養殖業の現状と課題について · 2019-08-28 ·...

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養殖業の現状と課題について 平成25年2月 水産庁 資料2

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Page 1: 養殖業の現状と課題について · 2019-08-28 · クロマグロ養殖の大きな伸びや、陸上養殖への取り組みがみられるほか、新しい食べ方の10

養殖業の現状と課題について

平成25年2月 水産庁

資料2

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養殖業の現状

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● 我が国海面養殖業(種苗除く)の生産量は111万トン、生産額は4,101億円(平成22年)

● 海面漁業全体の生産に占める割合は、生産量で21.2%、生産金額で29.7%

● ブリ類の56.5%、マダイの81.9%、カキ類及びノリ類ではほぼ全量が養殖による生産

生産量(千トン) 生産額(億円)

海面全体 5,232 13,810

海面漁業 4,121 9,709

海面養殖業 1,111 4,101

うち 魚類 245.7 2,187

貝類 420.7 692

海藻類 432.8 1,032

真珠 0【注1】 97

その他 12.0 93

養殖業/総生産(%) 21.2 29.7

対象種名 養殖生産量 (千トン)

総生産量 (千トン)

養殖の割合 (%)

()は推定 主要生産県

魚類 245.7 3,409.7 7.2 うち ブリ類 138.9 245.8 56.5 鹿児島、愛媛、大分、高知、宮崎、

長崎、香川、熊本 マダイ 67.6 82.5 81.9 愛媛、熊本、三重、高知 貝類 420.7 827.7 50.8 うち カキ類 200.3 - (100) 広島、宮城、岡山、岩手 ホタテガイ 219.6 546.6 40.2 北海道、青森、宮城 海藻類計 432.8 529.8 81.7 うち ノリ類 328.7 - (100) 佐賀、兵庫、福岡、熊本、宮城、 香川、愛知、千葉、三重 コンブ類 43.3 117.3 36.9 北海道、岩手

資料 : 農林水産省「平成22年海面漁業生産統計調査」

注 カキ類・ノリ類については漁獲量のデータがないため、

総生産量を「-」と表記し、養殖の割合を推定値とした。

資料 : 農林水産省「平成22年海面漁業生産統計調査」

注1 真珠の生産量は21トン

注2 「その他」はクルマエビ、ホヤ等

注3 捕鯨業及び養殖用の種苗は除く

海面養殖業の位置付け

主要養殖種の総生産量に占める割合(平成22年) 海面養殖業の位置付け

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● 生産量は減尐傾向で推移、生産金額は概ね横ばいで推移

● クロマグロ養殖の大きな伸びや、陸上養殖への取り組みがみられるほか、新しい食べ方の

提案や輸出の促進など販路拡大の取組

0

20

40

60

80

100

120

140

H17 H18 H19 H20 H21 H22

【万トン】その他

真珠

海藻類

貝類

魚類

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

H17 H18 H19 H20 H21 H22

【百億円】その他

真珠

海藻類

貝類

魚類

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

H17 H18 H19 H20 H21 H22

【百億円】その他

真珠

海藻類

貝類

魚類

養殖生産量 養殖生産額

121 118 124 115 120 111 42 43 43 40 39 41

海面養殖の動向

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 4

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魚類養殖(海面)

●西日本を中心にブリ類、マダイ等が養殖されているほか、三陸地方でギンザケ養殖

●魚類養殖のほとんどが海面での網いけす養殖(小割式養殖)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

魚種別の主要生産県の生産量(平成22年)

42.34

24.57

19.82

12.80

10.12

8.84

7.39

5.73

0.65

0.55

0.47

0.38

0.25

0.17

0.15

0.09

0 10 20 30 40 50

鹿児島

愛媛

大分

高知

宮崎

長崎

香川

熊本

佐賀

広島

兵庫

三重

和歌山

静岡

山口

京都

(千トン)ブリ類

35.46

10.00

5.72

5.68

3.36

1.83

0.97

0.90

0.89

0.89

0.76

0.41

0.31

0.09

0.04

0.03

0.02

0 10 20 30 40

愛媛熊本三重高知長崎

和歌山香川大分静岡宮崎

鹿児島広島佐賀福井兵庫沖縄京都

(千トン)マダイ

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クロマグロ養殖をめぐる状況

●近年、九州地区を中心にクロマグロの養殖生産量が増加、1万トンに迫る勢い

※平成23年に活込んだ種苗は、数年の養殖期間を経た後に出荷される。

1 種苗活込み数(H23) : 全国計 676千尾(うち、天然種苗:535千尾、人工種苗:141千尾)

注1)その他:京都府、山口県、佐賀県、熊本県

天然種苗 人口種苗

注2)その他:京都府、山口県、熊本県、沖縄県

2 出荷尾数(H23) : 全国計 175千尾 3 出荷重量 : 全国計 9,044トン

注1)

注2) 注2)

【写真1】ヨコワを採捕するひき縄漁船

【写真2】クロマグロ養殖漁場

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クロマグロ養殖の管理強化に関する大臣指示

管理の徹底・関係県間の公平性の確保

農林水産大臣

【漁業法第11条第6項】 都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁場計画の策定・変更について必要な指示をすることができる。

県知事の自治事務

漁民要望や漁場条件の調査

漁場計画の作成

漁場計画の公示

免許申請の受付け

漁業権の免許

海区漁業調整委員会への 諮問・答申

海区漁業調整委員会への 諮問・答申

* 人工種苗向けの漁場は、上記指示の適用外

指示の内容 2012年10月26日発出

① 各県の1年当たりの天然種苗の活込尾数が 2011年から増加するような養殖漁場の新たな 設定を行わないこと。

②生け簀の規模拡大により各県の1年当たりの天

然種苗の活込尾数が2011年より増加すること のないよう、漁業権に生け簀の台数等に係る 制限・条件を付けること。

2012年10月26日以降、

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貝類養殖(海面)

●カキ類はほぼ全国で、ホタテガイは北海道、東北地方で養殖

●貝類の養殖は、種苗を容器に収容し、または付着器につけた状態で筏や延縄から海中に懸垂す

る垂下式養殖のほか、種苗を海底に撒いて養殖する地まき式養殖

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

魚種別の主要生産県の生産量(平成22年)

107.32

41.65

19.02

9.58

5.07

4.70

4.30

1.97

1.80

1.29

0.96

0.76

0.48

0.45

0 20 40 60 80 100 120

広島

宮城

岡山

岩手

兵庫

三重

北海道

石川

福岡

長崎

香川

愛媛

京都

新潟

(千トン)カキ類(殻付き)

110.32

89.84

12.82

6.67

0 20 40 60 80 100 120

北海道

青森

宮城

岩手

(千トン)ホタテガイ

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藻類養殖(海面)

●ノリ類は、本州太平洋岸及び四国、九州の各地で養殖

●ノリ類の養殖は、種を固着させたノリ網を、支柱に固定する支柱式とロープや浮き球、アンカー

等で作られた方形枠に張る浮き流し方式

●コンブ類は北海道、東北地方を中心に養殖

●コンブ類の養殖は、種糸をつけたロープ(親縄)を、潮流、水深等の条件に応じて延縄方式等で

海中に垂下

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

魚種別の主要生産県の生産量(平成22年)

74.96

58.24

39.88

37.99

24.42

19.15

17.16

15.32

13.96

7.61

3.55

3.32

3.17

1.43

0 20 40 60 80

佐賀

兵庫

福岡

熊本

宮城

香川

愛知

千葉

三重

岡山

山口

愛媛

広島

福島

(千トン)ノリ類

27.07

14.52

1.39

0.08

0.06

0 5 10 15 20 25 30

北海道

岩手

宮城

長崎

青森

(千トン)コンブ類

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(トン)

真珠養殖

●真珠は、愛媛県、三重県等を中心に養殖

その他養殖

●九州及び瀬戸内海ではクルマエビの養殖 ●東北地方ではホヤ類等の養殖

魚種別の主要生産県の生産量(平成22年)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

8.16

6.44

5.15

0.48

0.32

0.31

0.27

0 2 4 6 8 10

愛媛

長崎

三重

熊本

大分

佐賀

鹿児島

(トン)真珠

608

453

277

116

34

18

0 200 400 600 800

沖縄

鹿児島

熊本

山口

大分

愛媛

クルマエビ

10

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0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

H2

0年

1月

4月

7月

10月

H2

1年

1月

4月

7月

10月

H2

2年

1月

4月

7月

10月

H2

3年

1月

4月

7月

10月

H2

4年

1月

4月

7月

10月

数量 単価

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

H2

0年

1月

4月

7月

10月

H2

1年

1月

4月

7月

10月

H2

2年

1月

4月

7月

10月

H2

3年

1月

4月

7月

10月

H2

4年

1月

4月

7月

10月

数量 単価

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

0

200

400

600

800

1,000

1,200

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

養殖数量 天然数量

養殖単価 天然単価

養殖ブリ(ハマチ)

資料 : (社)全海水 「月刊 かん水」 (各中央卸売市場調べ)

養殖カンパチ

養殖魚の生産量・単価の推移(ブリ類)

(トン)

(トン)

(円/キロ)

(円/キロ)

●養殖ブリ類は、生産量の増減の影響を受けて

単価は大幅に変動

●特に養殖カンパチは、近年の増産により単価

の下落が顕著

●近年、養殖ブリ類の生産量の増加に加え、天

然ブリの漁獲が増加し、養殖ブリ・養殖カンパチ

の単価が低下

詳細 養殖ブリ類

(円/キロ) (トン)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 11

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10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

0

500

1000

1500

2000

2500

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

養殖数量 天然数量

養殖単価 天然単価

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

H2

0年

1月

4月

7月

10月

H2

1年

1月

4月

7月

10月

H2

2年

1月

4月

7月

10月

H2

3年

1月

4月

7月

10月

H2

4年

1月

4月

7月

10月

数量 単価

養殖マダイ

資料 : (社)全海水 「月刊 かん水」(各中央卸売市場調べ)

養殖魚の生産量・単価の推移(マダイ)

●養殖マダイの単価は、生産量の増減の影響を受けて変動

●特に、近年の不景気の影響を受け生産量の減尐にもかかわらず単価はほぼ横ばい

詳細

(円/キロ) (トン) (円/キロ) (トン)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

12

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カキ類(殻付き換算) ホタテガイ

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

0

50

100

150

200

250

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

数量 単価

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

0

50

100

150

200

250

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

数量 単価

養殖魚の生産量・単価の推移(貝類)

●カキ類及びホタテガイは、東日本大震災の津波の影響により、平成23年は生産量が落ち込み

●カキ類は、近年、生産量が安定していたことから、単価は横ばい

●ホタテガイの単価は、生産量の増減の影響を受けて変動

(円/キロ) (トン) (円/キロ) (トン)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 13

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ノリ(生重量) コンブ

養殖魚の生産量・単価の推移(藻類)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

0

50

100

150

200

250

300

350

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

数量 単価

●ノリ及びコンブは、東日本大震災の津波の影響により、平成23年は生産量が落ち込み

●ノリの価格は、近年、横ばい

●コンブの価格は、生産量の増減の影響を受けて変動

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

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0

50

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200

250

300

350

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

数量 単価

(円/キロ) (トン) (円/キロ) (トン)

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 14

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● 給餌養殖の代表的なブリ類養殖では、市場価格等の変動が大きいことから、所得が不安定 支出については、えさ代、種苗費の割合が高く、特に近年のえさ代上昇が養殖経営に大きな打撃 ● ノリ類養殖では、所得の年変動は比較的尐ない。支出に占める減価償却費の割合が高い

漁労支出の内訳

H5 H10 H15 H18 H19 H20 H21

ブリ類 2,253 1,261 1,014 578 166

-1,017

-305

ノリ類 732 644 692 576 684 555 546

▲ 1,500

▲ 1,000

▲ 500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

H2 H4 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20

ブリ類養殖

ノリ類養殖

[万円]

0

10 000

20 000

30 000

40 000

50 000

60 000

70 000

80 000

90 000

ブリ類養殖業 ノリ類養殖業 漁船漁業

(10~20t)

その他

減価償却費

種苗代

えさ代

油費

漁船・漁具費

雇用労賃

[万円]

養殖漁家の経営

漁業所得の推移(家族経営型)

[万円]

資料 : 農林水産省 『漁業経済(経営)調査報告』 15

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0

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600

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1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

H2

0年

1月

4月

7月

10月

H2

1年

1月

4月

7月

10月

H2

2年

1月

4月

7月

10月

H2

3年

1月

4月

7月

10月

H2

4年

1月

4月

7月

10月

数量 単価

海産魚介類の陸上養殖

●海産魚介類については、ヒラメ、アワビは陸上養殖が主体であるが、実態については正確に把握で きていない(データは海面養殖及び陸上養殖 を併せたものであり、聞き取りを行ったところ、陸上 養殖については、約8割のシェア-を占めているとのこと)

●赤潮、ウイルス、荒天等の外的影響を受けにくい ●初期投資コスト、電気代や維持・管理コストが掛かる

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

0

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1,000

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3,000

3,500

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

数量 単価

(円/キロ) (トン)

(円/キロ) (トン) 詳細

養殖ヒラメ

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」

資料 : 農林水産省 「海面漁業生産統計調査」

資料 : (社)全海水 「月刊 かん水」 (各中央卸売市場調べ)

1,299

696

662

319

236

141

85

78

60

52

48

33

2

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400

大分

愛媛

鹿児島

三重

長崎

宮崎

熊本

広島

山口

静岡

千葉

香川

新潟

ヒラメ(トン)

16

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●内水面では、ウナギ、マス、コイ、フナ、アユなどを養殖 ●内水面養殖業生産量は、近年減尐傾向にあり、平成23年は約3万9千トン。一方、生産額は、 ウナギ価格の上昇により増加傾向にあり、平成22年は602億円 ●内水面養殖経営体数は減尐傾向

生産量

(トン)

生産額

(億円)

内水面養殖生産量・生産額の推移

0

500

1,000

1,500

0

40,000

80,000

120,000

S48 S53 S58 S63 H5 H10 H15 H20 H23

養殖生産量 養殖生産額

生産額(ピーク) S57:1,248億円

生産量(ピーク) S63:98,665トン

H22:602億円

H23:38,893トン

内水面養殖業の動向

0

5000

10000

15000

20000

25000

S48 53 58 63 H5 10 15 20年

経営体数の推移

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 資料 : 農林水産省「漁業センサス」

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0

60,000

120,000

180,000

S48 S53 S58 S63 H5 H10 H15 H23

国内生産量

輸入量

①ウナギの種苗 ● ウナギ稚魚の国内採捕量は年変動が大きく、不足分は、輸入で補う形 ● 国内での採捕は、平成22年から3年連続で不漁となっており、取引価格が上昇。種苗の安定確保が課題 ● 統計データがまだ出ていないため確認できないが、平成24年の生産量は相当程度落ち込む見込み

②ウナギの国内供給量の推移について ●ウナギの国内供給量は、平成12年の約15万8千トンをピークに減尐傾向 ●このうち、国内生産量は、昭和54年から平成4年まで約4万トンで推移していたが、その後減尐し、近年は約2万トン で推移 ●輸入量(主に中国)は、昭和60年から増加し、平成12年に約13万トンに。しかしながら、中国における養殖用種苗 (ヨーロッパウナギ)の資源の減尐により、減尐傾向が続く

(トン) 供給量(ピーク) H12:158,094トン 輸入量(ピーク) H12:133,211トン

合計:56,246トン 輸入:34,011トン 国内生産:22,006トン

国内生産量(ピーク) S60:41,094トン

養鰻業をめぐる状況

18

0

50

100

150

200

250

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

輸入量

採捕量

平均価格

〔トン〕 〔万円/kg〕

国内におけるウナギ稚魚の池入れ量と 取引価格の推移

ウナギの国内供給量の推移

資料 : 農林水産省「海面漁業生産統計調査」 、「財務貿易統計」

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施策の現状

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第2 水産に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策

2 新たな資源管理体制下での水産資源管理の強化

(4)環境負荷の尐ない持続的な養殖業の確立

ア 漁場改善計画の着実な実行と人工種苗への転換の推進

水産基本計画における養殖業の位置付け

● 養殖業については「環境負荷の尐ない持続的な養殖業の確立」を基本的な考え方 ● 講ずべき施策として、以下3点を掲げている。 ●漁場改善計画の着実な実行と人工種苗への転換の推進、 ●赤潮対策等の実施、 ●疾病対策の実施

ポ イ ン ト

20

養殖業者が、漁協等が策定する「漁場改善計画」において設定された「適正養殖可能数量」を遵守して養殖を行う場合に、資源管理・収入安定対策によって減収の補塡を行うことにより、適正養殖可能数量の設定及び遵守を促進し、漁場環境の改善を推進する。

また、資源の保存に配慮し安定的な養殖生産を実現するため、主に天然種苗を利用しているウナギ、ハマチ、カンパチ、クロマグロ等について人工種苗の生産技術の開発や人工種苗への転換を促進するとともに、環境の変動による影響を受けやすいという沿岸域の特性を踏まえ、沖合漁場への展開や陸上施設等養殖場の多様化を図る。

イ 赤潮対策等の実施

赤潮による養殖被害を防止し、又は軽減するため、海洋環境の変動による新奇赤潮の発生機構の研究解明などの研究開発を推進する。また、近年、貧酸素水塊の発生が増加するとともにその規模が大きくなっていることから、底生生物への漁業被害を防止するため、貧酸素水塊の発生機構解明や自動観測ブイによる連続観測技術の開発を推進する。

ウ 疾病対策の実施

養殖対象種の疾病に対する迅速な診断法や予防・治療技術の開発を推進するとともに、養殖業者に対して疾病に関する迅速な情報提供を実施する。

また、水産動物輸入時に動物検疫所が実施している水産資源保護法(昭和26年法律第313号)に基づく輸入防疫制度及び持続的養殖生産確保法(平成11年法律第51号)に基づく国内防疫制度を的確に運用する。

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持続的養殖生産確保法の概要

ポ イ ン ト

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○養殖漁場環境の悪化 過剰な餌料投与、魚病の発生等に よる養殖漁場環境の悪化が進行

・養殖生産の不安定化

・消費者ニーズに応じた 水産物の供給が困難

○基本方針 ・農林水産大臣は、基本方針を策定 ・養殖漁場の改善目標、改善を図るための措置等を規定

○漁場改善計画 基本方針に基づき、 ・漁協等が、漁場改善計画を作成 ・都道府県知事が認定

○勧告及び公表等 ・都道府県知事は、養殖漁場の状態が著しく悪化していると認めると きは、漁場改善計画作成を勧告、従わない場合は公表等

持 続 的 な 養 殖 生 産 の 確 保

養殖業の発展・国民への安全安心な水産物の安定供給

持続的養殖生産確保法の仕組み

● 漁協等が「漁場改善計画」を作成し、養殖密度や飼餌料利用の制限により水質・底質等の改善の取組み。

● 漁場改善計画のカバー率は、魚類養殖では約90パーセント。

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漁業災害補償制度の概要

○ 漁業共済の種類及び内容

漁獲共済 漁船漁業、定置漁業及び一部の採貝・採藻業を対象とし、不漁等を原因とする漁獲金額の減尐(PQの減)による損失(操業経費相当分の一部)を補償

【収穫高保険方式、いわゆるPQ保険方式】

養殖共済 一部の魚類・貝類養殖業を対象とし、養殖水産動植物の死亡、流失等(Qの減)による損害(養殖経費相当分の一部)を補償

【物損保険方式】

特定養殖共済 のりやほたて等の特定の藻類・貝類等の養殖業を対象とし、品質低下等を原因とする生産金額の減尐(PQの減)による損失(養殖経費相当分の一部)を補償

※ 人為的要因による減収を排除するため、生産数量が一定量に達しない場合に限る。

【収穫高保険方式、いわゆるPQ保険方式】

漁業施設共済 養殖施設又は定置網等の漁具を対象とし、その供用中の損壊等による損害を補償

【物損保険方式】

※ 「収穫高保険方式」

※ 「物損保険方式」

…被共済者の共済責任期間中の生産金額(PQ)が、過去の生産実績等をもとに定められる補償水準に達しない場合に、減収分のうち経費相当分の一部を補償する保険方式

…被共済者が損害を被った数量(Q)に、単位当たり共済価額を乗じて得た金額を補償する保険方式

● 漁業災害補償制度は、漁業災害補償法(昭和39年法律第158号)に基づき、漁獲金額が不漁等により減尐した場合の損失など、中小漁業者が異常の事象又は不慮の事故によって受ける損失を補塡することにより、漁業再生産の確保と漁業経営の安定に資することを目的。

● 漁業者の被る損害を国が直接救済するのではなく、中小漁業者の相互救済の精神に基づき、保険の仕組みを活用して行う共済事業。

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漁業共済の対象

○ 漁業者から共済加入のニーズがあること ○ 十分な母集団の確保(漁業者数・生産額)、養殖技術の確立等により妥当な掛金水準での保険設計が可能であること

○ 漁協共販体制等による客観的な漁獲金額・尾数把握や損害査定ができること ○ 漁業者が漁業共済組合の組合員たる漁協の構成員となること 等

● 漁業共済は、漁船漁業、定置漁業、養殖業、養殖施設、漁具等を幅広く対象。

● 漁業共済の対象とするために必要な要素としては、妥当な掛金水準での保険設計が可能な母集団の確保や漁協共販体制等による客観的な尾数把握や損害査定が可能であること等。

漁業共済の対象とするために必要な要素

23

種 類 方 式 対 象

漁獲共済 収穫高保険方式 第1号漁業 【採貝・採藻業(あわび、わかめ、こんぶ、てんぐさ)】 第2号漁業 【漁船漁業、定置漁業】

養殖共済 物損保険方式 かき養殖業、1・2年貝真珠養殖業、1~3年魚はまち養殖業、 1~3年魚たい養殖業、さけ・ます養殖業、2・3年魚ふぐ養殖業、 1~3年魚かんぱち養殖業、ひらめ養殖業、1~3年魚すずき養殖業、 2・3年魚ひらまさ養殖業、まあじ養殖業、1~3年魚しまあじ養殖業、 2~4年魚まはた養殖業、すぎ養殖業、まさば養殖業、 2~4年魚くろまぐろ養殖業、2~4年魚めばる養殖業、かわはぎ養殖業

特定養殖共済 収穫高保険方式 のり等(のり・もずく)養殖業、わかめ養殖業、こんぶ養殖業、真珠母貝養殖業、 ほたて貝等(ほたて貝・とり貝・えぞいしかげ貝・ひおうぎ貝)養殖業、 特定かき養殖業、くるまえび養殖業、うに養殖業、ほや養殖業

漁業施設共済 物損保険方式 浮流し式養殖施設、はえ縄式養殖施設、くい打ち式養殖施設、いかだ、 網いけす、定置網、まき網

※__下線部は、平成24年度に新たに追加したもの

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漁業共済の仕組み

(特別会計)

全国漁業共済組合連合会

掛金助成

業 共 済

(20組合)

(全国1団体)

保険料 共済掛金 再共済掛金

保険金 再共済金 共済金

保険関係

共済関係

再共済関係

● 漁業共済では、制度の安定化を図るため、県段階の漁業共済組合が漁業者から共済契約を引き受け、地域での危険分散を担い、全国漁業共済組合連合会が再共済することにより全国的な危険分散を実施。

● さらに、異常災害による巨額の損失に対応するため、国が保険を実施し、特別会計で経理。

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漁業共済における支払の概念図

漁獲共済及び特定養殖共済 収穫高保険方式(PQ方式) 養殖共済 物損保険方式

※ 実際に支払われる共済金は、契約割合、塡補方式等により異なる。

● 漁獲共済(収穫高保険方式)と養殖共済(物損保険方式)の場合における支払の概念図は以下のとおり。

25

漁獲金額(PQ)が50%に減収した場合

1,000万円

800万円

500万円 50%

0万円

80%

一般釣り漁業 漁獲金額 1,000万円(5中3平均)

事故額 : 800万円 - 500万円 = 300万円

死亡・減失等

7,400万円

(Ⅰ×Ⅱ)

50% 3,700万円

養殖業(2年魚はまち) Ⅰ.共済価額: 3,700円(1尾) Ⅱ.生 産 量:20,000尾(102トン)

0万円

50%の損害(Q)が発生した場合

事故額 : 3,700円 × 10,000尾 = 3,700万円

個々の加入者の平均的な収入(5中3平均)を補償 養殖に必要な標準的な経費を補償

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資源管理・収入安定対策(積立ぷらす)の概要

● 国民への水産物の安定供給を図るため、計画的に資源管理に取り組む漁業者を対象に漁業共済の仕組みを活用した資源管理・収入安定対策を実施。

● 漁業共済の対象となっている漁業種類(沿岸・沖合・遠洋漁業・養殖業)を対象。

資源管理への取組 基準収入(注)から一定以上の減収が生じた場合、「漁業共済」(原則8割まで)、 「積立ぷらす」(原則9割まで)により減収を補塡

漁業共済・積立ぷらすの仕組みを活用して、資源管理の取組に対する補助を実施

※ 漁業共済掛金の国庫補助は、法に基づく通常の補助(平均45%)に加えて、本対策により平均30%の追加補助が上乗せされるため、平均75%補助。積立ぷらすの積立金の積立割合は漁業者1:国3。

国・都道府県が作成する「資源管理指針」に基づき、漁業者(団体)が休漁、漁獲量制限、漁具制限等の自ら取り組む資源管理措置について記載した資源管理計画を作成し、これを確実に実施

養殖の場合、漁場改善の観点から、持続的養殖生産確保法に基づき、漁業協同組合等が作成する漁場改善計画(※次ページ参照)において定める適正養殖可能数量を遵守

漁業収入安定対策の実施

漁業共済 無 無 無 有

c年 d年収入安定対策 無 有 無 有

100%

90%

80%

支払いの有無 a年 b年

収入安定対策

漁業共済(特定養殖)

【収入安定対策及び漁業共済の支払い】

漁獲金額

基準収入(注) 基準出荷金額

【収入安定対策の積立】 100% 基準収入(注) 基準出荷金額

原則80% (共済限度額)

漁業共済

(特定養殖)で

補塡可能な部分

原則90% (払戻判定金額)

漁業者

収入安定対策の補塡範囲

(注)基準収入:個々の漁業者の直近5年の収入のうち、最大値と最小値を除いた中庸3カ年の平均値

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≪漁場改善計画の策定≫ 漁場改善計画に、その漁場全体における

養殖種類ごとの適正養殖可能数量を設定 (注)

適正養殖可能数量の設定方法

① 平成18年から22年までの5年間の種苗投入数量等の最大値と最小値を除いた中庸3年間の平均(「5中3」)を基準値とし、基準値を5%以上下回る数量

② 基準値が平成8年から12年までの5中3を10%以上下回っている場合は、基準値

③ こんぶ・わかめ養殖については、①を実施しないことによって得られる利益に相当する費用を負担し、ウニ・アワビ食害対策を実施するときは、平成22年の実績値とすることも可

○貝類・藻類養殖:施設数 ○魚類養殖:種苗投入数量

(注)貝類養殖については、稚貝数、付着器数を、藻類養殖については、種苗糸の長さ、網数を適正養殖可能数量として設定することも可

①の場合

5%以上

適正養殖可能数量

平成8年から12年 までの5中3

基準値=適正養殖可能数量

10%以上

②の場合

基準値:平成18年から 22年までの5中3

基準値の95%

基準値

コンブ・ワカメの生産により得られる利益に相当する費用を負担

③の場合

平成22年度の実績値 =適正養殖可能数量 未達分

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漁場改善計画の策定について

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資源管理・収入安定対策(積立ぷらす)における支払の概念図

● 積立ぷらす(漁獲共済)と積立ぷらす(養殖共済)の場合における支払の概念図は以下のとおり。

積立ぷらす(漁獲共済及び特定養殖共済) 積立ぷらす(養殖共済)

漁獲金額(PQ)が50%に減収した場合

1,000万円

800万円

500万円

(漁業共済で補償)

50%

0万円

80%

一般釣り漁業 漁獲金額 1,000万円(5中3平均)

漁業共済による事故額* : 800万円 - 500万円 = 300万円

積立ぷらすによる補塡額 : 900万円 - 800万円 = 100万円

養殖業(2年魚はまち) 基準出荷金額: 4,000万円(価格5中3平均)

養殖数量(Q)が50%滅失し、かつ、 出荷金額(P)が基準出荷金額の80%に低下した場合

個々の加入者の減収(5中3平均)を補償

(積立ぷらすで補償) 90% 900万円

※1 基準出荷金額とは、漁場改善計画導入前(5%の尾数削減前)の出荷重量をベースにした出荷金額

※2 死亡・滅失等の総重量に係る出荷金額の減尐分は補償対象外

4,000万円

3,200万円

10,000尾

0円

(積立ぷらすで補償) 3,600万円

漁獲金額

(PQ)

出荷金額(P)

地域の出荷価格(5中3平均)の低下分を補償

(漁業共済で補償)

(P)

価格安

【漁業共済による物損補塡部分】 【積立ぷらすによる補塡部分】

※20,000尾を養殖 している場合で 出荷前に10,000尾死亡したとき

死亡・滅失等 (Q)

90%

80%

20,000尾

50%

漁業共済による事故額* : 3,700円/尾 × 10,000尾 = 3,700万円

積立ぷらすによる補塡額 : 3,600万円 - 3,200万円 = 400万円

* 実際に支払われる共済金は、契約割合、塡補方式等により異なる。

0尾 尾数(Q)

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価格

価格高騰の影響を緩和

=補てん分

燃油や配合飼料が値上がりしても安心だ

ね!

● 漁業者・養殖業者と国の拠出により、燃油価格や配合飼料価格が高騰したときに補てん金を交付し、経営の安定を図る。

ポイント

漁業経営セーフティーネット構築事業

いま こうします こうなります

燃油や配合飼料がまた値上がりしたらどうしよう。 不安だな。

○ 燃油価格や配合飼料価格の高騰に備えて、漁業者と国又は養殖業者と国が資金を積立て

ます。

・ 燃油については原油価格、 配合飼料については輸入原料価格が一定の基準を 超えて上昇した場合に、漁業者や養殖業者に対し、補塡金が支払われます。

○ 補塡金の内訳は、漁業者・養殖業者の積立て分

と国の積立て分の割合が1対1となります。

【 補塡基準 】

・23年度 2年間平均値×115%

・24年度第1四半期 7中5平均値×115%

(四半期ごとに115%から5%ずつ引き下げ)

・24年度第4四半期 7中5平均値×100%

*7中5平均値(直前7年間の価格のうち、高値1年分と低値1年分を除いた5年分の平均値)

*配合飼料については、輸入原料価格と製品価格の上昇幅の比較により、補塡の有無が決まります。

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

平成16年8月 平成18年8月 平成20年8月 平成22年8月 平成24年8月

16年8月 47,900円/kl

20年8月 124,600円/kl

21年4月 60,100円/kl

25年1月 90,100円/kl

燃油価格(円/kl) 漁業用燃油の価格推移

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

平成16年8月 平成18年8月 平成20年8月 平成22年8月 平成24年8月

16年8月 80,339円/トン

配合飼料主原料の魚粉輸入価格の推移 魚粉輸入価格 (円/トン)

19年7月 139,615円/トン

22年7月 153,108円/トン

24年11月 125,185円/トン

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事業主体

地域プロジェクト

事業実施機関(漁協等)

改革型の新たな養殖生産システムにより持続的な養殖経営が可能と見込まれる収益改善を実証

養殖施設の借上げ・経営

先駆的な取り組みを他の養殖業者へ効果的に波及

3カ年を上限に養殖経費(養殖用施設の借り上げ費、えさ代等)を助成

※販売代金で賄えない分の原則5割を国が負担。

○飼料の完全配合飼料化と身質の品質保証を組み合わせるなどの新たな取り組み

○新たな飼育技術の導入による真珠の高品質化、新魚種の導入

革新的な新たな養殖の実証

採算が悪化している分野の収益性回復の実証

○小売業者との直接取引など販売先に対応した生産管理と流通のあり方の見直し

2カ年を上限に養殖経費(養殖用施設の借り上げ費、えさ代等)を助成 養殖経営にお

ける収益改善の実証

漁業構造改革総合対策事業(もうかる漁業創設支援事業)【養殖】

事 業 の 内 容

● 地域やグループによる生産体制の改革による収益の改善を実証し、普及する事業に対して支援。

ポイント

公募

技術を有する養殖業者

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平成25年度予算概要決定の概要

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海面養殖業振興対策費のうち 新たなノリ色落ち対策技術開発事業

平成25年度概算決定額 29.2百万円

栄養塩不足によるノリ色落ち(品質の低下)対策のため、ノリ漁場周辺の栄養塩の供給過程やその消長の解明、栄養塩を競合する大型珪藻の発生の抑制によるノリ養殖漁場に適正な栄養塩を供給することが可能な水質レベルを維持・管理する手法・手段の開発。

珪藻類の 生理生態学的機能の解明

ノリ養殖に必要な栄養塩レベルの把握

栄養塩の競合

ノリ漁場および周辺海域に スケールダウンし,栄養塩収支を評価

ノリ養殖の持続的な生産を維持する ための栄養塩管理手法の開発

事業実施主体: 民間団体等

事業実施期間: 平成22~26年度

養殖ノリの 生理生態学的機能の解明

大型珪藻の 発生の促成

委託対象: A陸域、隣接海域、底

泥からの栄養塩の供給量等、窒素・リンの動態の把握、Bノリ及び大型

珪藻の生理生態学的機能の解明、C計画・結果

検討会(調査費、会議費、雑役務費等)

補助率:委託費

支出先: 国→ 民間団体等

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クロマグロの完全養殖の実現には、安定的かつ効率的に良質な卵を採卵できる親魚を確保することが不可欠であり、早期成熟、高成長、耐病性等などの優良な形質を有する個体を選別し親魚群を形成するための技術開発を実施する。

資源・環境に優しいクロマグロ増養殖技術開発事業のうち

クロマグロ養殖最適親魚選抜・確保技術開発事業

平成25年度概算決定額 104百万円

委託費 事業実施主体 : 民間団体等 交付先 : 国 ⇒ 民間団体等

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国内のクロマグロ養殖では、現在、漁場環境への負荷が高い生餌の給餌が主流であるが、本事業では、生餌に替わる漁場環境負荷が低くかつ成長等のよい養殖用人工配合餌料の開発・普及を実施する。

資源・環境に優しいクロマグロ増養殖技術開発事業のうち

クロマグロ養殖用餌料高度化促進事業

平成25年度概算決定額 51百万円

補助対象 : クロマグロ養殖用人工餌料の開発・普及に係る、検討会開催、餌料開発、養殖試験、成長率・身質等分析、成果普及の取組 補助率 : 国 1/2、事業実施主体1/2 事業実施主体 : 民間団体等 交付先 : 国 ⇒ 民間団体等

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【課題】

養殖用人工種苗導入推進事業 消費者に安全・安心で良質な養殖水産物を安定的に供給するためには、輸入種苗に依存せず国内産人工種苗を用いる養殖生産の推進が必要。このため、国内産人工種苗を用いた生産効率の高い養殖手法開発への積極的な取組みに対して支援。

補助対象: カンパチ用国内人工種苗を用いた 生産性の向上を図る積極的な取組 みに要する経費(検討会開催費、養 殖試験費、報告書作成費)

補助率: 国 (検討会開催費、報告書作成 費:定額、養殖試験:1/2以内)

事業実施主体: 民間団体等

交付先: 国 民間団体等(事業実施主体)

中国からの輸入種苗 国産人工種苗

国 内 産 人工種苗 への転換

(カンパチ種苗はほぼ100%) (人工種苗生産技術に一定の成果)

(人工種苗:10cm)

輸入種苗サイズ(20~25cm)まで育成する間の歩留まりが悪く、生産コストがかかるため経営面から敬遠

輸入

(中国沿岸) 【支援対象】

国内産人工種苗を用いた効率的な養殖手法の開発を行う試験事業の実施

【目標】

生産履歴の確認ができる安全・安心かつ良質な養殖生産物の継続的な供給が可能に

その他: 事業実施主体は、水産庁長官が 別に定める公募要領に基づき、 事業に応募した者から選定され た者

(天然カンパチ稚魚を採取し20~25cmの大きさまで中間育成)

採取 中間育成 輸出

持続的養殖生産・供給推進事業のうち

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平成25年度概算決定額 17.2百円

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シラスウナギは3年連続での不漁となっており、資源状態の低下が危ぶまれる状況である

ため、ウナギの生態や資源状況等について調査を行うとともに、今後の安定供給を図るために必要な対策を実施。

鰻供給安定化事業 平成25年度概算決定額 155百万円

補助対象 : ① ウナギの効果的な放流及び国際的なウナギ資源の管理を行うための民間協議を実施するための経費 ② ウナギの資源調査及びシラスウナギの来遊時期調査 ③ 異種ウナギの養殖を実施する際の逸散防止技術の開発 ④ ウナギの遺伝情報を活用した系群判別、優良形質選別、異種判別の技術開発 補助率 : ① 国 定額、1/2以内 ②~④ 委託費 事業実施主体 :民間団体等 交付先 :国 ⇒ 民間団体等 その他 :公募により実施主体を選定

○ウナギの効果的な放流の実施

○河川等におけるウナギの生息域や生息状況の調査やシラスウナギの周年を通じた来遊状況の調査によるウナギの資源状態の把握

○異種ウナギを養殖する場合に、自然環境への逸散防止のための技術開発

ウナギ資源の回復・安定供給の確立

シラスウナギの3年連続の不漁の影響により、シラスウナギ、親ウナギ(活鰻)ともに価格が上昇しており、消費が落ち込んでいる状況となっている。

○ウナギの遺伝情報を活用 ・系群(地域群、季節群等)判別技術の開発 ・養殖に適した形質を持つウナギ選別技術の開発 ・生きているシラスウナギから異種判別技術の開発

資源管理の基礎となる系群構造・分布状況の把握

人工種苗生産技術開発を加速 輸入シラスウナギの異種ウナギ混在防止

トン 千円

シラスウナギの漁獲量と価格

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1.養鰻業者向け経営対策

・昨年7月に無保証人型漁業融資促進事業の実施要綱を改正し、養鰻業者向け運転資金(シラスウナギ購入資金等)を対象に追加。

①金融対策

ウナギ養殖のための運転資金借り入れについて、無保証人・担保限定による融資・保証により支援

・昨年10月中旬から、静岡県及び鹿児島県の養鰻場におい

て、通常のウナギ養殖用配合飼料(アジ魚粉を使ったもの)と、アジ魚粉の代わりにイワシ魚粉を使った配合飼料とで、成長の比較試験を実施。今後、結果を取りまとめ、周知方法の検討を実施予定。

低コストの配合飼料の普及を図るために養鰻業者が行う実用化試験の取組を支援

②配合飼料対策

2.放流と河川生息環境の改善

・昨年7月から鹿児島県、熊本県、愛知県等10地区で親ウ

ナギの放流を実施。関係者と連携し、養鰻業者が放流するウナギへの標識方法、採捕データの収集等、より効果的な放流方策のための検討を実施。

養鰻業者が行うウナギの放流について支援するとともに、より効果の高い放流方策について検討・実践するよう関係者と連携

・ウナギの生態等に係る基礎情報の収集、生息に即した環境づくり等の取組について、漁業関係者の協力を推進。

・河川管理者が行う多自然川づくりについても、関係者と情報交換し、漁業関係者の協力を推進。

漁業者自らが、ウナギの保護(漁獲の抑制等)、内水面の生態系の維持・保全・改善等、ウナギの生息に即した環境づくりを行うよう協力を要請 37

②生息環境の改善等

①放流

(参考)ウナギ緊急対策(平成24年6月29日)と現在までの取組

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3.国内の資源管理対策

・養鰻業やシラスウナギ漁が盛んな11県に水産庁担当者を派遣して

資源管理に係る話し合いを促進し、親ウナギやシラスウナギの管理について、各県の漁業実態等を踏まえながら、産卵に向かう親ウナギ(下りウナギ)の漁獲抑制やシラスウナギの遡上確保の手法を検討。 ・愛知県:昨年10月に下りウナギの漁獲自粛等の総合的なウナギの資源保護の取組を決定。 ・宮崎県:昨年12月に下りウナギの保護のため10月から12月までの間のウナギの禁漁期間を設定。 ・鹿児島県:昨年10月にウナギ資源増殖対策協議会を設立し関係者間の話し合いを推進。

関係各県に順次水産庁担当者を派遣し、親ウナギの管理(漁協の増殖行為の多様化・効率化、産卵に向かう親ウナギの漁獲抑制)、シラスウナギの管理(河川への遡上確保)について、地域関係者による話し合いと検討を促進

4.国際的な資源管理対策

・日中台3者協議:第1回(昨年9月)は、ニホンウナギの国際的資源管理について、協力を開始することを確認。第2回(昨年12月)は、協

力の具体的内容について協議し、漁獲・養殖及び貿易に関し、次回会合までに情報を交換すること、APEC海洋漁業ワーキンググループ

の議題にニホンウナギの国際的な資源管理を追加すべく働きかけることについて意見が一致。第3回は本年5月頃開催予定。 ・PICES-2012広島会合におけるウナギシンポジウム(昨年10月):日中

台韓の科学者により、シラスウナギの来遊に関する調査研究の情報交換を実施。

ウナギ資源(ニホンウナギ)を利用する中国、台湾等と継続的な協議を行う枠組の構築を目指し、情報・意見交換による資源管理の協力を推進

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5.調査・研究の強化

・良質卵の生産技術の開発や新たな初期飼料及び飼育方法の開発を目的とした研究を農林水産技術会議予算により実施。

①シラスウナギ大量生産技術の確立

シラスウナギの人工生産について、大量生産技術の確立を目指す

・昨年7月に水産総合研究センターにウナギ統合プロジェクトチームを設置し、「ニホンウナギの資源状況について」をHPに公表。 ・昨年11月~12月にかけて、水産庁漁業調

査船により、日本沿岸海域における天然ウナギの産卵場への回遊ルートや沿岸域での遊泳行動の調査を実施。 ・過去117年間の国の公式統計における親

ウナギ、シラスウナギの漁獲量、放流量等につき、電子化・集計中。

水産総合研究センターに、増養殖、資源、生態などの分野横断的プロジェクトチームを立ち上げ

大量生産技術の確立を着実に達成し、資源の適切な管理を図るため、

・天然ウナギの海洋での産卵回遊行動調査

・河川、汽水、沿岸域における天然ウナギの分布状況調査、標識放流調査 ・過去117年間の国内各河川の漁獲統計・環境データの把握 等を実施

②ウナギの生態、資源の調査

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(参考)ウナギの種苗生産技術開発の現状

■平成22年度の研究成果の一部((独)水産総合研究セン タープレスリリース参照) ・人工ふ化仔魚から成長したウナギを人為的に成熟させ、人 工授精を実施し、ふ化仔魚を得た(世界初の「ウナギの完全 養殖」)。 ・ふ化仔魚がシラスウナギまでに成長する期間が3週間早ま り、量産化に向けて一歩前進。

今後の取り組み ・良質卵の安定大量生産技術の開発(親魚の成熟誘起法等)。 ・量産のための飼育システムの開発(ふ化仔魚の適正な環境、餌飼料の開発等)。

★ ウナギの完全養殖に成功したものの、量産化技術は確立されていない

水産総合研究センターでは、2002 年に卵から人工シラスウナギまでの飼育に成功し(緑色の実線)、さらに2010年には、人工親魚から得た卵をふ化させて「完全養殖」に成功しました(青色の実線)。さらに、完全養殖ウナギの仔魚からシラスウナギへの飼育期間の短縮に成功しました(赤色の実線)。

飼育期間を短縮 (生残率向上に期待)

農林水産技術会議委託プロジェクト研究 「ウナギの種苗生産技術の開発」で実施 期 間:平成17年~23年度

概算決定額:平成23年度 113百万円

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