食品の総合的衛生管理ビジネスにおける微生物学的業務現状...

フローラ解析による微生物汚染源の迅速推定システムの活用と効果

アース環境サービス株式会社

総合分析センターセンター長猪野毅

サービス株式会社Earth Environmental Service Co.,Ltd.


製品の微生物汚染源の迅速推定システムの目的

同定せずに集団で存在する微生物をフローラ解析

により、製品の微生物汚染源や汚染経路を探索し

迅速かつ効率的に適切な対策を講じることで、製

品汚染クレームを削減する。



製品の微生物汚染源の迅速推定システム (1)

●ラピコムRapicom

大腸菌群（MACキット）・乳酸菌群（MALキット）

芽胞菌群（MABキット）

特長：工場検査室でも可能・滅菌ガーゼによる

拭き取り・増菌培養

埼玉県産業技術総合センター・コージンバイオ

（株）・アース環境サービス（株）の共同開発

経済産業省のサポイン事業支援



製品の微生物汚染源の迅速推定システム (2)

●ジェノゲート GENOGATE

DNAチップを用いたカビの遺伝子検査システム

「ラピコム」のカビバージョン

東洋製罐グループホールディングス（株）が開発

アース環境サービス（株）が採用

共同でバージョンアップを



製品汚染源の迅速推定システムＲａｐｉｃｏｍ (ラピコム)とは

Rapicom:

Rapidly detect a Contaminated Origin

by Microflora

(商標登録第5237105号)

大腸菌群用

MACキット

Rapicom®シリーズ専用培地

乳酸菌群用

MALキット

芽胞菌群用

MABキット



バイオフィルム形成する主な細菌

≪食中毒起因菌≫ Salmonella Typhimurium Yersinia enterocolitica Listeria monocytogenes Escherichia coli

Staphylococcus aureus

≪腐敗微生物他≫ Alcaligenes faecalis Bacillus subtilis Enterobacter sp. Klebsiella pneumoniae Flavobacterium meningosepticum

Serratia marcescens Pseudomonas aeruginosa Staphylococcus sp.



「ラピコムRapicom」の特長 (1)

●バイオフィルムを考慮した「滅菌ガーゼ」による

サンプリングと増菌培養を採用

●４種類の専用培地キットを用いたフローラ

パターン解析

●同定検査が不要なため、汚染源・汚染経路の

推定が、検査から１ー３日で



「ラピコムRapicom」の特長 (2)

●大掛かりな機器を必要としないため工場の

検査室でも可能

●清掃の重大管理ポイントが明確になることで

製造現場の負担も軽減

●製造現場でのデータベース構築で汚染予防

管理が可能に

●クレーム削減や資源の有効活用など経営

メリットも



「ラピコムRapicom」の適用事例

●大腸菌群

ゆでめん・弁当惣菜・和洋菓子・冷凍食品・

魚肉練り製品・豆腐など

●乳酸菌群

食肉製品・惣菜・和洋菓子・豆腐など

●芽胞菌群

和菓子・発酵食品・惣菜・食品添加物・飲料・

医薬原料など



「ラピコムRapicom」の活用場面

●微生物汚染源・汚染経路の推定による製品汚染対策

●洗浄消毒バリデーションや洗浄消毒計画の見直し

●製造現場での従業員教育・訓練のツール

●ＨＡＣＣＰＰプランの妥当性の確認など

→微生物のクレームの削減や衛生管理の

レベルアップに寄与

ＤＮＡチップを利用したカビの一括同時検査

【東洋鋼鈑(株)社製：ｼﾞｰﾝｼﾘｺﾝ®】高密度なDNA断片が配置

3 mm

６４スポット

3mm

（プローブ）

DNAチップとは？

【弊社DNAチップの特徴】

シリコン基板表面にＤＬＣ（Diamond-Like Carbon）コーティング

・化学修飾が可能 → ＤＮＡが強固に結合

・炭素密度が高い → ＤＮＡ固定化量が多い高シグナル，低ノイズ →高感度な検出が可能

各スポットに、検出したいカビの特異的なDNA配列を配置 →色々な種類のカビを一括同時に検査することが可能

DNAチップによる一括同時検査

・従来の同定手順（形態同定、シークエンス解析）

・DNAチップ検査

・形態同定

・シークエンス解析

AGGCTC・・

・DNAチップ解析

個々に検査

検体(5cfu)

一括で検査

【一括同時検査とは？】

ＤＮＡ増幅& 蛍光標識カビの一括回収

アカカビ、コウジカビを検出

培養

励起光

蛍光検出

3mm

アカカビアオカビ

コウジカビクロカビ

サンプリング DNA一括抽出

DNAチップと反応（ハイブリダイゼーション）

DNAチップを拡大

DNA液を滴下

Before After

検出イメージ

レーザー光

DNAチップによる検査フロー



ジェノゲートバージョンアップの特徴

東洋製罐ＧＨ（株）と共同で、検出対象菌種の

拡大に取り組む → ver.2.3に

●カテゴリーは13から32に、検査対象カビ種

が363種から637種に拡大

●好乾性II類・耐乾性II類・好湿性IV類を細分

●12カテゴリーを新規開発（耐熱性カビ・好冷

性カビ等追加）

●耐乾性3-aでByssochlamys fulva対象に

湿度特性

分類代表的なカビ種名耐熱性好冷性

カビ毒産生大小属種

好乾性

1

a

Aspergillus

penicillioides

b restrictus

c vitricola

2 Eurotium herbariorum

3 Wallemia sebi

GENOGATEカビ検査用 [ver.2.3] カテゴライズ表

・好乾性

湿度特性



耐乾性

1

a

Aspergillus

flavus ○ ○

b fumigatus ○ ○

c ochraceus ○ ○

d niger ○ ○

e terreus ○ ○

f versicolor ○

2

a

Penicillium

expansum ○ ○

b implicatum

c glabrum ○

d citrinum ○ ○

3 a

Paecilomyces variotii ○

b lilacinus


・耐乾性

湿度特性



好湿性

1

a

Acremonium

butyri

b charticola

c strictum

2 Alternaria alternata

3 a

Arthrinium phaeospermum

b japonicum

4 Aureobasidium pullulans ○

5 Chaetomium globosum ○

6 Cladosporium cladosporioides ○

7 Curvularia lunata

8

a

Fusarium

solani ○

b graminearum ○

c oxysporum ○

9 Phoma exigua ○

10 Stachybotrys chartarum ○


・好湿性

例）工場内のカビの菌叢をモニタリングしたい →工場の各ポイントで “5検体、50コロニー” のカビを検査

分離培養工程の省略可能 →

日数（納期）

費用

2週間程度*

1ヶ月程度*

70万円以上

ＤＮＡチップ検査

ＤＮＡチップ検査

形態同定

形態同定

＊：培養日数込み 25万円

迅速＆低コストな理由

複数カビを一括検査 →

“迅速”

“低コスト”

特徴②、③：迅速、低コスト

計３２３菌株の野生のコロニーにおいて、配列解析による同定結果に対する形態同定およびDNAチップ検査の一致率を算出

・胞子未形成のカビも検査可能

高精度のカビ種識別性能

・マルチプレックスPCRを利用した「1菌種2領域*判定」の採用

高精度な理由

判定方法配列解析との一致率

形態同定（従来法として）８８％

ＤＮＡチップ検査９２％

（*2領域・・・リボソームRNA遺伝子ITS領域、β-tubulin領域）

④ 高精度



DNAチップによるカビの一括検査の活用法 (1)

《考え方》

●カビのスクリーニング検査である

●ラピコムのカビバージョンで対策重視の

システムである

例１．飲料（果汁）工場でカビ毒パツリンを産生す

るカビを確認したい

パツリン産生カビは「耐乾性2-a~d」に５種



DNAチップによるカビの一括検査の活用法 (2)

例２．問題（クレーム）の耐熱性カビのネオサルトリ

アがどこにいるのか調査したい

ネオサルトリアは「耐乾性1-b」に含まれている

例３．環境・工程にどのようなカビがいるか、製品

に問題を起こす可能性のあるカビがいるか

バイオバーデンの把握

危害分析

管理（洗浄消毒、保管方法など)の見直し

システムの活用と効果（まとめ）

ゆで麺、惣菜、豆腐、食肉製品汚染源・汚染経路の特定

飲料、和洋菓子などの食品洗浄消毒バリデーション

医薬原料など、とくに加熱工程 HACCP プランの検証

を含む製品で採用。包材でも。従業員教育などに活用。

効果的な対策で製品クレームの削減や衛生管理の向上に寄与

今後ともシステムのバージョンアップと精度向上に努め、製造事業所

での微生物管理体制の充実化とクレーム削減に大いに寄与したい。

参考文献 ●富永達矢、猪野毅、大川三郎、関根正裕：マイクロフロ－ラ解析によるアドバンスドサニタリ－システムの開発、食品工業、Vol.51 No.16,pp27-33(2008) ●吉田充裕：ＤＮＡチップを利用したカビの一括検査法、食品と開発 Vol.47,No.1 (2011) ●アース環境サービス（株）・東洋製罐グループホールディングス（株）：短時間・低コスト・高精度で微生物汚染状況を一括検査月刊HACCP、Vol.19,No.5,pp40-43(2013） ●アース環境サービス（株）・東洋製罐グループホールディングス（株）：クレームの原因対策で技術協力、月刊食品工場長、Vol. 17,No.1,pp44-45(2013) ●アース環境サービス（株）・東洋製罐グループホールディングス（株）：GENOGATE（ジェノゲート）の視点で探るカビの分類と対策のポイント、月刊食品工場長、Vol.17,No.4,pp26-27(2013) ●猪野毅：微生物汚染源の迅速推定システム「ラピコム」、クリーンテクノロジー、Vol.23,No.8,pp70-73(2013)

●猪野毅：微生物汚染源迅速推定システムを活用した製品へのカビ汚

染防止対策、ジャパンフードサイエンスVol.53、No.4、pp65-70

(2014)

●アース環境サービス㈱：微生物汚染源の迅速推定システム,微生物

の簡易迅速検査法、p699、㈱テクノシステム,(2013)

●東洋製罐グループホールディングス㈱：遺伝子検査システム

GENOGATE：ジェノゲート(受託検査)、微生物の簡易迅速検査法、

p720、㈱テクノシステム (2013)



ジェノゲート活用に関する詳細情報

●月刊食品工場長

2014年７－９月号

カビ汚染対策として

仮説、計画～検査、対策立案～対策、検証

●月刊HACCP

2014年７月号

衛生検査・点検を現場改善に活用

危害分析に利用

現場の声を吸い上げるしくみ

現場からの情報源

工場内危害地図の作成

アンケート例１.清掃しにくいところはどこですか。

２.清掃できない所はどこですか。

３.製造ラインで溶接部分はありますか。

それはどこですか。

４.製造ラインの上(高所)で、ほこりがたまりやすいところはありますか。

それはどこですか。

５.塗装がはげたり、さびがついたりしているところはありますか。



これからの総合的衛生管理

工場での衛生管理のニーズの多様化に対応・品質保証システム(HACCP・GMP・ISO)導入・製品事故、クレームの削減・作業者の衛生意識レベルの向上・検査の精度向上と自主検査態勢の充実化など汚染源など危害ポイントの抽出(バイオバーデン) 作業の簡素化・標準化・効率化・迅速化の推進データの信頼性の確保(不確かさの要因の排除) 潜在的危害への予防管理



まとめ ●製造事業所の衛生管理

キーワード：「科学的根拠」・「再現性」・「現場主義」

●微生物管理・検査

キーワード：「量レベル(菌数)」から「質レベル(危害菌)」

フローラ解析による製品の微生物汚染源迅速推定システム

●ラピコム

●ジェノゲートの活用をお奨めします。

ご清聴ありがとうございました。

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