半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察...さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ...

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さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ から 1 件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公 共交通網の立地特性を考察する ( 図 1)。 1-3 既往の研究 全国の島嶼地域を対象として、産業特性と観光客数 から分析を行い、観光産業の実態を明らかにした研究 がある 1) 。また、観光資源とその立地特性に関して、 中山道東美濃路における歴史資源の分布図を作成し、 各区画ごとの特質を明らかにした研究がある 2) 。しか し、いずれも観光資源や観光客数など、単一の観点か らの分析にとどまり、観光産業と関わりのある観光資 源と宿泊施設の分布や、公共交通網の整備状況を用い て観光特性を一体的に論じた研究はみられない。 2.対象地の選定と観光産業別特性分類 2-1 選定基準と研究対象 半島振興法における振興地域指定の基準である人口 5 万 人以上を満たす 39 半島 注 1) を対象として選定し、半島が属 している行政 ( 市町村 ) 区域を単位とし、国土交通省が公 開する国土数値情報のデータを元に分類を行う ( 図 2)。 2-2 観光産業・交通網に関する指標の選定 国土交通省が公開している国土数値情報を元に観光産 業・交通別分類を行う。このため、観光産業に関するデー タとしては、半島内に分布する観光資源台帳に記載され る観光資源関連データ ( 自然景観件数、祭り行事件数、 歴史文化件数、地域景観件数 )、宿泊関連データ ( ホテ ル数、旅館数、民宿数、ペンション数、収容人数 )、交 通関連データ(半島内のバス停数、鉄道駅数、道路密度、 バスルート長さ )、半島の面積の 14 指標を用いる。 2-3 観光産業・交通網に関する指標の相関分析 観光産業と半島内の交通関連指標の相関をみるた め、まず指標間の相関係数を算出する ( 表 1)。その結 果、観光資源の中でも、歴史文化(件数 ) とホテル数 の相関は高く (0.71)、ホテルの立地は、歴史文化に関 する観光資源に付随して立地することが伺える。また、 半島の面積と公共交通関係指標の相関は低い。 3.クラスター分析による観光産業別類型 観光産業・交通に関して、39 半島の相対的位置づ けを行い、類型化を行うために、主成分分析から得ら 半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察 吉原 14-1 1.はじめに 1-1 研究の背景と目的 三方を海や河川などの水面に囲まれ、豊かな自然に恵 まれている半島は、自然を活かした新しい生活の場として 大きく注目を集めている。一方で農業や漁業などの第一次 産業を主産業とする半島は、人口減少や過疎化といった問 題に直面しており、人口流出抑制の手段として観光産業の 発達に取り組んでいる。半島が抱える問題に対する取り組 みとしては半島振興法があり、10 年の期限付きで昭和 60 年に制定され、財政上、金融上の支援措置を行ってきたが、 依然として半島が抱える課題の解決に至らず、平成 27 年 に 3 度目の期限延長がなされた。半島振興のための効果的 な政策が必要とされており、半島の主要産業となり得る、 観光産業の実態の把握が求められている。本研究は、半島 における観光産業の立地特性と、それらをつなぐ交通網の 関係を分析し、半島における観光産業と交通の実態を明ら かにすることを目的とする。また、今後の観光産業発展に おける、交通網の整備や観光施設分布の示唆を得る。 1-2 研究の方法 まず対象とする半島を 39 件選定した上で、公共交 通と観光産業に関する指標を収集し、相関分析により 指標間の相関関係をみる。次に、クラスター分析によ り半島の類型化を行い、グループの特性を考察する。 図2 対象半島 図1 研究のフロー 0 500 1,000 200 km 1 2 3 4 6 5 9 10 14 15 16 17 20 21 22 27 26 19 18 24 23 25 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 7 8 11 12 13 半島の境界 市街地エリア

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Page 1: 半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察...さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ から1件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公

さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ

から 1件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公

共交通網の立地特性を考察する (図 1)。

1-3 既往の研究

 全国の島嶼地域を対象として、産業特性と観光客数

から分析を行い、観光産業の実態を明らかにした研究

がある 1)。また、観光資源とその立地特性に関して、

中山道東美濃路における歴史資源の分布図を作成し、

各区画ごとの特質を明らかにした研究がある 2)。しか

し、いずれも観光資源や観光客数など、単一の観点か

らの分析にとどまり、観光産業と関わりのある観光資

源と宿泊施設の分布や、公共交通網の整備状況を用い

て観光特性を一体的に論じた研究はみられない。

2.対象地の選定と観光産業別特性分類

2-1 選定基準と研究対象

 半島振興法における振興地域指定の基準である人口5万

人以上を満たす39半島注1) を対象として選定し、半島が属

している行政(市町村)区域を単位とし、国土交通省が公

開する国土数値情報のデータを元に分類を行う(図 2)。

2-2 観光産業・交通網に関する指標の選定

 国土交通省が公開している国土数値情報を元に観光産

業・交通別分類を行う。このため、観光産業に関するデー

タとしては、半島内に分布する観光資源台帳に記載され

る観光資源関連データ ( 自然景観件数、祭り行事件数、

歴史文化件数、地域景観件数 )、宿泊関連データ ( ホテ

ル数、旅館数、民宿数、ペンション数、収容人数 )、交

通関連データ (半島内のバス停数、鉄道駅数、道路密度、

バスルート長さ )、半島の面積の 14 指標を用いる。

2-3 観光産業・交通網に関する指標の相関分析

 観光産業と半島内の交通関連指標の相関をみるた

め、まず指標間の相関係数を算出する (表 1)。その結

果、観光資源の中でも、歴史文化(件数 )とホテル数

の相関は高く (0.71)、ホテルの立地は、歴史文化に関

する観光資源に付随して立地することが伺える。また、

半島の面積と公共交通関係指標の相関は低い。

3.クラスター分析による観光産業別類型

 観光産業・交通に関して、39 半島の相対的位置づ

けを行い、類型化を行うために、主成分分析から得ら

半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察

吉原 優

14-1

1.はじめに

1-1 研究の背景と目的

 三方を海や河川などの水面に囲まれ、豊かな自然に恵

まれている半島は、自然を活かした新しい生活の場として

大きく注目を集めている。一方で農業や漁業などの第一次

産業を主産業とする半島は、人口減少や過疎化といった問

題に直面しており、人口流出抑制の手段として観光産業の

発達に取り組んでいる。半島が抱える問題に対する取り組

みとしては半島振興法があり、10年の期限付きで昭和 60

年に制定され、財政上、金融上の支援措置を行ってきたが、

依然として半島が抱える課題の解決に至らず、平成 27年

に 3度目の期限延長がなされた。半島振興のための効果的

な政策が必要とされており、半島の主要産業となり得る、

観光産業の実態の把握が求められている。本研究は、半島

における観光産業の立地特性と、それらをつなぐ交通網の

関係を分析し、半島における観光産業と交通の実態を明ら

かにすることを目的とする。また、今後の観光産業発展に

おける、交通網の整備や観光施設分布の示唆を得る。

1-2 研究の方法

 まず対象とする半島を 39 件選定した上で、公共交

通と観光産業に関する指標を収集し、相関分析により

指標間の相関関係をみる。次に、クラスター分析によ

り半島の類型化を行い、グループの特性を考察する。

図 2 対象半島

図 1 研究のフロー

0 500 1,000200km

1

2

3

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6

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9

10

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151617

20 21

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2726 19

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2829

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3132

33 3435

36

37

3839

7

8

11

1213

半島の境界市街地エリア

Page 2: 半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察...さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ から1件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公

14-2

れた主成分得点を用いてクラスター分析 (ward 法 ) を

行う。次に、変数として用いた 14 指標をもとに、各

グループと全ての対象半島の平均値を算出し、各分類

ごとに特性を比較する。これらを基準として、選定し

た 39 半島を 4 タイプ ( 整備途上型、住環境卓越型、

歴史観光型、地域密着観光型 )に分類した (図 3)。

3-1 整備途上型 (糸島、三浦半島など 17 件 )

 「整備途上型」は観光資源数や宿泊施設の数は比較

的少なく、バス停数や鉄道駅数などの交通整備状況も

全半島平均に比べて低い。交通網、観光産業に関して

は整備途上といえる (表 2)。

3-2 住環境卓越型 (北松浦、国東半島など 10 件 )

 「住環境卓越型」は、観光資源数や収容人数が他の

半島と比較して少ないが、半島内のバス停や鉄道駅など

の公共交通が整備されているなど、住環境が整っている。

3-3 歴史観光型 (高縄、薩摩半島など 4件 )

 「歴史観光型」は歴史文化の観光資源数が多く、ホ

テル等の大型宿泊施設が多く立地し、鉄道駅数やバス

停数なども比較的多く、歴史観光に特化している。

3-4 地域密着観光型 (丹後、島根半島など 7件 )

 「地域密着観光型」は、全ての観光資源数が多く、

その中でも祭り行事や地域景観などの観光資源が多

い。また、旅館や民宿などの小規模宿泊施設が多いな

ど、地域に根ざした観光形態である。

4. 地域観光資源と宿泊施設、公共交通網の分析

 魅力的な観光地形成の要因をみるため、分類した 4グ

ループの特性をよく表している糸島半島、北松浦半島、

高縄半島、丹後半島を選定した。整備途上型は観光産業・

交通整備が今後見込まれること、歴史観光型は歴史文化

遺産が豊富で、それに合わせてホテルの立地が進んでい

ること、住環境卓越型は観光資源数は少ないが、駅やバ

ス停数が豊富なこと、地域密着観光型は、地域景観に加

え、小規模宿泊施設である旅館・民宿が多いことを選定

基準とした。まず、2 節で用いた観光資源台帳の観光資

源に、飲食や販売等の観光資源を加えるため、観光資源

の収集を、観光雑誌や web を基に行う ( 図 4)。収集し

た観光資源を、その半島固有の歴史や自然景観などの固

有観光資源と、住民や企業によって立地営業しているカ

フェや市場などの一般観光施設に分類する。次に、観光

資源の魅力度を定義するため、web 検索ヒット数 3) を用

いる。その際、比較を容易にするため、糸島の web 検索

ヒット数の平均値 5万を基に、対象半島の観光資源の魅

力度を4段階に分類する(図 5)。それらの観光資源デー

タを基に半島マップを作成し、観光産業と公共交通網の

分布を分析する。また、立地特性を定量的に把握するた

め、(1) 観光地密集性 : 魅力度 4 の観光資源から 5km注 2)

圏内における他の観光資源までの距離分布 (2) 観光回遊

利便性 : 魅力度 4 の観光資源同士の 30km注 3) 圏内におけ

る距離分布 (3) 宿泊魅力性 : 宿泊施設から 30km 圏内に

おける魅力度 4の観光資源の距離分布 (4) 公共交通利便

性 :駅・バス停から各距離圏内の観光資源数の分布、の

4つの観点から GIS注 4) を用いて分析する (図 6)。

4-1 固有観光資源と一般観光施設の割合

 対象半島の固有観光資源と一般観光施設の分類と web

検索ヒット数で観光資源の魅力度を4段階に分類した観光

資源データの半島別の割合をみたところ (図 7)、丹後は

魅力度4の固有観光資源と一般観光施設の割合が高い。ま

た、高縄は魅力度4の固有観光資源の割合は低いが、一般

観光施設は充実しており、高縄の歴史観光資源に代表され

る松山城や道後温泉本館など、それぞれの固有観光資源が

A B C D E F G H I J K L M N

半島の面積半島内

バス停数鉄道駅数

道路密度(km/㎢)

バスルート総延長(㎞)

ホテル 旅館 民宿 自然景観(件数)

祭り行事(件数)

歴史文化(件数)

地域景観(件数)

A 0.266 0.369 0.615 0.451 0.433 0.216 0.110 0.165 0.340 0.472 -0.120 0.431 0.335B ・ 0.512 0.785 0.782 0.496 0.446 0.420 0.417 0.497 0.422 0.192 0.461 0.185C ・ ・ 0.565 0.296 0.681 0.352 0.340 0.297 0.492 0.182 0.111 0.569 0.177D ・ ・ ・ 0.891 0.687 0.393 0.359 0.317 0.516 0.548 0.132 0.544 0.245E ・ ・ ・ ・ 0.554 0.344 0.347 0.265 0.430 0.563 0.212 0.548 0.272F ・ ・ ・ ・ ・ 0.543 0.345 0.486 0.743 0.412 0.189 0.710 0.172G ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.861 0.951 0.956 0.573 -0.053 0.274 0.104H ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.796 0.753 0.420 -0.057 0.156 0.197I ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.909 0.455 -0.057 0.180 0.056J ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.583 -0.112 0.442 0.111K ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ -0.017 0.433 0.193L ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.369 0.628M ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 0.378N ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ペンション収容人数

(数) (数) (数) (数)

表 1 観光と交通に関する指標の相関分析

表 2 各指標の分析と類型化

表 2 各指標の分析と類型化

表 2 各指標のグループ毎の平均値

全半島平均 整備途上型 住環境卓越型歴史観光型 地域密着観光型

半島の面積(㎢) 940.6 416.4 828.9 2,887.7 1,174.3半島内のバス停数 715.8 308.2 853.2 1,227.8 1,062.4鉄道駅数 20.1 7.8 27.7 36.5 27.1道路密度(km/㎢) 2.2 1.0 2.5 4.7 2.8バスルート総延長(㎞) 485.2 183.7 528.9 1,060.9 763.1ホテル(数) 18.1 6.5 19.4 44.3 22.6旅館(数) 32.8 10.8 21.2 31.3 54.3民宿(数) 3.6 0.7 2.5 1.0 9.6ペンション(数) 4.3 0.4 0.3 1.8 8.0収容人数 7,050.3 1,974.7 5,359.3 12,547.5 10,012.0自然景観(件数) 2.4 1.4 2.0 3.8 3.7祭り行事(件数) 0.6 0.1 0.7 0.3 1.9歴史文化(件数) 1.9 0.3 1.5 5.5 4.3地域景観(件数) 0.3 0.0 0.0 0.3 1.3

伊豆半島

由良半島

島根半島

能登半島

長崎半島

下北半島

南房総半島

丹後半島

薩摩半島

高縄半島

渡島半島

大隅半島

知多半島

佐賀関半島

北松浦半島

津軽半島

国東半島

宇土天草半島

渥美半島

東松浦半島

企救半島

下関半島

糸島半島

積丹半島

牡鹿半島

三浦半島

弓ヶ浜半島

島原半島

男鹿半島

幡多半島

敦賀半島

児島半島

若松半島

西彼杵半島

佐田岬半島

絵鞆半島

与勝半島

江能倉橋島半島

室津大島半島

0

5

整備途上型 住環境卓越型歴史観光型

地域密着観光型

39 1 25 35 20 26 18 11 23 7 34 16 9 21 6 2 31 19 27 28 13 36 29 4 32 30 14 38 3 22 37 15 8 5 33 10 17 24 12

図 3 クラスター分析

Page 3: 半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察...さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ から1件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公

14-3

一般観光施設に与える影響の大きさが伺える。また、魅力

度の高い観光資源の内訳をみると (表 3)、高縄、丹後は

一般観光施設の割合が高い一方で、糸島、北松浦は固有観

光資源の割合が高いことから、観光産業の発展には一般観

光施設の充実が重要である。また、一般観光施設の中でも

「飲食」の割合が高縄と丹後で高く、地元でとれる食材を

活かしたレストランやカフェの立地の重要性が伺える。

4-2 魅力度 4の観光資源から一般観光施設の立地分析

 魅力度 4の一般観光施設を多く有する高縄と丹後をみ

ると ( 図 9)、いずれも平均距離は約 2km と比較的近く、

また、高縄の標準偏差は 1.2km で丹後は 1.4km と 5km 圏

内での分散も比較的小さく、密集して観光資源が立地す

ることの重要性が伺える。また、高縄と同じく観光資源

の核をもつ北松浦の平均距離は 2.2km で、標準偏差が

1.8km で糸島よりも大きい値を示すなど、5km 圏内の観

図 7 魅力度別固有観光資源と一般観光施設の割合

対象半島の分析と課題考察・統括

観光資源収集 るるぶ・まっぷる等の観光雑誌・web より

観光地分類 固有観光資源一般観光施設

分析

1)観光地密集性2)観光回遊利便性3)公共交通利便性4)宿泊魅力性

マップ作成 GIS による視覚化立地分析

web 検索ヒット数を基に4段階に分類魅力度分類

図 4 ケーススタディの手順

図 8 各半島における観光と宿泊施設の魅力度分布

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一般観光施設

魅力度 WEB検索ヒット数

固有観光資源

宿泊施設バスルート

地形標高 内陸部 詳細

4321

100,000≦x50,000≦x<100,00025,000≦x<50,000x<25,000

100,000≦x50,000≦x<100,00025,000≦x<50,000x<25,000

50 100 200 3000 (m)

N0 5 10 20 (Km)

北松浦半島

丹後半島

高縄半島

糸島半島

魅力度 WEB検索ヒット数

4321

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面積 :840.2km2

人口 :122,097 人隣接する政令指定都市 :京都市政令指定都市との距離 :91.9km

丹後半島

北松浦半島面積 :519.9km2

人口 :366,760 人隣接する政令指定都市 :福岡市政令指定都市との距離 :76.5km

高縄半島面積 :1358.0km2

人口 :642,953 人隣接する政令指定都市 :広島市政令指定都市との距離 :63.0km

糸島半島面積 :299.98km2

人口 :253,939 人隣接する政令指定都市 :福岡市政令指定都市との距離 :20.7km

表 3 固有観光資源と一般観光施設の分類と魅力度 4の観光資源内訳

図 6 分析概念宿泊施設から魅力度4の観光地の距離

4. 公共交通利便性駅・バス停からの距離圏内観光資源数

駅・バス停からの 距離圏

観光資源

3. 宿泊魅力性

魅力度 4観光資源

30km

5km

宿泊施設

2. 観光回遊利便性魅力度 4の観光資源同士の距離

魅力度 4観光資源

観光資源間距離

1. 観光資源密集性魅力度 4の観光資源から他の観光地の距離

魅力度 4観光資源

観光資源

観光資源密集エリア

住環境卓越型

歴史観光型

地域密着観光型

糸島半島

北松浦半島

高縄半島

丹後半島

整備途上型歴史文化 レストラン

自然景観地域景観

カフェ

居酒屋

祭り 食品

花火大会 工房

市場

美術館

旅館

固有観光資源 一般観光施設

祭り行事

景勝地

販売

飲食

集客

飲食 販売 集客 祭り行事自然景観 歴史文化

4 1 1 0 8 029% 7% 7% 0% 57% 0%11 9 9 0 11 3

25% 21% 21% 0% 26% 7%45 14 22 0 3 3

56% 17% 27% 0% 3% 3%46 13 26 3 16 9

41% 12% 23% 3% 14% 8%

一般観光施設(魅力度4) 固有観光資源(魅力度4)半島名称

図 5 web 検索ヒット数を用いた魅力度の分類

00

5

10

5

10

5 万

1 2 3 4

10 万 15 万 20 万 00

5 万 10 万 15 万 20 万( 平均値 )

(件数 )

(WEB 検索ヒット数 )

糸島の分類基準を他の半島に適用

魅力度分類

糸島半島

分類基準

北松浦半島

1 2 3 4魅力度分類地域観光

資源名WEB検索ヒット数

Bistro&Café 3,770

幣の浜 10,900

伊都きんぐ41,600

二宮神社 64,100

白糸の滝 78,000

桜井二見ヶ浦199,000

11% 20% 13%

55% 21% 14% 11%33% 13% 25% 29%

32% 12% 19% 37%21% 16% 24% 39%

30% 14% 19% 38%

18% 12% 15% 55%57%

一般固有地域密着観光型

丹後半島

魅力度1 魅力度2 魅力度3 魅力度4

27%27% 32%14%

(5)

(3)

(66)

(8)

(26)

(8)

(36) (14) (9) (6)

(3) (6) (8)

(10) (15) (29)

(6) (9) (15)

(30) (42) (80)

(6) (7) (6)

(28) (19) (23) (85)

(9) (6) (26)

(155)

(46)

(22)

(218)

(25)

(65)

(38)

(80)

一般固有

一般固有

一般固有

歴史観光型高縄半島

住環境卓越型北松浦半島

整備途上型糸島半島

Page 4: 半島における観光産業の立地と公共交通網の整備に関する考察...さらに、ケーススタディとして、類型化したグループ から1件ずつ半島を選定し、観光資源、宿泊施設、公

14-4

【脚注】

光資源は分散立地している (図 8)。

4-3 魅力度 4の観光資源間立地分析

 観光資源が分散している丹後と糸島を比較すると (図

10)、半島の面積が大きい丹後の標準偏差は 9.4km と糸

島の標準偏差 6.8km よりも大きく、分散して立地してい

るが、平均距離は 13.5km と糸島の 17.2km より近い値を

示している。これは、沿岸部に分散する固有観光資源に、

一般観光施設が公共交通網に沿ってネットワークを作る

ように立地しているためであり、固有観光資源を繋ぐ魅

力度の高い一般観光施設の重要性が伺える。

4-4 宿泊施設と魅力度 4の観光資源の立地分析

 宿泊施設と魅力度 4 の固有観光資源の距離分布をみ

ると ( 図 11)、ホテルが多く立地する高縄の平均距離は

3.9km であり、他の半島と比較しても非常に近い。また、

旅館が多く立地する丹後の平均距離は 13.1km であり、

観光資源が分散している糸島の平均距離 16.8km よりも

近い。さらに、丹後の沿岸部に位置する多くの宿泊施設

は、魅力度 4の一般観光施設である旅館であり、自然景

観を活かした宿泊施設は観光資源としての側面もある。

4-5 公共交通と観光資源の立地分析

 バスから各距離圏の観光資源数の占める比率をみる

と ( 表 4)、糸島以外の半島はバス停から 1km 以内に約

8 割の観光資源を含む。バス停の整備と魅力度の高い一

般観光施設の立地は高い相関があると考えられ、特に分

散して沿岸部に観光資源が分布する糸島は、海岸部の公

共交通機関の整備が必要である。また、駅から各距離圏

の観光資源数の占める比率をみると (表 5)、高縄が 1km

に約 6割の観光資源を有し、北松浦も 4割を有する。さ

らに、駅から魅力度 4の観光資源の距離別内訳をみると

( 図 12)、駅から 3km 圏内に丹後、北松浦、高縄が魅力

度 4の観光資源の約 5割を有するなど、駅周辺の観光地

はアクセスの容易さから魅力度が高くなる傾向にある。

紀伊半島は他の半島と比較して、著しく人口及び面積の規模が大きく、他の半島との比較・分類が困難なため、研究対象としては除外している。不動産法より、分速 80m で 1 時間歩行した距離を 5km と定義し、算出した。車で時速 40km で一般道を走行し、1 時間で到達可能な距離を 30km と定義し、算出した。GIS での分析の際、半島の地形の影響、また車移動での経路選択可能性が低い細い道を排除するため、バスが運行している道をネットワークとして設定し、それぞれの解析を行った。

注 1)

注 2)注 3)

注 4)

5 まとめ

 本研究では、国内の 39 半島を対象として観光産業

と公共交通網に関して、以下を明らかにした。

1) 歴史文化に関係する固有観光資源はホテルとの相

関が高く (0.71)、ホテルは歴史文化に関する観光資

源に付随して立地する傾向を示した。

2)39 半島を観光産業、公共交通網の観点から整備途

上型、住環境卓越型、歴史観光型、地域密着観光型に

4 分類し、「住環境卓越型」の特徴は、観光資源数は

少ないが公共交通網の整備が進んでいること、「地域

密着観光型」の特徴は、祭り行事や地域景観などの観

光資源、旅館や民宿などの小規模宿泊施設が多いこと

など、各タイプの特徴を示した。

3) 観光資源を固有観光資源と一般観光施設に分類し、

魅力度を 4段階に定義し、観光施設分布と公共交通網の

整備状況の関係を分析した。その結果、「地域密着観光型」

の丹後は、魅力度 4の固有観光資源が多く沿岸部に分布

し、魅力度 4の一般観光施設である旅館と、公共交通網

が固有観光資源を繋ぐように立地している。一方、「整

備途上型」である糸島は、魅力度 4の観光資源間の距離

は他の 3タイプの半島と比較して長く、観光資源の密集

性も低い。また、沿岸部を中心に公共交通網が整備され

ていないなど、各半島の現状を示した。

表 5 駅から各距離圏の観光資源数の占める比率 (%)表 4 バスから各距離圏の観光資源数の占める比率 (%)

糸島半島整備途上型

住環境卓越型

北松浦半島歴史観光型

高縄半島地域密着観光型

丹後半島

半島名 観光地種類 1㎞ 2㎞ 3㎞ 4㎞ 5㎞ <5㎞固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設

48% 61% 70% 83% 83% 100%71% 85% 88% 91% 92% 100%79% 89% 89% 89% 92% 100%90% 90% 91% 91% 91% 100%95% 100% 100% 100% 100% 100%98% 99% 99% 99% 99% 100%78% 86% 86% 90% 90% 100%96% 98% 98% 100% 100% 100%

(11) (15) (17) (20) (20) (24)

(47) (56) (58) (60) (61) (66)

(30) (34) (34) (34) (35) (38)

(73) (73) (74) (74) (74) (81)

(21) (22) (22) (22) (22) (22)

(217) (218) (218) (218) (218) (222)

(36) (40) (40) (41) (41) (46)

(122) (124) (124) (127) (127) (127)

半島名 観光地種類 1㎞ 2㎞ 3㎞ 4㎞ 5㎞ <5㎞9% 17% 35% 48% 48% 100%

21% 35% 44% 58% 64% 100%18% 26% 42% 50% 53% 100%38% 43% 52% 79% 81% 100%59% 82% 95% 100% 100% 100%59% 89% 97% 100% 100% 100%16% 29% 41% 49% 59% 100%13% 31% 39% 48% 54% 100%

(2) (4) (5) (11) (11) (24)

(14) (23) (29) (38) (42) (66)

(7) (10) (16) (19) (20) (38)

(30) (34) (42) (64) (66) (81)

(13) (18) (21) (22) (22) (22)

(127) (192) (210) (215) (215) (216)

(7) (14) (19) (23) (27) (46)

(17) (39) (50) (61) (69) (127)

糸島半島整備途上型

住環境卓越型

北松浦半島歴史観光型

高縄半島地域密着観光型

丹後半島

固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設固有観光資源一般観光施設

< 参考文献 >

1) 高橋環太郎:島嶼地域における観光特性と人口・産業特性の関係に関する一考察 ,

観光科学研究論文集 ,p.133-p.140 ,2015

2) 尚偉・松本直司:中山道美濃路における景観資源の現状と特性 , 日本建築学会論

文集 ,p.943-950,2016

3) 大和遼 :WEB 上の動的な都市情報に基づく地域イメージの視覚化に関する研究 ,

九州大学修士論文 ,p.1-p.4,2016

4) 国土交通省国土政策局国土情報課 ,国土数値情報ダウンロードサービス (http://

nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html)

図 10 魅力度 4の観光資源間

距離分布

図 9 魅力度 4の観光資源から一般観光施設の距離分布

図 11 魅力度 4の固有観光資源と宿

泊施設間の距離分布図 12 駅から魅力度 4の観光資源

の距離別割合 (%)

北松浦

固有観光資源 ( 魅力度 4) 一般観光施設

糸島

高縄

丹後

( 個 )

( 個 )

( 個 )

( 個 )

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

(km)

(km)

(km)

(km)

(km)

(km)

(km)

(km)

(%)

(%)

(%)

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

50 10 15 20 25 30

平均距離 =13.7(km)標準偏差 =9.83(km)

平均距離 =16.8(km)標準偏差 =6.57(km)

平均距離 =3.89(km)標準偏差 =3.35(km)

平均距離 =13.1(km)標準偏差 =8.70(km)

1510

1510

10

10

15

15

(%)

129630

3002001000

2,000

1,000

0

5004003002001000

北松浦

一般観光施設

糸島

高縄

丹後

500040003000200010000

(%) 平均距離 =2.73(km)標準偏差 =1.70(km)

302010

3020

10

3020

10

500040003000200010000

500040003000200010000

(%)

(%)

(%)

平均距離 =2.23(km)標準偏差 =1.82(km)

平均距離 =1.90(km)標準偏差 =1.21(km)

302010

500040003000200010000(m)

(m)

(m)

(m)

平均距離 =1.70(km)標準偏差 =1.42(km)

北松浦

全観光地 (魅力度 4)

糸島

高縄

丹後

(km)

(km)

(km)

(km)

50 10 15 20 25 30

(%) 平均距離 =17.2(km)標準偏差 =6.81(km)30

2010

302010

0

50 10 15 20 25 30

(%)

平均距離 =3.62(km)標準偏差 =4.01(km)

平均距離 =11.5(km)標準偏差 =9.45(km)

2030

10

2030

10

(%)

(%)

50 10 15 20 25 300

50 10 15 20 25 30

平均距離 =13.5(km)標準偏差 =9.38(km)

(%)(累計)

高縄

北松浦

丹後

糸島

(50)

(13) (15)

(1) (1)

(3) (3)

(15)

(31) (39)(44)

(50)(20)

(30) (30)

(75)

注( )内は観光地数を示す

(82)(84) (84)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1km 2km 3km 4km 5km