的に病的

反射なし意識清明頭位変換にてめまいありワクチン接種 5 時間後頭痛が

強くなり嘔吐翌朝めまいは軽減したが頭痛は継続吐き気に対してロキ

ソプロフェンナトリウム水和物服用頭痛わずかに残存めまい回復退院ワ

クチン接種 4 日後回復

因果関係 否定できない

(症例40)蕁麻疹喉頭浮腫呼吸苦(回復)

30代 女性

既 往 歴 セフトリアキソントシル酸スルタミシリンにて掻痒咽頭浮腫グリチルリ

チングリシンシステイン配合剤にてアナフィラキシーショック

経 過 ワクチン接種 10 分後より掻痒感喉頭部異物感呼吸苦が出現メチルプレドニ

ゾロン点滴及びアドレナリン皮下注により改善

因果関係 否定できない

(症例41)嘔気血圧低下腰下肢痛(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 2 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接

種 1 時間経過後も接種部位の疼痛持続熱感等訴えるも視診触診では発赤熱

感なし血圧 11590mmHg脈拍 60分30 分程度で気分不良解消疼痛は軽快

傾向ワクチン接種より約 2 時間後吐気出現血圧 9463mmHg脈拍 60分

塩酸メトクロプラミド点滴静注により症状軽快ワクチン接種 2 日後腰痛下

肢痛倦怠感等インフルエンザ様症状出現ロキソプロフェンナトリウムを内服

するも症状改善せずワクチン接種 6 日後症状増強のため医療機関受診体

温 373CRP27白血球数 13800(好中球 84)CK136血圧 11672mmHg

脈拍 90分疼痛持続倦怠感あり咽頭痛鼻水咳痰なしアセトアミノ

フェンレバミピドセフカペンピボキシルを処方帰宅後 39まで熱発し左

胸部痛が悪化ワクチン接種 7 日後早朝救急外来受診下肢痛持続し歩行不

可体温382頭痛咽頭痛なし咳嗽ありインフルエンザ迅速試験陰性

11

CRP1062白血球数 15200(好中球 89)CT では左下肺野に肺炎像あり他に

胸膜肥厚(陳旧性疑い)入院にて経過観察中

因果関係 否定できない

(症例42)気管支喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息加療中(コントロール良好過去に季節性インフルエンザワクチン予

防接種後気管支喘息発作の既往あり)

経 過 ワクチン接種 1 時間後より気管支喘息発作出現し短時間にて増悪血圧

142101mmHg脈拍 120分SpO298酸素投与(3L分)開始しアミノフィ

リン点滴静注硫酸サルブタモール吸入を実施し軽快傾向を確認し専門医へ紹

因果関係 否定できない

(症例43)アナフィラキシー(軽快)

50代 男性

既 往 歴 糖尿病性腎症による腎不全で透析療養中植物食品でのアレルギー歴あり

経 過 本ワクチン接種より 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワク

チン接種 30 分後よりくしゃみ発現ワクチン接種 5 時間後眼瞼腫脹体幹

の湿疹に気づき医療機関受診アナフィラキシーと診断されステロイド剤の

投与等にて症状やや軽快

因果関係 否定できない

(症例44)アナフィラキシー(軽快)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30 分後動悸が出現後急激な呼吸困難出現ベタメタゾンリン酸エ

ステルナトリウムの筋注及びベタメタゾン内服後すぐにルートを確保ステロ

イド点滴開始し血圧 130 台70 台全身の虚脱は 2 時間続き次第に安定翌

日も 37 度後半の発熱が持続

因果関係 否定できない

(症例45)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種より 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワク

チン接種 30~40 分後より突然の動悸出現後呼吸困難出現ブテゾニド吸入

後脱力感あり8 時間経過後症状改善

因果関係 否定できない

(症例46)頭痛嘔気嘔吐下痢微熱(回復)

20代 女性

既 往 歴 心室中隔欠損症

12

経 過 ワクチン接種 2 時間後より頭痛に加え嘔気嘔吐(4 回)出現し下痢も 10

数回認められたワクチン接種翌朝救急外来を受診頭痛が強く鎮痛剤無効

頭部 CT 上出血は認められず白血球 7700(好中球 891)CRP 42腰椎穿

刺で髄膜炎否定MRA 上異常なく症状消失

因果関係 否定できない

(症例47)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴 気管支喘息加療中

経 過 ワクチン接種 40 分後下顎の疼痛咳が出現ワクチン接種 1 時間後前腕蕁

麻疹が出現補液ステロイド静注抗ヒスタミン剤点滴静注により改善経過観

察のため入院翌日退院

因果関係 否定できない

(症例48)気分不快(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 5 分後血の気が引くような気分不快が出現血圧 16090 mmHg

脈拍 120分点滴にて経過観察

因果関係 因果関係不明

(症例49)血管迷走神経反射(回復)

30代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 30 分後熱感めまい呼吸困難感冷汗を認め入院ワクチン接

種翌日退院

因果関係 否定できない

(症例50)アナフィラキシー(軽快)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後は異常なしワクチン接種 2 時間後全身倦怠感関節痛

脱力感が出現ワクチン接種翌日経過観察のみで軽快

因果関係 否定できない

(症例51)アナフィラキシー(回復)

30代 女性

既 往 歴 喘息過去に季節性インフルエンザワクチン接種後に体調悪化あり

経 過 ワクチン接種 5 分後より両眼周囲の熱感掻痒が出現上眼瞼の軽度腫脹あり

ワクチン接種 30 分後より喘鳴出現

因果関係 否定できない

(症例52)急性アレルギー性皮膚炎(回復)

40代 女性

既 往 歴 気管支喘息ワクチン接種後に軽い皮疹出現(20 年程前)

13

経 過 ワクチン接種 30 分後顔面紅潮が両側性に出現急性アレルギー性皮膚炎が発

現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注オロパタジン塩酸

塩内服ワクチン接種 1 時間後より両側上眼瞼浮腫および続発性に咳嗽出現

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴静注ファモチジンを静注

エピネフリン皮下注クロルプロマジン塩酸塩処方ワクチン接種 2 時間後咳

嗽頻回その後皮膚炎軽快ワクチン接種 3 日後急性アレルギー性皮膚炎は回

因果関係 否定できない

(症例53)左眼球ブドウ膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 甲状腺機能亢進僧帽弁逆流

経 過 ワクチン接種 5日後視力低下とかすみ出現視力 右04(125-125Dzyl-050D)

左01(025-150D)左虹彩毛様体炎硝子体泥濁続発性緑内障

因果関係 否定できない

(症例54)両上下肢しびれ感筋力低下(軽快)

30代 男性

既 往 歴 食品による蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前B 型肝炎ワクチンを接種ワクチン接種 3 日後両手

足(特に手)に違和感が出現ワクチン接種 4 日後強いしびれに近い不快感が足

に出現ワクチン接種 5 日後両手に若干の筋力低下を自覚しびれ持続日常生

活に支障なしワクチン接種 7 日後他院受診しADEM 疑いにて入院ステロ

イドパルス療法を施行ワクチン接種 10 日後ステロイド漸減ワクチン接種 1

ヶ月後ステロイド終了神経症状軽快両上腕伸側に散発的な筋痛あり経過観

察中

因果関係 軽度の GBS の可能性もあるが情報不足

(症例55)アナフィラキシー反応倦怠感蕁麻疹頭痛悪心浮動性めまい口腔咽頭痛眼

瞼浮腫(回復)

30代 女性

既 往 歴 帯状疱疹過敏症接触アレルギー

経 過 ワクチン接種 1 時間後接種側半身に倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後蕁

麻疹頭痛吐き気めまい咽頭痛眼瞼浮腫が出現ワクチン接種翌日眼

瞼浮腫は自然消失その他の症状も徐々に自然消失ワクチン接種 5 日後受診

し軽度の咽頭違和感のみ残存にて回復と診断

因果関係 否定できない

(症例56)両眼のぶどう膜炎(未回復)

50代 女性

既 往 歴 頭痛ぶどう膜炎(両眼)B 型肝炎ワクチンにて全身倦怠感の発現あり

経 過 ワクチン接種後両眼充血眼痛頭痛38の発熱出現ワクチン接種翌日

ロキソプロフェン内服にて発熱頭痛眼痛は軽快するが両眼充血は悪化ワ

クチン接種 2 日後アセトアミノフェン内服ワクチン接種 5 日後眼科を受診

14

し両眼ぶどう膜炎の診断及びステロイド結膜下注射点眼治療実施ワクチン

接種 7 日後症状悪化のため他院受診視力右眼 015(06)左眼 015(04)

因果関係 否定できない

(症例57)アナフィラキシー発熱腋窩腫瘤(アナフィラキシー発熱回復腋窩腫瘤回復)

40代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(卵エビソバ等約 30 種類)化学物質アレルギーアレルギ

ー性鼻炎

経 過 ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あり

発ワクチン接種前体温 374ワクチン接種後発赤腫脹注射刺入部痛あ

り発ー症状が出現発熱は回復ワクチン接種 2 日後一過性の胸痛ありワ

クチン接種 6 日後左腋窩腫瘤および疼痛あり左腕が上がらない重量物が持

てないワクチン接種 13 日後左腋窩腫瘤疼痛は消失ワクチン接種 23 日

後そう痒肝感消失しアナフィラキシー症状回復

因果関係 アナフィラキシーは因果関係不明腋窩腫瘤は情報不足

(症例58)異常感浮動性めまい関節痛(軽快)感覚鈍麻(後遺症)

30代 女性

既 往 歴 高脂血症

経 過 ワクチン接種数分後気分不良手足のしびれめまい身体の節々の疼痛出現

症症チン接種 16 日後症状再発したがすぐに軽快ワクチン接種 20 日後未

回復

因果関係 局所反応としては否定できない(ギランバレー症候群としては情報不足)

(症例59)脳梗塞(後遺症)

90代 女性

既 往 歴 高血圧心不全にて通院中

経 過 本ワクチン接種 1 週間前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種前体温 355本ワクチン接種翌朝右麻痺失語症で臥床しているのを家

人が発見同日入院MRI 検査にて脳梗塞を確認ワクチン接種 10 日後右片

麻痺が残存

因果関係 因果関係不明

(症例60)左脳出血(軽快)

40代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデス指尖潰瘍(ベラプロストナトリウム投与中)逆流性

食道炎腎不全ネフローゼ(ジピリダモール投与中)抗カリウム血症貧血

甲状腺機能低下症高血圧症高尿酸血症膀胱結核ワクチン接種約 1 ヶ月前

に入院

経 過 ワクチン接種 10 日後朝失語症右上下肢麻痺出現レベル低下ありその後

共同偏視なし瞳孔左右同大命令に従うも発語なし右上下肢麻痺右トレム

ナー反射陽性右バビンスキー反射陽性頭部 CT にて左レンズ核外側に脳出血

を認めたニカルジピン塩酸塩にて降圧開始右鼠経部より CV カテーテル挿入

同日夕方2 回目 CT にて出血増大なし同日夜けいれんが出現しジアゼパ

ムを使用し他院脳卒中科へ転院ワクチン接種 27 日後左脳出血は未回復

15

気管切開し経鼻経管栄養中ワクチン接種 60 日後気管チューブ抜去右上下

肢不合麻痺はあるが力は入るようになるワクチン接種 62 日後経鼻チューブ

抜去ワクチン接種 64 日後左脳出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例61)肝機能障害(未回復)

30代 男性

既 往 歴 ワクチン接種 5 ヶ月前アルコール性肝疾患を発症(AST 30IULALT 42IUL

LDH 171 IULγ-GTP 179 IULALP 260IUL)

経 過 ワクチン接種 8 日前季節性インフルエンザワクチンを接種微熱倦怠感が

出現本クチン接種前体温 368本ワクチン接種翌日より頭痛咽頭痛

鼻汁微熱ありロキソプロフェンナトリウム投与開始ワクチン接種 5 日後

389の発熱全身倦怠感咽頭炎が出現し医療機関受診AST 64IULALT

105IULLDH 224IULALP 647IULγ-GTP 322IUL と上昇し肝機能異常

を認めた肝機能障害急性咽頭炎に対して投薬治療開始ワクチン接種 2 週

間後急性咽頭炎回復ワクチン接種 1 ヶ月後肝機能障害未回復

因果関係 否定できない

(症例62)39以上の発熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後38 度の発熱を認め以後高熱が持続ワクチン接種 3 日

後頭痛下痢が出現したため入院ワクチン接種 4 日後体温 393白血球

11400μLCRP 274 mgdLインフルエンザ簡易検査 A(-)B(-)点滴にて予防的

抗菌剤を投与ワクチン接種 5 日後解熱したため退院

因果関係 否定できない

(症例63)蕁麻疹(回復)

60代 女性

既 往 歴 認知症誤嚥性肺炎の反復にて絶食中

経 過 絶食中であるため連日補液にて栄養補給しており内服は一切無しワクチン

接種翌日前頚部背部両前腕両大腿に紅斑が出現直ちにグリチルリチン

システイングリシン配合剤の点滴を行うが改善無しワクチン接種 2 日後

ヒドロコルチゾンの点滴により改善し始め完全に消失全身状態安定

因果関係 否定できない

(症例64)過換気症候群けいれん血圧上昇発熱(軽快)

80代 女性

既 往 歴 胃潰瘍慢性心不全大動脈瘤高血圧心房細動

経 過 接種前体温 371血圧 10470mmHg風邪症状ありワクチン接種 15 分後

全身の震え過換気症状悪寒が出現体温 39血圧 180 台に上昇ジアゼパ

ムニトログリセリンアセトアミノフェン酸素吸入を施行白血球数 8700mm3

CRP2+好酸球数上昇過換気症候群けいれん発作不明熱と診断され経過

観察を目的に入院加療呼吸性アルカローシスがあるものの他の血液所見異常

16

なし尿検査にて潜血(3+)白血球数 11000mm3体温 382にて抗生物質投与

その後軽快

因果関係 否定できない

(症例65)発熱(軽快)

10代 女性

既 往 歴 慢性骨髄性白血病(骨髄移植後)気管支喘息

経 過 ワクチン接種翌日耳痛にて耳鼻科を受診し中耳炎の診断嘔気などのため他

院受診し点滴中に発熱し入院体温 391CRP 010 mgdLインフルエンザ

迅速診断(-)ワクチン接種 3 日後体温 364CRP312 mgdL発熱軽快にて

退院

因果関係 否定できない

(症例66)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴ネフローゼ症候群にて入院中(ステロイド投与中)インフルエンザ

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 30 分後激しい咳込みが出現ワク

チン接種 50 分後吸入施行するも増悪喘鳴じんましんが出現SpO290ワ

クチン接種 1 時間後強いそう痒が出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナト

リウムヒドロキシジンバモ酸塩を投与酸素投与ワクチン接種 2 時間後じん

ましんは軽減ワクチン接種 3 時間後じんましん消失アナフィラキシーは回復

因果関係否定できない

(症例67)ショック(血圧低下)(回復)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後冷汗顔面蒼白気分不良嘔気血圧低下出現下肢

挙上補液 500 mL 開始血圧 100- mmHg へ回復念のため点滴 500mL を追

加し回復を確認

因果関係 否定できない

(症例68)腫脹発赤注射部位そう痒感全身性そう痒感(不明)

20代 女性(妊娠 28 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日頭痛掻痒感が出現ワクチン接種 2 日後接種部位の腫脹

と痒み出現両肘頚部顔面の発赤と掻痒感手足背中にも掻痒感が出現

因果関係 否定できない

(症例69)アナフィラキシーショック(回復)

10代 男性

既 往 歴 Charcot-Marie-Tooth 病(シャルコーマリートゥース病)の疑いジフテリ

ア破傷風混合トキソイドワクチン接種後に嘔吐認めたがすぐに軽快(6 年前)

腓骨部筋萎縮症腎尿細管性アシドーシス難聴

経 過 ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 10 分後嘔吐出現顔面蒼白とな

った血圧 7040 mmHgアナフィラキシーショックが出現メチルプレドニゾ

17

ロンアドレナリンを静注血圧及び心拍数の上昇を認めたが再度嘔吐が出現

し血圧は 70 台に低下塩酸ドパミンの投与を開始し経過観察のため入院

その後血圧は 80~100 で安定全身状態良好ワクチン接種 3 日後退院

因果関係 否定できない

(症例70)倦怠感意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 大腸癌(術後再発)結腸癌腹膜転移腎不全

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種 2 時間後全身倦怠感嘔気出現

意識レベル低下(JCSI-1~Ⅱ-10)アンモニア値血糖値は異常なし血圧 120 台

60 台体温 36 度台であり皮膚紅潮なくアナフィラキシーを疑う所見ない

ため経過観察意識レベル遷延が持続ワクチン接種 7 時間後意識レベル

JCSI-1 に改善するも未回復ワクチン接種 11 時間後血圧 11860mmHg受け

答えはっきりするもボーっとする感じあり採血の結果臨床検査値に大きな

変動を認めずワクチン接種翌日後遺症なく改善ワクチン接種 2 時間後から

の記憶にところどころ欠落あり

因果関係 情報不足

(症例71)脳出血(不明)

80代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性気管支炎に伴う慢性呼吸不全発作性心房細動慢性心不全

糖尿病(2 型インスリン投与)アルツハイマー型認知症

経 過 ワクチン接種 8 時間後トイレに行こうとするが立てなかった(支えれば可能)

ワクチン接種翌朝より広く下肢の脱力有意識レベルは通常通りCT にて脳

出血と判明

因果関係因果関係不明

(症例72)臍帯過捻転胎児死亡

20代 女性 妊娠39週

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 4 日後頃から胎動低下本ワクチン接種 6 日後産科受診

臍帯捻転による胎児の死亡と診断翌日誘発分娩本人はほぼ健常

因果関係因果関係不明

専門家の意見

三橋先生

臍帯の過捻転が原因「子宮内胎児死亡」が正しい

名取先生

過捻転があって浮腫があるので直接的な死産の原因は臍帯過捻転ワクチンとの関連はない

と考えるベースラインのリスクとして 1000 出産で周産期死亡は 47 であり臍帯原因は

約 10であることからワクチン接種との重なりは十分に起きうる

吉川先生

新型インフルエンザ後の死産(子宮内胎児死亡IUFD とい うべきか)普通に考えれば無

関係(unlikely)と考えま す情報としては週数が不明です14 週未満であれば流産と

いう用語のほうが適切なのでインフルエンザ感染において スペイン風邪なのでは高率

な母体死亡は知られていますが母体に 問題がなくて高率に流産子宮内胎児死亡が多

18

いという話は聞い ておりません調べる必要はあるかもしれませんが季節性のイン フル

エンザにおいて胎児への悪影響は知られていないと思いま す(母体への悪影響を介する

ものは別ですが)

田中先生

時間経過臍帯所見からみて死産は接種と無関係と思われる

(症例73)アナフィラキシー疑い(回復)

10代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種 25 分後のどの違和感呼吸苦倦怠感が出現喘鳴ありSpO295

脈拍 110 台アナフィラキシーを疑いサルブタモール硫酸塩吸入アミノフィ

リン及びメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴ワクチン接種

1 時間後に回復が認められたが観察目的にて入院

因果関係否定できない

(症例74)フィッシャー症候群(ギランバレー症候群)(軽快)

20代 女性

既 往 歴 無

経 過 接種前体温 366本ワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同時接種

ワクチン接種 5 日後起床時より視界のぼやけ感を自覚し見えにくさと共に持

続ワクチン接種 10 日後両手首以遠のしびれ感出現その後上行し両肘

以遠のしびれ感出現瞳孔散大対光反射低下も出現ワクチン接種 11 日後

しびれが両肘まで上行受診し瞳孔散大あり対光反射低下あり頸部及び頸

椎の MRI 異常なし伝導速度検査にて F 波低下よりフィッシャー症候群疑い

と診断メコバラミン処方ワクチン接種 15 日後受診し瞳孔散大対光反

射は改善しびれ上行は回復ワクチン接種 21 日後フィッシャー症候群疑い

軽快

因果関係副反応としては否定できないギランバレー症候群の可能性あり

(症例75)発熱蕁麻疹ネフローゼ増悪(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 昨年季節性インフルエンザワクチン接種で発疹発熱あり食物アレルギーな

しネフローゼ症候群でステロイド内服中(1-3mgkg日隔日投与中)

経 過 抗ヒスタミン薬内服の下ワクチン接種その際Alb 35 gdL尿蛋白(-)ワク

チン接種当日夜38の発熱蕁麻疹ありワクチン接種翌日発熱発疹軽快

抗アレルギー薬内服ワクチン接種 2 日後より尿蛋白(+)ワクチン接種 4 日後

尿蛋白(3+)Alb 11 gdL総蛋白 40 gdL にて入院顔面の浮腫著明尿量 270mL

日ステロイド 2mgkg日に増量血圧上昇ありワクチン接種 568 日後に

アルブミン製剤と利尿剤投与ワクチン接種 9 日後に Alb22 まで回復ワクチ

ン接種 11 日後尿蛋白陰性化ワクチン接種 13 日後Alb 27gdL に回復ネ

フローゼ増悪は回復退院

因果関係否定できない

(症例76)心不全肺炎(回復)

60代 男性

19

既 往 歴 慢性心不全(急性増悪のためワクチン接種 3 日前まで入院加療)関節リウマ

チ高血圧心房細動

経 過 ワクチン接種し帰宅後喀血ワクチン接種翌日呼吸時胸痛呼吸困難あり

胸部レントゲン検査にてワクチン接種時には認められなかった浸潤影あり白血

球数 14000CRP 56 と上昇あり肺炎の疑いにて入院

因果関係因果関係不明

(症例77)血管迷走神経反射(回復)

30代 女性

既 往 歴 関節リウマチ(メトトレキサート服用中)小学生時親子丼を食し蕁麻疹出

現歴 2 回あり

経 過 ワクチン接種前体温 360ワクチン接種直後全身の火照り感ありその後

掻痒感を認めた血管迷走神経反射が出現症状消失しつつあったため帰宅始

めたところ駐車場で再び強い火照り感がありその後意識消失通行人に

助けられ近医受診し入院ワクチン接種 2 日後回復し退院

因果関係 否定できない

(症例78)けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーあり(小児科主治医の承諾あり)

経 過 ワクチン接種 8 時間後けいれん出現救急車到着時けいれん回復するも病院

へ搬送入院ワクチン接種 4 日後退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン接種後に「けいれん」が起きたという前後関係はありますがそれらに因果関係が

あるのかどうかこの報告書だけからは判断できません患者には発熱があったのか入院後

の血液髄液画像などの検査結果後遺症を含めた患者の状態(回復と記述されています

が)などを知りたいと思います

岩田先生

発熱の有無検査所見熱性けいれんの既往歴家族歴が不明であるためけいれんの原因

が分からずワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田委員

ワクチン接種時が既に A 型インフルエンザウイルス感染を含む自然感染による潜伏期間で

あった可能性もあるけいれんのワクチン接種との因果関係は肯定も否定もできないいわ

ゆる有熱時けいれんの可能性もあり症状経過からみて急性脳症であるとは言えないと考え

ます

(症例79)けいれん重積急性脳症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 19 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌

朝より40の発熱あり同日夜熱性痙攣が出現し医療機関に搬送その後も

痙攣は再発(計 4 回)し熱性けいれんが出現急性脳症の診断にて加療目的

のため本ワクチン接種 2 日後別の医療機関に搬送し集中治療室に入院オ

20

セルタミビルリン酸塩等を投与同日新型インフルエンザウイルス PCR 検査に

て陰性を確認その後オセルタミビルリン酸塩の投与中止本ワクチン接種 10 日

後改善傾向にて退院熱性けいれん急性脳症は回復

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日から感冒症状あり接種当日も咳と鼻水があったが熱がなかったため接種を行った

ことが本当なら原病(感冒)による可能性も否定できません従って最終判断は因果関

係不明ただし原病(感冒)あるいはワクチンによる副反応の可能性もあり

岩田先生

発熱は因果関係ありと考えて良いと思いますけいれんは発熱が誘因となったもので直接

ワクチンが関与したものではないと考えても良いと思いますがhellip ウイルス分離等の結果

待ちですが何もでなければ「熱性けいれん重責発作」の診断で良いと考えます発熱の原

因として何らかのウイルス感染の可能性はありそうですがワクチン接種も否定はできな

いと思います

土田先生

ワクチン接種による発熱ということは否定できないと考えます意識障害やけいれんを重積

していることから症状経過から急性脳症であると考えますただしこれらの経過は若

干時間進行が早いという印象はありますがこれまでの季節性インフルエンザ感染でも経験

しているものと大きく変わるものではないと考えます

(症例80)アナフィラキシーショック(回復)

40代 女性

既 往 歴 卵アレルギーサバによるアナフィラキシーショック歴あり臭化プリフィニウ

ムブチルスコポラミン臭化物によるショックの副作用歴あり

経 過 ワクチン接種直後全身の痒み皮疹微熱呼吸苦軽度のアナフィラキシー

を疑わせる症状が出現接種肢全体の腫脹が出現ワクチン接種 1 時間後全身じ

んましんが出現オロパタジン塩酸塩投与ワクチン接種 8 時間半後呼吸困難感

ありじんましんはやや軽快ワクチン接種 15 時間半後症状消失アナフィラ

キシーは回復

因果関係 否定できない

(症例81)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(軽快)

50代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 8 日後頭痛発熱出現急性散

在性脳脊髄症が出現ワクチン接種 9 日後臀部の異常感覚が出現ワクチン接

種 13 日後排尿障害が出現ワクチン接種 17 日後排尿障害が軽快しないため

医療機関受診頭部胸部腰部 MRI では明らかな異常はなかったが髄液検

査にて蛋白 45mgdL細胞数 47 μL と増加を認めたためADEM と診断され入

院ステロイドパルス施行その後プレドニゾロン内服ワクチン接種 1 ヶ月

後感覚低下以外の症状は回復

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性あり

(症例82)発熱(回復)

21

50代 女性

既 往 歴 2 型糖尿病高血圧脂質異常症

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種日夜軟便嘔気を認める本ワクチン接種 2 日後より倦怠感発熱(388

~39度)出現食欲不振嘔気軟便あり左下腹部圧痛あり白血球13320mm3

CRP340mgdL と上昇A 型B 型インフルエンザ検査陰性急性胃腸炎疑い

にてセフトリアキソンナトリウム水和物点滴し経過をみるも翌日体温 398

度びまん性腹痛もあり白血球数 12530mm3CRP 1220 mgdL と上昇したた

め入院腹部 CT 等で胃腸炎胆のう炎等の有意所見なし絶食ワクチン

接 4 日後発熱消化器症状は消失CRP 820mgdLめまい嘔気に対して

炭酸水素ナトリウムメトクロプラミド投与軟便ありワクチン接種 6 日後

食事再開本ワクチン接種 8 日後治癒にて退院CRP 08mgdL

因果関係 情報不足

(症例83)発熱白血球数増加肝機能異常(軽快)

50代 男性

既 往 歴 胃癌

経 過 ワクチン接種 5 時間後39台の発熱出現ワクチン接種翌日も発熱持続午

後緊急往診にてインフルエンザ検査陰性リン酸オセルタミビルレボフロ

キサシンクラリスロマイシン処方肝機能等の検査にて白血球 10100mm3

GOT 207 IULGPT 195 IULALP 481 IULCRP704 mgdLワクチン接種 3 日

後発熱回復食事摂取可能ワクチン接種 4 日後受診し体温 364胸部

X 線著変なし白血球 3700mm3GOT 20 IULGPT 57 IULCRP326 mgdL

ワクチン接種 6 日後症状再燃なしにて処方薬飲みきりを指示

因果関係否定できない

(症例84)脳症(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後悪寒出現388の発熱ワクチン接種 4 日後新型イ

ンフルエンザ感染症と診断オセルタミビルリン酸塩を投与ワクチン接種 5 日

後四肢硬直両眼球偏位嘔吐が出現医療機関を受診全身強直間代性けい

れんに対し抗けいれん剤投与し鎮症急性脳症を疑い転院ワクチン接種

6 日後来院時の意識障害が持続しているため脳平温療法を開始抗けいれん

剤ドパミン塩酸塩を投与ワクチン接種 9 日後脳平温療法を終了ワクチン

接種 16 日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

接種 2 日後の 発熱5 日後のけいれん意識障害でありワクチン接種による副反応と断

定することは難しいと思います

岩田先生

ワクチンとの因果関係を否定することはできませんが報告には髄液所見等の情報がなく

添付されたデータからワクチンとの因果関係を判定するのは困難です

土田先生

22

新型インフルエンザワクチン接種 2 日後より発熱5 日後に全身強直間代けいれん意識

レベル低下入院後もけいれんを繰り返す転院後もけいれん重積人工呼吸管理抗けい

れん薬投与で経過観察中ということでありワクチン接種後から症状発現までの時間的観点

からは新型インフルエンザワクチン接種による発熱の可能性もありますがワクチン接種

時が既に(自然感染による)潜伏期間であった可能性もあります意識障害やけいれん(重

積していること)があることなど症状経過より急性脳症であるといっても良いと考えます

この情報からはおそらく新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症といって良いと

思います

(症例85)発熱(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン

接種翌日午前中 39の発熱ありアセトアミノフェン内服し解熱注射部位

の腫れや熱感なし関節痛などインフルエンザを思わせる症状なし同日午後

38の発熱ありアセトアミノフェンを再度内服本ワクチン接種 2 日後体温

373軽い頭痛のみとなった

因果関係否定できない

(症例86)急性呼吸不全熱発(未回復)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全疑い虫垂炎高血圧骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前歩行中に意識消失し転倒救急搬送され入院意識

清明血圧 14469mmHg麻痺なし頭部外傷なし脳 CT心電図異常なし本

ワクチン接種 12 日前脳波上徐波 6Hzθ波群発 8 にてバルプロ酸ナトリウム

投与開始本ワクチン接種より 7 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本

ワクチン接種前体温 363血圧 10668mmHg体調不良なしワクチン接種

翌日歩行中に転倒前頭部を打撲し皮下出血室内ポータブルトイレまで間に

合わず尿失禁ワクチン接種 2 日後動作緩慢顔面浮腫足背浮腫が出現ワ

クチン接種 3 日後377の熱発自力での坐位不可能傾眠状態ワクチン接

種 4 日後38の発熱血圧 15362mmHgA 型B 型インフルエンザ検査陰性

胸写上心拡大(+)心胸郭比 657にて心不全悪化と考えフロセミドスピロノラ

クトン処方意識レベル低下SpO2720に低下チアノーゼ出現にて酸素吸入

開始尿道カテーテル留置感染症と考えセフトリアキソンナトリウムコハク

酸メチルプレドニゾロンナトリウム点滴開始CRP6+白血球 11600

NT-BNP21612pgml他院へ救急搬送ワクチン接種 51 日後慢性心不全の急性

増悪による呼吸不全は回復心不全状態の治療のため入院継続中

因果関係 急性呼吸不全は因果関係不明熱発は否定できない

(症例87)急性呼吸不全熱発(未回復)

90代 男性

既 往 歴 脳梗塞アルツハイマー型認知症腰ヘルニア

経 過 ワクチン接種 5 日前より歩行時のふらつきを主訴に入院ワクチン接種前頭

痛感あり体温 364血圧 12663mmHg感冒等の体調不良なし接種 25 時

間後転倒血圧 18286mmHgワクチン接種 35 時間後転倒ワクチン接種

23

85 時間後悪寒376の熱発が出現レボフロキサシンロキソプロフェン

ナトリウム投与ワクチン接種翌日384の発熱咳なし血圧 11958mmHg

A 型B 型インフルエンザ抗原テストは陰性ワクチン接種 2 日後労作時呼

吸困難出現血液データCRP(6+)白血球 8200mm3ワクチン接種 3 日後

レントゲンと CT にて少量の両側胸水両下肺野のボタン雪状陰影出現にて肺

炎と診断アジスロマイシン水和物フロセミド投与チアノーゼ出現したため

酸素吸入開始その後体動困難呼吸苦自力排尿不可能にて尿道カテーテル

留置不穏状態にてロルメタゼパムエチゾラム投与ワクチン接種 4 日後体

温 391SpO2 84傾眠状態にてセフトリアキソンナトリウム塩酸ミノサイ

クリン投与顔面蒼白努力性呼吸四肢末端チアノーゼにて経鼻エアウェイ挿

入酸素吸入増量その後意識消失し呼吸停止するも痰吸引コハク酸メチ

ルプレドニゾロンナトリウム投与にて回復393の熱発ありCRP(6+)白血球

9500mm3ワクチン接種 8 日後発熱回復ワクチン接種 9 日後腸管膜動脈

閉塞にて緊急手術施行最終診断は穿孔性十二指腸潰瘍と急性汎発性腹膜炎

因果関係 因果関係不明

(症例88)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 急性リンパ性白血病

経 過 ワクチン接種 3 時間後呼びかけに返事がなくなるワクチン接種 5 時間後け

いれん数分の意識消失出現救急車にて病院へ搬送入院MRI脳波に異常

なしワクチン接種翌日けいれん軽快にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

ワクチン摂取後 3 時間後に呼びかけに返事なく4 時間目に意識消失が数分あった症例です

MRI や脳波に異常はないとのことです副反応に「けいれん」の記載がありますが概要

にはけいれんの対応や持続時間などの記載がありません意識喪失発作をけいれんの症状と

判断したのでしょうか

岩田先生

発作(けいれん)時の発熱血糖値静脈血ガス分析血圧等に関する情報がないので

添付された記載のみから因果関係について判断するのは不可能です

土田先生

新型インフルエンザワクチンを午前に接種同日午後 2時頃呼びかけに返事が無くなる(意

識障害)同日午後 4時頃意識消失数分(けいれん意識障害 報告医の判断はけいれん)

その後救急車要請病院搬送MRI 及び脳波で異常なしワクチン接種後から症状出現まで

の時間的観点からは新型インフルエンザワクチン接種後の意識障害でありワクチンとの

因果関係は否定できないと考えます

(症例89)アナフィラキシー(軽快)

70代 女性

既 往 歴 陳旧性肺結核(右上葉切除)による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中本態性高血

圧症骨粗鬆症不眠症心身症肝炎ウイルスキャリア栄養障害胸椎骨折

経 過 本ワクチン接種 15 日前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

5 時間後水様性鼻汁鼻閉が突然始まり湿性咳嗽も出現同日午後咳嗽は

24

増悪し呼気時の喘鳴が生じるようになった理学所見上は末梢気道狭窄と判断

同日夜喘鳴は改善ワクチン接種 2 日後鼻水咳嗽呼吸苦は改善377

の発熱あり

因果関係 否定できない

(症例90)肝機能異常(未回復)

60代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 週間後嘔気食欲不振倦怠感腹部不快感軟便気分不

良が出現経過観察ワクチン接種 2 週間後医療機関受診嘔気食欲不振

倦怠感腹部不快感軟便血液検査にて AST345IULALT375IULLDH314UL

γGTP113ULウルソデオキシコール酸内服開始ワクチン接種 1 ヶ月後CT に

て異常所見なしウルソデスオキシコール酸継続ワクチン接種 5 週間後仕事

復帰ワクチン接種 2 ヶ月後AST33IULALT23IULγGTP41ULウルソデ

スオキシコール酸内服にて肝機能正常値ワクチン接種 4 ヶ月後肝機能検査実

施予定

因果関係 因果関係不明

(症例91)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 胃癌の補助療法中(シスプラチンテガフールギメラシルオテラシルカリウ

ム配合剤内服中)副作用で口内炎続く髄膜炎

経 過 ワクチン接種前日白血球数 4580mm3ワクチン接種後白血球数 1470mm3

ワクチン接種翌日の午後383の発熱が出現尿失禁便失禁あり402の発

熱に対してセフォゾプラン塩酸塩投与ワクチン接種 2 日後体温 374下肢

痛ありレノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩輸血を施行その後364に

解熱ワクチン接種 3 日後体温 365レノグラスチムセフォゾプラン塩酸塩

輸血を施行ワクチン接種 12 日後発熱回復

因果関係 否定できない

(症例92)心筋梗塞(未回復)

50代 男性

既 往 歴 外傷性くも膜下出血による不眠等の精神症状糖尿病(インスリンコントロール

中)高血圧高脂血症動脈硬化(血栓と大量のプラークあり)

経 過 ワクチン接種後全身倦怠感強くワクチン接種 4 日後当院精神科に連絡あ

るも来院せず倦怠感増悪し救急要請心電図にて完全房室ブロックを認め

救命センターに搬送救命センター搬入時心電図所見より急性心筋梗塞(下壁

梗塞)にて緊急カテーテル施行となった体動強くフェンタニルミダゾラム

で鎮静し気管挿管しカテーテル術開始開始後心停止ありTPM 留置ステ

ント血栓除去ウロキナーゼ数回ニトロプルシドナトリウム投与IABP サ

ポート下で CCU 入床自脈でのコントロールを試みたが TPM 管理とした

因果関係 因果関係不明

(症例93)喘息発作(回復)

60代 女性

25

既 往 歴 好酸球増多症候群好酸球性副鼻腔炎中耳炎高脂血症高血圧プレドニゾ

ロン服用中

経 過 ワクチン接種後 30 分以上経過観察したが特記すべき所見を認めず帰宅夜に

なり呼吸苦が強くなり横臥できないほどとなったピークフローも 66まで低

下ワクチン接種翌日外来を受診喘息発作の診断胸部 X 線では異常なし

ツロブテロールサルブタモール硫酸塩投与ワクチン接種 1 週間後回復

因果関係 否定できない

(症例94)390以上の発熱(回復)

80代 男性

既 往 歴 うっ血性心不全腎不全

経 過 本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種翌日

399の発熱意識レベル低下心電図上伝導障害が出現スルピリン水和物

投与により発熱は回復意識レベル低下は継続全血球計算値上昇CRP 上昇

腎機能値悪化無尿となるフロセミド補液ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウム投与絶食ワクチン接種 2 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例95)蕁麻疹(回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 ワクチン接種前体温 365ワクチン接種後昼食後に全身に蕁麻疹顔面浮

腫出現ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム点滴投薬を施行ワク

チン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例96)顎舌の不随運動(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 1~2 歳時にけいれんあり

経 過 本ワクチン接種より 14 日前に季節性インフルエンザワクチン 2 回目接種副反

応等は特になし本ワクチン接種後 10 分くらいに舌を出すえずくような連続

性の咳顎の不随意運動などの症状出現会話はしゃべりにくそうだが可能意

識はクリア四肢麻痺なし歩行可能蕁麻疹なし接種部位の発赤腫脹なし

本ワクチン接種 1 時間後排尿時に肉眼的血尿を認めた入院尿検査にて潜

血検査 3+尿中赤血球を認めず溶血を疑う血液検査にて溶血所見なし本ワク

チン接種翌日肉眼的血尿消失不随意運動持続にて薬剤性のジスキネジーを疑

いトリヘキシフェニジル塩酸塩を投与するも症状は不変睡眠中は症状消失

見られていることを悟ると頻度増加にて何らかの誘因でチックが出現した可能

性が高いと考える頭部 MRI脳波検査は異常なしその後退院ワクチン接

種 3 週間後受診顎口唇の不随意運動継続肉眼的血尿なし尿検査にて潜血

検査(+-)

因果関係 否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

接種 10 分後に出現した不随意運動と予防接種との関係はないと推定されます

26

岩田先生

本症例は症状出現までの期間が短いこと咳症状が認められていること下顎の異常運動

は違和感からきているのかも知れないこと等からアナフィラキシー様反応の可能性が考え

られると思います血尿については既往歴今後の経過など因果関係を考える上でもう少

し情報が必要です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種後のできごとではありますが現行の添付文書上異常行

動の記載はありませんしたがって医薬品の因果関係が肯定も否定もできないものと考え

ます

中村先生

不随意運動とされていますがてんかん発作(自動症)の可能性もありますただしけい

れんの既往の記載もあり現時点では因果関係不明としました

埜中先生

一過性の脳障害画像所見などなく評価不能GBSADEM は否定できる

吉野先生

本症例の症状は意識は清明であったようですがてんかん発作の 1 種のように思います

(単純部分発作)接種後 10 分でも因果関係否定できないと思います昔 chorea minor(あ

るいはジデンハムヒョレア)という溶連菌感染症に伴う不随意運動が知られていました

がそれに似たような症状と思います

(症例97)急性散在性脳脊髄炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 糖尿病類天疱瘡直腸結腸癌手術ベタメタゾン内服中

経 過 本ワクチン接種より前 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種ワ

クチン接種前体温 358本ワクチン接種後 5 日後左半身のけいれん発作

と意識消失が 5 分間持続同日 30 分毎に 5 分程度の発作あり本ワクチン接

種 11 日後重積発作となり抗けいれん薬投与その後急性散在性脳髄膜

炎と考えステロイドパルス抗痙攣剤を施行ワクチン接種 15 日後痙攣

発作間隔が延長ワクチン接種 16 日後痙攣発作完全消失その後左片麻

痺が次第に回復し後遺症なく退院

因果関係 副反応としては否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

時間的経過からは少し早いように思いますがADEM は否定できないと思いますがMRI

所見や髄液検査の結果はどうだったのかは確認する必要があります

埜中先生

時間的経過や神経症状から ADEM と考えられるただしADEM を確定する画像所見がな

いので情報不測的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例98)喘息発作(嘔気呼吸浅薄)蕁麻疹(軽快)

40代 女性

既 往 歴 アレルギー喘息過敏症

27

経 過 ワクチン接種 30 分後に嘔気呼吸が浅くなった症状あり所持していたサルブ

タモール硫酸塩プレドニゾロンエバスチンを服用するも症状持続声のかす

れが出現ワクチン接種 2 時間後症状消失ワクチン接種 5 時間後念のため

テオフィリンアセチルシステインを施行ワクチン接種翌日軽度の全身むく

み蕁麻疹に気づき皮膚科を受診ワクチン接種 2 日後エバスチンテオフィ

リンアセチルシステイン投与開始ワクチン接種 7 日後喘息発作が出現サ

ルブタモール硫酸塩を投与一時的に軽度蕁麻疹が出現ワクチン接種 2 週間後

喘息薬にて治療中

因果関係 否定できない

(症例99)発熱低ナトリウム血症(回復)

80代 男性

既 往 歴 肺気腫関節リウマチ高血圧症胸腹部大動脈瘤術後にて全身状態良好で通院

経 過 ワクチン接種 2 時間後ほてり感378の発熱が出現ワクチン接種 3 時間後

381の発熱出現下痢もあったが呼吸器症状はなしその後381の発熱に

て受診しアセトアミノフェン処方ワクチン接種翌日脱力感にて医療機関受診

375の発熱炎症反応の上昇(白血球 9500μLCRP45 mgdL と低ナトリウム

血症(Na 128 mmolL))を認め入院免疫抑制薬服用中のため発熱に対しては

塩酸セフォチアム低ナトリウム血症に対しては乳酸リンゲル液を施行ワクチン

接種 2 日後発熱回復ワクチン接種 4 日後CRP 31mgdLNa 141mmol に改

善CRP 陽性に対してレボフロキサシン水和物投与開始ワクチン接種 3 日後

症状回復経過観察の後にワクチン接種 7 日後退院

因果関係 発熱は否定できないが低ナトリウム血症については情報不足

(症例100)敗血症性ショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 膵腫瘍(慢性膵炎の嚢胞形成に対し膵全摘出)糖尿病

経 過 ワクチン接種後発熱意識障害が出現ワクチン接種翌日 388の発熱と脱力

を認め医療機関へ救急搬送白血球 17000mm3CRP 27mgdLγ-GTP 693 IUL

T-Bil 119mgdL と上昇し収縮期血圧 60 mmHg になったため敗血症ショック

と診断された重度の胆道感染疑い中等度の肝機能障害中等度の腎機能障害

敗血症性ショックに対しドパミン塩酸塩ノルアドレナリンタゾバクタムナ

トリウムバンコマイシン塩酸塩を投与し症状改善ワクチン接種 11 日後

白血球 6100mm3CRP 047mgdLγ-GTP 307 IULT-Bil 028mgdLワクチン

接種 12 日後経過良好にて退院敗血症性ショックは回復

因果関係 因果関係不明

(症例101)全身性けいれん意識障害(不明)

40代 女性

既 往 歴 尿路結石子宮筋腫(貧血あり)アレルギー(セファクロルで発疹あり)

経 過 ワクチン接種時体温 367鼻汁咳が少しありワクチン接種 2 日後頭痛

出現インフルエンザ迅速検査キット陰性ワクチン接種 5 日後突然倒れ呼

28

びかけに反応せず救急搬送搬送中に右への共同偏視を伴う全身性強直性けいれ

ん出現発熱 372炎症反応(CRP 60mgdL白血球 14600mm3)髄液は無

色透明細胞数 2タンパク 39糖 92血中抗体検査の結果単純ヘルペスウイ

ルス IgG 及び IgM とも陰性水痘ウイルス IgG 21IgM 陰性EB ウイルス IgM

陰性IgG160 倍と脳炎脳症を否定できないためアシクロビルフェニトイン投

与にて治療中腫瘍性辺縁系脳炎の可能性について婦人科系の癌から発生するこ

とがありCT 検査にて検査予定

因果関係 否定できない

(症例102)発熱(軽快)

20代 男性

既 往 歴 脳性麻痺経管栄養中持続陽圧呼吸療法(夜間のみ)使用中

経 過 ワクチン接種翌日発熱出現採血にて CRP48mgdL抗生剤点滴治療ワクチ

ン接種 2 日後高熱持続し検査で CPR18 mgdL胸写で所見なし不明熱で入

院抗生剤に反応

因果関係 因果関係不明

(症例103)慢性心不全増悪慢性呼吸不全急性増悪(軽快)

60代 女性

既 往 歴 慢性閉塞性呼吸器疾患(慢性呼吸不全)慢性心不全有り在宅酸素療法非侵襲

的換気療法(NIPPV)施行

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日喘ぎ様呼吸を認め救急搬送CO2 ナルコーシス心不全増悪を認めNIPPV

及び利尿剤で軽快

因果関係 因果関係不明

(症例104)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 食物アレルギー(もち米)

経 過 本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

45 分後両大腿前面に違和感と発赤が出現アナフィラキシーが出現し入院

マレイン酸クロルフェニラミン塩酸ラニチジンヒドロコルチゾンコハク酸エ

ステルナトリウムを投与し対処したが更に全身の違和感胸部紅斑が出現

その後軽快ワクチン接種翌日回復し退院

因果関係 否定できない

(症例105)けいれん(回復)

29

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 本ワクチン接種 22 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種

翌日睡眠中にけいれん発作を出現眼球上転2 分間の左右対称性けいれん発

作が出現救急車到着意識レベル II-10脈拍 90分血圧 9040mmHgSpO2

94体温 368酸素吸入を行い搬送医療機関到着時意識清明呼吸反応

正常体温 358SpO2100にてジアゼパム座剤を挿肛し経過観察

因果関係 情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種後翌日に無熱性けいれんを起こした幼児ですけいれん発

症後の脳波検査画像検査などの結果が記載されていませんので是非情報の収集をお願い

したいと思いますてんかんの可能性も否定できませんワクチン接種と無熱性けいれんと

の間に前後関係はありますが因果関係は不明です

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(接種翌朝のけいれ

ん)からは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

記載されている内容からはけいれんの型は単純型だと思われますその後の経過がほとん

ど記載されていないのではっきりはしませんが本当に無熱性のけいれんであったかどうか

はこの記載のみではわかりかねますいわゆる熱性けいれんでもけいれんがあって少し

たった後発熱することも日常臨床ではよく経験していることではありますので

中村先生

既往歴もなく無熱性で投与後に起こっていることから因果関係は否定できないと思われ

ます何らかの基礎疾患や検査異常がないかなど今後の情報収集が必要と思われます

(症例106)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴てんかんカルバマゼピン内服(ワクチン接種約 1 ヵ月前より投与開始)

経 過ワクチン接種翌日全身に粟粒大の小丘疹が出現外来にて抗アレルギー剤等投

与するも悪化入院しステロイドにより治療ワクチン接種 18 日後軽快し退

因果関係否定できない

(症例107)蕁麻疹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中卵白 RAST 法で陽性だが食物アレルギーとしては認め

られていない蕁麻疹の既往はない

30

経 過 ワクチン接種 2 時間後全身蕁麻疹出現し3 日間連日点滴により治療気道咽

頭症状はなしワクチン接種 2 日後蕁麻疹は軽快

因果関係 否定できない

(症例108)発熱喘息発作頭痛(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息食物アレルギー

経 過 本ワクチン接種以前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 5

時間後375の発熱と頭痛が出現本ワクチン接種翌日38を超える発熱が

出現するも自然に解熱したが喘鳴出現病院を受診し吸入にて一旦改善する

も帰宅後に悪化本ワクチン接種 2 日後喘鳴は改善せずステロイド点滴し

たが症状は改善無し本ワクチン接種 3 日後血液データ白血球 8100μL

CRP369mgdL抗生剤ステロイド点滴にて改善せず同日入院入院後のステ

ロイド点滴継続にて喘鳴は改善ワクチン接種 8 日後退院

因果関係 否定できない

(症例109)発熱鼻咽頭炎喘息(軽快)

70代 女性

既 往 歴 高血圧症僧帽弁狭窄症気管支喘息弁膜症医薬品食品による発疹体調

不良等の既往有りアスピリン喘息あるが市販風邪薬服用中

経 過 ワクチン接種翌日体調不良となり鼻水喘鳴が出現ワクチン接種 2 日後

382の発熱呼吸苦が出現し救急を受診喘息と診断ワクチン接種 3 日後

喘鳴改善せず受診心不全を併発ワクチン接種 6 日後喘鳴呼吸苦は未回復

心不全にて入院カルペリチド投与開始ワクチン接種 9 日後風邪症状喘息

発作発熱は軽快ワクチン接種 10 日後症状改善にて退院

因果関係 否定できない

(症例110)バセドウ病(軽快)

30代 女性

既 往 歴 全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群橋本病にて投薬中

経 過 ワクチン接種 1 ヶ月以内季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種後

熱感多量の発汗が出現同日ThR 陽性甲状腺低機能亢進が出現ワクチン接

種翌日頻回の下痢が出現ワクチン接種 13 日後動悸が出現し持続バセド

ウ病が出現ワクチン接種 15 日後動悸悪化にて受診し採血にて甲状腺機能亢

進症と診断ワクチン接種 17 日後ビソプロロールフマル酸塩投与ワクチン接

種 23 日後甲状腺シンチ施行TRab 抗体陽性にてバセドウ病と確定診断ワクチ

31

ン接種 24 日後動悸回復下痢は未回復ワクチン接種 2 ヶ月後チアマゾール

投与開始ワクチン接種 3 ヶ月後甲状腺機能低下バセドウ病軽快

因果関係 調査中

(症例111)アナフィラキシー(回復)

60代 女性

既 往 歴 気管支喘息高血圧

経 過 ワクチン接種 20~30 分後呼吸困難鼻閉痰の増加ふらつきが出現血圧

13183mmHg脈拍 130分SpO2 97アドレナリン皮下注リン酸デキサメタゾ

ンナトリウムアミノフィリン点滴にて徐々に軽快経過観察のため入院ワクチ

ン接種翌日回復フェキソフェナジン塩酸塩処方し退院ワクチン接種 1 週

間後血圧 14070mmHg脈拍 119分SpO2 95

因果関係 否定できない

(症例112)頭痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息心疾患手術の既往有り

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現しやや改善して帰宅するも泣きわめくほどの頭

痛が著明となり入院ワクチン接種 2 日後症状改善し退院

因果関係 否定できない

(症例113)発熱アナフィラキシーショック(回復)

30代 女性

既 往 歴 気管支喘息気味

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 1 時間半後39の発熱が出現イ

ンフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと考えメチルプレドニゾロンコハ

ク酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種翌日回復

因果関係 否定できない

(症例114)プロトロンビン時間延長(ワルファリン作用増強)(回復)

80代 男性

既 往 歴 パーキンソン症候群褥瘡あり脳梗塞の既往有り脳梗塞再発予防のためワ

ルファリンを本ワクチン接種 15 ヵ月前より内服開始

経 過 本ワクチン接種前日入院本ワクチン接種当日血液検査実施PT 161PT-INR

162PT- 392本ワクチン接種 11 日後季節性インフルエンザワクチン接種

本ワクチン接種 15 日後起立性低血圧治療のためアメジニウムメチル塩酸塩

を増量本ワクチン接種 27 日後血液検査を実施したところPT 579PT-INR

32

620PT- 76PT 延長のためワルファリンの投与中止ビタミン K 製剤を

投与本ワクチン接種 28 日後血液検査実施しPT 正常値に回復しワルファリ

ン内服を再開PT 129PT-INR 127PT- 604ワーファリン増強による PT 延

長は回復

因果関係 因果関係不明

(症例115)発熱C-反応性蛋白増加白血球数増加(回復)

70代 男性

既 往 歴 肺気腫てんかん不眠症便秘胃炎

経 過 ワクチン接種前体温 368ワクチン接種翌日熱発頭痛悪寒出現ロキ

ソプロフェン服用したがその後も症状持続ワクチン接種 3 日後症状持続

気分不良にて救急受診白血球 12300μLCRP 1873mgdL と高値であり明

らかな感染源はないが細菌感染を疑い入院スルバクタムアンピシリンナト

リウム製剤を投与開始体温 382インフルエンザ迅速検査陰性胸部レント

ゲンにて肺炎像なしワクチン接種 4 日後の体温 385ワクチン接種 5 日後以

降は体温 37台へ解熱ワクチン接種 7 日後体温 365白血球 6700 μL

CRP 06 mgdL と低下し回復近日中に退院予定

因果関係 因果関係不明

(症例116)アナフィラキシーショック(回復)

70代 男性

既 往 歴 じん肺(テオフィリン製剤去痰剤を服用中呼吸状態は安定)高血圧

経 過 高血圧もあるが内服治療中であり血圧 14090mmHg くらいで安定していた

ワクチン接種後経過観察中に冷汗とともに意識混濁血圧低下出現末梢循環

不全を認めた呼びかけに対する反応はあるにはあったものの意識レベルは 1-1

か 1-2 程度で呼吸音は悪くはなかった末梢循環不全と判断した理由は四肢冷感

があり血圧が 90~8040mmHg 程度に低下し鼠径にて脈が触れていたものの

橈骨では触れにくかったためモニター管理急速補液にて意識レベル改善し

夕方にはしっかりしていた念のため経過観察入院となったが翌日血圧も

13080mmHg 程度であり退院

因果関係 否定できない

(症例117)動悸頻脈(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種前 1 ヵ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種したが特に

問題なし発赤あり本ワクチン接種 3 時間後胸がつまる感じがあり(脈 120

33

~140)40 分程度で自然回復おさまった

因果関係 情報不足

(症例118)気管支喘息発作(軽快)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種当日夜より熱感等の感冒様症状出現

ワクチン接種 2 日後歩けない等の労作時呼吸困難感起坐呼吸喘鳴出現プ

レドニゾロン内服しやや軽快ワクチン接種 6 日後医療機関を受診顔面紅

潮著明な喘鳴起坐呼吸を認めた気管支喘息発作が出現体温 359SpO2

96脈拍 96分輸液アミノフィリン及びベタメタゾンを点滴静注酸素吸入

にて症状軽快

因果関係因果関係不明

(症例119)喘息発作筋骨格硬直(軽快)

40代 女性

既 往 歴 喘息(他院にてコントロール月 1 回程度の頻度にて入院歴あり)B 型肝炎

経 過 ワクチン接種翌日両肩のひどい凝りが出現ワクチン接種 2 日後喘息発作

あり救急受診ステロイド点滴を施行し帰宅ワクチン接種 3 日後呼吸困難

全身倦怠感にて再度救急受診前回入院時より重い症状プロカテロール塩酸

塩アミノフィリンコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムアドレナリンを施

行するも回復せず入院コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムイプラ

トロピウム臭化物硫酸マグネシウムブドウ糖液を施行し呼吸苦軽減ワク

チン接種 4 日後喘鳴ほぼ消失ワクチン接種 12 日後症状軽減にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例120)発熱インフルエンザ A 型(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息発症から 2 年フルチカゾンプロピオン酸エステルモンテルカストナトリ

ウム内服中1 年間発作はなかった

経 過 ワクチン接種日深夜38の発熱ワクチン接種翌朝医療機関受診咳嗽あり

インフルエンザ簡易検査にて陰性同日夕方体温 40に上昇し傾眠状態ぐ

ったりして元気なしインフルエンザ簡易検査にて A 型(plusmn)B 型(-)

CRP302mgdL白血球 9000mm3オセルタミビルリン酸塩投与にて軽快中

因果関係 因果関係不明

34

(症例121)両下肢の筋痛脱力(軽快)

70代 男性

既 往 歴 前立腺癌(ビカルタミド内服治療中)

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

3 日後より両下肢の筋肉痛が出現ワクチン接種 5 日後両下肢の脱力(MMT4)

が出現し翌日緊急入院白血球 11000mm3CRP 1254 mgdLクレアチニン

キナーゼ 3003 IUL神経伝達検査 NCS では異常認めず補液にて経過観察中

因果関係 横紋筋融解症もしくは筋炎として因果関係は否定できない

専門家の意見

荒川先生

GBS とするには発症が早すぎるように考えられますのでやはり因果関係不明とします

中村先生

横紋筋融解症や筋炎の可能性は否定できません筋電図の所見などが必要ですが添付文書

上の全身症状に筋肉痛がありますので否定できないとしました時間的経過からみて因果関

係は否定できないと思います針筋電図等行われていればその結果も踏まえて診断を行う

必要があります

埜中先生

CK 値が 3003 IUL もあり横紋筋融解症ないし筋炎の可能性が高い末梢神経伝道速度は

正常でありGBS の可能性は低い

吉野先生

因果関係否定できないと思いますしかし癌に伴う皮膚筋炎抗がん剤による横紋筋融解症

の可能性も考えられます

(症例122)けいれん重積(軽快)

30代 男性

既 往 歴 頭部外傷による症候性てんかんの既往身体障害精神障害があり意志の疎通が

困難嚥下に問題はなく経口摂取可能でありリハビリテーション病院に入院

中最近 1 年半てんかん症状は認められず抗てんかん薬の投与無し

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチン接種したが何ら問題

なし本ワクチン接種 4 時間後大発作型のてんかん出現ジアゼパム静注フ

ェニトイン投与にて消失せず他院へ搬送プロボフォールで一旦改善するも

再びけいれん発作が発症しプロボフォールを投与したところ呼吸抑制が起こ

り挿管その後は徐々に回復し本ワクチン投与 6 日後抜管しフェニトイン

バルプロ酸にて管理しリハビリテーション病院に転院

因果関係 因果関係不明

(症例123)急性心筋梗塞(軽快)

35

70代 女性

既 往 歴心原性脳梗塞糖尿病(インスリン投与中)洞不全症候群(ペースメーカー埋

込み)

経 過 ワクチン接種 6 時間後気分不良血糖 83mgdL が出現しグルコース静注

入院ワクチン接種翌日気分不良嘔吐 2 回頻脈出現酸素吸入ベラパミ

ル塩酸塩点滴開始その後胸痛が出現しニトログリセリン舌下錠投与心不

全疑いペースメーカー不全疑いにて他院へ搬送され心筋梗塞と診断ワクチ

ン接種 8 日後軽快

因果関係 因果関係不明

(症例124)急性呼吸循環不全発熱低血糖肝機能障害(以上回復)白血球血小板減少(軽

快)

60代 男性

既 往 歴 統合失調症慢性うっ血性心不全嚥下性肺炎の既往あり

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

までは特にバイタル異常無し体温 365本ワクチン接種翌日早朝に意識レ

ベルの急激な低下を伴う急性呼吸循環不全症低血糖発作血小板減少症発熱

肝機能障害血圧低下頻呼吸38前後の発熱が出現SpO260代酸素吸入

ドパミン持続点滴を施行肺塞栓を疑い検査したが否定的血糖値 26 であり

直ちにブドウ糖を注射し意識レベル改善血圧も一旦は正常化し昇圧剤中止

同日再び血圧低下が出現したため多量の昇圧剤の持続点滴を開始意識レベ

ルやや低下メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムパルススルバ

クタムセフォペラゾン投与開始低血糖発作回復ワクチン接種 2 日後昇圧

剤継続にて血圧維持酸素吸入中止38前後の発熱持続ワクチン接種 4 日後

平熱に回復昇圧剤継続血小板 3000mm3 まで低下にて血小板輸血を施行発

熱肝機能は回復その後白血球 30000-20000mm3 と著増ワクチン接種 6

日後昇圧剤は少量ずつ減量本ワクチン接種 9 日後白血球 12700mm3 まで低

下昇圧剤も不要となり回復急性呼吸循環不全症は回復血小板減少白血

球数減少増悪症は軽快

因果関係 情報不足

(症例125)喘息発作(回復)

40代 女性

既 往 歴 喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後頭痛出現ワクチン接種翌日

呼吸苦咳背部痛など出現その後喘息発作が出現ワクチン接種 2 日後

36

喘息発作としてステロイド投与し徐々に改善ワクチン接種 1 ヵ月後喘息発

作は既に回復

因果関係 因果関係不明

(症例126)発熱全身発疹(未回復)

20代 女性

既 往 歴 左腎細胞癌リンパ節転移(リンゴ酸スニチニブ服用中だがワクチン接種 4 日前

より休薬中

経 過 ワクチン接種 3 日後発熱全身発疹が出現ワクチン接種 5 日後39を超え

る発熱が持続するため入院ワクチン接種 6 日後発熱全身発疹は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例127)感覚鈍麻(不明)

50代 女性

既 往 歴 糖尿病高血圧高脂血症

経 過 ワクチン接種 5 時間後両手指のしびれが出現ワクチン接種翌朝右上肢に痙

攣有り脳神経外科受診

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

ワクチン接種からの時間的経過からはADEM としては少し早すぎると思われますまた症

状として両手指のしびれから発症も考えにくいようです脳外科からの MRI 等の結果

の詳細が分からないため情報不足としましたADEM 疑いとしたのであれば髄液検査な

ども行われていればその結果も必要と思われます

埜中先生

時間的関係から ADEM は否定できる右上肢のけいれんがどのような状態であったのか

情報不足で評価できない

吉野先生

接種後の発症時間は早い気がしますが他に誘引がないようであれば因果関係は否定でき

ないと思いますADEM 疑いです

(症例128)中毒性皮疹(未回復)

40代 男性

既 往 歴 糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症

経 過 ワクチン接種翌日左下肢下腿の浸潤のある紫斑出現右下肢両上肢体幹(特

に腹部)に拡大し融合ワクチン接種 7 日後ステロイドを投与リンパ球刺激

検査を実施ワクチン接種 9 日後症状変化なし有害事象の加療目的で皮膚科入

37

院病理組織にて壊死性血管炎あり血液一般生化学尿検査凝固能に異常な

しベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与ワクチン接種 17 日後退院

ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施するもテープかぶれで判定できず

ワクチン接種 23 日後紫斑が再発プレドニゾロンを投与し紫斑は減じている

ものの紫斑型の中毒疹は未回復

因果関係 否定できない

(症例129)肝機能障害(回復)

30代 女性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種後頭痛が出現したため鎮痛剤を頓用その後気分不良が出現

ワクチン接種 11 日後頃倦怠感が出現ワクチン接種 17 日後医療機関受診し

肝機能異常を認めウイルス性肝炎を疑ったがワクチン接種 26 日後鎮痛剤内

服過多による薬剤性肝障害と診断ワクチン接種 1 ヶ月後ビリルビン回復肝酵

素異常未回復その後肝機能検査値回復

因果関係 否定できない

(症例130)けいれん(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 てんかん(強直性痙攣が数分間認められる程度)運動発達遅延

経 過 ワクチン接種前体温 371ワクチン接種翌日嘔吐反復眼振が出現強直

間代性痙攣を反復し意識障害出現入院ジアゼパム坐薬投与するもこの状態

が 3 時間半持続した後痙攣頓挫(ジアゼパム坐薬投与より自然経過)経過

観察入院既往のてんかん発作では意識障害が後遺症となることはない血液検査

インフルエンザ迅速検査X 線検査で異常なしけいれんは軽快ワクチン接種 2

日後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

12 月 2 日午後 1 時に接種し翌日の 12 月 3 日午後 5 時 30 分に意識障害を伴う普段より強

い強直性間代性けいれんを起こされたてんかんを有する歳ヶ月の幼児の方です前後関

係はありますが因果関係があるかどうかは判断できません

岡部先生

新型インフルエンザワクチンでてんかん発作を引き起こすことはないと思われますが刺激

(注射)が発作を誘発することはあり得ることとおもいますただしその場合には接種

後速やかであろうと思います実際にはハイリスク者への接種はこのようなことが起こり

得るがワクチン接種にはメリットがありますさてどうしますか という説明があった

38

かどうかが本来必要なことと思います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から症状出現までの時間的要素からは症状とワクチンと

の因果関係を否定する合理的理由は見当たりません既往にてんかん(型など詳細は不明)

があるものの今回みられたけいれんは普段のてんかん発作でみられるものとは違うタイプ

のもの(強直間代性けいれんの反復とその間の意識障害)であることから臨床的には何

らかの刺激(ワクチン接種もその理由のひとつとして否定できない)によりそれらを惹起

させたものと推察できるかもしれません

(症例131)ギランバレー症候群(軽快)

60代 男性

既 往 歴 2 型糖尿病(インスリン治療中)高血圧逆流性食道炎糖尿病性腎症不眠

症高脂血症C 型肝炎(インターフェロンにより治癒)心臓バイパス術後

両側下肢動脈閉塞による人工血管バイパス術後にて通院中

経 過 ワクチン接種後2 日間一過性に鼻汁出現同時期下肢の違和感を自覚ワク

チン接種 15 日後歩行時に右によろけるようになり同日より歩行困難にてギ

ランバレー症候群が出現ワクチン接種 16 日後歩行困難にて受診し入

院ワクチン接種 18 日後歩行障害改善にて退院ギランバレー症候群軽快

ワクチン接種 20 日後同様の症状にて再入院回復傾向にあり杖歩行可能

因果関係 情報不足 (ギランバレー症候群の可能性あり)

専門家の意見

岸田先生

時間的経過および症状の状況からギランバレー症候群の疑いあります

中村先生

右によろけること歩行困難の原因が不明です原疾患に糖尿病バイパス術なども行わ

れており脳血管障害の可能性もあります現時点では情報不足で評価不能です

埜中先生

ワクチン後約 2 週目に出現した下肢からの筋力低下で時間的関係症状から GBS と思われる

電気生理学的検査結果がなく情報不足的ではある

吉野先生

因果関係否定できないと思いますGBS の可能性あると思います

(症例132)肺炎(回復)

70代 男性

既 往 歴 造影剤アレルギー完全房室ブロックDDD ペースメーカー留置高血圧冠動

脈硬化症にてステント留置腎機能障害胃潰瘍

39

経 過 ワクチン接種前体温 353ワクチン接種 3 日後嘔気発熱 383出現

ワクチン接種 4 日後医療機関受診胸部レントゲンにて右上肺に肺炎像あり

他院紹介入院後抗生剤点滴にて改善ワクチン接種 2 週間後肺炎は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例133)39以上の発熱(回復)

20代 男性

既 往 歴 全身性リンパ管腫(胸郭変形あり)拘束性呼吸障害(気管切開夜間は人工呼吸

器 BiPAP 使用)

経 過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 365軽度の倦怠感あり本ワクチン接種 1 時間後402の発熱出現

悪寒呼吸苦あり酸素投与を開始し入院インフルエンザ迅速検査PCR 検査

のいずれも陰性となるもインフルエンザウイルス感染症を否定できずオセルタ

ミビルリン酸塩を投与炎症反応上昇を認めフルモキセフナトリウムを投与そ

の後401の発熱が出現アセトアミノフェンを投与後解熱本ワクチン接種

翌日炎症反応上昇呼吸障害が出現集中治療室にて気切孔より人工呼吸器を装

着メロペネプ水和物に変更ワクチン接種 2 日後発熱なく症状も軽快炎症

反応上昇は継続ワクチン接種 3 日後症状発熱なく炎症反応低下ワクチン

接種 10 日後炎症反応の低下のためレボフロキサシン水和物に変更ワクチン

接種 15 日後炎症反応上昇なく退院発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例134)めまい耳鳴り聴力障害(未回復)

60代 男性

既 往 歴 アルコール性肝硬変糖尿病高血圧

経 過 ワクチン接種 2 日後めまい耳鳴り聴覚障害が発現起立時に急激な回転性

めまい出現その後嘔吐も出現し救急搬送及び入院両側の耳鳴り持続し

左聴力はほぼ消失したため点滴及び内服加療中ワクチン接種 18 日後めまい

耳鳴り聴力障害は未回復

因果関係 因果関係不明

(症例135)発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴 腎盂腎炎

経 過 ワクチン接種前の体温 354ワクチン接種 2 日後39以上の発熱が出現し

入院インフルエンザ迅速検査陰性CRP 陰性経過観察のため入院その後軽

快ワクチン接種 7 日後発熱は回復

40

因果関係 否定できない

(症例136)強い不安感(回復)

60代 男性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種と同時に季節性インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 1 時

間後より強い不安感と軽いふらつきが出現症状が改善せずワクチン接種翌

日症状は改善

因果関係情報不足

(症例137)薬剤性間質性肺炎(軽快)

70代 男性

既 往 歴 6 年前気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(フルチカゾンキシナホ酸サロメテロ

ール合剤 2 吸入日投与中)発症5 年前2 型糖尿病(グルメピリドピオグリ

タゾンメトホルミン内服中)不眠症発症1 年前肝硬変早期胃癌発症

ワクチン副作用歴なし

経 過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 2 時間後全身に掻痒感両手首

に発疹出現ワクチン接種 4 時間後顔面体幹部全身に蕁麻疹様発疹拡大そ

の後1 週間にわたり全身の発疹掻痒感は改善と増悪を繰り返しながら持続

自宅にて無治療観察全身倦怠食欲低下増加ワクチン接種 6 日後全身倦怠

食欲低下全身の発疹継続のため内科を受診発疹に対してグリチルリチン酸

一アンモニウムグリシンL-システイン配合ヒドロキシジン塩酸塩を点滴し

発疹は消腿SpO288~91PaO2542mmHgPaCO2325mmHg(室内気)と低酸

素血症認めた胸部 X 線にて両肺びまん性スリガラス影あり胸部 CT にて両側

肺の気管支血管束周囲肥厚両肺のスリガラス影網状影小葉間隔壁肥厚を認

める薬剤性肺炎を疑い入院経鼻酸素吸入 2L分を実施メチルプレドニゾ

ロンコハク酸エステルナトリウムベポタスチンベシル酸塩を投与ワクチン接

種 8日後生食メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与開始

胸部 X線にて前日と比較し改善ワクチン接種 11 日後プレドニゾロン投与

酸素投与なし歩行で SpO292~94に改善胸部 X線陰影改善ワクチン接種 12

日後退院プレドニゾロンの服用継続ワクチン接種 19 日後外来受診SpO295

胸部 X線にて陰影ほぼ消腿ワクチン接種 26日後胸部 CTで両側スリガラス影

小葉間縦壁肥厚改善しているが残存プレドニゾロンを投与ワクチン接種 40

日後SpO294~95(室内気)胸部 X線で両側スリガラス影改善するが残存

ワクチン接種 54 日後SpO298(室内気)両側の呼吸音は減少するも残存プレ

ドニゾロン投与終了ワクチン接種 68 日後SpO298(室内気)胸部 X線で上

両肺スリガラス影残存間質性肺炎は軽快

41

因果関係間質性肺炎との関連は否定できない

(症例138)発熱(軽快)

50代 女性

既 往 歴 調査中

経 過 ワクチン接種後39台の発熱が出現ワクチン接種翌日レントゲン異常なし

白血球数 5500mm3CRP 084mgdLインフルエンザ抗原陰性入院同日治

療及び経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後インフルエンザ抗原陽性ワ

クチン接種後の発熱をインフルエンザウイルス罹患によるものと判断オセルタ

ミビルリン酸塩を処方し退院発熱は軽快

因果関係情報不足

(症例139)発熱肝機能障害(軽快)

50代 男性

既 往 歴 なし(肝機能正常)

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種前後に特段の異常なしワクチン接

種 3 日後39の発熱出現セフカペンピボキシル塩酸塩を投与ワクチン接種

8 日後医療機関を受診しGOT 168GPT 220LDH 679γ-GTP 360 と肝機能

障害出現ウイルス性肝炎の検査所見無しワクチン接種 10 日後グリチルリ

チン酸グリシンL-システイン配合剤投与GOT 134GPT 220LDH 318γ-GTP

349 セフカペンピボキシル塩酸塩投与終了ワクチン接種 19 日後GOT 28

GPT 42LDH179γ-GTP186 にて肝機能障害は軽快発熱は回復

因果関係否定できない

(症例140)アナフィラキシー疑い動悸呼吸困難喘息(回復)

50代 女性

既 往 歴 気管支喘息にて加療中

経 過 本ワクチン接種 25 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

10 時間後動悸呼吸促迫が出現本ワクチン接種翌日喘鳴にてサルブタモー

ル硫酸塩吸入を試みたが吸気力無く吸入不能喘息増悪に対しプレドニゾ

ロンを投与同日症状軽減回復

因果関係否定できない

(症例141)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 気管支喘息(吸入ステロイドにて加療中)マイコプラズマ性肺炎

42

経 過 ワクチン接種前体温 370ワクチン接種 15 分後嘔吐気分不良が出現

血圧 10670mmHgSpO297胸部聴診にて清アナフィラキシーが出現ワク

チン接種 30 分後乾性咳嗽が出現血圧は正常喘鳴無し臥床サルブタモ

ール硫酸塩吸入を施行したが気分不良ありワクチン接種 40 分後補液開始し

経過観察入院サルブタモール硫酸クロモグリク酸ナトリウムモンテルカス

トナトリウム等を投与ワクチン接種 2 時間後普通に食事摂取ワクチン接種

翌日回復にて退院

因果関係 否定できない

(症例142)けいれん(てんかん発作)(回復)

80代 男性

既 往 歴 脳出血後遺症嚥下性気管支肺炎症候性てんかん脳血管発作てんかん深

部静脈血栓症神経因性膀胱誤嚥性肺炎尿路感染リハビリテーション療法

経 過 ワクチン接種 6 時間半後てんかん発作が出現し重篤化ジアゼパム投与にて

てんかん発作軽快再発が大いに予測されたため他院に救急搬送搬送中発

作が再発したためジアゼパム投与転院後頭部 CT頭部 MRI抗てんかん

薬濃度異常なしワクチン接種 9 日後全身状態安定し回復にて当院に戻る

因果関係 因果関係不明

(症例143)頭痛(回復)

40代 女性

既 往 症 ギランバレー症候群(リハビリ中)喘息(吸入ステロイド施行中)

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 1 時間後激しい頭痛吐き気が出現ワ

クチン接種 9 日後自然軽快ワクチン接種 11 日後回復

因果関係 因果関係不明

(症例144)心不全(回復)

80代 女性

既 往 歴 糖尿病性腎症閉塞性動脈硬化症

経 過 ワクチン接種後咳が止まらなくなり起坐呼吸が出現ワクチン接種 3 日後

全身浮腫呼吸苦による歩行困難にて医療機関受診血圧 12060mmHg脈拍 90

分体温 361SaO291心不全と診断され他院へ救急搬送尿路感染症によ

る著明な発熱白血球増多CRP 上昇を認に対して抗生剤投与心不全に対して

利尿剤を投与するも反応なし腎不全(CKD stage5)悪化臨時透析を実施ワク

チン接種 20 日後すべての症状回復ワクチン接種 47 日後透析離脱にて転院

ワクチン接種 49 日後より外来通院中

因果関係 因果関係不明

43

(症例145)心室細動(不明)

80代 女性

既 往 歴 慢性心不全慢性腎不全心房細動等にて通院中

経 過 ワクチン接種 30 分後異常なしを確認にて帰宅本剤投与開始 1 時間後自宅に

て心室細動を起こし心肺停止状態救急隊が除細動を施行他院へ搬送され入院

因果関係 情報不足

(症例146)無力症(回復)両足趾の不随意運動(不明)

60代 女性

既 往 歴 バセドウ病横紋筋融解蕁麻疹

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前体温 362本ワクチン接種 10 分後著明な脱力感による坐位保持不能一

過性左足先けいれん様症状が出現血圧 14080mmHgSpO298脈拍 65分呼

吸状態正常にて経過観察その後坐位不能が再出現したため他院へ紹介し入院

ワクチン接種 7 日後無力症は回復

因果関係 因果関係不明

(症例147)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 川崎病(冠動脈疾患なし)アレルギー歴なし

経 過 本ワクチン接種 36 日前季節性インフルエンザワクチン接種季節性インフルエ

ンザワクチン接種後目の下の腫れが出現本ワクチンと季節性インフルエンザワ

クチン 2 回目を同時接種ワクチン接種 40 分後乾性咳嗽顔面紅潮浮腫が出

現緊急外来受診しアナフィラキシーにて β刺激薬吸入エピネフリン皮下注

サルブタモール硫酸塩ヒドロコルチゾン静注し回復経過観察のため入院し

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例148)肺炎(回復)

90代 女性

既 往 歴 非結核性抗酸菌症(化学療法後再発無く安定)Ⅱ型糖尿病高血圧症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前胸部 X 線血液検査にて以前と異なる様子なし本ワクチン接種翌日38

の発熱にて受診ワクチン接種 2 日後胸部 X 線にて新たな異常所見なし発熱

ありCRP402mgdL に対しガレノキサシンを処方本ワクチン接種 3 日後発

熱持続にて再受診胸部 X 線右下肺野浸潤像CRP810mgdL にて肺炎との診断

44

で入院市中肺炎であるが高齢のためセフトリアキソン投与ワクチン接種 4 日

後解熱検査所見改善ワクチン接種 8 日後セフトリアキソン終了ワクチ

ン接種 9 日後回復にて退院

因果関係 因果関係不明

(症例149)肺炎(回復)

80代 男性

既 往 歴 気管支喘息肺気腫に対して投薬にて状態安定高血圧良性前立腺肥大症

大動脈瘤手術

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種 30 分後異常なしにて帰宅ワクチ

ン接種 17 時間後悪寒戦慄を伴う 39の高熱咳痰などの呼吸器症状が出現し

受診体温 377SpO297血圧 16060mmHg脈拍 101分胸部 X 線採血に

て急性肺炎と診断され入院クラリスロマイシンスルバクタムナトリウムセフ

ォペラゾンナトリウムメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを施行

ワクチン接種 2 日後体温 364SpO294血圧 13060mmHg脈拍 88分に改

善ワクチン接種 5 日後本人の訴えなく食事摂取良好体温 356SpO294

血圧 14070mmHg脈拍 70分白血球 9700mm3CRP07mgdL胸部 X 線肺炎増

著しく改善ワクチン接種 6 日後急性肺炎回復にて退院ワクチン接種 7 日後

外来にて問題なしを確認

因果関係 因果関係不明

(症例150)アナフィラキシー(回復)

80代 女性

既 往 歴 アルツハイマー型認知症リウマチ性多発筋痛症気管支喘息心疾患なし

経 過 ワクチン接種後特に変化なしワクチン接種翌日軽度な喘鳴アナフィラキ

シーが出現その後動悸が出現し医療機関受診軽度の喘鳴にてセフトリア

キソンナトリウム水和物点滴静注ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム

点滴静注ワクチン接種 4 日後38の発熱インフルエンザ検査 A 型陽性そ

の後呼吸苦が出現したため他院へ搬送呼吸器内科で肺炎は否定循環器内科で

心不全と診断し入院加療その後アナフィラキシー回復ワクチン接種 22 日

後退院

入院中

因果関係 因果関係不明

(症例151)皮下出血(軽快)

70代 男性

45

既 往 歴 血小板減少を合併する軽度の慢性腎不全にて食事療法で経過観察中骨髄異形成

症候群

経 過 ワクチン接種 1 日後左上腕の皮下出血が出現ワクチン接種 6 日後左前腕の

皮下出血その後徐々に出血が前腕に拡大接種部位近傍の腫脹が出現ワクチ

ン接種 16 日後左前腕の皮下出血減少左上腕の腫脹減少ワクチン接種 2 週間

皮下出血改善皮下出血は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例152)異常感けいれん嘔吐(回復)

20代 女性(妊娠 33 週)

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種直後異常なしワクチン接種翌日急に気分不良となり嘔吐3

分間のけいれんと意識障害が出現ワクチン接種 47 日後男児出産(身長 545

体重 3560g頭周 36 )ワクチン接種後気分不良3 分間のけいれん嘔吐が

出現

因果関係 情報不足

(症例153)急性呼吸不全(後遺症在宅酸素療法導入)

70代 男性

既 往 歴 特発性肺線維症のため経過観察中糖尿病に対してインスリン療法施行慢性

腎不全を合併

経 過 ワクチン接種 10 日後頃呼吸困難が出現ワクチン接種 12 日後症状増悪のた

め医療機関を受診低酸素血症両側性肺びまん性浸潤影があり入院特発性

肺線維症急性増悪と考えられ非侵襲的陽圧換気療法全身ステロイド投与抗菌

療法を実施し軽快するも結果的に在宅酸素療法を導入退院可能と判断するも

ワクチン接種 15 日後家族の希望により転院

因果関係 情報不足

(症例154)嘔吐頭痛(回復)

50代 女性

既 往 歴 アレルギー食品(鶏肉鶏卵等)による蕁麻疹高血圧にて投薬中薬物過敏

経 過 本ワクチン接種時に季節性インフルエンザワクチンを同時接種ワクチン接種

約 3 時間後頭痛嘔吐が出現体動時嘔吐を繰り返すため受診頭部 CT 検査

を実施制吐剤と投与症状の改善みられるも経過観察のため入院メトクロプ

ラミド塩酸塩ペンタゾシン塩酸塩を投与するも体動時に嘔吐が出現ハロペリ

ドールと投与するも嘔気嘔吐は継続頭痛も出現ワクチン接種翌日血圧

46

14688mmHg脈拍数 64分体温 363SpO296頭痛体動時の嘔気嘔吐

ありその後頭痛嘔気は回復体温369血圧 10264mmHg顔色良好と

なり退院

因果関係 否定できない

(症例155)視力低下(両側視神経炎)(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴 両側低形成腎による慢性腎不全にて透析中腎性骨異栄養症腎性くる病腎性

貧血にてアルファカルシドール乳酸カルシウム水和物ソマトロピン(遺伝子

組換え)を投与中胎児循環遺残低身長細菌性腹膜炎を起こし入院加療を要す

る場合もあるが全身状態問題なく外来管理できている

経 過 ワクチン接種 9 日後家族が視力低下瞳孔散大に気づき眼科を受診ワクチ

ン接種 10 日後MRI眼底検査等より両側視神経炎の診断にて入院ワクチン

接種 11 日後ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 27 日後眼底にて視神経

萎縮あり視力改善なく片側にわずかに光を感じるのみワクチン接種 48 日後

高度視力低下の後遺症あり

因果関係 否定できない

専門家の意見

新家先生

因果関係は否定できないインフルエンザワクチン三種混合ワクチン接種後に視神経

炎が発症する事がある事は知られています

澤先生

Lancet の論文ではワクチンの不具合事例の検討には不具合疾患の頻度を考慮して評価す

る必要があることを強調している視神経については米国女性での頻度(75100000 名年

間)からワクチン接種後 7 日には 2780 例がワクチン接種とは関係なく発症すると計算して

いる

今回の事例については 3 歳男児基礎疾患として慢性腎不全(透析中)との因子での視

神経炎の頻度を考慮する必要がある一方で本例は腎不全(透析)に伴う(視神経炎以

外の)視神経障害である可能性も考慮する必要がある重症全身的基礎疾患を有する 3 歳

児ということでワクチンとの因果関係を論じることには躊躇せざるを得ない

敷島先生

ワクチン接種後 10 日目に発症していますので関連性は否定できないと考えますただ

し本症例は慢性腎不全で透析していますのでcompromised host として背景を考慮すべ

きでしょう新型インフルエンザワクチン接種後の視神経炎の発症は最近報告されており

ますが人口あたりの一般有病率との差異から慎重に判断する必要があります(Lancet 2009

374 2115)なお視神経は中枢神経系の組織構造からなっておりますので視神経炎は

GBS よりもむしろ ADEM や多発性硬化症と関連が深いです

47

田中靖彦先生

結論は因果関係は否定できない 使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤

との因果関係を否定できないものに区分けされると思います

ギランバレーは以前から予防接種後の副作用として知られていましたがこの症例の視神

経炎が多発性硬化症の眼症状とすれば中枢性と末梢性とで症状が違いますが同じ脱髄疾

患と言う点で共通します経過眼球運動障害の有無髄液検査MRI などの所見が大切

ですいずれにしてもステロイドが寛解に有効ですが原疾患がどの程度のものかわかり

ませんし透析中ということもあって明確な因果関係の証明は困難と考えます

(症例156)発熱浮動性めまい(軽快)

70代 女性

既 往 歴 気管支喘息慢性閉塞性肺疾患肺性心

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種 2 日後395の発熱めまい嘔気が出現ワクチン接種 4 日後服薬なく解

熱他の症状も改善その後約 10 日間体調不良持続するも特に異常はない

因果関係 因果関係不明

(症例157)回転性めまい(回復)

50代 女性

既 往 歴 特発性血小板減少性紫斑病(プレドニゾロン内服中)

経 過 ワクチン接種翌朝より回転性めまい嘔気嘔吐出現し医療機関受診し入

院頭部 CT 異常なし炭酸水素ナトリウムジアゼパム点滴にて次第に軽快し

ワクチン接種 10 日後回復にて退院ワクチン接種 13 日後めまいは回復

因果関係 因果関係不明

(症例158)喘鳴腹痛嘔吐アナフィラキシー反応全身紅斑呼吸困難悪心蒼白(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 卵アレルギーなし幼児期に喘息様気管支炎(牛乳ゴマアレルギー)動物ア

レルギー家塵アレルギー

経 過 本ワクチン接種前に季節性インフルエンザワクチン 2 回接種本ワクチン 1 回接

種本ワクチン 2 回目接種時37 2の発熱があったが自覚症状なし胸部聴診

咽頭所見等なし本人元気本ワクチン 1 回目投与時問題なしにて本ワクチン接種

院内にて 30 分間の経過観察中短時間の腹痛が出現するもすぐに消失帰宅途中

急激に始まる全身蕁麻疹咳嗽喘鳴あり再来院しサルブタモール硫酸塩ベ

タメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を投与するも嘔吐腹痛を認め

たため他院に搬送し入院搬送時全身発赤は軽度残存喘鳴呼吸困難回復

顔面蒼白腹痛嘔気にてアナフィラキシーと考えられた入院中1 回の嘔吐が

48

出現経過観察としたが症状再燃なし本ワクチン接種翌日点滴処置にて軽快

し退院

因果関係 否定できない

(症例159)感染性クループ(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴 精神運動発達遅滞アトピー性皮膚炎卵アレルギー(食物アレルギー)症候

性てんかんに対し抗てんかん薬を継続中(発作はほとんどない)先天性多発奇

形症候群鎖肛

経 過 ワクチン接種 15 分前プリックテスト施行ワクチン接種 2 時間後咳が出現し

経過観察ワクチン接種 8 時間後呼吸苦が出現ワクチン接種 9 時間後他院救

急外来受診し急性喉頭蓋炎の診断にて ICU 管理挿管その後クループ症候

群が出現し便よりライノウイルスを強陽性で検出したためステロイドにて炎症

を抑制ワクチン接種 7 日後状態安定抜管ワクチン接種 8 日後一般病棟に

転棟クループ症候群は回復加療継続中

因果関係 因果関係不明

(症例160)間質性肺炎(軽快)

60代 男性

既 往 歴 前立腺癌脳挫傷右肺癌下葉切除の既往腎不全のため透析中糖尿病(投薬

にて安定)

経 過 ワクチン接種後38の発熱が出現その後37の発熱持続呼吸苦呼吸困

難は不明ふらつき感ありワクチン接種 7 日後左肺野(上中葉)にスリガラ

ス影ありステロイドパルス投与翌日白血球 6000mm3CRP 2508mgdL脳性

ナトリウム利尿ペプチドgt2000PF1抗核抗体 20mgdL免疫グロブリン

E1440mgdLインターロイキン 23080血清中シアル化糖鎖抗原 874IP-D533

投与 2 日後プレドニゾロン内服に移行その後透過性改善しプレドニゾロン

減量ワクチン接種 1 ヶ月以内に軽快

因果関係 情報不足

(症例161)アナフィラキシー反応の疑い(回復)

70代 女性

既 往 歴 25 年前より心房細動あり18 年前僧帽弁狭窄症手術高脂血症フロセミドカ

ルベジロールジゴキシンアトルバスタチンカルシウム水和物ワルファリンカ

リウムカンデサルタンシレキセチルを服用中

経 過 ワクチン接種前体温 361ワクチン接種 20 分後食堂で食事待ちの間に嘔

気冷汗が出現血圧 9747mmHg心拍数 59 回分SpO297顔色不良末梢

49

冷汗あり生理食塩水点滴臥位 30 分にて症状改善入院にて経過観察その後

アナフィラキシー反応の疑いは回復

因果関係 因果関係不明

(症例162)脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 本ワクチン接種 1 ヶ月以内に風邪けいれんの既往歴なし数種のワクチン接種

歴あるが副反応歴なし

経 過 本ワクチン接種 21 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種時

鼻水あるが発熱ないため本ワクチン接種本ワクチン接種 3 日後395~406

の発熱けいれんが出現し救急搬送けいれんは 5 分以内で頓座搬送時右下

肢の硬直は持続CT髄液検査では問題なしけいれんに対しジアゼパムを投

与し消失CRP017mgdL本ワクチン接種 4 日後痙攣消失CTMRI髄液

に問題なく経過観察意識はあまりはっきりせず本ワクチン接種 5 日後373

に解熱本ワクチン接種 6 日後388の発熱けいれん群発が出現CT髄液に

問題なしCRP295mgdL抗けいれん薬持続投与開始本ワクチン接種 7 日後

MRI 拡散強調像にて白質がびまん性に高信号けいれん持続しステロイドパルス

療法を開始けいれん時 SpO2の低下を認め挿管人工呼吸管理を実施ステロ

イドパルスγ-グロブリン等を投与開始ワクチン接種 14 日後抜管ワクチン

接種 15 日後MRI 検査拡散強調画像での高信号改善フレアーで萎縮傾向意識

レベルは開眼しているが声かけへの反応は乏しい状態38台の発熱持続新型イ

ンフルエンザ PCR 検査陰性(気管分泌物)マイコプラズマ陰性ヘルペスウイル

ス関連検査陰性ワクチン接種 17 日後髄液ウイルス分離検査血中抗体検査を

実施中人工呼吸管理終了ステロイドパルス 2 回目施行MRI にて炎症症状なし

目は開いているが傾眠状態

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

岩田先生

新型インフルエンザウイルス感染による急性脳症ではないかと思われます情報不足で判断

できませんが感染症の原因が明らかに出来ればその他の要因によるもの明らかに出来な

ければ因果関係不明と考えます

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種 3 日後に急性脳症を発症された患者さんです接種日の

患者さんは鼻水を呈していたとありますのでウイルス感染症の初期にあった可能性があり

ます従って主治医の方がご指摘されているように不活化ワクチンである新型インフルエ

ンザワクチン接種が急性脳症の原因ではなく何らかのウイルス感染症が原因であった可能

性が否定できません

50

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状と

ワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱やけいれんは添付文書

上記載がありますその意味では因果関係は否定できないですが一連の症状経過や検査結

果からは急性脳症と考えられます新型インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり

通常どおりに考えますと不活化ワクチンから感染を起こすことはありませんので現時点

の情報からは接種時がインフルエンザウイルス感染など(この時期ですからインフルエン

ザウイルスと考えるのは自然ですしインフルエンザウイルスは急性脳症を起こすことで知

られています)の潜伏期間でありその後急性脳症を発症したと考えられるかと思います

その他の要因(か因果関係不明)と考えるのが妥当ではないでしょうか

(症例163)右顔面神経麻痺(未回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 喘息性気管支炎に対してブデソニド服用中脳核磁気共鳴画像異常

経 過 他院にて2 回目の本ワクチン接種 13 日前季節性インフルエンザワクチン接種

2 回目の本ワクチン接種 13 日後お茶を飲んでいる際に顔がひきつり飲むこ

とが困難となり受診翌日症状回復せず脳神経外科を受診MRI 検査にて左

基底核近くの T1 強調画像は低信号T2 強調画像は高信号であり不変聴性脳幹

反応ウイルス同定検査陰性より末梢性顔面神経麻痺と診断ステロイド投与開

始2 本目本ワクチン接種 24 日後退院

因 果 関 係 因果関係不明

(症例164)けいれん嘔吐発熱(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 なし

経 過 ワクチン接種 5 時間後入浴後に嘔吐し3~4 分間の全身性間代けいれんが出現

救急搬送38の発熱が出現ワクチン接種翌日回復

因 果 関 係 調査中

(症例165)脳症(回復)

70代 男性

既 往 歴 関節リウマチに対し投薬中

経 過 ワクチン接種翌日脳症が出現その後易怒的となり会話が噛み合わなくな

るワクチン接種 2 日後コミュニケーシュン困難にて入院不穏著しくミダゾ

ラム投与アシクロビルセフォタキシムナトリウムフィニトイン投与MRI

髄液脳波に異常なしADEM に準じてステロイド投与本ワクチン接種 4 日後

見当識も戻り改善本ワクチン接種 8 日後脳症回復し退院

51

因果関係 否定できない

(症例166)脳炎疑い(回復)

70代 男性

既 往 歴 糖尿病

経 過 本ワクチン接種 10 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

3 日後意識混濁が出現し当院へ搬送全身性けいれん発作あり本ワクチン接

種 4 日後見当識障害等の精神症状出現にてステロイドパルス療法開始本ワ

クチン接種 7 日後症状消失頭部 MRI脳血流シンチ脳波は異常無し髄液

は軽度の細胞増多及び蛋白増多

因果関係 副反応として否定できない

(症例167)脳症(調査中)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 1 時間後異常行動が出現ワクチン接種翌日脳炎脳症が出現

因果関係 情報不足

(症例168)意識障害(回復)

70代 女性

既 往 歴 高血圧糖尿病気管支喘息慢性気管支炎心不全

経 過 ワクチン接種 1 時間後呼吸苦が出現し救急搬送喘鳴増悪の診断にてメチル

プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム点滴その後接種前より認められて

いた咽頭喘鳴の増悪と診断経過観察のみで改善

因果関係 因果関係不明

(症例169)Churg-Strauss 症候群疑い(調査中)

60代 女性

既 往 歴 以前より喘息好酸球性肺炎にて通院9 年前から好酸球性肺炎の再発はなく喘

息に対し吸入ステロイド使用本年 4 月より 10~20の好酸球増多がみられる

も症状はなかった

経 過 ワクチン接種 5 日前食欲不振が出現するも他の症状はなしワクチン接種 3

日後両下肢発疹が出現ワクチン接種 5 日後両下肢しびれ痛み歩きにくさ

好酸球数増加(50以上)が出現Churg-Strauss 症候群疑いにてステロイドを施

行ワクチン接種 6 日後入院

因果関係 否定できない

52

(症例170)Churg-Strauss 症候群(軽快)

50代 女性

既 往 歴 高血圧アレルギー性鼻炎喘息

経 過 ワクチン接種前体温 363ワクチン接種後体調を崩すワクチン接種 4 日

後咳血痰しびれが出現ワクチン接種 12 日後当院受診しチャーグスト

ラウス症候群と診断肺炎の診断にて他院に入院するも改善なしワクチン接種

17 日後症状悪化し転院咳痰血痰しびれ呼吸苦血管炎症状あり

体温 375白血球 17460μL(好酸球 425)チャーグストラウス症候群肺

胞出血の診断にて治療開始ステロイドパルス療法ステロイド内服ステロイド

吸入を施行症状は改善傾向ワクチン接種 19 日後体温 37白血球数 11210μL

ワクチン接種 1 ヶ月後体温 365白血球数 7830μLワクチン接種約 1 ヶ月後

症状軽快にて退院チャーグストラウス症候群に伴う末梢神経障害(しびれ)は継

因果関係 因果関係不明

(症例171)けいれん意識消失(回復)ほてり(軽快)

30代 女性(妊娠 32 週)

既 往 歴アレルギー性鼻炎

経 過ワクチン接種前体温 350ワクチン接種 10 分後意識消失にて前方に倒れ

ピクピクした状態が出現し15 秒ほどで意識清明となるやや顔色不良であるも

呼吸苦過呼吸もなく診察上異常なし眼球偏位やけいれん後の麻痺も認めず

その後顔面のほてりを訴えるもバイタルサインなど異常なし外来にて経過観察

産科医にコンサルトし診察ノンストレステストを施行胎児への影響なしワク

チン接種 90 分後顔面のほてりを繰り返し血圧 8152mmHg8455mmHg にて収

縮期血圧低値全身状態安定にて帰宅漢方薬内服にて顔面のほてり軽快

因 果 関 係否定できない

(症例172)アナフィラキシー反応(軽快)

60代 女性

既 往 歴 悪性リンパ腫(寛解期にあり症状は安定)季節性インフルエンザワクチンで

の副反応歴なし

経 過 ワクチン接種 5 分後頻脈気分不快めまいが出現血圧低下不整脈は認め

られずアナフィラキシーと診断されグリチルリチングリシンL-システイン

塩酸塩グルタチオン投与ワクチン接種当日夜症状消失ワクチン接種 4 日後

症状軽快し退院

因果関係 因果関係不明

53

(症例173)アナフィラキシー(回復)

20代 女性(妊娠 24 週)

既 往 歴 喘息じんましん

経 過 ワクチン接種 5 分後目の前がチカチカし気分不良となるフラフラ感息苦

しさ冷汗が出現血圧 8048mmHg(ワクチン接種 6 日前の妊婦検診では

10562mmHg)脈拍約 120分アドレナリンプレドニゾロンを投与ワクチン

接種約 1 時間後血圧 9756mmHg脈拍 83分ワクチン接種約 3 時間後血圧

11278mmHg入院にて経過観察中ワクチン接種約 8 時間後血圧 8953mmHg

脈拍 98分ワクチン接種約 9 時間後血圧 11154mmHgワクチン接種翌日血

圧 9746mmHg脈拍 92分産科診察にて異常なし退院

因果関係 否定できない

(症例174)その他の脳炎脳症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日39台の発熱が出現けいれんが出現し 1 時間持続重積と

なり頓挫後も意識障害が遷延インフルエンザ脳症と診断その後意識レベル

低下インフルエンザ迅速検査 A 型陽性髄液及び MRI 所見に異常なし脳波に

てけいれん時波形が認められた悪性脳症と診断されICU にて治療脳低体温療

法ステロイドパルスγグロブリン投与を実施一時的に不随意運動が出現にて

抗てんかん薬投与その後不随意運動は消失経過良好にてワクチン接種約 1

ヵ月後退院

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にはすでに新型インフルエンザに感染していたと推定

される症例ですワクチンと脳症との間に関連はないと推定します

岩田先生

インフルエンザ脳症による症状でワクチン接種とは関連無し

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱けいれん出現までの時間的要素からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりません発熱けいれんともに

添付文書に記載がありますしかしながら同居家族が本人のワクチン接種前日にインフ

ルエンザ A 型感染を発症しており本人は接種翌日に発熱けいれんを呈し搬送先の病

院で ICU 管理されており脳炎脳症インフルエンザ A 型迅速検査陽性という報告が

なされていること本ワクチンが不活化ワクチンであることから考えると同居家族から

54

インフルエンザ A 型に罹患しそれにより脳症脳炎を呈している状況と考えるのが自然

であると思います

中村先生

投与からの時間が短いように思いますが既往歴もなく投与後に起こっているいことから

因果関係は否定できないとします

埜中先生

インフルエンザ A 型陽性でインフルエンザによる症状ワクチンとは無関係

吉野先生

A 型インフルエンザ陽性でしたのでワクチンの副反応というよりインフルエンザ脳症と

考えられますしかし他のインフルエンザ症状なさそうなので副反応も完全には否定し

きれないと思われます

(症例175)39以上の発熱(回復)

70代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種前366ワクチン接種 4 時間後発熱外来受診し392の発

熱のため入院アセトアミノフェン服用し解熱諸検査異常なしワクチン接種

翌日退院

因果関係 否定できない

(症例176)肝障害(軽快)

70代 男性

既 往 歴 季節性インフルエンザワクチンでの副反応歴なし胆石症腎機能障害高血圧

良性前立性肥大症胃炎

経 過 ワクチン接種後嘔気生あくびが出現ワクチン接種翌日調子はやや改善

ワクチン接種 3 日後皮膚眼球黄疸を指摘され他院紹介受診し入院AST

139IULALT 278IUL総ビリルビン 65mgdL胆石合併疑いにて内視鏡的逆行

性胆管膵管造影検査を施行するも所見なしワクチン接種 16 日後軽快にて退

因果関係 因果関係不明

(症例177)出血(鼻出血歯肉出血皮下出血)血小板減少(回復)

60代 女性

既 往 歴 シェーグレン症候群橋本病(プレドニゾロンにてコントロール中)原発性胆汁

性肝硬変(ウルソデオキシコール酸等にてコントロール良好)胆石骨粗鬆症(ア

レンドロン酸ナトリウム水和物等にてコントロール中)血小板数 150000mm3

55

経 過 ワクチン接種 9 日後イオトロクス酸メグルミンを用い胆道造影を施行ワク

チン接種 10 日後鼻出血歯肉出血皮下出血が出現ワクチン接種 22 日後医

療機関受診したところ血小板 1000mm3 に減少にて入院プレドニゾロン大

量 γ-グロブリン血小板輸血施行ワクチン接種 25 日後血小板 2000μLワク

チン接種 1 ヶ月後血小板 250000μL に回復

因果関係 因果関係不明

(症例178)アナフィラキシー様反応(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴 目の充血および眼瞼浮腫を伴う難治性の蕁麻疹(過去に 2 回)食物アレルギー

家塵アレルギーラテックスアレルギー

経 過 本ワクチン接種 3 週間前季節性インフルエンザワクチン 2 回目を接種ワクチ

ン接種前体温 376ワクチン接種 30 分後傾眠状態目の充血が出現買い

物中に突然フラフラし出し立っているのがやっとの状態呼んでも答えないため

ワクチン接種 1 時間後来院失禁あり呼んでも応答ない状態のため他院へ搬送

し入院意識レベル 20ステロイドアドレナリン点滴にて 1 時間後には意識

清明となった脳波検査にててんかん等の波形は認められないワクチン接種翌日

症状軽快頭部 CT は異常なしIgE 2080IUml植物ダニ花粉ラテックスに

アレルギー反応ありワクチン接種 2 日後アナフィラキシー様症状は回復

因果関係 否定できない

(症例179)多発性硬化症再発(軽快)

50代 女性

既 往 歴 多発性硬化症(プレドニゾロン 5mgday にて治療中30 回程度の再発あり)両下

肢麻痺あり骨粗鬆症

経 過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

翌日嘔吐下痢375の発熱が出現ワクチン接種 2 日後下痢回復嘔気あ

りワクチン接種 3 日後右背部痛右上肢のしびれが出現嘔気なしワクチン

接種 6 日後右上肢脱力上肢挙上困難が出現ワクチン接種 7 日後入院MRI

にて頸髄に新たな病変(T2 増強画像)を認め多発性硬化症再発の疑いにてス

テロイドパルス療法 3クールを施行し右上肢麻痺は改善ワクチン接種 1ヶ月後

軽快にて退院

因果関係因果関係不明

(症例180)ふらつき(回復)

70代 男性

56

既 往 歴 心不全(βブロッカーにて NYHA 分類Ⅰ度を満たさない程度)糖尿病脂質異

常症高血圧にて治療中

経 過 ワクチン接種後ふらつき症状が出現血圧脈拍胸部 X 線心電図は問題な

し血糖値 378mgdL加療せず経過観察のため入院

因果関係 因果関係不明

(症例181)意識低下(一過性)(軽快)

60代 男性

既 往 歴 肝硬変(C 型肝炎)(肝性昏睡等の意識障害なしアンモニア値データなし)

過去にビタミン B1 欠乏(ウェルニッケ脳症)による意識障害あり

経 過 ワクチン接種後症状なしワクチン接種日夜呼びかけに反応なく救急車要

請血圧 9060mmHg(家族が測定)救急隊到着時症状消失にて処置検査な

し(以上の経過をワクチン接種翌日電話にて聴取)

因果関係 因果関係不明

(症例182)390以上の発熱肺炎(回復)

70代 女性

既 往 歴 右腎盂癌術後リンパ節転移に対して化学療法を施行するも骨髄抑制が出現し

中止その後徐々にリンパ節腫大あり化学療法目的にて入院中二次性単腎

糖尿病性腎症糖尿病高血圧網膜出血胃炎便秘の基礎疾患卵巣腫瘍摘出

の既往

経 過 化学療法開始前インフルエンザワクチン接種ワクチン接種 3 日後390の発

熱白血球 6780mm3CRP776mgdL胸部 CT にて右肺陰影を認め肺炎の所見

スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウムモキシフロキサシン塩酸塩

リレンザを投与インフルエンザ検査陰性白血球 6700mm3CRP776mgdLワ

クチン接種 4 日後体温 380白血球 8000mm3CRP1489mgdLワクチン接

種 5 日後体温 370白血球 10100mm3CRP1655mgdLワクチン接種 6 日後

体温 372ワクチン接種 7 日後366に解熱白血球 4900mm3CRP684mgdL

ワクチン接種 10 日後CT 肺所見はやや悪化全身状態は良好白血球 6300mm3

CRP195mgdLワクチン接種 13 日後白血球 4900mm3CRP071mgdLワクチ

ン接種 17 日後CT 肺所見はやや改善全身状態は良好白血球 5500mm3

CRP027mgdLワクチン接種 18 日後全身化学療法を開始白血球 5000mm3

CRP027mgdL左肺陰影縮小にて軽快その後発熱等なしワクチン接種 21 日

後肺炎は軽快し退院

因果関係 因果関係不明

(症例183)アナフィラキシー反応(回復)

57

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 372問診診察所見にて異常なしワクチン接種 30 分

後嘔吐が出現ワクチン接種 1 時間 50 分後医療機関に受診体温 372聴

診上軽度の喘鳴を認めSpO298プロカテロール塩酸塩をネブライザーにて投

与他院へ紹介ワクチン接種 5 時間後他院受診その後嘔吐なく問題な

いことを確認回復

因 果 関 係否定できない

(症例184)390以上の発熱肝機能異常(回復)

70代 男性

既 往 歴 間質性肺炎にて加療中にニューモシスチス肺炎を合併しワクチン接種 9 日前に

入院ST 合剤にて改善傾向特発性肺線維症

経 過 本ワクチン接種 4 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 366本ワクチン接種 2 日後微熱が出現その後392の発熱が出

現けいれん意識障害はなしワクチン接種 3 日後AST 87 IULALT 116 IUL

血小板 17000μLワクチン接種 5 日後AST 4115 IULALT 2855 IUL総ビ

リルビン 225mgdL血小板 17000μL にて著しい肝機能障害を認め播種性血管

内凝固が出現後日ニューモシスチス肺炎再燃を危惧しST 合剤減量にて再投

与したところ肝機能悪化が出現ST 合剤による薬剤性劇症肝炎と診断ワクチ

ン接種 7 日後発熱は回復

因果関係 因果関係不明

(症例185)激越発熱けいれん(以上回復)マイコプラズマ肺炎(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 上気道炎(軽度発熱なし)

経 過 ワクチン接種前日軽度の咳鼻水ありワクチン接種前発熱なく元気あり

ラ音なし気管支炎傾向になりやすいため従前より気管支拡張剤を投与ワクチ

ン接種 30 分後異常ないことを確認し帰宅ワクチン接種 5 時間後急に走り出

し目つきがおかしかった(約 3 分間)その後落ち着いたが普段より少し

興奮状態発熱はなく入眠ワクチン接種 10 時間後入眠中急に起きて泣き

出し約 3 分間に渡りけいれんが出現救急搬送けいれん後も「イヤだイヤだ」

と言い体を硬くしていた体温 372検査中に 398まで体温上昇CRP

26mgdL白血球 5500μLアンモニア 96μgdL血糖 101mgdLCT 異常なし

インフルエンザ検査陰性クラリスロマイシンツロブテロール塩酸塩クレマス

チンフマル酸塩チペピジンヒベンズ酸塩L‐カルボシステイン処方し帰宅ワ

クチン接種翌日夕方までは元気あり異常行動なし同日夜熱の上下を繰り返

58

すため医療機関受診しマイコプラズマ性肺炎にて入院ワクチン接種 3 日後

発熱回復異常行動なしけいれんなしワクチン接種 9 日後マイコプラズマ

肺炎も軽快

因果関係 因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

前日より咳鼻水のある歳男児に新型インフルエンザワクチンを接種したところ約 5 時

間後に体温 372 度になり興奮状態(異常行動走り回ったこと目つきがおかしかった

こと)となりその夜中にけいれん発熱 398 度を起こしています血算CRP 値などか

らワンポイントでもあり制約はありますが何らかの感染症に罹患していたことは否定でき

ませんそして2 日後にはマイコプラズマ肺炎と診断されています異常行動については

①新型インフルエンザワクチン接種による可能性と②紛れ込んでいた感染症による二次的

な現象の 2 つの可能性があります

岩田先生

異常行動は因果関係否定できない発熱けいれんはマイコプラズマ肺炎による症状の可能

性もあるので因果関係不明

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から興奮(接種 5 時間後くらい)けいれん(接種 10 時

間後くらい)や発熱(搬送先病院での診療中)出現までの時間的要素からは症状とワクチ

ンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん発熱は添付文書に記

載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということになるかと思いま

す(ただ入院先の病院の PCR 検査では新型インフルエンザは陰性ということですま

だ国内での季節性インフルエンザウイルス A 型感染の報告もないですが興奮やけいれ

んとして記載された今回の内容は臨床的にはインフルエンザウイルス感染罹患での症状

に似ているという印象を持ちます一方ではマイコプラズマ感染に伴う(有熱時)けいれ

んという報告は結構ありますまたマイコプラズマでも高熱に伴う熱性譫妄というのは

あるはずですが急に走り出すような状態がマイコプラズマ感染時にあるかどうかというこ

とになりますとよく聞く話ではないと思いますこのような状態はインフルエンザウイ

ルス感染時にみられることが多いという印象です)

中村先生

けいれんについては発熱がなくても起こっており基礎疾患もなかったのであれば因果関

係は否定できないと思いますADEM としてはステロイドパルスなどの治療もなく回復

していることから考えにくいとは思いますまた髄液検査などの記載もないため情報不足で

す発熱についてはマイコプラズマ肺炎でも起こりうるので因果関係不明とします

埜中先生

59

けいれんは時間的関係から因果関係は否定できない異常行動も軽いけいれん様症状として

因果関係は否定できないマイコプラズマ肺炎は情報不足症状や時間的関係から ADEM は

否定できる

吉野先生

ワクチン接種による脳症だった可能性ありますがマイコプラズマも脳炎髄膜炎合併しま

すどちらが原因かは不明です

(症例186)腰痛胸痛(回復)

70代 女性

既 往 歴 左肺扁平上皮癌術後状態安定にて外来通院中中等度の慢性閉塞性肺疾患に対

してサルメテロールチオトロピウム臭化物水和物にて維持排尿障害慢性肺

気腫良性前立腺肥大症肩関節周囲炎ワクチン接種 13 日前胸部レントゲン

にて右下肺野末梢に網状影CT にて右中下葉末梢に網状影

経 過 ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後夜悪寒体熱感(体温測定せ

ず)胸部痛間質性肺炎疑いが出現腰痛に対してマッサージを施行し軽快

ワクチン接種翌日腰痛増悪右前脚部痛による体動困難が出現ワクチン接種 2

日後外来受診体温 38SpO295CRP 131mgdL白血球 9300μL好中球

7420μL にて炎症所見亢進X 線CT にて右下葉末梢の網状間質性変化増悪を認

め肺炎間質性肺炎の診断にて入院スルバクタムナトリウムアンピシリンナ

トリウム投与ステロイドパルス療法開始ワクチン接種 3 日後腰痛胸部痛は

回復SpO297呼吸困難感消失解熱X 線上網状間質性変化軽快ワクチン

接種 5 日後胸部 X 線で右下肺野末梢の間質影が著明に軽快ワクチン接種 7

日後CT で網状間質影ほぼ消失ワクチン接種 7 日後間質性肺炎疑いは回復

ワクチン接種 9 日後退院

因果関係 因果関係不明

(症例187)脳症眼運動障害チアノーゼ呼吸抑制意識変容状態脳波異常嘔吐(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 CHRAGE 連合無熱性けいれん 3 回(2 歳時)扁桃炎がきっかけの熱性けいれ

ん(3 歳時)3 歳からバルプロ酸内服以後けいれん再発なし

経 過 ワクチン接種前日寝不足ワクチン接種前体温 361ワクチン接種後異

常なしワクチン接種 2 日後眼球偏位眼球変位嘔吐両上肢間代チアノーゼ

等が出現し搬送呼吸抑制に対してマスクバッグにて呼吸サポートを実施けい

れんに対してミダゾラム投与しけいれん抑制脳浮腫予防のためマンニゲン点滴

意識障害持続脳波検査にて多少の左右差あるが徐波化を認め脳症と診断感

染症症状なしワクチン接種 20 日経過入院中脳症は軽快

因果関係 情報不足

60

専門家の意見

五十嵐先生

CHARGE 連合の歳の患者さんに新型インフルエンザワクチンを接種後約 2 日後に急性

脳症を発症した症例です血液検査などの結果が全く表示されていません新型インフル

エンザワクチン接種と急性脳症との間に前後関係はありますが因果関係はあるのかにつ

いては判定が不可能です

岩田先生

ワクチン以外の脳症の原因がはっきりすれば因果完成は否定出来るがこの段階では否定

も肯定も出来ない

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から眼球偏位(けいれんに伴う)嘔吐両上肢間代

(間代性けいれんとしてよい)等出現までの時間的要素(接種 2 日後の症状)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たりませんけいれん嘔吐は

添付文書に記載がありますこの時点では因果関係の評価は否定できないということに

なるかと思います(担当医は脳症という報告をされているようです一方インフルエン

ザワクチン等接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis ADEM)

というのはあるとされておりますがこのあたり本患児についてはいかがでしょうか

また基礎疾患に CHARGE 連合を持っておられるようですがCHARGE 連合が多発先天

性異常を指していることから中枢神経系の異常もあった可能性もありますし5 年間け

いれんのコントロールがなされていたとはいうものの無熱性及び有熱時けいれんを既往

に持っておられるようですのでこのあたり関連があったかもわかりません)

(症例188)アナフィラキシー蕁麻疹(軽快)

50代 女性

既 往 歴 喘息ワクチン接種による副反応歴なし

経 過 ワクチン接種約 12 時間後夜中顔両上肢の発疹呼吸苦腹痛が出現その

後症状は自然改善ワクチン接種 2 日後アナフィラキシー症状蕁麻疹の転帰

は軽快

因果関係 因果関係不明

(症例189)アナフィラキシー反応(回復)

30代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 20 分後動悸呼吸困難発疹が出現ワクチン接種 50 分後軽

快翌日アナフィラキシーは回復

因果関係 否定できない

61

(症例190)アナフィラキシー反応(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 本ワクチン接種 6 日前季節性インフルエンザワクチンを接種ワクチン接種 4

時間半後強い嘔気下痢関節炎が出現アナフィラキシーが出現ワクチン

接種 5 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 因果関係不明

(症例191)けいれん(軽快)頻拍発作(回復)

50代 男性

既 往 歴 発作性心室生細動にて心停止となり低酸素脳症の結果寝たきりとなる胃瘻

あり症候性てんかん(バルプロ酸ナトリウムを服用中頓用にてジアゼパムを使

用中)不整脈なし

経 過 ワクチン接種翌日熱感が出現にて家族がクーリングを施行その後体温測定

にて 375の発熱を認める160分程度の頻脈発作体が大きく跳ね上がるけいれ

んが出現ワクチン接種 2 日後頻拍消失ワクチン接種 8 日後20 分間のけい

れん発作が出現ジアゼパムを投与するも改善認められず入院症状安定心電

図異常なしにてジアゼパム中止

因果関係 けいれんは否定できない頻拍発作は情報不足

(症例192)左上肢振戦(回復)

10代 男性

既 往 歴喘息過敏症

経 過ワクチン接種翌日1 時間目の授業中左上肢振戦が出現受診注射部位皮疹あ

り意識清明左上肢振戦左上肢筋力やや低下あり他の明確な神経学的異常な

し頭部単純 CT頭部単純 MRI にて明らかな異常所見認めず経過観察入院ワ

クチン接種 2 日後振戦はほぼ消失ワクチン接種 3 日後振戦消失ワクチン接

種 4 日後脳波検査を施行し明らかな異常を認めなかったことから退院

因 果 関 係情報不足

(症例193)右側顔面神経麻痺(不明)

80代 男性

既 往 歴ワクチン接種 2 年前より良性前立腺肥大症高尿酸血症慢性気管支炎心不

経 過ワクチン接種前体温 365ワクチン接種 3 日後口が曲がっていると指摘さ

れる末梢性右側顔面神経麻痺が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて受診

62

耳鼻科へ紹介ワクチン接種 23 日後麻酔科にて治療中以後受診されていな

いため回復の状態は不明

因 果 関 係情報不足

(症例194)歩行不能(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴運動発達遅延の印象(shuffling baby 疑い)

経 過ワクチン接種 8 日後左下肢を痛がる仕草あり歩こうとしない疼痛がある様

子ワクチン接種 9 日後機嫌悪く歩こうとも坐ろうともせず整形外科受診

外見上並びにレントゲンにて特に異常なしワクチン接種 10 日後機嫌よく坐

るようになりいざり這い状態ワクチン接種 13 日後立て膝可能となるが左

下肢は力が入っていない状態ワクチン接種 15 日後独座可能となるワクチン

接種 17 日後医療機関受診腱反射(+)ADEM またはギランバレー症候群を疑

い紹介入院ワクチン接種 18 日後CRPCPK髄液MRI 等に異常認めず

ギランバレー症候群は否定的で ADEM を示唆する所見もなく退院し経過観察と

なるワクチン接種 30 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

2009 年 12 月 28 日以降の症状経過よりGuillain-Barre 症候群よりは一過性の軽度の脳炎で

あった可能性が考えられますワクチン接種との因果関係がありそうです

岩田先生

検査データからはADEMGBS を示唆する所見は認められないと考えます

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から歩行不能出現までの時間的要素(接種 8 日後)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいという思いが

当初あったことは確かですこれは ADEM がワクチン接種数日から 4 週後くらい多くは 1

から 2 週後に発症することが多いかしらという印象によるところもありましたただ担当

医は歩行不能発生 11 日後にギランバレー症候群や ADEM については否定的な見解を

お持ちのようでしたギランバレー症候群や ADEM は症状など自覚的なものばかりでな

く検査結果など客観的な特徴を持っているところもあります担当医は検査等も実施され

た上でそれらではないと判断されておられますのでやはりギランバレー症候群や

ADEM ではなかったのだと思います 症状とワクチンとの因果関係は情報不足により評価

できないというより医薬品との因果関係が肯定も否定もできないものとするのが妥当とい

うところでしょうか但し歩行不能は添付文書上の記載はないですね(今回 Shuffling baby

という記載はないようですが担当医は児には運動遅滞の特徴があるのでそれが関与し

た可能性について触れていますそのことについてはわかりかねますまた日常診療では

63

(ワクチン接種後ということではないですが)ウイルス感染後にギランバレーということ

ではなく一時的に歩行困難になることは経験しています)

中村先生

症状としては左下肢の痛みがあった様子でそのせいで歩けなかった可能性はあります経

過からは一貫して左足の動きが悪いように考えられますただその原因は報告からも不明

で投与との関係もわかりません痛みが原因とすればGBS や ADEM は考えにくくま

た検査結果からも否定的です症例の年齢が小さく詳細な情報は不明ですので因果関係不

明といたします

埜中先生

検査所見がすべて正常であるのでギランバレー症候群も否定的ADEM の可能性もない

原因がわからず評価はできないただ時間的関係からワクチン接種との関連性はある

かもしれない

吉野先生

因果関係否定できないと思われます

(症例195)全身筋肉痛脱力(回復)

60代 男性

既 往 歴躁うつ病に対して抗精神病薬にて治療中高 CPK 血症肝機能障害膝関節痛

下肢軽度把握痛

経 過ワクチン接種前体温 360ワクチン接種翌日全身筋肉痛脱力が出現歩

行困難にて来院し他院紹介入院CPK 7360 IULAST 193 IULLALT 107 IUL

LDH 509 IULγ-GTP 141 IULBUN 292 mgdLCr 085mgdLCRP 1391mgdL

ワクチン接種 11 日後回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

本剤投与後の事象であり筋肉痛などの全身症状と思われますがCPK の上昇が高値であり

単に全身症状の身としてよいか判断が難しいと思われますので因果関係不明としました

埜中先生

ワクチン接種後に筋痛CK 7360 IUL で横紋筋融解症の可能性大向精神薬を服用してい

るので悪性症候群の可能性も残るが

吉野先生

横紋筋融解症のようです多剤内服中ですのでこれらが関係している可能性がありますが

ワクチンとの因果関係も否定できないと考えます

(症例196)頭痛めまい腹痛(回復)

60代 男性

64

既 往 歴鶏肉アレルギー肺気腫(投薬なしにて経過観察中)Ⅱ型糖尿病(経口血糖降下

薬にてコントロール良好)

経 過ワクチン接種直後めまい頭痛が出現起き上がれなくなったその後腹痛

が出現症状は軽微だが経過観察のため入院ワクチン接種 2 日後頭痛め

まい腹痛は回復同日退院入院中は補液のみ施行

因 果 関 係情報不足

(症例197)中毒性皮疹(回復)

70代 女性

既 往 歴リウマチに対してサラゾスルファピリジンを投与中筋骨格痛

経 過ワクチン接種 2 日後全身に発疹が出現ワクチン接種 3 日後整形外科受診 396

の発熱に対してグリチルリチングリシンL-システイン塩酸塩を投与ワクチン

接種 4 日後発熱持続にて他院を受診しグリチルリチングリシンL-システイ

ン塩酸塩を投与ワクチン接種 6 日後軽快せず入院中毒疹の診断にてプレドニ

ゾロンセチリジン塩酸塩を投与し軽快中ワクチン接種 13 日後中毒診は回

復退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例198)けいれん発作(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 日前まで軟便

経 過本ワクチン接種前季節性インフルエンザワクチン 2 回接種ワクチン接種 10 分

後意識が消失した後に興奮状態視線が合わず口唇チアノーゼが出現ヒドロ

キシジンパモ酸塩ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムジアゼパム投

与ワクチン接種 30 分後意識清明検査目的にて他院へ搬送頭部 CT 検査

脳波検査にて異常所見なし1~2 時間経過観察後帰宅

因 果 関 係情報不足

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種施行後すぐに生じた痙攣発作です注射が発作の引き金になっ

たと推定されますただしワクチン製剤が直接けいれんを起こしたのではないと考えます

むしろこの患者さんにはてんかんなどの基礎疾患がある可能性が考えられます年末に入

院されていますのでその後の検査(脳波中枢神経の画像検査など)の結果を是非入手し

て下さい

岩田先生

けいれんなのかアナフィラキシー反応なのか症状出現後の体温血圧等の記載がないため

判定不能

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土田先生

新型インフルエンザワクチン接種からけいれん出現までの時間的要素(直後)からは症状

とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当医の報告に

よればその後速やかに意識レベルは回復しているようですので(病院搬送時には)

重積ではなかったと考えられます3 日前まで下痢であったということですのでもしかし

たらウイルス性胃腸炎に伴う無熱性のけいれん(ロタウイルスやノロウイルスで多いとさ

れています)であったのかもしれません

(症例199)全身性皮疹倦怠感アナフィラキシー(回復)

40代 男性

既 往 歴11 年前頃後天性免疫不全症候群発症4 年前頃原発性硬化性胆管炎発症ア

レルギー歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後気分不良が出現ぐったりして起き上がれない状態全身

倦怠感が出現ワクチン接種 30 分後外来ベッドにて経過観察首に発赤あるも

剃刀痕の可能性あり掻痒感なし症状軽快せずワクチン接種 2 時間後体幹

部中心に首から膝腹上部にかけて皮膚発赤多数の皮疹発疹が出現全身の発疹

が出現強い気分不良ありアナフィラキシーの診断にて緊急入院ヒドロコル

チゾンリン酸エステルナトリウム点滴にて全身皮疹消失するも気分不良が継続

したためプレドニゾロン点滴ワクチン接種翌日気分不良継続も軽快傾向

全身の発疹は回復ワクチン接種 2 日後午前回復が見られたため退院軽

度の倦怠感は残存ワクチン接種 6 日後症状は完全に回復

因 果 関 係否定できない

(症例200)蕁麻疹発熱(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴食物および薬品によるアレルギー歴なし

経 過ワクチン接種翌日掻痒感全身の湿疹が出現夜間救急外来を受診し抗アレ

ルギー薬処方ワクチン接種 2 日後症状改善しないため外来受診全身蕁麻疹

(膨隆疹)にてプレドニゾロン処方されるもコンプライアンス不良ワクチン

接種 3 日後387の発熱が出現ワクチン接種 4 日後症状持続にて入院

CRP647mgdLメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを投与ワク

チン接種 6 日後症状改善にて退院

因 果 関 係否定できない

(症例201)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既 往 歴10 年前高血圧発症明らかな先行感染なし

66

経 過ワクチン接種 10 日後頃より四肢感覚が低下表在覚障害が出現し進行増悪

ギランバレーの疑いが出現ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低下顔面

筋筋力低下上口唇の筋力低下便秘嚥下困難が出現ワクチン接種 24 日後

入院頭部 MRI では異常はなし髄液検査では髄液細胞数 4mm3髄液蛋白

172mgdL髄液糖 88mgdL蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四

肢で F 波導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた

抗ガングリオシド抗体陰性神経伝導検査にて脱髄性のポリニューロパチー指

摘ワクチン接種 25 日後γ-グロブリン点滴開始ワクチン接種 31 日後筋力

改善ワクチン接種 33 日後リハビリ開始感覚障害改善傾向ワクチン接種

35 日後歩行器歩行可能ワクチン接種 48 日後杖歩行可能ワクチン接種 57

日後ギランバレー症候群の疑いは軽快にて退院ワクチン接種 10 日後頃よ

り表在覚障害が出現し進行増悪ワクチン接種 20 日後より両下肢筋力低

下顔面筋筋力低下が出現ワクチン接種 24 日後入院頭部 MRI では異常は

なし髄液検査では蛋白細胞解離が認められた電気生理検査では四肢で F 波

導出不良伝導ブロックが認められギランバレー症候群が疑われた現在抗

ガングリオシド抗体で測定中現在ギランバレー症候群の転帰は不明

因 果 関 係副反応としては否定できないギランバレー症候群は否定できない

専門家の意見

中村先生

検査結果の実際の数値などが不明ですが記載通りの異常があり時間的な経過からもギ

ランバレー症候群は否定できませんので因果関係は否定できないといたします

埜中先生

時間的関係症状検査所見からワクチン接種後のギランバレー症候群と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後のギランバレー症候群として良いです因果関係否定できません(ほとん

どあり)

(症例202)アナフィラクトイド紫斑病(やや回復(ほぼ不変))

70代 女性

既 往 歴高血圧うっ血性心不全(軽度)甲状腺機能低下症40 年前の子宮癌に対する放

射線療法を受け尿路感染の既往あり

経 過ワクチン接種翌日両手背および下腿浮腫が出現両下腿の紫斑あり医療機関

受診し皮膚科に紹介皮膚生検にてアナフィラクトイド紫斑病の診断にて加療

その後両下腿潰瘍が出現二次感染による蜂窩識炎増悪のため入院勧めるが拒否

ワクチン接種約 1 ヵ月後に入院目的で他院を紹介症状増悪にて入院抗生剤

ステロイド内服にて経過観察その後症状はほぼ不変

因 果 関 係因果関係不明

67

(症例203)発熱アナフィラキシー(軽快)

80代 女性

既 往 歴ワクチン接種 1 ヶ月前継続性絞扼性イレウスにて小腸切除術後状態安定にて

退院へ向けリハビリ中

経 過ワクチン接種後通常通り食事夕食摂取ワクチン接種 7 時間後急激な体温上

昇呼吸促迫血圧低下ワクチン接種翌日40の発熱が出現しアセトアミノ

フェンを投与脈微弱にてモニター装着酸素吸入輸液開始血圧 60~80mmHg

にてドパミン塩酸塩を投与するも血圧 50mmHg に低下ノルアドレナリンを投

与その後血圧 90~100mmHg体温 36~37心電図および心臓超音波検査に

て急性心筋梗塞は否定X 線にて肺炎像なし

因 果 関 係因果関係不明

(症例204)蕁麻疹中毒性表皮壊死融解症(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 20 分後全身倦怠感が出現ワクチン接種 3 時間後より全身に蕁

麻疹全身紅斑が出現皮膚科受診にて加療約 2 週間持続しその後痂皮化

他院で中毒性表皮壊死症との診断にてステロイドを投与ワクチン接種 22 日

後回復

因 果 関 係情報不足

(症例205)ネフローゼ症候群の再発(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴ワクチン接種 3 年前ネフローゼ症候群初発ワクチン接種 2 年前ネフローゼ

症候群 3 回目再発以降シクロスポリン内服にて寛解を維持ワクチン接種約

6 ヶ月前シクロスポリン脳症発症

経 過ワクチン接種 1 回目の約 10 日後ワクチン 2 回目接種ワクチン 2 回目接種 10

日後尿中タンパクが出現ネフローゼ症候群再発2 回目ワクチン接種前体温

3672 回目ワクチン接種 8 日後尿タンパク陽性に気づくワクチン接種 10 日

後受診尿中タンパク(2+)にて経過観察ワクチン接種 14 日後尿タンパク

(3+)にてネフローゼ症候群再発と診断しシクロスポリン増量するも尿タンパ

ク減少せず2 回目ワクチン接種 18 日後ステロイド投与開始ワクチン接種 21

日後家庭での検尿にて尿蛋白消失確認ワクチン接種 24 日後尿タンパク陰性

ワクチン接種 32日後尿タンパク陰性にてステロイド減量ワクチン接種 46日後

尿タンパク陰性にてステロイドを隔日に減量ネフローゼ症候群再発軽快加療継

続中

68

因 果 関 係因果関係不明

(症例206)高熱(軽快)

20代 女性

既 往 歴ワクチン接種 2 ヶ月前出産

経 過ワクチン接種 10 時間後入浴後悪寒戦慄395の発熱腹部の軽度蕁麻疹

が出現ロキソプロフェンナトリウムを投与ワクチン接種翌日38台の発熱

持続痙攣なし意識障害なしワクチン接種 2 日後軽快体温 365イン

フルエンザ検査陰性

因 果 関 係否定できない

(症例207)貧血熱感動悸呼吸困難(軽快)

50代 女性

既 往 歴原発性肝癌(C 型肝硬変)肝外側区肝細胞癌術後再発食道静脈瘤脾腫によ

る汎血球減少総胆管結石除去胆嚢摘出心不全貧血

経 過ワクチン接種後特に問題なしワクチン接種 6 日後熱感強い動悸息苦し

さが出現ワクチン接種 7 日後救急搬送され入院搬送中胸部を締め付け

られるような症状が 20 分持続するも到着時には軽減心電図上 ST 低下心拡

大を認める貧血に伴う心不全の可能性を考え輸血利尿剤を施行ワクチン

接種 1 週間前の検査値と比較し急激な貧血進行を認めた輸血にて症状安定循

環器科にて異常の指摘なしワクチン接種 21 日後症状軽快にて退院

因 果 関 係情報不足

(症例208)アナフィラキシー(回復)

10代 男性

既 往 歴なし(健康であり診察上問題なし体重 29kg と小柄)

経 過ワクチン接種直後眠気が出現顔面蒼白脈拍触知なしにて酸素投与点滴

を実施し他院へ搬送搬送後意識清明となりバイタル安定したが経過観

察のため入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例209)間質性肺炎急性増悪(未回復)

50代 男性

既 往 歴1 年前特発性間質性肺炎発症(Hugh-Jones 分類Ⅱ~Ⅲ度)1 年前気管支喘息

発症)9 年前高尿酸血症発症9 年前大脳血栓症発症肺線維症(薬物治

療行わず経過観察中呼吸状態安定)ワクチン接種 3 ヶ月前CT にて間質

69

性肺炎縦隔左側偏位に著変なし腫瘍気胸なし縦隔の小さなリンパ節の多

発大動脈冠動脈石灰化は著変なし胸水なし

経 過ワクチン接種 2 日前頃呼吸音増強にて救急外来を受診ワクチン接種前体温

372ワクチン接種後特に異変なしワクチン接種 2 日後高熱呼吸困難

悪化にて救急受診呼吸不全 SpO260CT にて重症両側肺炎を認め入院胸

水なし右肺有意にスリガラス影が広がりもともと陰影のない部分に間質影が

広がるインフルエンザ迅速検査にて AB 共に陰性細菌検査陰性酸素吸入

メロペム水和物シプロフロキサシン塩酸塩の投与開始するも呼吸状態増悪

画像所見増悪ワクチン接種 3 日後呼吸困難増悪にて酸素吸入増量メチルプ

レドニゾロンコハク酸エステルナトリウム投与開始集中治療室入室気管内挿

管し人工呼吸器管理ステロイドパルス療法シクロスポリンエンドトキシ

ン吸着剤を投与開始ワクチン接種 12 日後肺炎陰影改善傾向も呼吸不全遅延

再燃の可能性にて気管切開を実施ワクチン接種 17 日後人工呼吸器離脱抜

管ワクチン接種 24 日後食事開始ワクチン接種 49 日後急性胆嚢炎が出現

経皮胆嚢ドレナージを実施加療継続中間質性肺炎増悪(両側肺炎)は軽快

因 果 関 係否定できない

(症例210)アナフィラキシー反応(回復)

50代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後動悸が出現心電図異常なし皮疹なしワクチン接種 90

分後アナフィラキシーが出現経過観察のため入院ワクチン接種翌日症状

改善にて退院アナフィラキシーは回復

因 果 関 係因果関係不明

(症例211)末梢神経障害(多発性ニューロパチー)(軽快)

40代 女性

既 往 歴薬食品にて発疹蕁麻疹季節性アレルギー

経 過ワクチン接種翌日386の発熱悪寒が出現その後全身倦怠感脱力症状

全身筋肉痛後頭部~後頚部痛が出現ワクチン接種 2 日後380の発熱手足

末梢のしびれこわばり両上肢の脱力が出現ワクチン接種 3 日後ふらつき

歩行時に足をひきずる症状が出現脱力感は継続衣服の着脱不可能ワクチン

接種 4 日後体温は 370~375症状はやや軽減不眠が出現ワクチン接種 5

日後体温 37再び症状増悪構語障害歩行障害が出現脳 MRI頸椎腰

椎 X 線検査にて異常なし神経伝導検査にて神経根障害の所見を認め末梢神経

障害(多発性ニューロパシー)と診断ワクチン接種 8 日後腰椎穿刺を実施

髄液蛋白の増加はなく緊急性はないと診断されビタミン剤投薬ワクチン接

70

種 15 日後症状はやや軽減ワクチン接種 30 日後症状軽減全身倦怠感脱

力が出現ワクチン接種 37 日後軽快

因 果 関 係因果関係不明

(症例212)気分不良呼吸苦頭痛(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 10 分後呼吸苦気分不良ふらふらするような頭痛が出現血圧

90-10050-60mmHgSpO298-99胸部聴診にて異常なし点滴実施にて少し落

ち着くもややボーっとした感じあり救急車にて他院へ搬送バイタル安定

意識状態問題なし血液検査胸部レントゲン心電図にて異常なし経過観察

のため入院処置なく投与翌日退院

因 果 関 係否定できない

(症例213)喘息発作発熱(回復)

60代 男性

既 往 歴糖尿病にてボグリボースインスリングラルギンを使用中慢性呼吸不全にてツ

ロブテロールチオトロピウム臭化物水和物を使用中

経 過ワクチン接種前体温 353HbA1c75ワクチン接種翌日午後全身倦怠

感が出現ワクチン接種 2 日後374の発熱咳嗽喀痰喘息発作が出現

ワクチン接種 4 日後39以上の発熱が出現し受診白血球数増多(18400mm3)

CRP237mgdL より混合感染疑いにて入院胸部 X 腺では肺炎像なしA 型 B

型インフルエンザ検査陰性スルバクタムナトリウムアンピシリンナトリウム

投与ワクチン接種 6 日後白血球数 11800mm3ワクチン接種 7 日後午前

36台まで解熱ワクチン接種 12 日後午前咳嗽呼吸苦なしワクチン接

種 16 日後午前喘息発作発熱は回復し退院

因 果 関 係喘息は因果関係不明発熱は否定できない

(症例214)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種翌日発熱が出現ワクチン接種 3 日後嘔吐下痢あり近医に

て加療するも解熱せず軽度頭痛ありワクチン接種 19 日後当院に紹介ワ

クチン接種 21 日後入院白血球 4040mm3CRP14mgdL発熱以外の症状な

く原因となる疾患特定されないため抗生剤点滴のみにて経過観察ワクチン接

種 1 ヶ月後ふらつきが出現腱反射亢進急性散在性脳脊髄炎が出現ワクチ

ン接種 5 週間後後頭部痛が出現髄液細胞数約 300 個 mm3 に上昇MRI臨床

71

経過にて ADEM と診断ステロイドパルス開始し翌日には解熱ワクチン接種

44 日後ADEM は回復白血球数 7980mm3CRP03mgdL 以下ワクチン接種

45 日後MRI 画像上も改善ありワクチン接種 47 日後退院予定入院加療中

因 果 関 係副反応として否定できないADEM の可能性を否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

因果関係を否定することはできないと考えます

岩田先生

髄液所見MRI 所見ステロイドパルス療法への反応などから考え担当医の意見を支持い

たします myelin basic protein の上昇や髄液オリゴクローナルバンド陽性などの所見はなか

ったでしょうか

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から発熱(接種翌日)嘔吐下痢(接種 3 日目)頭痛

ふらつき腱反射亢進(接種 29 日目)頚部痛(接種 34 日目)などの症状や出現までの時

間的要素からは新型インフルエンザワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(acute

disseminated encephalomyelitis ADEM)に矛盾しないと考えられますまたMRI で所見あり

との担当医の記載がありますがADEM では頭部 MRI の T2 強調画像で高信号域を示すこ

とが特徴とされておりますのでそのような画像であったものと想像されます

中村先生

細胞数の上昇もありステロイドの反応性などからは ADEM と診断せざるをえないように

考えますMRI 結果は ADEM に合致するものであったのか(この時点であれば画像上異

常が出てもよいと思います)いかがでしょうか

埜中先生

臨床経過画像所見もありADEM と診断できる因果関係は否定できない

吉野先生

因果関係否定できないと考えます

(症例215)腹痛嘔吐(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種翌日腹痛嘔吐が出現ワクチン

接種翌日症状持続にて受診し整腸剤ドンペリドンを処方その後他院へ紹

介ワクチン接種 2 日後紹介先の医療機関を受診し虫垂炎疑いのため救急車に

て他院へ搬送され虫垂穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術ワクチン接種 2 週

間後軽快にて退院

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

72

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種実施の翌日に出現した腹痛嘔吐がその後に出現した急性虫垂

炎の初期症状とすると両者に因果関係があるとは考えにくいと思います

小西先生

腹痛嘔吐はワクチンの副作用ではなく急性虫垂炎によるものと考えられるしかしワク

チン接種のあとに急性虫垂炎が発症しているのでワクチンが急性虫垂炎の発症の誘引にな

ることがあるのかどうかについて今後同様の症例の集積に注意する必要がある

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から腹痛嘔吐出現までの時間的要素(接種翌日)からは

症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由を見つけることは難しいと言わざるを

得ないかと思いますただ患児の場合最終的に急性虫垂炎と診断されており腹痛嘔

吐は急性虫垂炎の典型的な症状です急性虫垂炎の原因は現在特定されてはおりませんが

糞便や異物細菌やウイルス感染形態的な異常などが関連しているのではないかと言われ

ています新型インフルエンザワクチンが急性虫垂炎の原因となったかどうかということで

考えてみますと臨床的には非常に推論しにくいことと思います因果関係についてはない

と考えた方が自然ではないでしょうかその意味でその他の要因と考えました

(症例216)小脳梗塞(未回復)

60代 女性

既 往 歴糖尿病高血圧症に対しニフェジピンバルサルタンピオグリタゾン塩酸塩

を投与中血圧 130~14070~80mmHg でありコントロール良好HbA1c98~85

食後 2 時間血糖値 315mgdL にてやや不良脳虚血関連症状なし脳関連検査施行

なし

経 過ワクチン接種翌日高度のめまい嘔吐が出現し医療機関に搬送頭部 MRI に

て両側小脳半球に急性期脳梗塞を認め小脳梗塞の診断ワクチン接種 2 日後

小脳梗塞にて後頭部開頭術を実施頭蓋を内圧コントロール良好一部創部感

染あり加療中ワクチン接種 38 日後小脳梗塞は未回復入院治療中創部は

MRSA 陽性

因果関係因果関係不明

(症例217)発作性上室性頻拍症(回復)

20代 男性

既 往 歴完全大血管転移症に対する心房内血管転換術で発作性上室頻拍発作性心房細

動肺静脈狭窄の既往あり

経 過本ワクチン接種 27 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 5 分後「体がえらくなった」と感じ始め安静にするも改善せず

胸部不快感が出現本ワクチン接種 20 分後自覚症状改善せず脈拍 137分血

73

圧 12664mmHg心電図検査で発作性上室性頻拍と診断抗不整脈剤の投与にて

一旦回復するも翌日まで時折短期間の発作が継続本ワクチン接種 1 時間 20 分

後動悸が出現冷水による顔面浸水(迷走神経刺激)にて発作は改善その後

入院時に体動により 120~130分迄心拍数の上昇ありホルター心電図にて頻拍発

作は認められずワクチン接種 2 日後体動時に「しんどい」との訴えあり心電

図上異常なしにて退院ワクチン接種 8 日後受診心エコー検査等に変化なし

頻拍は認めず経過観察中

因 果 関 係因果関係不明

(症例218)間質性肺炎急性増悪(軽快)

60代 男性

既 往 歴非小細胞肺癌(カルボプラチンパクリタキセルにて治療するも 4 ヶ月で再発し

たためドセタキセルにて加療中)間質性肺炎Ⅱ型糖尿病(直近 HbA1c68)

経 過本ワクチン接種 2 週間前季節性インフルエンザワクチンを接種異常なし本

ワクチン接種前体温 375ワクチン接種後発熱息苦しさが出現本ワクチ

ン接種 13 日後検査にて間質性肺炎急性増悪と診断し入院肺陰影に対して

タゾバクタムナトリウムピペラシリンを投与するも改善せずステロイドパル

ス療法を実施ワクチン接種 25 日後プレドニゾロンを処方ワクチン接種 41 日

後肺陰影改善間質性肺炎急性増悪は軽快

因果関係因果関係不明

(症例219)蜂窩織炎の疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴ワクチンによる副反応歴なし

経 過ワクチン接種後刺入部を中心に腫脹疼痛が出現祖母が患部をさすっていた

ところ悪化ワクチン接種翌日腫脹は改善せず受診上腕の末梢 23前腕脚

中枢側 13に肘を超える腫脹熱感発赤を認めたため採血白血球数 11700mm3

CRP102mgdLIgE24に対し抗生剤抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬を投与

改善傾向となるもワクチン接種 3 日後嚢胞の感染へと移行のため前腕の発赤

への移行に伴い抗生剤を投与ワクチン接種 40 日後再診にて回復を確認

因 果 関 係情報不足

(症例220)川崎病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴反復性中耳炎にてセフジトレンピボキシルを服用中平熱が 37後半の高値であ

74

経 過ワクチン接種 12 日前体温 376白血球数 12500mm3CRP01mgdLLDH333IUL

AST46IULALT23IUL免疫関係の検査にて問題なし1 回目ワクチン接種 2 日

後382の発熱急性細気管支炎が出現1 回目ワクチン接種 3 日後中耳炎が

出現処置なく帰宅1 回目ワクチン接種 4 日後白血球数 10300mm3CRP43mgdL

LDH342IULAST54IULALT36IUL1 回目ワクチン接種 21 日後2 回目ワク

チン接種2 回目ワクチン接種 2 日後夕方38前半の発熱が出現2 回目ワク

チン接種 3 日後午前咳嗽鼻汁が出現インフルエンザ迅速検査陰性体温

402 回目ワクチン接種 3 日後午前発熱 5 日目川崎病の診断基準 5 項目を

みたしγグロブリンを投与午後体温 379に解熱2 回目ワクチン接種 4 日

後体温 375白血球数 3600mm3CRP55mgdLLDH234IULAST58IUL

ALT86IUL2 回目ワクチン接種 7 日後発熱なく退院川崎病は軽快体温 374

白血球数 7800mm3CRP08mgdLLDH304IULAST60IULALT54IUL2 回

目ワクチン接種 14 日後白血球数 10900mm3CRP01mgdLLDH313IUL

AST55IULALT36IUL

因 果 関 係因果関係不明

(症例221)39以上の発熱悪寒(回復)

70代 女性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種前体温 372ワクチン接種 25 時間後40の発熱頭痛悪寒

が出現一旦 38台まで解熱したもののワクチン接種 4 日後39の発熱吐

き気食欲不振白血球 10590mm3CRP1494 mgdL抗生剤投与開始ワクチ

ン接種 7 日後体温 37白血球 6730mm3CRP702 mgdLワクチン接種 10 日

後発熱悪寒回復にて退院退院時処方としてペニシリン 5 日分

因 果 関 係情報不足調査中

(症例222)けいれん疑い(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種 36 日前に 1 回目ワクチンを接種異常なし2 回目ワクチン

接種前体温 3632 回目ワクチン接種翌日就寝中体をこわばらせている(歯

を食いしばっている)ような状態に母親が気付く1~2 分で呼びかけに応答す

るようになりその後就寝ワクチン接種 2 日後問題ないことを電話にて医療機

関に報告その後受診なし

因 果 関 係情報不足

五十嵐先生

75

新型インフルエンザワクチン接種翌日の夜間睡眠中に発熱なく体をこわばらせ歯を食い

しばっていた現象を「けいれん疑い」と判断して良いのか疑問がありますその上で因

果関係不明と判断します

岩田先生

情報不足でけいれんかどうかの確証無し

(症例223)神経原性ショック(迷走神経反射による)(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種前体温 357ワクチン接種約 5 分後立ち上がろうとして意識

喪失し床に転倒1~2 分後意識回復するも顔面蒼白四肢冷感が出現呼

びかけにかろうじてうなずく状態意識レベルⅠ-2脈拍 56分SpO280以上

直ちに血管確保酸素投与開始ワクチン接種 10 分後四肢冷感顔面蒼白は継

続脈拍 60分SpO284と改善しないためアドレナリンを投与投与直後嘔

吐認めるもSpO294~95脈拍 60~70分に改善顔色不良手指冷感は回復せず

応答もかろうじての状態ワクチン接種 15 分後ヒドロコルチゾンコハク酸エス

テルナトリウムアドレナリンを再投与その後も脈拍 80~90分SpO290~99

と不安定な状況が継続ワクチン接種 1 時間 30 分後ヒドロコルチゾンコハク酸

エステルナトリウム終了し生理食塩水の投与に変更ワクチン接種 1 時間 45 分

後意識鮮明脈拍 82分SpO299血圧 100mmHg に改善その後顔色赤味

さし良好四肢冷感もなくなり酸素投与中止脈拍 92分SpO2 98~99血圧

94mmHg と安定ワクチン接種 2 時間 30 分後自然睡眠ワクチン接種 3 時間後

自然睡眠から覚醒後尿意ありトイレにて排尿独歩可能となる脈拍 98~100

分と完全に回復会話も普段通りとなり帰宅神経原性ショックは回復

因 果 関 係否定できない

(症例224)アナフィラキシー様(回復)

70代 男性

既 往 歴急性肺炎播種性血管内凝固症候群心原性脳梗塞塞栓後右麻痺脳底動脈お

よび大脳動脈の塞栓もしくは狭窄気管切開の状態にて他院より転院し入院中

昨年より繰り返し嚥下性肺炎呼吸不全が出現

経 過ワクチン接種 1 時間後急に呼吸不全四肢チアノーゼ血圧低下が出現ルー

ト確保酸素吸入気道確保((元々カニューレは入っていなかったが気管切

開されていたのでカニューレを挿入)ショックに対してアドレナリンノルア

ドレナリンヒドロコルチゾン投与ワクチン接種翌日肝腎機能障害が出現

炎症所見も認めたAST 2489 IULALT 1093 IULLDH 1241 IULCr 273 mgdL

BUN 47 mgdLWBC 43200mm3血小板 83 万mm3CRP 6+血圧正常急性肺

炎播種性血管内が出現した様子ワクチン接種 2 日後WBC 45600mm3血小

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板 48 万mm3Hb 141gdLワクチン接種 5 日後ウリナスタチンガベキサート

メシル酸塩アンチトロンビン III 投与ワクチン接種 7 日後バイタルサイン良

好肝機能検査値 2 ケタワクチン接種 9 日後抗生剤ガベキサートメシル酸塩

投与人工呼吸器装着継続その後アナフィラキシー様反応は回復

因果関係情報不足

(症例225)アナフィラキシー(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 5 分後息苦しさ喘鳴が出現SpO296プロカテロール塩酸塩

を吸入し症状は一旦消失ワクチン接種 30 分後全身に蕁麻疹が出現紅皮症

様発疹ありしんどいとの訴えにて他院へ救急搬送バイタル安定発熱なし

呼吸状態改善ワクチン接種部位が 5 径位に腫脹非重症だが入院血液検査

異常なし意識鮮明のため血圧測定は実施せずステロイド点滴を施行ワクチ

ン接種翌日アナフィラキシーは回復し退院

因 果 関 係否定できない

(症例226)中毒疹(紫斑型)(回復)

40代 男性

既 往 歴糖尿病陳旧性心筋梗塞高脂血症飲酒月数回

経 過ワクチン接種翌日右足関節部に紫斑が出現徐々に四肢腹部背部に拡大

DLST1652 倍陽性ワクチン接種 7 日後受診しステロイドを投与ワクチン接

種 9 日後症状変化なく入院にてステロイドを投与ワクチン接種 17 日後

退院ワクチン接種 21 日後パッチテストを実施ワクチン接種 23 日後絆創膏

のかぶれがひどいためパッチテスト判定不能紫斑が再発ワクチン接種 47 日

後ステロイド投与継続中紫斑は減じている

因 果 関 係因果関係不明

(症例227)ショック(血管迷走神経反射疑い)(回復)

10歳未満 女性

既 往 歴11 ヶ月前号泣後気分不良痙攣様症状が出現食物アレルギーなし他ワク

チンにて異常歴なし

経 過ワクチン接種前体温 374ワクチン接種 5 分後顔面蒼白気分不良が出現

直後に意識レベル低下呼びかけに反応なしその後5 分程度で意識レベルは回

復するも救急搬送医療機関到着時意識は正常へ回復体温 369処置なく

帰宅ワクチン接種翌日普段通りまで回復し来院

因 果 関 係否定できない

77

(症例228)発熱高 CK 血症(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴脳性麻痺痙性四肢麻痺症候性てんかん発熱時の筋緊張亢進高 CK 血症にて

セレン欠乏疑い関節脱臼により筋緊張亢進の既往あり低酸素脳症てんかん

精神遅滞

経 過ワクチン接種翌日筋緊張の亢進「アーアー」と発声ワクチン接種 4 日後

体温 387の発熱が出現けいれん様の筋緊張亢進にて入院2000IUL 以上の高

CK 血症に対し点滴ダントロレンを投与にて発熱経過CK 値回復せず入院

ワクチン接種 13 日後解熱し軽快既往より関節精査したところ肩関節股

関節の脱臼ありワクチン接種約 1 ヵ月後退院

因 果 関 係因果関係不明

(症例229)橈骨神経運動麻痺(未回復)

80代 男性

既 往 歴肺気腫圧迫骨折(治療中であり歩行には杖使用)にて治療中

経 過ワクチン接種前体温 363ワクチン接種 2日後左上肢の麻痺にて力がはい

らずものがつかめない左橈骨神経麻痺が発現ワクチン接種 6日後整形外科を

受診ワクチン接種 14 日後筋電図測定にて筋力低下と診断ワクチン接種 34 日

後メコバラミンを処方左手指の屈曲可伸展不可を確認ワクチン接種約 3ヶ

月後左橈骨神経麻痺は未回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

中村先生

橈骨神経麻痺であれば一般的にある上腕外側の圧迫によるものの可能性が高いと思われま

埜中先生

筋電図の結果がわからず評価できない症状からはたぶん因果関係はない

吉野先生

因果関係否定できず

(症例230)注射部位腫脹(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴6 年前季節性インフルエンザワクチン接種時に腫脹あり

経 過ワクチン接種 15 分後軽度の接種部位の発赤腫脹が出現ベタメタゾンプロピ

オン酸エステルを塗布ワクチン接種翌日更に接種部位発赤腫脹(肘はこえ

ず)にて医療機関を受診ロラタジンケトプロフェン外用薬処方ワクチン

接種 2 日後接種部位から肘を超えて異常に腫脹受診プレドニゾロンd-ク

78

ロルフェニラミンマレイン酸塩を処方ワクチン接種 3 日後午前さらに腫脹

は悪化疼痛そう痒感により夜間不眠の訴えあり入院ルートの確保ヒド

ロキシジン塩酸塩静注ワクチン接種 4 日後疼痛痛みは軽減肘も動かせる

ようになるワクチン接種 5 日後ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸

塩を処方し退院ワクチン接種 8 日後午前腫脹は改善傾向接種部位の異

常腫脹は軽快ロラタジンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩処方ワクチン接

種直後より軽度腫脹が出現

因 果 関 係否定できない

(症例231)天疱瘡(未回復)

60代 女性

既 往 歴天疱瘡(ステロイドは使用しておらず状態安定)

経 過ワクチン接種 2 日後頃口腔内の水疱潰瘍の増悪が出現プレドニゾロン投与

にて改善せず他院へ紹介入院ワクチン接種約 2 ヵ月後入院

因 果 関 係因果関係不明

(症例232)発熱けいれん(回復)

10歳未満 男性

既 往 歴咳嗽鼻漏以前に他のワクチン接種後に副反応なし熱性けいれんの既往なし

経 過本ワクチン接種 31 日前季節性インフルエンザワクチン接種接種後問題なし

本ワクチン接種 2 日前咳が出現本ワクチン接種前日夜378の発熱が出現

本ワクチン接種前体温 367軽度の咳鼻汁あり本ワクチン接種 3 時間後

39台の発熱その 30 分後約 15 分間の全身性間代性けいれんが出現医療機

関へ緊急搬送受診時けいれんなし四肢の硬直意識レベル低下ありジア

ゼパムを投与にて硬直は消失入院発熱咳あり胸部 X 線にて肺炎の所見

あり酸素プロカテロール塩酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩セフォタキ

シムナトリウムを投与ワクチン接種 7 時間後39台の発熱全身性間代性け

いれんが再出現ミダゾラムを投与開始その後けいれんなし頭部 CT髄液

検査で異常なしワクチン接種翌日覚醒しけいれんなしミダゾラム投与中

止ワクチン接種 2 日後解熱喘鳴が出現メチルプレドニゾロンコハク酸エ

ステルナトリウム投与ワクチン接種 6 日後喘鳴軽減メチルプレドニゾロン

コハク酸エステルナトリウム投与中止ワクチン接種 8 日後咳は軽減し全身

状態もよく神経学的異常なく退院発熱けいれんは回復

因 果 関 係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

79

既にウイルス感染症に罹患して咳嗽鼻汁が出現している状態に新型インフルエンザワクチ

ンを接種しその 3 時間後に発熱痙攣が生じていますワクチンによりこれらの症状が生

じたのではなく原病のウイルス感染症が原因と推定します

岩田先生

発熱については因果関係が否定できないけいれんについては熱性けいれんの可能性が高い

と考えられるため因果関係不明とします

(症例233)アナフィラキシーけいれん蒼白意識消失脈圧低下(軽快)

10代 男性

既 往 歴他のワクチン接種にてアナフィラキシーけいれんの既往歴なし

経 過ワクチン接種直後間代性けいれん顔面蒼白意識消失が出現脈拍微弱血

圧 10050mmHg直ちに酸素吸入 3L分デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ

ムを投与しショック体位をとり経過観察約 10 分後けいれんは消失脈が少

し触れるようになる顔面に少し赤みが認められた名前を呼ぶと返事をする

ようになるワクチン接種約 40 分後血圧 10254mmHg座位が可能になるワ

クチン接種約 1 時間後介助にて歩行可能となり帰宅

因 果 関 係血管迷走神経反射として否定できない

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザ予防接種直後に間代性痙攣意識消失と顔面蒼白が生じ治療にて 10

分後に痙攣が消失し意識も戻り顔色も良好になった患児です予防接種との因果関係が

あると考えますただし患児に生じた事象を記載通り「アナフィラキシー」として診断し

て良いのか少し疑問があります喘鳴呼吸困難などの気道狭窄症状や蕁麻疹などの発疹の

記載がなく脈拍が触れにくいとの記載があるものの血圧の低下はみられていません

岡田先生

循環器の大症状は認められるがその他の器官の症状は記載されていないことから必須条

件を満たさないカテゴリー5 と考える

金兼先生

神経因性反射と考えられアナフィラキシーの可能性は少ないと思われます

是松先生

ワクチン接種が引き金となった迷走神経反射を疑います

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から間代性けいれん等出現までの時間的要素(直後)か

らは症状とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます担当

医からの指摘はありませんが記載されたエピソードからはいわゆる血管迷走神経反射性

失神にも矛盾しないと思います私自身は経験したことがないですがワクチン接種後の血

80

管迷走神経反射は事項としてよく知られていますまた血管迷走神経反射でけいれんを起

こすことも知られているようですこれらは添付文書上のショックで読み込めると思います

森田先生

心因反応と考えます

(症例234)無熱性けいれん(後遺症)

10歳未満 男性

既 往 歴けいれんてんかんの既往無ワクチン接種によるけいれんの既往無し食物ア

レルギー無家族歴無

経 過ワクチン接種 1 時間半後帰宅直後無熱性けいれんが出現救急搬送されジ

アゼバム静脈内注射にてけいれん意識とも回復ワクチン接種翌日搬送先

医師に状態確認意識あり口角がつりあがり麻痺が少し残存CT 検査では異

常なし退院時には右半身の麻痺消失

因果関係調査中

(症例235)子宮内胎児死亡(不明)

20代 女性

既 往 歴未治療の C 型肝炎(第 3 子妊娠時に診断症状なく治療なし)トリコモナス性

外陰部膣炎(未治療)アレルギー性鼻炎(未治療)今回が 4 回目の妊娠であり

これまで 3 回の正常分娩歴あり

経 過ワクチン接種約 1 ヵ月半前(妊娠 6 週)少量の出血トラネキサム酸イソクス

プリン塩酸塩を投与ワクチン接種 1 ヶ月前(妊娠 13 週と 1 日)切迫流産の診

断にて当院に受診当院受診当日超音波検査で胎児の心拍を確認胎児発育

曲線(CRL)59ピペリドレート塩酸塩を投与するとともに新型インフルエンザワ

クチン接種ワクチン接種 6 日後発熱ありインフルエンザ検査陰性だがイン

フルエンザ罹患可能性考慮しオセルタミビルリン酸塩を投与し解熱ワクチン

接種 21 日後発熱が再度出現アセトアミノフェンを投与し解熱ワクチン接

種 28 日後(妊娠 17 週)再診にて胎児の心拍がなく子宮内胎児死亡と診断

死産となる(体重 35kg身長 10 )サイズから推察して死亡時期はワクチン

接種 21 日後頃と思われる死産された児は死後しばらく経過していたが明ら

かな外表奇形は認められなかった

因果関係因果関係不明

専門家の意見

田中政信先生

その他の要因と思われますが流産(IUFD)の原因は多岐にわたりワクチン接種を施行し

ない場合でもIUFDになった可能性もある最終的には情報不足とします

名取先生

81

今回のケースは子宮内胎児死亡(流産)というのが適切な事象名であると考えられる妊娠

22 週以前に生じた流産と 22 週以降に生じた胎児死亡とではかなりインパクトが違うため

事象名についてもコメントしました

1)ピペリドレートは切迫流産の治療薬として使用されてきた長い歴史があり流産のリス

クを増大させるとの報告はない

2)流産の頻度は約 15心拍動が観察されるまでに発育した後の流産の頻度は 1~2とさ

れている

3)インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたとする報告はある

4)現在までインフルエンザワクチンまたはタミフルの投与が流産のリスクを増大させると

の報告はない

5)国立成育医療センターにおいて妊娠中にインフルエンザワクチンが投与された例数は約

500 例であり流産はない(流産は多くは初期に起こり妊娠 13 週位であれば流産の頻度

は低いそのため成育医療センターで本症例と同様の事例が起こっていないことに矛盾は

ない)

以上より流産とインフルエンザワクチンまたはタミフル投与の間に因果関係が存在すると

は言えない

三橋先生

因果関係不明

(症例236)血圧低下(回復)

70代 男性

既 往 歴腎硬化症から CKD ステージ 5 の慢性腎不全となり血液透析中(透析中の血圧

変化の既往なし)身体障害者1級

経 過ワクチン接種前血圧 11359mmHg体重増加があったため除水速度上限 650mLh

にて透析開始し 3 時間 30 分後やや気分不快の徴候あるも大丈夫との本人が述

べたためワクチン接種約 2 分後意識レベル低下冷汗など血圧低下症状が認

められたため透析中止収縮期血圧 50mmHg 台生理食塩水 100mL 投与するも

血圧回復せず酸素吸入計 500mL の生理食塩水投与により収縮期血圧 100mmHg

程度まで回復起立可能となり経過観察後帰宅帰宅後およびワクチン接種

翌日電話にて血圧正常発熱なしを確認

因果関係因果関係不明

(症例237)急性呼吸窮迫症候群(回復)

70代 男性

既 往 歴慢性閉塞性肺疾患肺気腫(在宅酸素療法中)肺炎増悪による入退院を繰り返

していたワクチン接種 26 日前まで細菌性肺炎による急性増悪にて入院

82

経 過ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 2 日

後突然の呼吸苦が出現医療機関に搬送酸素吸入 O25L分下 SpO243高度の

呼吸不全急性発症あり呼吸苦あり低酸素血症あり心不全なし胸部 CT に

て両側肺にびまん性スリガラス影にて急性呼吸窮迫症候群と診断血液喀痰培養

にて感染源特定できずCRP 上昇人工呼吸器にて呼吸管理下ステロイド抗生

剤を投与し改善本ワクチン接種 4 日後人工呼吸器より離脱本ワクチン接種

15 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例238)アナフィラキシー(回復)

80代 男性

既 往 歴てんかん(バルプロ酸ナトリウムエペリゾン塩酸塩服用中だがコンプライア

ンス不良)喉頭癌手術慢性硬膜下血腫薬物性肝機能障害季節性インフルエ

ンザワクチン接種後のアナフィラキシー既往なし

経 過本ワクチン接種 1 ヶ月以内に季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後呼吸困難が出現動脈血酸素飽和度 90程度に低下両肺野で喘鳴聴取X

線検査にて肺所見あり意識レベル低下吐気が出現血圧低下皮膚症状など

の他症状なし輸液ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム酸素吸入

にて症状軽快

因 果 関 係否定できない

(症例239)ギランバレー症候群(フィッシャー症候群)(未回復)

70代 男性

既 往 歴糖尿病に対しインスリン治療中(血糖変動激しくしばしば低血糖発作あり)

糖尿病性腎症末梢神経障害の合併症

経 過ワクチン接種 12 日後両手の感覚障害が出現ワクチン接種 14 日後四肢の脱

力が出現起立に介助を必要とし歩行不能ワクチン接種 15 日後神経内科受

診意識鮮明血圧 199106mmHg心拍数 101分酸素飽和度 100体温 365

眼球運動障害複視瞳孔不同(右 4mm左 3mm)あり対光反射なしその他

脳神経麻痺なし四肢筋力は 4 程度握力 143kgw155kgw四肢躯幹失調あり

神経伝達検査にて脛骨神経腓骨神経の運動神経伝導速度が低下F 波出現率

10~15潜時延長正中神経の運動神経伝導速度は軽度の低下F 波出現率 25

上下肢とも知覚神経伝導速度は誘発されず脱随性ニューロパチーの所見より

フィッシャー症候群ギランバレー症候群と診断免疫グロブリン投与開始ワ

クチン接種 21 日後症状は進行性で筋力 2~35 の状態呼吸機能は現在のところ

保持されている

因 果 関 係副反応として否定できないギランバレー症候群を否定できない

83

専門家の意見

中村先生

髄液検査で蛋白の上昇がないのは典型的ではありませんが臨床経過末梢神経伝導検査か

らは FSGBS を否定できません

埜中先生

発症時期症状検査所見からギランバレー症候群(一部中枢神経症状ありフィッシャー

症候群も加味している)と診断できる

吉野先生

ワクチン接種後の GBSFisher 症候群で因果関係否定できないと考えます

(症例240)嘔吐じんましん下痢(未回復)

60代 女性

既 往 歴高血圧(内服薬にてコントロール中)

経 過ワクチン接種後就寝前に嘔吐が出現その後嘔気を伴わない嘔吐が継続ワ

クチン接種 3 日後全身に掻痒感を伴う皮疹が出現医療機関受診し抗アレルギ

ー治療を行うも難治であり嘔吐に加え下痢も出現したことから救急搬送抗高

血圧薬中止ステロイド点滴抗ヒスタミン剤を施行その後ステロイドは減量

ワクチン接種 5 日後ステロイド投与終了抗高血圧薬再開抗ヒスタミン薬継続

皮膚生検の結果はワクチンへの反応として矛盾しない

因果関係因果関係不明

(症例241)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴無

経 過2 回目ワクチン接種後特に症状なし2 回目ワクチン接種 19 日後夜咳38

台の発熱が出現2 回目ワクチン接種 20 日後受診血小板数数 27 万mm3 にて

他院紹介2 回目ワクチン接種 22 日後血小板数数 35 万mm3ウイルス検査で

はインフルエンザRS ウイルス溶連菌アデノウイルスは陰性骨髄検査に

て白血病は否定巨核球増加巨核球に付着する正常血小板像は認められず一般

的に特発性血小板減少性紫斑病に見られる所見であり診断入院血小板数から小

児の特発性血小板減少性紫斑病治療の対象とならないため無治療にて経過観察

ワクチン接種 25 日後血小板数は 53 万mm3 に上昇ワクチン接種 26 日後血

小板数は 60000 mm3軽快にて退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

84

新型インフルエンザワクチン接種による一過性の血小板減少性紫斑病は否定できませんた

だし直前の感冒罹患による影響も考えられます

岩田先生

接種から 3 週間近く経過しており特発性血小板減少性紫斑病発症前に先行感染を思わせる

症状が認められているためその他の要因と考える発熱の原因等が分かればワクチンと関

連性のないことがより明らかとなる

土田先生

新型インフルエンザワクチン接種から血小板減少性紫斑病診断までの時間的要素(1 ヶ月以

内)からは診断とワクチンとの因果関係を否定する合理的理由は見当たらないと考えます

新型インフルエンザワクチン予防接種後副反応報告についての副反応報告基準には血小板

減少性紫斑病は症状発生まで 28 日以内と記載されていますまたウイルス感染罹患後の

血小板減少性紫斑病発症以外にも麻疹ワクチン風疹ワクチンおたふくかぜワクチンや

DPT ワクチン等の接種後に血小板減少性紫斑病を発症することはよく知られているかと思

います

(症例242)高熱(回復)

60代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種約 4 時間後382の発熱悪寒倦怠感が出現ワクチン接種約 6

時間後体温 38となり医療機関受診インフルエンザ簡易検査陰性接種部

位の発赤発疹呼吸困難浮腫はなしアセトアミノフェンセフジニル処方

ワクチン接種 2日後受診症状わずかに持続CRP1094mgdL白血球数 6600mm3

肝機能異常なしワクチン接種 5 日後受診体温 363症状は全て消失イン

フルエンザ簡易再検査陰性全身状態は異常なし

因 果 関 係否定できない

(症例243)発疹疲労感眠気(軽快)

70代 女性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種後帰宅中だるさ眠気が出現ワクチン接種 2 日後頭皮まで

及ぶ全身発疹労作時呼吸困難動悸が出現発熱はなし食思不振は 1 ヶ月持続

因 果 関 係調査中

(症例244)腹痛胃腸炎ショック(回復)

70代 女性

既 往 歴高血圧高脂血症(薬物療法にてコントロール良好)狭心症胃炎不安障害

85

経 過ワクチン接種前の体温 355ワクチン接種後入浴就寝は通常通りワクチ

ン接種翌朝食事準備中腹痛気分不良が出現接種医療機関へ救急搬送血圧

880(測定不能)mmHg体温 337意識不鮮明四肢冷感顔色不良にて他

院へ転院補液を実施し胃腸炎として帰宅循環障害は回復微生物検査等の実

施なし下痢なし上腹部痛が強かったため胃カメラ勧めるも拒否ワクチン接

種 3 日後接種医療機関受診腹部エコーにて胆嚢肝臓は特に異常なし摂食不

可にて点滴施行ワクチン接種 6 日後腹部膨満感の訴えあり排便なしにて下剤

処方ワクチン接種 7 日後胸部 X 線にて特に異常なし上腹部痛持続にてモサ

プリドクエン酸塩ファモチジン抗コリン薬アズレンスルホン酸ナトリウム

L-グルタミン処方ワクチン接種 11 日後上腹部痛軽快摂食可能

因果関係因果関係不明

(症例245)発熱低酸素血症(回復)

90代 女性

既 往 歴栄養不良で老人保健施設に入所後37前後の微熱持続腸炎気管支炎になり

やすい状態と考えられた

経 過ワクチン接種前体温 36心呼吸異常ないことを確認ワクチン接種後夜

38の発熱が出現ワクチン接種翌日早朝体温 392SpO284~85に低下

肺炎疑いにて医療機関に搬送入院胸部 CT 等にて肺炎は否定的室内気 SpO290

以下と低酸素血症を認めたため肺塞栓症心不全疑いにて検査するも否定的経

過観察するも SpO2低下なし入院時CRP7mgdL にてエンピリック療法として

セフタジジム水和物 5 日間投与し治療終了症状なく安定にて退院ワクチン

接種前体温 36心呼吸苦は異常なしワクチン接種後夜38の発熱が

出現ワクチン接種翌日早朝体温 372SpO284~85に低下肺炎疑いにて

医療機関に搬送入院

因果関係因果関係不明

(症例246)全身発赤掻痒感(回復)

80代 男性

既 往 歴大腸癌術後

経 過本ワクチン接種約 1 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種翌日全身の痒み発赤が出現ワクチン接種 2 日後救急外来受診コハク酸

ヒドロコルチゾンナトリウムグリチルリチングリシンシステイン投与徐々

に症状軽快ワクチン接種 45 日後症状軽快

因果関係否定できない

(症例247)左突発性難聴(不明)

86

80代 男性

既 往 歴胃潰瘍脳出血慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎の既往歴高血圧慢性胃炎

不眠症狭心症脳梗塞後遺症にて通院中 以前から高齢者特有の高音域の聴力

低下による難聴(特に左耳)があった

経 過本ワクチン接種約 2 ヵ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接

種後異常なく帰宅ワクチン接種翌日起床時左耳鳴り聴力低下に気づく

ワクチン接種 2 日後耳鼻科受診左耳聴力に著明な低下(50-70dB)が認められ

突発性難聴と診断し加療

因果関係因果関係不明

(症例248)ショック(回復)

10歳代 男性

既 往 歴なし

経 過ワクチン接種 15 分後ふらつき歩行困難顔面蒼白血圧低下 84mmHg脈拍

40分の徐脈SpO292が出現ワゴトニー様症状を伴うショック症状となる補

液ステロイドカテコラミン酸素投与ワクチン接種 50 分後SpO299に回

復脈拍 42分硫酸アトロピン投与しベッド臥床ワクチン接種 4 時間後血

圧 11070mmHgSpO299脈拍 55分と改善にて帰宅

因果関係調査中

(症例249)血小板減少性紫斑病(軽快)

10歳未満 男性

既 往 歴 無

経過 ワクチン接種前体温 364ワクチン接種 13 日後出血斑が出現ワクチン接

種 15 日後受診血小板 08 万μL にて入院臨床所見髄液所見(巨核球細胞

数増加全体的に正常像)より血小板減少性紫斑病と診断ワクチン接種 16 日後

ガンマグロブリン療法を実施するも血小板数回復せずワクチン接種 24 日後プ

レドニゾロン内服ワクチン接種 28 日後血小板数 2000mm3ワクチン接種 37

日後ガンマグロブリン療法施行ワクチン接種 52 日後血小板減少性紫斑病は

軽快し退院血小板数 58 万μL に回復にてプレドニゾロン漸減し内服継続

ワクチン接種 57 日後血小板数 44000mm3

因果関係因果関係不明

(症例250)血管迷走神経反射(回復)

10代 女性

既 往 歴無

87

経 過 ワクチン接種 15 分後気分不良顔面蒼白が出現血圧 6045mmHgPR45SpO298

臥位にて閉眠で応答同日夜症状は改善

因果関係因果関係不明

(症例251)発熱敗血症(未回復)

80代 男性

既 往 歴無

経 過ワクチン接種 4 日後嘔気発熱 393が出現白血球数 10800mm3CRP18mgdL

出現腸炎として加療インフルエンザ簡易検査では陰性であるがオセルタミビ

ルリン酸塩を投与ワクチン接種 6 日後微熱血圧 80 台白血球数 29200mm3

CRP212 mgdL敗血症の所見あり他院にて頭部胸部腹部 CT 検査では異

常なし

因果関係因果関係不明

(症例252)高熱(軽快)

70代 男性

既 往 歴慢性呼吸器疾患(酸素吸入不要吸入薬にてフォロー中)肺炎の既往歴なし

経 過ワクチン接種 5 日後38の発熱が出現ワクチン接種 8 日後体温 375咽

頭痛咳鼻汁痰消化器症状はなしワクチン接種 9 日後38の発熱が出現

し医療機関を受診咽頭発赤なしインフルエンザウイルス簡易検査陰性呼吸

器科を受診しレントゲンにて肺炎と診断細菌検査陰性入院抗菌剤投与にて

効果なくプレドニゾロン内服にて回復ワクチン接種 24 日後軽快にて退院

外来でプレドニゾロン 5mgday治療中ワクチン接種 2ヶ月半後肺炎症状ないが

レントゲンにて左肺尖部の陰が残存にて治療継続中

因果関係因果関係不明

(症例253)脳梗塞(後遺症呂律が回らないが日常生活に支障がない程度)

70代 女性

既 往 歴糖尿病にて通院中網膜症腎症神経障害などの合併症なし高血圧などなし

(HbA1c7台後半で推移1 月 762 月 78)

経 過ワクチン接種後ふらつきめまい呂律がまわらない症状が出現ワクチン接

種 75 分後再来院神経学的所見に大きな異常認めず帰宅ワクチン接種翌日

症状持続のため来院頭部 CT にて脳梗塞を認め入院オザグレルナトリウム

エダラボンを投与リハビリを経てワクチン接種 16 日後退院

因果関係因果関係不明

(症例254)無菌性髄膜炎(回復)

88

10代 男性

既 往 歴喘息アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎アトピー性皮膚炎にて通院中

受診時に鼻閉症ありロラタジン服用中

経 過ワクチン接種前体温 362頭痛ありワクチン接種翌日発熱頭痛吐気

が出現頭痛は継続クラリスロマイシンカルボシステインシプロヘプタジン

塩酸塩ジメモルファンリン酸塩を投与アセトアミノフェンを頓用で処方ワク

チン接種 4 日後脳 CT は正常範囲内症状は継続し異常言動が出現インフル

エンザ簡易検査 2 回実施したが共に陰性ワクチン接種 6 日後入院食事不可の

ため輸液を実施ヘルペス性の無菌性髄膜炎を懸念しアシクロビルを投与皮膚

症状なしワクチン接種 7 日後髄液検査で細胞増多所見あり(細胞数 925mm3

リンパ球 898mm3好中球 10mm3単球 17mm3タンパク 85mgdLブドウ糖

59mgdL)ワクチン接種 8 日後咽頭鼻腔検体の PCR 検査にてインフルエン

ザウイルス陽性ザナミビル水和物投与ワクチン接種 30 日後無菌性髄膜炎

は回復し退院

因果関係因果関係不明

専門家の意見

五十嵐先生

新型インフルエンザワクチン接種時にすでに新型インフルエンザに感染しており(頭痛はそ

の初期症状)無菌性髄膜炎にまで至った症例と考えますワクチン接種との因果関係はな

いと判断します

岩田先生

インフルエンザ罹患に伴う症状と考えます

(症例255)小脳出血(調査中)

90代 男性

既 往 歴さばアレルギー高血圧(投薬歴ありコントロール良好にて現在投薬なし)3

年前脳梗塞にて左片麻痺2 年前嚥下性肺炎(胃ろう造設後は発現なし)経

口摂取不良にて胃ろう造設(平成 21 年)ほぼ寝たきり

経 過ワクチン接種前体温 366ワクチン接種後異常なしワクチン接種翌日

朝意識レベル低下が認められる意識レベルは 3 桁(開眼しないが応答あり)

嘔吐なしSpO280に低下にて酸素 5L分程度投与他院を受診し頭部 CT に

て小脳出血脳室穿破胸部 CT で肺炎が認められた入院小脳出血は小さかった

ため保存的治療を実施肺炎に対しては誤嚥性かどうか不明ではあるが抗生

剤を投与ワクチン接種約 1 ヶ月後症状は軽快めまい吐き気なし意識レベ

ルADL(もともとほぼ寝たきり)は発症前と変化なし下肢拘縮は進行

因果関係因果関係不明

89

(症例256)発熱(39)肺膿瘍(軽快)

60代 男性

既 往 歴大腸癌 stage1 術後(1~2 年前)早期癌であり現在 PS 0化学療法は行ってい

ない逆流性食道炎に対しアズレンスルホン酸ナトリウム配合剤ロキサチジンを

投与中ヨード系造影剤で発疹レボフロキサシン水和物で気分不良あり

経 過ワクチン接種前体温 367ワクチン接種 2 日後393の発熱が出現以後

10 日間ほど微熱継続ワクチン接種 5 日後咳が出現ワクチン接種 14 日後

医療機関に受診胸部 X 線で右肺に SOL 指摘され肺癌の疑いワクチン接種 18

日後PET にて腫瘍または炎症と診断ワクチン接種 27 日後大腸癌術後の定期

検診のため消化器科を受診健康状態聴取にて肺の異常あり胸部 CT で肺膿瘍

と診断多少の咳き込みがあり同日呼吸器内科受診肺膿瘍に対し外来処置

にてセフジトレンピボキシルを処方ドレーン留置等も実施せずワクチン接種

34 日後定期検診の際に呼吸器内科を再受診しカルボシステインデキスト

ロメトルファンテプレノンを処方ワクチン接種 64 日後定期検診のため受診

咳なし発熱なしCT 画像でも膿瘍部はほとんど消失肺膿瘍は軽快と判断

因果関係因果関係不明

(症例257)冠攣縮性狭心症疑い(軽快)

50代 男性

既 往 歴高 LDL 血症に対してスタチン服用中循環器系疾患の既往歴なし数十年前まで

喫煙習慣あり兄に心筋梗塞の既往歴あり

経 過ワクチン接種 7 時間後歩行中胸部圧迫感胸痛が出現ワクチン接種翌日

同様症状が出現循環器科に緊急入院心臓カテーテルを実施するも有意の狭窄

なし心筋梗塞は否定エコーにて血流が悪い部位があったためニコランジル内

服するもほてり顔面紅潮が出現にて 2 日で中止血流遅延は回復その後治

療不良と判断ワクチン接種 5 日後冠攣縮性狭心症疑いは軽快し退院

因果関係因果関係不明

(症例258)右の耳鳴り左の耳閉感(未回復)

70代 女性

既 往 歴医薬品食品による発疹蕁麻疹

経 過ワクチン接種前体温 364異常なしワクチン接種後著変なしワクチン

接種翌日右耳の耳鳴りが突然出現その後左耳の耳閉感が出現し耳鼻科を受

診中耳炎の診断にて投薬ワクチン接種 19 日後本ワクチン接種医療機関を受

診し他の医療機関へ紹介ワクチン接種 22 日後過労性の疑いがある右混合性

難聴の診断突発性難聴に準じてステロイドパルス療法開始

因果関係 調査中

90

(症例259)呼吸が浅くなる(後遺症気管切開嚥下困難)

70代 男性

既往歴 慢性腎不全糖尿病高血圧にて通院中アレルギーなしワクチン接種 1 ヶ月

前右膿胸にて入院しドレナージ実施心不全傾向あり血液透析開始予定であ

った

経過 ワクチン接種翌日回診時異常なしその 1 時間後呼吸が浅くなり呼吸停

止の恐れがあったため挿管人工呼吸器装着し血液透析を開始(以後3 回

週)同日中に抜管ワクチン接種 2 日後再び呼吸が浅くなり挿管ワクチン

接種 3 日後一旦抜管するもその 2 時間半後浅い呼吸となり挿管ワクチン

接種 7 日後気管切開酸素吸入(5L分以下)を開始ワクチン接種 9 日後中

心静脈栄養開始ワクチン接種 17 日後夜間の不定期な呼吸停止が出現睡眠時

無呼吸症候群症状の可能性が高いため経鼻持続陽圧呼吸療法を実施ワクチン接

種 41 日後嚥下困難にて胃瘻造設ワクチン接種 45 日後より経腸栄養投与開始

痰が絡み嚥下が行えないため気管切開状態を継続ランソプラゾールブロチゾ

ラムを投与中血糖血圧安定にて糖尿病用薬降圧薬の投与なし状態は安定

因果関係 因果関係不明

(症例260)間質性肺炎急性増悪(後遺症高度呼吸不全)

70代 男性

既往歴 喫煙歴あり慢性肺気腫(治療なし経過観察中)3 年前肺癌切除前立腺肥

大症(治療中)虚血性心疾患(高血圧に対して降圧剤を服用中)が強いワクチ

ン接種 3 ヶ月前より強い息切れが出現肺炎と診断し(アスペルギルスマイ

コプラズマ陰性)気管支拡張剤にて対処療法

経過 本ワクチン接種 14 日前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種 6

日前肺炎球菌ワクチン接種本ワクチン接種前体温 368本ワクチン接種後

特に問題なしワクチン接種 22 日後受診したが異常なし本ワクチン接種 27 日

後頃から息切れ増強本ワクチン接種 32 日後受診胸部 X 線にて肺に陰影あ

りSpO289~90間質性肺炎増悪が出現ワクチン接種 33 日後うっ血性心不全

の可能性を考え循環器科を紹介心機能に問題なし本ワクチン接種 34 日後

呼吸器科に入院急激な症状悪化および白血球数 9650μLCRP23mgdL と炎症反

応上昇にて気道感染を契機とした間質性肺炎増悪と診断パズフロキサシンメ

チルプレドニゾロンを投与その後呼吸状態安定LDH 低下炎症反応改善に

て加療なく経過観察本ワクチン接種 50 日後退院在宅酸素療法導入

因果関係 因果関係不明

(症例261)脳炎(調査中)

91

60代 男性

既往歴 無

経過 ワクチン接種 6 日後頭痛が出現ワクチン接種 7 日後医療機関受診頸部強

直なし抗生物質感冒薬を投与ワクチン接種 8 日後385の発熱が出現頭

痛増強ワクチン接種 9 日後頭痛増悪を訴え来院髄膜炎疑いにて神経内科に

紹介ワクチン接種 9 日後入院呼吸悪化にて人工呼吸器装着ワクチン接種

14 日後けいれんが出現したため鎮静薬投与ワクチン接種 1 ヶ月後人工呼吸

気離脱陽圧式人工呼吸器にて観察中髄液検査にて細胞数 300mm3多核球上昇

CTMRI 検査にて異常なし脳波は異常あり(徐波)PCR にて EB ウイルス陽性

因果関係 調査中

専門家の意見

吉野先生

因果関係不明であると思います

EBウイルスのDNA検出されていますのでこれによる脳炎の可能性は高いと思いますが

多核球優位は通常ウイルス性脳炎としては珍しいですワクチン接種後 1 週間での発症でも

あり因果関係全く否定することは難しいように思います

(症例262)ギランバレー症候群(軽快)

70代 男性

既往歴 慢性鼻副鼻腔炎に対しクラリスロマイシンエピナスチン塩酸塩L-カルボシ

ステイン投与中前立腺癌術後尿道狭窄術後腹壁瘢痕ヘルニア脂質異常症に

対してピタバスタチンカルシウム投与中

経過 ワクチン接種 14 日後左下肢のしびれ疼痛が出現し背中から肩へ上行同時

に右上肢脱力が出現ワクチン接種 14 日後受診消炎鎮痛貼付剤処方ワク

チン接種 17 日後右上肢挙上困難悪化にて整形外科受診ザルトプロフェン

チザニジン塩酸塩テプレノン処方後日検査予定となる疼痛消失傾向筋力

低下増悪歩行障害が出現ワクチン接種 19 日後検査目的で受診杖なしの歩

行は困難ワクチン接種 21 日後整形外科的に症状説明つかず脳脊髄神経系障

害疑いにて脳神経外科に紹介ギランバレー症候群疑いにて精査加療目的で入院

四肢筋力低下(右優位近位筋優位)四肢深部腱反射消失嗄声あり電気生理

学的に脱髄障害パターンを認める髄液検査にてタンパク細胞乖離ありワクチン

接種 22 日後神経伝導検査に異常ないが右上肢筋力低下進行のため頸髄 MRI

にて脊髄梗塞否定した上で免疫グロブリン療法開始血液検査にてビタミン欠乏

否定ワクチン接種 26 日後免疫グロブリン療法終了神経伝導検査にて複数の

運動神経で遠位潜時延長を認める(速度は正常下限)症状は加療中に進行し両

側末梢性顔面神経麻痺も出現ワクチン接種 27 日後症状改善傾向以降再燃

なしワクチン接種 40 日後右上肢の軽度な筋力低下下肢深部覚障害四肢の

92

筋萎縮歩行時の軽度ふらつきを認めるまでに改善

因果関係 副反応として否定できないギランバレー症候群の可能性を否定できない

専門家の意見

中村先生

報告の時間的経過や検査結果からは GBS が否定できません

埜中先生

臨床症状検査所見からワクチンによる GBS と判断する

吉野先生

他に先行感染がなければワクチン接種後の GBS と考えてよいと思います因果関係は否定

できない

(症例263)全身性の紅斑性湿疹(軽快)

80代 女性

既往歴 無

経過 ワクチン接種翌日全身性紅斑痒みを伴った湿疹が出現四肢の浮腫落屑あ

り専門医の受診を拒否自然経過にて治癒傾向

因果関係 情報不足

(症例264)急性小脳失調(軽快)

10歳未満 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種翌日咳嗽鼻汁が出現ワクチン接種 3 日後上気道炎にて受診

カルボシステインシプロヘプタジン塩酸塩処方症状軽快ワクチン接種 9 日後

下痢嘔気が出現ワクチン接種 10 日後腸炎にて受診整腸剤塩酸メトクロ

プラミド処方症状はすぐに軽快ワクチン接種 12 日後話し方がゆっくりとな

り歩行時のふらつき等の神経症状が出現ワクチン接種 14 日後受診脳波

頭部 CT血液検査にて異常なし臨床症状より急性小脳失調の診断頭部 MRI 実

施及び観察目的にて入院MRI 異常なしワクチン接種 21 日後経過観察のみで

症状改善にて退院

因果関係 情報不足

専門家の意見

中村先生

話し方がゆっくり歩行時のふらつきとありますが小脳失調と言っていいか不明です

各種検査は異常なく原因は不明です小脳炎の可能性も考えますが髄液検査はされてい

ますでしょうか情報不足

埜中先生

93

ADEMGBS は臨床症状検査所見から否定できるADEM とまではいかないがそれに

近い状態に至った可能性は否定できない

吉野先生

小児の急性小脳炎の起因病原体としてマイコプラズマなどが知られていますがこれらの感

染症を否定できればワクチン接種後の急性小脳失調症と判断してよいと思います因果関係

は否定できない

(症例265)傾眠健忘(回復)

40代 女性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種後強い眠気による転倒が出現ワクチン接種翌日午後 1 時まで

睡眠その後買い物に行き普段買わないようなものを購入この間の記憶なし

ワクチン接種 2 日後改善

因果関係 因果関係不明

(症例266)突発性難聴(不明)

40代 男性

既 往 歴 無

経 過 ワクチン接種 2 日後左側感冒性難聴が出現受診耳鳴りめまい吐き気等

の症状なし耳鼻科を紹介左耳の聴力低下耳鳴りの自覚症状あり眼振や明ら

かな平衡障害の所見なし簡易聴力検査にて右側と比較して左側で 10dB の閾値

上昇より左突発性難聴の診断プレドニゾロンレバミピドアデノシン三リン

酸二ナトリウム水和物メコバラミンを投与ワクチン接種 12 日後耳鳴り消失

簡易聴力検査にて聴力に左右差なく正常範囲に回復プレドニゾロンレバミピ

ドアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物メコバラミンを処方以後来院な

く転帰不明

因果関係 因果関係不明

(症例267)筋緊張亢進(軽快未回復)

80代 女性

既往歴 高血圧症糖尿病にて投薬中

経過 ワクチン接種後口の中がふわっとする感覚があり気分が悪いと訴えた安静

にてすぐに回復迷走神経反射による血管拡張疑いその後改善にて帰宅筋肉

の緊張が強まるワクチン接種翌日受診肩こり様症状となり次第に症状増悪

寒さによる症状とも考えられたエチゾラムエペリゾン塩酸塩投与ワクチン接

種 3 日後症状改善ワクチン接種 4 日後全身が硬くなりベッドから転倒受

94

因果関係 情報不足

(症例268)急性横断性脊髄炎ギランバレー症候群(未回復)

70代 女性

既往歴 無

経過 本ワクチン接種 1 ヶ月前季節性インフルエンザワクチン接種本ワクチン接種

前明らかな先行感染なし本ワクチン接種翌朝前胸部痛が出現その 1 時間後

両手指に力が入りづらくなる更にその 1 時間後歩行困難が出現本ワクチン接

種 2 日後四肢筋力低下感覚障害が進行MRI にて前脊髄動脈の領域を越えて

C2-Th7 錐体レベルに横断性脊髄病変あり髄液の細胞数 63mm3(単核球多核球

=11)蛋白 36mgdLIL-6 559pgmL神経伝導検査で複合筋活動電位の振幅減少

被刺激閾値の上昇を認めたF 波の出現頻度低下感覚神経の異常は明らかではな

いワクチン接種 2 ヵ月後両下肢弛緩性麻痺ありMRI 上下位胸髄から腰髄異

常なし抗核抗体は 80 倍PCR にて単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイル

スEB ウイルスは陰性

因果関係 副反応として否定できない急性横断性髄膜炎として否定できない

専門家の意見

中村先生

急性横断性脊髄炎については投与との時間的関連からも否定できないものと思われます

ADEM として脊髄病変が出た可能性もございますがADEM にしては投与からの時間が短

すぎるように感じますGBS については投与との時間的関係からは否定的です四肢筋力

低下感覚障害歩行障害はおそらく急性横断性脊髄炎によるものではないでしょうかた

だ両下肢が 2 ヶ月後も弛緩性であるのは脊髄炎としてはあいませんNCS はどの部位でや

ったのかなどの詳細が分かりますでしょうか

埜中先生

時間的にみてワクチンとの関連は否定できない横断性脊髄炎は過去の副作用にない事象と

して因果関係は否定できないとしたこの症例は横断性脊髄炎ということで診断は正しい

と思いますワクチン以外には要因がないようですので新しい副作用として否定できません

GBS は時間的にも髄液所見からも否定的です

吉野先生

因果関係否定できません他にマイコプラズマはじめ感染症の先行がなければワクチン接種

後の脊髄根神経炎と考えられます

(症例269)右眼視神経炎(未回復)

70代 男性

既往歴 高血圧症高脂血症左虚血性視神経症ワクチン接種 9 年前脳梗塞にて入院

加療(現在は投薬管理)ワクチン接種 1 ヶ月前左顔面神経麻痺チクロピジン

95

バルサルタンシンバスタチンリマプロクトアルファデクス投与中季節性イン

フルエンザワクチン投与による副反応歴なし右眼に関する既往歴なし視力正常

経過 本ワクチン接種 17 日前季節性インフルエンザワクチンを接種本ワクチン接種

前体温 363本ワクチン接種 3 日後午後右眼異常感全てが黄色く見える

との訴えにて受診痛み視野欠損の訴えなし他院を紹介にて受診頭部 CT

MRI 検査にて脳異常なしワクチン接種 5 日後視力低下(15 から 07)ワクチ

ン接種 7 日後眼科外来で影ありと指摘され入院ワクチン接種 1 ヶ月後退院

視力低下(06)ものが黄色く見える症状は不変にて通院中

因果関係 情報不足

専門家の意見

澤先生

虚血性視神経症との診断の適正性

右眼の視力低下に関連して左右眼の視野の情報が必要

米軍での炭疸菌その他のワクチンに関する不具合報告では視力障害との因果関係なしとし

ている対象および環境面からある程度割り引いて考える必要はある

敷島先生

接種3日後の発症ですから関係は否定できません

ただし主治医からも指摘があるように眼科医の診察結果の詳細が不明のため視力低下

の原因が視神経炎かは判断しかねます視力の推移視野検査眼底所見が重要です

今後同様な症例の判定には是非とも眼科医の詳細な診察結果の添付が必要と思われます

海外ではインフルエンザ予防接種後の視神経炎の発症は決して少なくはありません(Lancet

2009 374 2115)国内でも今後副作用報告の増加が危惧されます

事実小規模ですがカンファレンスや研究会でも「新型ワクチン接種後の視神経炎」の報

告があがってきています今後全国的な学会レベルでも多くの報告例が出てくることが容

易に予想されます将来的な報告数の増加を踏まえて対応が必要かと思われます

田中(靖)先生

使用上の注意から予測できない副作用であって薬剤との因果関係を否定できないもの

に一応ぎりぎりに区わけされると思いますがかなりのバックグラウンドに疾患を有してい

ることからその基礎疾患の偶発症ともとりうる状況かと思われます

眼科的所見がもう少しほしいところですたとえば右眼底所見 特に視神経乳頭所見 正

常か浮腫は血管の走行異常は視野検査は左虚血性視神経症の眼底所見視力眼圧

などは施行されていれば電気生理学的検査結果は「影がある」とは何を意味しているの

か多発性硬化症(MS)に類する疾患に見られるような急激な視力低下と中心視野欠損

をきたしているとは思えないがあえて視力低下の説明がつかないために「視神経炎」という

診断名を用いた可能性もあるまたMSならば自然寛解も期待されるが今のところ視力は

戻っていない視神経炎の診断根拠がほしい

(症例270)アナフィラキシー(回復)

96

10歳未満 女性

既往歴 先天性食道閉鎖症術後(2 年前)

経過 ワクチン接種前体温 369ワクチン接種1時間後喘鳴陥没呼吸が出現

吸入ステロイド投与行うも増悪傾向ワクチン接種 2日後入院白血球 15400μL

Hb143gdL血小板 252μLCRP019mgdLワクチン接種 12 日後退院ワクチ

ン接種 13 日後アナフィラキシーは回復

因果関係 調査中

(症例271)肝機能異常(軽快)

70代 男性

既往歴 糖尿病胃癌術後(6 年前)医薬品による副作用歴なしボグリボースブロチ

ゾラム酸化マグネシウムロキソプロフェンナトリウムチザニジン塩酸塩レ

バミピドを数年以上前より服用中チメピジウム臭化物水和物チメピジウム臭化

物水和物を 1 年以上前より頓服

経過 ワクチン接種翌日高熱が出現受診インフルエンザ迅速検査陰性臨床的に

インフルエンザと診断しリン酸オセタミビル処方その後高熱持続ワクチン

接種 3 日後受診インフルエンザ迅速検査陰性腹部 CTエコーを実施胆道

系異常なし腫瘍なし総ビリルビン値 15mgdL と肝障害を認めたため入院全

ての内服薬中止し経過観察ウルソデオキシコール酸グリチルリチングリシ

ンシステイン投与開始ワクチン接種 5 日後解熱肝障害改善傾向リン酸オ

セタミビル DLST 陰性ワクチン DLST 陽性ワクチン接種 14 日後GOT129IUL

GPT217IUL総ビリルビン値 07mgdL と肝障害遷延にて転院胆管癌疑い

因果関係 調査中

各症例に関する因果関係に関する評価はワクチン接種事業やワクチン自体の安全性の評価のた

めに評価時点での限られた情報の中で評価が行われていますしたがって公表した因果関係評価

は被害救済において請求後に行われる個々の症例の詳細な因果関係評価の結果とは別のものです

追加情報等により公表資料から修正あり

個別症例の評価にご協力いただく専門家

委員名 所属 専門

新家 眞 国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 眼科学 教授 眼科

荒川 創一国立大学法人 神戸大学医学部附属病院 外科系講座 腎泌尿器科学分野 特命教授

泌尿器

五十嵐 隆 国立大学法人 東京大学 医学部 小児科学教室 教授 小児

石河 晃 慶應義塾大学 医学部 准教授 皮膚

市村 恵一 自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 耳鼻咽喉科

稲松 孝思 東京都老人医療センター感染症科 部長 高齢者

井上 亨 福岡大学 医学部脳神経外科 教授 脳神経外科

猪熊 茂子日本赤十字社医療センター アレルギーリウマチ科   リウマチセンター長

膠原病関節リウマチ

岩田 敏 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 統括診療部長 小児

上田 志朗 国立大学法人 千葉大学大学院 薬学研究院医薬品情報学 教授 腎臓

内海 眞 独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 副院長 血液内科

大屋敷 一馬 東京医科大学 主任教授 血液内科

岡部 信彦 国立感染症研究所 感染症情報センター センター長 小児

景山 茂 東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室 教授 糖尿病代謝内分泌内科

笠貫 宏 特定非営利活動法人日本医療推進事業団 理事 循環器

春日 雅人 国立国際医療センター 研究所長 糖尿病

岸田 浩 日本医科大学 名誉教授 循環器

久保 惠嗣 国立大学法人 信州大学副学長 呼吸器

小西 敏郎 NTT東日本関東病院 副院長 外科

小林 治 杏林大学医学部 総合医療学 講師 呼吸器感染症

澤 充 日本大学医学部附属板橋病院 病院長 眼科

澤 芳樹 大阪大学大学院 医学系研究科 主任教授 外科

敷島 敬悟 東京慈恵会医科大学 眼科学講座 眼科

重松 隆公立大学法人 和歌山県立医科大学 腎臓内科血液浄化センター教授

腎臓内科

島田 安博 国立がんセンター中央病院 第一領域外来部胃科 医長 内科

勝呂 徹 東邦大学 医学部整形外科 教授 整形外科

竹末 芳生 兵庫医科大学 医学部 感染制御学講座 教授 感染制御外科

死亡症例(資料1-6)の評価に関してもご協力をいただいている

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委員名 所属 専門

竹中 圭 博慈会記念総合病院 第一内科(呼吸器科) 部長 呼吸器

田中 政信 東邦大学医療センター大森病院産婦人科 教授 産科

田中 靖彦 国立病院機構東京医療センター 名誉院長 眼科

茅野 眞男 独立行政法人国立病院機構 東京病院 統括診療部 部長 循環器

土田 尚 国立成育医療センター 総合診療部 医師 小児

戸高 浩司 福岡山王病院 循環器内科部長 循環器

永井 英明 独立行政法人国立病院機構 東京病院 呼吸器科 医長 呼吸器

中林 哲夫 国立精神神経センター病院 治験管理室長精神科医長 精神科

中村 治雅 国立精神神経センター病院 神経内科 医師 精神神経

名取 道也 国立成育医療センター研究所 研究所長周産期医学胎児医学超音波医学

埜中 征哉 国立精神神経センター病院 名誉院長 精神神経

秀 道広国立大学法人 広島大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚科学教授

皮膚

藤原 康弘 国立がんセンター中央病院 臨床試験治療開発部 部長 内科

三橋 直樹 順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科 副院長教授 産婦人科

森田 寛 お茶の水女子大学保健管理センター 所長 アレルギー

矢野 尊啓 国立病院機構 東京医療センター 内科 医長 血液内科

矢野 哲国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 准教授

産婦人科学生殖生理内分泌学

山本 裕康 東京慈恵会医科大学 腎臓高血圧内科 腎臓内科

吉川 裕之 国立大学法人 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 産婦人科

吉野 英 吉野内科神経内科医院 院長 神経内科

与芝 真彰 せんぽ東京高輪病院 病院長 肝臓

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Page 9: 重篤症例の概要 - mhlw.go.jp(症例12)下痢、関節痛、倦怠感、頭痛(軽快) 30代 女性 既往歴:無 経過 :本ワクチン接種より9 日前に季節性インフルエンザワクチン接種。ワクチン接
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